2019年2月9日土曜日

中国J-20の性能、ミッションを推測する....F-22で勝てるのか


Stealth Attack: What If An F-22 Raptor Battled China's J-20 Fighter?

F-22ラプターが中国J-20と対決すれば勝者はどちらか?


January 22, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldF-22J-20
済でトラブルがあるとはいえ中国は米国と並ぶ軍事大国の座を今後五十年に渡り維持しそうだ。米中直接対決となれば第三次世界大戦になりかねずその可能性は低いが米国は最悪の事態に備える必要があるのは確かだ。
航空戦や航空優勢を巡る戦いが現代の通常戦で鍵を握る。米国の場合はロッキード・マーティンF-22ラプターが中心となり空の支配を確保する想定で、米空軍が目指すF-Xが実現するまでその座を守るだろう。
中国でラプターに一番近い存在と言える成都J-20は米軍の最高性能機材とどう戦うだろうか。
J-20では既知の事柄は少ない。通常の概念で言う戦闘機ではないのかもしれない。特殊任務機材で米兵力投射能力を西太平洋で撃破して中国の接近素子領域拒否(A2/AD)戦略を実現する存在かも知れない。また給油機、AWACS、JSTARSといった支援機材を狙う、あるいは巡航ミサイルで各地の米軍基地や空母を攻撃する想定かもしれない。
J-20で判明している事項をあげると、ステルス機の構造でありラプターやF-35共用打撃戦闘機の特徴を堂々と模倣している。偶然こうなったのではない。中国がF-35の極秘データを大量に盗んだ可能性は充分ある。
J-20がもっぱら攻撃機である兆候があるが同時に空対空戦闘能力も充分あるようだ。F-35と同様にJ-20試作機では電子光学方式の標的捕捉装備が機首下に搭載され、Beijing A-Star Science and Technology製の電子光学方式標的捕捉装置electro-optical targeting system (EOTS)である可能性がある。制空権確保用の機材ではこのセンサーは不要な存在だ.
J-20がアクティブ電子スキャン方式アレイレーダー(AESA)を搭載している兆候がある。すでに1475型レーダーの搭載が知られており、中国ではツボレフTu-204でこのレーダー試験をしたことが判明している。ただしこの情報自体の確認ができない。人民解放軍空軍(PLAAF)が開発中の機材について情報開示をしていない。このため中国がSu-35に関心を示したのは同機のレーダーとエンジンの技術がほしかったためともいわれる。中国が実用に耐えるAESAをどこまで開発しているか疑わしい。
J-20が攻撃に特化した機体に思えるのは機体構造が巨大だが主翼面積が比較的小さいためだ。兵装搭載スペースも大きいようだ。こうした特徴は超音速攻撃機には最適だが航空優勢戦闘機には向いていない。
これだけの機体サイズの航空優勢戦闘機に必要なエンジンを中国は実用化していない。国産WS-10エンジンは未完成であり、次世代エンジンWS-15の開発もめどがたたない。中国で信頼性が十分なエンジンはでておらず、ロシア技術を盗用したエンジンでさえこのとおりだ。だが攻撃機にはずば抜けた推力重量比は不要なので現在搭載しているロシア製サトゥルンAL-31Fエンジン双発で十分ではないか。
さらに短距離性能のF-22やF-35が西太平洋での作戦行動に適しているのかという議論は根強い。なんと言っても距離が長い上に基地が少ない。だが同じ地理条件は中国にもあてはまる。F-22やF-35では空中給油機の支援が不可欠だ。そこで中国としては米国や同盟国の空軍力を減ずるには主力機材と真っ向勝負するかわりに戦闘維持を可能とする装備を除去すればよい。つまり米軍基地や給油機、通信設備を排除しればよいのであり、J-20が中国に航空優勢を実現する手段になりうる。この点で同機はF-22より優位に立つ可能性がある。
もちろん以上はすべて推測である。J-20をどう戦闘投入するかを熟知するのはPLAAFのみだが手強い敵機になりそうだ。■
Dave Majumdar is the former Defense Editor for The National Interest.
Image: Creative Commons.

