2019年1月15日火曜日

今後は英空軍。機材稼働率の低下は予算だけの問題なのだろうか

英国でも国防体制の維持は大変なようです。機材価格が上昇していますが国防予算が縮小されると整備や保守管理の費目が後回しにされるのでしょうか。大型装備の導入の話題が続く日本とて笑ってばかりいられません。軍事装備の維持管理は民生部門よりも負担が大きい分だけ予算部門や政治指導層に正しい理解をお願いしたいところですね。

RIP RAF?: One-Third of Britain’s Air Force Can’t Fly 

英空軍機材の三分の一が飛行できない状態に

January 14, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: RAFNATOMilitaryTechnologyAir ForceGreat Britian
空軍(RAF)で機材三分の一が飛行できない状態にあるとの報道が出ている。
デイリー・ミラー紙は「情報公開法で空軍保有の434機中142機が飛行不能と判明」と伝えた。
一部機材はモスボール状態にされ、大修理中の機材もある。機種も多様で英空軍の主力ユーロファイター・タイフーンも例外ではない。
「RAFのタイフーン155機で55機が『第一線機材』から外れている」と同紙は伝えている。本来ならすぐ稼働すべき第一線機材に「短期間使用不能機」が含まれている。
タイフーン以外でも「20機あるA400Mアトラス輸送機で稼働可能は5機、しかも引き渡しは2014年開始したばかり」とも伝えている。
ジェット練習機は半数超が地上に残る。「81機のホークT1ジェットでは44機が保存あるいは整備中」という。
レーダー警戒監視機材の稼働率が大変だ。E-3Dセントリー早期警戒統制機では6機中3機しか稼働できず、英議会では整備不良で稼働可能なのは一機のみとの指摘もあった。センチネルR1監視機では5機中3機しか飛べず、キングエア350は四機のみだ。
英軍ヘリコプターでも同様でチヌークは60機中19機が飛行不能、ピューマは23機中で可動可能なのは7機しかない。
ミラー紙は「RAFで唯一全機飛行可能な部隊はBAe146隊で王室や政府上層部の輸送用飛行隊であり、もうひとつF-35BライトニングIIジェット戦闘機も含まれる」とある。
予想通り野党はテレーザ・メイ首相率いる保守党政権攻撃の材料として利用しており、欧州連合からの離脱交渉での難航もある。英軍には別の装備品問題もあり、45型駆逐艦はペルシア湾での機関故障のため現在も港内に係留されたままであり、政府会計検査部門からは原子力潜水艦、装甲車両、F-35といった購入希望の資金が不足との警告もでている。
「保守党による予算削減で国防体制で大きな悪影響が出ておりこのままでは各種脅威に対応できない」と影の内閣の国防相ナイア・グリフィスが述べている。「2017年は海軍の年でフリゲート、駆逐艦の多数が何ヶ月も軍港で動けなかった。今度はRAFで、機材がこれだけ飛べない状況に驚かされる。保守党政権は国防予算を8年間倹約した結果を素直に受け止めるべきだ」
英軍は航空機が整備を受けるのは通常だと回答している。「実戦機材には整備対象や改修作業の対象機体あるいは保存中機体も含まれる」とRAF広報官は述べている。「現代の軍用機は極めて複雑な構造のため注意して管理整備しないと運用に耐えず必要な事態が生じた際に十分な数を確保できない」
自由民主党広報のミン・キャンベル卿も航空機が整備で第一線を離れることに理解を示す。「しかし英空軍の戦力の源泉はパイロットと機材だけでなく、現実の脅威が発生したときに出動させNATO作戦に派遣できることも重要です。こうした必要は保守管理より優先するはずです」
航空機整備に悩むのは英国だけではない。米会計検査院はF-22やB-52含む多数の機種で稼働率が低迷している事実を突き止め、原因は整備と部品不足とした。今年はじめにドイツ空軍のタイフーンでほぼ全数が飛行できない状態とも判明している。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

Image: Creative Commons.

