2013年4月24日水曜日

統合参謀本部議長の訪中、平行線の米中軍部トップ主張

In China, U.S. Top Military Officer Defends U.S. Pivot To Asia

By Reuters

aviationweek.com April 22, 2013
Credit: U.S. Navy

米軍トップがアジア重視で再構築中の米外交政策の意義を中国政府関係者の前で主張した。これは中国が米軍増強を批判したことへの返答。
  1. 米国が兵力の「再バランス」と呼ぶ、アフガニスタンの作戦縮小にともない、アジア東部に関心を深めていることに中国は不快感を覚えている。中国によるとこの政策で日本、フィリピン、ベトナムが領土をめぐる対立で勢いを得ているとする。
  2. 統 合参謀本部議長マーティン・デンプシー大将Chairman of the Joint Chiefs of Staff Gen. Martin Dempsey は米国は「これまでもこれからも太平洋国家である」と発言している。「地域内を安定させる影響勢力となるよう目指す」と同大将は中国国防省での記者会見で 発言。「米国の不在は不安定をもたらすが、常駐が不安定さをもたらすことはない。」
  3. デ ンプシー議長は中国人民解放軍参謀総長房峰輝Fang Fenghuiと記者会見に臨み、これに先立ち両名は会談を終えている。中国国防省は米国に対しアジア太平洋の緊張状態を作っているのは米国だとし、中国 は安全保障上の脅威に直面しているとの発言が先週にあったばかり。
  4. 房参謀長からは北朝鮮が四回目の核実験に踏み切る可能性があると発言が出た。「北朝鮮の核実験阻止を働きかけるとともに核兵器製造も中止させようとしています」
  5. また同参謀長は中国の姿勢は北朝鮮の核実験反対で変わらないと再確認した。中国は北朝鮮の主要支援国だがここ数ヶ月は北朝鮮に苛立ちをあらわし始めている。
  6. 北 朝鮮は開戦を公言し脅かしてきたが、先週に入り交渉の席に戻ると表明した。ただし、条件のひとつに国連制裁解除を求めている。米政府は北朝鮮が核兵器開発 を中止する「明白な兆候」を求めると発言している。北朝鮮は短距離ミサイル発射装置二基を東海岸に移動させ、試射に向けた動きだと韓国報道は伝えている。
  7. 中国がサイバー安全保障でグローバルなルール作りに協力する意思があるのか、との問いに房参謀長はインターネットは「安全を確保しないと、核兵器並みの被害が発生すると言っても過言ではない」と発言している。
  8. 米 中両国は大規模なサイバー侵入事件のたびかさなる発生で相互に非難している。米国は中国発のハッキング攻撃は米政府ならびに民間企業のコンピュータネット ワークが標的で、政府・民間のデータが盗まれたとする。米国を狙うハッカー攻撃の裏には中国軍秘密部隊の存在がある、との報告書が米国コンピューターセ キュリティ分野の民間企業から公表されている。■


2013年4月21日日曜日

オスプレイを艦上輸送機に利用できるか米海軍が評価中

U.S. Navy Assesses Osprey For Carrier Onboard Delivery Mission

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
April 18, 2013CVN-75t: Boeing

