事態はロシアの当初の想定通りには進んでいないようですが、展開が加速化しています。これに対し、対岸の火事とばかりに日本のメディアがのんびりとした伝え方しかしていないのが気になります。情報量があまりにも少なすぎます。ことの重大性を理解できないのだとしたらメディア機能があまりにも低すぎます。
SERGEI SUPINSKY/AFP VIA GETTY IMAGES
プーチン大統領はウクライナ軍にクーデターをけしかけた。
プーチンはテレビ演説で、ウクライナ軍に「自分たちの手で権力を握れ」と発言した。「麻薬中毒者やネオナチの一団より、諸君との取引の方が簡単そうだ 」。
「ネオナチや右翼団体に子供や妻や両親を人間の盾にさせるな」とも付け加え、第二次世界大戦中にソ連に対してナチスに逮捕されたのちに協力したウクライナの超国家主義者ステパン・バンデラに言及した。プーチン発言は、ウクライナ政府が降伏しない場合、キエフ他の人口密集地へ更なる攻撃が計画ずみであると示唆している。
大統領自身を含むロシア当局者が、同日にウクライナ当局との交渉開始を模索していると述べたにもかかわらず、プーチンは同上演説を行った。ウクライナ政府がクレムリンとの交渉開始を申し出ているとの報道もある。しかし、プーチンが「現在の傀儡政権を裁く」「ウクライナを完全に非軍事化する」「NATO加盟を断念させる」といった最大公約数的な要求を取り下げた形跡はない。同大統領はまた、キエフ政府が2014年にクレムリンが獲得したクリミア半島の支配権を正式に譲渡し、東部ドンバス地域のふたつの分離共和国の領有権主張を放棄するのを望んでいる。ウクライナ政府関係者は、NATO加盟問題を交渉内容に乗せたと報じられているが、こうした条項の多くを承諾する様子は見られない。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、国際社会、特に欧州各国に対して、支援を訴え続けている。彼は自国の窮状を、他のウクライナ政府関係者と同様、国際的なルールに基づく秩序に遠大な影響を及ぼしかねないと繰り返し訴えている。
「これはヨーロッパへの戦争の始まりであり、ヨーロッパの統一、ヨーロッパの基本的人権、大陸におけるすべての共存のルール、ヨーロッパ諸国が力による国境の分断を拒否しているという事実にすべて反するものだ」と、今朝のテレビ演説で述べた。「キエフに爆弾が落ちる、これが欧州で起きている。ミサイルが国民を殺すとき、全ヨーロッパ人の死となる。民主主義世界の一部として、ヨーロッパの保護、ウクライナの保護をさらに要求する」
同大統領はウクライナ上空を国際的な飛行禁止区域にする、あるいはロシアの民間航空機の飛行禁止が生まれる可能性がある。また、外国人義勇軍を歓迎するとも述べた。
キエフでは、ロシア軍が首都近郊に到着し、地元の志願防衛隊に武器が配給され、大規模戦闘に備えている。元プロボクサーのクリチコ市長やペトロ・ポロシェンコ元大統領も武器を手にし、街頭でこうした勢力に加わっている。
キエフでは、ロシア特殊部隊あるいは代理勢力が潜入しての散発的な戦闘が報告されている。ゼレンスキー大統領は市内に「破壊工作グループ」がいると繰り返し発言していた。ウクライナ軍制服を着た敵が、国土防衛軍との交戦で死亡したとの未確認報告がある。
ウクライナ軍はキエフ周辺をはじめ、反撃を続けている。キエフ近郊のホストメル空港をめぐる戦闘が新たに入り、ロシアは空輸橋頭堡を築くため、同空港奪取を意図しているようだ。同空港には、世界最大の実用航空機An-225 Mriyaが駐機しており、両軍が激しい争奪戦を展開している。
ウクライナ南東部アゾフ海の港町マリウポルMariupol付近で、ロシアが揚陸強襲したとの新情報が入ってきた。以前にも同様の報道があったが、その後、誤報と判明した。同地域がロシアにとって戦略的に重要であることに変わりはない。また、黒海とウクライナ沿岸の港で、複数の商業船舶がロシアのミサイル攻撃を受けたとの報道もあるが、その正確な状況はほとんど確認されていない。
