2020年2月9日日曜日

P-8にLRASM搭載進める米海軍は各種装備に攻撃力増強で中国海軍に対抗する


軍事力増強を自慢する中国ですが、米国は一層効果的な対抗手段の整備に向かっており、さらに高価な装備開発に向かわざるを得なくなります。これはソ連末期の状態と瓜二つで、さらにここに新型ウィルス問題で経済不況は避けられず、中国の現体制の終焉は意外に早くやってくるのかもしれません。



水艦、情報収集機、水上艦艇が戦力増強の対象となっているのは中国の精密スタンドオフ兵器で米艦隊が動きを阻まれる事態を米海軍が恐れている証拠だ。
まずP-8対潜哨戒機に長距離対艦ミサイル(LRASM)を搭載する。海軍で働き者のP-8には魚雷、ハープーンミサイル、SLAM対地攻撃弾が搭載ずみだが、LRASMさらに共用直接攻撃弾JDAM、小口径爆弾他が加わり、長距離地点から攻撃力が増強される。
LRASMは1千ポンド弾頭を搭載し、ステルス性能を発揮し敵ミサイル防衛網を突破する精密攻撃手段だ。従来のスタンドオフ対地攻撃ミサイル射程拡大型 (SLAM-ER)では135カイリ、ハープーンは70カイリだが、LRASAMの射程は公称200マイルだが実際はもっと長いと言われる。
LRASMはリンクを介して無人機、有人機と標的を把握し破壊する機能がある。空中発射式モデルは空軍のB-1、海軍のF/A-18での覇者テストに成功している。主契約企業ロッキード・マーティンでは海軍の巡洋艦、駆逐艦の垂直ミサイル発射装置からLRASM試射にも成功している。
ただし、P-8への搭載改修の完了は2026年以降となる。とはいえ、この動きは米軍の中で中国海軍への警戒感が高まり、米軍部隊が対象地域に近づけなくなる事態を恐れている証拠と言える。また在日米軍やグアムの基地防衛が困難になっている事態も反映している。
LRASM事業主管ウィル・ハーグリーヴス大佐はP-8への搭載時期を明言していないが、既存機材にミッションを追加する方法を模索しているとし、「機材統合で柔軟性を発揮することが費用対効果を高くし目標を達成する方法」と述べている。
中国の新型055型駆逐艦はVLSを112セル搭載し、従来の052D型の64セルから大きく威力が増えている。
新型駆逐艦で「中国の長距離攻撃能力は飛躍的に伸びる」とのレポートがあり、「055型1号艦の就役が2020年1月にあったが、ドレッドノート(1906年)、ビスマルク(1939年)の登場に匹敵する意義がある。歴史の上では両艦の登場で海軍戦略は大きく変わった。055型でも同じ効果が生まれるかもしれない」
こうした変化を背景に、米海軍も攻撃型潜水艦、対艦ミサイルの整備をここ数十年で始めて真剣に進めているというわけだ。旧式になったハープーンの新型導入もそのひとつだ。
2018年末に海軍はハープーン対艦ミサイルのロサンジェルス級潜水艦再搭載に向けボーイングと交渉に入った。これまで潜水艦には静かに沿海部に接近して情報収集あるいはトマホーク対地攻撃ミサイルを発射する任務をイラク、アフガニスタン、シリアで与えてきたのに対し大きな変化となる。
海軍では水上艦艇にも長距離ミサイル搭載を検討している。水上打開司令官トーマス・ロウデン中将は水平線超えミサイルを艦艇搭載すれば攻撃力が充実し、中国の急速な海軍兵力整備に対抗できると述べている。既存の攻撃手段に対し改良型対艦、対空、対潜兵器の新規調達を進めるとし、ハープーン、海軍攻撃ミサイル、長距離対艦ミサイルに言及した。■
この記事は以下を参考にしました

Eying China, Navy Refits P-8 Plane For Deeper Strike

on February 04, 2020 at 12:40 PM

2020年2月2日日曜日

主張 武漢コロナウィルスは中国共産党体制崩壊の始まりになる

ベルリッツ
保守派論客ウォルフビッツ氏の論考です。今回の事案が自然に発生したわけではないようです。ウィルス発生源はそのうち明らかになるでしょう。その際に中国の異常さが露呈するはずです。日本ではまだ冷静に考える余裕がないのか、お得意の報道しない自由なのか、人民解放軍関連の関与を伝えていません。これが中国現体制の終わりの始まりなのか、歴史が証明してくれるでしょう今から思えばチェルノブイリがソ連体制の終焉に繋がりましたよね。こういう意見は日本では黙殺されるでしょうね。それだけに読者とシェアしたいと思います。



