2025年12月1日月曜日

米海軍の艦艇建造計画がことごとく難航している理由はどこにあるのだろうか(National Security Journal)

 

米国の艦艇建造能力はここまで衰えている(National Security Journal)

スティーブ・バレステリエリ

The Navy's newest and most technologically advanced warship, USS Zumwalt (DDG 1000), is moored to the pier during a commissioning ceremony at North Locust Point in Baltimore. (U.S. Navy photo by Petty Officer 1st Class Nathan Laird/Released)米海軍で最新鋭かつ最も技術的に先進的なUSSズムウォルト(DDG 1000)が、ボルチモアのノース・ロカスト・ポイントで行われた就役式典で桟橋に係留されている。(米海軍写真、一等兵曹ネイサン・レアード撮影/公開)

要点と要約 

コンステレーション級フリゲート艦計画の大半を中止した海軍の決定は、単なる失態以上のものだ。これは米国の水上艦建造システムに対する告発である。

「低リスク」のはずだったFREMM原型の設計は、米国独自の要求仕様で排水量・コスト・複雑性が膨れ上がった一方で、原型艦との共通性は大幅に削減された。

フィンカンティエリ・マリネットの労働力不足と離職者が延滞を悪化させ、1番艦は数年遅れ、予算を50%以上超過した。

今や海軍は高価な「ユニコーン級」フリゲート2隻を抱え、将来艦隊のギャップが拡大している。

ワシントンが産業基盤を再構築しない限り、米国の海軍兵力は衰退し続けるだろう。

コンステレーション級フリゲートの崩壊は、米海軍艦艇建造における問題点を如実に物語っている

何度も同じ光景を繰り返す映画『グラウンドホッグ・デイ』を彷彿とさせる状況の中、米海軍はコンステレーション級フリゲート艦計画を中止した。既に建造中の2隻のみが完成予定である。

この計画は、生産遅延、コスト高騰、外国設計を米国要件に適合させる際の設計上の課題により中止された。中止されたフリゲート艦の資金は、迅速に生産可能な他の艦艇に振り向けられる。

「艦隊の建造・配備方法を見直し、産業界と連携し戦闘優位性を実現する。その第一歩としてコンステレーション級フリゲート計画からの戦略的転換を図る」とジョン・C・フェラン海軍長官はX(旧ツイッター)で述べた。「海軍と産業界パートナーは包括的枠組みに合意した。これにより建造未着手だった同級艦4隻の建造を海軍の都合により中止する」。

「ミシガン、ウィスコンシン両州の造船業者を高く評価している。最初の2隻の作業は継続されるが、戦略的転換を進める中で検討対象となる。この重要な労働力の雇用維持と、将来の海軍艦艇建造に向けた造船所の存続が最優先課題だ」と付け加えた。

フィンカンティエリが契約解除を発表した。「フィンカンティエリは確固たるパートナーとして、海軍は今回の提携と当社の投資を高く評価している。当社は共に戦闘員へ能力を迅速に提供したいと考えている。したがって海軍は合意された枠組みを尊重し、水陸両用艦、砕氷艦、特殊任務艦などにおける仕事を当社の造船所システムに振り分けつつ、彼らが迅速に配備を望む有人・無人両方の新型小型水上戦闘艦を支援する方法を決定すると確信している。重要なのは、造船所システムが示すコミットメントと能力を最大限に活用することだ」。

海軍の水上戦闘艦調達システムは深刻な欠陥を抱えたままだ

コンステレーション級フリゲート艦計画は「低リスク」アプローチ、つまり新型フリゲート艦建造の確実な手段となるはずだった。しかしイタリアのFREMM設計を基にした設計に大幅変更が加えられ、結果として排水量が増加し、コストが高騰し、当初の設計図から大きく逸脱した。

そしてズムウォルト級駆逐艦や不運な沿海域戦闘艦などと同様に、設計と艦艇建造コストを統合しようとする全プロセスが完全に制御不能に陥っている。

結局、海軍は4隻の建造を中止し、建造を開始していた2隻のみを残した。同プログラムは費用対効果が低く、他の造船計画の妨げになっていると説明した。

設計変更で計画が破綻させた

この計画は、成熟し成功実績があり既に手頃な価格のプログラムであるFREMMフリゲート艦の設計を基盤とした。しかし海軍はその後、米国の生存性とセンサー要件を満たすため設計を大幅に変更した。

これにより重量とコストが増大した。これらの変更は艦艇を著しく重くし、1隻あたりの予想コストを当初の見積もりを大幅に上回る水準に押し上げた。米国側の設計の完成前に急いで生産に入ったことは、まさに開始当初からの危険信号だった。

