2023年10月13日金曜日

ハマスによるイスラエル襲撃は秩序を欠いた世界の序曲になるのか世界が注目。(だが日本では関心がもりあがらないのはなぜ?)

 

シムチャトッラー戦争

ハマスによるイスラエル攻撃は、中東だけでなく世界にとって分水嶺となる

8月上旬、筆者はガザ地区からわずか2キロのイスラエル南部のキブツ、クファル・アザを訪れた。ここは、ハマスのロケット弾や迫撃砲による攻撃が迫っていることを知らせる拡声器が鳴り響くと、住民が数秒で避難を迫られるコミュニティだ。住民の一人チェン・コトラー・アブラハムさんは、筆者たちを自宅に招き、レモネードをふるまい、ロケット弾の残骸を見せてくれた。重苦しい会話とは裏腹に、クファル・アザの生活はごく普通に見えた。子どもたちは集団で遊び、大人たちは庭いじりをしていた。

この記事を書いている時点で、私が会った人々の多くが亡くなっている可能性がある。

多くの人が思い出すように、イスラエルは50年前、最も神聖な日のひとつであるヨム・キプールに不意打ちを食らった。その後に起こった戦争は、イスラエルの歴史上最も激しい戦いのひとつであり、その影響は今日でも中東を形作っている。半世紀を経た今も、歴史は繰り返さないまでも、韻を踏む厳しいものである。今日、シムチャト・トーラの祝日に、世界中のユダヤ人が毎年恒例のトーラ朗読を終え、お祝いのダンスを踊っていたとき、ハマスがガザ地区からイスラエルに前例のない大規模な奇襲攻撃を仕掛けた。

この作戦は世界中に衝撃を与えた。これはイスラエルとハマスの対立やテロリストによる大胆な攻撃の単なるエピソードではなく、中東の地政学的景観を再構築しかねない分水嶺となる瞬間なのだ。

ヨム・キプール戦争の再来

事態は展開中だが、これまでの展開は衝撃的だった。ハマスが5,000発以上のロケット弾を発射し、イスラエルのアイアンドーム・システムを圧倒した。二つの軍事基地(レイムとケレム・シャローム)を含む、ガザ国境近くの複数のイスラエル人コミュニティは、ロケット弾の恐怖だけでなく、地上からの侵入にも直面した。何十人ものイスラエル市民が自宅やコミュニティで殺害され、これらの凶悪な行為の生々しい記録が、ぞっとするようなプロパガンダとしてソーシャルメディアに出回っている。その一方で、イスラエル軍将兵を含む未確定数のイスラエル市民と兵士が誘拐され、ガザに連れ去られたと伝えられ、恐怖の雰囲気を増幅させている。この攻撃は、ユダヤ人の神とのつながり、ひいてはイスラエルの土地との歴史的なつながりの重要な部分であるトーラーを祝うために捧げられたユダヤ教の宗教的祝日に行われたものであり、軍事的な作戦以上の象徴的なジェスチャーである。

しかし、国家主体が関与する通常の紛争であったヨム・キプール戦争とは異なり、今回のシムチャト・トーラの攻撃は、近年のイスラエル・パレスチナ紛争を特徴づけるよ非対称戦で特徴づけられる: ハマスの戦闘員がパラグライダーでガザから飛び立ち、イスラエルの入植地に降下したり、ドローンが車両や見張り台に爆弾を投下したりした。

なぜ今なのか?なぜこの日なのか?

答えは地政学にある。ハマスの攻撃は、イスラエルに苦痛を与えるという明白な目的のほかに、イスラエルと他のイスラム・アラブ諸国、特にサウジアラビアとの間に芽生えつつある和解を「拒否する」ことが目的だ。まだ始まったばかりとはいえ、中東の地政学において、サウジアラビアとイスラエルの最近の関係融和は画期的な変化である。何十年もの間、イスラエルとアラブ諸国は対立関係にあった。しかし、共通の懸念、特に米国のこの地域からの軍事撤退とイランの影響力拡大に対する懸念が、かつての敵対関係から両国の姿勢を再考させている。

ハマス自身にとっても、今回の攻撃はさまざまな理由によるものだ。同グループは長い間、パレスチナの大義の妥協なき前衛として自らを位置づけてきたが、近年は正当性が疑問視され、地域内で影響力が弱まっている。さらに、イスラエルとアラブ諸国の正常化を示唆するいかなるものも、裏切りであり、パレスチナの大義に対する死刑宣告とみなされている。今回の大胆かつ大規模な攻撃で、多数の人質を取ったことで、ハマスが戦闘組織としての回復力と能力を証明し、政治的ライバルであるパレスチナ自治政府を追い詰めただけでなく、アラブ諸国をスポットライトの下に置いた。さらに、1973年の紛争はアラブ人の精神において象徴的な地位を占めている。1973年紛争は、イスラエルの軍事力に対し、アラブ軍が一時的にせよ威厳を取り戻した瞬間とみなされている。この象徴的な日を選ぶことで、ハマスの狙いは、過去の栄光の記憶を呼び起こしながら、アラブ世界を自分たちの大義に結集させることにある。

この戦略にはもう一つの側面がある。シムチャト・トーラーに攻撃することで、ハマスがユダヤ国家の精神的な物語に挑戦しているのだ。彼らは身体だけでなく魂も狙い、神聖な契約を祝う民衆の精神に水を差そうとした。この行為は、根深いイデオロギー的な戦いが繰り広げられていることを明らかにしている。

動きと反撃

イスラエルが報復と拉致された市民の捜索を開始するにつれ、中東が再び大規模な紛争の危機に瀕していることが明らかになってきた。事態の深刻さを強調する動きとして、イスラエルは大規模反撃を許可した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は国民向けテレビ演説で、「イスラエル国民よ、我々は戦争状態にある」と宣言した。作戦でもなく、戦闘でもなく、戦争だ!」。ヨアヴ・ギャラント国防相は、「今後50年間のガザの現実を変える。全力で活動する」と述べた。手袋を外す時が来たようだ。

イスラエルは何年もの間、ガザ占領の本格作戦の開始をためらってきた。主な理由は、膨大な軍事費、国際的な影響、そしてそのような攻撃が引き起こすかもしれない人道上の懸念である。しかし、今回の攻撃の規模と大胆さは、エルサレムの計算を変えたかもしれない。強硬な右派で構成されるネタニヤフ連立政権は、ハマスの壊滅以外は認めないだろう。さらに、イスラエルの政治的・軍事的体制は現在、自国の評判と威信を回復する必要に迫られていると感じている。ハマスの作戦の規模と大胆さは、イスラエルと、ある程度はアメリカによる大規模な諜報活動の失敗について、憂慮すべき疑問を投げかける。この規模の作戦であれば、計画は数週間、いや数カ月に及んだはずだ。イスラエルの防衛体制は、どうして目の前に吹き荒れる嵐を見逃したのだろうか?