2019年2月8日金曜日

☆F-22実戦機材の確保の苦労する米空軍の姿

The U.S. Air Force Cannibalized an F-22 Raptor Squadron 

F-22一個飛行隊を解隊してまで機材やりくりに苦労する米空軍

It's better to have fewer but larger flying units. 
全体機数が減っても第一線飛行隊の配備機数が増えるほうがよい
January 25, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWorldF-22Stealth


2018年10月にフロリダを襲ったハリケーンで壊滅的被害を受けたティンダル空軍基地だが希望の兆しも生まれている。
暴風雨により米空軍は同基地配備のF-22ラプター飛行隊を移動させたため他基地のF-22機数が増える結果を生んだ。
ハリケーン・マイケルにより空軍は第一線部隊での配備機数は24機を下回らくすべしとの会計検査院の指摘事項を期せずして実現したことになる。「F-22は186機と小規模だが空軍は各機を最大限活用していない」と検査院は2018年報告書で指摘していた。
だが逆の面もある。第一線F-22飛行隊5個の維持のため六番目の飛行隊が犠牲になっており、空軍が目指す現行312飛行隊体制を386隊に拡大する野心的な計画の実現が危うくなってきた。
ハリケーン・マイケルの直撃を受けたティンダルでは樹木が根っこから倒され、建物が損壊し、ハンガーの屋根が飛ばされた。ハリケーン来襲の前に43戦闘飛行隊(訓練部隊)と95戦闘飛行隊(実戦用)は計55機のF-22を運用していた。
F-22ではエイビオニクスやステルス塗料が複雑かつ微妙なため整備が大変である。ティンダルでは55機配備で飛行可能機は暴風雨来襲の前は38機だった。残る17機は全体の一割近くに相当しハンガーで風雨にさらされ、一部で損傷が発生した。
空軍要員は急いで修理をしており、10月21日、24日に一部がティンダルから移動飛行し11月16日に最後の三機が同基地を離れた。
ティンダル基地の完全回復には数カ年の工期で数十億ドルが必要となりそうだが、空軍は同基地のF-22全機を他基地に移動させると発表。43戦闘飛行隊は訓練隊として28機体制でフロリダ西部のエグリン基地に移転する。
だがその機数はハリケーン前より3機少ない。つまり少なくともラプター3機が長期修理が必要となる程度の損傷を受けたことになる。
一方で実戦用の95戦闘飛行隊は保有機を基地三ヶ所に分散させる。ヴァージニア州ラングレー、アラスカのエルメンドーフ、ハワイのヒッカムの各基地に5飛行隊が配備されているが、暴風雨時点でラングレーの二個飛行隊は各23機を配備していた。エルメンドーフは二個飛行隊で47機、ヒッカムは一個飛行隊を州軍航空隊として20機配備していた。
そこで95飛行隊の24機を5個飛行隊に分散すれば24機体制を維持できるとAir Force Timesが伝えている。たしかに5飛行隊で7機あれば24機ずつになる計算だ。
95飛行隊のラプター17機は修理か予備機材として損耗補充用とするのだろう。ロッキード・マーティンはF-22を2011年までに195機完成している。うち8機はテスト機材だった。2018年時点で飛行可能機材は183機しかない。
ハリケーンによる損傷以外に少なくとも第一線配備機材2機、テスト機材2機を喪失しており、大きく損傷した機体もある。ラプターはそもそも不足気味なのにティンダルでの訓練中に損傷した機体の修理に四年と数千万ドルの費用が必要だった。
同様にテスト仕様のF-22にも多額の予算と時間を欠けて追加テストに耐えられるようにしており、95飛行隊機材を活用して空軍は運用体制を改善するのだろう。
戦闘機は4機編隊で飛ぶことが多いので24機あれば18機体制より多くのソーティを務められる。さらに機数が増えれば人員装備の活用も高くできる。
だが95隊機材を利用すれば空軍の飛行隊は311個になり2018年末時点からひとつ減る。今後10年程度で385飛行隊体制をめざす空軍としては逆行することになる。
空軍の拡張案には批判も多い。まず機材調達の予算が足りない。その意味でハリケーン後に空軍が飛行隊を減らしてでも一個飛行隊あたりの配備機数を増やす動きに出ていることに注目すべきだ。■

David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.

