2017年10月24日火曜日

空軍機材からのレーザー兵器運用技術はここまで進展している


レーザー兵器の発展は急速なようです。
光ファイバーレーザーは新技術なのでしょうか。今やレーザー単体より光学系センサー技術との同期化など応用面に研究の中心が移っているようですが、電源確保、安定性など航空機での実用化にはまだ課題は多いのでしょう。一方で完全自律兵器は米国ではタブー扱いですがこんなことにかまわない東側勢力はちゅうちょなく「ターミネーター」を作り、いつの日か暴走するのでは。恐ろしいです。


Air Force Tests Bolt-On Aircraft Laser Weapon

米空軍が航空機搭載レーザー兵器試射に向け準備中


Scout Warrior - May 28, 9:48 PM

  1. 米空軍科学技術部門がB-52に防御用レーザー兵器を搭載し飛来する空対空ミサイルを焼きつかせようとしている。
  2. 攻撃防御両面でレーザー兵器を空軍は戦闘機や大型貨物機への搭載を狙い数年にわたり開発中だ。ただし空軍研究所Air Force Research LabがSHIELD事業の名前で別の5か年開発事業に乗り出しており機内発電容量の確保、光学高エネルギーレーザーで大型機のB-52やC-130さらに戦闘機の防御に役立てる。
  3. 「長期的にはレーザーを攻撃兵器に運用して標的を排除できるようになる」と空軍科学主任グレッグ・ザカリアスAir Force Chief Scientist Greg ZachariasがScout Warrior 単独インタビューで答えている。
  4. おそらく外部装備ポッドから十分な電力を確保する構想と思われるが、AFRLはすでに実証装備を機材に取り付ける作業に入っているとザカリアスは述べている。
  5. 外部ポッドは敵レーダーに探知されやすくなりステルス機への搭載は困難とザカリアスは認める。
  6. ただし1960年代製の大型B-52が防御能力の恩恵を一番大きく享受するはずだ。B-52はハイテク技術アップグレードを続けて受けており、空軍は同機をまだ数十年稼働させる。
  7. B-52の防御は重要課題になるはずで、改装B-52をペンタゴンは重武装機別名「空飛ぶ爆弾トラック」として使う構想があるからだ。
  8. レーザーは高熱と光エネルギーで標的を爆発させる代わりに焼却する構想で運用は非常に高速で高速標的を即座に破壊するか敵の攻撃にも対応する。防御用兵器にして敵ミサイル妨害にも使えると開発陣は説明してくれた。「飛来するミサイルを破壊する代わりにコースをずらせるのです」(ザカリアス)
  9. またレーザー兵器に望遠鏡の光学技術を同調させれば高速移動標的の高精度追尾破壊を実現できるとザカリアスは説明してくれた。
  10. 光ファイバーケーブルを束ねることがレーザー出力の増強策になり1キロワット出力を10キロワット兵器にできる。「光ファイバーレーザーの問題は安定性とレーザーそのものの拡大だ」(ザカリアス)
  11. レーザーの標的捕捉でもフェイズドアレイレーダーとレーザーを同一波長で接続して同期化を進めた兵器になる。
  12. 航空機からのレーザー発射は戦闘機でゆくゆく実現し広い用途が考えられ、空対空戦、近接航空支援、対UAS(無人機)攻撃、小舟艇攻撃、地上攻撃さらにミサイル防衛を考えていると関係者は述べる。
  13. 低コストがレーザー兵器のカギであり、高価なミサイルの投入が不要となる。
  14. 空軍研究部門関係者は空中発射レーザー兵器の実用化を2023年までに実現すると述べている。空中発射実験は202年までに実施すると空軍関係者は述べている。
  15. 高エネルギーレーザー(HEL)の地上兵器運用テストがここ数年ホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ)で続いており、空軍指向性エネルギー局が高エネルギーレーザーテストをニューメキシコのカートランドAFBで実施中だ。
  16. 空軍首脳部は大型機のC-17やC-130からの空中発射から始め、小型化が実現すればF-15、F-16やF-35にも投入されるとみている。
  17. 航空戦闘軍団は自機防御用高エネルギーレーザー高度技術実証で中規模出力レーザーを小型化し戦闘機用ポッドに搭載して地対空、空対空ミサイルへ対応させる。
  18. 空軍特殊作戦軍団は空軍研究所とともに海軍支援施設ダールゲンともレーザーをAC-130Uガンシップに搭載し攻撃用途に使おうと模索中だ。
  19. レーザーでは弾薬量の制約がなくなるのが利点だ。ミサイル6発なり7発を機外機内に搭載するのかわりに、指向性エネルギー兵器ならわずか1ガロンのジェット燃料で数千回発射できると空軍専門家は発言。
  20. レーザー兵器は弾道ミサイル防衛にも投入できる。ジェイムズ・シリング海軍中将(ミサイル防衛庁長官)は2017年度予算審議の席上で「レーザー技術の成熟化は死活問題だ」と述べている。
  21. 技術の進展では自律化技術分野がめざましくレーザー搭載無人機で敵を捕捉、追尾、破壊する能力がセンサー、目標捕捉、兵器運搬の組み合わせで実現するとの見方が強い。すべて人的関与なしで実現する。
  22. 急速に技術が発展する中でペンタゴンは自律型兵器運用でも「人員を関与させる」考え方をウェポンシステムに導入しているとザカリアスは認める。
  23. 「人員との接続を必須としており、断続的でもかならずチームに人員をかませる。実現まで数年かかるだろうが、自動化技術も数年にわたる開発が必要だし、飛行制御コンピュータや航空機そのものと多様な内容だ」(ザカリアス)
  24. ミサイル装備にはトマホークやSM-6のようにセンサーとシーカー技術で自律運用や半自動自己誘導を実現しているものもあるが、なんらかの人的介在が必要だ。ミサイルと大型機や高機動地上ロボットが自分で標的を破壊する作業は異なる。■

