2019年12月30日月曜日

イスラエル陸軍を最強にしている5大装備

5 Reasons Why You Won't Beat Israel in a War. Period.

You'll lose.
 December 28, 2019  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz  Tags: IsraelWeaponsDefenseTankArmyGaza

スラエル陸軍も空軍と同様に創設時は規模は小さかった。ただし空軍よりも組織化は進んでいた。起源をたどるとシオニストの準軍事組織ハガナthe Haganahに行きつく。1920年代にユダヤ住民の安全を守るため生まれた組織だ。
ハガナは英国の統治機構に当初こそ協力的だったが1944年に枢軸側の敗北が見えるや敵対しはじめた。ユダヤ人国家設立の必要性が明白になったためだ。1947年にハガナは正規軍部隊になり、イスラエル国建国の二週間後にイスラエル陸軍になった。
以来イスラエル陸軍は毎年のように戦闘に臨んでおり、イスラエル防衛のためシナイ半島、レバノン、ガザ、西岸まで展開した。
1947年当時のイスラエル人口は少ないものの教育水準が高く、国軍の編成・訓練は迅速に展開できた。人員数に限界があるイスラエル陸軍は高度技術や火力に頼る傾向が強く、周辺国より高い実力を維持している。では中東各国に対決を回避させているイスラエル陸軍の主要装備5点を見てみよう。
メルカヴァ主力戦車:
イスラエル軍総司令官イズラエル・タル大将の構想から生まれたメルカヴァはイスラエル初かつ唯一の国産主力戦車で、イスラエルの戦車構想から生まれた。全高が低く、強力な主砲を備えたメルカヴァはエンジンを車体前部に搭載し乗員の安全を守る。急角度の複合材装甲をつけたメルカヴァはシナイ半島のエジプト装甲部隊、ゴラン高原のシリア部隊に対し十分な防御能力を有する。
初期型は英国設計の105mm主砲を採用し、米M1エイブラムズの初期型と同様だった。後期型は国産120mm滑空砲を採用した。2千メートルでも照準は正確で対戦車榴弾(HEAT)、装甲貫通弾(AP)を打ち込む。その他通常弾の補完としてLAHATミサイルがあり、レーザー誘導で有効射程が9千メートルに達する。
メルカヴァはアクティブ防御装備を初めて採用し、各型合わせ2千両が製造され、うち660両が最新のマークIV仕様だ。
スパイクミサイル:
イスラエルが万能型対戦車誘導ミサイルとして開発しのがスパイクミサイルだ。このうちSR(短射程)型は単発発射の使い捨て方式で米LAWと似ている。スパイクにはターミナルシーカーがつき、タンデム方式の弾頭で反応型装甲に対応し、射程は800メートルだ。
スパイクはあらゆる地上車両の他にセラフ(アパッチ)攻撃ヘリ、海軍艦艇、無人機にまで搭載できる。戦車や装甲車両、艦船、航空機さらにテロ集団戦闘員もこれで対応できる。
スパイクの大型版は基本的に同じ構造で単に大きくなっているだけだ。このスパイクMRは米ジャヴェリンに似ており、射程2,500メートル。スパイクLRは米TOW-IIBに相当し、4,000メートルまで有効だ。そしてスパイクERは米ヘルファイヤに似る。見通し線の外まで有効射程とするスパイクNLOSは光ケーブルで25キロ以内の標的を捕捉、撃破できる。
ナメール装甲人員輸送車両:
歩兵戦闘車両の装甲は厚くない。M2ブラッドレイ、BMP-3やウォリアーは戦車砲弾や対戦車誘導ミサイルの前に脆弱だ。歩兵戦闘車両は強力な戦車と投入される想定なのでこれは問題だ。
この点ナメールは異なる。戦車から改装されているためだ。ナメールはメルカヴァMk.1戦車が母体で砲塔部分を除去し、強力な装甲を前方、側面にとりつけた。ナメールの重量は旧型メルカヴァとほぼ同等で、大量の装甲板を装着していることがわかる。
およそ120両のメルカヴァがナメールに改装され、三個大隊の移動に十分な規模だ。ナメールの乗員は3名で、歩兵9名を運ぶ。
タヴォール強襲ライフル:
イスラエル国産ライフル第二世代のタヴォールはイスラエル国防軍の標準歩兵装備だ。未来的なデザインのタヴォールはブルパップ方式で弾倉を銃床につけ、小型ながらライフル同様の銃身を確保している。
タヴォールは21世紀のライフルに見えるが、AK-47がルーツで、AK-47自身はM-1ガーランドから着想を得ている。ブルパップ式により全長28インチとコンパクトながら銃身は18インチとなっている。
銃弾は5.56ミリ弾でNATO制式の30発弾倉が使える。更に小型化した銃は銃身も短くなり、ピストルと同様の9mmパラベラム弾を使う。
「スマッシャー」多連装ロケエット弾発射装備:
イスラエルには米製装備を独自名称に置きかえる傾向があり、これもその例だが新名称がはるかに格好いい。
「スマッシャー」ロケット弾発射装備は実は米製M270MRLSである。米陸軍の砲兵隊標準装備のM270は1970年代に開発され、陸軍装備を変革させた「5大」装備の一画だ。M2ブラッドレイを改装して装備した「スマッシャー」は227ミリロケット弾12発を運用する。三両構成でクラスター弾23,184発を毎分発射し、1平方キロを飽和攻撃する。
イスラエル陸軍は「スマッシャー」48編成を保有し、現状は射程は40キロだが、新型ロケット弾は150キロになり現在開発中だ。これが実用化sれればイスラエル砲兵隊はハイファからダマスカスを脅かす事が可能となる。■

Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami. This first appeared in 2015.

最新ヴァージニア級で攻撃型原潜の作戦内容はこう変わる

Navy Block V Submarine Deal Brings New Attack Mission Ops

By Kris Osborn - Warrior Maven

量の火力を敵目標付近から投入する、脅威環境で「情報」活動を秘密裏に行う、水中から攻撃・偵察用無人機を発進させる...これが米海軍がヴァージニア級攻撃潜水艦ブロックVに期待する内容だ。
9隻が建造されると潜水艦による攻撃戦略や作戦構想に変化が生まれる。総額220億ドルのブロックV建造では全長80フィートの兵装部分が艦体に追加されトマホークミサイルが従来の12発から40発へと大幅に攻撃力を増強する。
「ブロックVヴァージニア級のヴァージニアペイロードモジュールは潜水艦戦力で画期的な進歩となる」と潜水艦部門の計画主管デイヴィッド・ゴーギンス少将が述べている。「新設計で艦隊は米国の海中優越性を維持できる」
海軍はブロックV各艦は「音響面で優越性を実現する設計変更」を搭載と伝えている。
「ブロックVには開発中の装備を搭載し、USSサウスダコタが1号艦となる」とクリストファー・ハンソン大佐(ヴァージニア級計画主任)が2019年4月に海軍連盟主催のシンポジウムで述べていた。
新規建造艦の技術的詳細は保安上の理由で不明だが、USSサウスダコタは各種新技術が導入され今までにない性能の攻撃型潜水艦になるとハンソン大佐は述べていた。同艦は供用を開始しており、テスト艦として新技術の実証に使われる。新技術はブロックVに加え2024年から始まるブロックVIにも応用される。やはり詳細は不明ながらUSSサウスダコタにはエンジン静粛化技術が導入され、偵察用の高性能アンテナ、低視認性船体塗装を採用と海軍技術陣は説明している。
ヴァージニア級の各ブロックではその時点での新規技術が都度導入されてきた。例としてブロックIIIでヴァージニアペイロードモジュールが導入されており、攻撃力が大幅に強化され、トマホーク6本単位の発射管が追加された。またブロックIIIで新型大型開口艦首(LAB)「馬蹄形」ソナーが採用された。
LABソナーは正確かつ有効距離が従来型より伸びる。またパッシブ、アクティブ双方の性能が向上した。パッシブは基本的に追跡用または「聴音」用で敵の動きを掴むのが目的だ。また音波を発しないため自艦の位置を隠すこともできる。ただし、「ピン」音を発出するアクティブ型の機能は有しない。潜水艦内では返ってくる音波を解析して敵艦の形状、速力、距離を把握する。ある意味でソナーはレーダーに似ているが、ソナーは音響信号、レーダーは電子信号を使う点が異なる。
このコンセプトがブロックVで拡大され、「アップグレード可能」艦になったが、ヴァージニア級が登場した15年以上前に予測されていた。2005年の技術論文ではヴァージニア級をモジュラー方式建造とし、オープンアーキテクチャ方式の利点を享受すべきとある。ヴァージニア級は将来のアップグレードを前提に建造されてきた。