米海軍はベル/ボーイングMV-22 オスプレイを艦上輸送機Carrier Onboard Delivery (COD)に転用できるかを検討中で、現用中C-2Aグレイハウンドを近代化するのか後継機種を開発するのか、の決定前に参考としようとしている。同機は 空母ハリー・S・トルーマン(CVN-75)上で初期段階の評価を受けるとウィリアム・モラン海軍少将(海軍航空戦部長)Rear Adm. William Moran, Navy director for air warfareが明らかにした。4月19日より同機を「パレット貨物のサイクル運航」をトルーマン艦上で実施するという。同時に人員輸送も行う。
  1. モラン少将によると空母運用に求められるテンポで同機の運用可能かを検討する。同少将はAviaton Weekに対し下院軍事委員会小委員会の4月17日の聴聞直後に発言している。
  2. 6月に評価は第二段階に入り、海軍の評価委員が空母艦上で6日間連続の「サイクル運用」に同機が投入可能かを見極める。これはV-22に過酷な内容となるが、COD任務では迅速な運航を連続して実施する必要があるためだ。
  3. 次期COD候補にはV-22以外にノースロップ・グラマンC-2改修型がある。モラン少将によると評価作業が完了すれば海軍はMV-22の候補資格を確認できる。ただし予算手当は最速でも2015年度以降となる見込みだ。
  4. V- 22に脈がないとなれば、海軍は随意契約での改修型C-2導入の理由立てに入る。改修型C-2はE-2Dホークアイ早期警戒機と部品の共用性があり、ノー スロップ・グラマンはここを利点として強調しており、艦上での取り回しも実証済みだとする。同社はE-2Dで採用したT56-427Aエンジンを改修型 C-2にも搭載する予定で、新設計の主翼、デジタル式エイビオニクスや機体後部もホークアイと共通化するという。
  5. 同社の言い分ではC-2Aグレイハウンドを改修近代化すれば他の候補よりコストは半分で済むとする。さらに人員貨物の積み下ろし作業はC-2Aで実証済みとする。とくに改修型ではキャビンを与圧するとしており、V-22への優位性を強調している。.
  6. こ れに対しV-22推進派は現時点で与圧は必要なしとする。「V-22の実用上限飛行高度は25,000-ft.で現行のターボプロップ機と同程度。人員輸 送は通常は 8,000-から12,000-ft.で運用して機体運用の最適化を図っています」とベル-ボーイングは説明する。「与圧していない海軍人員輸送フライト では13,000 ftまで飛行が認められています。」 さらにブロックC天候監視レーダー、氷結防止装置、エイビオニクス支援全天候昼間夜間飛行性能と空調性能により人員 にも快適な長距離飛行が可能だとする。
  7. V- 22は空母より小型規模の艦艇での運用が可能(ただし運用証明が必要な場合がある)なので陸上から各艦艇に貨物輸送が直接実施できる。C-2を運用すると ハブアンドスポーク方式で貨物は陸上から大型空母に搬送した後にヘリコプターで小型艦に運んでいる。.このためV-22推進派は直接輸送で大きな節約が実 現できると主張する。
  8. 両社ともに維持管理費用、部品費用はすでに海軍が運用している機種のため安価にできるとしているが、具体的な費用試算は両社ともに明らかにしていない。
  9. これに対しモラン少将によると海軍は選択候補の比較検討をすでに終えているという。現在のCOD機は2020年代までは供用可能としている。■



2013年4月19日金曜日

F-35の時間当たり運用コストはF-16を10%上回る水準になりそう

F-35A Cost Per Flying Hour Exceeds F-16 by 10%


By Amy Butler abutler@aviationweek.com


April 18, 2013


.F-35Aの運用コストはF-16より10%高くなる予想が米政府関係者から出ている。
  1. F- 35開発を統括するクリストファー・ボグデン空軍中将Lt. Gen. Christopher Bogdan がオランダ政府にF-35Aの時間あたり運用コストが24,000米ドルになると明らかにしている。他にF-16とF-35の比較検討結果 が伝えている。空軍スポークスウーマンのナターシャ・ワゴナー大尉Capt. Natasha Waggoner が発表した。
  2. 中将はあくまで速報値としているが、F-35Aの飛行訓練が始まっており、テストも継続中なので収集したデータは多いが、機体寿命全体を反映したものではない。
  3. 機体耐久性テストでどの部品部材で維持管理の手当が必要になるのか、また試算に取り入れる必要があるのかを見極めることができるだろう。
  4. 同機の時間単位運用コストは米国はじめ各国からロッキード・マーティンへ要望されていたもの。F-35開発コストはほぼ2倍になっており、開発日程も大きくずれ込んでいる中で同機の導入を希望する各国は機体価格だけでなく、運用コスト水準でも神経質になっている。
  5. ロッキード・マーティンは開発当初からF-35の運用コストは既存機種より安くなると公言してきた。今年になり同社幹部から「飛行時間あたり運用費用はF-16水準を上回りそう」との発言が出ているが、機体寿命全体の費用は既存機種より安くなるとの主張は変わっていない。
  6. オランダは85機導入という当初案を見直し中で、33機削減して52機導入に変更するとの案が出ている。
  7. 米 海軍の当初の試算ではF-35の機体寿命内のライフサイクルコストでは50年運用の場合1兆ドルを上回るとしていたが、ペンタゴンの費用分析計画評価局 Cost Analysis and Program Evaluation の試算ではF-35三型式を維持する場合の毎年の支出を182億ドルとしており、これは政府会計検査院 Government Accountability Office.が調べた2010年度実績で既存機種で支出した111億ドルをすでに上回っている。
  8. .なお、F-35統合開発室からはF-35B短距離離陸垂直着陸型、F-35C艦載型の時間あたり運用コストの試算はまだ出ていないが、議会に5月あるいは6月に提出する年次調達報告の中で明らかになるとみられる。