米海軍第六世代機でAIの導入はここまで進む

Navy Sees AI-Enabled 6th-Gen F/A-XX Fighter to Come After F/A -18 

F/A-18後継機として米海軍はAI活用の第六世代F/A-XXを想定

The Navy's "6th-Gen Quandry" - Build New or Adapt Best Current Air Vehicles? 第六世代機で米海軍は完全新型機か現行機の進化系として開発かの難問に直面
Boeing Image

海軍はF/A-18後継機となる第六世代戦闘機の機体構造、目標捕捉性能、AI利用のセンサー、新型兵装、エンジン等を検討中だ。

海軍は次世代航空優勢機構想Next-Generation Air Dominanceの構想段階を終え、装備品、機体の試作型製造を開始しており2030年代以降に登場する第六世代艦載戦闘機の実現を目指す。

正式な代替策検討は今年中に完了見込みで現在ある技術から派生型や改修型とすべきか、あるいは時間かけても新技術を搭載すべきかの結論を出す。

第六世代機では今後登場する新型兵装や技術が実用域にどこまで到達しているかを見極める必要もある。

その例が次世代ステルス技術でレーダー探知を逃れる塗布剤、高性能排熱管理の技術開発があり、一部は実戦域に急速に近づいている。ただし新型ステルス技術やAI利用のセンサーが今後も有効かは不明であり海軍開発部門は現行技術を最大限発展させたほうが意味があると見ている。

この課題は「第六世代機の難問」と呼ばれ、第六世代戦闘機開発を画期的技術の実用化まで待つべきなのか、現行技術を最大限活用しつつ性能改修できる機体にすべきかの難しい選択だ。

2016年の海軍高度技術大学院論文がこの点を指摘し、現行装備品で長期間に渡り有効な技術として、「航空戦に特化した新型F-35派生型」、今後登場するB-21、無人機の母機となるC-130、「兵装を満載した弾薬庫航空機」が現行技術の最適化事例とする。

この理屈で行くと現行機種を最大限改修した装備と今後10年ほどで開発される完全新型機の間に大きな差はなくなる。

こうした改修装備にB-21に導入される新型ステルス技術を付加すれば海軍航空戦力は今後ながく十分な航空優勢を実現できるのではないか。また完全に「ブレイクスルーな」機体を目指すリスクを軽減して浮いた予算等は航空戦の様相を変化する新技術開発に投入できるのではないか。.

さらに現行のセンサー、エイビオニクス、兵装装備がAIに依存度を深めており、アルゴリズムや処理速度の改善で性能が向上するはずだ。完全な新型機がそもそも必要なのか、2030年代まで待てば圧倒的性能の機体が実現する保証があるのかとの疑問が提示されている。

こうした視点から海軍は完全新型機、現行機の究極的進歩の双方を見据えた対応をしている。AI応用、センサーの小型化、標的捕捉技術、無人機運用技術等の今後の戦闘の様相を変える技術はすでに存在している。このため既存機種をもとに近未来の機体を開発できる。

この方針決定いかんでF/A-18の耐用年数をどこまで確保すべきかが決まる。耐用年数延長事業で飛行時間は8,000時間に延長された。さらに機体構造とエイビオニクスに手を入れ海軍は1万時間への延長を目指す。

改修内容は広範で、F/A-18の戦闘能力は将来でも有効と海軍関係者は本誌に語る。改修は機体構造を手はじめに、機体中央部の「バレル」を交換し、ナセルの金属疲労を点検する。

航法装備も一新し、デジタル記憶装置、ミッションコンピュータ、ヘルメット搭載型目標捕捉装備、電子スキャンアレイ・レーダーも導入する。パッシブセンサーのIRSTで電子信号を発せず敵を探知すれば電子攻撃から免れる。

第六世代機ですべてはAIに通じる

AIが今後の基本となることで意見は一致している。NATO加盟16カ国の専門家がまとめた2017年技術論文ではAIが人的能力を超えるのはいつ、どのように進展するかを論じた。ペンタゴンで戦略装備整備室長を務めたウィリアム・ローパーは「AIは人間の対応力を超えた形で発展している」と述べていた。

例として「スマートセンサー」で膨大な戦闘情報を収集、分析、整理する作業がミリ秒単位で実現する。これはAIアルゴリズムを使うもので、従来のようにレーダー出力を引き上げる必要はなくなる。外部アンテナ、ポッドやその他構造がなくなり、レーダー探知につながる要素が機体から消えることになる。