論文は音響迅速COTS挿入(ARCI)に触れ、「ヴァージニア級、SSGN(オハイオ級艦を誘導ミサイル潜水艦に改装したもの)、今後登場する級に共通のモジュラー方式とする」構想とある。ARCIはその後十数年間に渡り成功をおさめており、最近の論文では対機雷ミッション対応が強調されている。
技術面工学面から見ればモジュラー化で各艦のハードウェア、ソフトウェアが対応可能になる。例として攻撃型潜水艦では魚雷とトマホークを運用するが、あと10年もすれば新型潜水艦発射兵器が当然ながら登場するだろう。
ブロックVではブロックIIIが採用した「フライ・バイ・ワイヤ」航法制御が搭載され、従来の機械式油圧制御装置は不要となった。操艦はジョイスティックとデジタル海図で行い、コンピュータ自動化で任意の場所に艦を移動させる。つまりコンピュータで深度速度を制御し、人員は指揮統制に集中する。
ソフトウェアでのアップグレードと急進歩するAIの活用で、ミッションの限界が広がり攻撃型潜水艦によるISR活動の可能性が増える。リアルタイムのアナリティクスとセンサー入力からこれまで人員で処理してきた機能をコンピュータがこなす。これにより攻撃型潜水艦の操艦はスピードアップし、深度速力や進路を迅速に変更でき、攻撃を受けた際の対応がすばやくなる。
潜水時の指揮統制でも無人装備の投入が増える。米海軍は新型UUVの整備を急いでおり、機雷の排除、低リスク前方偵察、補給品配送、「人員の介入を前提とした」火力の運用までを想定している。無人海洋システム主管のピート・スモール大佐によれば開発中のオーカXLUUVつまり超大型無人水中機では魚雷発射も想定している。
新型ヴァージニア級攻撃型潜水艦は特殊作戦ミッションに最適化されており、ブロックIIIで導入された「ロックアウトトランク」装備がブロックVでは最初から艦の一部となり大型化している。ロックアウトトランクとは海水を注入し特殊部隊を発進させ、隊員はこれまでより容易かつ静かに海中に展開できる
特殊作戦対応や偵察活動の機能が充実したため海軍は攻撃型潜水艦に「スパイ」として情報収集監視偵察ミッションを充実させ敵沿岸部近くの浅海部でにも忍び込ませ、敵潜水艦・水上艦や沿岸部の探知を行わせる戦略に切り替える。.
水中での航法精度があがり、探知能力が向上した中でコンピューターによる自動化と人工知能が加わることで、沿海部での行動が静粛かつ迅速に行えるようになり、敵の機雷や小舟艇などの脅威に対応できる。
ここまで接近して浅海域でも行動できる利点が生まれると「対地攻撃」ミッションの余地が増えると海軍は見ており、ISRの効果を活かし、対潜・対水上艦戦を展開できるという。
「これまでは『一匹狼』が前提だった潜水艦は今やネットワーク活用戦で鍵となる存在として世界的に認知されており、『水中優位性』を実現し、シーパワー21(海軍が以前提唱した攻撃構想で情報面での優越性を強調していた)で不可欠な要素になる」と2005年に海軍大学校論文が考察していた。■
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Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.

