2022年2月13日日曜日

ウクライナ危機 フル装備F-15がポーランドへ展開中。欧州配備中の米空軍イーグル最後の任務となりそう

 F15 poland

POLISH ARMED FORCES

 

 (メディア関係者の皆様へ。F15Cという機体は存在しません)


空軍のF-15C、F-15Dイーグル戦闘機部隊がワスク航空基地 Łask Air Base(ポーランド)に2022年2月10日到着し、「NATOの集団防衛体制強化」に加わり、同時にバルト航空警戒(BAP)任務にも投入される。F-15C/D型はヨーロッパ連続配備が終わろうとしており、一方でロシア軍はベラルーシで大規模演習を開始し、東西緊張が高まってる。ロシアのウクライナ侵攻への恐れが高まる中で、前方配備部隊の運用が注目される。

 

 

今回のF-15C/D機材は第48戦闘航空団所属の8機でRAFレイクンヒース基地(イングランド)からワスク基地に本日到着し、ポーランド、デンマーク両国のF-16部隊によるBAPミッションに加わる。BAPはエストニア、ラトビア、リトアニアの防空任務で、ポーランドに移動したF-15機材は高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)を搭載している。

 

ドイツのラムステイン航空基地に司令部を置く連合航空司令部では今回のイーグル配備についてロシア脅威をあえて理由にあげている。

 

「戦闘機追加分は連合抑止防空体制を強化し、一方でロシアはウクライナ周辺で部隊増強を続けている」と連合航空司令部は声明を発表している。「各機は同盟加盟国部隊とともに空対空、空対地訓練を展開しつつ、高度航空哨戒enhanced Air Policing (eAP) ミッションを実施する」

 

POLISH ARMED FORCES

An F-15D lands in Poland.

POLISH ARMED FOCES

F-15C/D Eagles taxi into parking at their temporary home away from home.

 

eAP ミッションでは必要な地区に戦闘機を追加投入し、輪番で任務に当たるNATO部隊を補強する。BAPは小規模で通常は4機を投入するが、eAPはそもそも2014年にロシアのクリミア併合への対応として発足したものだ。

 

「米空軍F-15部隊がポーランドに進駐して集団防衛能力がNATO東部方面で強化された」と在欧米空軍司令官兼連合航空司令官ジェフ・ハリガン大将General Jeff Harrigianが述べている。「米機材を投入したのは同盟の結束への姿勢を示すもので、防衛ミッション実行を共同で行う」

 

F-15C/Dの投入はミッションの防衛的な性格を考慮したものだ。「明るい灰色」塗装のイーグルは防空専門で、F-15EストライクイーグルやF-16の対地攻撃能力は付与されていない。

 

今回のF-15C/D部隊の到着とロシアのベラルーシ国内演習( Allied Resolve 2022)の開始が同時となった。ベラルーシはポーランド、ウクライナ両国の隣国で演習は10日間の予定だ。ベラルーシ国内に布陣するロシア軍はそのまま北部ウクライナ侵攻に投入される恐れを読んでいる。

 

ベラルーシ国内のロシア軍は30千名規模といわれ、S-400地対空ミサイル部隊2、イスカンデル短距離弾道ミサイル(SRBM)部隊も加わっている。注目すべきはこうしたロシア部隊の大部分がウクライナ国境付近に展開していることで、多くは30マイル地点だ。演習シナリオではベラルーシ南方国境地帯で敵に反撃する想定もある。

 

ロシア戦闘機部隊もSu-35Sフランカー多用途戦闘機、Su-25SMフロッグフット対地攻撃機がベラルーシに到着している。このうち、Su-35Sはワスク基地から300マイル足らずのバラノヴィッチ航空基地に展開している。迎撃任務訓練にベラルーシ空軍のSu-25が投入された。

 

ロシアのTu-22M3バックファイヤー爆撃機部隊もベラルーシ空域に投入されている。ロシアのSu-35S、ベラルーシのSu-30SMがあたっていた。爆撃機のうち少なくとも一気にKh-22あるいはKh-32超音速巡航ミサイルが搭載されており、核弾頭も運用可能だ。

 

クレムリンの公式発表では演習が2月20日二終了次第、ロシア軍はベラルーシから撤収するとあるが、そのとおり撤収となるのか、ロシア部隊全部が撤収となるかはわからない。

 

更に、ロシアはベラルーシ以外にも大規模部隊を集結しており、ウクライナ南方はロシアが占領中のクリミアや黒海からの揚陸作戦に脆弱だ。

 