2019年2月7日木曜日

KC-46A引き渡しが始まったが、ブーム再設計が必要と判明

US Air Force eyes KC-46A aerial refuelling boom redesign

Pat Host, Everett, Washington - Jane's Defence Weekly
29 January 2019


USAFはボーイングKC-46Aペガサスで問題が指摘されているブームの再設計を行い、軽量機の空中給油を改善する。 Source: Boeing


  • 米空軍はKC-46Aのブーム部分を再設計を検討中
  • USAFは改修経費を負担することで合意済み
空軍はボーイングKC-46Aペガサスのブームを再設計する。フェアチャイルド-リパブリックA-10サンダーボルトIIなど軽量機への給油の難しさが指摘されていた。
空軍長官ヘザー・ウィルソンは1月24日に軽量機への給油後にブームが外れにくくなる問題を指摘した。アクチュエータに手を入れセンサー能力を引き上げる必要があるが、ウィルソン長官は問題になっている軽量機はA-10のみと付け加えた。
A-10はUSAF機材では軽量な部類で、例えばロッキード・マーティンC-130Hハーキュリーズが空虚重量で34,686 kgだがA-10は9,183 kgしかない。F-35AライトニングIIでも13,290 kgだ。
ボーイングでのKC-46A初納入式典でウィルソン長官はUSAFがブーム再設計経費を負担すると飲みた。これはボーイングが空軍要求の国際基準を満たす内容を実現しているためだ。USAFがブームで経費負担し、ボーイングは遠隔視認装置(RVS)の改修費用を負担する。ボーイングはRVSのハードウェア、ソフトウェア双方の改良で太陽光の影響を排除し自動調整が可能となるとしている。

ウィルソン長官はブーム再設計がKC-46Aで初の変更点となるとも述べた。■

2019年2月6日水曜日

次回トランプ金会談で韓国の行方が決まる 日本も安閑としていられない交渉の鍵は在韓米軍の行方だ

A Strategic Disaster Looms at the 2nd Trump-Kim Summit

第二回トランプ金首脳会談が戦略的失敗に終わる可能性

President Donald Trump meets with North Korean leader Kim Jong Un on Sentosa Island, Tuesday, June 12, 2018, in Singapore.
JANUARY 30, 2019

年1月始め、韓国はマイク・ポンペイオ国務長官の発言に震撼した。平壌は祝杯をあげただろうが、長官はフォックニュースで米国本土の安全が最優先であり、このため米国は北朝鮮非核化をめざすと語ったのだ。長官が否定しなかった想定が危険をはらむ。トランプ政権が北朝鮮との交渉を優先し韓国との同盟関係を取引材料にするのではないか。 

米政府が米国の安全を第一に置くのは当然であり、そうしなければ無責任のそしりを逃れない。遠隔地で戦火が開くのを阻止することが本国の安全にどうつながっているかを米国民は理解していない。指導層が認識すべきは朝鮮半島や北東アジアの有事で米本土の安全や経済活動にどんな影響が生まれるかだ。仮に北朝鮮が米本土を狙うミサイルを廃止しても、在韓米軍を撤退させればアメリカに害が返ってくる。地域内の武力衝突の可能性が高まり米国民や同盟国が血と富を犠牲にすることになる。

ドナルド・トランプと金正恩は今月末に二回目の直接会談に臨む。首脳会談でトランプ政権にとって最大の外交成果が生まれる可能性もあるが、米国と韓国にとり戦略的失敗の序曲となる可能性もある。
.会談が近づく中、米韓両国の同盟関係を破綻させかねない3つの問題を克服し、両国の安全保障で破滅的影響が出ないよう努力すべきだ。まず、在韓米軍の経費負担で韓国が拒否していること、二番目にホワイトハウスが米本土防衛を最優先しているが韓国にどんな意味があるのか、三番目にトランプが同盟関係を軽視していることだ。

