2017年10月18日水曜日

★★韓国KF-X開発の最新状況

FA-50でロッキードの助けをかりていますが、KF-Xでも同様のようです。もっともF-35を採用したのもKF-X開発のためのようにも見られますが、そもそもKF-X開発の動機が理解困難です。韓国が米国離れしたところで基礎技術等しっかり米国から逃げられない構造のはずですし、米国の代わりに欧州に頼っても同じ構図でしょう。



Aviation Week & Space Technology

South Korea's KF-X Grows Considerably In Development

韓国KF-Xの開発状況
Two-seat version and European weapons added to Seoul’s new fighter
複座仕様と欧州装備の採用が韓国の新型戦闘機構想の中心


Oct 13, 2017Bradley Perrett and Kim Minseok | Aviation Week & Space Technology



韓国航空宇宙工業(KAI)のKF-X戦闘機が拡大を続けている。コンセプト構築時にはユーロファイター・タイフーン程度の大きさだったが繰り返し寸法が拡大している。
国産戦闘機を目指す同機は複座だと開発元は確認しているが初期は単座だった。MBDAのメテオおよびDielのIRIS-T空対空ミサイルを装備すると韓国国防調達部門は述べており、米製兵器への依存度を解消する考えだ。
双発のKF-Xは初飛行2022年をめざす。韓国空軍とKAIは初号機引き渡しを2024年に設定しているが、2026年以前の機体は開発用のはずだ。実戦対応の初号機は2026年に初めて出現するはずだが装備は完全ではない。インドネシアがKF-X開発のジュニアパートナーとなっている。
国防省の国防開発庁(ADD)が開発を主導しており、KAIが詳細開発を担当する。さらに調達部門の国防調達事業庁(DAPA)がジェネラルエレクトリックF414エンジンを2016年に選定した。
設計案C107は2012年に始まった設計案の最新版である。ロッキード・マーティンがF-Xフェイズ3の選定にF-35ライトニングIIで勝ち残った2013年時点はC104だった。選定の勝者はKF-X開発への支援が求められている。
各設計案では尾翼がついているが、カナード翼を付けた案もヨーロッパ勢がフェイズ3で勝ち残っていたら実現していただろう。C107以前の設計案はすべて単座機であったがKAIの2016年ニュース取材の背景に複座機案が写っていた。
機体大型化で機内容積を増加し空力特性の改良するとDAPA関係者は述べている。
DAPA公表の低解像度図面で設計案5通りが判明して2012年以降のKF-Xの進化過程がわかる。機体は大型化し主翼も大型化したが設計陣は基本形にこだわり前縁後退角が40度でアスペクト比が2.7のままだ。
最初がC101で2012年のC103で基本形となり今に続いている。事業立ち上げ段階ではC103がだったが2014年にC104になり、機体一体型アンテナと内部搭載が修正された。図面の外観上はほとんど変化がない。
With development due to be completed in 2026, the KF-X’s wing and fuselage have both grown during several design iterations. Credit: Colin Throm/AW&ST
C104の寸法は不明だが、C105(2016年以降)はC103より大型化している。翼幅は10.7メートルから11メートルへ、全長は40cm伸びている。拡大の半分は主翼の大型化によるものだ。機体では主翼取付位置が後退し、胴体がやや広げられている。
またキャノピー形状が変更されており、おそらくステルス性と関係があるのだろうが、F414エンジンが選定され空気取り入れ口の形状が変更された。当時は最大の出力を誇ったF414は非常にかさばるエンジンで機体設計も対応して拡大されたのだろう。
空虚重量が2%しか増えず11.1トなのはその他部分で重量軽減に努めたためだろう。タイフーンと比べるとわずかに全高が大きい。
さらにC106では翼幅、主要面積、胴体長すべてが大型化している。コックピットは前方方向に移動した。C106の各寸法は不明だがC107と同程度のようだ。C107の翼幅は20cm伸びているが、C105よりわずかに大きい程度だが、タイフーンより明らかに大きい。
胴体前方の形状はC107で改良された。主翼取付位置も前方に移動し、胴体と一体化して尾翼は前方に移動しており、移動した分のモーメントアームの相殺として全高が増えている。
C107以前はエンジンが接近して搭載されていたが、現在は距離を置き、機体残存性を高めながらエンジン間に空間を確保している。機首は当初案より鋭さをましており、日本が発表している国産戦闘機案に似てきた。2018年6月までに三案出てくるためさらに変更が今後発生する見込みがある。