同時に、イスラエルが取るいかなる行動も、外交的利益を守ることを考慮に入れなければならない。目先の戦争に勝っても、イスラエルがますます強くなるイランを相手に、この地域で孤立したままでは、長期的にはあまり意味がない。

アラブ世界、特にイスラエルとの関係改善を追求してきた湾岸諸国の政府は、厄介な状況にある。現在、湾岸諸国は非エスカレーション(UAE)を求めたり(オマーン)、自制を求めたり(サウジアラビア、クウェート、カタール)、イスラエルのパレスチナ占領を非難している。ハマスの攻撃に対するイスラエルの過去の対応が何らかの指針になるのであれば、イスラエルの対応で数千人の死傷者を出す、大規模で恐ろしいものになるだろう。特にガザのような人口密集地での市街戦は、困難がつきまとう。この状況で民間人の犠牲を避けることは事実上不可能であり、特に誘拐されたイスラエル人とともにハマスに人間の盾として利用されればなおさらだ。湾岸諸国は国内政治上、多くの同胞アラブ・イスラム教徒の死に対応するのは難しいだろう。

特にサウジアラビアは不安定だ。リヤドが最近イスラエルに接近しているのは、イスラエルの技術にアクセスしたいという願望とともに、イランに対する共通の懸念が背景にある。イスラエルとの安定した関係は、テヘランの地域的野心に対する防波堤となりうる。しかし、パレスチナの大義に対する根強い歴史的支持を持つ同国は、国民を疎外することなく潮流を乗り切るのは難しい。

一方、ヒズボラをはじめイランの代理勢力は、状況を「評価」し、境界線を試している。イスラエルが弱っているように見えるなら、これらのグループもレバノンや、シリア経由でイスラエルを攻撃する可能性が高い。そうなれば、イスラエル軍にとって第二前線となり、広範な地域戦争が勃発する可能性もある。

イスラエルの作戦は、ハマスに権力と影響力を奪われつつあるパレスチナ自治政府にとって諸刃の剣となる。一方では、ハマスの弱体化や排除によって、パレスチナ政治におけるパレスチナ自治政府の優位性が回復する可能性がある。他方、イスラエルの侵攻によってガザに大規模な人道的危機が発生すれば、間違いなく反イスラエル感情が煽られ、自国の状況はより厳しくなる。

伝統的にイスラエルの強固な同盟国であるアメリカも、不安定な状況にある。ワシントンがこの攻撃を予測できなかったことは、その諜報能力、特にシグナル・インテリジェンスに問題があることを物語っている。バイデン政権は非難を浴びるだろう。ほんの数日前、ジェイク・サリバン国家安全保障顧問は、「中東地域は今日、過去20年間で最も静かだ」と主張していた。同日、セマフォーは、イランが米国の外交機構の奥深くまで達する重要な影響力ネットワークを構築していたことを明らかにした。最後に、5人のアメリカ人人質と引き換えに60億ドルをイランに釈放するという政権の決定は、今後厳しい批判にさらされることになるだろう。イスラエルを支援せよという圧力は計り知れず、海外の紛争を支援することにすでに飽き飽きしている国民にとって、すでに微妙な状況を複雑化させるだろう。

おそらく最も不利なのはガザ市民であろう。ハマスの支配下で、長年にわたる封鎖と紛争、そして苦しみに耐えてきた。中東全体と同様に、彼らの未来は、今後数週間の地域的、世界的な大国の選択と行動次第に大きく左右される。

分裂の危機 

筆者が2ヶ月前に訪れたキブツ、クファル・アザがどうなっているか想像もつかない。最新の道によれば、焼け焦げたコミュニティの中で、赤ん坊が一人、生きて発見されたという。

同様に、中東で次に何が起こるかを確認するのは難しい。イスラエルがガザを占領し、ハマスを抹殺する意向を表明したことで、アラブ世界は岐路に立たされている。イスラエルの行動を非難し、最近の外交的な暖かさを頓挫させるリスクを冒すのか。それとも、ハマス殲滅をより安定した中東への道筋とみなし、イスラエルの動きを黙認してでも支持するのか。どちらの選択をするにしても、地政学的に大きな意味を持つ。しかし、イスラエルとパレスチナの現況は解決されようとしているように感じられる。

西側の政策立案者が本当に恐れているのは西側主導のルールに基づいた世界秩序が、崩壊しつつあるという感覚だ。国家に課せられていたこれまでの制約は、もはやそれほどのものではなくなっている。ウクライナでの戦争、アゼルバイジャンによるカラバフ・アルメニア分離独立国家の武力奪還、台湾をめぐる緊張の高まり、バルカン半島の不安定化、アフリカでの軍事クーデター、その他無数の出来事はすべて、この傾向の厳しい前兆である。次はどのドミノが倒れるのだろうか?

シムチャトーラー戦争は単なる小競り合いではない。来るべき無秩序な時代の到来を告げる、大きな意味を持つターニングポイントなのだ。世界は固唾をのんで見守っている。■

The Simchat Torah War | The National Interest

by Carlos Roa 

October 8, 2023  Topic: Israel-Palestine  Region: Middle East  Tags: IsraelPalestineHamasBenjamin NetanyahuIsrael-Arab War

Carlos Roa is a contributing editor and former executive editor for The National Interest.