他方でバルト海地方にロシアはMiG-31フォックスハウンド迎撃戦闘機にキンザル極超音速ミサイルを搭載し、カリニングラードに展開している。同ミサイルの配備はNATOの動きに対抗するもので、東部方面でのNATO部隊はここに来て強化されてきた。

 

第48航空団のイーグル各機はバルト海、ベラルーシでのロシア航空兵力展開への強力な対応だ。RAFフェアフォード基地に米空軍B-52H戦略爆撃機4機もミノー空軍基地(ノースダコタ)から到着している。爆撃機任務部隊の展開は事前に決まっていたが、現地に到着した各機は欧州東部の緊張をあらためて感じさせるものとなった。

 

F-15C/D各機はレイクンヒース基地の493戦闘機隊「グリムリーパーズ」所属で、今回の進駐は欧州で最後の作戦展開となる。ポーランドへ移動する前に同隊はイーグルからF-35Aへの機種転換の作業に入っていた。「グリムリーパー」隊はレイクンヒースで495戦闘機隊「ヴァルキリーズ」に続きF-35を運用することになる。

 

「グリムリーパー」隊はF-15を4月末まで供用の予定だったが、今回の展開で計画がどう影響を受けるかは不明だ。

 

JAMIE HUNTER

A “Grim Reapers” F-15C in its element, in one of the low-flying areas in the United Kingdom.

 

493戦闘飛行隊のイーグル各機は米国に戻り、州軍航空隊に加わる準備に入っていた。48戦闘航空団はF-35A飛行隊2の体制となるが、F-15Eを同基地から492戦闘飛行隊「マッドハッターズ」、494戦闘飛行隊「パンサーズ」が引き続き運用する。

 

防空専門のF-15C/Dはヨーロッパの空を1977年以来守ってきた。当時西ドイツのビットブルグ航空基地、オランダのソースベルグ基地から運用が始まった。

 

「グリムリーパーズ」は1994年からF-15C/D運用をレイクンハースで開始し、旧ユーゴスラビアでのアライド・フォース作戦で4機撃墜している。

 

ロシアは繰り返しウクライナ侵攻の予定はないとするが、部隊増強と物資搬入がウクライナ国境付近で続いていることから緊張は高いままだ。ベラルーシ演習が本日始まったことで状況は悪化の一途で、NATO側はF-15部隊がポーランドに登場したことで東部方面での備えと決意の程をモスクワに伝えようとしている。

 

ヨーロッパ配備のF-15C/Dで今回が最後の作戦投入になるとすれば、同機の輝かしい経歴で白鳥の歌としてふさわしい作戦になりそうだ。■

 

 

Fully Armed Grim Reaper F-15 Eagles Arrive In Poland In Response To Russian Build-Up

 

Arriving from England, the F-15C/Ds from the famous Grim Reaper squadron may be making their final operational deployment.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 10, 2022

 


2022年2月12日土曜日

日曜特集: リアルな再現で期待できそうな"Masters of the Air"ミニシリーズはWW2のドイツ空爆作戦を描く。Apple+で製作中で公開予定。

B-17G Flying Fortress bombers

第8空軍381爆撃集団のB-17G編隊。 in summer 1944. Universal History Archive/Universal Images Group via Getty Images


  • ミニシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」に続く作品が撮影に入っている

  • "Masters of the Air"は第二次大戦中の米軍による欧州戦線の爆撃任務を描く

  • イングランドの撮影状況から当時を正確に再現刷る姿勢が見えた

Apple TV+は"Masters of the Air"の詳細を明らかにしていないが、第二次大戦を扱うミニシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」に続く作品に期待が高まる。制作関係者の撮影現場談や外部情報を総合すると舞台はイングランドとわかる。



原作はドナルド・L・ミラーDonald L. Miller"Masters of the Air: America's Bomber Boys Who Fought the Air War Against Nazi Germany"。「バンド・オブ・ブラザース」から20年、「ザ・パシフィック」から10年経っている。両作品ともエミー賞を受賞し、史上最高の制作費を投じたシリーズだった。


設定は第二次大戦の最後の年で、第100爆撃集団の航空兵の日々を綴る。当時は米陸軍航空隊の第8空軍が昼間爆撃をヒトラーのヨーロッパ要塞相手に展開していた。


"Masters of the Air" には総合プロデューサー、トム・ハンクスのPlaytoneと同じく総合プロデューサー、スティーブン・スピルバーグのAmblin Televisonが巨額費用を投じ、第8空軍の空中戦闘体験を再現する。