韓国は金正恩が北朝鮮ICBM開発終了の見返りに在韓米軍の撤退をトランプに求めるのではと懸念している。金正恩は韓国が米軍経費負担に合意していない状況を知っており、韓国のために米軍を危険に犯す必要はないと主張してくるのではないか。

仮にそんな合意が生まれれば、トランプではなく金正恩が史上最大の取引成約者となり、核武装した北、世界第四位規模の軍組織と南の吸収合併を当然視するイデオロギー存続を米大統領に認めさせたことになる。トランプは韓国と北東アジアを喪失した大統領として記憶されるだろう。

金正恩にとって在韓米軍は大きな脅威であり、核兵器を米国に向けているのはそのせいだ。だが在韓米軍の存在は北朝鮮の南進を阻止する抑止力だ。米軍が去れば金正恩には分割統治戦略を実現する好機が生まれ、韓国併合に向かうだろう。米軍が朝鮮半島を去れば武力衝突の発生は必至だ。

だがトランプが最大の外交上の成果を手に入れたようにまず映るはずだ。ワシントンは行き詰まった韓国との在韓米軍経費負担交渉の継続は断念し、米韓関係は最低水準にまで下がる。米側は「心理マジノ線」と呼ばれる年間一兆ウォン(12億ドル)の負担水準の突破を韓国に求めているが、韓国政府は承服できないとしている。金正恩はここでナポレオンの法則を使うだろう。「敵が過ちを冒している際には決して手を出してはならない」

もちろんこうした意見衝突を超えた意味が同盟関係にある。ただいトランプは同盟関係を軽視してやまず先回のシンガポール会談では韓国から米軍を呼び戻したいとさえ発言している。シリアやアフガニスタンでも同様の発言があり、実際に両国から部隊撤退を命じているので今回も大統領の発言内容を真剣に受け止めるべきだろう。
負担分担を巡る堂々巡りに北朝鮮のICBM戦力解体が加われば大統領は撤退を命じてしまうかも知れない。金正恩が自国ICBMと核弾頭を中国に譲渡する可能性が浮上している。

トランプがそんな提案を目の前にしたら可能性はふたつだ。まず受け入れれば朝鮮は米防衛線の外側とした1950年の過ち以上の規模で戦略的誤謬となる。1950年にはそれを聞いて金日成が南侵攻を開始した。

二番目は金正恩と全力で対決した指導者としてトランプが歴史本に名を刻むことだ。金正恩がICBMを断念すると認めるとすれば実はICBM戦力を大規模に保有していないためであり、金王朝でも最高水準の交渉戦術を使ってい代償なしで結果を得ることになる。トランプに本国防衛へ集中させながら韓国を放棄させれば朝鮮半島内の戦闘をまきおこさせることになる。

米軍が半島から本国に戻れば金正恩は安全を感じ満足するだろうか。2018年4月の板門店宣言およびシンガポール首脳会談声明の双方で朝鮮半島全土の非核化が金正恩の目的と述べている。この意味を理解するためには米国は1991年以来朝鮮半島内に戦術核兵器を持ち込んでいない事実を理解する必要がある。ただし金正恩は在韓米軍の存在、戦略装備の展開、抑止力の拡大は韓国を「核化」するのと同じと考えているのである。金正恩が「非核化」を口にする際は「在韓米軍」のことを指す。

金正恩は米国と自国の関係改善への前向きな姿勢も話題にしている。また米国の「敵対政策」の終了も口にしている。だが北朝鮮指導者の真意はここでも米軍部隊の撤退なのだ。

同様に金正恩が安全保障上の保証を求めていることに混乱する向きがある。金正恩の視点では公式文書や署名は保証として不十分である。そこで物理的な保証を求め、ここでも米軍撤退を意味し、同盟関係の終了、抑止力整備の中止、韓国と日本への核の傘提供の終了を求めている。

米本土への脅威を除去すべく「大安売り」すれば米国の対北朝鮮取引も不成功に終わる。トランプにとって唯一の実質的な勝利は南北統一朝鮮国家の出現まで朝鮮半島での戦闘事態勃発を防止することだ。非核化と米国本土や同盟各国への脅威を除去するには他に手段がない。■

David Maxwell, a 30-year veteran of the United States Army and retired Special Forces colonel, is a senior fellow at the Foundation for Defense of Democracies.