2019年12月29日日曜日

中国の南シナ海軍事拠点は容易に粉砕できる:軍事的意義よりも政治的な主張の道具か

コメントは下にあります

China's South China Sea Bases May Be More Trouble Than They Are Worth

More territory to defend.
Key point: The islands of the SCS have some military relevance, but are more important as a political claim to waterways and undersea resources. SCSの人工島に軍事的意義もあるがもっと重要なのは水路や海底資源の確保につながる政治的主張のツールとしての存在だ。
国は南シナ海に人工島数カ所を構築したが防御は可能なのか。
第二次大戦中の日本は島しょ部を支配する戦略的優位性に気づいたが、米軍による個別攻略を止められなかった。さらに時とともに各島が戦略面で重荷になり、糧食燃料装備の補給に苦しんだ。南シナ海(SCS)内の各島は中国に都合の良い位置関係にあり、中国軍にとって重要な存在だが、有事には価値が急速に低下する。
ミサイル陣地
中国はSCSに軍事拠点数カ所を構築し、おもなものにスプラトリー、パラセルがある。このうちスプラトリーではスビ、ミスチーフ、フィアリークロスの各地に航空施設があり、その他にもミサイル陣地、レーダー施設、ヘリコプター運用拠点がある。パラセルではウッディ島に大規模軍事施設があり、その他地点にもレーダー、ヘリコプター運用施設がある。中国は建設作業を続けており、軍事プレゼンスはさらに拡大する。この中で大型基地(スビ、ミスチーフ、フィアリークロス、ウッディ島)には軍用機運用に必要な設備があり、戦闘機や大型哨戒機が使える。ミサイル、レーダー、軍用機により中国はSCSに広く軍事力を行使できる。
SAM陣地が数カ所にあり、導入済みHQ-9は射程125マイル、さらにロシア製S-400が導入される可能性がある。また地上配備巡航ミサイルの配備もあり得る。こうしたミサイルによりステルス性能がない、あるいは十分な防空体制のない米艦船・航空機にはSCSが危険地域になる。SAM陣地はレーダーと連携し十分な電子戦能力がない敵機には接近ができなくなる。GLCMが配備されればA2/ADの効力がさらにあがる。ただし、潜水艦、艦船、航空機が発射するミサイルほどの威力がなくてもよい。
ただし有事になればミサイル陣地は生き残れるのか。地上配備ミサイルが航空機の攻撃に生き残るためには丘陵地、森林など天然の防御が必要だ。ところが人工島には天然防御は存在せず、構築物も集中攻撃を浴びれば粉砕される。さらにミサイル発射装置には燃料、電源、弾薬で相当の補給活動が前提となる。撃ち合いがはじまれば中国は十分な兵站が維持できなくなる可能性がある。
航空施設
SCSに構築した軍事拠点の主要4箇所で軍用機運用が可能だ。高性能戦闘機に加え哨戒機、電子戦機材、早期警戒機が運用されるだろう。各飛行施設を有効利用すれば中国のA2/ADの有効範囲は広がり、標的データを海上や中国本土のミサイル陣地に送信できる。戦闘機はSCS上空を危険空域に一変させ、搭載する巡航ミサイルにより米艦船は遠距離でも安心できなくなる。
だが有事になれば、攻撃を受けた航空施設の利用には物資装備の投入で補修をどこまでおこなえるかが鍵となる。米軍のミサイルや爆弾が降ればSCS内の各基地はもろい。大型島しょ部には航空機掩体壕があるが、米軍の集中攻撃を浴びれば掩体壕がいつまで持つか自明の理だ。
レーダー施設
SAMやGLCM、航空機には正確な標的データが必要だ。SCS島しょ部による最大の貢献はレーダー情報であり、中国はこのため多数地点にレーダー施設を構築した。各施設は他に代えがたい有益な戦闘の全体像を中国に提供するはずだ。また中国の防御態勢の強化にもつながる。
とはいえレーダーは米軍攻撃の前に脆弱だ。ミサイルによる運動的効果以外に電子戦、サイバー攻撃あるいは特殊部隊による強襲作戦も考えられる。有事には中国はレーダー網の急速な衰退に直面するはずだ。それでもレーダー網は安上がりに米軍のSCS侵入を難しくする手段となる。
兵站活動
中国軍のSCSでの作戦行動は中国本土との通信の保全に全て依存する。人工島の多くは十分な補給物資の備蓄はできず、あるいは補給物資を攻撃から有効に守れない。開戦となれば、各島しょ部への燃料、装備、弾薬の補給が困難となる。中国の輸送能力がぎりぎりまで酷使されるためだ。PLANやPLAAFが攻撃を浴びる該当島しょ部に危険な補給活動を実施し重要装備の喪失を覚悟できるだろうか。中国にとって不幸なのは各施設への補給は短期間では困難なことだ。
艦船対砦
ホレイショ・ネルソン卿は「砦に戦いを挑む艦船は愚か」と述べた。だがいまや艦船が砦に対し有利な状況になっている。SCS内の中国施設は固定されており、かつ十分な広さがないので軍事装備や物資は丸見えである。米国はSCS内の各施設の内容を把握し、軍事装備の補給路も追尾するだろう。これにより各島は艦船・航空機からの攻撃に極めて脆弱になる。ミサイルにはリアルタイムの標的データは不要である。
米国にとって賢明な手段はズムワルト級駆逐艦に搭載の高性能艦砲システムの「不使用」方針の撤回にある。同装備を活用すればズムワルトは中国施設を遠距離から攻撃でき、低コストで相当の損害を与えることができる。これ以外にも巡航ミサイル攻撃で重要目標への攻撃が可能だ。
SCS内の島しょ部には一定のの軍事的意義があるものの、水路や海底資源で政治的主張を押し通す意義のほうが重要だ。軍事面では中国のA2/ADの薄い外縁部を構成し、一定の条件で米国の作戦行動で制限が生まれるが、米空軍・海軍の攻撃力を持ってすれば難なく無効にできる。■
Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily eflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government. This first appeared last year.

