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ブレグジットで英国の国防体制への影響はこうなる

Getting Brexit Done Brings Defense Challenges

ブレグジットは英国の国防にこんな影響を伴う

Tony Osborne December 17, 2019


リス・ジョンソン首相の地すべり的大勝におわった12月12日の総選挙結果で1月31日のブレグジットは確実になった。
だが「ブレグジットを実施に移せ」と保守党が今回の選挙運動に用いた熱狂が消えると英国は限りなく弱体な位置にあることを自覚するだろう。
選挙に勝ったジョンソンは反対派を恐れずにブレグジットを推進できる。だが勝者は他にもいる。
スコットランド国民党はスコットランドの定足59議席中48席を確保した。同党の公約はスコットランド分離独立だ。成功すれば英国の国防体制に大きな影響が生まれる。スコットランドには戦略上重要な航空基地がある他、もっと大事なトライデント級原子力潜水艦部隊の基地がある。ジョンソンが住民投票を少なくとも短期間のうちに認めることはないだろうが、政権がスコットランド国民党に苦しめられそうだ。また住民投票を認めないと非民主的と非難されよう。
EU加盟国アイルランド共和国と唯一国境を分かち合うのが北アイルランドのみとなれば複雑な様相が生まれる。ブレグジットでアイルランド海に境界線が生まれる。このことも安全保障で複雑な事情を作るが、政治影響力を失いつつある労働界から暴力に訴える傾向が増えそうだ。国民党派からはアイルランド再統一の動きがまたでそうだ。ジブラルタルとディエゴガルシアの将来ははっきりしない。
Fact Box
EU脱退により英国治安当局はEUデータベースに接続できなくなり、犯罪者、組織犯罪、テロリスト情報が得られくなる。またロシアが英国の民主制度に影響力を行使しているとの疑いが強まっている。選挙期間中は英政治へのロシアの侵入を伝える情報機関報告書の公開を差し止めていた。
また財務面でも影響がある。ブレグジットを決めた国民投票は2016年だった英国のGDPはその後停滞傾向を示し始め、経済成果と投資活動が減速している。国家負債が上昇している。英議会の試算ではブレグジットがなければ今後15年間でGDPが7%減るという。これは欧州大陸との自由貿易協定が成立した場合の想定だという。為替変動で大型案件は影響を受けそうで、ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機事業もその一つだ。
NATO加盟国では国防予算をGDP2%レベルにする目標があるが、英国はこれを守る数少ない国の一つだ。保守党の選挙公約では毎年インフレ率に0.5%は最低でも上乗せして支出するとある。英国の2019-2020年の国防予算は395億ポンド(527億ドル)なので2020年には413億ボンドになる。トライデント核抑止力は残し、国防産業には「大胆なグローバル事業」としてタイプ31フリゲート艦やボクサー装甲車両の現地生産の支援を与える。
12月には英海軍がクイーンエリザベス級空母二号艦HMSプリンスオブウェールズを就役させ、空母運用力の再構築が更に進んだ。今後は米東海岸沖合での公試もあり、2021年5月に初の作戦運用を開始する。
英国は2022年末までにF-35を運用35機体制を完成させるつもりであり、最終的に138機調達を目論む。この規模で十分なのかそれとも英国が追加調達に踏み切るのかは2020年予定の戦略国防安全保障見直し結果次第となる。
パナヴィア・トーネードが3月に退役し、ユーロファイター・タイフーンに防空任務の大半を任せる状態の一方でイラク、シリアではMQ-9リーパー無人機でイスラム国勢力への空爆を続けている。
タイフーン後継機として英国はテンペスト開発をイタリア、スウェーデンの支援ですすめている。2020年に協力国はさらにふえそうで、日本がその最右翼候補だ。またボーイングP-8哨戒機計9機発注分の初号機が納入されたことで、英国は長距離対潜戦能力を復活させ、4月には初期作戦能力を獲得する見込みだ。■


Based in London, Tony covers European defense programs. Prior to joining Aviation Week in November 2012, Tony was at Shephard Media Group where he was deputy editor for Rotorhub and Defence Helicopter magazines.

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