2018年7月18日水曜日

☆中国海軍J-15の重大欠陥から見える中国技術の限界とは

技術は金で買えばよい、という中国の考え方は大変早く結果を生むのですが如何せん技術知見が背後にないため見かけだけのスカスカの装備になり、文字通り張子の虎なのでしょう。技術がないため原因がわかっても手が出せない。そうなるとコツコツと技術を整備する(こういう根気のいる仕事は中国人が苦手)か、手っとり早く他国から入手するしかありません。こうしてみると中国技術の虚像ぶりが見えてきますが気を許すことは許されません。



China’s Flawed Naval Fighter 中国艦載戦闘機の欠陥

Engines and flight control systems bedevil Beijing's Flanker 

中国版フランカーがエンジンと飛行制御系のトラブルに直面





WIB AIR July 9, 2018 Dave Majumdar


国は瀋陽J-15フライングシャーク艦載戦闘機の後継機種を開発中


J-15はロシアのSu-33フランカーDの試作機T-10K-3を原型としライセンスを無視して国産化したものだが、人民解放軍海軍で失望を生んでいる。エンジンや飛行制御系が原因の大事故で機体喪失が続いている。


J-15問題は相当深刻で中国も後継機となる新型艦載機開発に乗り出さざるを得なくなっている。


「J-15後継機」の開発が進んでいるとPLA空軍副司令官张洪贺Zhang Honghe中将がサウスチャイナモーニングスター紙に語っている。


J-15後継機の姿は不明で現行001型、001A型空母のスキージャンプ式発艦に対応するのか、今後登場する002型空母の電磁式発艦システムにも対応するのかわからない。


中国の海軍関係のアナリスト陣からは中国がFC-31Gyrfalconの海軍版を開発中との指摘がある。同機は瀋陽航空機が「自社資金」で開発したといわれる。


しかし中国筋からJ-15後継機で公式発表はない。


Above and at top — Chinese J-15 fighter planes. Photos via Chinese Internet

J-15運用を断念することになったのは深刻な事故が連続発生したためだ。上記サウスチャイナモーニングポストによればJ-15墜落事故が少なくとも四回発生し、うち一回は死亡事故、別に重傷が発生したのは「弁解の余地のない機械系の故障」のせいだという。原因は国産開発のエンジンと飛行制御系のようだ。


「J-15は問題が多い機体で不安定な飛行制御系が二年前発生した死亡事故二件の主原因」と消息筋が同紙に語っている。J-15墜落事故二件で「飛行制御が故障」したのは地上滑走路へアプローチ中だった。このことからJ-15の飛行制御に問題があることがわかる。


さらにJ-15が搭載する瀋陽黎明発動機製造Shenyang Liming製WS-10Hエンジンの信頼性の程度や、墜落原因だったのか不明だ。J-15旧型はロシア製AL-31Fエンジンを搭載しており、信頼性はある程度まであった。


中国もJ-15の問題は把握しているようだが、機体配備を急ぎリスクに目をつぶっているのは米海軍とは異質の考え方が背景にあることを示す。米海軍の場合は配備後に問題が判明した機体に飛行制限するのが普通で、安全面で深刻な問題と判明すればペンタゴンは同機運航を認めない。


「もちろん訓練中に発生する事故の完全予防は不可能だ。だが西側諸国と違い中国の空軍パイロットは機械系の故障があっても操縦を命令される」とPLAN退役関係者が同紙に語っている。


またPLANはJ-15問題の本質について口を閉ざしているが、これも世界各国の軍組織でよく見られる傾向だ。


「航空専門家は当初J-15の設計に問題があること自体を認めようとしなかった」と内部筋は同紙に語っている。海軍パイロットCao Xianjianの墜落死亡事故が発生してやっと問題があると認めた始末だ」


J-15に深刻な設計不良があるのは前から知られている。


つまるところ中国は不完全な試作型のスホイSu-33をウクライナから入手しリバースエンジニアリングしたのだ。中国技術陣にはフランカーの内部構造を学ぶ機会になったが機体そのものを開発をしていないので理解は完全でなく、かつリバースエンジニアリングにつきものの制約に阻まれたのだ。

こうした知識面のギャップが中国がJ-15で問題に直面することにつながったのだろう。■

2018年7月17日火曜日

★英国がお披露目した次世代戦闘機テンペスト。本当に実現するのか。日本の参画の可能性は?



