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INF条約後の世界:日本に米ミサイルが配備される日が来る(のか)

The US and Japan After the INF Treaty 

INF条約失効後の日米両国

Is this a game-changer for the U.S.-Japan alliance?
日米同盟の抜本的変化が生まれるのか。

December 01, 2019
   
The US and Japan After the INF Treaty

米国が日本に地上発射ミサイルを配備する日がくるのだろうか。その場合、配備されるミサイルはどの型式でどんな条件が課せられるだろうか。トランプ政権がINF条約破棄を選択した結果でこの議論が日本で始まった。条約失効で新型通常兵力による抑止効果の検討オプションが日米同盟に生まれる。すぐにでもミサイルが配備される可能性は低いが、日本政府は早ければ2019年末、あるいは年明けにも米国からこの問題の協議が提示されてくると見ている。

8月2日に米国は1987年締結の中距離核戦力(INF)条約脱退を実行した。

脱退の表向きの理由はロシアによる違反事項だが、中国も関連している。これまで32年間に渡りINF条約が米ロ両国を縛っていた間に中国がミサイル大国として台頭してきた。米インド太平洋司令部は中国のミサイル脅威の前にINF条約の実効力が失われたと実感してきた。中国は条約の縛りを受けていない。

INF条約の終焉により米国は32年間にわたり保有、運用できなかった兵器体系がまた使えるようになる。同条約で短距離ミサイルは射程500から1,000キロとされ、中距離ミサイルは1,000キロから5千キロ未満と定義された。INFの「N」は核兵器をさすが、条約では上記射程のミサイルは核、非核とわず禁止していた。調印批准を受けた同条約により冷戦時の二大超大国が該当タイプの兵器を持てなくなり、初の軍備管理が実現していた。

日本にはINF廃棄後のアジアの安全保障環境で新型米装備が太平洋で展開されれば抑止効果強化につながり、歓迎すべき事態となる。だが同時に中国とジレンマに陥る。中国にはINF条約定義に該当する弾道ミサイル・巡航ミサイル2千発超があり、米装備が直ちに加わらないと「ミサイルギャプ」の解消にならないと日本は見る。ただし日本側は中国への対抗には米ミサイルの国内配備が正しい選択と見ている。■

コメント

  1. ぼたんのちから2019年12月16日 10:17

    米国は、INFの首枷を外し、中露に対抗する中距離射程の弾道ミサイル(IRBM)や巡航ミサイルの配備を行うだろう。
    米国が主に対抗する相手は、中国であり、中国は、米露がINFを結び、互いに手足を縛っている間に、アジアの米軍に脅威を与えるIRBM群を整備し、IRBM分野での著しく不平等な状況を作り出してきた。
    米国は、中国のIRBM増強が無かったなら、ロシアが500㎞を多少越える射程のIRBMを配備しても、見て見ぬ振りをしていたかもしれない。
    中国は米露に加え中国も含めたINF再構築も拒否しているが、その意図は中距離ミサイルでの優位を維持し、拡大することであろう。
    米国は、将来、非核弾頭の中距離ミサイルを日本にも配備するだろう。
    本来ならば、日本を狙う中国の中距離ミサイルに対抗すべきは日本自身であるはずだ。しかし、日本は、憲法の「首枷」により攻撃目的の中距離ミサイルを保持しようとしない。
    近未来を予測すると、遺憾なことに軍事力を著しく増強し日本を威嚇する中国や、朝鮮半島の国家が増々攻撃的になりつつある。その先鋒は、中距離ミサイルであり、日本の迎撃ミサイルシステムでは十分な防衛は不可能になるだろう。このような状況で専守防衛では抑止力に成り難く、現実に合わなくなってきているのは明らかでなかろうか。

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  2. <米ミサイルの国内配備
    ミサイル車両を走らせるのに適した、火薬運搬の法律に引っかからず敵スパイや工作員がある程度入りづらい僻地が日本には沖縄の海兵隊演習場くらいしかありません。
    まずは日本国内の歴史のある米軍基地や日米共用基地、日米中戦が起きたらここにミサイルが降ってくるのは避けられないなと周辺住民も思ってそうな所ですかね。
    弾道ミサイルはもちろん巡航ミサイルも実はピンポイントの精度はありません。せいぜいCEP10mくらいですから固定サイロでもけっこう通常攻撃なら生き残れるのではないでしょうか。

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