ロシア軍がミサイルでウクライナ各地の飛行場や重要軍事目標を攻撃し、装甲車両がベラルーシから首都キエフに向かい進撃中だ。
ウクライナ軍の装備はソ連時代のロシア製が中心で、戦車、装甲兵員輸送車、榴弾砲などがどこまでアップグレードされているかは不明だが、ウクライナとロシアの地上軍の最大の違いは、数につきる。Global Firepowerの2021年版の評価では、ロシアは戦車12,000両を運用とあるが、同じ引用元ではウクライナは数百両に過ぎないとされる。
ウクライナ戦車部隊の実力とは
ウクライナ戦車部隊は、冷戦時代のロシア製T-72、T-80、T-84が中心だ。このうち最新型T-84は、Global Firepowerによると、ソ連時代のT-80をウクライナ用に改良したものとある。ウクライナの装甲車両数はロシア軍3万台の3分の1程度とされる。ウクライナ軍のT-84は1999年登場だが、武器や熱探知画像、コンピューティング、弾薬などの技術が大幅にアップグレードされている可能性があるので、心配の必要はないだろう。例えば、アメリカ陸軍のエイブラムス戦車は、原型は1980年代だが、長年のアップグレードによりほとんど新しい車両となり、世界最高の戦車に匹敵する性能になっている。
ロシア対ウクライナの戦車戦
ウクライナ戦車部隊は冷戦時代装備を中心に構成されている。ロシアとウクライナが戦車対戦した場合、戦車の性能より、単純に数の問題となる。ロシア戦車の大部隊は、射程距離と精密照準がウクライナ戦車と同等かそれ以上であれば、ウクライナ戦車を圧倒し破壊する可能性がある。ロシア戦車部隊は、T-72、改良型T-80、T-90、さらに少数の新型ハイテク戦車T-14アルマータで構成される。
自走砲、牽引砲
ウクライナ軍は自走砲と牽引砲で、向かってくるロシアの装甲車両の速度を落としたり、損傷を与えたるかもしれない。しかし、ウクライナの野砲はかなり古く、射程距離にも限界があるようだ。最新装備の1963年式は60年代に登場し、射程はおよそ13マイルとされている。数十年前に導入されて以来、改良されている可能性は高いが、ロシアの長距離砲システムと比較すると、明らかに射程距離で不利な状態で運用されている可能性がある。
であれば、より近代的なロシアの機動砲が、スタンドオフ距離からウクライナの陣形を破壊するために配置されるかもしれない。Global Firepowerは、ロシアの最新砲兵装備の自走式2S35 Koalitsiya-SV砲兵プラットフォームの射程距離を記載していないが、2018年登場で、デジタル制御による長射程をあると記している。ロシアの同装備は、ウクライナよりもはるかに新しくで高性能である可能性が高く、運用数によっては決定的な影響を与え、1960年代のウクライナの砲兵システムを凌駕する可能性が高い。
また、ウクライナの牽引砲2000門に対し、ロシアは7600門以上を運用しており、兵力規模でウクライナは大きく劣勢だ。
ロシアの地上戦が大規模展開されれば、ウクライナの防衛力を圧倒的に上回る。しかし、ウクライナの防衛力が無力のままとは限らない。ヒット・アンド・ラン方式を採用したり、ロシア軍進攻の主要道路、交差点、チョークポイントを制御、混乱、遮断する可能性が高い。
しかし、ロシア軍がキエフなどウクライナ要衝に迫っている中、ロシア軍とウクライナ側防衛線の間で大規模な装甲車両戦が展開されるかは疑問だ。ウクライナ地上軍に、ロシア軍本格侵攻を阻止、あるいは減速させる可能性は残っているのだろうか。
装甲戦闘車両
ロシア軍が運用中の装甲戦闘車両規模はウクライナ軍の約3倍とされ、ロシア装備品の多くはより近代的とされている。Global Firepower社の2022年軍事力評価では、ロシアの3万台に対し、ウクライナは約1万2千台とある。
ロシア装甲車の機械化部隊の接近に対抗するウクライナの装甲車が技術的に劣勢に立たされる可能性がある。T-14 Armata戦車やKAMAZ SBA-60K2 Bulat装甲兵員輸送車など、ロシア装甲車の多くは比較的最近の開発だ。ロシアのブラットBulat APCは、2013年登場の6X6装甲兵員輸送車として記載されており、2004年登場の8X8 BTR-90 APCが補完すると思われる。非常に注目されるT-14戦車はまだ大量運用していない可能性があるが、2016年に出現している。T-90は90年代に出現と報告があるが、大幅アップグレードされている可能性が高い。
ウクライナは、1980年代のBTR-80 APC含むソ連時代の装甲兵員輸送車を運用している。ウクライナ製のBTR-84アップグレード型が補完する。
ロシア軍は車両数が圧倒的に多いだけでなく、より新しいシステムを運用しており、ウクライナ地上軍を圧倒できる位置にいるようだ。ウクライナで最も近代的な「軽戦車」歩兵戦闘車は1987年のBMP-3で、これはロシア軍も保有するソ連時代の設計だ。しかし、ロシアはBMP-3軽戦車に加え、2011年製のBMPT(ターミネーター)重装甲支援車両も保有している。
地対空ミサイル (SAMS)
また、ロシア軍は、2007年に登場し、改良を続ける超近代的なSA-21 S-400地対空ミサイルを運用する。このSAMは機動兵器として、前進するロシア軍に敵機を追跡破壊する能力を与える。一方、ウクライナの防空システムは、Global Firepowerによると、ソビエト時代の1980年代製SA-15ガントレットシステムであるとしている。
CNN報道によれば、ウクライナ当局は、ウクライナの戦闘機1機がロシアの移動式SAMシステムで撃破されたと認めている。
重装備でここまで違いが明らかになった場合、ロシア軍は降車し、CQB(Close-Quarter Battle)と呼ばれる戦闘を行う必要があるかもしれない。ウクライナ歩兵が建物や市街地の陰に隠れて、ロシア軍装甲部隊に奇襲攻撃をかければ、建物や住宅一棟ごとの戦いになるのは確かなようだ。■
Russia & Ukraine Weapon Strength: Tank Force, Artillery Platforms & Surface to Air Missiles (SAMS) - Warrior Maven: Center for Military Modernization
FEB 25, 2022
Kris Osborn is the defense editor for the National Interest and President of Warrior Maven - the Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
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