今年のファーンボロ航空ショーの目玉になりそうな機体です。ただし英国開発の機体には大成したものが少なく、早くも米国には同機を疑問視する声も出ていますが、次期戦闘機開発の方向性に悩む日本としても黙っていられないのではないでしょうか。本当に飛ぶ機体が作られるのかわかりませんが写真で見ると革新的なようですね。タイフーンの後なのでテンペストですか。かつてのRAFの栄光時代の機体名称復活ですね。ハリケーンはどこ?スピットファイヤは?

The UK just unveiled a next-generation fighter jet that could be unmanned and armed with lasers英国が次世代戦闘機を発表。無人運用可能でレーザーも装備。





Britain's defence minister, Gavin Wiliamson, unveils a model of a new jet fighter, called 'Tempest' at the Farnborough Airshow, in Farnborough, Britain July 16, 2018.ギャヴィン・ウィリアムソン英国防相がお披露目した新型戦闘機「テンペスト」、ファーンボロ航空ショー会場にて。July 16, 2018. Reuters
  • 英国が次世代ジェット戦闘機の実寸大モデルを月曜日にファーンボロ航空ショー会場で公表した。
  • 「テンペスト」の愛称がついた同機はBAEシステムズ、ロールズロイス、レオナルド、MBDAの各社共同開発でサイバー攻撃に耐える強さがある。
  • 製造と決まれば英国は26.5億ドルを2025年までに投じる。




国が次世代ジェット戦闘機の実寸大モデルをイングランド・ファーンボロ航空ショーでお披露目した。
「今や危険な戦闘の時代に入りつつあり、将来に目を向けている」と英国防相ぎギャヴィン・ウィリアムソンが会場で述べた。
愛称「テンペスト」はBAEシステムズ、ロールスロイス、レオナルド、MBDAの共同事業で任意に無人運用できレーザー兵装を搭載し、多数のUAVを運用し、サイバー攻撃に耐えるとの報道が出ている。
「一部には今後実現の目を見なくなるものもあるだろうが単一プロジェクトで全部実現できれば成功効果は限りなく高い」とストラトフォーの戦力アナリスト、シム・タックがBusiness Insiderに語っている。「構想はきわめて有望に聞こえるが、狙いが狙いだけに開発、製造ともに問題にぶちあたるだろう」
タックからは「英国はダッソーが独仏戦闘機共同開発に向かうのを見てこれを出してきたのだろう」とのコメントも出ている。
フランスとドイツは昨年7月に「ヨーロッパ製」戦闘機を共同開発しダッソー・ラファールとユーロファイター・タイフーン後継機にしたいとの発表している。ダッソーは次世代戦闘機のイメージの映像を公開したばかりだ。
ウィリアムソンは開発が決まれば英国は同機に26.5億ドルを2025年までに投入すると述べている。また順調にいけば同機は2035年までに運用開始できるとも述べた。■


以下テンペストの写真をご覧ください。

Here's a wide shot of the Tempest.Reuters
Here's a close-up of the cockpit. Reuters

Defense News記者アーロン・メータによる撮影写真はこちら。View image on TwitterView image on TwitterView image on Twitter



BAEシステムズ発表のテンペストの兵装搭載案

And here's a BAE Systems graphic on some of the Tempest's possible capabilities:BAE Systems

ドイツ空軍の惨状:ヨーロッパ最大の経済大国の軍事力がこれでいいのか


昨年あたりからドイツ軍の装備整備状況で芳しくないニュースが目立ちますが、病巣は前からあったのでしょうね。ヨーロッパの理想はいいのですが現実の脅威に対してしっかりとした対応はことばだけで力を入れていなかったのでしょう。政治の責任と言うより、耳に心地の良い話だけで満足し、現実に目をつぶってきた有権者に責任があるのでは。日本にとっても他山の石とすべきケースでは。

Germany's Air Force Is Dying a Slow Death ドイツ空軍はゆっくりと死に向かう

July 7, 2018  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: GermanyAir ForcewarMilitaryDonald TrumpAir Force