大型ドローンが空中で小型ドローンを発進、回収するテストに成功。ドローン母機が近い将来登場しそうだ。

 

General Atomics

MQ-20 Avengerドローンが空中で小型ドローンを発射・回収するAerial Recovery Systemをテストした

General Atomics Aeronautical Systems(GA-ASI)は、ステルス性の高いMQ-20 Avengerを使用し、大型無人航空機から小型ドローンを空中で発射・回収する想定で開発したシステムの飛行デモンストレーションを開始した。この種の航空機が将来の紛争でどのように採用されるかを示している。

このコンセプトを同社は小型無人航空機システム/空中発射効果物用空中回収システム(SUAS/ALE)と呼ぶ。しかしこれまでは、主に非ステルス性のGA-ASI MQ-9 ReaperとMQ-1C Gray Eagleに関連していた。

GA-ASIのメディア・リリースによれば、2023年9月20日にユタ州ダグウェイ試験場上空でシステム・デモンストレーションが行われた。このデモでは、同社のジェットエンジン搭載のアベンジャーで大型のエクステンデッドレンジ・バージョンの1機から牽引ロープが空中で展開・格納された。

An MQ-20 Avenger trails the towline and smart end feature during the test last month. <em>GA-ASI </em>

先月のテストでは、MQ-20アベンジャーがトウラインとスマートエンド機能を牽引した。GA-ASI

GA-ASIが「スマート・エンド機能」と説明する、より大型のドローン母機とのワイヤレス・リンクを含む牽引索そのものが取り付けられていた。

GA-ASIはこの試験について次のような詳細を発表した:

「デモでは、GA-ASIのスマートエンド機能を搭載したBreeze-Easternホイストがアベンジャーのペイロードベイに組み込まれた。飛行中、牽引ロープはアベンジャーから離れ、空中回収に最適な距離まで展開された。スマートエンド機能はワイヤレスでその位置をアベンジャーに送信し、データを近くのSUAS/ALEに送信し空中回収できることを確認した。

スマート・エンド機能は、ドローンの空中発射/回収のための機械的インターフェースとして機能するだけでなく、ビーコンも備え、小型ドローンとの相対的な位置を示す手がかりを提供する。元々、GA-ASIはこのコンセプトを自社のドローンSparrowhawkの発射と回収に特化して設計したが、現在は他社のドローンにも活用できることを示唆している。

仕組みとしては、SUAS/ALEドローンはスマートエンド機能との相対位置を正確に計算することができる。曳航線まで飛行すると、曳航線を捕捉するために飛行する。曳航線に固定されると、SUAS/ALEは翼をたたみ、エンジンを切る。そして、ポッド付きホイストを使いドローン母機に巻き取る。

「グループ5の無人航空機から空中発射されたUASを統合することは、GA-ASIが開拓している相対航法技術、複雑な曳航線解析、複数機制御の進歩のおかげでもある。我々は、この技術で現在の有人・無人システムから長距離キルチェーンが実現し、高度にまで競合する環境での作戦を支援できることに興奮している」。

この文脈では、グループ5の無人機は、1,320ポンド以上の重量を持ち、通常、任意の速度で、18,000フィート以上の高さで動作する。このカテゴリーには、GA-ASIのMQ-9リーパーとMQ-1Cグレイ・イーグル、そして発射・回収システムの試験で使用されたアベンジャーが含まれる。

An MQ-9 Reaper sits on the runway during sunset at Creech Air Force Base, Nevada. <em>U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Lauren Silverthorne</em>

ネバダ州クリーチ空軍基地の日没時、滑走路に置かれたMQ-9リーパー。米空軍撮影:二等軍曹ローレン・シルバーソーン

GA-ASIからの最新リリースは、最終的に使用されるSUAS/ALEドローン(またはドローン)の詳細を提供していないが、同社からの今日のツイートは、このシステムが「スパローホークのような小型の無人航空機を飛行中に回収し、再配置することを可能にする」と述べている。コンピュータ・シミュレーションでは、以下のように、スパローホークがアベンジャーから発進し、回収される様子も示されている:

Testing a hoist designed to capture and then manipulate a Sparrowhawk drone. <em>GA-ASI </em>

Sparrowhawkドローンを捕獲し、操作するために設計されたホイストのテスト。GA-ASI

Sparrowhawkドローンは大きな主翼が特徴で、発射前に主翼と平行に収納され、その後90度スイングして展開位置になる。また、このドローンはV字尾翼を持ち、最近のコンセプトアートでは、環状ナセル内に外付けされたエンジンが描かれている。

The General Atomics Sparrowhawk, which is designed to be both launched and recovered in mid-air, under the wing of an MQ-9.&nbsp;<em>GA-ASI</em>

ジェネラル・アトミクスのスパローホークは、MQ-9の翼の下で、空中での発射と回収の両方ができるように設計されている。GA-ASI


SUAS/ALEの実験では、今のところ、小型ドローンを大型母船から発射したり、飛行中に回収したりはしていないが、このコンセプトは最終的に、ドローンを放ち、空中で捕獲して基地に持ち帰る能力以上のものを提供することを約束している。

ジェネラル・アトミクスによれば、このコンセプトが完全に実現すれば、小型SUAS/ALEは再展開の前に燃料補給、再充電、再武装が可能になるはずだという。しかし、アベンジャーやリーパーのようなドローンが、飛行中の小型ドローンをどのように再武装するのかは明らかではない。このような将来の開発は、有人機を含むより大きな母船を使用する構想と一致している。しかし、再充電/再給油が可能であれば、同じSUAS/ALEドローンは、より長い耐久性を持つ母艦が飛行する1回のミッションで、複数回の出撃を行うことができるだろう。

コンセプトを拡大し、GA-ASIはまた、アベンジャーまたはリーパー・ドローンが 「永続的で広大なグリッド」のSUAS/ALEのネットワークのための「移動指揮管制所」として機能することを計画している。これらのドローンチームの任務には、偵察、電子攻撃、敵防空網の制圧、通信経路の確立、全領域の共同移動指揮統制などが含まれる。