2019年2月5日火曜日

ドイツ次期戦闘機選定でF-35が落選、ロッキードにはショックか

Germany drops F-35 from fighter tender; Boeing F/A-18 and Eurofighter to battle on ドイツが戦闘機選定でF-35を外し、ボーイングF/A-18とユーロファイターの一騎打ちに


イツはトーネード後継機にユーロファイターあるいはF/A-18のいずれかを候補とし、ロッキード・マーティンF-35ステルス戦闘機は選択肢に入れないことにすると国防省筋が1月31日明らかにした。
同省はボーイングエアバス双方から詳細情報を入手後に機種選定するが、条件は米国の核兵器を運用能力があることで、ドイツのNATOにおける責務を果たすことだ。
決定の工程表は不明だが米政府による核兵器運搬能力を両機種で認証する時間が必要となる。ドイツはトーネードを85機運用中だが核兵器運用機は一部だ。
ドイツ空軍では最も初期に導入したユーロファイター33機の老朽化でも対応を迫られており、性能向上型の新型ユーロファイターに置き換える。エアバスには30億ユーロ(34億ドル)相当の商機となる。
ボーイングはF/A-18の売り込みに際して同機の稼働率の高さ、比較的低コストな運用、強力な電子戦能力を強調している。
今回のドイツ決定はロッキードには手痛い結果となり、F-35ではベルギーと並び新規販売を皮算用していた。
.昨年ドイツ空軍参謀総長はF-35を強く推して更迭されている。
エアバスはユーロファイター機材更新案を歓迎しており、トーネード後継機でも同社製品の選定でリスクが最小限になると述べている。
ロッキードからはまだドイツ政府の決定は正式に伝えられていないとし、F-35が性能面で最高かつライフサイクルコストが最小になるとし、長期的に見た産業経済面の効果も強調する。
ボーイングおよび在ドイツ米大使館は論評を避けている。
.国防相ウルスラ・フォン・デアライエンは当初2018年末の選定としていたが、国防省で外部コンサルタントの登用他でスキャンダルが発生し混迷している。
軍事筋ではトーネードの就役開始が1983年で整備費用が高騰しており後継機種が早急に必要との意見が共通している。詳しい筋によれば同機を2030年まで運用すれば80億ユーロが必要という。
機種選定に近い筋からは国防省は米国製機材のいずれかとユーロファイターの同時採用を模索中との指摘が昨年出ていた。ユーロファイターはエアバス以外に英BAEシステムズ、伊レオナルド SpAも生産に加わる。だがドイツは一機種に絞るようだ。

ドイツに一番近いフランスはF-35を採用すれば2040年を目標に仏独共同開発をめざす新型戦闘機開発構想が実現しにくくなると警告していた。■

2019年2月4日月曜日

今年は日英が戦略的同盟関係を模索する年になるか

日本国民の関心は周囲の近海に偏りがちで思考がグローバルにひろがりにくいのはなぜでしょうか。その点で安倍外交が国民の先を走れば走るほど国民に違和感が残りそうです。そもそもホルムズ海峡の危機は日本にとって「周辺事態」ではないとどうして言えるのでしょうか。国境線しか頭にない方には利益線は受け入れられないでしょう。日英接近はその意味で思考を試す機会になりそうです。英国原稿なのでdefenceになっています。思えば英語もこれまで米語中心ですが、そろそろ多様性に目を開いていいのではないでしょうか。