ランプ大統領がめざす欧州各国に対する防衛負担増要求は失速する可能性がある。
ドイツの最新鋭戦闘機が飛行もままならない中で米軍が欧州から撤退すれば西側安全保障が目的の同盟関係は弱体化が避けられなくなる。
ドイツのスピーゲル誌の報道ではルフトヴァフェ・ドイツ空軍が保有するユーロファイター・タイフーン128機で大部分が飛行できない状態だという。
スピーゲルによれば作戦運用可能なのは10機しかない。ここからドイツがNATO内で防衛責任を果たせるのかとの疑問が生まれている。スピーゲルは「問題は複雑だ」と指摘している。
ユーロファイター全機は主翼上にセンサーを搭載し敵機や攻撃を探知しパイロットに警告することになっている。半年ほど前にセンサーポッド冷却が不十分と発覚した。自機防御の要といえる存在のため、この問題は作戦機材全てに波及し、運用可能機数が減った。
さらに「技術要員による不良ポッド交換には専用スペアパーツで冷却回路を密閉する必要がある。ただし、この対応は現在不可能となっている。メーカーが売却されてしまったためだ」とある。
タイフーンは初飛行が1994年で英国、ドイツ、イタリア、スペインの多国間協力で生まれた。ステルス戦闘機と言うよりは近接戦ドッグファイト戦闘機で上記四か国空軍で供用中だ。他にオーストリアは2020年に退役させるが、サウジアラビア肇湾岸数か国が発注している。
その中でドイツはタイフーンの作戦即応態勢でくるしんでいるとスピーゲルは報じる。「ルフトヴァッフェが把握する作戦可能機に自衛防御が機能しない機体も含まれている。訓練や演習ではこうした機体にダミーを主翼に搭載している。こうした機材はNATO管轄境界線近くでの空中監視活動のような現実ミッションには投入できない」とある。
報道通りならドイツには面倒な事態である。同時に米国にも問題となる。トランプ政権はヨーロッパに今より多い防衛負担を求めて米国頼みをやめさせようとしている。ヨーロッパは自らの手で防衛する必要を認識すべき時なのだ。
たしかに米軍も機材で問題を抱えている。直近ではB-1爆撃機が飛行停止となった。だがパイロットが酸素不足になるというF-22のような問題があっても別の機材多数が任務を引き継いでくれる。これに対しタイフーンはドイツ空軍力の中心だ。
ドイツはヨーロッパ経済の中心だが、長く続く軍事上の伝統の弱体化は明らかだ。もしドイツ空軍力が頼りにならないとしたらヨーロッパでだれが仕事をするのか。英国はフランスとともにヨーロッパの軍事強国だがブレグジットのため今後はヨーロッパ防衛への参画の度合いが減るはずだ。
ドイツはヨーロッパの要でありヨーロッパはロシアを抑え込む役目がある。米国にはヨーロッパ防衛から手を引くのは困難であり、たとえヨーロッパが自前の空軍力を維持できなくなってもそれは同じだ。空軍が飛ばないとヨーロッパは脅威に対応できず権益を守れなくなる。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found onTwitter and Facebook .

Image: German Eurofighter. Wikimedia Commons

2018年7月16日月曜日

今回もリムパック演習にスパイ艦を派遣した中国

中国の身勝手な主張が次第に追い詰められていく展開になりそうです。既存秩序を乱そうとする新興勢力がどこまでなら許されるのか、どの段階で既存勢力の枠内に組み込まれるのでしょうか。習近平の中国は秩序破壊を公然と発言していますのでこのままでは米主導の体制との衝突は必至です。先ごろ台湾海峡を久しぶりに米駆逐艦が通行しましたが、中国は今のところ冷静なようです。今後、お互いに探り合いのような状況になるのでしょうか。広大な太平洋をめぐりパワーゲームが続きそうですね。では日本はどうするべきでしょうか。


Navy: Chinese Spy Ship Monitoring RIMPAC Exercise, Again 中国スパイ艦がリムパック演習を今回も監視中

July 13, 2018 2:52 PM • Updated: July 14, 2018 6:00 PM

中国AGI所属の東調級情報収集艦天王星Tianwangxing (853). 撮影時期不詳

国の情報収集艦一隻がハワイ沖合で米国主導のリムパック演習を監視中と米海軍関係者が13日金曜日にUSNI Newsに確認してくれた。

人民解放軍海軍(PLAN)の補助情報総局(AGI)所属の同艦はハワイ沖合の排他的経済水域(EEZ)で7月11日から活動中と米太平洋艦隊報道官チャーリー・ブラウン大佐がUSNI Newsに同日伝えている。