総額250百万ドルと聞きHBOが放映を断念したが、Appleが引き受け、エピソード9話を発注した。Apple制作のシリーズはこれが初とHollywood Reporterが伝えている。


Appleは内容の詳細、放映時期ともに触れていないが、撮影セットの関係者からある程度の話が出てきた。


監督のCary Fukunagaのインスタグラムに撮影現場の風景が出ており、非公式サイトがフェイスブック、インスタグラム、ツイッターに出現した。作成したSimon Cooperはイングランド在住のファンで作品と直接のつながりはない。


スナップショットを以下御覧いただきたい。


第二次大戦が終結し75年超となるが、飛行可能なB-17は10機しか残っていない。B-17はボーイングの4発爆撃機で第二次大戦勝利に貢献した機体だ。


今回のミニシリーズでは実機は使わず、実寸大のB-17モデルを少なくとも2機製造したようだ。また、ボール状銃座、コックピット等もサウンドステージ上に再現している。


実寸大B-17モデル2機が製造され、イングランド・オックスフォードシャーのアビンドンAbingdonに駐機した。


Masters of the Air B-17 bomber models

B-17モデル2機がアビンドン飛行場に揃った。2021年9月。 Photo courtesy of Ceri Thomas


イングランド在住のファン、 Ceri Thomas はアビンドンの旧RAF基地の撮影情景をネットで見て、当時の第8空軍基地を再現しているのを知った。


Thomasは9月19日に現地へ車を走らせ、垣根の向こうにB-17、管制塔のレプリカを実際に見た。


Masters of the Air B-17 bomber models

管制塔とB-17はともにレプリカ。 Photo courtesy of Ceri Thomas


B-17レプリカの塗装では進行に合わせ、個別番号、ノーズアート等が書き換えられ第100爆撃集団の個別機体を再現している。セットでは少なくとも9機分の塗装が確認された。ということは番組でいろいろな搭乗員が登場することになる。


第二次大戦ファンや航空機愛好家ならセットで細かい部分まで再現され、歴史に忠実な内容になっていると同意するはずだ。


B-17レプリカは無動力のため、建設用クレーンで滑走路上を上下させ、離着陸状態を再現している。


Masters of the Air B-17 bomber models

B-17 レプリカが吊り上げられた. Photo courtesy of Paul King



旧RAF基地の端から外部関係者Paul Kingが動かない爆撃機が「飛行」する光景をカメラに収めた。


Masters of the Air B-17 bomber models

B-17 レプリカ。Photo courtesy of Paul King



Kingは建設用クレーンがレプリカ機体を持ち上げる光景を目にした。地上では「車両多数」が動き回っていたという。


レプリカ機のプロペラが取り外されているのに気づいた人もいる。デジタル処理で離着陸時を再現するのだろう。


倉庫改装のサウンドステージには分解したB-17が飛行中シーン撮影用に使われている。


Fukunagaは"MoTA"のハイライトシーンをインスタグラムに投稿し、撮影現場のサウンドステージの風景を見せている。


B-17を部分的に解体したセットでミッション再現シーンを撮影している。Fukunagaのインスタグラムでは胴体部分、ボール状銃座、操縦席周りがわかる。


Fukunagaは「ウォール」と呼ぶカーブつき壁状のグリーンスクリーンでB-17コックピットの撮影をしているのを紹介している。


俳優Barry Keoghanの昨年11月のソーシャルメディアはこのセットからで、使われている技術の一端を見せていた。コックピットでのセルフィー写真では3Dの雲が背後に写っていた。同様にコンピュータ作成の雲がコックピットの窓越しに写っているのがFukunagaのインスタグラムでわかる。


セット風景では俳優 Fionn O'Sheaが爆撃行の装いで写っている。FukunagaもインスタグラムでO'Sheaが電熱線暖房式の「バニースーツ」、シープスキンのカバーオールを着用しているのを紹介している。


爆撃機搭乗員は「ブルーバニー」スーツをシープスキンジャケットの下に着用し、華氏マイナス50度(マイナス45度)の状況に耐えた。


Fukunagaのインスタグラムでは O'Sheaの左にコードがぶら下がっており、搭乗員のスーツに縫い込んだ電気コイルに接続する。


Fukunagaの別のインスタグラム投稿動画ではシープスキンを内側につけたレザーのフライングパンツとジャケットをブルーバニースーツの上に着る O'Sheaが見える。