(2025年10月16日) アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ポール・イグナティウス」艦(DDG 117)が2025年10月16日、空母「ルーズベルト」艦(DDG 80)に敬礼を行う。ポール・イグナティウスは、米国第 6 艦隊の作戦海域で、米国海軍欧州・アフリカ軍(USNAVAEUA)の戦闘能力、殺傷力、即応性を支援し、この地域における米国、同盟国、およびパートナー国の利益を守るため、予定通り配備されている。(米海軍、ブラッドリー・ウォルフ水兵撮影)

共通性の欠如も、もう一つ大きな問題だった。最終設計は、元の FREMM 設計との共通性が15% 程度しかなく、「低リスク」で効率的な建造という当初計画と矛盾していた。これにより、なぜ海軍がそもそもこの設計を採用したのかという疑問が生じた。

再設計により、重量が増加したため、コンステレーション級フリゲートの速度は 25 ノット以下に低下し、空母戦闘群での快適な運用はほぼ不可能となり、将来の改造の見通しも制限された。

フィンカンティエリ・マリネット造船所の労働力問題

フィンカンティエリ・マリネット造船所の労働力問題には、溶接や配管などの熟練工の不足、従業員の離職率の高さ、そして相当な数の退職者が含まれる。

これらの問題はコンステレーション級フリゲート艦などプロジェクトの遅延を招いており、米国造船業界全体が直面する広範な課題の一部だ。これらの問題に対処するため、造船所と海軍は定着ボーナスなどインセンティブを活用し、訓練やインフラへの投資を行い、新たな採用・提携戦略を模索している。

マリネット造船所の具体的な労働力問題としては、生産需要を満たすための主要分野、特に溶接工や配管工といった熟練労働者の深刻な不足が挙げられる。

同造船所は「前例のない労働力の定着率の低さ」と高い離職率に直面しており、経験豊富な労働力の維持が困難となっている。経験豊富な労働者多数が退職したことで、埋めるのが難しい技能格差が生じている。

同型艦の1番艦であるUSSコンステレーションはウィスコンシン州マリネットで建造中で、2026年の完成が予定されていた。フィンカンティエリ・マリネット・マリンは生産支援のため3億ドルを設備改善に投資した。

しかしこれらの問題により、艦艇価格は50%以上上昇し、完成予定日は約3年遅れた。

今や海軍は、既存の空母打撃群との航行に適さず、過剰な価格設定がなされた「ユニコーン」のような扱いにくいフリゲート艦2隻を抱え込む羽目になる。それでもなお、役立たずのプラットフォームに配属された水兵で運用せざるを得ないのだ。

海軍の長期的造船計画は、造船業界が自らを立て直し、新設計を予算内で期日通り納入できるかどうかに依存している。だが現状ではそれは幻想だ。

コンステレーション級駆逐艦の計画中止は、米海軍の船舶建造基盤が崩壊しつつあることを示す重大な警告信号だ。現在の課題は、同盟国と共に米国造船業を再生させ、現代の大国間競争が要求する速度で軍艦を供給することである。

Littoral Combat Ship

沿海域戦闘艦。画像クレジット:クリエイティブ・コモンズ。

造船所インフラ最適化計画の一環として、造船所の完全な近代化が達成されるのは2046年まで待たねばならない。これは容認できない。

韓国による米国造船業再興計画は小さな一歩に過ぎない。トランプ政権は、韓国が「米国が所有・管理する」3500億ドルの投資を行う見返りとして、提案されていた25%の相互関税を15%に引き下げることに合意していた。このうち1500億ドルは造船産業に充てられる。

造船産業は転換点に達しており、早急な対応が必要だ。海軍の整備待ち艦艇の待ち行列と新造艦の建造が重なっており、安全保障上の懸念事項に対応する海軍の能力が著しく損なわれている。■

著者について:スティーブ・バレストリエリ

スティーブ・バレストリエリは国家安全保障コラムニストである。米陸軍特殊部隊の下士官および准尉を務めた経歴を持つ。防衛問題の執筆に加え、PatsFans.comでNFLを担当し、プロフットボールライター協会(PFWA)のメンバーでもある。その記事は多くの軍事専門誌で定期的に掲載されている。


The U.S. Navy Can’t Build A Navy Anymore

By

Steve Balestrieri

https://nationalsecurityjournal.org/the-u-s-navy-cant-build-a-navy-anymore/



米空軍の新輸送戦略でC-17の供用期間は80年へ延長(TWZ)

 米空軍の新輸送戦略でC-17供用は80年へ延長(TWZ)


次世代輸送機への完全移行が完了する頃にC-17は導入から80年に達する可能性が出てきた


―米空軍輸送機の後継機種調達がちっとも進まない間に機材の減少が進む一方、世界各地への軍用輸送需要が減ることは考えにくいので、今後は後方輸送では民間機のチャーターで対応する動きがでてくるのではないでしょうか


The U.S. Air Force says it estimates a fleet of Next Generation Airlift (NGAL) aircraft will be flying operational missions by the 2040-2041 timeframe.