コ メント F-35が財務的に維持できないのではないか、というのがこの記事が暗示している内容なのですが、F-16はじめとするレガシー機種の老朽化もど んどん進む中、本当に西側の戦闘機部隊に信頼できる機種が配備されなくなる日が来るのかもしれないと思うとぞっとしますね。いよいよF-3あるいは F/A-XXといった次の世代の機体が求められることになるのでしょう。そうなるとF-35は一体何だったのか、という疑問と一度始めたプロジェクトをこ こで中止できないとすれば今後40から50年間高いコストを払って維持するのか、それとも前倒しで(余分なコストを払って)同機を配備してまもなく廃棄す るのか、という悩ましい問題がまもなく出てくるのではないかと愚考しております。

2013年4月16日火曜日

韓国の第三次F-X最終選定が迫る


Seoul Considers Industrial Benefits for F-X 3

By Amy Butler, Bradley Perrett
Source: Aviation Week & Space Technology
aviationweek.com April 15, 2013
Credit: Boeing
Amy Butler Washington and Bradley Perrett Seoul

韓国のF-Xフェイズ3決定が6月予定で迫ってきた。三社が競っている。
  1. ペンタゴンから米議会にボーイングF-15サイレントイーグルあるいはロッキード・マーティンF-35を60機の韓国向け販売が公式に通告されたが、ちょうど北朝鮮が好戦的姿勢を米韓両国に示す中だった。
  2. ボー イングはハイブリッド販売案で、F-15サイレントイーグルを海外向けサブシステムの軍事販売対象からはずし、販売価格を非開示とする。サブシステムとし てAESAレーダー、赤外線捜索追跡補足装置、保安対策無線装置、高性能ディスプレイとミッション立案システムおよび空中GPS受信機で24.08億ドル かかるという。同機コンセプトが発表された2009年時点でサイレントイーグル新造機単価は1億ドルとしていた。
  3. こ れに対しロッキード・マーティン提示額は108億ドルで、機体、プラットアンドホイットニーF135エンジン(予備9基含む)、3Fソフトウェアパッケー ジを提供する。3Fは米空軍仕様で以前の3Iより兵器運用、攻撃能力が増大する。3Iは海外向けにパッケージで最初の世代。
  4. 三 番手ユーロファイター・タイフーンで韓国の決断に影響を与える要素として韓国航空宇宙産業Korean Aerospace Industries (KAI) が48機の生産、あるいは最低限組み立てを希望している、と消息筋が伝えている。同社はサイレントイーグルでも一定の関与を保証されている。現在同社は F-15Kの主要組立てを実施している。
  5. F-35でも韓国はウィングボックスおよび尾翼表面の生産を担当する可能性があるとロッキード・マーティンは言う。同社は日本とも国内生産の範囲どこまでを認めるか協議中。日本は生産ラインを設置するが、韓国を求めていない。
  6. 設計が新しいF-35とタイフーンは高度な生産内容でF-15より有利で、特にF-35は厳格な公差を実現できる技術が入手できる。
  7. ユー ロファイターは米側の規制にしばられず技術移転で有利だとする。タイフーンは韓国の国産戦闘機KF-X構想の土台になる可能性があり、ロッキード・マー ティンとボーイングも同構想へ支援を申出ているが、両社とも米政府の制約対象となるが、ユーロファイター構成の各国政府も完全に自由放任とはいかないだろ う。
  8. サ イレントイーグルはF-15Eを原型としステルス性を機体内搭載兵装を犠牲にし、尾翼を15度傾けて実現しているが、敵空軍力の制圧に成功しステルス性が 不要になれば、より多くの兵装を搭載できる。ボーイングは2010年にKAIを契約相手とし同機の機体一体型兵装ベイの設計と生産を任せている。
  9. これに対しF-35選定は韓国に特別の意味を生む。機体単価は高くなるが、各国との共同作戦実施能力は向上し、同機の高度ステルス性能がF-15Kを補完する期待が生まれる。
  10. た だしF-35導入の欠点はサイレントイーグルよりペイロードが小さくなること、運用の維持管理コストが不透明なこと。ペンタゴンの希望は同機開発段階を 2017年10月までに完了することだが、今後のフライトテストで露呈する問題があれば日程も影響を受ける。同機を選択するリスクも発生するのだ。
  11. ただし、サイレントイーグルもテストを完了した機体でなく、リスクがないわけではない。■