さらに、SUAS/ALEを発射・回収するアベンジャー・ドローンやリーパー・ドローンの耐久力は限られているが、小型ドローンは「一度に数日から数週間」滞空する可能性があり、その地域に到着すると他の母船にピックアップされる。大型ドローンは、必要に応じ燃料、バッテリー、武器(実際に実現可能であれば)を供給する。

アベンジャーがコンセプトの一部として登場した前の2021年に、GA-ASIの戦略的コミュニケーション&マーケティング担当ディレクターC.マーク・ブリンクリーは、SUAS/ALEがどのように使用されるかの典型的なシナリオをThe War Zoneに提示した:

「当社の大型(無人)航空機は、これらの小型UASシステムを作戦地域まで輸送し、潜在的な標的を特定するのに必要な長距離センサーを提供する。一旦特定すれば、小型UASが急降下して詳しく観察し、IDを提供し、敵対行為者を追跡する。そのデータはMQ-9やMQ-1Cに戻され、MQ-9やMQ-1Cから情報を必要とする世界中のどこにでも送信するのに必要な堅牢な通信スイートを利用する。チームとして、大型/小型UASのコンボは、将来の戦闘スペクトル全体で、ターゲティング、インテリジェンス、偵察、ネットワーキングの重要な要素になるだろう」。

潜在的な代替SUAS/ALEペイロードに関しては、2021年にGA-ASIがリーパーサイズのドローンから空中で発射されるように設計された別の小型ドローン設計のコンセプトアートを発表した。この無名ドローンは、スパローホークのようなV字尾翼と飛び出し翼の構成を特徴としているが、推進システムが異なり、プロペラが前面に取り付けられている。

このドローンは、前述のスパローホークも含む、「小型UASファミリー」の一部と説明されている。

過去にGA-ASIは、Gray EagleドローンをAgile-Launch Tactically Integrated Unmanned System(ALTIUS)600ドローンの発射プラットフォームとしてテストしたこともある。米陸軍は、独自のALE(Air Launch Effects)プログラムで、ALTIUS 600を積極的に使用している。

ジェネラル・アトミクスのAir-Launched Effectsプログラムと同様に、陸軍のALEプログラムでは、大型の有人または無人航空機から発射可能で、ネットワーク化された群として連携し、情報、監視、偵察(ISR)、電子攻撃、デコイ、攻撃など、さまざまな任務を遂行できる小型無人機ファミリーの開発を計画している。

空軍もALTIUS-600の空中発射モードでの使用を模索しており、少なくとも1機はXQ-58Aバルキリーの内部ペイロードベイから投下されている。

ALTIUS-600は飛行中に他の航空機によって回収されることは意図されていない。

An XQ-58A Valkyrie demonstrates the separation of the ALTIUS-600 small unmanned aircraft system in a test at the U.S. Army Yuma Proving Ground test range, Arizona, March 26, 2021. <em>U.S. Air Force courtesy photo</em>

2021年3月26日、アリゾナ州、米陸軍ユマ試験場での試験で、ALTIUS-600小型無人航空機システムの分離を実演するXQ-58Aバルキリー。米空軍提供写真

GA-ASIがAerial Recovery System試験の後期段階で関与するSUAS/ALEドローンの種類が何であれ、このコンセプトが特にハイエンドタイプの紛争に対する解決策をもたらすことが大いに期待されていることに留意することが重要である。

MQ-9やMQ-1Cのようなドローンの生存性は、将来の紛争環境はおろか、かなり寛容な空域でさえ疑わしいかもしれないが、小型ドローンを発射し、回収する能力は、そのようなシナリオでも役割を果たすために重要であると考えられている。

「小型UASを採用することで、リーパーとグレイイーグルのオペレーターは、対アクセス・エリア拒否(A2/AD)防空網に侵入、崩壊、悪用し、全領域での作戦の支援が可能になる」とGA-ASIは2021年にウォーゾーンに語った。「一方で、これらの小型UASがより大きなスタンドオフ効果を産み、戦術地対空ミサイルの運動範囲外に置くことによって、大型機の生存性を高める」。

同時に、米軍はリーパーやグレイ・イーグル含む無人偵察機の生存性を高める他の方法を検討している。レーダー警告受信機を内蔵した新型防御ポッド、分散開口赤外線対策(DAIRCM)システム、さらにデコイ・フレア、チャフ、拡張可能な無線周波数デコイBriteCloudを放出する対策ディスペンサーなどである。

しかし、SUAS/ALEドローン用の空中回収システムをステルス性の高いMQ-20 Avengerドローンに移行する最新のテストでは、母機の生存性、そしてシステム全体の潜在的な能力が桁違いに向上している。アベンジャーをSUAS/ALEのプラットフォームとすることで、敵の防衛網の届かないところから小型ドローンを発射し、非ステルス性のリーパーや同様のドローンに新たな役割を見出すだけでなく、このコンセプトにまったく新しいミッションの可能性が広がる。生存性の高いアベンジャーは、リスクの高い環境で小型ドローンを発射し、回収することも考えられる。

GA-ASIは、大型ドローンからの小型ドローンの発射と回収の研究を始めたばかりかもしれないが、同社は明らかにこのコンセプトと、将来の紛争シナリオで米軍に提供できる機能に多くの期待を寄せている。まだ多くのハードルが残るが、ジェネラル・アトミックスがこのコンセプトをどう進めていくのか興味を感じる。■

MQ-20 Avenger Tests Recovery Line For Grabbing Smaller Drones Mid-Flight

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED OCT 10, 2023 5:49 PM EDT

THE WAR ZONE


2023年10月12日木曜日

奇襲攻撃から5日目、10月11日のイスラエル、パレスチナを巡る状況。死傷者数の増加が止まらない。情報操作に一層の注意が必要。

 


Israeli forces are still battling Hamas inside Israel.

