スキップしてメイン コンテンツに移動

中国のJ-20はF-22、F-35の性能水準に届かない存在だ


China's J-20 Stealth Jet Has Nothing On America's F-22 And F-35

中国のJ-20ステルス戦闘機は米F-22、F-35に追いつけない
Which means China is out of the game. つまり中国は同じ土俵に立てない
by Zachary KeckDecember 27, 2019  

国のJ-20戦闘機は初期作戦能力を獲得したと宣言があり、中国は同機が西側のステルス戦闘機の牙城に挑戦する存在と散々持ち上げている。「J-20はアジア太平洋地区の空軍の状況を書き換える。米空軍や日本だけがステルス戦闘機を配備してきた。だがいまや独占状況は中国のJ-20の登場で崩れた」との論評が国内に出ている。
中国はJ-20を米第5世代戦闘機のF-22およびF-35に競合する存在と一貫して宣伝してきた。だが新たに出てきた情報からこの主張に疑義が出ている。香港のサウスチャイナ・モーニング・ポストは「中国は初の高性能ステルス戦闘機の配備を急ぐあまり、間に合せエンジンを搭載した」と報じている。同紙によれば「性能が大幅に制約を受け、操縦性や燃料消費の点でも影響が出ており、超音速飛行時にステルス性も下がる」という。
記事ではJ-20は専用設計のW-15エンジンの搭載を予定していたが、2015年の試験中にW-15が爆発したある。事故で負傷者が発生しなかったのは幸いだったが、中国技術陣は問題解決できていないという。取材では「原因が多岐にわたり、タービンブレイドの単結晶で品質管理がうまく行っていない。エンジンの中核部品だ」との関係筋発言を受けている。具体的にはW-15の単結晶タービンブレイドではJ-20の高温環境や操縦性能に対応できない。
第5世代機ではこうした環境に対応できるエンジンが不可欠だ。記事ではF-22のプラット&ホイットニーF119はアフターバーナーを使わずに超音速に達するが同時にステルス性能も維持できるとある。同様のエンジンがないとJ-20は超音速域で非ステルスのままだ。
この問題は短期間で解決できるとは見えない。別の中国軍事筋もサウスチャイナ・モーニング・ポストに「中国の技術力で集中すれば短結晶タービンブレイドの最新型の実現は可能だ。だが高水準技術を大量生産できない。この解決には実験テストを繰り返すしか無いことが西側の知見から判明している」と述べている。
J-20はWS-10Bエンジンを搭載している。サウスチャイナ・モーニング・ポストによればWS-10Bは第4世代機J-10、J-11用のWS-10大行Taihangエンジンの改良型で、推力重量比ではJ-20はアフターバーナーなしでは超音速飛行できない。
実はJ-20には別のエンジンも想定されていた。当初はロシア製AL-31エンジンを搭載した。だが、これはWS-10Bよりも性能が低い。そのため中国はロシアに高性能エンジン売却を求めたものの、ロシアが拒否した。理由は中国がリバースエンジニアリングする恐れがあるためで、実際に中国は別の軍用装備でこれを行ってきた。
ロシアが拒否したため中国は国産エンジンに多額の資金を投入した。軍事筋はサウスチャイナ・モーニング・ポストに2010年から2015年にかけ237億ドルで高性能航空エンジン開発を目指したと語っている。中国国営メディアはこうした努力が実を結んだと報じてきた。中央電視台はW-15の性能はプラット&ホイットニーF119に匹敵すると宣伝してきたが、実は違う。
今回のサウスチャイナ・モーニング・ポスト記事の前にも2016年にロイターが第5世代機用エンジン開発に懸命な中国の様子を伝えているが、「中国エンジンメーカーに問題多数が立ちふさがっている」とした。ロイターはその中でも「J-20、J-31ともにスーパークルーズ性能がない」としていた。
それでも中国はいつの日にか高性能エンジンの製造が可能となると見ている。ロイター記事は外国技術者を雇い入れる中国の状況を伝えたが確認は取れなかったと伝えていた。また今後20年間で中国は3,000億ドルを投入して民生・軍用エンジンの開発をすすめるとの航空コンサルテイング企業の見方もある。
当面、中国軍用機は米国機の性能に届かないままだ。■

Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of The National Interest. This article first appeared several years ago.

コメント

  1. 管理人様、ちょうど気になっていたので感謝します。
    中国国内紙であるサウスチャイナ・モーニング・ポストがほぼ現状を報道するとは驚きだ。
    背景には軍事技術をハッキングや持ち出しで盗み出したことに報復中のトランプ政権に、未だ米軍に敵うレベルに非ずとアピールし怒りを鎮めるためか。
    それとも、最近になって開発が難航と伝えられているWS-15エンジンの出力未達・低寿命の問題をクリアする方法に目処が立ったためか。今後の動静に注目したい。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