第8空軍381爆撃集団のB-17G編隊。 in summer 1944. Universal History Archive/Universal Images Group via Getty Images
ミニシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」に続く作品が撮影に入っている
"Masters of the Air"は第二次大戦中の米軍による欧州戦線の爆撃任務を描く
イングランドの撮影状況から当時を正確に再現刷る姿勢が見えた
Apple TV+は"Masters of the Air"の詳細を明らかにしていないが、第二次大戦を扱うミニシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」に続く作品に期待が高まる。制作関係者の撮影現場談や外部情報を総合すると舞台はイングランドとわかる。
原作はドナルド・L・ミラーDonald L. Millerの "Masters of the Air: America's Bomber Boys Who Fought the Air War Against Nazi Germany"。「バンド・オブ・ブラザース」から20年、「ザ・パシフィック」から10年経っている。両作品ともエミー賞を受賞し、史上最高の制作費を投じたシリーズだった。
設定は第二次大戦の最後の年で、第100爆撃集団の航空兵の日々を綴る。当時は米陸軍航空隊の第8空軍が昼間爆撃をヒトラーのヨーロッパ要塞相手に展開していた。
"Masters of the Air" には総合プロデューサー、トム・ハンクスのPlaytoneと同じく総合プロデューサー、スティーブン・スピルバーグのAmblin Televisonが巨額費用を投じ、第8空軍の空中戦闘体験を再現する。
総額250百万ドルと聞きHBOが放映を断念したが、Appleが引き受け、エピソード9話を発注した。Apple制作のシリーズはこれが初とHollywood Reporterが伝えている。
Appleは内容の詳細、放映時期ともに触れていないが、撮影セットの関係者からある程度の話が出てきた。
監督のCary Fukunagaのインスタグラムに撮影現場の風景が出ており、非公式サイトがフェイスブック、インスタグラム、ツイッターに出現した。作成したSimon Cooperはイングランド在住のファンで作品と直接のつながりはない。
スナップショットを以下御覧いただきたい。
第二次大戦が終結し75年超となるが、飛行可能なB-17は10機しか残っていない。B-17はボーイングの4発爆撃機で第二次大戦勝利に貢献した機体だ。
今回のミニシリーズでは実機は使わず、実寸大のB-17モデルを少なくとも2機製造したようだ。また、ボール状銃座、コックピット等もサウンドステージ上に再現している。
実寸大B-17モデル2機が製造され、イングランド・オックスフォードシャーのアビンドンAbingdonに駐機した。
B-17モデル2機がアビンドン飛行場に揃った。2021年9月。 Photo courtesy of Ceri Thomas
イングランド在住のファン、 Ceri Thomas はアビンドンの旧RAF基地の撮影情景をネットで見て、当時の第8空軍基地を再現しているのを知った。
Thomasは9月19日に現地へ車を走らせ、垣根の向こうにB-17、管制塔のレプリカを実際に見た。
管制塔とB-17はともにレプリカ。 Photo courtesy of Ceri Thomas
B-17レプリカの塗装では進行に合わせ、個別番号、ノーズアート等が書き換えられ第100爆撃集団の個別機体を再現している。セットでは少なくとも9機分の塗装が確認された。ということは番組でいろいろな搭乗員が登場することになる。
第二次大戦ファンや航空機愛好家ならセットで細かい部分まで再現され、歴史に忠実な内容になっていると同意するはずだ。
B-17レプリカは無動力のため、建設用クレーンで滑走路上を上下させ、離着陸状態を再現している。
B-17 レプリカが吊り上げられた. Photo courtesy of Paul King
旧RAF基地の端から外部関係者Paul Kingが動かない爆撃機が「飛行」する光景をカメラに収めた。
B-17 レプリカ。Photo courtesy of Paul King
Kingは建設用クレーンがレプリカ機体を持ち上げる光景を目にした。地上では「車両多数」が動き回っていたという。
レプリカ機のプロペラが取り外されているのに気づいた人もいる。デジタル処理で離着陸時を再現するのだろう。
倉庫改装のサウンドステージには分解したB-17が飛行中シーン撮影用に使われている。
Fukunagaは"MoTA"のハイライトシーンをインスタグラムに投稿し、撮影現場のサウンドステージの風景を見せている。
B-17を部分的に解体したセットでミッション再現シーンを撮影している。Fukunagaのインスタグラムでは胴体部分、ボール状銃座、操縦席周りがわかる。
Fukunagaは「ウォール」と呼ぶカーブつき壁状のグリーンスクリーンでB-17コックピットの撮影をしているのを紹介している。
俳優Barry Keoghanの昨年11月のソーシャルメディアはこのセットからで、使われている技術の一端を見せていた。コックピットでのセルフィー写真では3Dの雲が背後に写っていた。同様にコンピュータ作成の雲がコックピットの窓越しに写っているのがFukunagaのインスタグラムでわかる。
セット風景では俳優 Fionn O'Sheaが爆撃行の装いで写っている。FukunagaもインスタグラムでO'Sheaが電熱線暖房式の「バニースーツ」、シープスキンのカバーオールを着用しているのを紹介している。
爆撃機搭乗員は「ブルーバニー」スーツをシープスキンジャケットの下に着用し、華氏マイナス50度(マイナス45度)の状況に耐えた。
Fukunagaのインスタグラムでは O'Sheaの左にコードがぶら下がっており、搭乗員のスーツに縫い込んだ電気コイルに接続する。
Fukunagaの別のインスタグラム投稿動画ではシープスキンを内側につけたレザーのフライングパンツとジャケットをブルーバニースーツの上に着る O'Sheaが見える。
当時のイングランドを再現
"Masters of the Air"の撮影はイングランド各地で昨年展開し、当時の雰囲気再現のため費用を惜しまず、空襲サイレンに慌てふためく状況や搭乗員が任務後に訪れるパブや街の風景が撮影された。
Cooperは非公式ファンクラブMasters Of The Air Behind The Scenesを設立し、今回写真やヒントを提供してくれた。
イングランドのHemel Hempsteadの町並みが代位二次大戦時の姿にお化粧直しされ、Lucky Tattoo & Piercing店舗は防空壕になったようだ。
第二次大戦時の防空壕に改装された現在の店舗Photo courtesy of Lloyd Dickinson
写真では空襲の被害を受けた街区もあり、ドイツ空軍による空襲を再現したのだろう。
細部にまでこだわる姿勢は戦時下の新聞見出しにも見られ、その他搭乗員や一般市民が愛用した自転車は戦時中の燃料不足が背景だ。
また、イングランドの田園が第三帝国領になり、捕虜となった搭乗員を描くためだろう。
RAFアヴィンドン基地滑走路近くに暮らすLloyd Dickinsonが捕虜収容所らしきセットの写真を提供してくれた。セットは実際の刑務所の隣に作られている。
捕虜収容所のセットが出現した Photo courtesy of Lloyd Dickinson
収容所セットはポーランド・ジャガンZaganにあったStalag Luft IIIの再現だろう。1945年1月閉鎖されるまで連合軍航空兵が収容されていた場所だ。■
What we know about WWII miniseries 'Masters of the Air'
Katie Sanders and Mara Storey 22 hours ago
Katie Sanders is a writer based in New York City. Her reporting has brought her to prisons, JDate, the CIA, and the White House. Follow her at @katiessanders.
Mara Storey is a people analytics manager at Deloitte and World War II enthusiast based in Nashville, Tennessee.
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。