(Photo by Mostafa Alkharouf/Anadolu via Getty Images)


イスラエル国内でハマスとの衝突はまだ続いている


ガザを封鎖し、緩衝地帯を設定しても、イスラエル国内でハマスとの戦闘が続いている


スラエルがガザを再び封鎖し、土曜日にハマスが侵攻した際に破壊された障壁を修復していると発表しても、イスラエル国内での戦闘は水曜日の夕方まで続いた。

 イスラエル国防軍(IDF)報道官ダニエル・ハガリ少将は、現地時間水曜日の夜遅く、自身のテレグラム・チャンネルで、「第101大隊のIDF兵士が、ニルアム付近でテロリストを含む複数車両を確認した。「第401旅団の戦車が発砲し、テロリスト3人を殺害した。イスラエル国防軍は現在、この地域で捜索を続けている」。

 ニルアムは、ガザ国境から約1マイル。イスラエルとハマスの戦争が始まって5日目のこの事件は、イスラエル軍がガザ周辺に緩衝地帯を設定する際に起きた。この事件は、イスラエル軍が大規模な侵攻のために何十万もの軍隊を集結させているにもかかわらず、人口密度の高いガザの土地に対するイスラエルの支配力のもろさを浮き彫りにした。

 IDFは水曜日にテレグラム・チャンネルで、「イスラエル国防軍は、ガザ地区が軍事封鎖区域であることを強調し、立ち入りは厳禁であり、重大な安全保障上のリスクであり、犯罪行為であることを再確認する」と述べた。「IDF兵士はこの地域で戦闘活動を行っており、立ち入ることは人命を危険にさらすだけでなく、IDF活動にも害を及ぼす。イスラエル国防軍は、治安部隊が任務を遂行し続けることができるよう、一般市民に警戒を呼びかけ、禁止区域に立ち入らないよう求めている」。

 一方、イスラエルはガザの標的を攻撃し続けている。

 水曜日の夜、イスラエル空軍は、イスラム聖戦戦線が使用する数階建ての建物に対して行ったとする空爆のビデオを投稿した。

 水曜日未明、イスラエル空軍はガザのイスラム大学を攻撃したと発表した。

 「IDFの戦闘機は、ガザ地区のハマス・テロ組織に属する重要な作戦・政治・軍事拠点であるイスラム大学を攻撃した。同大学は、ハマスの軍事情報工作員の訓練キャンプとして、また武器の開発・製造のために使用されていた」。

 イスラエル国防軍は、ハマスが「テロ資金集めのために大学を利用していた」と主張。同大学はハマスの幹部と密接な関係を保っていた。  IDFは現在、ガザ地区で大規模な攻撃を続けている。ハマスがイスラエルに向けロケット弾を発射し続けており、ガザ国境から約7マイル離れた沿岸部の都市アシュケロンまで北上している。ソーシャルメディアに登場したビデオでは、イスラエルの誇る防空システム「アイアンドーム」が発射した迎撃ミサイル「タミール」が、ハマスからのメッセージに反して、殺到するロケットの少なくとも一部と交戦している。

 「占領下のアシュケロン市は、サイレンが鳴らず、アイアンドームが故障しているため、カッサムロケット攻撃で焼かれている」と、ハマスが水曜日未明に述べた。

 ハマスはこの戦争で最長射程と思われるロケット弾攻撃を行い、ガザの北約75マイルのカルメル近郊に着弾した。

「イスラエル北部のホフ・ハカルメル地域評議会で鳴ったサイレンに関する最初の報告を受けて、ガザ地区からのロケット弾発射が確認された」とイスラエル国防軍はテレグラム・チャンネルで報告した。「迎撃ミサイルは発射されなかった」。

 ハマスがテレグラム・チャンネルで、「アル・カッサム旅団のミサイルの爆撃を受け、パレスチナ北部のハイファから避難する入植者たち」と自慢し、避難する住民のビデオを投稿した。

 両陣営が互いに砲撃しあい、ハマス侵攻で負傷した人々が倒れるなか、両陣営の死傷者数は増え続けている。

 パレスチナ保健省によると、パレスチナ人の死者は1,100人、負傷者は5,339人にのぼる。

 Haaretzの報道によれば、少なくとも1,200人のイスラエル人が死亡し、2,400人が負傷している。

 ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、自国がロシアに侵略されているにもかかわらず、世界の指導者たちにイスラエルを訪問するよう提案している。

 この会合の後、ロイド・オースティン米国防長官とC.Q.ブラウン新統合参謀本部議長がイスラエル情勢に言及した。

 米国はイスラエルとウクライナの両方に武器を供給し続けることができるのか、と問われたブラウンは、「絶対に両方できるし、両方するつもりだ」と答えた。

 ヒズボラやイランがイスラエルに対して行動を起こす可能性については、ブラウンは「イスラエルの不利益になるような関与をしてくるような兆候は見られない。

 これは、アメリカがジェラルド・R・フォード空母打撃群を地中海東部に移動させたことを指している。この部隊は昨日到着した。

 イスラエルによるガザへの地上侵攻が迫っているのかとの質問には、オースティンはイスラエル側に譲った。

「イスラエルの計画と作戦についてはイスラエルに語ってもらうことにして、私はどちらか一方に物事を評価するつもりはない。「私の目標は、イスラエル国防軍に支援を提供することであり、私たち指導者の焦点は、彼らが必要とするもの、彼らが求めているものに焦点を当て、それを可能な限り迅速に提供することだ。私たちはイスラエル国防軍と連絡を取り合っている。この件が始まって以来、私は毎日のように国防相と話をしており、彼らが何を必要としているのか、私たちはよく理解しているつもりだ。しかし、彼らの詳細な計画、彼らが何をしようとしているのか、何をしようとしていないのかという点に関しては、私は彼らに委ねたい」。

 ホワイトハウスは2日、イスラエルで殺害・拘束されたアメリカ人の問題を再び取り上げた。

「これまで22人のアメリカ人が命を落とし、17人が行方不明のままである」。ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官は記者団に対し、「数字は今後さらに増えるだろう」と述べた。

 「アメリカ人多数がハマスの人質になっていることは承知している」とホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障会議報道官は語った。「この数が増え続け、さらに多くのアメリカ人が人質になっていることが判明する可能性がある」。