Is increased UK-Japan defence cooperation leading to a new strategic alliance? 日英の防衛協力強化は新たな戦略同盟関係につながるか

Rob Clark
January 30, 2019

At a time of reduced certainty surrounding the security of both the UK and in particular Japan, these two island states are looking at increased military cooperation in order to maximise their respective capabilities. 安全保障環境で不確実性が増す中で共に島しょ国家の両国が防衛面の協力関係を強化して能力を最大限に引き出そうとしている。

年は日英両国にとっては安全保障防衛関係で良い結果を生むべく課題にとりくむ年になる。
安倍晋三首相の1月訪英で両国関係が改めて注目された。これまでの一年半では2+2含む大臣級会合に加えメイ首相の2017年訪日もあったが今回の首脳会談で防衛関係のさらなる強化を目指した。特にサイバー、対テロ、英海軍と海上自衛隊の交流強化をめざし海軍間の関係強化を強調したのには理由がある。
HMS Albion proves big in Japan on landmark visit to Tokyo
東京へ寄港したHMSアルビオン

安倍訪英中にHMSモントローズの日本寄港予定の発表があり、過去12ヶ月で英艦艇の日本回航は4隻となる。違法な瀬取りによる北朝鮮への石油その他禁制物資の受け渡しを国連安全保障理事会決議2375号に基づき取り締まる任務もこなすが、両国海軍は昨年も共同演習を展開しており、HMSアーガイルの他、HMSサザランド、アルビオンが自衛隊艦艇に加わり、国際法に則った地域秩序の維持が日英両国の国益に叶うことを示した。
英国の視点でみると東南アジア新興国へのアクセス維持、国際通商航路をインド太平洋で維持することがEU脱退後の英経済の成長に不可欠である。日本の視点では米国との同盟関係がギクシャクする中で中核的権益の確保のためにも別の方法も模索したいところだ。従来の安全保障の枠組みを多様化させるのは米国の現政権と中国の軍事的台頭の2つが背景にある。
第二次大戦終結後の日本の安全は日米安全保障条約(1951年)で米国が模索し、1960年の日米相互協力安全保障条約では条約の終了を想定しておらず軋轢も増えている。2016年に共和党候補になったトランプが大統領当選の暁には米国による日本防衛の責任を見直すと発言し、日本の核武装さえ容認した。こうした可能性は幸いにも実現していないが、トランプは安全保障では日本に有利と見ており、日本では日本の弱点を不安視する声が強まっている。
トランプ率いる米国の修正主義で改めて弱点が浮き上がり、さらに中国が強気に出る傾向が強まるなかで日本は三方面で打開策を模索している。まず、いずも級ヘリコプター空母を限定的とはいえ航空母艦に改装することがあり、F-35十数機を搭載する。日本は100機超を80億ドルから130億ドルで米国から導入する。
HMSサザーランドがJSときわから洋上補給を受ける

ステルス戦闘機導入ができたのは防衛費の増額で2019年から2024年にかけ1,880億ポンドを支出するのが第二の方策だ。防衛予算が国会を通過したのは中国の海軍空軍の活発な動きへの対応が念頭にあるためだ。とくに東シナ海の尖閣諸島方面が懸念対象だ。
三番目があらたな提携先を模索し、米国との同盟関係の脆弱性を担保したいとする。このため安倍はロンドンに赴き、メイは東京を訪れ、その他高級大臣訪問が続いた。
英国はEU離脱に備える中でヨーロッパの安全は比較的恵まれていると見ており、英国はスエズ以東に目を向け、急拡大するグローバル市場としてマレーシア、ヴィエトナム、香港、インドネシア、シンガポール、インドとの提携を強め、オーストラリア、ニュージランド、インド、日本との既存防衛関係を強化すべきである。
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英フリゲート艦が海自艦船と太平洋を航行している

日本の自衛隊との共同作戦体制を強化し英国は自国権益に不可欠な通商と資本移動の自由の維持ならびにグローバル規模で法の支配による秩序維持につながる関係の構築をめざしている。
これまで18ヶ月の努力を元に戦略的な同盟関係が日英両国で生まれれば双方にとって有益な成果を今後期待できるはずだ。■