「スマートセンサーやスマートアンテナアレイが適応型になると機体組み込みが可能となる」との指摘もある(“Sensor Technology and Futuristic Of Fighter Aircraft, “ Jain Univ)

同時にセンサー探知範囲が大幅に広がり、データ共有と長距離接続が可能になればこれまでにない利点が戦闘空間で実現する。戦闘のネットワーク化で新課題も浮上する。「組み込み式ISR」は「超高度接続社会」の安全保障リスクにつながりかねないと憂慮する向きもある。

「ネットワーク内の全員が同じく見聞きすることにならない。階層別に情報を仕分ける必要とともに、ネットワーク機能の低下に場合に備え予備装備も必要だ」と指摘する論文もある。

膨大なISRデータを集計、解析、組み立てる課題こそAIや高速処理機能の本領が発揮できる分野だ。高度アルゴリズムでリアルタイム分析を十分な処理能力にかければ戦闘関連情報が即座に得られ、標的捕捉、情報共有が可能となり人間の意志決定を大幅に迅速化しながら優先事項への対応が可能となる。

AIの力を借りたリアルタイム分析技術で戦場の意思決定は普通なら利用できないほどのデータをもとに行うこととなる。アルゴリズムで新しい情報と大量の蓄積情報を統合し、人の介在なく十分な情報の裏付けのある意思決定が可能となる。「認知の負担」を軽減することとされるAIとマンマシンインターフェースの反復は本来なら不可能な情報解析の課題を与え、究極の意思決定は人間が指揮官として行えば良い。AIが主観的な情報を判別し整理統合する能力に向かっているとはいえ、やはり人間にしかできない意思決定能力や問題解決の得意分野があるのだ。
***********

Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics& Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at National TV networks. He has a Masters in Comparative Literature from Columbia University.

2019年1月13日日曜日

英海軍が日本へフリゲートを派遣。北朝鮮制裁の実効性を高める狙い

UK Royal Navy to deploy Type 23 frigate to Japan


Gabriel Dominguez, London - Jane's Defence Weekly
11 January 2019

  
HMS Montrose, Wikipedia

海軍が23型フリゲートHMSモントローズを2019年初めに日本へ派遣するとテレーザ・メイ首相が安倍晋三首相とのロンドンでの共同記者会見で1月10日明らかにした。
同艦は北東アジア海域で北朝鮮制裁の執行を助け、「北朝鮮の完全な非核化ならびに域内緊張緩和の平和的実現への我が国の決意を示す一環となる」とメイ首相は述べた。
同艦とは別に英海軍艦艇は過去一年に三回派遣されている。

メイ首相から新技術分野での日英協力を歓迎する発言もあり、「次期戦闘航空機の開発、ミサイル開発で有効な抑止力を整備し高度技術を有する人材、産業を支援する」としている。■

コメント モントローズは満載4,300トンの大型フリゲートです。英国は国連軍の一部として日本で物品補給を行うのでしょうが、いよいよ北朝鮮(韓国)は瀬取りなど制裁破りが難しくなりそうですね。戦闘機開発での協力内容は不明ですが、F-3開発にどんな影響がでるのか注目です。

2019年1月11日金曜日

☆2019年ドイツの課題 NATOでの役割拡大と安保理での責任---装備品不足の背景に何があるのか

Germany picks up two thorny defense and diplomacy assignments in 2019 ドイツの2019年の課題は国防と外交の難題だ


ドイツ国内ムンスターの演習地で夜間暗視装置を外すドイツ連邦軍兵士。 Dec. 6, 2018, in Munster, Germany. (David Hecker/Getty Images)



年を迎えたドイツに国防、外交で課題がふたつ立ちはだかる。NATO高度警戒戦闘態勢の確立と国連安全保障理事会での任期二年間の非常任理事国としての責任だ。
このふたつでベルリンはグローバル問題に積極的な役割を果たすと約束しており、真意を試される機会がアンゲラ・メルケル首相の任期最終段階で訪れる。

1月1日時点でのドイツはNATOが新設した高度即応統合任務部隊 Very High Readiness Joint Task Force (VJTF)に5先名派遣することになっており、戦闘事態が発生すれば48時間から72時間で戦闘投入するのが目標だ。提携国は順繰りで変え、オランダ、ノルウェー、フランス、ベルギー、チェコ、ラトヴィア、リトアニアも参加し最終的に8千名規模の部隊となる。