コメント 辺野古埋め立てではあれだけ環境破壊を理由に反対しかも不当な実力行使までしている人たちはSCSでの中国の遥かに大規模な環境破壊になにも意見がないのでしょうか。この国の「平和勢力」に特有のダブルスタンダードではないでしょうか。ともあれ、軍事的に脆弱としても、既成事実の積み上げを容認してしまった国際社会の怠慢はこれから大きなつけを支払わられそうです。重要な交易路をSCSに有する日本が本来一番敏感になっていなければならないのですが。相手が既成事実の積み上げをしている中、航行の自由作戦は海自も行うべきではないですか。

2019年12月28日土曜日

中国のJ-20はF-22、F-35の性能水準に届かない存在だ


China's J-20 Stealth Jet Has Nothing On America's F-22 And F-35

中国のJ-20ステルス戦闘機は米F-22、F-35に追いつけない
Which means China is out of the game. つまり中国は同じ土俵に立てない
by Zachary KeckDecember 27, 2019  

国のJ-20戦闘機は初期作戦能力を獲得したと宣言があり、中国は同機が西側のステルス戦闘機の牙城に挑戦する存在と散々持ち上げている。「J-20はアジア太平洋地区の空軍の状況を書き換える。米空軍や日本だけがステルス戦闘機を配備してきた。だがいまや独占状況は中国のJ-20の登場で崩れた」との論評が国内に出ている。
中国はJ-20を米第5世代戦闘機のF-22およびF-35に競合する存在と一貫して宣伝してきた。だが新たに出てきた情報からこの主張に疑義が出ている。香港のサウスチャイナ・モーニング・ポストは「中国は初の高性能ステルス戦闘機の配備を急ぐあまり、間に合せエンジンを搭載した」と報じている。同紙によれば「性能が大幅に制約を受け、操縦性や燃料消費の点でも影響が出ており、超音速飛行時にステルス性も下がる」という。
記事ではJ-20は専用設計のW-15エンジンの搭載を予定していたが、2015年の試験中にW-15が爆発したある。事故で負傷者が発生しなかったのは幸いだったが、中国技術陣は問題解決できていないという。取材では「原因が多岐にわたり、タービンブレイドの単結晶で品質管理がうまく行っていない。エンジンの中核部品だ」との関係筋発言を受けている。具体的にはW-15の単結晶タービンブレイドではJ-20の高温環境や操縦性能に対応できない。
第5世代機ではこうした環境に対応できるエンジンが不可欠だ。記事ではF-22のプラット&ホイットニーF119はアフターバーナーを使わずに超音速に達するが同時にステルス性能も維持できるとある。同様のエンジンがないとJ-20は超音速域で非ステルスのままだ。
この問題は短期間で解決できるとは見えない。別の中国軍事筋もサウスチャイナ・モーニング・ポストに「中国の技術力で集中すれば短結晶タービンブレイドの最新型の実現は可能だ。だが高水準技術を大量生産できない。この解決には実験テストを繰り返すしか無いことが西側の知見から判明している」と述べている。
J-20はWS-10Bエンジンを搭載している。サウスチャイナ・モーニング・ポストによればWS-10Bは第4世代機J-10、J-11用のWS-10大行Taihangエンジンの改良型で、推力重量比ではJ-20はアフターバーナーなしでは超音速飛行できない。
実はJ-20には別のエンジンも想定されていた。当初はロシア製AL-31エンジンを搭載した。だが、これはWS-10Bよりも性能が低い。そのため中国はロシアに高性能エンジン売却を求めたものの、ロシアが拒否した。理由は中国がリバースエンジニアリングする恐れがあるためで、実際に中国は別の軍用装備でこれを行ってきた。
ロシアが拒否したため中国は国産エンジンに多額の資金を投入した。軍事筋はサウスチャイナ・モーニング・ポストに2010年から2015年にかけ237億ドルで高性能航空エンジン開発を目指したと語っている。中国国営メディアはこうした努力が実を結んだと報じてきた。中央電視台はW-15の性能はプラット&ホイットニーF119に匹敵すると宣伝してきたが、実は違う。
今回のサウスチャイナ・モーニング・ポスト記事の前にも2016年にロイターが第5世代機用エンジン開発に懸命な中国の様子を伝えているが、「中国エンジンメーカーに問題多数が立ちふさがっている」とした。ロイターはその中でも「J-20、J-31ともにスーパークルーズ性能がない」としていた。
それでも中国はいつの日にか高性能エンジンの製造が可能となると見ている。ロイター記事は外国技術者を雇い入れる中国の状況を伝えたが確認は取れなかったと伝えていた。また今後20年間で中国は3,000億ドルを投入して民生・軍用エンジンの開発をすすめるとの航空コンサルテイング企業の見方もある。
当面、中国軍用機は米国機の性能に届かないままだ。■

Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of The National Interest. This article first appeared several years ago.

2019年12月24日火曜日

次期戦闘機はNGFの呼称へ。日本独特の大型戦闘航空機になりそう

Latest Japanese Fighter Concept Suggests Greater Range

最新の日本の戦闘機コンセプトは、長い航続距離を示唆

Bradley Perrett December 20, 2019

Latest Next Generation Fighter concept.
Credit: Japanese Ministry of Defense

衛省は、日本が目指す次期戦闘機の新デザイン案を公開した。航続距離とペイロードが以前より重視されているようだ。
写真は決定案ではないとされるが、2020年4月1日から始まる新年度における戦闘機および関連技術で認められた総計280億円(255,780,000米ドル)の予算案の一貫として防衛省が示した。
事業名が将来型戦闘機から次世代戦闘機(NGF)へ変更になったと12月17日に河野太郎国防相が言及したが、2020年度予算案の防衛省文書で確認された。
双発型の同機は、2030年代の運用開始をめざし、日本は、英国および米国のパートナー企業との協力案を検討中。
今回発表の想像図は、26DMUと呼ばれた2014年度作成のものと大きく異なる。新設計は、将来型戦闘航空機構想(FCS)およびテンペスト戦闘機プログラムのコンセプトに通じるものがある。前者はフランスとドイツ、後者は英国が主導する。テンペストはNGFの原型になる可能性がある。
26DMUには傾斜した尾部表面4つがあったが、NGFには2つしかなく、おそらく45度で取り付けられる。
主翼部分も劇的に異なり、高いアスペクト比のようだ。前と同じように前縁部は直線構造だが、後縁はテンペストとFCASコンセプトの主翼に似ており、さらに1990年代に共用打撃戦闘機競合に失敗したマクドネルダグラス案のように、また1950年代のマクドネルF-101ブードゥーのように内側に傾斜している。
ダッソーのFCASコンセプトのように、日本案の後縁は、尾部表面の前縁とほぼ同じ点で胴体につながる。英国が公開したテンペストのコンセプトでは、主翼は日本案より低いアスペクト比で、尾翼表面の後縁まで後方に延長されている。
防衛省は航続距離と兵装搭載量を重視し、以前の設計では、4つの尾部表面が外側セクションより長く、より高いアスペクト比だった。アスペクト比が高いと、亜音速で航続距離と耐久性が向上しますが、胴体形状に抗力が大きく影響される。アスペクト比が高いと、離着陸時の重量が大きくでき、燃料・兵装をより多く搭載できる。
26DMUの主翼にはまっすぐな後縁があり、2013年度の25DMUよりもアスペクト比が低いようだ。25DMUでは、後縁はまっすぐ後退している。
25DMUの作成段階には、防衛省の開発部門は、先進的飛行性能ではなくても、長時間の飛行性能と長距離空対空兵装を機内内部に備えた大型戦闘機が日本に有益であると決めていた。このような戦闘機は、パフォーマンスの高い戦闘機よりも待機地点に長く残れる可能性がある。新しいデザインは、その構想をさらに進めており防衛省が望む姿を現しているのだろう。

各案とも非常に大型機で、F-22ラプターを上回り、おそらくゴジラの方がプロジェクト名としてふさわしい。
IHIは防衛省と推力33千ポンド以上といわれるXF9-1エンジンを同戦闘機用に開発している。
2020年度予算での280億円予算の説明は十分でない。河野大臣は12月17日、戦闘機の研究開発に111億円計上し、「概念設計」作業と説明。そのレベルの予算なら26DMU以前の設計案を超える作業規模だろうが、今の言いぶりでは2020年度に開発の本格立ち上げは想定していないようだ。
予算には、戦闘機ミッションシステム統合のの76億円も含まれており、防衛省要求した177億円から削減され、NGFに付随するドローンの作業は1億円で、要求19億円が削られている。
そうなると2020年度に内容不明のNGF作業92億円分が予算計上されていることになる。予算要求では、プログラム管理室の設置を同省は求めていた。
2018年後半に政府は、戦闘機開発を日本が主導権を握ると述べ、国際的なパートナーシップを暗示していた。新型機は、三菱重工業(MHI)F-2の後継機づくりが目的だ。
パートナー候補には、BAEシステムズ、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンに加えボーイングが想定される。 BAE提案はテンペスト事業への参加で、日本は独自の機体、エンジン、エイビオニクス、兵装、またはその組み合わせで、設計内容を選択できるという。■