後部座席が追加された理由は公表されていない。1990年代以前の設計案は複座型が通常だった。後部席は訓練以外に飛行乗員を運ぶために使われることもある。これはベトナム戦争後の流行だ。だがF-22、F-35、成都J-20が単座型しかないのはシミュレーターが高度化してパイロット養成の様相が変わったためだ。KF-Xで後部座席が復活したのはエイビオニクスが実は高性能でなく攻撃任務に二名体制でないと対応できないためかもしれない。
MBDA、Diehl両社はそれぞれメテオ、IRIS-Tミサイルの供給で合意しているとDAPAは述べており、販売条件の詳細が合意されたようだ。だが韓国にはIRIS-Tの使用でドイツの承認が必要だし、メテオ開発の関係国である英国、フランス、イタリアの承認も必要だ。各国政府の承認がいつになるか不明だ。メテオは長距離、IRIS-Tは短距離ミサイルだ。
韓国は米国装備も使う予定で、AIM-120AMRAAMやAIM-9サイドワインダーが対象だ。ただし各装備を機体に搭載するための調整は完了しておらずとDAPAは述べている。ワシントンは6月に両ミサイルの技術情報開示に合意しているが内容は1Aと呼ばれサイズ、重量、基本インターフェースの特徴に限定されている。韓国は1B情報として完全版を求めている。
KF-Xの完全開発は2015年末に長年にわたる国内論争を経て開始された目的の一つが韓国をワシントンの許認可なしで兵器運用できる国にすることで現行体制では米国製戦闘機購入の場合でも許可が必要なためだ
別の目的に米国の拒否権行使に関係なく兵装を確保したいという願望がある。だがエンジンがF414のため機体は米国の輸出管理の対象だ。
Cobhamが兵装庫と発射装置を供給し、大量供給する契約なのだろう。
発射装置は十分に長さを確保し機体の安全確保につなげるが機体からの発射速度は秒速9mでAIM-120とメテオには適合しているとCobhamは説明している。同社は2020年に数量不明の発射装置を供給し、総額は7百万ポンド(9.2百万ドル)になるという。納入時期と金額から試作機向けの契約で初期生産機材分も含まれるかもしれないし、エンジニアリング支援も内容に入っているかもしれない。
CobhamはKF-X量産機材向けの供給に触れていないが、開発段階で良好な実績を残せばその後の量産段階でも有利になることは明らかだ。
機体各所で必要な海外政府の承認が得られた。米政府によればインドネシアにはKF-X開発で使われる技術へのアクセスが認められるが、韓国と同内容の情報全部は開示されないようだ。ロッキード・マーティンがKAIにエンジニア30名を派遣しているとDAPAは明らかにした。今年末までに40名になる。インドネシアはエンジニア80名をKAIに派遣中だ。
韓国はKF-X向けにエイビオニクス主要装備4種を開発中でAESAレーダー、赤外線捜索追跡装置、電子光学目標捕捉ポッド、電子戦装備だという。
このうちレーダー開発の完了は2026年で3,600億ウォン(3.2億ドル)とDAPAが明らかにしている。この装備には送受信モジュールがおよそ1,000個必要だ。重要な設計審査は2019年中ごろの予定だ。
ハンファHanwha とADDがハードウェア実証モデルを作成中で構成はハンファのAESAアンテナと電力源にElta Systems Ltd.製の受信励磁機とプロセッサーを組み合わせる。イスラエルのEltaが選定されたのはハンファのレーダー開発を認めた形だが、Eltaの役目はもっと深い。
ハンファはアンテナ部分と電源部分を6月に完成させたとDAPAは述べており、両方のコンポネントがEltaに9月に届けられレーダーとして完成され、2018年3月までテストが続く。
これと別にAESA技術実証装置が完成しており、C-130H輸送機の背中に乗せられテスト中だ。この装置には送受信モジュールが400個つく。
韓国はKF-Xを120機、KAIのFA-50軽攻撃機を50機導入して現行のロッキード・マーティンF-16ブロック32の34機、F-5E/Fの140機と交替させる。インドネシアはKF-Xを50機希望しているとの報道がある。■


2017年10月17日火曜日

NZ現地紙に見る次期輸送機調達、C-2の存在感なし



C-2/P-1のペアはニュージーランドに本当に売り込みを図っているのでしょうか。この記事からは存在感が伝わりません。一つの理由が現地メディア対応でしょう。英語が不得手ならロビーストを雇えばいいのでは。それだけの予算もかけられないのであればそもそも海外販売をする意欲もないのでしょうね。お分かりのように現地の期待はC-130Jに傾いているようですが、調達規模が少ないからと馬鹿にしていいのか、日本の(本来はメーカーの責任ですが、大使館はじめ本省がかなりピッチを入れているのも問題では)姿勢が問われそうですね。といいつつ日本のC-130Hも早晩後継機調達の話が出そうですね。ニュージーランドの政治情勢というのがよくわかりませんがご存知の方はご教示ください。


