軍事力増強を自慢する中国ですが、米国は一層効果的な対抗手段の整備に向かっており、さらに高価な装備開発に向かわざるを得なくなります。これはソ連末期の状態と瓜二つで、さらにここに新型ウィルス問題で経済不況は避けられず、中国の現体制の終焉は意外に早くやってくるのかもしれません。
潜水艦、情報収集機、水上艦艇が戦力増強の対象となっているのは中国の精密スタンドオフ兵器で米艦隊が動きを阻まれる事態を米海軍が恐れている証拠だ。
まずP-8対潜哨戒機に長距離対艦ミサイル(LRASM)を搭載する。海軍で働き者のP-8には魚雷、ハープーンミサイル、SLAM対地攻撃弾が搭載ずみだが、LRASMさらに共用直接攻撃弾JDAM、小口径爆弾他が加わり、長距離地点から攻撃力が増強される。
LRASMは1千ポンド弾頭を搭載し、ステルス性能を発揮し敵ミサイル防衛網を突破する精密攻撃手段だ。従来のスタンドオフ対地攻撃ミサイル射程拡大型 (SLAM-ER)では135カイリ、ハープーンは70カイリだが、LRASAMの射程は公称200マイルだが実際はもっと長いと言われる。
LRASMはリンクを介して無人機、有人機と標的を把握し破壊する機能がある。空中発射式モデルは空軍のB-1、海軍のF/A-18での覇者テストに成功している。主契約企業ロッキード・マーティンでは海軍の巡洋艦、駆逐艦の垂直ミサイル発射装置からLRASM試射にも成功している。
ただし、P-8への搭載改修の完了は2026年以降となる。とはいえ、この動きは米軍の中で中国海軍への警戒感が高まり、米軍部隊が対象地域に近づけなくなる事態を恐れている証拠と言える。また在日米軍やグアムの基地防衛が困難になっている事態も反映している。
LRASM事業主管ウィル・ハーグリーヴス大佐はP-8への搭載時期を明言していないが、既存機材にミッションを追加する方法を模索しているとし、「機材統合で柔軟性を発揮することが費用対効果を高くし目標を達成する方法」と述べている。
中国の新型055型駆逐艦はVLSを112セル搭載し、従来の052D型の64セルから大きく威力が増えている。
新型駆逐艦で「中国の長距離攻撃能力は飛躍的に伸びる」とのレポートがあり、「055型1号艦の就役が2020年1月にあったが、ドレッドノート(1906年)、ビスマルク(1939年)の登場に匹敵する意義がある。歴史の上では両艦の登場で海軍戦略は大きく変わった。055型でも同じ効果が生まれるかもしれない」
こうした変化を背景に、米海軍も攻撃型潜水艦、対艦ミサイルの整備をここ数十年で始めて真剣に進めているというわけだ。旧式になったハープーンの新型導入もそのひとつだ。
2018年末に海軍はハープーン対艦ミサイルのロサンジェルス級潜水艦再搭載に向けボーイングと交渉に入った。これまで潜水艦には静かに沿海部に接近して情報収集あるいはトマホーク対地攻撃ミサイルを発射する任務をイラク、アフガニスタン、シリアで与えてきたのに対し大きな変化となる。
海軍では水上艦艇にも長距離ミサイル搭載を検討している。水上打開司令官トーマス・ロウデン中将は水平線超えミサイルを艦艇搭載すれば攻撃力が充実し、中国の急速な海軍兵力整備に対抗できると述べている。既存の攻撃手段に対し改良型対艦、対空、対潜兵器の新規調達を進めるとし、ハープーン、海軍攻撃ミサイル、長距離対艦ミサイルに言及した。■
この記事は以下を参考にしました。
Eying China, Navy Refits P-8 Plane For Deeper Strike
By PAUL MCLEARY
on February 04, 2020 at 12:40 PM
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