当時のイングランドを再現


"Masters of the Air"の撮影はイングランド各地で昨年展開し、当時の雰囲気再現のため費用を惜しまず、空襲サイレンに慌てふためく状況や搭乗員が任務後に訪れるパブや街の風景が撮影された。


Cooperは非公式ファンクラブMasters Of The Air Behind The Scenesを設立し、今回写真やヒントを提供してくれた。


イングランドのHemel Hempsteadの町並みが代位二次大戦時の姿にお化粧直しされ、Lucky Tattoo & Piercing店舗は防空壕になったようだ。


Hemel Hempstead’s Old Town bomb shelter Masters of the Air

第二次大戦時の防空壕に改装された現在の店舗Photo courtesy of Lloyd Dickinson


写真では空襲の被害を受けた街区もあり、ドイツ空軍による空襲を再現したのだろう。


細部にまでこだわる姿勢は戦時下の新聞見出しにも見られ、その他搭乗員や一般市民が愛用した自転車は戦時中の燃料不足が背景だ。


また、イングランドの田園が第三帝国領になり、捕虜となった搭乗員を描くためだろう。


RAFアヴィンドン基地滑走路近くに暮らすLloyd Dickinsonが捕虜収容所らしきセットの写真を提供してくれた。セットは実際の刑務所の隣に作られている。


Masters of the Air prisoner of war camp set

捕虜収容所のセットが出現した Photo courtesy of Lloyd Dickinson


収容所セットはポーランド・ジャガンZaganにあったStalag Luft IIIの再現だろう。1945年1月閉鎖されるまで連合軍航空兵が収容されていた場所だ。■



What we know about WWII miniseries 'Masters of the Air'

 

Katie Sanders and Mara Storey 22 hours ago



Katie Sanders is a writer based in New York City. Her reporting has brought her to prisons, JDate, the CIA, and the White House. Follow her at @katiessanders.

Mara Storey is a people analytics manager at Deloitte and World War II enthusiast based in Nashville, Tennessee.


ウクライナ情勢 気になるニュース 2月12月号

今週のウクライナ危機関連ニュース

2月12日号



ウクライナにビットコイン寄付が続々と流入

National Interest

Bitcoin Donations Flood Ukraine as Military Prepares for War

https://nationalinterest.org/blog/buzz/bitcoin-donations-flood-ukraine-military-prepares-war-200462


550千ドル以上相当のビットコインがウクライナ軍関係NGOあてに寄付されている。ブロックチェーン分析の専門会社Ellipticが発表。寄付主は軍事装備品のほか医療品の購入に使ってほしいと伝えているという。ウクライナ軍では寄付は受け付けないが、関係団体で受付けている。ただし、2014年のドンバス地方をめぐるロシアとの衝突時にはネオナチ団体からの寄付があり物議を醸した。



ロシア戦車が泥にハマり動きがとれなくなる

Defense Blog

Over a dozen Russian tanks stuck in the mud during military exercise

https://defence-blog.com/over-a-dozen-russian-tanks-stuck-in-the-mud-during-military-exercise/


ウクライナ国境付近ロストフ地方と思われる地点でロシア軍戦車T-72数両が泥にハマり動きが取れなくなっている映像がソーシャルメディアに流出している。写っているT-72は改良型B3仕様で火器管制能力とエンジン部分の防御を高めた改修版で、2010年から改修がはじまっている。



ホワイトハウスはウクライナ侵攻はオリンピック閉幕前に実施と見ている

INSIDER

White House says there's a 'credible prospect' Russia could invade Ukraine before Winter Olympics end

https://www.businessinsider.com/wh-credible-prospect-russia-could-invade-ukraine-before-olympics-end-2022-2


ジェイク・サリバン安全保障担当補佐官は冬季オリンピック閉幕までにロシアがウクライナ侵攻に踏み切るとの予測が「固い」と述べた。バイデン政権はロシアに繰り返し警告している。サリバン補佐官は首都キエフ強襲が可能性が高いシナリオと見ている



ポーランドへ82空挺師団3千名が展開

Stars and Stripes

Another 3,000 U.S. troops to deploy to Poland as White House says Russia could invade Ukraine within the week

https://www.stripes.com/theaters/us/2022-02-11/ukraine-russia-invasion-american-citizens-evacuations-nato-4983606.html


82空挺師団から3千名が追加でポーランドへ移動する。部隊は同師団の歩兵戦闘部隊で先行して1.7千名画すでにポーランドに展開している。ポーランドで合流後、NATOによるウクライナ西方国境地帯の防備にあたる。ヨーロッパには米軍80千名が駐留しており、一部がポーランド、ルーマニアに移動している。ポーランドでは非難する米国市民の保護にあたるが、ウクライナ国内に入ることはないとサリバン補佐官は言明している。


ロシアはAn-2でウクライナ防空網の突破を狙う?