ロシアとの第五世代戦闘機開発の継続に消極的なインド空軍


ロシアはインドの資金提供を期待していたはずなのにこれでは目論見が外れます。Su-57(PAK-FA T-50)の今後に暗雲ということでしょうか。あるいはロシア機の性能内容に今後の成長の可能性がないとみているからでしょうか。インドが米国製機材採用に大きな方向変更を取る可能性が出てきたと言えないでしょうか。


Indian Air Force wants out of fighter program with Russia

インド空軍がロシアとの戦闘機共同開発の継続に消極的に

Su-57 の試作機 T-50 がMAKS 2011航空ショーで飛行展示された。 (Alex Beltyukov via WIkipedia Commons)


NEW DELHI – 100億ドルで第五世代戦闘機(FGFA)を共同開発・生産しようという野心的なインド-ロシア構想は新たな難関に直面している。インド空軍が事業中止を求めているからだ。
インド空軍高官が国防省に不安を訴え、FGFAのロシアとの共同事業では米F-35戦闘機並みの性能は実現できないと事業継続に消極姿勢を見せている。
FGFA事業の内容ではステルス性能でレーダー断面積がF-35より劣ると空軍関係者は述べ、構造面で抜本的な改良が必要でロシア試作機では実現は無理だという。
FGFAにはエンジンのモジュラー構想はなく、整備と保守性が高価格となりトラブルも増える。
ロシア側はモジュラー式ではないエンジンを提供し、保守点検等はエンジンメーカーが担当するとしている。
これに対し国防アナリストのインド空軍出身のバジンダ・タクールVaijinder K Thakurは、空軍の評価に賛同していない。FGFA原型機のSu-57のエンジンはAL-41F1だがFGFA生産型にはプロダクト30型が搭載され、重量が3割軽減され、推力向上と燃料消費改良に加え稼働部品数が減る。このため信頼性が上がり、ライフサイクルコストが3割下がるという。
インド空軍は米製機材の運用経験がなく、長期運用経費をロシア、米国の戦闘機で比較する立場にないというのがタクールの言い分だ。■

2017年10月23日月曜日

北朝鮮攻撃に待機する米潜水艦部隊の持つ意味とは...


これが抑止力の好例でしょう。北朝鮮も今春シリアが巡航ミサイルで攻撃されたのを恐ろしく見ていたはずです。潜水艦の場合はどこにいついるのかわからないため、今回ツーソンをあえてさらけ出した米海軍の意図は近海にもっと多くの潜水艦がいる(いない)かもしれないと北朝鮮をおびえさせることにあるのでしょうね。空と海で北朝鮮軍は米軍等にまとも戦える戦力ではないのでいったん作戦が始まれば北朝鮮は一度も主導権を握れずに壊滅する可能性があります。



The U.S. Navy Could Attack North Korea from Stealth Submarines (With Almost No Warning)