New government will have to make a call on Hercules replacement


C-130J Hercules that Lockheed Martin hopes to sell to New Zealand. Photo / Supplied

15 Oct, 2017 7:30pmBy: Grant Bradley
Aviation, tourism and energy writer for the NZ Herald
grant.bradley@nzherald.co.nz@gbradleynz

ニュージーランド新政権がまず手掛けるべき仕事の一つがハーキュリーズ輸送機の老朽化に対応した後継機選定だ。
導入後52年が経過した機材は耐用年数の終わりに近く、メーカーのロッキード・マーティンはニュージーランド防衛軍(NZDF)の5機に残された飛行時間を算定中というが、新型機導入は待ったなしになっている。
国防関係者による詳細な検討内容が年末までに内閣に提出されるが、ニュージーランド第一党の副代表と国防省報道官を兼務するロン・マークRon Markが次期輸送機選択のカギを握りそうだ。
だが本人は近年の国防調達事業に対して鋭く批判している。
ロッキード・マーティンの競合相手はブラジルのエンブラエル、日本の川崎重工でそれぞれ同規模のジェット輸送機を提案している。新型機はそれぞれハーキュリーズより高速だが運用面で実績がない。
ヨーロッパからはエアバスがA400Mの売り込みをかけているが同機はニュージーランドには機体が大きすぎかつ高価すぎる。
ロッキードは自社製品の採用に「慎重ながら楽観的」だ。新型のC-130JはH型と外観こそそっくりだがエイビオニクスを一新し出力は25パーセント強化している。
C130J Hercules aeroplane built by Lockheed Martin. Photo / Supplied
C130J Hercules aeroplane built by Lockheed Martin. Photo / Supplied

ニュージーランドでは南極運用が重要で新型「スーパーハーキュリーズ」には悪天候の場合、マクマード基地まで飛んでも引き返す余裕があるが、旧型機の場合はもっと手前で帰還を決める必要がある。
ロッキードで東南アジアオセアニア地区で営業開発を担当するマイク・ケリーMike Kelleyは情報開示請求(RFI)は2013年だったと語る。NZDFは数回にわたり各社に詳細情報の開示を求めており、正式入札は来年になるとみている。
「政治情勢が影響しそうですが事案を内閣まで持っていければ理論上は入札が来年第二四半期までに出そうです」
現行機の耐用年数が切れる2022年のデッドラインに間に合わせるには翌年に契約を成立させる必要があると見られていた。
「競争入札を覚悟しています。それでも当社は勝てると見ていますよ。機材が優れていますからね」(ケリー)
型が変わっても同じハーキュリーズなので格納庫の改装は必要ないし、パイロットの機種転換もずっと簡単だとケリーは利点を述べる。
P-3オライオンも2020年代に更新時期を迎えるためロッキード・マーティンは海上哨戒機の売り込みも図っている。エンブラエルも同様だ。
ニュージーランドは2020年代に予算10億ドルで輸送機およびVIP機の更新を図る予定だ。■


2017年10月16日月曜日

53歳になったCH-53の過去、現状、未来



先週沖縄で発生した事故は深刻でしたが、例によって日本側の反応は感情的でCH-53全体の飛行をやめろ、とか危険な機体扱いにしてしまいましたね。住民に被害がなくて幸いでしたが、だれも米側乗員の安否を気遣わなかったのはどういうことでしょう。また、今後新g奈多のスタリオンが登場してもやはり危険機材扱いするつもりなのでしょうか。オスプレイと重なるところがありますが、背後に政治的な動機があるのか注視する必要もありそうです。また報道機関にはCH-53E(CH53ではありません)と明記してもらいたいものです。


The CH-53's Dark Present But Bright Future On This The Chopper's 53rd Birthday

明暗分かれる現状と将来の中、53歳になったCH-53

The type has gone through a turbulent patch in recent years but a new super powerful variant could revitalize its legacy for decades to come.