Defense Blog

Russia will use Soviet-era biplanes to draw out Ukrainian air defenses

https://defence-blog.com/russia-will-use-soviet-era-biplanes-to-draw-out-ukrainian-air-defenses/


An-2はソ連時代に生まれた農業機で単発複葉機としては最大の大きさを誇る。ウクライナ防空網突破にAn-2複葉機を使う作戦をロシアが秘密裏に試している。ロシアの狙いは同機をおとりとして使い、ウクライナ防空軍の注意をひこうとするもの。同型機10数機を編隊飛行させている様子がソーシャルメディアへ流出している。同様の戦術はアルメリア・アゼルバイジャン間の衝突事案でも試され、アゼルバイジャンはAn-2を無人機に改装した。











 

2022年2月11日金曜日

インドネシアがラファール、F-15EXをと同時調達の意向。ラファール先行し、国務省が慌ててボーイング機販売130億ドルを承認。南朝鮮のKF-21共同開発はどうなるのか。

 


F-15EX がオハイオ州ライトパターソン基地の駐機スポットへ移動中, Nov. 8, 2021. (U.S. Air Force photo/Jaima Fogg)

メディア関係者の皆様へ。F15ではありませんのでご注意ください

ンドネシア国防相プラボウォ・スピアントPrabowo Subiantoはラファール、F-15EX双方の導入に意欲を見せており、国防予算を増額する同国で大型案件が出そうだ。

米国務省はインドネシアへのボーイングF-15EX36機推定139億ドル売却を承認した。直前にインドネシアはダッソー・ラファール導入を発表していた。

「ラファール42機導入で合意できた。本日契約に署名し、まず6機、その後36機を調達する」とのスブリアント国防相発言をFrance 24が伝えている。

同相はラファール、F-15EXともに導入したいとの意向を表明していたが、今回の販売承認で国務省はラファールと合わせインドネシア仕様F-15EXの並行購入を可能とした。なお、同機はF-15IDと呼称される。

国防安全保障協力庁(DSCA)の発表では国務省が海外軍事販売として案件承認したとあるが、FMS案件が承認されても商談がまとまるわけではない。契約調印後に当初の見積もり価格と実際の一括価格が異なることがあるためだ。

ボーイングは議会が同案件の通知を受けたことを歓迎し、以下の声明を発表した。

「F-15によりインドネシア空軍に高性能の作戦能力が実現します。堅実な補給基盤があり、次代の技術ロードマップに基づく産業協力の機会がインドネシア産業界に生まれます」「議会承認が下り次第、米イ両国政府を支援し、案件が実現するべく動きます」

インドネシア関連のDSCA通告案件では2020年7月に総額20億ドルでのMV-22ティルトローター8機調達案件が先にあった。

今回提示の内容ではF-15ID36機の他、F110-GE-129またはF100-PW-229エンジン87基、AN/APG-82(v)1 高性能電子スキャンアレイレーダー45基、AN/ALQ-250イーグルパッシブアクティブ警戒生存システム45基、高性能ディスプレイコアプロセッサー(ADCP)IIデジタルコンピュータ48基、AN/AAQ-13 LANTIRN 航法ポッド40基、AN/AAQ-33スナイパー高性能標的捕捉ポッド40基等が含まれる。

今回の販売が実現すれば「重要な域内パートナー国」の安全保障状況が向上し、「アジア太平洋地区の政治的安定度と経済発展の支えとなる」と、国務省はニュースリリースを発表した。「今回提案の販売でインドネシアは将来に渡り脅威に対抗すべく、抑止効果を向上し、防空範囲を同国の複雑な空域、海洋域で拡大可能となる」■

State Department approves $13B F-15EX sale to Indonesia, on heels of Rafale deal - Breaking Defense Breaking Defense - Defense industry news, analysis and commentary

By   VALERIE INSINNA

on February 10, 2022 at 4:57 PM


新登場の中国通常型潜水艦は小型ながらPLANのA2AD構想を支える新鋭艦になりそう。合わせ039型C元級の改良にも注目。

 

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NEW_CHINESE_SUBMARINE

VIA CHINESE INTERNET

 