米海軍は無警告で北朝鮮をステルス潜水艦から攻撃可能だ

October 12, 2017


  1. 北朝鮮との対決に備え米国は兵力増強を続けている。.
  2. 米空軍のB-1Bランサー戦略爆撃機が航空自衛隊および韓国空軍と演習をする中、海中から発射できる巡航ミサイルを搭載した米海軍原子力潜水艦が遊弋している。潜水艦の存在は通常は秘匿情報だが、米海軍は今回ロサンジェルス(SSN-688)級攻撃潜水艦USSツーソン(SSN-770)をあえて10月7日に韓国鎮海Chinhae 基地に寄港させている。
  3. ツーソンの寄港は北朝鮮へのメッセージでもある。平壌は米軍動向を常時監視しているが、米軍が高精度長距離攻撃能力を拡充させていることを意味する。北朝鮮との緊張が高まる中、同艦は米国が韓国を見捨てることはないとのメッセージでもある。
  4. ツーソンはシーウルフ級(三隻で建造終了)や新鋭ヴァージニア級(15隻が就役中)とは同等ではないが、米海軍が就役中のSSN原子力潜水艦52隻の中で大きな存在だ。ツーソンは688級の通算59号艦であり、改ロサンジェルス級20番目の艦だ。今では最新鋭とはいいがたいが、ツーソン他688級各艦は艦体の働き馬だ。
  5. 改ロサンジェルス級はヴァージニア級と同様に垂直発射管12本にトマホークミサイルを搭載する。潜水艦はもっともステルス性が高い装備であり、接近してから巡航ミサイルをいきなり発射できる。そのため攻撃潜水艦は敵にミサイル発射地点を悟らせない。
  6. 北朝鮮に関して言えば、ツーソンが朝鮮半島沖合に展開することで平壌に対するけん制となり北朝鮮の行動を辞せさせる効果があるのだ。■
Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

2017年10月22日日曜日

米空軍F-35Aが韓国へ到着



一瞬ドキリとする記事ですがソウルの航空宇宙ショー展示のために韓国入りしたとのことです。航空ショーは米軍の現役機材が多数参加しており、北朝鮮への戦力誇示の意味が強いようですね。とはいえこれだけの機材が一度に見られるのは貴重な機会で今年は見逃した格好です。来年も平和が続き再びショーが開催されるのならぜひ見てみたいものです。しかし今の日本の旅行業界ではソウル航空ショーツアーは売りにくいでしょうね。

The F-35A Just Arrived in Seoul Amid Tension With North Korea

F-35Aが北朝鮮との緊張のさなかでソウルへ到着

Members of the 第388戦闘機飛行団の第4機材整備隊が第4戦闘機隊司令ヨセフ・モリス中佐の乗機の到着に対応している。中佐は機体をロッキード・マーティン工場から9月27日にヒル空軍基地に移動させたばかりだった。 (U.S. Air Force photo/Todd Cromar)
POSTED BY: ORIANA PAWLYK OCTOBER 20, 2017

空軍仕様F-35がアジアデビューした。
  1. 共用打撃戦闘機がソウル国際航空宇宙防衛博Seoul ADEX出展のため韓国に今週到着したと米空軍が発表。
  2. 同機はその他米空軍のF-22ラプター、A-10サンダーボルトII、C-17グローブマスターIII、C-130ハーキュリーズ、B-1ランサー、KC-135ストラトタンカー、E-3セントリー、U-2ドラゴンレイディ―、RQ-4グローバルホーク他陸軍海軍機材と展示される。会場は北朝鮮国境から35マイルしか離れていない。
  3. ヒル空軍基地(ユタ)からF-35A2機に整備要員27人が随行しているがF-35飛行展示は行わないと空軍報道官は述べている。
  4. ただし今回の航空ショーではラプターがアラスカのエルメンドーフ・リチャードソン共用基地の第三航空団から飛来して飛行展示を行い、オサン空軍基地の第51戦闘飛行隊所属のA-10、ハワイのパールハーバー・ヒッカム共用基地第15航空団のC-17一機も加わる。
  5. 「航空ショーへの支援と参加で米国のインドアジア太平洋地区における安定安全へのコミットメントを示せ相互運用と標準化を推進する効果も期待できる。また軍事作戦を成功裏に実施することにもつながる」とPacAFは別リリースで発表。
  6. ADEXは10月22日に閉幕するが、ペンタゴンが最新のジェット機をそのまま同地域の同盟国と共同訓練に投入するかは不明だ。
  7. 8月に空軍長官ヘザー・ウィルソンAir Force Secretary Heather WilsonがF-35Aは太平洋はじめいかなる地域にも展開可能とし北朝鮮との緊張エスカレ―ションに対応する準備があると発言していた。「F-35は飛行時間累計が10万をこえたところで順調です。いかなる緊急事態にも戦闘投入できます」とウィルソン長官はペンタゴンで報道陣に述べていた。
  8. 空軍はF-35Aを演習に参加させていないが、海兵隊はF-35B飛行隊を岩国に今年展開しており、8月31日にはB-1Bランサー爆撃機編隊と日本韓国それぞれのF-15戦闘機編隊とともに飛行させ北朝鮮に戦力誇示している。
  9. 今年4月にはF-35A小規模編成がヨーロッパに数週間派遣されており、ヨーロッパ大陸で初の訓練を展開した。■