これに先立ち、ウクライナ軍は、ロシアとウクライナの国境近くにあるミラーヴォ空軍基地Millerovo Air Baseを標的に、ロシア国内への初めての攻撃を開始したと報じられている。攻撃に使用された兵器の種類は不明だが、OTR-21トーチカ(SS-21スカラベ)短距離弾道ミサイルや武装したTB2ドローンが使用された可能性がある。
この36時間に、各所で激戦があったようだ。米軍による本日の見解では、ロシア軍は優勢を維持しているものの、勢いを失った可能性があるとしているが、英国国防省が先に出した状況評価と一致している。米国当局によれば、ウクライナは制空権を失っていない。
ウクライナ国防省は現在、この2日間でロシア軍数千人を殺害し、数百台の装甲車と10機の航空機を破壊したと主張している。これらの損害について、確認は取れていない。同時に、実際の被害が主張の数分の一であったとしても、ロシアには重要な結果である可能性がある。公式発表によると、2008年の対ジョージア戦争では、12日間で約65人のロシア軍が死亡した。2015年にシリア介入が始まって以来のロシア軍の公式死者数はわずか117人。ウクライナ軍も犠牲者を出しており、当局によると、これまで少なくとも137名が死亡している。
どう見ても、両日中にこの紛争の最終的な行方に大きな影響を出そうだ。
UPDATE: 1:25 PM EST—
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ゼレンスキー大統領は本日未明、「生きている私を見るのはこれが最後かもしれない」と欧州首脳に語り、状況は一層悪化しているようだ。
NATOは、ウクライナ紛争へ呼応し、初めて対応部隊を編成したが、直接介入の計画はないと強調し続けている。対応部隊の航空、海軍、陸上部隊は、ロシアとの東側側面に展開中のNATO部隊に合流する。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は本日、同盟は特に、より大きな紛争の引き金となりうる「事故」を避けるために、ロシア政府と紛争回避を試みると述べた。また、サイバー攻撃はNATOの集団安全保障条項第5条を発動させる可能性があると警告した。
NATOにはウクライナへ部隊派遣の予定はないものの、事務長は、加盟国は武器その他の軍事支援を継続すると述べ、防空能力の追加提供の可能性に触れた。NATOの複数国が、米国製スティンガーのような短距離地対空ミサイルシステムをすでに納入、または納入を計画している。
米軍や他のNATO諸国はウクライナ領空で飛行を停止しているが、同国国境沿いで情報・監視・偵察(ISR)を続けている。各機が収集したロシア軍に関する情報は、米軍の情勢判断に欠かせない。
NATOのE-3セントリー空中警戒管制システム(AWACS)レーダー機が、ウクライナと国境を接する同盟国上空を飛行するのが確認されている。
UPDATE: 2:15 PM EST—
ウクライナでは夜が明け、キエフ周辺や他の戦線で新たな戦闘報告が続いている。英国当局によると、ロシアはキエフに2方面から攻撃を仕掛けるようだという。
ITVニュースは、ウクライナ侵攻との関係は不明だが、大規模な医療緊急事態が発生すると予想するロシア保健省の文書を入手したと報じている。ロシアでは、オムリコン変種が出現した後、ここ数カ月でCOVID-19感染者も急増している。
商業衛星企業Maxarは、ベラルーシの新しい画像を公開し、ウクライナ国境近くの基地で、ヘリコプター数十機含む大規模な軍備増強を明らかにした。基地は、昨日ロシア軍が攻撃を開始したチェルノブイリ立ち入り禁止区域の反対側に位置するベラルーシ内にある。
興味深いことに、ウクライナの紛争は、森林火災の監視用のNASA衛星でも探知できるレベルに達している。米軍の早期警戒衛星も、状況を監視しているのは間違いない。弾道ミサイルの発射を探知する宇宙赤外線システム(SBIRS)衛星は、砲撃の探知が可能な感度を有していると言われている。
また、フランスが在キエフ大使館を強化するため、同国の最高峰のテロ対策・人質救出部隊GIGNを派遣し、ゼレンスキー大統領の安全確保にあたるとの未確認情報もある。これは、首都がロシア軍に陥落した場合、フランスがウクライナ指導者を自国公館に匿うと申し出ているのかもしれない。