近年、つらい境遇にあったが、新型機の登場で再活性化され偉業はこれからも続く


STEVEN KAETER/SIKORKSY
BY TYLER ROGOWAYOCTOBER 14, 2017

  1. 巨大なシコースキーCH-53が53歳になった。「スタリオン」の初飛行は1964年10月14日で現在は三世代目のCH-53Kキングスタリオンが登場している。CH-53に代わる機体はCH-53の改良型しかないとはよくいったものだ。この事はイスラエルが最近身をもって知ったばかりだ。
SIKORSKY ARCHIVES
YCH-53Aとして1964年10月14日に初飛行
  1. Flightglobal.comによるとイスラエル空軍はMV-22オスプレイの評価を中断したが、CH-53D後継機としてオスプレイ数機を導入するつもりだった。Flightglobal.comはこう報じている。
  2. 「イスラエル空軍はベル=ボーイングV-22オスプレイの評価作業を凍結した。同国国防筋は現在シコースキーCH-53輸送ヘリコプターでこなしているミッションの一部はオスプレイでは実施できないとしている」
  3. これは半世紀にわたり稼働しているシコースキーの設計作業への賛辞であり、MV-22も戦闘捜索救難や長距離兵力投入などで大きな効果を示す機体であるが、「デルタ」と呼ばれる双発のシースタリオンは、その他の場面では依然優秀な効果を上げていることを示すものだ。
OREN ROZEN/WIKICOMMONS
  1. イスラエル国防軍にはCH-53Dが20数機あり、長距離大量ヘリコプター輸送任務についており、とくに夜間と特殊部隊の運用が重視されている。2010年ごろからヤスール2025仕様にアップグレードされ2020年代でも十分稼働可能な機体になっている。
  2. 他方で米軍のH-53E各型には2000年代はつらい時代だった。機体は酷使され装備全体の視点がなおざりになり最初にしわ寄せが来たのがMH-53Eシースタリオン掃海ヘリ各機で運用方法の変更に伴い事故が多発した。
  3. 海軍のシードラゴン各機にも海兵隊が輸送能力で多大な期待を寄せたが実態は悲惨だった。
  4. 2016年2月時点のCH-53Eの辛い状況について筆者はこう書いていた。
  5. 「海兵隊発注の第三者評価で問題が多々見つかり、スーパースタリオンは必要な機材数より50機も少ない146機しか稼働していないと判明した。米国が戦闘に入れば、仮に短期戦でもほぼ全機を稼働させる必要がある。このほかに訓練や緊急時対応や予備機材の問題がある。
  6. さらに状況を悪化させるのが部品不足や長年にわたる保守管理の先送りだが、なんと言っても驚かされるのは即応態勢率が23パーセントしかないことだ。つまりペンタゴンが目標とする軍用機即応率75パーセントに比べ三分の一水準しかないことになる。
  7. 即応態勢にあるのが23%でCH-53E全機数が146機ということは33機しか稼働できないということではないか」
USMC
CH-53Eの「サンドブラスト」はこれまで16年間にわたり中東で健在だった
  1. 当時のCH-53Eパイロットは海外展開から帰国しても半年でわずか30飛行時間しか操縦していなかった。予備部品が払底し、海兵隊はスーパースタリオンへの投資をすっかり忘れ、予算は単価65百万ドルのオスプレイと125百万ドルのF-35B調達に集中していた。
  2. CH-53E部隊はこの15年を戦闘投入されてきた陸軍はイラクアフガニスタンで大量の機材を喪失損失し海外戦役から帰還した機材は単価1.2百万ドルで『再調整』していたが海兵隊はわずか100千ドルで機体を再整備しただけだ
  3. 海兵隊はこの予算節約のツケを今払っており、戦闘準備態勢にしわ寄せを招いた先見の明のなさの代償を支払っているのだ。
  4. そこで海兵隊の解決策は今年は300百万ドルほど確保し(F-35Bならほぼ2機分、MV-22オスプレイ5機分に相当)しCH-53E再整備にあたることだ。目標はスーパースタリオン全機を整備し乗員とともに2019年までに全機稼働状態にすることだ。さらにH-53Eで保存中だった二機をエリクソン・インコーポレイテッドにより再復帰させ部隊編入する」
  5. だがスーパースタリオン2機もたてつづけに2016年1月にオアフの訓練ミッションで喪失したことでCH-53E部隊の実態が明らかになった。ひとつに乗員の受ける訓練が圧倒的に足りないことがあり、機材の稼働率の低さも事故の原因とされた。
  6. すべてが明らかになるとNAVAIR(海軍航空システムズ本部)による三か年計画のCH-53E機材再活性化事業が大きく改良され、常時16機の大修理、訓練・予備部品への予算投入が続いた。しかし、CH-53Eが先週沖縄上空で火災を起こし、緊急着陸を迫られる事態が発生した。同機は全損状態でAクラス事案判定となった。つまり2百万ドル超の損害または人命喪失あるいは生涯にわたる障害の発生で沖縄ではスーパースタリオンの飛行が96時間停止された。
AP
2017年10月12日に沖縄で不時着したCH-53Eの残骸
  1. 事故はまだ調査中だがCH-53E部隊には改めて機体の老朽化の進行を思い起こす効果になった。同機は今でも高速飛行、大揚力、ホバリング性能の高さに加え驚異的な操縦性を誇るものの機体がミッション投入可能な状態になって初めて発揮できる性能だ。だが救いはスーパースタリオンの後継機が現れていることだ。
USMC
テスト中のCH-53K キングスタリオン
  1. そこでCH-53Kキングスタリオンが登場する。筆者はシコースキーによるH-53の次期型を見て恐ろしく高価な機材になるが性能には感銘を受ける。米海兵隊にはこの性能こそが不可欠な要素だ。
  2. タービン三基で合計22,500hpと前型からほぼ50%の出力増で最高速は200ノット近くになり、最大離陸重量は何と85千ポンドだ。機内容積は15パーセント増え、各種改良で機体の信頼性を引き上げスーパースタリオンより保守整備の必要性を引き下げている。今後登場する新技術への応用性も残している。
  3. キングスタリオンの稼働開始でも遅延はあるが、現在鋭意テスト中で開発は順調だ。米海軍は304百万ドルでCH-53Kをまず2機就役させる契約を交付した。機体は2020年に引き渡される予定でCH-53Eにもやっと引退の道筋がつく。
AP
ドイツの CH-53G
  1. 米海兵隊は200機を調達する予定だがCH-53Kは海外からも注目を集めている。イスラエルはMV-22のかわりにあるいは並行して同機を調達する可能性がある。ドイツも現行のCH-53G(D型の改修版)の後継機として関心を示しており、日本はMH-53Eシードラゴンを稼働させていた実績がありが導入国になる可能性がある。その他の国では多くがH-47チヌークを飛ばしているがキングスタリオンが今後成熟化すると購入検討する国も現れるだろう。
  2. 直近の事故を除けば、CH-53は軍事航空作戦での実績で輝かしい記録を打ち立てた機材だ。功罪両面でだ。キングスタリオンが登場してもCH-53の実績はまだつまだ続き、いつの日かスタリオンが75周年、100周年を迎える可能性も十分ある。■
USMC
Contact the author: Tyler@thedrive.com