2013年4月12日金曜日

2014年度予算 米陸軍の航空機調達規模は総額50億ドル

                           

U.S. Army Seeks $5 Billion For Aircraft

By John M. Doyle jmdoyle52@gmail.com
aviationweek.com April 10, 2013
Credit: U.S. Army

米陸軍から総額50億ドルでヘリコプター機材の更新ならびに大型・小型の無人機を取得する2014年度案が4月10日に発表された。

  1. 国防総省全体の2014年度予算要求5,266億ドルのうち陸軍分は1,297億ドルで、調達、開発、研究、試験、評価業務は18%相当で239億ドルしかない。隊員人件費が最大で44%566億ドル相当になっている。
  2. .陸軍の予算要求でも海外作戦の数字は明らかにしていない。主にアフガニスタン関連だ。付随文書で基本要求額は17億ドルで、2013年比約7%減とわかる。航空機調達が2014年予算要求で最大項目で、50億ドル規模だ。昨年度要求額は58.5億ドルであった。
  3. 内 容では12.3億ドルでUH-60 ブラックホークヘリコプター65機を新規調達(うち41機はUH-60M多用途仕様、21機はH-60M救命搬送仕様)、10.5億ドルでCH-47Fチ ヌーク輸送ヘリ6機を新造、10機は喪失機の補充用、22機は既存機体の改修として調達する。
  4. 両機種とも複数年度調達なので「生産基盤に安定度が生み、予算の節約にもなる」と陸軍から説明があった。
  5. 今 回の予算要求では1.84億ドルでOH-58カイオワワォーリアーKiowa WarriorsのD型からF型への転換も含まれ、武装偵察能力を安価に向上できる。8.13億ドルでブロックIIIのAH-64アパッチ攻撃ヘリコプ ター42機の再製造もあり、新規製造よりも17百万ドル節約できる上、再製造機体にはネットをフル活用する能力が付与され、飛行中の無人機を自由に制御で きる。また96百万ドルで州軍にUH-72AラコータLakota軽量多用途ヘリ合計10機を調達するが、今回が同機の最終調達になる。
  6. 無 人機では5.5億ドルでMQ-1グレイイーグルGray Eagle15機を新規調達し、地上制御ステーション複数と衛星通信ターミナル複数も導入するほか、戦闘喪失機材の補充4機も調達する。これ以外には 1.22億ドルでRQ-7シャドウShadowおよび11百万ドルでRQ-11レイブンRavenの調達がリストに入っている。■


2013年4月11日木曜日

オスプレイ後継機で既存ヘリに代わりティルトローター機大量採用を期待するベル

                           

Bell Unveils Third-Gen Tiltrotor Concept

By Anthony Osborne tony_osborne@aviationweek.com

aviationweek.com April 10, 2013
Credit: Credit: Bell Helicopter

ベルヘリコプターはV-22オスプレイの知見を第三世代ティルトローター機に取込み、米陸軍の将来型垂直離陸機Future Vertical Lift 構想に提案する。