2019年12月23日月曜日

姿を現し始めたB-21レイダー

Photo Caption & Credits

The Raider Takes Shape

Dec. 1, 2019
B-21レイダー爆撃機の一号機がノースロップ・グラマンのパームデール施設(カリフォーニア州)で組立て中で20ヶ月後にその姿を公開し、更に数カ月後に初飛行する。米空軍は今までの100機を150機まで追加調達する予算を要求している。B-21はこれまで極秘の機体だったがここにきて写真が流出しつつある。
空軍上層部もB-21の話題を堂々と口にするようになってきた。空軍迅速機能整備室を率いるランドール・G・ウォールデンは10月に「実際に部品製造の準備ができている」と語っていた。
製造はノースロップ・グラマンのパームデール工場で始まっている。「一機が中にある。試験用一号機だ。製造ラインはこの瞬間にも稼働中だ」とウォールデンは語る。主要構造部分の主翼などが組立ラインに搬入されている。
ただしこの段階でも事態は未だ流動的だ。空軍副参謀長スティーブン・W・ウィルソン大将はB-21初飛行日程の2021年12月をカウントダウンしていると発言。ウォールデンはそこまで自信がない。B-21の各部統合、地上テスト、さらに天候条件まで考慮すると複雑な事情のため断言できないというのだ。
ウォールデンはパームデールでのロールアウトはB-2の1988年同様に一般公開すると確約している。B-2ではロールアウトから初飛行まで9ヶ月かかったが、B-21では近隣のエドワーズAFBまでの初飛行はそこまで時間をかけず実施できるとウォールデンは述べている。
パームデールでB-2三十周年式典がありノースロップ・グラマンから同施設の従業員は24千名から28千名に増えたことを発表した。航空宇宙システムズ部門の社長ジャニス・G・パミジャンは「大幅に雇用を増やしている」とし、パームデール施設の更新拡充に触れ、RQ-4グローバルホーク、MQ-4トライトン生産を別の場所に移転したという。
ノースロップへ交付の技術製造開発契約は235億ドル規模の事業だ。製造契約は550億ドルで100機生産する内容とウォールデンは2016年に述べていたが、ここに内容不詳の「システムのファミリー」としてB-21の性能を引き上げる対策分は含まれていない。
空軍のB-21契約原案では「80機から100機」の想定であったが、ここにきて空軍は「最低100機」に変えており、空軍協会の9月カンファレンスで空軍参謀総長デイヴィッド・L・ゴールドフェイン大将は100機では足りないとの別の報道内容には「100%同じ見解」と発言して、B-21の開発サイクルはこれ以上加速できないものの、調達規模は100機を超え、しかも想定を上回るペースで進めたいと述べた。
空軍次官マシュー・P・ドノヴァンは10月のAir Force 誌取材で「必要な空軍の規模」について語り、爆撃機飛行隊はあと7つ必要とし、長距離兵力投射能力の拡充が太平洋地域等で求められると語っている。「一個飛行隊には8機を編入する」とし、空軍力の分析では56機の追加調達が必要と見ているとした。2020年度予算要求で「爆撃機の合計機数の実数がわかるはず」と述べた。だが同時に空軍協会のミッチェル航空宇宙研究所による分析では空軍にB-21が174機必要としている点に触れ、ゴールドフェイン大将も「同じ見解」だと述べた。
空軍から当初の価格目標や費用上限水準を変えるとの発表はまだ出ていない。2010年ドル価格基準で単価511百万ドルとしつつ550百万ドルは超えないとしていた。2019年ドル価格にするとそれぞれ553百万ドル、651.7百万ドルになる。ともに100機調達の前提なので調達規模が増えれば単価も下がる可能性がある。
空軍上層部からは数度に渡りB-21は空軍事業でもっとも効率よく運営されているとの言及があり、目標コストや日程管理に触れている。ウォールデンも機体価格が大幅に変化するとしたら性能要求が大きく変化した場合のみだと述べている。
