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ロシア-ウクライナのにらみ合いで航空業界にどんなリスクが生まれているか、本格交戦となればどんな影響が出てくるか

 


2月15日のFlightRadar24ではエアライン運行状況でウクライナ上空飛行を回避しているのがわかる。 (Image: FlightRadar24)



クライナや周辺での航空輸送の混乱は今のところ軽微だが、ロシア侵攻の脅威が依然大きいため、航空会社やビジネス航空機の運航会社は、運航安全の確保に懸命になっている。国際民間航空機関(ICAO)のような多国間機関がないまま、リスク管理の方程式は複雑で変化が激しく、各企業は自国政府発表の勧告を主に参考にしている状況だ。



今週初めには、ウクライナ国際航空Ukrainian International Airlinesスカイアップ航空SkyUp Airlinesなど現地航空会社向けの保険取扱いが停止された。リース会社が機材を安全な場所に移動するなど、航空会社にも決断が迫られるケースもあった。木曜日には、スペインのブエリング Vueling が、ウクライナ路線を停止した。これに続いて、KLMオランダ航空エミレイツが2月14日から運航停止し、ノルウェー航空が同国上空飛行を停止すると決定した。


航空輸送業界では、航空会社や保険会社向けガイダンス以外に、オープンソース情報にも注目し、直面する運航リスクの完全評価を目指している。リアルタイムでの状況理解は困難だ。そこで、Osprey Flight Solutionsのような専門家集団が、クライアントのため全体像の把握を目指す。人工知能と機械学習を利用し、空域と地上の状況の体系的リスク評価を提供している。


オスプレイのチーフ・インテリジェンス・オフィサー、マシュー・ボリーMatthew Borieによれば、「飛ぶか飛ばないか」という一択判断の必要はないという。例えば、ルフトハンザオーストリア航空、スイスの各社は、ウクライナ国内空港で夜間駐機を止め、迅速なターンアラウンドでリスク軽減をしている。


ロシアとウクライナ、NATO加盟国のにらみ合いが今のところは冷戦状態にとどまっているとはいえ、安全運行を脅かす暴力の脅威は非常に現実的なものだ。戦闘機パイロットに防空システム対処方法を訓練した経験を持つ元米空軍将校のボリーは係争中の東部国境だけでなく、ウクライナ北部ベラルーシとの国境沿いや2014年にロシアが併合したクリミア地方にロシアが配備したS400およびS300ミサイルシステムの脅威を指摘する。射程200~400kmの各ミサイルが、ウクライナや近隣空域を通過する各機に潜在脅威を与えている。


「過去20年に地対空ミサイルで撃墜された3機はウクライナと関係があり、いずれも誤認されていた」とボリーは述べた。言及したのは、マレーシア航空MH17便の撃墜事件(ロシア支援を受けた民兵によるものとされる)、2020年1月にイラン防空部隊がウクライナ国際航空752便を墜落させた事件、2001年にウクライナ軍が黒海上でシベリア航空機を撃墜した事件のことだ。


ボリーは、ロシア軍とウクライナ軍間で戦闘が発生すれば、「双方が電子戦用ジャマーやスプーフィング技術で偽ターゲットを作り出すだろう。ロシアのレーダーが電磁波ジャマーを受ければ航空機を誤認する可能性が高くなる」とボリーは注意を促した。2014年初頭のクリミア侵攻以来、ウクライナ東部空域が危険なままで、航空会社多数がコストのかかる迂回経路を選んでいるが、同地帯は完全回避するよう求められている。


ロシアと衝突となれば、黒海、バルト海、ノルウェー海の上空や、ブルガリア、トルコ、ルーマニア、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアなど近隣諸国の空域でも脅威がエスカレートする可能性がある。ボリーによれば、ロシア軍とNATO軍が哨戒飛行を強化すれば、民間旅客機が迎撃される可能性が現れる。


昨年8月、アフガニスタンをタリバンが制圧した際の混乱した光景が、ウクライナで展開される可能性を予見させるとオスプレイは分析している。「アフガニスタン軍がタリバンに降伏し、カブール空港の航空管制官や警備スタッフが逃げ出し、サービスが急速に低下した」という。「米軍が引き継ぐまで、離発着できなかった」。それ以来、ICAOは、有事における業務調整が実施可能になった。


ウクライナ周辺で航空機が危険にさらされる可能性に加え、政治・経済面の制裁の影響も考えられる。「ロシアへの飛行が禁止されれば、ヨーロッパ-アジア路線が中断され、航空機部品などでサプライチェーンがロシアの航空会社に大きな障害となる可能性がある」とボリーは予測する。■


Russia-Ukraine Standoff Poses Real Dangers to Aviation | Air Transport News

by Charles Alcock

 - February 17, 2022, 7:28 AM


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