USAF


空軍は、次世代輸送機(NGAL)フリートが2040年から2041年にかけて作戦任務に就くと推定している。同軍は現行のC-5MギャラクシーC-17AグローブマスターIIIを、それぞれ2040年代半ばと2070年代半ばまでに次世代輸送機で置き換えることを目指している。2075年までに、近年特に負担がかかっているC-17は就役から80年を迎えるが、現存する機体はそれより新しい。

 空軍機動司令部(AMC)は今週初めに公表した戦略メモで、将来の空輸機に関する最新構想を明らかにした。この文書は、現行計画が単一の次世代輸送機(NGAL)でC-5MとC-17Aを置き換えることを再確認するもので、AMCが9月に初めて公表した内容と一致する。当時、司令部は新型輸送機への移行開始時期を2040年代半ばとだけ言及していた。 


2025会計年度開始時点で、空軍の保有機数はC-17Aが222機、C-5Mが52機である。


左が米空軍C-5ギャラクシー、右がC-17グローブマスターIII。USAF


「2027会計年度(FY27)に新世代輸送機(NGAL)の代替案分析(AoA)を加速し、継続的な資金調達による中断のない調達プロセスを実現すれば、最初のNGAL機は早ければ2038会計年度(FY38)に生産可能となる」と、2025年11月18日付の「空輸能力再構築戦略」文書は説明する。「NGALプログラムは2041会計年度に初期作戦能力(IOC)を達成すると推定される」


米国政府の会計年度は、前年の10月1日から当該年の9月30日までである。2041会計年度は2040年10月1日に始まり、2041年9月30日に終わる。


「C-5Mの全機退役まで、NGALとC-5M機を1対1で置き換える。その後、C-17Aも1対1の交換でNGAL機に置き換えられる」と文書は付記する。「フリート更新期間中の世界規模作戦において、戦域間輸送能力をそのまま維持することが最重要である。現行の戦力更新計画では、C-5Mは2045年まで、C-17Aは2075年まで運用継続を求めている」。


米空軍C-5輸送機。USAF


空軍のC-5Mは全て、1980年代に就役した旧型B型・C型から改修された機体である。C-17Aは1995年に初めて実戦配備された。いずれの機種も現在生産されていない。


2045年までに、最も新しいC-5Mも約56年間飛行を続けることになる。前述の通り、空軍はC-17を80年間運用する方針だ。最終生産分のグローブマスターIIIは2013年に納入され、2075年には62年を経過する。


重要なのは、近年、世界的な重大危機が相次いだことでC-17への需要が持続的に高まっている点だ。同機は2021年のアフガニスタンからの米軍撤退、2022年ロシアの全面侵攻直前および侵攻後のウクライナへの軍事支援物資輸送、2023年以降の中東各地の緊急事態において極めて重要な役割を果たしてきた。その結果、航空機と乗組員に多大な負担がかかり、維持管理上の課題がさらに生じている。こうした状況を考慮すると、空軍がC-17を2075年まで運用可能と判断した根拠は不明確だ。


米空軍C-17が編隊飛行する様子。USAF


「調達遅延、資金の不確実性、技術的課題に伴うリスクを軽減するため、完全な代替機が配備されるまで、現行のC-5MおよびC-17A機群の運用能力を維持する必要がある。これには各プラットフォームの耐用年数と関連する軍用型式証明(MTC)の延長が求められる可能性がある」と、空軍輸送司令部(AMC)の空輸戦略文書は指摘している。


C-17フリートのエンジン換装の議論が活発化している。これは運用寿命を延ばすのに役立つ可能性がある。燃費効率や信頼性を高める新型エンジンは、航空機の性能を向上させると同時に、運用コストと維持管理の需要を削減することができる。