「同艦は米領海外に留まりリムパック演習の妨害はしないと予測している」「機密情報保護に考えられる対策すべてをとっている。同艦による演習への影響は出ていない」(ブラウン大佐)

同艦の存在を真っ先に伝えたのは木曜日のホノルル・スター-アドヴァタイザー紙だった。

「演習不参加国の艦船がいて演習が妨害されたらとても残念だ」とチリ海軍パブロ・ニーマン准将が同紙に語っていた。「船乗りたるものすべてプロとして行動してもらいたいものであり、こちらは今取り掛かっている仕事に専念し協調精神を育み演習の目的を達成したい」

オーストラリア報道ではオーストラリア海軍艦船がリムパックに向かう途中で中国AGIが追尾してきたという。追跡したのが今回ハワイ沖合に活動中の艦船と同一かは不明。

USNI Newsはハワイ沖合のAGI艦船は2014年のリムパックにも出現した東調Dongdiao級と見ている。2016年演習ではロシアの情報当局がハワイEEZから演習を監視していた。

PLANは今年のリムパックに招待をされず、AGIが現地に加わることは予想されていた。

2014年、2016年とつづけて米国は演習水域近くで中国、ロシア艦船を探知し、国連海洋法条約の枠内で活動していることを把握していた。

「当方は今後も航行および上空飛行の自由原則を堅持し国際法に従っていく」とブラウン大佐はUSNI Newsに語った。
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ハワイ沖に留まる中国艦は逆に米海軍のプレゼンスを中国本土近くに展開することを正当化する効果を生むと米海軍大学校教授のアンドリュー・エリクソンがUSNI Newsに述べている。

「米国は中国に自分勝手な行動を許すべきではない。北京政府が何と言おうと、何をしようと、米軍は今後も国際法が許す範囲でいかなる場所でも作戦行動を続けていくべきだ。当然、南シナ海の水上、水中、上空を含み、世界の海洋コモンズで重要で地中海の1.5倍の広さがある現地で、いかなる国も一方的に領有宣言し他国のアクセスを制限する行動は許されてはならない」■

低コスト無人機XQ-58Aのフライトテストは今秋開始---無人ウイングマン誕生につながるのか

道路の自動運転(本当は自律運転でしょう)はなかなか実現しませんが、空の上は違います。有人機の数が減っていく中で無人機は増えそうで、有人機のウィングマンが無人機だけとなる事態がやってきそうですね。ソフトウェアのアップデートで戦力がどんどん上がるのであれば人間の経験や学習はどうなるのでしょうか。不安もありますね。

 

AFRL sets first flight date for XQ-58A

11 JULY, 2018
SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
BY: STEPHEN TRIMBLE
WASHINGTON DC

期的な構想で航空戦を一変させる新型実証機のフライトテストが今秋に行われると米空軍研究実験部門(AFRL)司令のウィリアム・クーリー少将Maj Gen William Cooleyが発表した。
機体はXQ-58Aヴァルキリーで標的無人機メーカーのクラトスが制作した。同機はAFRLが進める「忠実なるウィングマン」 “Loyal Wingman”構想を体現し、低費用無人機で有人戦闘機の減少を補い戦闘能力を引き上げつつ空軍予算を食いつぶさない特徴がある。
クーリー少将は空軍協会主催のイベントでヴァルキリーにUSAF内部から「多大な関心が寄せられている」と述べた。
「基本的な考え方は戦闘航空機を非常に低いコストで作るため最新の製造技術を使い、コストを可能な限り低く抑えることだ」(クーリー少将)
AFRLはXQ-58Aを低費用消耗品扱い攻撃機材実証機low cost attritable strike demonstrator (LCASD) 事業の予算で作った。「消耗」の語を使ったのには意図がありAFRLは同無人機を一回限りの使用にしたくなかったのだ。このような装備が実戦配備されれば再利用していくが事故や敵の攻撃により喪失しても十分耐えられる水準の価格にするという意味だ。
この発想は高性能有人機のロッキード・マーティンF-22やF-35とだけではくこれまでの高性能だが高価格の無人航空戦闘機材の在り方とも対照的と言える。
AFRLではLCASDを忠実なるウィングマンとして作戦投入する構想をまとめつつあり、XQ-58Aも単独飛行するのではなく最初から有人戦闘機とペアで飛行テストを行う。
XQ-58Aの詳細は未公表だ。AFRLは同機の想像図を昨年に「画家によるコンセプト図」として公表していたが実機とはかけ離れていた。機体構造の詳細は不明だがAFRLは全長は9.14m (30ft)で翼幅は8.23 mと認めている。機内または主翼に272kg (600lb)のペイロードを搭載できるとAFRLは述べている。
2015年、2017年にAFRL予算でHave Raiderと呼ぶ実験を行っていた。ロッキードのスカンクワークスがF-16の制御系を完全自律操縦可能としたが、安全のためパイロットが搭乗していた。二回目のテストでは自律操縦F-16が新たに発生した脅威に人間の介入なしで対応していた。
USAFが忠実なるウィングマンの実現に向かうとすれば、一つの選択肢はたとえばF-16やB-1といった退役ずみ機材を活用し、コンピューターに手を加え自律操縦ソフトウェアを搭載し無人僚機として獣人機と組ませることが考えられる。だがAFRLはXQ-58Aで実証する内容で進めたいようだ。
「これまで進めてきた形で機体を製造するほうがよい。つまり低コスト消耗品扱い機体だ」(クーリー少将)■

