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PLANがオーストラリア機へレーザー照射した事件の詳細。豪中両国は言葉の応酬。レーザーの普及で今後も同様の事件が発生か。ところで、南朝鮮によるレーザー照射事件はどうなったのか。

 中国艦艇とオーストラリアP-8ポセイドンで発生したレーザー照射事件をめぐり、中国がオーストラリア非難を始めました。The Drive War Zoneの記事をご紹介します


(メディア関係者の皆様へ。P8という機材は存在しないので、P-8と正確に報道してくださ瑠葉お願いします。C130も同様です)


AUSTRALIAN DEPARTMENT OF DEFENSE

 

ーストラリアと中国が言葉の戦争を始めた。オーストラリアとニューギニア間のアラフラ海で発生した事件が契機だ。オーストラリア国防省は中国人民解放軍海軍(PLAN)艦艇が王立オーストラリア空軍(RAAF)のP-8Aポセイドン哨戒機にレーザー照射したと中国を非難している。中国はオーストラリアが自国艦艇を嫌がらせし、付近にソノブイを投下したと非難した。

 

 

 オーストラリア国防省は先にこの事件を公式発表し、2月17日オーストラリア時間 1:35 pm に発生したとある。声明文ではRAAFのP-8がレーザー照射を受けたとあり、同機は艦艇数隻がオーストラリアの排他的経済推移域内で演習しているのを探知していた。

 使用されたレーザーの種類は不明だが、報道では「軍事仕様」とあり、大出力と暗示しており懸念を招きそうだ。レーザーには光学系装置やパイロットを一時的に盲目にする可能性があり、大出力レーザーの場合はともに完全に失明、機能喪失する可能性をはらむ。

 「このレーザーは人民観砲軍海軍の艦艇から照射されたと判明した」「中国艦が同機を照射したことは安全面で重大な事態を招きかねない。このような行為でオーストラリア国防軍隊員の人命が奪われかねない。このような行為は通常の軍の標準から逸脱したものだ」(オーストラリア国防省)

 オーストラリア国防省公表の画像にはPLANの071型ユーチャオ級揚陸輸送ドック艦井岡山Jinggang Shan052D型ルーヤンIII級駆逐艦合肥 Hefeiが随行する姿が見える。どちらの艦がレーザー照射したのかは不明だが、オーストラリア国防省は両艦はその後トレス海峡から珊瑚海に移動したと発表した。

 

AUSTRALIAN DEPARTMENT OF DEFENSE

オーストラリアが発表した今回の事件に至る中国艦の軌跡

 

 The Age 新聞によるとオーストラリア国防省には別の画像もあり、レーザーがP-8に照射された瞬間をアンザック級駆逐艦HMASアルンタが撮影しているとある。ただし、同写真の存在は確認できない。

 

AUSTRALIAN DEPARTMENT OF DEFENSE

オーストラリア国防軍が撮影した052D型ルーヤンIII級駆逐艦合肥

 

 これに対し、中国国防省も声明文で報道官Tan Kefei上級大佐がこの件に関する記者質問に答えた内容を発表した。

「オーストラリア発表は全く事実に反する。

「2月17日、該当のオーストラリアP-8対潜哨戒機がわが軍艦艇群付近の空域に移動し、最短でわずか4kmの距離だった。同機に対し中国艦艇は一貫して安全かつ標準的さらに職業軍人としての行動を国際法慣習に従い維持した」

 中国国防部発表の画像ではP-8が中国艦から撮影した形で写っており、またポセイドンが中国艦付近にソノブイを投下する様子も見える。ただし、こうした画像があってもソノブイが実際に投下されたと断定はできない。

 

CHINESE MINISTRY OF DEFENSE

中国国防省公表の画像でPLAN艦艇付近にソノブイが投下されたとの説明がついた。

 

 「我が方艦艇が撮影した画像からオーストラリア軍用機が艦艇に接近飛行していたことがわかる。またソノブイも投下されている。こうした悪意ある挑発行動は誤解や誤った判断が容易に繋がり、双方の艦艇、航空機、人員に危険となりかねない」(中国国防省)