UPDATE: 3:00 PM EST—
ハリコフ近郊の燃料貯蔵庫がロシア侵攻の主要な標的になっているという新たな映像が入ってきた。また、ウクライナ空軍基地への新たな攻撃とされる映像がソーシャルメディアに掲載されている。
ウクライナの国家緊急事態局は、キエフ郊外の発電所は攻撃で破壊されていないと主張している。キエフでは停電や混乱が続き、発電所が被害を受けた可能性を示唆している。
ロイターは、キエフなど北東部都市へのロシアの進撃が大損失を受け本日未明に停止したと報じている。同報道では、ロシア軍が地元商店から商品を略奪していたとの報道もあり、兵站上で問題がある可能性も指摘されている。
オクサナ・マルカロワOksana Markarova駐米ウクライナ大使は、本日の記者会見で、「わが国の正規軍と志願部隊の戦果に、敵は明らかに驚いている」と述べた。「敵の計画通りに進展していないと見ています」
マルカロワ大使は、キエフ近郊の孤児院と付属校がロシア砲撃により、死傷者多数が出ている事実を確認した。ロシア軍が意図的に、あるいは無差別に攻撃した結果、民間人が攻撃を受けたとの報告が増えている。ウクライナ政府は戦争犯罪の調査を要請するとし、米国政府などはこれらの事件を非難している。
ただし、ロシアは侵攻を進め続けている。
キエフのヴィタリ・クリチコVitali Klitschko市長は、ソーシャルメディアネットワーク「テレグラム」への投稿で、「現在の状況は、キエフにとって脅威である」「夜と朝は困難な状況になるだろう」とした。 ウクライナ国防省によると、英国が供給した対戦車誘導弾NLAWが首都予備軍に配布されている。
UPDATE: 4:05 PM EST—
ロシアはウクライナ各所へ攻撃を続けているようだ。ロシアのミサイルなどで民間人が攻撃を受けているとの主張を裏付ける画像も出てきた。
些細ながら、興味深い展開として、シリアの反政府勢力であるスヘイル・ハムードが、ロシアと戦うためにウクライナにどうしたら行けるのかとTwitterに投稿してきた。ハムードはシリアで戦車何十台を破壊したことで知られている。ゼレンスキー大統領は、軍隊経験のある外国人志願者を歓迎すると述べている。
ホワイトハウスのジェン・プサキ報道官によると、米国政府はロシアのプーチン大統領自身と、同国のセルゲイ・ラブロフ外相を制裁する計画であるという。さらなる制裁の可能性もあると付け加えた。
バイデン大統領は先にゼレスキー大統領と電話会談し、ウクライナへの「経済、人道、安全保障の支援」の継続を約束した。ゼレンスキー大統領は会談の後、米国の継続的支援に感謝する声明を発表していた。
これとは別に、米国務省がロシア政府との不要不急の交流を削減する計画を進めているという複数の報道がある。これには、国際機関を通じた関与や軍備管理などに関する交渉の停止は含まれない。
米国防総省は、本日未明のNATO対応部隊の発動に伴い、展開される可能性のある米軍部隊の詳細については提供しないとした。米軍によると、作戦の保安上の理由から、ウクライナへの軍事援助に関する発表も抑制している。
ウクライナのアントノフ航空に所属するAn-124貨物機がオーストリアのリンツ空港で乗員が、ロシアの侵攻に小さく抗議する写真がネット上に掲載された。ウクライナ空軍のAn-1244機が、理由は不明だが、昨晩ポーランドへ飛行したのが先に確認されたている。■
Ukraine's Capital Kyiv Braces For A Major Battle With Encroaching Russian Forces (Updated)
Ukrainian forces are preparing to hold the line in Kyiv amid reports of renewed Russian offensives across the country.
BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 25, 2022
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