超大型空母に未来はあるのか、RAND研究成果に見る小型空母の可能性


大は小を兼ねるのか。これまでの流れの頂点が新型フォード級空母ですがさすがに米国もこれでいいのかと考えつつ、必要な戦力を積算するとどうしても大型艦になるジレンマに苦しんでいるのでしょうか。一方で強襲揚陸艦の新世代USSアメリカが新しい動きの芽になりそうですね。超大型空母が過去の遺物になるのかそれともこれからも平和の守り神の主役の座に残るのか、まだまだ論争は続きそうですがそんなに悠長なこと言ってられるのでしょうか。筆者は日本が一部負担して米海軍が運用する部分所有権みたいな空母が今後生まれると見ていますが。


Small Aircraft Carriers: RAND Report Won’t Convince McCain

RAND報告が型空母構想を検討したがマケイン議員は納得させられず

Navy photo
USSジェラルド・フォード
By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on October 20, 2017 at 8:28 AM
  1. 米海軍には小型かつ安価な空母が必要であると予算超過・予定遅延のUSSジェラルド・フォードを念頭に元海軍パイロットのジョン・マケイン上院議員はずっと主張してきた。真っ向から反対するのが大型空母建造を推進する団体ACIBCで米海軍向けRANDの研究成果を引用しつつNational Interestに見解が掲載された。だがマケインに簡単に引き下がる気配がなく、RANDも小型空母構想のうち一案は検討の価値ありと考えている。
  2. RAND報告書はマケイン主張に異議を立てるものではないとある議会スタッフが教えてくれた。報告書は上院軍事委員会委員長のマケインが提起した疑問に答えていないからだ。「最も過酷な環境下でフォードが実施できる能力との比較で代替各案を検討している」と高度戦力を有する中国のような敵との対決を想定している。「また各案でうまく対応できないと分かったのも驚きに値しない」とこのスタッフは語っている。「空母の任務をあらゆる角度から検討し、フォードは過剰戦力で小型空母がより適していると言えるのか検討している」
  3. RANDもマケイン主張の中心課題に一言だけ言及している。つまり、「海軍は新しい『ハイローミックス』空母戦力を検討すべきだ」とのくだりでマケインの論文Restoring American Power.を引用している。「従来型の原子力推進スーパー空母は互角の戦力を有する大国への抑止ならびに撃破には有効だが、実際の日常運用たる兵力投射やシーレーン確保、近接航空支援や対テロ作戦なら小型で安価な通常動力空母で十分用が足りる」
  4. RANDは大型小型空母の組み合わせの方がうまく行き、各種ミッションに対応でき「リスクを低減し」ながら「管理しやすくなる」と結論づけている。ただし同シンクタンクは長期的解決策として深く検討していない。
将来の海軍戦闘構想 (CSBA graphic)
  1. RAND報告書は立法上の要求に十分こたえられない。上下両院が成立させた国家防衛認可法(NDAA)(2016年)の128節(d)項では海軍に対し代替空母構想を以下の形で議会提出するよう求めている。
  • 「各種作戦シナリオで」
  • 「CVN-78級空母に代わるものあるいは補完するもの」
  • 「排水量2万トンから10万トン超までの範囲で」
  1. これに対しRAND報告書では
  • 「最も過酷なシナリオ」での機能を分析しただけ
  • フォード級に対し「低コスト空母代替策」を検討し、
  • 検討範囲は2万トンから10万トンの範囲のみ
  1. マケイン議員は小型空母を推進派だが、NDAAは海軍に現在のスーパー空母を上回る艦の検討も求めており、大小両端で検討を求めているのにRANDはこれをしていない。
  2. 批判は脇においても「大きいことはいいことだ」がRANDの結論ではない。研究では「小型化には代償がある」としている。同シンクタンクの結論は建造費用を下げても戦闘能力が切り下げられるのは割りが悪いということだ。RANDはフォード級より三割小さい中間サイズの原子力空母も検討している。
Navy photoUSS フォレスタル。米海軍はこの大きさの通常動力空母は運用していない。
オプションは四つ
  1. RANDは構想を四つに分け、それぞれで長所短所が大規模戦闘で露呈するという。
  2. ハイエンドが10万トン原子力空母構想(CVN 8X)でフォードよりわずかに大きく高価格の選択肢だ。RANDは建造単価を下げた場合ソーティ形成能力つまり機材の着艦、燃料補給、装備再充填ののち発艦させるくりかえしが「わずかながら低下する」と結論づけた。フォード級でも開発にあれだけの予算がかかりながら、バグ対応していくと節減効果は期待できない。
  3. ローエンドが2万トン通常動力空母(CV-EX)で第二次大戦中の護衛空母の現代版だ。ここまで小さいと空母航空隊全部の運用は無理でジャンプジェット機のF-35Bやティルトローター機のV-22オスプレイ並びにヘリコプターの運用しかできない。かつ機数が限られる。電子戦機材は大型空母や陸上基地から運用を迫られる。あるいは新規開発の垂直離着陸機に支援任務を期待するしかないだろう。そうなると護衛空母構想は「実用性に乏しい」とRANDは結論付けている。
  4. この中間に興味を引く選択肢が用意されている。
HMSクイーンエリザベス
  1. 7万トン原子力空母(CVN-LX)はフォードより3割小さいがフルサイズ飛行甲板で同じ機材を運用できる。(同規模の通常動力空母の提案も英クイーンエリザベスやかつてのUSSフォレスタルなどの例からあるが、RANDはなぜか検討していない) この艦だと同じ一日でもフォードのソーティー数に及ばないが、RANDはこのことは「ストレスのかかる戦闘シナリオでは制約条件にならない」と結論付けている。深刻なのは7万トン艦が搭載する一機あたり弾薬燃料量はフォードより低くなる点だ。このため同艦は再補給が頻繁に必要となり、戦火の環境では望ましくない。それでもRANDは「相当の節約効果が就役期間全体で期待できコンセプトをさらに磨けば大いに期待できる」としている。
  2. 4万トン通常動力空母(CV-LX)は現行の強襲揚陸艦USSアメリカを大型化した構想だ。アメリカ同様にこの艦の飛行甲板も小さいため運用はF-35、V-22、ヘリコプターしか期待できず部支援も必要になるが、護衛空母構想よりは支援度合いは低くできる。艦そのものも現行艦を発展拡大すればいいので「低リスク」かつ費用対効果が高いとRANDは見ており、二隻あればフォード級一隻の機能のほとんどが期待できるが、全部とまでいかず、艦隊に追加負担をかけない代替策にだという。
USSアメリカ(LHA-6)
  1. マケイン論文は小型空母を求めており、具体的にはこの規模を想定しているが現行の空母打撃群(CSGs)の肩代わりは期待していない。かわりに通常動力軽空母群を建造し高艦齢のワスプ級大型甲板型揚陸艦の代替にしたいとする。揚陸即応集団(ARGs)の中核がワスプ級で海兵隊を運ぶのが任務だ。構想では海兵隊に航空戦力を増強し厳しい環境に対応させ、艦隊航空戦力の増強はそこまで期待しない。だがこの構想はマケイン提案にありながら海軍がRANDに委託した際には薄められている。
  2. 「本研究内容で論争が終止符を打たれることはないし、その他にも似たような結論の研究成果が出ている」と元海軍のブライアン・マグラスが記者に語っている。「小型かつ限定目的の空母には将来の艦隊に立ち位置が残されているが、大型原子力推進空母群に付随こそしても代替する存在にはならない」■

2017年10月21日土曜日

★GBU-57大型貫通爆弾を投下するB-2の貴重画像が今出てきた意味



なぜこのタイミングで大型爆弾の投下の様子が公表されたかは皆さんのご想像通りです。今後こうした情報開示が増えていくでしょうが、一方で肝心な情報は消えていくでしょうね。

 

We Have Found Ultra Rare Footage Showing A B-2 Spirit Stealth Bomber Dropping A 30,000-Pound Bunker Buster Bomb

B-2スピリットステルス爆撃機がが30千ポンドバンカーバスター爆弾を投下する貴重な映像を発見
Oct 20 2017 -


ステルス爆撃機B-2スピリットは巨大な30千ポンド(14トン)GBU-57大型貫通爆弾 Massive Ordnance Penetratorを作戦運用可能な米空軍唯一の機体だ。(MOPテストにはB-52が2009年投入されたが、作戦運用はB-2のみの想定していない)
GBU-57は全長20フィートのGPS誘導爆弾で厚さ200フィートのコンクリートを貫通し爆発するといわれ、地下施設の攻撃用兵器と考えられる。北朝鮮の地下指揮施設がそのひとつか。
GBU-57を搭載したB-2の画像はわずかしかなく、MOPは最大二発までB-2が搭載できるが実際の投下風景のビデオは入手困難だ。
ただし今回本誌はMOPを投下するB-2のビデオクリップを393爆撃飛行隊から入手した。同隊は509爆撃航空団隷下でホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)に駐屯している。MOPの威容はこのビデオからも明らかだ。
MOPは11トンのパラシュート落下式GBU-43B大型空中炸裂爆弾Massive Ordnance Air Blast(MOAB)と混同される。MOABはその略語から「全ての爆弾の母」と呼ばれることもある。MOABは通常型空中投下兵器としては最大で、アフガニスタンで米空軍特殊作戦軍団のハMCー130コンバットタロンIIがISISの洞窟基地攻撃に使用したのがGBU-43B初の実戦投入で2017年4月13日のことだった。■

(ビデオは以下のリンクからどうぞ。ただしMOPは最後にちょっと出てくるだけです)


これが世界最大の防衛企業ロッキードが注目する重点技術分野だ


量子コンピューターには過大な期待が証券市場で見られるようですが、今回発表した技術分野はそれぞれロッキードが公表しても無害と判断した分野だけでしょう。実際にはもっと奥深いものがあるはずで、そういえば常温核融合技術はあれからどうしたんでしょうか。日本企業もどんどん未来に向けた投資が必要なはずですが、内部告発がなければ長年の悪い習慣が破れないのは如何した者でしょうか。

Inside the ‘foundational’ future technologies of the world’s largest defense company

世界最大の国防企業が考える「基礎的」将来技術の内側を見る

Lockheed Martin's concept art reflects its belief in the potential for directed-energy weapons against unmanned systems. (Lockheed Martin)

By: Aaron Mehta 18 hours ago

WASHINGTON ― ロッキード・マーティンは世界最大の国防契約企業で2016年の総売り上げは470億ドルだった。今後も首位に残るためには新技術開発を続ける必要があり、同社技術のトップが金のなる木と見ている内容を明らかにしてくれた。
  1. ケオーキ・ジャクソンKeoki Jacksonはロッキードの最高技術責任者で「基本」技術体系で同社がこれから数十年にわたり投資していく分野を10月11日の報道陣懇談会で明らかにしている。
  2. 技術内容は三つに大分類される。まずジャクソンがいうところの「戦略技術面」で「海中から宇宙まで広がる全ドメインでロッキード・マーティンの得意分野を活用すること」だという。
  3. ここには自律運用、指向性エネルギー、情報処理通信技術、センサー、組性能サイバーセキュリティが含まれる。
  4. 実用段階の指向性エネルギー兵器の登場を国防セクターが期待しているがジャクソンは「一大転換点」に来たとし同社の60キロワットシステムについて言及している。この装備はストライカー戦闘車に搭載されており、今後150キロワット超まで拡大される。
  5. 本題と離れたがジャクソンは同社が極超音速技術も開発中と認めた。「極超音速革命に近づいており、当社の顧客を支援して高速打撃性能の実現を目指す」と述べた。
  6. 二番目は新しい能力を実現する技術群で、各大学や民間技術企業に「大型投資」を投入していくとジャクソンは述べた。
  7. 「社内で技術開発をすべてするのではなく、民間部門で進展中の技術に大規模投資をしている」とジャクソンは述べ、投資は金融部門から農業まで多様に広がっていると説明した。
  8. ここにデータ解析技術やビッグデータに加え高性能電子技術や高性能素材や製造技術が含まれる。同社傘下のLMヴェンチャーファンドがここにからみ1億ドルを外部テック企業に投資している。
  9. 三番目が新技術分野で「長期視野でハイリスクの賭け」と評した。ジャクソンがあげたのは量子コンピューター、通信暗号技術さらに合成バイオロジーだった。
  10. 「今日の世界では生きた分子マシンの設計も可能で、プログラム言語でいうプログラムコンパイラーのようなツールを使いDNA形成を自動化できます」とジャクソンは合成バイオロジーについて述べている。「分子マシンで分子レベルで何でも精密に作れる段階にきている」
  11. 生物工学は「革命的」に航空宇宙分野に応用できるとジャクソンは認め、量子技術の可能性に興奮しているようで情報科学への応用に注目している。
  12. 「情報科学の次の飛躍は量子だろう。今は解決できない問題もコンピューター上で答えが見つかる。全くの新素材を一から設計して今と違う応用が実現する」
  13. 2015年公表の米空軍の研究成果では量子技術では実際より大幅に「誇大宣伝」があると警告しているが、ジャクソンはこの分野の投資見返りは難しいと認める。だがこの技術の可能性は研究予算を大幅に増やすだけの価値があり、高額なD波装置の取得もその一部だという。.
  14. 「この中にはSFにしか聞こえない要素もありますが、米国内のラボや他国で量子レベルのコンピューターが実現しつつあり、一部では非常に興味深い通信やセンサー技術の進展に関連しています」とジャクソンは述べている。■

2017年10月20日金曜日

★スーパーホーネット大改修の内容がわかった ボーイングはこの通り契約を獲得できるのか



Aerospace Daily & Defense Report

Stealthy Super Hornet In Cards As Boeing Plans Major Overhaul

ボーイングが大幅改修するスーパーホーネットはステルス性能を付加

F/A-18: Boeing

Oct 18, 2017Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report



  1. 米海軍のスーパーホーネットの耐用年数限界に近づく中、ボーイングは大幅改修案を検討中で機体構造アップグレードとともにステルス塗装処理を施せばF/A-18E/Fは今後も稼働可能になるという。
  2. ボーイングはスーパーホーネットの耐用年数改修 service life modification (SLM)の開始を2018年4月と見ているとSLM事業を率いるマイク・シアーズMark SearsがAviation Weekに10月17日述べている。契約が成立すれば同社はスーパーホーネットの飛行時間を現行の6千時間にさらに3千時間追加する作業を開始する体制にあるという。
  3. 改修は構造強化と一部サブシステムが中心だが、同時に各機を最新ブロックIII仕様にするとシアーズは述べている。低視認性(LO)表面塗装とレーダー波吸収剤(RAM)の改良策も選択肢のひとつだという。
  4. 最新ブロックIII仕様のスーパーホーネットがどこまでステルス性能を有するのか不明だ。ブロックIIIは2020年にロールオフする。米海軍は「高度非探知性向上策」を2018年予算要求に盛り込んでいるがボーイングによればブロックIIIはLOを中心に置いていない。
  5. 「ステルス性についてはある水準で線を引き、バランスの取れた残存性を確保できると判断しており、それが現状の水準です」とF/A-18とEA-18事業を担当するダン・ジリアン Dan Gillianが述べている。「F-35は確かにステルス性能が優れていますが当社はバランスを重視し残存性と電子戦装備と自機防御能力を進めました」
  6. スーパーホーネット改修は米軍にいかにも時期の悪いタイミングとなる。海軍戦闘機の即応耐性の低さが続いていることが知られており、任意の日で海軍F/A-18で飛行可能なのは52%にすぎず、旧型ホーネットでは44%で、やや高性能のスーパーホーネットでは54%だ。この数字はここ15年に渡り海軍が機材運用に苦労している状況を物語るものと海軍作戦次長のビル・モラン大将Adm. Bill Moranは見ている。
  7. 短期的にはスーパーホーネットをSLMに送れば、作戦運用機材が減る。だがSLMしなければ各機はすぐにでも使用不能となる。
  8. 機体がSLMに入っている時間を利用して海軍はブロックIII用の新型高性能コンピューターを搭載できるとシアーズは述べる。新型空母の高性能センサー性能を配慮して操縦席廻りでは表示装置の大型化や分散型標的処理ネットワークDistributed Targeting Processor Network (DTPN)と呼ぶ高性能コンピューターやデータ転送量を拡大した戦術標的ねとワーク技術Tactical Targeting Network Technology (TTNT)の搭載も視野に入っている。
  9. 中でも重要なのはこのアーキテクチャーでスーパーホーネット、EA-18Gグラウラー電子戦機、E-2Dホークアイが相互交信で敵情報データを共有できる戦闘環境が生まれることだ。
  10. ボーイングが想定するスーパーホーネットブロックIII改修では他に長距離赤外線センサーもあり、高性能敵機を遠距離で探知追跡できること、機体一体型燃料タンク(CFT)で飛行距離を100ないし120カイリ伸ばすことがある。このうちCFTは現行の追加燃料タンクのかわりとなり、重量軽減と抗力発生を減らせるのでペイロード増加につながる。
  11. SLMは2028会計年度まで続く見込みでボーイングは海軍とスーパーホーネット400機の改修を予定する。実施は同社のセントルイスおよびサンアントニオ両工場で行う。
  12. シアーズは初号機の改修完了には18ヶ月を見込むが、12ヶ月に短縮化する可能性に言及している。
  13. ボーイングはセントルイスで「学習用」機材2機を準備して可能な限りの準備体制を整えており、予測と実機状況のかい離を減らそうとしている。■

2017年10月19日木曜日

イスラエルはF-35を実戦投入したのか


うーんこれはどうなんでしょう。イスラエルがいち早くF-35を実戦投入していた可能性はあると思うのですが、バードストライクというのも怪しいですね。中東地区ではF-35を運用するイスラエル軍の立ち位置は他の追随を許さないはずなのですが。イスラエルが常識を超えた運用をしてた可能性もあり、なんともいえません。日本からすればイスラエル軍への関心が高まればいいですね。日本ではまだテスト中ですが、イスラエルは機体を受領してしかも謎の自国製装備まで搭載してI型にしているのですね。イスラエルには敬意をひょします。



The F-35 Rumor Mill Is Spinning After Israeli Counter Strike On Syrian SAM Site

イスラエルのシリアSAM陣地攻撃でF-35投入の噂が乱れ飛ぶ

A belated report about a bird strike on an F-35I has resulted in theories of an Israeli coverup being parroted around social media.

F-35Iバードストライク報道があとから出てきたのはソーシャルメディアで流布する噂のカバーアップか
BY TYLER ROGOWAYOCTOBER 17, 2017
OFER BERKOVICH—OFER BERKOVICH
イスラエルがシリアのSA-5地対空ミサイル陣地を攻撃して一日たち情報が増えきたが、F-35Iがシリアミサイルの攻撃をうけ損傷したとの噂が流れている。
第一撃ではイスラエル機がシリアSA-5ミサイルの有効射程内に入り、ミサイルが発射されたとイスラエル国防軍が発表している。交戦は現地時間午前9時ごろのようだ。イスラエル機材の種類は不明だ。一部報道ではF-16編隊としており、別の筋では写真偵察任務中のF-15C一機が加わり、護衛機よりも国境に接近したとする。イスラエル空軍はF-15Cに大型偵察ポッドを搭載している。
その後2時間後にイスラエルが別編隊を送り、この編隊はF-16と分かっている。ダマスカス東部のSA-5陣地を攻撃し、空対地兵器として爆弾4発が投下された。攻撃は火器管制レーダーに集中し、これは破壊しあるいは損傷を与え運用できない状態にしたとIAFの攻撃後評価は認めている。
イスラエルは全機無傷で帰還したとし、シリアは一機に損傷を与えたと言っている。アサド政権は偽りの勝利をいつも主張することで知られている。だがF-35I関連の報告に目を止めたものがいる。イスラエルは現時点で同型は7機しか保有していないが、うち一機がバードストライクで損傷したというのは実はレバノン上空でシリアSA-5による損傷を受けた事実をごまかすための作り話ではとの疑いが広まっている。言い換えると偵察機は実はF-35Iだったことになる。
F-35Iがイスラエル国外の作戦に投入されていた可能性は排除できないが、可能性は限りなく少ない。イスラエルはF-35の初期作戦能力獲得を達成しておらず、同機をいきなり危険地に送るのはひどく奇妙かつ無分別な選択に思える。イスラエルが新型機を戦闘状況に投入する緊急度があったとしてもF-35Iはイスラエル政府にとってきわめて特別な調達案件である。イスラエル国会も同機の高価格に注目し、50機発注中の同機を「きびしく査定する」と述べている。その中で新型機をいきなり実戦に投入するリスクをIAFがあえて行ったとは思えない。
またF-35が高性能電子情報収集能力を持つのは事実だが従来の戦術情報収集能力とはかけはなれている。今回のミッションに同機を送ってもあまり意味はないはずだ。
IAF
F-35I Adir.
F-35Iがレバノン上空で標的になったと仮定してもSA-5が命中した可能性は極めて低いし、IAFが言うバードストライクは二週間前のことで、該当機はその後飛行せずにロッキードのチームが検査中で修理方法をその後助言することになっている。
"A bird hit it" - Israel Is Hiding That Its State-Of-Art F-35 Warplane Was Hit By #Syria's S-200 Missile – Reports https://shar.es/1PoD8M
Photo published for Israel Is Hiding That Its State-Of-Art F-35 Warplane Was Hit By Syrian S-200 Missile - Reports

Israel Is Hiding That Its State-Of-Art F-35 Warplane Was Hit By Syrian S-200 Missile - Reports

読者の皆さんもステルスF-35がシリアSAMの標的になる可能性があるのかと思うだろう。ロシアとシリアが防空装備を統合してデータ交換によりロシアの高性能センサーでステルス機探知が容易になっているのは知られている。またF-35も高周波レーダーの探知から逃れるように最適化されているが、低周波を使われると探知可能と言われる。だが仮にF-35Iが探知されれていても追尾されかは別の話であり、まして交戦は無理なはずだ。同機には高性能電子戦装備が搭載され、敵攻撃をかわすことができるはずだ。
入手できた情報をまとめると、F-35IがシリアのSA-5で損傷を受けたというのは陰謀説顔負けの報道でありF-35の性能を攻撃することにあり、米国の生み出した空戦技術とIAFが主張する中東地区での航空優勢とかけなはれている。
ただしすべての可能性を完全に排除できない以上、フロイトではないが、バードストライクはやはりバードストライクだったのだろう。
Contact the author: Tyler@thedrive.com
IAF
F-35I and F-16I in formation over the Israeli countryside.