即応部隊はロシアを意識し戦闘部隊をヨーロッパ内に迅速移動しロシアに有利な状況を産まれさせないことにある。各国政府は2014年のウクライナ内クリミア半島のロシア併合を苦々しく思っており、最近でもロシア、ウクライナがアゾフ海でにらみ合いをしている。両案件ともロシアに都合の良い秩序を国境付近に築こうとするロシアの動きだと事情に詳しい筋が解説する。

ドイツ国防省はVJTFで戦闘装備を迅速に移動させることを目指す。昨年に110百万ドルの支援契約が成立し、民間業者が軍事鉄道輸送に協力する内容になっている。有効期限は一年間だ。
連邦軍は装備不足、管理問題の双方に苦しめられており、任務部隊の主力の座として装備品の確保が大きな問題だ。全部隊からかき集めた装備品を第一線部隊にあてがうことがとりあえず効果を上げたものの残る部隊の即応体制を犠牲にしているとベルリンに本拠を置くドイツ対外関係協議会のアナリスト、クリスティアン・モーリンが指摘している。「つまり連邦軍の残りの部隊は抑止力の体をなしていないということだ」。

任務部隊は警戒態勢をとっても、ドイツ政府の意思決定が有事の際にどうなるかが問題だとモーリンは述べる。政府と議会に有事対応の事前調整ができておらず、国内議論が起これば迅速対応ができなくなる可能性があるという。

特にNATO憲章第五条にある加盟国が攻撃を受けた際の集団安全保障が発効しない範囲でロシアが活動展開する傾向があるためこの危惧は深刻だ。

グローバルな危機が深まる中、ヨーロッパと米国の関係も悪化しており、ドイツ政府内ではVJTFを展開することでロシア大統領ウラジミール・プーチンに好機を与えていいのかとの議論があるとモーリンは指摘する。

国連安保理非常任理事国としてドイツがニューヨークで米政府と厳しく対立する状況は容易に想像できるとシンクタンク欧州対外関係協議会の政策研究員専門家ウルリケ・フランケが述べている。

ドイツ人の多くがドナルド・トランプ大統領には辟易しておりドイツの戦後体制を実現したNATO等の多国間取り決めに批判的な大統領の態度に警戒している。グローバル同盟関係の信奉者ジム・マティスが国防長官辞任を発表しその傾向が強まっている。

ドイツ外相ハイコ・マースは1月1日にツイッターでドイツが安保理で何を目指すかに触れている。気候変動関連の安全保障、また軍縮、軍事装備管理も言及した。ともにトランプ政権が軽視している話題だ。

.だがドイツと米国の安全保障理事会での投票傾向を見ると共通が多く深刻な問題にならないのではないかと前出のフランケは見る。

ただし現実問題になると、ドイツの理事国任期中にドイツ政府は真の意味でグローバルな外交方針を模索し内外に示していくとフランケは見ている。■

2019年1月10日木曜日

米国はこのままではロシア、中国に勝利できない。 その理由とは



The Sad Reason America Could Lose a War Against Russia or China 米国がロシアや中国に勝てない理由



January 9, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: RussiaChinaMilitaryTechnologyWorld

ぼ20年にわたり中東や北アフリカで戦闘員を相手にもぐらたたきのように戦闘してきた米軍がロシアや中国との「大国間抗争」戦闘へ復帰するには悲惨なほど準備が不足している。理由は簡単だとペンタゴンは分析。必要な場所に以前のように人員装備を自由に搬送できなくなっているためだ。

.ペンタゴンの国防科学委員会(DBS)が一年にわたる現役退役補給業務専門家から事情を聴取した報告結果が昨年11月に公表された。米軍の補給体制は冷戦終結後に萎縮してしまった。

ペンタゴンは必要な人員装備を海空で有効に搬送できなくなっており、ロシアや中国を意識した新対応が迫られる中で課題になっている。

「冷戦後の米国には人員装備展開を妨害するだけの軍事力を持った敵はおらず補給線が絶たれる心配はなかった」と報告書は記述している。「そのため共用補給体制は軽視され予算不足が続きDoDの優先事項に対応できなくなった」。