  1. V- 280ヴァラーValorは今週開かれた全米陸軍航空協会大会で披露された新型機で陸軍の中型機の要求水準に答えるもの。UH-60ブラックホークやAH-64ア パッチといった多用途ヘリ、攻撃ヘリ約4,000機の後継需要を見込む。ベルはティルトローター機の速度、航続距離、生産性での優位性を強調する。
  2. 新 設計で目を引くのはエンジンだ。傾斜ポッド内に搭載せず、エンジンはローターと常に水平位置に固定され、推進システムを傾斜ポッドに格納する。ベルによる とこの構成で機体側面ドアからの兵員の出入り安全度が高まるとともに敵地接近時の銃発射の有効範囲が広がる。同時に各角度でのエンジン作動の保証手続きが 不要となり開発リスクも低下する。V-280ではローターディスクの負担を減らし、ダウンウォッシュ吹き下ろしの量も減る。
  3. .開発費用削減の鍵はティルトローター機構の簡略化。V-280ではオスプレイの後退翼に対し直線翼を採用。さらにベルがセルカーボンコアLarge Cell Carbon Core technologyと呼ぶ技術で主翼を一枚の構造で製造する予定だ。
  4. このためV-280にオスプレイの主翼折りたたみ機構はつかない。航続距離は2,100 mi.以上とされ、海外展開のニーズにこたえる。
  5. 「太平洋地区へのシフトがあり、作戦範囲を広げながら、小規模部隊の展開が前提となる中で、これは戦力を増強させる性能です」(ベル社FVL担当重役キース・フレイルKeith Flail)
  6. ベルは機体二種類を想定し、多用途型は乗員4名・搭乗者11名、攻撃型はAH-64アパッチの後継機種をねらう。想像図で攻撃型は精密誘導兵器を機体ペイロード格納庫および主翼下に搭載するほか、タレット型機銃を機首下に有する。
ボーイングシコルスキーと共同でシコルスキーX2複合推進技術を基にしたFVL提案をまとめる。ベルも共同事業相手を模索中だ。同社によると「航空宇宙産業パートナー数社」と協議中だが、公表時期含めた日程については言及を避けている。■

2013年4月10日水曜日

湾岸地帯にレーザー兵器を実戦配備する米海軍

U.S. Navy Planning Gulf Deployment For Laser Weapon

By Graham Warwick
Source: Aerospace Daily & Defense Report

aviationweek.com April 09, 2013
試作型レーザー兵器が個艦防衛手段としてアラビア湾の米海軍艦船に搭載され、実証実験を行う。

  1. レーザー兵器システムLaser Weapon System (LaWS) はドック型揚陸輸送艦USS Ponce (LPD-15)の6ヶ月の実戦配備中に実証を行い、同時に襲撃艇や無人機を対象に実戦対応する。
  2. LaWSは海軍水上戦センターNaval Surface Warfare Centerのダールグレン支部が中心となり産業界チームで開発した。イージス駆逐艦USS Dewey (DDG-105)で公試を昨夏に実施しており、三回の試射で三機のUAVを撃墜した。
  3. 工業用ファイバーレーザー技術を元にしたLaWSが選定されたのは高エネルギーレーザー照射技術として成熟度が一番高いため、と海軍技術開発のトップ、マシュー・クランダー少将Rear Adm. Matthew Klunderは明かす。
  4. 海軍研究部Office of Naval Research (ONR)の革新的海軍装備開発の第二段階として、産業界チームは量産型高エネルギーレーザー兵器システムの開発研究を始めている。
  5. LaWS試験はチャイナ・レイク海軍航空基地近隣の砂漠で開始し、カリフォーニア沿岸沖のサン・ニコラス島付近でも行っている。
  6. 駆逐艦デューイではヘリコプター甲板にシステムを設置し、単独運用した。三回の撃墜成功は「UAV相手に12回発射12回撃墜に相当」とクランダー少将は解説する。
  7. 揚陸艦ポンスでは艦内の戦闘統制システムに統合し、近接戦闘システム(CIWS)のセンサー、操作卓と一体になる、とトーマス・エクレス少将Rear Adm. Thomas Eccles(海軍海上システムズコマンドで海軍システム技術主任技官兼次席司令官)は語る。
  8. 出 力規模は秘密だがLaWSは「産業用レーザーとほぼ同程度」in the ballpark of industrial lasersとエクレスは明かす。産業用レーザーは数十キロワット程度で軍事用のソリッドステートの高出力レーザーは軽く100 kwを超え比較にならない。
  9. それでも同システムは高速接近する襲撃艇やUAVに相当な距離から致命的被害を与える能力を実証しており、アラビア湾はテストに最適な立地と同少将は言う。
  10. 出力をさらに絞れば非致死効果のある抑止手段になり、襲撃艇乗員の目をくらませたり加熱させ「攻撃をあきらめさせ」る効果があると同少将は言う。
  11. 次回の運用実証実験で将来のレーザー兵器の要求性能が形成され、ONRは既存艦船すべてに搭載できるシステムを目指している。
  12. ポンスではデューイと同じく専用発電機でレーザー出力を発生させる。ただし、「運用中の艦船には発電余力が十分あり」今後登場する大型システムにも配電できるとエクレス少将は解説している。■