「C-17 と C-5 は何十年にもわたり貢献してきたが、永遠に飛行し続けるわけではない。だから予定通りそれらの機体を機種更新したい」と、AMCの責任者であるジョン・ラモント空軍大将は、9 月に開催された空軍・宇宙軍協会 2025 航空・宇宙・サイバー会議のサイドイベントである円卓会議で、本誌含む報道機関に語った。「C-17の耐用年数が低下し始めたとき、それが主翼、エンジン、その他を問わず、すでに競争が開始されているような計画を立てておきたい」。


AMC は現在、現行の空輸機、特に主力 C-17 のその他の能力アップグレード計画も立てており、特に将来のハイエンド戦闘において、その継続的な有用性を確保しようとしている。グローブマスターIIIは既に視界外通信システムを搭載するプロセス中にあり、新たな防御システムも導入が視野に入ってきた。


後継機となる次世代輸送機(NGAL)については、空軍がステルス機能の組み込みを要求するか否かを含め、多くの疑問点が未解決のままである。垂直離着陸能力や、従来の滑走路への依存度を低減するその他の手段も検討要素となり得る。将来の大規模紛争では滑走路へのアクセスが大幅制限されると予想されるからだ。空軍は先進的な空輸・空中給油タンカー構想を検討してきた。本誌長年にわたり、生存性の高い輸送機や給油機の必要性が高まっていると指摘してきた


2000年代後半から2010年代初頭にかけて、空軍が「スピード・アジャイル」プロジェクトの一環として検討した、先進的なタンカーおよび/または貨物機の設計コンセプトの風洞モデル。USAF


「次世代の空輸プラットフォームに求めるものは、機動力、速度、そしてより脅威の高い環境でも運用できる能力だ」と、ラモント大将は9月に述べていた。これには「ますます長距離から飛来する脅威に対して効果的な対策」も含まれる。


これらすべてに加えて、空軍が C-5Mと C-17A を単一のプラットフォームで置き換える重要な課題がある。ギャラクシーとグローブマスター III は、サイズも、設計目的も大きく異なる。


少なくとも 1 社、レイディアが、C-17 や C-5 より大型の新型輸送機ウィンドランナーを空軍に売り込んでいる。しかし、同機の設計もまだ開発段階にあるにすぎない。


レイディアのウィンドランナーのレンダリング。F-16戦闘機が積み込まれている様子が描かれている。レイディア


ロッキード・マーティンボーイングなど、その他企業も、近年、先進的な輸送機や給油機に関するさまざまなコンセプトを発表している。


空軍は以前、NGAL が単一の航空機ではなく「システムのシステム」となる可能性に言及していた。9 月にラモント大将は、最終的には複数の機種で NGALを構成する可能性も残っていると述べたが、「孫、子供、双方に費用的な余裕が残っているか」という懸念を表明していた。


空軍が NGALの下で最終的にどのような航空機を取得するにせよ、今後 15年以内に新型機の運用サービスを開始するという明確な目標を設定したことになる。■


ジョセフ・トレヴィシック

副編集長

ジョセフは 2017 年初めから The War Zone チームの一員である。それ以前は、War Is Boring の副編集長を務め、Small Arms ReviewSmall Arms Defense JournalReutersWe Are the MightyTask & Purpose などの出版物に記事を掲載してきた。


C-17 Will Fly Until 80 Years Old Under New USAF Airlifter Strategy

Some C-17s could be 80 years old by the time the full transition to a new Next Generation Airlift aircraft is complete.

Joseph Trevithick

Published Nov 21, 2025 1:37 PM EST

https://www.twz.com/air/c-17-will-fly-until-80-years-old-under-new-usaf-airlifter-strategy


2025年11月30日日曜日

北朝鮮との戦争が迫っているのか?(National Security Journal)

 北朝鮮の動向には注意が必要です。ここにきて世界の注目が減っていると感じるととんでもないことをしかねません。

要点と概要

-- 韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、北朝鮮との関係が「非常に危険な」段階に入ったと警告している。すべての連絡手段が断たれ、朝鮮戦争以来初めて国境沿いに有刺鉄線が新たに張られている。

-- 李大統領が前提条件なしの対話を提案したにもかかわらず、北朝鮮はこれを拒否し嘲笑している。一方で、北朝鮮軍は非武装地帯(DMZ)を越える侵入を繰り返している。

-- 米韓両国が計画中の原子力潜水艦建造に対し北朝鮮は「核のドミノ」と非難し、緊張をさらに煽っている。

-- 李大統領はソウルは対話を追求し続けると主張するが、偶発的な衝突が現実的なリスクとなってきたことを認めている。

韓国大統領が北朝鮮との即時戦闘可能性を警告

韓国・ソウル発-今週月曜日、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、韓国と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が「極めて危険な状況」にあり、いつでも偶発的な衝突が起きうると述べた。