 ドワイト・D・アイゼンハワー空母群のこの地域への配備の可能性について、フォード空母打撃群に加わるために地中海東部へ向かうことについては「何も決定されていない」とカービー氏は述べた。

 「そのような作戦上の決定はなされていないが、アイゼンハワーはその方向へ向かうだろうし、アイゼンハワー打撃群の艦船はアイゼンハワーと共にある」。

 ヒズボラの参戦に対する懸念は非常に大きく、警告メッセージアプリの人為的ミスで、イスラエル大部分が数時間にわたって封鎖された。

 ジョー・バイデン大統領は本日、クファル・アヴァ近郊のキブツで頭を切り落とされた赤ん坊が発見されたことを確認した。

 CNNは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のスポークスマンもそれを確認したと報じた。

 しかし、ハマス側はこれらの疑惑を激しく否定している。

 「ハマス運動は、一部の西側メディアによって宣伝された捏造された疑惑を断固として否定する。西側メディアは、専門家でもないのに、われわれパレスチナ人民とそのレジスタンスに対する嘘と中傷に満ちたシオニストのシナリオを採用している。「西側メディアは正確でなければならず、嘘と中傷に満ちたシオニストのシナリオに盲目的に味方してはならない」。 

 ハマスが攻撃を仕掛けてきたとき、彼らはイスラエルの様々な装甲車を倒す方法を記したビラを持っていたようだ。

 侵攻から数日後、ハマスが使用した武器の一部が見え始めている。イラン製のMisagh-1人乗り防空システムなどだ。民間機にも軍用機にも使用できるため、これがガザ周辺に出回っていることは、イスラエルにとって大いに気になることだろう。

 世界中のイスラエル人が、戦いに参加するために故郷に帰っている。

 一方、ハマス側は、イスラム教徒やアラブ人に支援を続け、戦闘に参加するよう呼びかけている。

 世界各地で、両陣営を支持する動きが見られる。

 新しい情報が入り次第、記事を更新していく。■


Clashes With Hamas Are Still Occurring Inside Israel | The Drive

BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED OCT 11, 2023 6:42 PM EDT

THE WAR ZONE


ホームズ教授の視点:米中戦争の勝者はどちらになるか

 F-22 Raptor. Image Credit: Creative Commons.

米中戦争で勝つのは誰か?

西太平洋で勝つには同盟関係に気を配り、戦争構想をしっかり作り上げ、実行者が戦闘態勢にあるか確認すべきだ


中戦争の勝者はどちらか? それは誰にもわからない。野球哲学者ヨギ・ベラは、「未来の予測は難しい」と言った。

そして、偉大なるヨギが予言者としては楽であったことを心に留めておいてほしい。

スポーツとは厳しく規制され、きっちりと台本がある舞台だ。その舞台で勝負の結果を予測できないなら、未来の戦争について強い予測を立てようとするのは愚か者だけであることは明らかだ。戦場には、プレーのルールを強制し取り締まる審判はおらず、プレーのルールなど存在しないのと同じだ。過去の戦争がそうであったように、未来においても、武器の試練は、互いの意思を押し付け合おうと企む戦闘員が典型化するだろう。偶然性、不確実性、戦争の霧、軍事組織の歯車における摩擦、はげしい情念など、戦争を円滑で予見可能な道筋からそらす要因は枚挙にいとまがない。戦争は複雑性の領域にある。戦略の大家カール・フォン・クラウゼヴィッツは、アイザック・ニュートン卿に匹敵する軍事的天才だけが、戦争という情勢が刻々と変化する中で、真の自信を持って航海することができると宣言した。ニュートン並の人はほとんどいない。

要するに、先見の明は極めて重要であるが、つかみどころのないものなのだ。

あるいは、オーウェル的な警告がお好みかもしれない。1943年、イギリスの批評家ジョージ・オーウェルは、第二次世界大戦がどのように展開するかについて、軍事評論家が偽りの予言者だと非難するエッセイを書いた。「無謬性を感じる一つの方法は、日記をつけないことだ」と彼は残念そうに回想した。しかし、オーウェルは未来について間違っていたことを認めながらも、次のように付け加えた。 

私は軍事専門家ほど間違ってはいなかった。さまざまな流派の専門家が、1939年にはマジノ線は難攻不落であり、独ソ条約でヒトラーの東方への膨張に終止符が打たれたと言い、1940年初頭には戦車戦の時代は終わったと言い、1940年半ばにはドイツ軍はすぐにイギリスに侵攻するだろうと言い、1941年半ばには赤軍は6週間で瓦解すると言い、1941年12月には日本は90日後に崩壊すると言い、1942年7月にはエジプトは敗北し、そのようなことが多かれ少なかれいつまでも続いていた。

「そのようなことを告げた人たちは今どこにいるのか?まだ現役で、高い給料をもらっている。不沈艦の代わりに、不沈の軍事専門家がいる」。

何が起こるかわからないという自信に満ちあふれた人たちを信用してはいけない。 

それでも、西太平洋における武力抗争の大まかな輪郭を垣間見ようと努力することは、こうした免責事項のいずれからも許されない。それが私たち自身を準備させる唯一の方法だからだ。米国とその同盟国、パートナーにとっての勝利の鍵はいくつかある。これらの決定要因のうち3つを確認し、運がよければ、先見の明を研ぎ澄ませよう。

何よりもまず、この地域における米国主導の軍事事業にとって、同盟国やパートナーの重要性を誇張することは難しい。そもそも、同盟国やパートナーがそのような事業に参加するのは運命的なことでもある。米国と日本、韓国、フィリピンなどアジアの同盟国との間で結ばれている相互防衛協定は、安全保障上のコミットメントのゴールド・スタンダードである。NATOの基礎となっている北大西洋条約のようなこのような協定は、ある国への武力攻撃をすべての国への武力攻撃とみなし、万が一攻撃が行われた場合にはその根拠に基づいて互いに協議することを加盟国に約束している。同盟国は、それに対応するかどうか、またどのように対応するかについて投票権を持つ。