2017年10月15日日曜日

日曜特集 野戦糧食に加えたい全米ローカルメニュー11選


MRE Meal Ready-to-Eatは全米の食習慣を反映しそれなりに改良されているのでしょうが、meal, ready, to eat で三つのウソだと決して評判がよくないとも聞きますが各地の戦闘を支える重要な要素であることも事実でしょう。今回はそのMREのメニューに加えてみてはどうかという各地のメニューですが、さすがにアメリカは広いですね。中には食べてみたいものもありますが、いかがなものかと思えるものもありますね。

11 regional American foods we'd like to see in MREs

By Blake StilwellOct. 12, 01:10 PM

MREには展開中の兵員に故郷の味をわずかながら思い起こさせるものがある。どこまでMREの成功を期待するのか、過去の功績はどうだったのか、さらにどこまで美味になっていたかの議論は開かれている。
過去数十年で献立多数が現れては消えた。懐かしく思える味もあった一方で消えてよかったと思えるものがある。
アメリカは広大だ。MREを作るものに期待したい故郷の味がある。ではお国自慢となる故郷の味をながめてみよう。

1. バッファローチキンの改良

鶏の手羽にバターと辛いソースをかけたらどうなるか。こたえは「大した味ではない」だが、MRE専門家は調理方法を「引っ張る」方向に変えたところオレンジ色のねばねば状の塊になった。
MREs we'd like to see
アメリカの味、ドロドロ料理(glop)
肉はバーガーやフランクフルトソーセージになっており、どうして本当の手羽肉あるいは骨なし肉を使わないのか理解できない。

2.ボルティモア蟹ケーキ

軍の料理に蟹を頼むのは大変だと知っているが、ぜひMREにとりれてほしい。またオールドベイOld Bayのソースを辛味調味料の代わりに同封してもらいたい。
MREs we'd like to see
蟹クラッカーはみたことないな