2019年2月3日日曜日

中国がDF-26を初めて発射テストしたが、空母にどこまでの脅威になるのか

Report: China Tests DF-26 "Carrier-Killer" Missile (Should the Navy Be Worried?) 中国が「空母キラー」DF-26ミサイルをテスト発射したが米海軍の心配の種となるのか

The test proved the DF-26 can strike moving targets thousands of miles away, Chinese media claimed. 中国メディアは数千マイル先の移動目標を狙う能力がDF-26にあると伝えているが....
January 30, 2019   Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaDF-26DF-21DASBMMissilesNavyU.S. Navy


DF-26弾道対艦ミサイルを北西部に移動させたとの発表から数週間で中国ロケット軍が数発を試射したと国営通信が伝えている。
報道では数千マイル先を移動中の標的も十分狙う性能が実証されたとする。理論上はDF-26で米海軍空母やグアム島の基地を狙える。
専門家には同ミサイルの命中精度に疑問の声があるが、米軍はDF-26をにらみ対抗装備を導入ずみで、さらに高性能のミサイル防衛も開発中だ。
人民解放軍ロケット軍の実弾ミサイル発射演習は中国北西部のどこかで実施されDF-26の2発を発射したと環球時報が1月24日に伝えている。.
PLAがDF-26十数発を中国内陸部に移動させたのは1月初めに米海軍艦艇がパラセル諸島に接近したことをうけてで、パラセル諸島近くを「航行の自由作戦」でUSSマクキャンベルが姿を現していた。
マクキャンベルはSM-6ミサイル運用が可能で理論上はDF-26を初期加速段階で迎撃し最終段階でも迎撃できる射程130マイルを誇る。
SM-6は米海軍巡洋艦駆逐艦に配備され2015年から三年連続で迎撃テストに成功している。
DF-26発射装置を内モンゴルに移動させるとパラセル諸島からはおよそ2千マイル離れるが中国は打ち上げ直後の同ミサイルの防御を念頭においているようだ。「移動式ミサイルを内陸奥地から発射すれば迎撃はそれだけ困難になる」と環球時報は軍事専門家の発言として伝えている。
発射直後でのDF-26迎撃は不可能としても2千マイル先の艦艇に命中させる精度があるか不明だ。「DF-26の命中精度は不明だが誤差150ないし450メートルとの観測がある」と戦略国際研究所は述べている。
だが2019年1月末の試射は懐疑派の見解があやまりだったと示している。
DF-26には制御面が4点あり「超越した制御性能で弾頭を低速移動中の空母に誘導できる」と環球時報はPLA元関係者の発言を伝えている。
目標に向け制御すべくDF-26にはレーダーがつくが同時にデータを外部からも受信すると環球時報が伝える。「情報ネットワークと接続させ衛星、地上及び海上レーダー更にミサイル自体のレーダーで飛翔を制御しつつ弾頭を誘導する」のだという。
DF-26の命中精度を疑う声もあるが、ペンタゴンは座して待っているわけではない。2018年時点でイージス駆逐艦巡洋艦でミサイル防衛能力を付与したのは38隻でSM-2、SM-3、SM-6を搭載している。2019年には41隻にする。
米海軍はSM-3のミサイル迎撃能力の向上策としてICBMの最高飛翔点や中間段階での迎撃も可能にする予定だ。
.米ミサイル防衛庁からはSM-3ブロックIIAでICBM迎撃を2020年にテストすると発表があった。SM-3で中間段階ICBMの迎撃に成功すれば、DF-26も中間飛翔段階で迎撃できるはずだ。
だが米国による中間段階ミサイル迎撃能力に懐疑的になる理由がある。SM-3は2002年以来のテスト42回で9回も迎撃失敗している。またテストの多くが現実より甘い条件だったり、中間飛翔段階ではなかった。
2017年5月に米陸軍の地上配備中間飛翔段階防衛の迎撃ロケットがICBMに類似した標的を太平洋上空60マイルで迎撃に成功した。だがこのテストもペンタゴンの宣伝するような現実的な条件では行われていない。
憂慮する科学者連盟のローラ・グレゴがテスト内容を検討したが標的ロケットは実際のICBMよりかなり低速だったという。
陸軍の中間段階防衛構想も現実には機能しない可能性がある。海軍のSM-3も同様だろう。ただし米艦船は無防備になるわけではない。最後の数秒間で飛来するミサイルを狙う可能性は残されている。
これだとギリギリの対応だ。迎撃が失敗すれば米艦艇は目標を外すよう祈るしかない。いずれにせよ中国が1月に行ったDF-26テストでは標的を外すリスクそのものを最小にするねらいがあった。■
David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring  and Machete Squad.

