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USAF: E-3セントリーAWACS後継機調達がスタート。E-7ウェッジテイルの採用が最右翼視される。

  E-7_WEDGETAIL

U.S. AIR NATIONAL GUARD / STAFF SGT. JOHN LINZMEIER

 

空軍はE-3セントリー空中警戒指揮統制機(AWACS)の後継機材調達を正式に開始した。情報開示請求(RFI)では2023年度に試作型2機ないし3機を調達し、5年以内の納入を想定している。セントリー後継機としてE-7ウェッジテイルが有望といわれ、米同盟数カ国が供用中だ。

 

 

RFIは昨日出ており、E-3後継機の業界パートナーを特定するのが目的。「生産仕様機に近い試作機」の2機に加え、関連地上支援や訓練機器も評価後に生産契約に移行する。E-3は計31機あり、27機が航空戦闘軍団(ACC)に、4機が太平洋空軍(PACAF)で供用中だ。

U.S. AIR FORCE/TECH SGT. MICHAEL CHARLES

米空軍機付き長がサウジアラビアのプリンス・スルタン航空基地でE-3セントリーを誘導している。 March 2020.

 

RFIでは高性能移動標的識別 (AMTI) および戦闘管理指揮統制l (BMC2) 機能を求めており、敵味方識別 (IFF)、電子支援対策も加わる。

空軍の求めるセントリー後継機は最低6種類のミッションに同時対応するもので、攻撃的防御的双方の制空任務、航空交通管制、近接航空支援、敵防空体制制圧(SEAD)、空中給油、戦闘捜索救難(CSAR)が対象。これと別にRFIではレーダーによる海洋監視ミッションの実施可否も求め、アジア太平洋方面への投入を意識している。

通信装備としてLink 16データリンクや機動性利用者目的システム(MUOS)があり、機体防御用の統合防御装備一式の搭載も求めている。AWACSのような高価装備の防御が一層重要な課題になっている。

空軍はボーイングに別個に関連業務契約を昨年10月に公布し、E-7ウェッジテイルの追加情報を求めている。「現行のE-7A基本仕様で必要業務が実施できるのか検討、分析する」とあり、同型機で空軍の求める「標準と性能が実現するか」を見る。

ただし最新のRFIで更にデータを集めてから選考するのは方針変更なのか不明だ。すくなくとも別の選択肢を求める狙いなのだろうが、ボーイング製品が最右翼の候補なのは明らかで、米国内で生産されており、米軍も各種演習で同型機と普段から一緒に活動している。

ボーイングは同社製品が米空軍に採用されると自信たっぷりで、昨年11月のドバイ航空ショーで防衛事業開発担当副社長マイク・マナジール Mike ManazirもE-7の採用に「極めて強い自信」を記者団に述べていた。「2022年中にE-7採用の発表が出ると見ています」

ただし、現時点でE-3後継機は決定していない。

とはいえ、ACCトップのマーク・ケリー大将 Gen. Mark Kelly 、PACAF司令ケネス・ウィルスバック大将 Gen. Kenneth Wilsbach の公然たる支援があるため、空軍が非競争形式でE-7を導入する決定を下すと見る向きがある。英国がこの方式で決定していた。この点でE-7が有利となるのは同機が長期開発段階を終えており、成熟度が上がったまま投入可能となっていることだ。

空軍協会主催の航空宇宙サイバー会議で空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウン大将Gen. Charles Q. BrownもE-3後継機にウェッジテイルを本命視する発言をしており、「優秀な機体」として、実機に乗った経験があると述べていた。また、同大将は新型機を一から開発するよりE-7なら迅速に供用開始できるのも利点だと述べた。

2021年12月、空軍長官フランク・ケンドールFrank Kendall がE-7調達を検討していると認め、空中及び移動標的識別機能を最優先事項とした。ケンドールからはウェッジテイル調達は将来の宇宙配備移動標的識別能力が実現するまでのつなぎとの発言もあった。

より最近では王立オーストラリア空軍(RAAF)のE-7がネリス空軍基地(ネヴァダ)のレッドフラッグ航空戦闘演習で今年初めに参加し、ハイエンド訓練シナリオで米空軍のF-22、F-35ステルス戦闘機等と運用された。

U.S. AIR FORCE/WILLIAM R. LEWIS

オーストラリアのE-7Aがネリス空軍基地(ネヴァダ)にRed Flag 22-1参加のため、到着した。 January 20, 2022, 

 

レッドフラッグでのRAAF所属E-7との共同運用の経験を振り返り、ケイス・A・カニンガム少将Maj. Gen. Case A. Cunningham(航空戦センター司令)は「E-7が導入された場合を想定して学ぶ点がある」と発言していた。

オーストラリアが想定するウェッジテイル運用環境に無人戦闘航空機材の管制があり、米空軍も当然関心を示す分野だ。

アジア太平洋での将来の戦闘作戦を想定すれば、クリストファー・ニーミ准将Brig. Gen. Christopher Niemi(PACAF戦略立案事業部長)が先にE-3センサーの有効距離に限界があるため、同機は戦術面で効果を発揮できにくくなっていると発言していた。

ミサイル防衛庁主催のアライアンス円卓会議で同准将は次のように説明していた。「現実を見れば、E-3は機齢50年に達した機材で信頼性やセンサー能力を維持する費用には際限がない。このため、E-7こそ将来の航空優勢を維持する点で最重要機材になると思う」

E-7が搭載する多機能電子スキャンアレイ(MESA)監視レーダーを製造するノースロップ・グラマンではレーダー性能向上と合わせオープンアーキテクチャによる改良に取り組んでおり、米空軍仕様のウェッジテイルでの採用につながるだろう。

偶然なのか、RFIにある2機以上が英空軍が発注取り消ししたE-7の2機と合致する。RAFは当初ウェッジテイル5機を総額19.8億ドルで2019年に発注した。だが、国防費削減で3機に減らし、生産枠2機分が米空軍向けに振り当てられそうだ。

固定翼の早期警戒統制機は極めて特殊な機材の部類になっており、米国除く西側で製造元は皆無に近い。SaabはグローバルアイでE-7に対抗の可能性があるが、スウェーデン製装備品が米国製を差し置いて採用されるとは考えにくい。今回のRFIではブーム/レセプタクル両方式の空中給油能力も求めており、グローバルアイの原型ボンバルディア・グローバルビジネスジェットでは対応できない。さらにグローバルアイのような小型機で空軍の要求性能が満たせるかも不明だ。

とはいうものの、SaabのCEOマイケル・ジョハンソン Micael JohanssonはBreaking Defenseに対し、同社はグローバルアイを米空軍に提案する準備ができたとし、「競争力の高い実現策になる」と昨年11月に語っていた。

今回のRFIは調達手順を明示していないが、E-7調達への条件が整いつつある。宇宙配備レーダーの実用化はまだ先になりそうで、E-3後継機にはウェッジテイルが最右翼のようだ。■

The Search To Replace The Air Force's Geriatric E-3 Sentry Radar Jets Has Officially Begun (Updated)

Officials from across the service have earmarked the Boeing E-7 Wedgetail as their preferred Sentry successor.

BY THOMAS NEWDICK FEBRUARY 9, 2022


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