彼らの行動、あるいは不作為が決定的な意味を持つことになる。

中国がますます支配的になるにつれ、米国の同盟関係が堅持される可能性は高まる。結局のところ、自己保存は人間社会を突き動かす最も根本的な動機である。連帯が重要なのは、多国籍軍が中国の人民解放軍(PLA)に対抗するために、より多くの飛行機、艦船、軍備を備えているという理由だけでなく、地理的な理由もある。台湾海峡、南シナ海、東シナ海において、米軍がグアムやその東に位置する地点から優れた戦闘力を維持することは望めない。米軍基地は、戦場になりそうな場所から遠すぎる。米軍はグアムから中国共産党を困らせることはできるかもしれないが、せいぜい存在感が薄いか断続的なものにとどまるだろう。中国と戦うには、自国から近い場所で戦うことになり、自国を支配することで得られるあらゆる利点を活用することになる。地理的、ひいてはロジスティクスの支配は、おそらく勝利を遠ざけるだろう。

さらに、同盟国本土へのアクセスは戦略上、作戦上、重要な意味を持つ。フィリピンの基地にアクセスできなければ、米軍は南シナ海でPLAの攻勢に対抗することが難しくなる。日本列島にアクセスできなければ、米海兵隊と海軍は琉球列島に沿って扇状に展開し、島々への上陸を意図する敵対勢力を探知し、位置を特定し、標的を定めることができなくなる。すべては同盟外交にかかっている。

そして台湾だ。他のプレーヤーと同様、台湾も自国の運命を左右する一票を手にしている。台湾の独立を守る決意は、台湾が自国を防衛するためにどのようなコンセプトや戦力を設計するかと同様に、極めて重要なものとなる。台湾が自らを助けられない、あるいは助けようとしないなら、部外者にできることはほとんどない。戦闘能力だけでなく、台湾の政府、軍隊、社会における意志の強さは、追跡する価値が大いにある。

西太平洋では、同盟やパートナーシップなしには何もうまくいかない。だからこそ北京は、アジアにおけるアメリカの友好関係を緩めたり壊したりすることに全力を尽くすのだ。だからこそワシントンは、それらを補強するためにたゆまぬ努力をしなければならないのだ。

第二に、戦争は両陣営にとって作戦コンセプトを試される。戦争とは、何よりも思考の試練である。最も健全なコンセプトで作戦を練った方が勝つ可能性が高い。中国の指揮官たちは、外部勢力と距離を保ちながら勝利する、短くて激烈な戦争を好む。そうすることで、多くの戦術的、作戦的、戦略的な迷いが単純化される。もちろん、中国共産党は過去数十年間、対艦弾道ミサイルや巡航ミサイル、ミサイルを搭載した戦闘機、水上哨戒機、潜水艦などの「反アクセス」兵器を中国要塞にばら撒いてきた。PLA海軍の水上艦隊は報道されることが多いが、対接近戦力による火力支援は、同盟軍との戦闘において艦隊の差別化要因になる。少なくともそれが理論であり、もっともなものだ。

相手が「システム・オブ・システム」、つまり電磁スペクトルやその他の手段でネットワーク化された勢力として戦えば、そのネットワークを破壊することに全力を注ぐべきだとなる。そうすれば、敵のシステム・オブ・システムを、孤立し、ばらばらで管理しやすい戦闘力の塊に分解できる、というのが中国の戦略家の理屈だ。要するに、敵軍の戦闘力を奪うことで敵を倒すのだ。そうすれば、自分の判断で個々のユニットや孤立した編隊を摘み取ることができる。これもまたもっともであり、真剣に取り組む価値のある作戦コンセプトである。

これに対して米軍は、PLAに迅速かつ決定的な勝利の余裕を与えないことを目的とした独自のコンセプトを掲げている。米海軍は "分散型海上作戦"、海兵隊は "遠征型前進基地作戦"、そして "待機部隊 "である。この一連のコンセプトは、全体として見れば、艦隊で大型で複雑で高価なプラットフォームは減らし、小型で複雑でなく安価で、なおかつ威力のあるプラットフォームに分解することを意味する。ドローンは低コストの艦隊の大部分を占めるだろう。この再編成艦隊は、西太平洋の島々、海域、空に散らばり、攻撃を回避しながら、近づいてくる敵対勢力を叩きのめす。

多くの船体、機体、海上編隊に戦闘力を分散させる論理は、少数の部隊よりも多数の部隊で構成される部隊の方が、より回復力のある部隊になるというものだ。損失を吸収できる。1つのユニットを失うと、戦力から戦闘力のパーセンテージが減るので、戦力は戦闘ダメージを受けた後も戦い続けることができる。戦域に殺到し、戦域から追い出されない部隊は、PLAが目標とする迅速な勝利を否定する。味方が勝利するのに十分な戦闘力を結集する時間を稼ぐことができる。初日から積極的な防衛態勢を敷くことこそ、そのすべてなのだ。

米空軍が喧伝する関連概念に、"アフォーダブル・マス"がある。これは、特に精密誘導弾や無人航空機技術といった最新技術によって、空軍が資金をかけずに大量を機体を追加する考え方である。ここでも、分散部隊はPLAの守備を混乱させ、米国や同盟国の飛行士が台湾海峡や中国領海の行動現場に火力を届けることができる。もし統合軍が、戦闘の時と場所に戦力を集中させながら、プラットフォームの群れを分散させる能力を示せば、同盟国は中国の攻撃を抑止したり、鎮圧したりすることができるだろう。

しかし第三に、最も健全なコンセプトも、実行可能なものでない限り、どこにもたどり着けない。武器と人材は、どのような紛争においても、成功の決定的な決め手だ。つまり、アイデアを実行に移せるかどうかは、武器と人材の量だけでなく質にかかっているのだ。外国の軍備の質を測るのは難しい問題だ。戦略家のエドワード・ルットワックは、軍事プラットフォームや軍備は平時においては「ブラックボックス」に等しいと指摘する。意図的な秘密主義のせいもあり、戦時中にそれらがどのように機能するかを予測するのは難しい。軍首脳は、軍備に関する事実を選択的に開示し、軍備競争において勝者になる可能性が高いという印象を残すのに十分な情報しか開示しない。戦術的優位性を無駄にしないために、残りは隠すのだ。例えば、アメリカ空軍は新型ステルス爆撃機B-21レイダーの写真を慎重に演出した。それらは多くを暗示し、隠している。