型潜水艦が中国に登場した。この前に別の通常型「セイルなし」艦が関心を集めていたが、今回新たに出現した艦との関係は不明だ。

 

 

ビデオ映像には新型艦が初期テストらしき運用をされる姿があり、ソーシャルメディアに流出した。小型艦で039型元級(250フィート)よりはるかに小さく、潜水艦に詳しいH・I・サットンの試算では全長160フィートだ。

 

サットンは今回登場した新型艦は3年前に現れたセイルなし艦と何らかの関連があるとする。衛星画像では同艦の全長は150フィートと今回登場の新型艦と近い。サットンは新型艦は単船殻構造とし、前回登場したセイルなし艦に共通する。なお、039型は双船殻型だ。

 

今回はセイルがついており、設計の違いが明白だ。今回のセイル構造は艦体にスムーズに一体化されており、ドイツの212型、214型に通じるものがあり、中国では今回が初めてだ。ただし、中国でもMS200潜航艇、S600小型警戒潜水艦、S1100艦でも試行されており、すべて中国船舶重工業China Shipbuilding Industry Corporation( CSIC)が建造している。ただし、今回の新型艦もCSIC建造かは不明だ。

 

その他の目立つ特徴として潜舵が艦本体前方についており、これも214型と共通している。また、セイルには白色マーキングがあり、試験中の中国潜水艦に共通の特攻だ。サットンはこの潜水艦の武装は魚雷発射管4本で再充填用魚雷は搭載していないとする。

 

全体として新型艦でわかっている情報は皆無に近いが、中国が小型通常型潜水艦も大型原子力推進艦と並行して整備を続ける状況を示している。

 

昨年は元級の新型が登場し、西側は非公式名称039C型とした。同艦の特徴としてセイルが設計変更され、ステルス性能を意識した、あるいはソナーか通信装置を搭載した可能性がある。

 

VIA TWITTER

いわゆる039C 型ではセイルの形状が特徴的だ

 

これに対し039A/B型艦は17隻が人民解放軍海軍PLANで供用中で、中国通常型潜水艦部隊の中核となっており、パキスタン、タイへも輸出されている。

 

039A/B型が輸出にもまわされたことで、新型艦の登場が予想される。中国はハイテク艦を輸出し、フランス、ロシア、スウェーデン等と競合しようとしている。

 

新型間の推進方式は現時点では断定できないが、039A/B型は大気非依存型(AIP)を搭載していると言われる。039A/B型のスターリングエンジンは液体酸素とディーゼル燃料で発電し、推進力を得ていると予想される。これにより潜航時間が従来の艦より長くなり、浮上あるいはスノーケル潜航の必要が減る。

 

U.S. NAVY

039A 型元級潜水艦

 

中国はさらに高度な推進方式も開発中と見られており、リチウムイオン電池技術もそのひとつだ。日本がそうりゅう級後期でこれを実用化している。AIPに対する利点として潜航中の高速移動が持続できること、充電時間が短いこと、電池寿命が長くなること、保守整備が簡略化できることがある。電池のみで移動すれば最高の静粛度が実現する。039C型でリチウムイオン電池が導入されているとの観測があり、試験艦としてその他新技術も導入され、今後の建造艦に道をひらく意義があるのだろう。

 

中国は通常型潜水艦が国内用あるいは輸出用の需要があると認識しているようだ。原子力潜水艦のみ運用する米海軍と対照的だ。通常動力艦は建造費が安いため、急速な拡大をめざすPLANのニーズに合うが、同時に中国が想定する戦闘状況にぴったりだと言って良い。

 

原子力潜水艦より静粛度に優れる新鋭通常型AIP潜水艦は浅海域での運用に適しており、PLANは広範な接近阻止領域拒否戦略に投入するつもりなのだろう。今回の新型艦は小型艦体はこの想定似理想的だ。更に建造費が安価となれば中国は数で優位に立てる。

 

米議会に提出された中国海軍力整備に関する報告書では2025年までに元級を25隻配備すると予測しており、あらためて中国の建造能力の高さを印象づけている。今回の新型艦、さらに039C型あるいは開発中の艦が実際に第一線部隊に配備されるかは不明だが、PLANは数と質の双方で潜水艦戦力を整備していくのは明らかだ。■

 

 

New Chinese Diesel-Electric Submarine Breaks Cover 

The latest Chinese submarine design to emerge remains enigmatic but seems to utilize a notably small hull.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 8, 2022

THE WAR ZONE