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ウクライナ危機でロシアではなく、アメリカが悪い、と一般論に論点すりかえた環球時報の2月25日社説をご覧ください。

ウクライナは中国に微妙な意味があるためか、CCPは態度を決めかねている観がありますし、国連でも決議には棄権し、ロシアの側に完全に立っていません。一方で、米国の「偽善」をつく対米非難の論調を示しています。

 

ご注意 以下はCCPの立場を反映する環球時報英語版の論説を可能な限りそのまま日本語でお伝えするものであり、当ブログの主張ではありません。

   

Illustration: Liu Rui/GT

Illustration: Liu Rui/GT

 

クライナで劇的な変化が始まったが、キエフを守ると繰り返し約束し、事態の「火に油を注ぎ」続けた米国が再び脚光を浴びている。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は演説で、ウクライナは欧米諸国に見捨てられ、単独での防衛に委ねられたと訴えた。欧米のネチズンに、こう尋ねる人もいる。「ウクライナとともにある」と言った米国はどこに行ってしまったのか?

 

しかし、米国は本当に姿を消したのだろうか?それどころか、ウクライナの戦火から「戦略的利益」をさらに得るのに大忙しなのである。ホワイトハウスによるウクライナ情勢に関する最新発言は、2点を強調している。第一に、制裁措置などを通じロシアを「国際舞台での亡者」にする、第二に、NATOが「これまで以上に団結し、決意している」ことは 「良いニュース 」だとする。

 

ワシントンが手先として使うウクライナについては、米国は軍を派遣しないと繰り返した上に、「国を守るウクライナ国民を支援する」「彼らの苦しみを和らげるため人道支援を行う」とだけ述べている。ワシントンはまたしても、利己主義と偽善を世界に示した。人々は、アメリカがウクライナを火の中に押し込んだ後で、ウクライナを気遣うふりをして脇に立ち、「私はあなたを支持する、戦い続けろ!」と言ってきたのを見ている。

 

今日までのウクライナ情勢の推移は、地政学的な悲劇と言ってよい。最初から、米国の戦略的利己主義と近視眼の苦い結果だ。米上院がNATOの東方拡大計画を承認した1998年の時点で、米国の上級外交官故ジョージ・ケナンは今日の悲劇を予見していた。彼は当時、「この拡張は、建国の父を墓の中でひっくり返させるだろう」と言っていた。

 

しかし、傲慢なアメリカのエリート層は、常に危機から利益を得られると考える。長年、米国は紛争を煽り、海外から状況を操作し、利益を得てきた。コストかけず火に油を注ぐのが常套手段だ。米国が望むのは、目先の利益を得ることだ。米国は、最前線に追いやられた現地人の苦しみを全く考慮しない。真の危機が訪れると、当初の約束は、空虚な外交レトリックになる。米国の政治家は、現地人の苦しみに関心が皆無で、「人道主義」で注目を集めようとする。

 

昨年アフガニスタンの旧政権を放棄したとき、アメリカも何度もアフガニスタンに「人道的」支援を行うと言っていた。しかし、衝撃的なことに、いわゆるアメリカの「人道的」援助はアフガニスタン国民には提供されず、アフガニスタン中央銀行がニューヨークに預けていた70億ドルの凍結資金をアメリカが切り崩した。アフガン問題の犯人であるアメリカは、自国の戦略的利益を満たした後、現地人に「飢えと貧困の雪崩」を残しただけで、アフガニスタンでは何百万人もの子供たちが深刻な栄養失調に陥っている。

 

アメリカは人道、正義、道徳をしばしば口にするが、実際の行為は利害計算に基づくものである。ワシントンの戦略的利己主義と偽善的態度は、国際政治の現実の中で繰り返し露呈している。2001年9月11日以降、アメリカが行った戦争の直接の結果として、アフガニスタン、イラク、パキスタン、イエメン、ソマリア、フィリピン、リビア、シリアで、少なくとも3700万人が避難民となったとの報告がある。米国が「介入」するところ、紛争、混乱、テロが現れるという言い方さえある。

 

大国と呼ばれる理由は、徒党を組んだり、自己の利益を実現する力が強いからではない。国際平和を守る責任と能力である。自国の利益しか考えず、あちこちで火種をまき、他国に混乱を輸出し続ける国は、いかに強大でも、信用は失墜し、覇権が終焉を迎えるのは必定である。  

 

未だに幻想を抱いたり、米国の手先として行動する国・地域にとって、ウクライナ危機はあらためて困難な状況にあるときに「良い知らせ」を発表する「パートナー」は信用できないのを思い起こさせている。■


US' real strategic color of selfishness, hypocrisy revealed in Ukraine crisis: Global Times editorial - Global Times

By Global Times

Published: Feb 25, 2022 11:52 PM

 

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