また、友好的な兵器システムであっても、戦闘という過酷な状況下でどのような性能を発揮するのか、それを確実に語ることは不可能である。平時の実地試験の厳しさは、実戦での成功を保証するものではない。

しかし、どんなに高性能な兵器であっても、熟練したやる気のある使い手が操作しなければ、性能は発揮されない。最高の武器も、その使い手次第だ。100年以上前、ブラッドリー・フィスク提督は、熟練した兵士、水兵、航空兵だけが装備品の設計性能を最大限に引き出すことができると指摘した。個人のパフォーマンスが中心である。しかし、人々は、組織のメンバーがどのように業務に取り組むかを形成する文化が根付いた組織の中で活動する。組織文化は、人々が最適なパフォーマンスを達成するのを助けるかもしれないし、助けもせず妨げもしない中立的な影響を与えるかもしれない。どちらの側が、より優れた戦闘文化、熟練文化、勇敢な行動倫理を育成するかによって、米中戦争での成功の見込みが高まるだろう。

そこで、ヨギ・ベラ、カール・フォン・クラウゼヴィッツ、ジョージ・オーウェルへの感謝を込め、予言の努力なしに勝利するための3つの鍵がある。西太平洋で勝ちたい?同盟関係に気を配り、戦争に関する確かなアイデアを練り、そのアイデアの実行者が戦闘態勢にあることを確認するため身を粉にするのだ。■

Who Would Win a U.S.-China War? - 19FortyFive

By

James Holmes




About the Author

Dr. James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the U.S. Naval War College and a Distinguished Fellow at the Brute Krulak Center for Innovation & Future Warfare, Marine Corps University. The views voiced here are his alone.


防衛白書で注目すべきは敵地攻撃兵器よりも中国の軍民一体の軍事技術開発能力や情報収納力である。防衛費増額は装備品の調達もさることながら、隊員の生活環境の改善もお願いしたいところです。

 

日本が「2023年防衛白書」に、中国の脅威増大と新型「カウンターストライク」兵器の取得を明記

上自衛隊は、情報収集と、トマホーク・ミサイル、高性能無人偵察機、改良型12式地対艦ミサイルのような兵器を大幅に増強している。急速に進化する中国の脅威に対抗するためだ。

浜田靖一前防衛大臣が「2023年度防衛白書」で引用しているように、中国の脅威が高まっていると明記されていても、誰も驚いていない。「中国は、核戦力やミサイル戦力を含む軍事力を質的にも量的にも急速に強化しており、東シナ海や南シナ海において、力による一方的な現状変更とそのような試みを継続し、増幅させている」。

防衛白書はまた、急速に進化中の攻撃対抗能力の証拠として、性能改修版12式地対艦ミサイルやトマホーク・ミサイルのようなスタンドオフ兵器の取得を明記している。

「日本がミサイル攻撃を受けた場合、ミサイル防衛網によって飛んでくるミサイルを防ぎながら、相手国に効果的な反撃を行い、それ以上の攻撃を防ぐことができる能力。これにより、相手の攻撃の意欲をそぎ、武力攻撃そのものを抑止する」と、白書は述べている。

具体的な取り組みとして、高度な指揮統制技術と情報収集技術によって、これらの兵器の目標捕捉と照準合わせを支援することが挙げられる。その一環で日本は、人民解放軍がAIや高度な監視技術を駆使して日本を脅かすなど、中国の脅威が増大していることを挙げている。

防衛白書は、監視技術と情報収集の大規模な強化を求めているだけでなく、日本が「反撃能力」を迅速に開発・獲得する重要性も挙げている。

白書は「迅速かつ正確な意思決定のための指揮統制機能と情報関連機能の強化」を求めている。

白書によれば、インテリジェンス領域における日本の進歩と近代化の努力には、「日本上空で送信される軍事通信電波、電子兵器、その他の電波の収集、処理、分析」が含まれる。白書はさらに、このような改良・拡大された分析に人工衛星、警戒機、偵察機、軍艦からのデータも含まれると明記している。

中国によるAIの使用は、日本の2022年度版防衛白書でも「インテリジェント化された戦争」と呼ばれており、兵器システム、監視資産、データ処理速度と能力のすべてが大幅改善されているとあった。

「中国の軍事動向は、中国の国防政策や軍事情勢に関する不十分な透明性と相まって、日本を含む地域や国際社会にとって重大な懸念事項となっており、この傾向は近年ますます強まっている」とある。

AIで可能となる「インテリジェント化された戦争」には、当然ながら、兵器システムや技術プログラムの広い範囲に影響を与える可能性がある。特に中国では、予算や技術交流に関して、文民と軍事の隔たりは一切ない。例えば、衛星データはより迅速に処理され、送信され、軍艦、ロケット、そして核兵器でさえも、改良された標的情報を受信し、整理することができる。

重要なのは、中国のAIが、「センサーからシューター」までの時間短縮、進路修正弾薬の進歩、マルチドメイン攻撃接続の実現、AIを活用した高速情報処理といった領域で米国にどの程度匹敵するかということだ。中国がこれらを重視していることはよく知られており、文書化もされているが、重要なのは、戦闘の「意思決定」サイクルの短縮に関して、PLAがどの程度進んでいるかということだ。

確かに、人民解放軍・海軍は拡大中で、核兵器に加え、J-31やJ-20のような第5世代航空機が急速に出現している。しかし、こうした懸念と並行して、中国のAIの利用拡大や、日本の報告書が中国の「民軍融合」と呼ぶ「軍民双方向の資源移転の加速」など、日本の報告書に明記されているその他重要分野もある。■

Japan Report Cites New "CounterStrike" Tomahawk & Type-12 Missiles to Deter China - Warrior Maven: Center for Military Modernization

KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN - CENTER FOR MILITARY MODERNIZATION

ORIGINAL:OCT 8, 2023