コメント ペルシア湾というのが日本では通例ですが、原文を尊重してここではアラビア湾としています。日本海と同じように呼称をめぐって同地域でも対立がるようです。

2013年4月7日日曜日

7,000飛行時間を達成した初のB-2が出現

First B-2 surpasses 7,000 flight hours

米空軍公式ホームページよりhttp://www.af.mil/news/story.asp?id=123343279
Posted 4/5/2013

by Senior Airman Brigitte N. Brantley
509th Bomb Wing Public Affairs

4/5/2013 - ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)-- B-2スピリットの同基地配属は1996年7月に開始され、以来同機のステルス性および強力な火力が世界中で威力を発揮してきた。
そのうちの一機、スピリットオブフロリダが4月1日現在で飛行時間が7,000台を超えた。

  1. 「今回の大台達成は第131および第509爆撃隊の男女が日日のB-2ミッションに費やす努力関心の証です。今回の達成の裏には昼夜問わず隊員が献身的に努力している事実があります」とマイケル・パイバン中佐第131業務グループ司令官はコメントしている。
  2. 燃料搭載量167千ポンドで40千ポンドのペイロードを有する同機は多用途重爆撃機として事実上制約を受けることなく飛行できる。航続距離、精密度、ステルス性、ペイロードを兼ね備えた機体は他に存在しない。
  3. B-2は現在20機しか稼働していないが、そのうち一機であるスピリットオブフロリダは通常兵装、核兵装両用の運用が可能で、アメリカの権益を常時、どの場所においても擁護すべく常時稼働可能な状態に維持されている。
  4. 同機を常時稼働状態に維持している機付長や実際に同機を操縦するパイロットにとって7,000時間達成はこれまでの大きな努力の結果である。
  5. 「B- 2を飛行可能な状態に維持していることには大きな誇りを感じます。これだけの威力を有する機体を相手に仕事をするのは光栄で、機体の健康状態の裏には機付 長や整備員がどれだけ多くの時間と労力をかけており、だからこそいつでも離陸ができる状態になっているのです」と第13航空機整備中隊でスピリットオブフ ロリダを担当するケント・セジウィック三等軍曹Staff Sgt. Kent Sedgwickは語ってくれた。
  6. またセジウィック軍曹は同機が累計5,000時間でも2007年5月に一番乗り、6,000時間でも2010年1月に一番乗りしていると紹介してくれた。
  7. 今回の記録達成のフライトでB-2を操縦したのはベンジャミン・カミンスキ少佐Maj. Benjamin Kaminsky で着陸させたのは機付長イライジャ・ノエル空士長Airman 1st Class Elijah Noelであった。