3. 南部風ビスケットとグレイビー

野戦食に向かないといわれそうだが、腰を下ろして食べる時間があれば受けること間違いない。Elfのスナックパンがあればいうことない。MRE関係者はバターミルク味のスナックパンを野戦用にはグレイビーかけで提供してもらいたいものだ。
MRE flavors we'd like to see
これがあれば戦闘勝利は確実だね
上の写真のようにはならないだろうが試してみたいものだ。民間人向け非常食には採用されており、意外においしい。それはさておき、MRE関係者には食感を採用してもらいたい。

4. サウスダコタ風チスリック

Chislicチスリックは簡単にできる。肉を焼いたりフライにするだけだ。子羊肉や野生動物の肉を使うが、牛肉でもよいがガーリックソルトあえがよい。爪楊枝で食べたり、クラッカーを添える。シシカバブに似ている。
MREs we'd like to see
サウスダコタ州ピエールのバーで
このMREなら中東の同盟国の兵士も一緒に食べられるだろう。MREではクラッカーや肉塊はよく使われる。これは人気がでそうだ。

5. ハワイ風スパムむすび

スパムには悪い評判が多いが、このハワイ風おつまみは美味だ。ハワイではスパムはグルメ扱い。むすびはフライ揚げあるいはグリルしてもいいが米飯の上にスパムを乗せて海苔で巻く。
MRE flavors we'd like to see
MREらしくない外観だ
スパムむすびのいいところは冷めても暖めてもおいしいことで口に入れてそのまま走れることだ。

6. ローカントリー風エビとグリッツ

ジョージア、サウスカロライナ両州の沿岸地区とくにチャールストンは食事メニューの天国だ。グリッツはトウモロコシをひきわりしてゆでたもの。調理方法より素材の作り方が重要だ。チャールストンで食べた朝食ではグリッツを別の方法で調理しており、チーズの他、ブドウゼリーを入れたり、えび、トマト、ソーセージ、ピーマン、ベーコン、スパイスと多数ある。
MRE meals we'd like to see
グリッツについてご意見はあろうが、これはおいしいよ

7. ウェストヴァージニア風ペパローニロール

Just like it sounds, the Pepperoni Roll is a bready roll baked with pepperoni in the middle. The idea is to heat the bread and let the pepperoni oils soak into it as the entire thing gets softer. It can also be eaten cold, which is a boon to troops on the move.
名前の通りだ。ペパローニロールはパン生地をロールにして中にペパローニソーセージを入れて焼き上げたもの。パンを温めればペパロニの油がしみだして全体が柔らかくなる。冷たいままでもいけるので、移動中の兵員もありがたく思うだろう。
MRE flavors we'd like to see
炭鉱夫に受けるのなら兵員にも好評だろう
アパラチア地方に栄養料理が本当にあるのかと問われる向きには戦場で食べる食事を真剣に考えればそもそもMREなど必要はないとだけ答えておこう。

8. ニューメキシコ風グリーンチリシチュー

長い間MREを食べていると皆同じ味に思えないだろうか。ではグリーンチリ入りの別の味にしたらどうか。
MREs we'd like to see

ベジタリアン向けのメニューにもなるグリーンチリシチューがMREになれば別のMREの上からかけることができるところがいい。最悪の献立も食べられる味になる。鶏肉のかたまりや野菜片が無残に捨てられることはなくなるぞ!

9.  NY北部ユーチカ・グリーン

MREへの不満でいつも見られるのは野菜が少ないというものだ。そこで全米各地の諸君にニューヨーク州は広くNYCとバッファロー以外にもメニューがあると知らせてはいかがだろうか。
MREs we'd like to see
「グリーン」の名前に騙されてはいけない。決してヘルシーではない。

ユーチカグリーンはチキンブロスでソテーした葉でパン粉、チーズ、プロシュート、唐辛子を添える。MRE関係者にはパン粉は別途準備してもらいたい。ユーチカクラブビールと一緒だと理想的だ。

10. アラスカ風アクタック

「エスキモーアイスクリーム」とも呼ばれるアクタックAkutuqはイヌイット族のメニューで獣脂のまわりを肉や果肉で覆う。デザート扱いだったが、改良されてセイボリー香辛料をつかうものもできた。
MREs we'd like to see
家庭料理の観が強い
固い獣脂と薄い肉片(通常は野生動物の肉)を使うので高蛋白質で高脂肪のMRE食として栄養を求める兵員にぴったりだ。