トランプ政権による2018年国防戦略構想を分析すると米国はロシアや中国との対決となれば「決定的な敗北」を喫するのは確実とあるが、今回のDSB報告では長年にわたる補給業務軽視のためペンタゴンは米軍の兵力投射能力、即応体制を犠牲にしたまま偽りの安心感に浸ってしまったとも指摘。

戦略輸送能力三本柱の再興に必要な施策は以下のとおりだ。

輸送の三本柱は海上輸送、空輸および事前集積装備のことで即応体制だけでなく数量不足が目立ち、このままでは米国は強力な競合相手を打ち負かせない。

軍事物資輸送を補完するはずの民間商船隊は長年にわたり縮小の一途で政府が運用できる輸送力は2033年に今の半分に減る見込みだ。

民間予備航空輸送部隊 (CRAF)が共用輸送体制の鍵としてDoDは人員輸送で活用を期待している。

しかし海上輸送、航空輸送ともに緊急時の実効性を演習で確認していない。損耗分やA2ADの脅威、さらに民間船員、航空乗務員のリスクを考慮すれば演習は必須なはずだ。

民間商船隊の状況がここに来て悪化しているのはDefense Newsが2018年10月に伝えているとおりで即応予備輸送艦で使えるのは46隻しかなく、しかもすべて「老朽船で耐用年数の終わりに近づいている」状況だが、海洋安全保障制度が適用される米国船籍60隻がある。

第二次大戦時には一般商船隊が米海軍の重要な補助機能を果たしたが、今やその機能は期待できない。2018年5月の調べでは米国船籍の外国航路船舶は1951年の1,288隻が現在は81隻しかないという。

2017年の米会計検査院報告では海軍の海上輸送体制、即応対応はともに2012年以降は下降の一歩で反転するには相当の予算が必要だという。

「平均船齢は40年近くで、今後10年で多数が耐用年数の終わりに達すると輸送力は25%超減少する」と会計検査院報告が指摘。米海軍は対策案を完成させておらず、どこまで予算を手当すべきかも決まっていない。

このため通常戦が発生し米陸軍は「受け入られない」悲惨な結果だと警戒している。「早く手を打たないと陸軍の兵力投射能力に受け入れがたいリスクが早ければ2024年に発生する」と陸軍G-4補給本部が下院軍事委員会に2018年2月に書簡を送っていた。「2034年になれば輸送艦は60年以上が経過するものが7割に達し、さらに陸軍の装備人員搬送能力は減少する」

米軍事輸送本部の報道官ケヴィン・スティーブン大佐は報告書の内容に反論せずWashington Free Beaconに以下伝えてきた。

「当方ではDoDのグローバル兵力投射能力の改善方法を引き続き検討中で、この輸送能力が現在でも我が国の優位性の裏付けとはいえ、国家指導層に選択肢を提示し潜在敵国に対する板挟み状況を打開していきたい」■

This article originally appeared at Task & Purpose. Follow Task & Purpose on Twitter .

コメント:湾岸戦争では米民間航空機多数がチャーター輸送に動員されていましたが、海上輸送力はあまり注目されていませんでしたね。人員は先に砂漠に送っても重装備の搬送がリードタイムになっていたわけです。米軍は事前装備集積船も配備していますが、中国、ロシアが相手となると装備の規模も違うのでしょうね。日本では一部カーフェリーが防衛省と契約していますが、民間航空機はどうなのでしょうか。いざというときにどれだけの輸送力が使えるかで戦略も変わってきますね。下地島空港への定期路線ができるそうですが、南西諸島への輸送が日本にとっての第一の課題でしょうか。朝鮮半島は邦人緊急搬送のシナリオが消えそうなので今後は検討に入りにくい気がします。台湾はどうでしょうか。

MiG-29程度のよい中古機が売りに出されていますが、いかがでしょうか。

For $4.65 Million This Nice, Low Time MiG-29 Can be Yours- If You Hurry. 
465万ドルで飛行時間極少の程度の良い中古MiG-29を手に入れませんか。

January 7, 2019 Tom Demerly Military Aviation, Rogue States, Russia
https://theaviationist.com/2019/01/07/for-4-65-million-this-nice-low-time-mig-29-can-be-yours-if-you-hurry/