B-2 Spirit crew chiefs stand at parade rest while performing post flight inspections with pilots in the cockpit of the “Spirit of Florida” April 1, 2013, at Whiteman Air Force Base, Mo. The pilots just completed a historic training mission in which it became the first B-2 to reach 7,000 flight hours. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Nick Wilson)
B-2 Spirit, the “Spirit of Florida,” awaits a post-flight inspection at Whiteman Air Force Base, Mo., April 1, 2013, after becoming the first B-2 to surpass 7,000 flight hours. The “Spirit of Florida” was the first B-2 to amass 5,000 and 6,000 flight hours, as well. (U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Keenan Berry)
The “Spirit of Florida,” a B-2 Spirit from the 509th Bomb Wing lands on the runway after completing 7,000 flight hours April 1, 2013, at Whiteman Air Force Base, Mo. The B-2 Spirit is a multirole bomber capable of delivering both conventional and nuclear munitions. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Nick Wilson)B-2 Spirit crew chiefs stand ready to perform maintenance on the “Spirit of Florida” after completing a historic training mission in which it became the first B-2 to reach 7,000 flight hours April 1, 2013, Whiteman Air Force Base, Mo. Maj. Benjamin Kaminsky flew this historic mission, and crew chief Airman 1st Class Elijah Noel landed the aircraft. (U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Keenan Berry)


2013年4月6日土曜日

北朝鮮の原子炉再開宣言は周到に準備されたもの。作業はそれ以前に開始されていた。

North Korea Begins Work To Restart Nuclear Facility

By David Eshel
Source: AWIN First

aviationweek.com April 04, 2013
Credit: ImageSat International

イスラエル企業ImageSat International が公開した商用衛星写真を見ると北朝鮮は寧辺ヨンビョンYongbyonの軽水炉施設で新たな建設作業を開始していることがわかる。

  1. 北朝鮮からは今週になり原子炉運転を再開するとの声明が出ているが、画像を見ると建設作業は実際には2月初旬から3月末の間に始まっていることが分り、声明発表より相当前出会ったことが明らかだ。原子炉では一年あれば核兵器単数の製作に十分なプルトニウムを確保できる。
  2. 原 子炉運転再開に必要なのは現時点で利用できない二次冷却システムの回復だ。北朝鮮の原子力エネルギー総局 General Department of Atomic Energy内部の未確認筋によるとウラニウム濃縮作業はただちに開始され、黒鉛を減速材に使う5メガワット級の原子炉からプルトニウムを含む使用済み燃 料が産出されるはずという。
  3. 一 方で2月初旬に撮影した画像では同原子炉現場ではほとんど活動が見られていなかったが、3月末撮影画像では道路に沿って建設作業が展開されており、原子炉 建屋の後方まで広がっている。また現地では何らかの掘削作業も見られ、撤去済みの補助冷却施設に代わるものを準備しているとみられる。
  4. ImageSat International N.V.は高解像度地球表面画像を提供する民間会社で、独自に地球遠隔観測衛星Earth Remote Observation Satellite (EROS)を運用している。■



2013年4月5日金曜日

ペンタゴンの予算削減で影響を受ける調達プログラムはこれだ

Analysts Pessimistic About Pentagon Contraction

By Jen DiMascio
Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com April 01, 2013
Credit: Northrop Grumman