聯合ニュースによると、韓国大統領は平壌と対話すべきだと述べた。

李によれば、この危機は北朝鮮が両朝鮮間の連絡確立と対話再開を求めるソウルの呼びかけに応じないために生じた。

北朝鮮側では、兵士たちが軍事境界線に沿って有刺鉄線のフェンスを設置しており、両国を隔てる障壁の深刻さを増している。

李は、こうした障壁の建設は1950-53年の朝鮮戦争終結以来、命令されたことはないと述べたと伝えられている。

李は6月の就任以来、南北間の緊張緩和に向け複措置を講じてきた。北朝鮮との前提条件なしの対話さえ提案していた。

方針転換

李の融和的な姿勢は、対立的かつ強硬な保守派の前任者とは対照的だ。

李は善意の示しを繰り返し、北朝鮮との対話再開を試みたが、これらは平壌の公式プロパガンダで無視され非難されてきた。

朝鮮労働党の高官であり、北朝鮮の独裁者金正恩の妹である金与正は、早くも8月に韓国大統領のこうした招待をあっさり退け、「みすぼらしく、欺瞞に満ちた茶番劇」と呼んだ。

「残念ながら、南北関係は非常に敵対的で対立的な状態に陥っている」と、李明博大統領は記者団に語った。南アフリカで開催されたG20サミットに出席後、トルコへ向かう機内での発言。「最も基本的な信頼すら存在せず、北朝鮮は極めて過激な発言と行動を繰り返している」。

李は、北朝鮮が国境沿いに三重の有刺鉄線を設置した最近の事例を再び指摘した。「偶発的な衝突がいつ起きるか分からない状況に至っている」。

「全ての連絡手段が断たれている。彼らはあらゆる対話と接触を拒否している。極めて危険な状態だ」と彼は付け加えた。李は、関係悪化にもかかわらず、ソウルは北朝鮮との対話再開を試み続けると述べた。

大統領は、前政権下で存在した交流の窓口を再開することについて、韓国は「常に門戸を開いている」と説明した。「なぜ我々は他の国々とは交流し対話するのに、北朝鮮とはしないのか? 今こそ交流すべきだ。そして我々は関係正常化を支持する」。

核のドミノ効果

11月17日、韓国は軍事境界線に沿った明確な境界線の設定に向け、北朝鮮との軍事会談を提案した。

ソウルは、これにより衝突が拡大するのを防げると表明した。また、このような提案は韓国側から約7年ぶりのことである。

しかし、北朝鮮をより強硬な姿勢に追い込んだ最近の行動の一つは、米国が韓国に対し、原子力推進システムを搭載した新型潜水艦の建造を支援する決定を下したことである。

核武装した北朝鮮は、韓国と米国による原子力潜水艦建造合意を非難した。国営メディアの論評で、両国の「対決的意図」により「核のドミノ効果」を引き起こすと主張している。

平壌は朝鮮半島における韓国と米軍の合同軍事演習を非難し、北朝鮮に対する核戦争の予行演習だと呼んでいる。

現在、約28,500人の米軍兵士と兵器システムが韓国に駐留している。

また今年に入り、北朝鮮兵士による国境侵犯が10件以上発生しており、うち数件では既定のプロトコルに基づき韓国軍が警告射撃を行った。

一方、李は北朝鮮との平和の獲得は長期的な努力が必要としつつも、確固たる平和体制が確立されれば、韓国と米国が共同軍事演習を縮小または廃止する方が「より良い」と述べた。■

著者について:ルーベン・F・ジョンソン

ルーベン・F・ジョンソンは、外国の兵器システム、防衛技術、国際的な武器輸出政策の分析と報道に36年の経験を持つ。ジョンソンはカシミル・プワスキ財団の研究部長である。また2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の生存者でもある。長年、米国防産業で外国技術アナリストとして勤務し、後に米国防総省、海軍省、空軍省、英国政府、オーストラリア政府のコンサルタントを務めた。2022年から2023年にかけて、防衛関連報道で2年連続の受賞を果たした。デポー大学で学士号、オハイオ州マイアミ大学でソ連・ロシア研究を専門とする修士号を取得している。現在はワルシャワ在住である。


Is a War with North Korea Coming Soon?

By

Reuben Johnson

https://nationalsecurityjournal.org/is-a-war-with-north-korea-coming-soon/

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