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新登場の中国通常型潜水艦は小型ながらPLANのA2AD構想を支える新鋭艦になりそう。合わせ039型C元級の改良にも注目。

 

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NEW_CHINESE_SUBMARINE

VIA CHINESE INTERNET

 

型潜水艦が中国に登場した。この前に別の通常型「セイルなし」艦が関心を集めていたが、今回新たに出現した艦との関係は不明だ。

 

 

ビデオ映像には新型艦が初期テストらしき運用をされる姿があり、ソーシャルメディアに流出した。小型艦で039型元級(250フィート)よりはるかに小さく、潜水艦に詳しいH・I・サットンの試算では全長160フィートだ。

 

サットンは今回登場した新型艦は3年前に現れたセイルなし艦と何らかの関連があるとする。衛星画像では同艦の全長は150フィートと今回登場の新型艦と近い。サットンは新型艦は単船殻構造とし、前回登場したセイルなし艦に共通する。なお、039型は双船殻型だ。

 

今回はセイルがついており、設計の違いが明白だ。今回のセイル構造は艦体にスムーズに一体化されており、ドイツの212型、214型に通じるものがあり、中国では今回が初めてだ。ただし、中国でもMS200潜航艇、S600小型警戒潜水艦、S1100艦でも試行されており、すべて中国船舶重工業China Shipbuilding Industry Corporation( CSIC)が建造している。ただし、今回の新型艦もCSIC建造かは不明だ。

 

その他の目立つ特徴として潜舵が艦本体前方についており、これも214型と共通している。また、セイルには白色マーキングがあり、試験中の中国潜水艦に共通の特攻だ。サットンはこの潜水艦の武装は魚雷発射管4本で再充填用魚雷は搭載していないとする。

 

全体として新型艦でわかっている情報は皆無に近いが、中国が小型通常型潜水艦も大型原子力推進艦と並行して整備を続ける状況を示している。

 

昨年は元級の新型が登場し、西側は非公式名称039C型とした。同艦の特徴としてセイルが設計変更され、ステルス性能を意識した、あるいはソナーか通信装置を搭載した可能性がある。

 

VIA TWITTER

いわゆる039C 型ではセイルの形状が特徴的だ

 

これに対し039A/B型艦は17隻が人民解放軍海軍PLANで供用中で、中国通常型潜水艦部隊の中核となっており、パキスタン、タイへも輸出されている。

 

039A/B型が輸出にもまわされたことで、新型艦の登場が予想される。中国はハイテク艦を輸出し、フランス、ロシア、スウェーデン等と競合しようとしている。

 

新型間の推進方式は現時点では断定できないが、039A/B型は大気非依存型(AIP)を搭載していると言われる。039A/B型のスターリングエンジンは液体酸素とディーゼル燃料で発電し、推進力を得ていると予想される。これにより潜航時間が従来の艦より長くなり、浮上あるいはスノーケル潜航の必要が減る。

 

U.S. NAVY

039A 型元級潜水艦

 

中国はさらに高度な推進方式も開発中と見られており、リチウムイオン電池技術もそのひとつだ。日本がそうりゅう級後期でこれを実用化している。AIPに対する利点として潜航中の高速移動が持続できること、充電時間が短いこと、電池寿命が長くなること、保守整備が簡略化できることがある。電池のみで移動すれば最高の静粛度が実現する。039C型でリチウムイオン電池が導入されているとの観測があり、試験艦としてその他新技術も導入され、今後の建造艦に道をひらく意義があるのだろう。

 

中国は通常型潜水艦が国内用あるいは輸出用の需要があると認識しているようだ。原子力潜水艦のみ運用する米海軍と対照的だ。通常動力艦は建造費が安いため、急速な拡大をめざすPLANのニーズに合うが、同時に中国が想定する戦闘状況にぴったりだと言って良い。

 

原子力潜水艦より静粛度に優れる新鋭通常型AIP潜水艦は浅海域での運用に適しており、PLANは広範な接近阻止領域拒否戦略に投入するつもりなのだろう。今回の新型艦は小型艦体はこの想定似理想的だ。更に建造費が安価となれば中国は数で優位に立てる。

 

米議会に提出された中国海軍力整備に関する報告書では2025年までに元級を25隻配備すると予測しており、あらためて中国の建造能力の高さを印象づけている。今回の新型艦、さらに039C型あるいは開発中の艦が実際に第一線部隊に配備されるかは不明だが、PLANは数と質の双方で潜水艦戦力を整備していくのは明らかだ。■

 

 

New Chinese Diesel-Electric Submarine Breaks Cover 

The latest Chinese submarine design to emerge remains enigmatic but seems to utilize a notably small hull.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 8, 2022

THE WAR ZONE

 


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