昨年度予算が米国防筋に厳しい内容だったとしたら,これから始まる新年度はもっと厳しい内容になる。

  1. 2013 年度予算がやっと議会で固まってきた。大統領による予算要求は二ヶ月も日程から遅れており、各議員は合意形成には程遠い。このためペンタゴンは今年は 460億ドルの予算削減を受け、来年もこのまま議会内で税制をめぐる意見対立が解けないと同額の削減となる公算が高い。報道によるとまもなく提出される 2014年度予算案ではこの削減は織り込んでいないらしい。
  2. 在ワシントンの国防アナリスト陣では次の共通認識が生まれている。軍は国防支出の定期的な削減サイクルの中にあり、ペンタゴンに状況をうまく切り抜ける力があるとは誰も見ていない。
  3. 予算削減から強制削減という一種の罰則規定の発動となるか、それを回避する合意が形成されるとしても大統領が2012年に打ち出した米軍の欧州からアジアへのシフト移動という戦略がすでに見直され始めている。
  4. ” この検討結果は5月末に出る予定で、マーティン・デンプシー大将Gen. Martin Dempsey(統合参謀本部議長)からはすでに当初の予想を修正する動きが出ている。「想定条件を見直して、わが国の求める野心をわが国の身の丈にあっ た内容に合わせる必要があります」と同大将は戦略国際研究センターCenter for Strategic and International Studiesでのスピーチで語っている。「これは行動の量を減らすこと、でも行動の質を落とすことではありません」
  5. この検討作業は「戦略的選択と統制の検討」として、来年の四年毎国防体制見直しと2015年度予算に反映されるという。
  6. た だし、この検討作業結果は現政権による予算要求内容と相矛盾する可能性があり、予算要求が4月中に予想されている中、要求そのものを陳腐なものにしてしま うことになるかもしれない。予算要求は2012年段階の戦略をベースにしているが、新たな戦略的な選択肢と方向性の統一が取れていない。
  7. なかんずく、2014年国防予算要求は法的枠組みよりも500億ドル超過しそうで強制削減の発動になりそうだ。
  8. 強 制削減によりペンタゴン予算は2013年度で8%近くのカットとなる。実際に削減効果が出るのは今後二三年にわたるので、もし削減が2014年にかけて実 施されると大きな転換点となると議会調査局Congressional Research Serviceは見ている。
  9. 予算規模縮小をうまく切り抜けるためチャック・ヘイゲル国防長官には大統領の支援のもとで各軍の支出規模と隊員の給与水準、付帯手当て支払いのバランスを破るという歴史的な選択を下す必要がある。
  10. 明確な優先順位がないと、調達予算と装備構成は縮小しながらペンタゴンの官僚制度は自身を防衛しようとするだろう。
  11. この意味するところはペンタゴンの大規模プログラムは最大規模のF-35のように年度ごとの調達数を減らされ、配備規模も縮小される扱いを受ける。同計画は生き残っても、調達予算全体の6割の各種プログラムでは行く先が見えにくくなるだろう。
  12. F-35を拾えば、優先順位が高い他のプログラムとして空軍の長距離爆撃機、KC-46A給油機は実施困難なまま残るだろう。
  13. そ こでどれを削り、どれを残すかの選択は議会に持ち越されることとなり、議員はこれまで以上に視野の狭い関心事にふりまわされるだろう。プログラムの打ち切 り、削減で合意するのは議員にとって歓迎されない。縮小させることも同じだ。国内基地の整理統合や閉鎖を受け入れたくない議員は公聴会をすでに開催してお り、せっかく大統領が提言し、規模が縮小した軍にとっては統制しやすくなるはずだったのにである。アフガニスタンでの戦闘が続く中、軍の給与手当の見直し は実施できにくいままだ。
  14. ただしこれこそペンタゴンが訴えているもので、「議員各位のご協力を得て、変革に必要な時間と柔軟度、確実性をいただきたい。給与手当て制度の改革ができれば、各軍を維持することができる体制が得られます。」とデンプシー大将は訴えている。


IN THE LINE OF FIRE 予算削減の集中砲火を浴びているプロジェクト一覧

Global Hawk Block 40
SM-3 Block IIB
Ground Combat Vehicle
Littoral Combat Ship
Heavy Brigades

FLAGGED AS PRIORITIES 優先順位高とされているもの
Ground-based Midcourse Defense System
F-35 Joint Strike Fighter Development
KC-46A Tanker
Long-Range Bomber
Ohio-class Submarines



2013年4月4日木曜日

韓国F-X選定に攻勢をかける米国


U.S. Enters Seoul Fighter Fray

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First


aviationweek.com April 03, 2013 
Credit: Boeing




韓国向け戦闘機売却の競争が激化の様相を強めている。ペンタゴンから議会に対しボーイングF-15サイレントイーグル最大50機あるいはロッキード・マーティンF-35を60機販売する方針を公式に連絡している。韓国はアメリカ製装備の調達をユーロファイター・タイフーンよりも優先してF-X第三段階競合で機種を絞り込もうとしている。
今回の議会連絡のタイミングは韓国外相ユン・ビョンセがチャック・ヘイゲル国防長官と本日ペンタゴンで会談した直後のことだった。実際の選定は6月予定だが、今回の公式連絡は北朝鮮がいっそう韓国と米国に対し敵意を募らせているタイミングであることにも注意が必要だ。
米国防安全保障協力庁から議会に対しボーイングおよびロッキード・マーティンの各提案内容詳細を通達している。■