2018年7月15日日曜日

F-35B搭載のUSSエセックスが沈黙のまま太平洋へ出動したのは中国へのメッセージ

The US Navy just quietly sent an F-35 aircraft carrier to the Pacific — and it signals a big change米海軍が沈黙のままF-35搭載空母を太平洋へ出動させたのは大きな変化のあらわれか


f 35bUSSアメリカ艦上で兵装満載のまま短距離離艦を始めるF-35B。 Lockheed Martin
  • 米海軍が小型空母USSエセックスを西太平洋に出動させた。米海兵隊所属のF-35B共用打撃戦闘機を搭載している。この事実は公表していない。
  • 米国はF-35展開を通常は大々的に宣伝するが、今回は沈黙を保っているのは大きな変更を意味するのだろう。
  • 米国には西太平洋に主要敵対国数か国があり、その動きへの対抗上今回は作戦運用を広報活動より優先したのだろう。



海軍がF-35配備の動きを宣伝してきた従来の慣行を破りジャンプジェット空母USSエセックスを西太平洋に同機満載し秘密のうちに派遣した。厄介な敵対国対策で米国の対応方法に変化が生まれることを示唆しているようだ。
USSワスプが今年先に米海兵隊所属F-35B部隊を搭載する初の小型空母になった際にはメディア報道があった。だがエセックスの出港では変化がみられ、海軍当局は出港後に事実発表したとUSNI Newsが報じた。
大小問わず空母含む主力艦を米海軍は世界各地に派遣しているが今回のような形の出動は以前に一回あったのみだ。
F-35は史上最高額の兵器システムとなったが費用の膨張や遅延で繰り返し批判を受けてきた。海兵隊運用のF-35Bは垂直着陸と短距離離陸が可能で、強襲揚陸艦で運用できる。AV-8Bに後退して対地対空攻撃ミッションを実施する。海軍用のF-35Cには拘束フックがついており空母着艦ができる
当然ながら米軍は最新ジェット機を見せつけることに熱心であり、ステルスと高性能センサー制御により航空戦を革命的に変えると豪語している。ただしこの広報活動を今回行わず作戦面を重視したようだ。
海軍としてはメディアが太平洋への艦船派遣について期待する内容を変えたかったのだと消息筋がUSNI Newsに語っている。
米軍は艦船派遣特に空母展開を数か月前から宣伝することが通常だが今回極秘のうちに事を進めたのはこの慣行に反する。

