
まだ道は遠いのですが、ここに来て電動航空機の可能性が高まってきました。軍の観点で見れば、騒音水準が下がる機体なら特殊作戦用にぴったりですね。地道な技術ですが今後の動向に注目です。(ターミナル1同時配信記事)
フライ・バイ・ワイヤでトルク打ち消しを可能とした試験機Credit: Bell Helicopter
ベルが電動トルク打ち消し装置の技術をこっそりと実証中で、電動垂直離着陸機(eVTOL)の実現に向かう可能性がでてきた。
同社の電動分散トルク打ち消し (EDAT) 技術試験機はモデル429双発軽ヘリコプターを改造し、固定ピッチ電動ファン4つを垂直安定装置にとりつけ、従来型テールローターを廃止している。
回転翼機で電動トルク打ち消し機能の開発が進んでいるが、ベルのEDATが最初に飛行にこぎつけた。テストは昨年5月に関心を集めることなく始まっていた。ベル試験施設があるケベックで試験機がホバリングする映像が公開されてEDATの存在がはじめて明らかになった。
自社資金で始めた研究開発にオタワ州政府が2018年に助成金を交付しており、安全と騒音軽減での利用者の期待の高まりに対応していくとEDAT主管のエリック・シヌサスが語っている。「安全と運行経費の改良を求める声が利用者の皆さんからでています。騒音への関心がこれまでになく高まっており、技術陣にプレッシャーがかかっています」
ヘリコプター騒音の大半はメインローターとテールローターの干渉が原因で、テールローターをダクト化すれば騒音が下がる。
ダクトは以前からある。エアバスは古くは1960年代に遡り採用している。だが電動の採用でトルク打ち消し効果が最大限必要ない段階ではファン回転数を下げて、騒音を減らせる。同社はEDATの騒音レベルを公表していないが、テスト記録では「通常の429型より相当下がっている」とシヌサスは述べている。
安全面で通常のテールローターは危険発生源となり、地上でもエンジンが回転する間は危険だ。これに対しEDATはメインローターが回転中でも停止できる。運行経費でも良い効果が生まれる。テールローター用の複雑なギアボックス、シャフトがなくなり点検整備が楽になる。
だがEDATの採用で大幅な設計変更が必要となる。機械式のトルク打ち消し制御のかわりに、フライ・バイ・ワイヤでファン4つをペダル操作する。空冷式ファンモーターに液冷発電機が付き、搭載するプラット&ホイットニーPW207タービンが動力となる。これまでのシャフトの代わりに配線が機体後部に走っている。モーター、発電機はサフランが供給する。

ファンが4つあることで冗長性も生まれる。地上テスト結果からわかったのはファン4つ全部が使えなくなってもトルク打ち消し効果がある程度確保されることだ。通常のヘリコプターでテールローターが故障すると墜落こそしないものの危険になる。
別の観点は応答性だとシヌサスは述べる。「大型ファン一基あるいは中型ファン2基の場合は回転慣性が働き、応答性が下がる」とし、4本式の採用が必要だという。
ヘリコプター業界では電動トルク打ち消し装置の研究が進んでいる。レオナルド・ヘリコプターズはAW139のテールローターを改装しており、ベルのFC-X試験機は2017年に発表されており、電動ファンを採用している。
Bell Achieves Electric Anti-Torque Flight First
Tony Osborne February 20, 2020

>ファンが4つあることで冗長性も生まれる。地上テスト結果からわかったのは
返信削除>ファン4つ全部が使えなくなってもトルク打ち消し効果がある程度確保されることだ。
そんな馬鹿な!どんな理屈だ?と思ったら、たぶん翻訳間違いですね。
幸い、この元記事は会員でなくても読めるタイプだったので、確認できました。
おそらく、元記事は以下のように記載されています。
『4つのファンを持つことで冗長性も向上する。飛行試験は未だ行われていないが、
地上試験では、4つのファンのうち3つが動作していなくてもパイロットにはある程度の
耐トルク性能があることが示されている』
つまり、風見効果のない前進速度ゼロの状態(地上試験状態)では、最低一個はファンが
生きていないと、メインローターのトルク打消しはできない。そりゃそうですよね。