2019年2月2日土曜日

★★ペンタゴンがF-35性能に厳しい評価を下している F-35Bは大幅に耐用年数が短いと判明

The Pentagon's newest assessment of the F-35 is in, and it's not good ペンタゴンによるF-35最新評価は芳しくない内容
Jared Keller,


A formation of F-35A Lightning IIs, from the 388th and 419th Fighter Wings, fly over the Utah Test and Training Range as part of a combat power exercise on Nov. 19, 2018.ユタテスト訓練場上空を388戦闘飛行隊、419戦闘飛行隊所属の機体が飛ぶ。2018年11月19日の戦闘力実証演習にて。U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Andrew Lee


  • 国防総省によるF-35ライトニングII共用打撃戦闘機の評価内容をBloomberg Newsが入手。予算大幅超過しながらトラブル続きとの評価を大幅に変える内容ではない。
  • 評価で取り上げた問題には耐用年数が予想より短くなること、対地攻撃精度が低いことなどが含まれる。
  • 国長官代行は同機に対して厳しい目を向けている
突出するほど高額でありながら信頼性が低迷するF-35共用打撃戦闘機は予想以上の失望対象だとの国防総省評価内容をBloomberg Newsが入手した。
2018年作成のペンタゴン内運用テスト評価部門の報告書を公表にさきがけBloombergが入手したもので信頼性問題のため耐用年数が大幅に短くなる等を指摘し、既存機体の訓練や戦闘任務で「改善の方向は見えない」としつつ今後も問題が残ったままの機体になる危険に触れている。
Bloomberg記事は以下のポイントを伝えている。
  • F-35Bの耐用期間は「最低2,100時間」とこれまでの説明の8千時間から大幅に短くなる
  • 「信頼性と整備性は想定の8割で未達」とあり、訓練等に利用できる機体は少なく、稼働状況が悪い
  • サイバーセキュリティ・テストで露呈した弱点が「未だに解決されておらず」サイバー攻撃の高まりのなか懸念される。
  • 空軍の兵装テストで対地攻撃を試みたが精度は「不合格」で1月はじめにF-35Aが地上標的5点を同時攻撃するビデオを何者かが意図的にリークした背景がわかる。
前日に国防長官代行パトリック・シャナハンがF-35には「もっと高い性能発揮の可能性がある」と同機の弱点を厳しく批判する場面があった。
「納税者に対して見合った装備なのか疑う見方をしている」とシャナハンは1月29日述べ、「F-35にはもっと高い性能を示してもらいたい」
これに対してロッキード・マーティンのCEOは反論として投資機関向け電話説明で「F-15を発注してもF-35の導入機数を犠牲にすることはない」と述べたとワシントン・ポストが伝えている。「ペンタゴン上層部からこのことは直接聞いた。よってこの件について心配はない」
F-35事業は55年間供用想定で総額1.5兆ドルとなり、機体単価は2020年までに80百万ドルになる見込み。■
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こういう記事をご紹介するので当方はF-35に批判的とされるのでしょうね。しかし、本家本元のペンタゴンでこういう評価が出ているのは事実。情報が開かれている米国ではやはり納税者の視点が怖いのでしょうね。