技術は金で買えばよい、という中国の考え方は大変早く結果を生むのですが如何せん技術知見が背後にないため見かけだけのスカスカの装備になり、文字通り張子の虎なのでしょう。技術がないため原因がわかっても手が出せない。そうなるとコツコツと技術を整備する(こういう根気のいる仕事は中国人が苦手)か、手っとり早く他国から入手するしかありません。こうしてみると中国技術の虚像ぶりが見えてきますが気を許すことは許されません。
China’s Flawed Naval Fighter 中国艦載戦闘機の欠陥
Engines and flight control systems bedevil Beijing's Flanker
中国版フランカーがエンジンと飛行制御系のトラブルに直面
WIB AIR July 9, 2018 Dave Majumdar
中国は瀋陽J-15フライングシャーク艦載戦闘機の後継機種を開発中。
J-15はロシアのSu-33フランカーDの試作機T-10K-3を原型としライセンスを無視して国産化したものだが、人民解放軍海軍で失望を生んでいる。エンジンや飛行制御系が原因の大事故で機体喪失が続いている。
J-15問題は相当深刻で中国も後継機となる新型艦載機開発に乗り出さざるを得なくなっている。
「J-15後継機」の開発が進んでいるとPLA空軍副司令官张洪贺Zhang Honghe中将がサウスチャイナモーニングスター紙に語っている。
J-15後継機の姿は不明で現行001型、001A型空母のスキージャンプ式発艦に対応するのか、今後登場する002型空母の電磁式発艦システムにも対応するのかわからない。
中国の海軍関係のアナリスト陣からは中国がFC-31Gyrfalconの海軍版を開発中との指摘がある。同機は瀋陽航空機が「自社資金」で開発したといわれる。
しかし中国筋からJ-15後継機で公式発表はない。
Above and at top — Chinese J-15 fighter planes. Photos via Chinese Internet
J-15運用を断念することになったのは深刻な事故が連続発生したためだ。上記サウスチャイナモーニングポストによればJ-15墜落事故が少なくとも四回発生し、うち一回は死亡事故、別に重傷が発生したのは「弁解の余地のない機械系の故障」のせいだという。原因は国産開発のエンジンと飛行制御系のようだ。
「J-15は問題が多い機体で不安定な飛行制御系が二年前発生した死亡事故二件の主原因」と消息筋が同紙に語っている。J-15墜落事故二件で「飛行制御が故障」したのは地上滑走路へアプローチ中だった。このことからJ-15の飛行制御に問題があることがわかる。
さらにJ-15が搭載する瀋陽黎明発動機製造Shenyang Liming製WS-10Hエンジンの信頼性の程度や、墜落原因だったのか不明だ。J-15旧型はロシア製AL-31Fエンジンを搭載しており、信頼性はある程度まであった。
中国もJ-15の問題は把握しているようだが、機体配備を急ぎリスクに目をつぶっているのは米海軍とは異質の考え方が背景にあることを示す。米海軍の場合は配備後に問題が判明した機体に飛行制限するのが普通で、安全面で深刻な問題と判明すればペンタゴンは同機運航を認めない。
「もちろん訓練中に発生する事故の完全予防は不可能だ。だが西側諸国と違い中国の空軍パイロットは機械系の故障があっても操縦を命令される」とPLAN退役関係者が同紙に語っている。
またPLANはJ-15問題の本質について口を閉ざしているが、これも世界各国の軍組織でよく見られる傾向だ。
「航空専門家は当初J-15の設計に問題があること自体を認めようとしなかった」と内部筋は同紙に語っている。海軍パイロットCao Xianjianの墜落死亡事故が発生してやっと問題があると認めた始末だ」
J-15に深刻な設計不良があるのは前から知られている。
つまるところ中国は不完全な試作型のスホイSu-33をウクライナから入手しリバースエンジニアリングしたのだ。中国技術陣にはフランカーの内部構造を学ぶ機会になったが機体そのものを開発をしていないので理解は完全でなく、かつリバースエンジニアリングにつきものの制約に阻まれたのだ。
こうした知識面のギャップが中国がJ-15で問題に直面することにつながったのだろう。■
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