USAFのグローバル打撃軍団ではB-1の62機、B-2の20機を2031年ごろまでに退役させる計画を立てている。B-21を毎年15機調達すればその時点で新型機が100機揃っているはずだ。空軍は420飛行試験飛行隊をエドワーズで再編成しており、B-21の試験を担当させる準備を整えている。
ウォールデンはAir Force 誌にB-21事業ではまだ空力特性の実証を行っておらず、風洞試験飲みになっていると述べている。「リスク低減では実証機材を使うのが通例」と述べつつ、縮小サイズの機体の実現は想定していないと述べそれ以上の詳細に触れていない。
ウォールデン発言に興味を覚えるのは空軍関係者や議会からB-21の調達方式に満足しているとの発言が出ていることだ。ノースロップ・グラマンを契約企業に選定したのは同社の「その他事業」での実績が理由だとされ、RQ-180がそのひとつとされる。ノースロップのバランスシートを見ると極秘事業が多数含まれていることが分かる。
B-21の機体形状はB-2と同じになっていることから高高度でのステルスに最適化されているようだ。B-2では事業の早い段階で要求内容が変わり、低空侵入飛行での機体取り回し性能を重視するようになった。そのためB-2では「のこぎりの歯」形状の後縁形状になり、これだけで数十億ドルと工期の追加になった。
空軍がB-21で唯一公開している想像図ではこの形状になっておらず、B-21では超低空飛行任務を想定していないことがわかる。
Comparing Stealth BombersComparing Stealth Bombers. Graphic: Dash Parham/staff; Illustration: Mike Tsukamoto/staff
B-21事業に参画する企業は7社のみ公表されている。うち、オービタルATKはノースロップグラマンが2018年に吸収した。残りはBAEシステムズGKNエアロスペースジャニッキインダストリーズロックウェル・コリンズスピリットエアロシステムズで、ロックウェル・コリンズはレイセオンテクノロジーズに合併される。
B-21では高性能デジタル工学手法が採用されており、空軍調達主任のウィル・ローパーは「デジタルセンチュリーシリーズ」戦闘機各種でも使う開発機関の短縮が特徴とする。
ウォールデンはB-21技術を次世代航空優勢(NGAD)事業にも「共有」できると見ており、ローパーがB-21事業主管のデイル・R・ホワイト大佐をNGADのトップに据えたことで実現の可能性が高まっている。
空軍は初のB-21飛行隊はサウスダコタ州ラピッドシティのエルスワースAFBになると発表している。同基地はB-1Bを運用中で、B-1からB-21への機種転換の場所となる。次がホワイトマンAFB(ミズーリ州)で唯一のB-2運用基地、さらにテキサスのダイエスAFBが続く。ヘザー・ウィルソン前空軍長官は「現時点の爆撃機基地は今後も爆撃機基地」と述べていた。ティンカーAFB(オクラホマ)がB-21の補給基地となり、同様にジョージアのロビンスAFB、オクラホマのヒルAFBも活用する。後者の二基地はサブアセンブリー部品の再生産や部品テストに使う。
B-21は最初から「基本無人機で有人操縦も選択可」の機体とされ、搭乗員がなくても運用可能だが、空軍上層部はこの点について一年以上にわたり口をつぐんでいる。また核兵器運用ではB21重力投下爆弾と長距離スタンドオフ(LRSO)ミサイル(開発中)の二型式の運用認証を受ける。LRSOでは通常型も開発中だ。
ドノヴァン次官は10月のAir Force誌で空軍は国防総省にB-21追加調達の予算計上を求めるとし、地上配備戦略抑止力事業(ミニットマンICBMの後継ミサイル)、LRSOとともに空軍の通常予算とは別扱いにすると述べていた。海軍もコロンビア級弾道ミサイル潜水艦で潜水艦建造技術基盤の温存の名目で同様の扱いを受けている。ただし抑止力三本柱の残りとなる空軍のミサイル、爆撃機では産業基盤の話題はない。

空軍としては三本柱の近代化のため優先順位の高い他の事業が犠牲になる事態に直面するかもしれない。近代化が必要なのは核兵器だけでないし、戦闘機、給油機、宇宙、サイバーもある中で予算の限界に到達してしまう。「空軍の優先事業の枠内で全てを実行できない状態」とドノヴァン次官も認めている。■