では米海軍は太平洋で何を隠そうとしているのか。

USS Ronald Reagan Navyルソン海峡を通過するUSSロナルド・レーガン(CVN 76) の飛行甲板。Mass Communication Specialist 3rd Class Ryan McFarlane/US Navy
米国には太平洋に主要敵対勢力がある。中国とやや規模は劣るが北朝鮮だ。
北朝鮮との対話が進行中でもあり、米国としては西太平洋への部隊展開について口を開きたくないのだろう。ことに次世代ステルスジェット機が展開すれば目立つ動きで北朝鮮を刺激することになる。
ただし米国に最大の脅威を与えているのは中国海軍であり、これが米海軍が沈黙を保った理由だろう。
日本に前方配備中の空母USSロナルド・レーガンが南シナ海を哨戒航行したが、米国はこの件を極力発表しなかった。Business Insiderは繰り返し本件のコメントを求めたが無視されたままだ。
米国は海軍を使い「航行の自由」作戦を展開している。基本的にある国が過剰な海洋領有権を主張した場合、米国は駆逐艦一隻を航行させその主張を認めていない意思を伝えている。
中国はこうしたパトロール航行を自国主権の侵害ととらえ排除しようとする。米国にとって中国の主張に対抗することが通常となり報道の価値がなくなる方が得策だ。一部には米国は中国の軍事力に対して報道なしでメッセージを伝えたかったのではないかとの見方がある。報道されると事態がエスカレートしかねないからだ。

これだけの規模の出動を広報せずに行い、米国は中国のコートにボールを打ち込む準備が出来ていると伝えたいのではないか。高性能軍事装備でにらみを利かせ報道発表の代わりに海軍部隊同士で事態に対処したいと考えたのではないか。■

2018年7月12日木曜日

このまま日本の防衛産業は弱体化していくのか

Japan Snubs Homegrown Weaponry to Buy From the U.S. 米国製武器購入を優先するあまり国内産業を冷遇する日本

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2018年7月11日 5:00 JST Updated on 2018年7月11日 15:18 JST
本の消費者が米国製自動車を大量に購入してドナルド・トランプが喜ぶ事態の実現する可能性は限りなく小さいが、安倍政権が防衛費を歴史的な規模に拡大していることから日米貿易で米大統領に大いに期待できる側面が生まれてきたと言えよう。
日本による米海外軍事販売制度を通じた調達は人件費除く日本の防衛費で今年は16%相当にまで拡大しており、2014年度から倍増になっている。これは公表データからブルームバーグが独自試算したものである。
更に高性能米製レーダー、ジェット戦闘機、ミサイル防衛装備を今後導入する予定があり米防衛産業界が数十億ドル単位の売上を期待する一方、日本側各社は今後もたいした売上増は期待できない。というのは規模の経済により国産技術が一層高価になっており、安倍政権としては費用対効果を追求せざるを得なくなっているためだ。
トランプ大統領は昨年11月の日本訪問で安倍首相に「大量の軍事装備」を米国から導入するよう迫った。日本は言われる前にすでに防衛支出を5.2兆円(470億ドル)と記録的な水準にひきあげており北朝鮮の核武装に対抗しようとしている。
トランプにとって不本意ながら日本は米国からの乗用車輸入は2017年で5.3億ドルにとどまる中で米国は日本製乗用車トラックを398億ドルも買っているのだ。軍事部門以外では日本は液化天然ガスなどエネルギー調達を増やす勢いだ。2017年で日本の米国からの最大の輸入品は農業製品、化学製品、機械類だった。
米製装備品が優先的に選択されているため日米両国の各部隊の共同運用が簡単になっているが、米製装備品を完成品で導入すれば国内部品メーカーの雇用にはつながらず、結局各社が撤退する結果となると三菱重工業執行役員の阿部直彦は見る。同社は日本最大の防衛事業契約企業で戦闘機、ヘリコプター、艦船、ミサイル他を製造する。.艦船の国内建造には外的脅威はさほどないが、航空機ではコストが大きな要素になっている。
.財務省からは国産輸送機C-2より性能は劣るが価格が半分以下のロッキード・マーティンC-130Jに切り替えるべきとの提言がでている。C-2は川崎重工業製で今年も2機が導入される。
日本は老朽化進むF-4の代替用にF-35A導入を急いでいる。国内メーカーにとって次の正念場はF-2後継機をどこで作るかだ。
.F-2生産は2011年に終了してたが、その前から部品メーカーに防衛事業から撤退の動きがでていた。住友電工は2007年に防衛省関連の事業を終了し、ヨコハマタイヤは航空機用タイヤの防衛省向け納入を終わらせている。2016年には防衛産業向け供給実績のある72社中52社が関係パーツメーカーが事業閉鎖したり供給をストップした事態に遭遇したと政府調査に回答している。
F-2退役は2030年から始まるが、三菱重工やIHI含む数社がX-2高度技術実証機を製造し、後継機の国産製造の可能性を示した。「国内産業の生き残りをかけて開発は国内主導で行わせてもらいたい」と三菱重工の阿部執行役員が報道陣に先月語っている
X-2が2016年に飛行試験に成功したことから国内産業に国内開発能力が十分にあることが証明されていると阿部は指摘。だが時事通信が3月に防衛省は国産開発はコスト高を理由に断念したと伝えていた。
小野寺五典防衛相はこうした報道内容を否定したものの防衛省は海外企業との共同開発を模索しているのは事実だ。ロイターは日本が欧米メーカーに情報提供を求めていると伝えている。
.与党自民党の一部には防衛予算は国内産業界の支援に使うべきとの意見もある。自民党国防部会長の若宮健嗣からは5月に国内企業支援により海外との競争力拡大を図ることが重要との認識が示されていた。
.同じ自民党から6月1日に安倍首相に対してさらなる防衛費増額を求める意見が提示された。日本の防衛費は国内総生産の1パーセント未満で、北大西洋条約機構加盟国の目標2%よりはるかに少ない。
コスト削減のため若宮は防衛装備品の輸出拡大で生産量を確保する必要があるとするが、今までのところ輸出の成功例は皆無に近い。