11. シンシナティ・チリ

シンシーチリには細かくした肉を薄いソースに入れ、ソースはココア粉とシナモンを入れる。さらにオニオン、キドニービーンのいずれかあるいは両方を入れる。スパゲッティの上からかけて、さらにチーズを盛りつけると皿全体がチーズだらけに見える。
MREs we'd like to see
これはチーズが足りない。.
オハイオ-ケンタッキー外ではシンシナティチリに異議を唱える向きもあり、シカゴではトマトスープをボウル入りパンの上からかけてピザと呼んでおり、カリフォーニアではイネアウトIn-n-Outがバーガーの極致と考えている。全く多様性の国である。
筆者とて全米各地をすべて回ったわけではなく、どこの郷土料理がおいしいMREにつながるかご意見あれば blake.stilwell@wearethemighty.comまでご一報願いたい。レシピでも提供しているレストランでもいいから教えてもらいたい。■

SR-72観測記事のまとめ ミッション、性能は?

ここにきて目だつSR-72関連記事ですが、比較的まとまっているのでご紹介します。実際に機体が完成しており、飛行しているとしたらなぜ縮小機が飛ぶのでしょうか。あるいは全く別のプロジェクトなのか。こういう謎の機材の登場にはわくわくさせられますね。

The Enigmatic SR-72 And the Palmdale Sightings: What Do They Tell Us About America’s Secret Hypersonic Program?

謎のSR-72とのパームデール目撃談:米国は極超音速機を秘密裏に開発しているのか。

The Media is Full of Speculation, But What Do We Know and What Can We Predict?

観測記事が続くが、何が分かっているのか、何が期待できるのか。

By Tom Demerly
Oct 12 2017 - 1 Comment


2017年最大の航空宇宙関連ニュースは米空軍第42製造飛行テスト施設(カリフォーニア州パームデール)で謎の新型機が着陸する様子が「複数の目撃例」が報告されたことだ。正体は何だったのか。
Aviation Weekのガイ・ノリスがまずスクープした。2017年9月27日にノリスはこう伝えていた。「Aviation Weekが得た情報では無人小型実証機が米空軍第42工場があるカリフォーニア州パームデールで目撃され、同機は数時間にわたる飛行を終えて7月末日付不明の早朝に着陸しT-38が二機随行していたという。同地にはスカンクワークスが本拠地を置いている。ロッキード・マーティンは目撃情報へコメントを拒否している」
カリフォニア州パームデールの米空軍の第42製造テストフライト施設、初期の様子 (Photo: USAF)

ノリスを受けて現れた記事はほぼ全数が目撃された無人機は新型全地球対応極超音速の遠隔操縦機(RPA)とみており、情報収集監視偵察機(ISR)開発に関連し、小型版から有人実寸大機体に発展するとみている。今回の目撃から完全版有人機へは飛躍があるが、ロッキード・マーティンが沈黙を保っていることから目撃談が余分な憶測につながるのを防ごうとしているのが分かる。
だがこれまでも話題に上っている新型有人機、多くのメディアが「SR-72」と呼んでいる機体についてはとんでもない誇張ではないはうで、マッハ6超で世界規模の航続距離を有し、低視認性機体で攻撃能力も有するといわれる。これらはSR-71後継機に求められる性能内容でもある。
米空軍の第42製造テストフライト施設はカリフォーニア州パームデールにあり、SR-71とF-117が屋外展示されている。 (Photo: USAF)
新型戦略偵察機の役割を考えると有人無人操縦を問わず、高速偵察飛行(攻撃も含む)のミッションをこなすため以下四つの性能が備わって戦略ISR/グローバル攻撃ミッションを実現するはずだ。
1. 高度の低視認性。敵側が偵察されていると悟れば収集情報の意味や内容が低下してしまう。ステルス超高速情報収集機で攻撃も行えれば情報を集め、画像情報も各種集めつつ探知を逃れられる。
2. タイミング。マッハ6超と伝えられる超高速機が偵察対象地区上空を飛行するのは一瞬で地上にすぐ帰還すれば収集情報の解析に役立つ。
3. 探知されても迎撃が困難。SR-71の最大の防御能力はマッハ3超の速力と高高度飛行能力だった。ミサイルのほとんどより高速かつ高高度を飛行し迎撃機も追いつけない。ただし探知能力、戦術、機材、兵装、地対空ミサイルも進歩しており、間もなく配備されるといわれるビーム兵器が中国にあることから一層高速かつ高高度飛行性能が求められている。
4. 有人機設定なら機内で意思決定が可能だ。有人機では乗員のリスクもある一方でミッション途中で柔軟な決定も可能だ。ISRではこのことは重要で戦略攻撃でも同様だ。ICBMや巡航ミサイルでは再攻撃や攻撃途中での中止は困難だが、有人機なら超高速、超長距離性能を維持しながら人間の力で意思決定が可能だ。この事は経験則ならびに戦意の双方で重要だ。
では上記四点の性能がわかったところで想定される「SR-72」機が投入される対象地と役割は何だろうか。現時点近未来の戦略状況をにらむと以下四つのミッションがSR-72に想定される。
1. 北朝鮮。危機は開戦寸前まで高まっているが、平壌がミサイル核開発を続けており論調も好戦的だ。北朝鮮のテストを正確かつタイムリーに監視できれば危機発生時の対応に重要だ。戦略偵察機でステルス、高速飛行可能ならば第一撃効果も事態の急速な変化があっても十分効果を上げられる。
2. イラン。米政策で方針転換がありそうでイランも核開発を断念する動きがない中でリアルタイム情報収集は必須だ。イランを取り巻く政治状況と外交選択が変更する中でイランの核開発の最新状況の情報収集、画像収集を秘密裏かつタイムリーに行う必要がある。監視衛星も視覚赤外線さらに電子情報等全域にわたる情報収集が可能だが、大気中での情報収集は不可能で、これが核実験の探知に不可欠なのだ。スパイ衛星の軌道を変更させるより高速低視認性大気圏飛行偵察機材が望ましいのは明らかだ。
3. シリア。シリア内戦をめぐりロシアとの関係は微妙なまま今日に至っている。だが事故の発生危険は残る。リアルタイム準リアルタイムでシリア、ロシア両軍の活動情報を収集することで各国との利害が調整でき同士討ちのリスクやその他偶発事故の発生を防げる。また情報が米国に独占的に入れば戦略情報優位性が確立される。
4. 今後発生する世界各地の危険。米国はアジア、アフリカ、中東の紛争と地理的に隔絶されている。だが戦闘地区から距離があることから機先を制した対応が世界規模での紛争に必要だ。このため長距離超高速飛行でタイムリーな情報収集が必要で新型低視認性ISR/攻撃機材が必要だ。この状況は今後も変わることはないだろう。
世界各地で紛争が発生し、米国にはステルス長距離高速性能の戦略偵察機の必要が今後も続く。 (Photo: Center for Preventative Action)

開発中の新型戦略偵察攻撃機は実戦化まで数年かかる段階なのかあるいはすでに就役している可能性もある。F-117ナイトホークは1981年に初飛行したが公式発表は1988年であったのを思い出してもらいたい。7年間もの間秘密のままだった。現在は秘密保持が従来より困難な時代だが公式発表の内容より実態がずっと先に進展している可能性は十分ある。
F-117の小型試作機は「ハブブルー」と呼ばれパームデールを秘密裏に富んでいたが目撃情報は出なかった。(Photo: USAF)

1985年の時点で国防予算に85百万ドルが「オーロラ」の呼称のプロジェクトに計上されていた。1987年までに23億ドルに増えている。一部報道では米空軍はSR-71後継機に1988年段階で着手していたとある。
その後の報道では Jane’s DefenseやAviation Week & Space Technologyといった信頼性の高いメディアが正体不明の機体がネリス試験場で飛行しているのを聞いた、見たとの報告を伝えている。
有名な目撃体験が北海で1991年に発生している。スコットランドの石油技師クリス・ギブソンが「完全な二等辺三角形」機体がKC-135ストラトタンカー給油機、F-111の二機と飛ぶのを目撃した。ギブソンは英軍監視部隊に勤務し経験豊かな航空機スポッターだ。ギブソンの目撃談には別の目撃者もあるがいまだに説明がついていない。

クリス・ギブソンが1991年に北海で目撃した機体からはSR-71後継機の初期の目的事例のようだがいまだに説明がつかない。(Photo: Chris Gibson)

各種目撃談や判明している情報をまとめてみたが、全地球範囲で求められる情報収集機材で必要となる性能との差が大きい。となると実際のプロジェクト内容が判明し公開されれば世紀の国防航空記事になるのは必至だろう。■
Top image: Distributed briefing slide showing conceptual image of SR-72 with SR-71. (Photo: USAF)

https://theaviationist.com/2017/10/12/the-enigmatic-sr-72-and-the-palmdale-sightings-what-do-they-tell-us-about-americas-secret-hypersonic-program/#iB2yLvjFkXEUMe7f.99 で詳細を読む