 中国国防省の声明ではさらにオーストラリアが意図的に事実に反する情報を拡散して、虚偽の非難を中国に浴びせたとし、「即座にこのような挑発行為危険行為を止めるべき....両国並びに両国軍部間の関係全体に悪影響を及ぼすことのないようにすべき」とある。

 中国の言い分には矛盾がある。一方でオーストラリアのP-8が中国艦艇に「極めて接近」したとしながら、PLAN艦艇との最短距離は4キロだったとある。公表した画像にあるP-8(下)を見ると、撮影艦と同機の距離は相当あるのがわかる。

 

CHINESE MINISTRY OF DEFENSE

 

 さらに、同機へ照射したレーザーが軍事仕様だったかは別としてもあきらかに危険行為で法的な影響を招きかねない。それ以外にレーザーをこのように使うのは海上衝突回避規範Code for Unplanned Encounters at Sea (CUES)に違反する。同規範ではレーザーが人員あるいは機器に危害を与えかねないと規定している。

 実は中国軍が外国軍の機材にレーザー照射したのは今回が始めてではない。

 ちょうど二年前に前回の事件が発生した。米海軍は052DルーヤンIII級駆逐艦が軍事仕様レーザーをP-8Aに照射したと非難した。同機はグアム付近を飛行していた。

 2018年4月にはPLAがジブチで米軍機を標的にレーザーを数回に渡り照射したといわれる。ペンタゴン発表ではC-130のパイロット2名が「軽度」の障害を軍事仕様レーザーにより受けたと発表していた。これを重く見た米国は外交チャンネルで中国に抗議した。

 オーストラリア軍に今回のような中国軍からのレーザー照射は前例のない事態だが、携帯レーザーが中国の海上民兵からオーストラリア軍ヘリコプターに照射された事例が2019年5月に南シナ海で発生している。

 レーザー妨害手段は広く普及しており、米海軍も導入し、各種センサー機能への妨害効果として、水上艦、航空機、無人機や対艦ミサイルへの効果が懸念となっている。今後も今回のような事件が発生してもおかしくない。

 オーストラリアの今後の外交政策ならびに戦略目標で中国の軍事脅威は明確に認識されている現状で、今回の事件は中国の強硬な姿勢の表れと認識され、今後の豪中関係の方向で議論を呼びそうだ。

 さらに事件の舞台がオーストラリア本土に近い海域であったことからPLANがいっそう大胆に行動していえることがわかる。実際にオーストラリア国防省公表のPLAN艦艇写真を見るとオーストラリアの北方地方にかなり近い地点で活動していたことがわかる。

 

AUSTRALIAN DEPARTMENT OF DEFENSE

2月18日、PLANの071型揚陸輸送ドック艦井岡山がトレス海峡を通過した。

 

 

 ただし、PLAN艦艇がオーストラリアEEZ内で活動するのはまったく合法的である。だがオーストラリの「裏庭」で危険な結果を招きかねないレーザーを照射した意味には腹黒い中国軍の活動は広いアジア太平洋だけでなくオーストラリア本土沿岸周辺にもひろがっていることをあらためて気づかせてくれるものがある。■

今回の事件が今後どう展開するか予断を許しませんが、日本海で発生した南朝鮮海軍によるレーザー照射事件はまだ解決していません。同国には深い闇がありますが、新大統領誕生で意外な展開になるかもしれませんね。しかし、中国、朝鮮ともに兵員が傍若無人な行動を取ることが多く、規律という概念が大きく違うのかなと思いますし、公表内容を見ると事実という概念も違うようですね。

 

Beijing Scorns Australia's Claim That P-8 Patrol Plane Was Targeted By Chinese Warship's Laser

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 21, 2022

コメント

  1. 南朝鮮の場合は艦艇FCSの攻撃用レーダーの照射を海自P-1に行ったものです。
    他にレーザー使用の実例がありましたっけ?

    返信削除
  2. 韓国海軍による海自P-1哨戒機への火器管制レーダー照射事件のことかな?

    正確に、ってマスコミに五月蠅く文句ばっかり言ってないで、自分の記事の正確性に拘って欲しい今日この頃。

    返信削除

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