 塗装も新しい完全整備済みの機体でいつでも試乗可能。(Photo:Raptor Aviation)


間販売業者が程度のよいMiG-29後期型を売りに出している。

機体は民間請負企業Air USA(本社イリノイ州クインシー)が敵機役として訓練で飛ばしていたもの。ネヴァダ州ヘンダーソンの機体登録で同地はネリスAFB、ネリス・テスト訓練場近くで世界でも最高機密の空中戦闘訓練が極秘のうちに行われている場所だ。

価格は$4.65百万ドルとお値打ち。きれいな仕上げのUAC製MiG-29UB後期型(NATOコードネーム「フルクラム」)複座戦術戦闘機だ。

仲買業者ラプターエイビエーション(フロリダ州ポートセントルーシー)のアルバート・ハイディンガーは「真剣な問い合わせ数件がすでに入っている」とThe Aviationistに伝えてきた。
同機はラプターエイビエーションのウェブサイトに掲載されている。1986年製造でモスクワ北のカリャンジンスキ機械製造工場製。飛行時間はわずか818時間でウクライナのルヴィヴ国営航空機補修工場でのオーバーホール後は118時間しか飛んでいない。塗装は青とグレイ二種を混ぜたロシア航空宇宙軍の正式塗色を採用し、37の番号をつけ機体には米民間実験機登録番号N129XXがつく。


Complete specs and tons of photos of the MiG-29UB two-seater are on RaptorAviation.com now. (Photo: Raptor Aviation)


正式な整備を受けたばかりの双発複座高性能第4世代機が4.65百万ドルというのは相当お値打ちだ。MiG-29の新造機体価格は11から20百万ドルが相場だ。比較ならセスナ・サイテーションXLSビジネスジェットで2,000時間超飛行した機体が7.1百万ドルで手に入る。大安売りの機体なら成都FC-1単発ジェット戦闘機が20百万ドルだ。こうしてみると86年型MiG-29UBが4.65百万ドルというのはお値打ちなのがわかる。

誰がこの機体を買うのか。「相当の金満家であり航空分野に造詣の深い人だろう」とハイディンガーも言う。

航空ファンの視点では民間アクロバットパイロットに買ってもらい航空ショーで曲技飛行を見たいところだ。

.MiG-29の飛行展示は米国ではなかなか見られない。1990年にロシアがMiG-29の2機を米国内に持ち込み航空ショーに展示した。筆者もミシガン州カラマズーの航空ショーでこの機体を見た。飛行展示はスライド、コブラ他米国製戦術機では見られない操縦を見せていた。また1989年にロシアはMiG-29をカナダでも飛行展示した。今回の売出しにだれも手を上げないとコリンズ財団が関心を示しそうだ。同財団が保有するF-4Dファントムとの共演も楽しみだ。

次の想定されある顧客は米軍やその他西側空軍向けに仮想敵役を提供する業者だ。「契約業者にはいつも仕事があるよ。成長業種ですよ。ネットにはでてきませんけどね」(ハイディンガー)
機体は以前の所有者により仮想敵役として使われたが、ここまで程度の良いMiG なので再び使用される可能性はある。ただ「レッドエア」として登用されると一般の目の前から消えるのが難点だ。以前も米民間登録番号N131SUのついたSu-27をお伝えしており、2016年のネリス・テスト演習場上空でドッグファイトをしているのを撮影された機体かもしれない。
三番目が米国外の顧客だ。値段が手頃かつ機体状態が良好ななためMiG-29を運用中の空軍部隊が食指を動かす可能性がある。そんな例がペルーで各種形式のMiG-29を24機運用中だ。整備したばかりのMiG-29が4.65百万ドルで入手できれば魅力あるはずだ。

でもだれがMiG-29の操縦方法を訓練するのだろうか。「可能性はいろいろありますよ。国内にもこれができる人材はあります。この機体を飛ばしていたのは元F-15パイロットでした。操縦訓練は大した問題ではありません」(ハイディンガー)

極上状態のMiG-29UBが誰の手に渡るにせよ、いい買い物になるのは確実だ。こんな話はそうそうあるわけではない。■

2019年1月9日水曜日

★レイルガンなんか目じゃない 米海軍が昨年のリムパックで超高速弾を試射していた!

Mach 7.3 'Bullets': The U.S. