スキップしてメイン コンテンツに移動

なぜソウルは原子力潜水艦取得に前向きなのか。不可解な南朝鮮の動き


なぜ原子力潜水艦なのか。そもそも何を狙っているのか、国家としての格を見せびらかすためとは思えませんが、韓国海軍の考え方がどうにも理解できません。国産開発するにしても知見のない中で運用まで進め安定戦力になるまで20年はかかるでしょう。同国の技術運用の実績を見ると、事故やインシデントの発生は避けられないでしょうね。なお、今回は英語表記にならって北朝鮮、南朝鮮との表現にさせていただいています。他意はありあませんが、波紋を呼びそうです。実はそれもこのブログの狙いです。文化の鎖国状況を打破したいのですがね。
朝鮮のような国が隣にあると、色々準備すべきものがある。強力な陸軍空軍とか、強力な爆弾とかミサイル防衛とか。
 だが敵国まで首都から30マイルの国に大洋を横断できる原子力潜水艦は不要のはずだ。
 にもかかわらず南朝鮮は原子力潜水艦導入を検討している。南朝鮮海軍は原子力潜水艦導入の検討チームが稼働していると認めている。現段階は概念研究段階の模様だ。「専用チームができたからと言って今すぐ導入するわけではないし、なにも決まっていない」と海軍関係者は言う。「情報収集に努めている」
 原子力潜水艦導入は以前にも話題になっていた。2003年に構想が報道機関に漏れ、検討が棚上げになった。同国の聯合通信は2017年に国防省が研究を民間機関に委託し、軍もその必要を認めたと伝えている。
 一方で南朝鮮は通常型潜水艦建造を実施している。2018年に3,700トン型KSS-IIIの初号艦が進水している。初の国産建造艦で巡航ミサイル、弾道ミサイルを搭載する予定だ。 「3千トン型の張保皐Chang Bo Go-III級を原子力推進に改造するとの観測がある」と聯合通信は伝えている。
 にもかかわらず疑問は残る。南朝鮮が原子力潜水艦を必要とする理由は何なのか。威信を示すことなのか。
 有事となれば南朝鮮最大の脅威は北朝鮮の核兵器なのか、弾道ミサイルなのか、大量の戦車部隊や特殊部隊なのか。あるいはソウルを「火の海」に変える大量の火砲やロケット弾なのか。いずれも原子力潜水艦で食い止めることはできない。
 だが南朝鮮は原子力潜水艦を抑止手段と見ているようだ。原子力潜水艦は数ヶ月も潜航したままで、報復ミサイル攻撃を加えられる。もっと重要なのは南朝鮮が指揮統制できることで、米国に依存しなくてもよい。
 とはいえ抑止効果に原子力潜水艦がなぜ必要なのか。イスラエルには通常動力のドルフイン級潜水艦があり、核巡航ミサイルを搭載しているといわれる。紅海から東地中海までイランを狙えるが、南朝鮮でも通常型潜水艦で日本海から平壌を攻撃できる。
 だが疑問は次の点に落ち着く。強力な米韓の軍事マシンでも、米国の圧倒的核兵器でも北朝鮮を食い止められないなら、南朝鮮の原子力潜水艦1隻で抑止につながるのだろうか。
 北朝鮮が南朝鮮の宿敵とはいえ、それ以外にも敵国は存在する。日本との緊張がここ数年は高いままだ。南朝鮮の潜水艦が搭載する弾道ミサイルが日本に照準を合わせる可能性がある。あるいは日本経済を支える海上交通路を襲撃することもあろう。
 日本との軍事衝突の可能性は低いが、ミサイルを搭載した南朝鮮の原子力潜水艦が北朝鮮ではなく日本を敵国扱いする可能性はある。■


この記事は以下を参考にしました。

South Korea Is Once Again Thinking About Getting Nuclear Submarines

South Korea is studying whether to buy nuclear-powered submarines.
Key Point: Is this a good idea? 
February 8, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: SubmarinesMilitaryTechnologyWorldNuclear Submarines

コメント

  1. ぼたんのちから2020年2月10日 16:04

    韓国は事大主義に回帰しようとしているのだろうか。韓国は米韓同盟を廃棄しようとしているように見える。米国の核の傘は朝鮮戦争後の朝鮮半島の安定化に寄与していたが、韓国は、同盟を破棄し、中国に庇護を求めるか、あるいは軍事力を増強し中立の道を歩みたいと考えているのかもしれない。すでに軍事費は日本と同程度に増えている。
    韓国は、大国のせめぎあいの場である朝鮮半島で北朝鮮と統合し、各大国に中立を認めてもらい、増強した軍事力に基づく安定を求めたいと考えているのかもしれないが、それは甘い考えだ。
    結局、最後は中国の傘下に入ることになる。原潜は、北朝鮮由来の原爆を装備したミサイルを搭載し、戦略原潜としたいのかもしれないが、数隻の戦略原潜があったとしても、もとより統一朝鮮は中国に抵抗する意思など無いから、中国は容易に朝鮮半島を支配下に置くことができる。そして、統一朝鮮は日米に対抗する中国の手先になり、原潜は中国の貢物になるだろう。
    このような状態を韓国国民がどの程度望んでいるかは分からないが、韓国は既に中国と北朝鮮による深刻な浸透があり、それらの勢力が政治を握っているから、抵抗勢力は排除され、民族主義などに覚醒などすること無く亡国の道を歩むだろう。そして、旧韓国は中国の一地方扱いとなり、西側からの資本と技術が途絶え、経済は衰退し、最後に中国資本により支配されることになる。
    現政権は、内政・外交において表向きいい加減な粗雑な対応を採っているように見えるが、批判勢力撲滅やクーデタ封じのために、三権分立や民主主義に反するような非常に巧妙な法改革などを行っている。これは非常に危険な傾向である。
    近い将来、日本は米中間の新冷戦の最前線に立ち、統一朝鮮と向き合うことになるだろう。このような状況は日本にとって良いものでないが、国家間の約束事を簡単に反故にし、「反日」の精神的自慰行為にふける韓国に対し、日米側に引き戻す有効な手段はないのかもしれない。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...