コスト以上に情報開示に厳しい制約が課せられていることが原因と指摘する声もある。防衛産業各社は「歯がゆい思いをしつつ努力してきたが限界に近づきつつある」という。■

2018年7月9日月曜日

米海軍駆逐艦が台湾海峡を通過航行(7月7日)



貿易摩擦、知的財産侵害、さらには北朝鮮やイランへの米方針への公然たる非追従、また国際秩序を塗り替える動きを隠さない(現状維持を変える勢力は危険な国家扱いとなります)中国に対し今年に入ってからの米政権の動きは急ピッチで厳しさを増していますね。貿易制裁で打撃を受けるのは中国ですが、我慢比べの様相を示してくるでしょう。台湾海峡は自国の領海とまさか中国は思っていないはずですが、しっぺ返しで日本の国際海峡に中国艦船が侵入する事態も考えられ、今後警戒態勢を強める必要がありますね。


Two U.S. Destroyers Sail Through Taiwan Strait 米駆逐艦二隻が台湾海峡を航行

July 7, 2018 6:56 PM

USS Benfold (DDG-65) and USS Mustin (DDG-89). US Navy Photo

海軍誘導ミサイル駆逐艦二隻が週末に台湾海峡を航行した。米国防関係者がUSNI Newsに土曜日にこの事実を確認した。

日本配備の駆逐艦USSマスティン (DDG-89)、USSベンフォールド (DDG-65)が現地時間7月7日に台湾海峡(巾110マイル)に進入した。

「米海軍艦船二隻は台湾海峡の国際海域を7月7日から8日にかけ通常の形で通行した」と太平洋艦隊広報官チャーリー・ブラウン大佐がUSNI Newsに土曜日伝えている。「米海軍艦船は南シナ海、東シナ海で長年にわたり航行しており、台湾海峡通過も行っている」

ブラウン大佐はこれ以上の詳細を明かしていない。台湾国防省は現地報道機関に対し米駆逐艦隊の行動を台湾政府把握していたと明らかにしている。

人民解放軍海軍が両艦の海峡航行に対し何らかの対応をしたのか関係者は明らかにしていない。南太平洋で行動する米艦船にはPLAN艦船の追尾監視が通常だ。中国政府の支配下にある環球時報から中国艦船が追尾したとのツィートが出ており、「米国は台湾海峡の緊張をあおっている」とし、「PLA海軍はこの事態を把握しつつ自制したと軍関係者が述べている」とある。

米艦船の台湾海峡航行は2017年7月以来となった。前年には日本配備のUSSジョン・S・マケイン(DDG-56) が同海峡に入った。米空母の航行では2007年のUSSキティー・ホーク(CV-63)が最後となっている。

今年6月にペンタゴンが定期的な艦船による台湾海峡通行の再開を検討しており、その狙いは台湾支持を目核にすることとロイターが伝えていた。中国は台湾周辺で軍事演習を今年になり強化しており、台湾は独立国でなく分離したままの国内省と中国は見ている。■