ロナウィルス発症例が急増中だ。死亡者は少なくとも80名に達し、発症は十数カ国に広がっている。中国湖北省Hubei provinceがウィルス流行の出発点で封鎖状態に置かれ、都市部はあたかも終末を思わせ往来する車両、歩行者もない。コロナウィルスに毒性はあるが、事態を悪化させているのは中国の共産体制である。
 コロナウィルスの流行を止めるのは難しい。2003年のSARSでは800名が死亡したが、コロナウィルスでは本人が発症に気づかないうちに伝染している。医療関係者から「無症状の歩く肺炎」との発言も出ている。医療機関は大混乱し、中国の医療機関には大量の患者を収容できない。健常者も罹患の可能性がある。ロンドンのインペリアルカレッジの公衆衛生専門家ニール・ファーガソンは患者数を10万名と推定している。
 だが忘れてならないのは中国政府の責任だ。米国や連合国で100年前にあった戦時中検閲制度で「スペイン風邪」が各国にひろがり、米国内でも70万名が死亡した。コロナウィルスが同様の伝染力を有していれば、中国政府が初期段階で情報統制した責任は重い。コロナウィルス事例で政府の無能ぶり、不誠実さが浮き彫りになった。また危機の規模を偽ったり隠蔽する動きが見られた。
中国当局は必至にソーシャルメディアを統制し、危機の実態は政府発表より深刻との情報が伝わるのを遮断しようとしている。中国国内の投稿サイトWeiboで即座に削除された映像では病院内を歩く女性が廊下に放置された死体を指差していた。別の映像では若い男性が武漢で「真実を話す」と述べ病院内の混乱状態を伝えようとして警察に逮捕される恐れを覚悟の上で、やはり死体の放置状態を伝えている。削除は時間の問題だろう。 
 中国の防止策は不十分かつ時期を逸した。湖北省省長自身がその典型で省内のマスク製造規模を誤って発言している。まず108億個と述べ、その後18億に訂正し、さらにわずか108万と、武漢人口の1割にも満たないと明らかにした。省長自身が政府の無能ぶりの象徴となり、大衆の怒りの対象になった。
 武漢には中国で最先端のウィルス研究施設、武漢ウィルス研究所があり、中国軍向けの極秘研究を行っている。今回の新型コロナウィルスが同研究所から漏れたのは十分予測可能だ。
 もし事実なら、ソ連時代の1979年にスヴェルドロフスクで発生した炭疽菌アウトブレイク事例が想起される。ソ連の生物兵器開発施設から炭素菌が流出し、少なくとも64名が死亡した。だがソ連当局は事件を隠蔽し、露呈したのは1992年に自身もスヴェルドロフスクで党主席だったボリス・イェルツィン大統領(当時)が認めたためだった。ハーヴァード大のマシュー・メセルソン以下の西側専門家は罹患患者や医療従事者への聞き取り調査を許されたが、施設の換気設備のフィルター交換を怠ったため菌が外部へ流出したとの結論で、風により各方面に流れ発症に至った。このような状態では当局が真実を頑なに認めない姿勢を強める反面、大量発生への対応では透明性が一層必要となる。
 武漢には大量発生の公表二日前時点で世界最大規模のクイズ大会に4万家族が集まっていた。武漢の封鎖が5百万人が武漢から外部へ移動していた。当局はその後封鎖措置を56百万人規模にまで拡大したが、その前に数百万人が旧暦正月で各地に移動している。終末から中国は野生動物取引を一時停止させたが、コロナウィルスが動物から人体に伝染したあとの話だ。
 中国共産党体制では事大主義、隠匿体質、情報統制が必要とされる。コロナウィルスとの戦いでは全てでこの反対が必要となる。コロナウィルスを実態よりはるかに規模の大きい災禍にしたのは中国共産体制かもしれない。■

This article by Paul Wolfowitz first appeared at AEI.

今回の記事は以下を翻訳したものです

China's Chernobyl? Communism Is the Reason Coronavirus Is So Dangerous

China’s communist system requires sycophancy, opaqueness, and an absence of information. Combatting coronavirus requires the opposite.
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February 1, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaCoronavirusWuhan CoronavirusCommunismBig Government
ジャラハニー



B-21の新たな想像図公表。そこからわかることは....

米空軍がB-21のリアルな想像図を新たに公開しました。それだけ実機の開発が進んでいるということでしょう。予定では来年末に初号機が初飛行と、これまでにない開発ペースです。B-21についてはもともとLRS-Bと言われていましたので今後別用途の機体への進化が期待されること(空対空任務への投入もあり?)と、無人運行が基本と言われるなかどんなアルゴリズムを搭載しているのかが興味を感じるところです。

たに公開された構想図からB-21の空気取入口等ステルス性能につながる構造や機体サイズがわかる。

米空軍が開発を急ぐ極秘B-21レイダー爆撃機では情報が極めて少ない中、ノースロップ・グラマンが契約交付された2015年以来公開されたのは想像図一枚しかのみという状況が続いていた。

2020年1月31日、空軍はノースロップ・グラマンとともにB-21予想図3枚を公開した。それぞれサウスダコタ州エルスワース空軍基地、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地、テキサス州ダイエス空軍基地の格納庫写真に機体構想図を取り入れたものだ。2019年3月に空軍はレイダー実戦部隊をエルスワースから配備開始すると発表し、B-2、B-1超音速爆撃機をそれぞれ運用中のホワイトマン、ダイエス両基地にはB-21がその後配備される。

今回発表された想像図は次の三点。

USAF
USAF

USAF
想像図では詳細面が不明だが、B-2がB-21に大きく影響を与えているのがわかる。

B-21の空気取入口はエンジンナセルと一体化された画期的なデザインだ。ボーイングのMQ-25スティングレイ給油無人機もなめらかな形状の空気取入口だが、B-21と比べ直線的だ。

空気取入口の形状は大きな課題で、機体内に搭載する大型エンジンに空気取り入れをいかになめらかにするかが問題だった。今回明らかになったB-21の開発事情ではノースロップ・グラマンがこの解決に苦労したとあり、驚かされる。ただし、結果としてレーダー探知性をさらに下げる効果も生んだ。

USAF
B-2の空気取入口形状に注目。B-21想像図と簡単に比較できる。

今回発表の想像図からB-21とB-2の違いが浮上している。B-21の前縁部のチャイン線の構造はより複雑で、前縁部と機体をつなぐラインはB-2より急角度がついており、B-2の機首は鳥の嘴状だがこれが見当たらない。すべてステルス性能の向上を狙ったものだ。

想像図からB-21の降着装置と格納扉の配置はB-2に似ているが扉部分にギザギザの角度がついているのがわかる。B-2は台形形状だった。機首降着装置はB-2と似ているが扉はやはりギザギザ状になっている。


USAF
B-2スピリットの側面を見ると、主降着装置扉が台形形状になっているのがわかる。


また重要な点がある。B-21の主降着装置は二輪構造で、B-2は四輪だった。これはレイダーの総重量、機体サイズともにスピリットより小さいためだろう。

B-21の後縁部はダイヤモンド状でB-2ののこぎり状形状と異なるが、今回の公表図でははっきりしない。B-2では低高度侵入任務が新たに設定されたため設計変更となり高い経費で今の形状に落ち着いた経緯がある。B-21は後縁部設計でB-2より高高度性能が向上するはずだ。


airCloset

USAF
B-21構想図ではダイヤモンド形状の後縁部がわかる. 
DMM FX



B-21については不明点が多い。実機の公開時期も不明のままだ。空軍はB-21一号機の初飛行に2021年末を想定しているが、日程変更の可能性はある。エドワーズ空軍基地でテストがはじまれば、実機の姿を目にすることができるはずだ。

B-21構想図発表から数年が経過し、新型爆撃機の姿がわずかだが判明した。■


この記事は以下を参考にしました。

Here's Our Analysis Of The Air Force's New B-21 Stealth Bomber Renderings
Although limited in detail, the new concept art offers new insights into the B-21's inlets, other stealthy features, and overall size.
BY JOSEPH TREVITHICK AND TYLER ROGOWAYJANUARY 31, 2020


2020年1月31日金曜日

事業名称はF-X、今年中に海外共同開発国を決定したいとする防衛省



 あれ、NGFという名称は何だったのでしょうか。F-Xといういつもどおりの名称になったのでしょうか。それはともあれ、構想では一カ国を想定しているようで、これを米国と読むのが普通でしょう。スコーピオンはすでに多国間協力事業の様相を呈していますので。この件については読者の皆さんのご懸念のとおり、日本が主導権を握るのが条件となります。米国でも第6世代機の開発が簡単に進まない中で日本のF-Xにがぜん注目が集まるだけに事業体制の構築と実現で日本のイニシアチブが試されそうですね。

開発を進めるF-X戦闘機の構想イメージを公表し、「社会の関心を高める」狙いがあると防衛省は述べている。 Source: Japanese Ministry of Defense

本の防衛省(MoD)は今年末までに次世代戦闘機での共同開発の海外パートナーとの「枠組み」を作成する。 .
MoDは事業の公式名称は「F-X」であるとし、あらたな「構想イメージ」を提示している。同機は航空自衛隊で供用中のF-2戦闘機と2030年代に交代する想定だ。
新型戦闘機の姿を初めて公式に公開すされた。
「航空自衛隊のF-2は2035年頃に用途廃止となる」「F-X開発を急ぎ、試作一号機はF-2退役の開始前に完成させたい」とMoD広報官は述べ、「協力相手の模索は今後も続ける。協力体制の枠組みを決め、12月までに提携先を見つけて2021年度予算案に計上したい」という。
広報官は枠組みの中身を詳しく述べていない。ただし、構想では海外産業協力国を一カ国特定しF-X開発での役割を定めることになりそうだ。
また広報官はF-X開発予算は2020年度で280億円程度になると述べており、この内約6割の169億円を「F-X関連研究」に投じるという。つまり、残る111億円が「日本主導の開発体制の構想設計」に使われる。
広報官は事業の公式名称が2019年12月に将来型戦闘機からF-Xに変更されたと述べている。この変更が今回の構想イメージの公表につながった。■

この記事は以下を参考にしました。

Japan prepares F-X partnership framework

Jon Grevatt - Jane's Defence Industry
30 January 2020

2020年1月28日火曜日

NGFにロッキード提案のF-22、F-35ハイブリッド機採用の可能性はあるのか

総合するとロッキード提案は真剣に取り上げられていない気がしますが、逆転劇はありえます。ただし、F-2の痛い経験があり、ロッキード提案は結局日の目を見ないかもしれませんね。


本政府はF-22、F-35両機の要素を組み合わせた新型ステルス戦闘機の実現をめざすのか。

米側から極秘技術を日本に提供し、ハイブリッド機の実現を認める動きがある。

日本は1980年代90年代にもロッキード・マーティンのF-16戦闘機を原型にF-2を作った実績がある。だがF-2はひどく高価な機材になってしまった。日本がF-2と交代する機材を新規開発しても同様に高価になる可能性はある。

「米国からF-35が使う極秘技術の一部を日本に公開してもよいとの提案があり、F-2後継機の共同開発を働きかけられている」と読売新聞が報じた。

航空自衛隊にF-35配備が始まった。防衛省に届いた米提案はF-35他を原型に世界最高性能の戦闘機を共同開発しようというものだ。

日本政府筋によれば米国はF-35が搭載するエンジン、ミサイル含む各部制御のソフトウェアの詳細を開示してもよいとの姿勢を見せているという。F-35のソフトウェアは米国以外への公開をしていないが、F-2後継機向けにソースコードを見せてよいという。
.
ロッキード・マーティンはF-22の機体にF-35のセンサーや電子装備を搭載するハイブリッド構想を提案している。

2000年代はじめに日本はF-22取得をめざしたが、米国国内法によりロッキードはF-22を輸出できないと判明。ハイブリッド機なら法の縛りを受けないというのだ。

だが日本が求める機材数は少ない。航空自衛隊はF-35のA型B型合計141機を調達し、F-4および最古参のF-15に交代させる。

予定するF-35が全機そろえば、空自は改修版F-15Jの102機、F-2が82機とともに混合編成となる。日本のねらいはハイブリッド新型F-3でF-2に交代させることだが、F-15Jの更改用機材にもなる。

だが新型機を最大で184機分しか調達しないとすれば機体は極端なまでの高価格になるのは目に見えている。F-2で痛い経験をしたはずだ。

F-2はF-16の4倍の機体価格と言われるが、性能が4倍とはいいがたい。

米空軍はF-22の187機を総額700億ドルで調達した。読売新聞の試算では日本の新型戦闘機開発予算は180億ドルとある。

Tealグループのアナリスト、リチャード・アブラフィアは開発製造に200億ドルは最低かかると見ている。

「その規模では空自予算では無理」とアブラフィアは言う。日本はGDP1パーセントしか軍事予算に使わず、防衛予算は500億ドル未満であり、米国の十分の一にも届かない。■

この記事は以下を参考にしました

Wild: Japan Wants to Cross an F-22 and an F-35 Into a New Stealth Plane


January 27, 2020  Topic: Technology  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanF-22F-35MilitaryTechnologyWorld
Would the deadly combo work?
by David Axe 


2020年1月27日月曜日

米空軍がMi-24ハインドを訓連に投入中

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アリゾナ州ライアン上空を飛行するロシア製Mi-24ハインド・ガンシップ。Mi-24は第55救難飛行隊で訓練に使われている。(U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Jacob T. Stephens)

空ショーにMi-24ハインドが登場することは米国ではよくあるが、米空軍が実機を訓練に投入するのは異例だ。
米空軍355航空団広報部が非公式に航空戦闘軍団隷下の第55救難飛行隊が訓練にロシア製Mi-24攻撃ヘリコプター2機をデイヴィス-モンタン基地(アリゾナ州ツーソン)で訓練に使用していると発表した。
同救難飛行隊で供用中のHH-60ペイブホークの敵役にMi-24が投入されている。「ハインド」攻撃ヘリは世界48カ国が使用中で、米軍が世界各地に展開すれば遭遇の可能性が高い機体だ。
航空救難飛行隊はいかなる脅威があっても各地に展開する必要があり、訓練を通じ各種事態に備えている。
ハインドはワシントン州タコマに本社を構えるVTS Aviation LLC (VTSA)、アラバマ州ハンツビルのSystem Studies & Simulation (S3) Inc.がそれぞれ所有する機体だ。ハインドはデイヴィス・モンタン基地でブルガリアを想定した脅威対応訓練に投入された。2機は冷戦時の航空戦力博物館に2017年まで展示されていた。その後米軍と契約し、脅威シミュレーションに使用されている。
Mi-24ハインド攻撃ヘリコプターはソ連のアフガニスタン侵攻で悪名を轟かせた。当時オサマ・ビン・ラディン含むタリバンゲリラ部隊を米CIAが支援していた。米国は携帯型防空装備(MANPADS)のFIM-92スティンガー等を秘密裏にタリバンに供給した。1987年から1988年にかけてのことで、重装備のMi-24は大きな脅威だった。ハインドの威力はその時点から高く評価されていた。■
この記事は以下を参考にしました。


U.S. Air Force Uses Russian Mi-24 Hind Gunships in Training at Davis-Monthan AFB.



2020年1月26日日曜日

B-21が敵戦闘機を駆逐する日、空対空戦能力の付与を企画中

高性能ステルス戦闘機は大型化する、というのが当方の予測で、以前は重武装機構想もあったのですが、ここに来てあらためてB-21レイダー(B-2よりやや小型程度の大きさとなりそう)で空対空任務に当たらせようという構想が現実のものになりそうで、持論が実現に向かうのではと興奮しています。現実はそんなに簡単ではないようですが、ひょっとすると単座戦闘機という伝統が終わりに近づいているのかもしれませんね。



イテク戦略爆撃機を敵国奥深くまで侵攻させたい米国政府だがこのミッションを実施すれば敵戦闘機を撃破する性能が必要となる。

最近の報道によればB-21レイダーは空対空戦闘任務も実施になるようだ。このまま進めば、航空黎明期の空軍力理論が復活する。B-21が「バトルプレーン」として実用にたえるか、あるいは爆撃機の残存性に疑問がつく中でご都合主義から生まれた発想なのか今は判断できない。

歴史を振り返る

爆撃機に武装を与えると代償が生まれる。まず重量増のため航続距離、速力、ペイロードが犠牲となる。防御兵装から空力学的が不利となり、速度低下、操縦性悪化につながる。にもかかわらず各国の空軍部隊は爆撃機に武装を与えてきた。第一次大戦でロンドンを恐怖に陥れたゴータ爆撃機には試験的に各種武装がつき、英軍戦闘機からの防御を目指した。大きな展開となったのはマーティンB-10で機関銃座3箇所がつき、B-10編隊は理論上は敵機を排除できるはずだった。

大戦間に米国、英国では重武装爆撃機が編隊を組めば敵機の迎撃を排除できるとの理論が生まれた。爆撃機編隊が目標地点に到達し、爆弾を投下しつつ防衛側の戦闘機を消耗させる二重の効果があるとの主張だった。

米空軍はドイツ空襲の初期段階で理論を試したが結果はとても良好と言えなかった。ドイツ戦闘機の高速性能と操縦性と対空砲が加わり、編隊はばらばらにされ単機で狩られていった。さらに爆撃機搭載の機関銃ではドイツ戦闘機の撃退に不十分と判明した。ドイツ機は20ミリ機関砲で遠方から米機を狙った。米空軍はついに援護なしでの昼間空爆を断念し、長距離援護戦闘機のP-51マスタングを随行させた。


衰退

戦後まもなくの爆撃機はまだ自機防御装備を維持していた。B-36ピースメイカーは尾部に20mm機関砲を搭載し、B-47やB-52も同様だった。米空軍はB-36を母機とし防衛用戦闘機を運用する実験もした。だがジェット時代に防御兵装は無意味となった。B-58ハスラーは非武装でXB-70ヴァルキリーも同様だった。迎撃機が銃による攻撃をミサイルに切り替えると、機関銃の効力はなくなり、速力で自機を守るしかなくなったが、SAMから逃げられないと判明した。対戦闘機用に防御兵器を搭載した最後がB-52で20ミリヴァルカン砲を尾部に搭載した。真偽は分かれるが、ヴィエトナム人民軍空軍のMiG-21を2機、ラインバッカーII作戦中に撃墜したとされ、ヴィエトナムによれば1972年にも別のMiGがB-52の機関砲で撃墜されたという。

構想の再誕生

一時はB-1Bに空対空ミサイルを搭載する構想が真剣に検討された。ただしミサイル誘導用のレーダーシステムが不明だった。同様にB-1Bをミサイルトラックに転用する案もあり、「重武装機」としてミサイル多数を搭載しつつ、他機のセンサーを利用する構想だった。B-1Bは高速かつ大ペイロードのため、最適の機材だった。ただし当然ながら空軍は無人機なら同じ任務を人命を犠牲にせず実施できると考えた。

B-21を空対空戦に最適化する構想は理にかなっている。B-21ほどの大型機なら空対空ミサイル多数を搭載可能で、しかもステルス性能を保持できる。強力なセンサーで空の戦場の様相をは把握しながら戦闘機にも指揮統制機にもなれる。爆撃機はステルスを重視し速力を犠牲にする傾向が出てきた。反対に戦闘機は今も速度重視で運用されている。ミサイル発射でステルス効果が減るのはミサイルが探知されるからだ。ミサイル発射が探知された場合、戦闘機は全速力で退避行動に移る。B-21ではこれまでと異なる戦術を採用するか、敵戦闘機では対応不可能な地点で超長距離ミサイルを発射すればよい。

まとめ

爆撃機を戦闘機任務につける構想が生まれた背景に関連課題がある。米空軍は深度侵攻任務をステルス機に任せていいのかまだ決めかねている。まず実施の難易度があり、ステルス機でも大型機はまったく不可視にはできない。またセンサー技術の向上もある。このため自機防御能力をもたせることに一定の訴求力がある。さらに戦闘機の機体価格が劇的に上昇しており、爆撃機で防御側に損傷を与えられれば効果が高くなる。最後に新型機での「要求性能の変化」は大規模調達事業では不可避といってよい。つまり性能やミッションで過大なまでの公約がよく生まれる。B-21が実際に敵戦闘機を撃墜できるかは未解決の疑問だ。実現すれば1972年以来久しぶりに敵戦闘機が狩られる立場に変わる。■

Robert Farley, a frequent contributor to The National Interest, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government. This first appeared earlier in 2019.

この記事は以下を参考にしました



What If the New B-21 Stealth Bomber Could Also Fight Other Aircraft?

A battle plane could be born.
January 25, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: B-21B-2Stealth BomberStealth FighterBattleplaneAir-to-Air Missiles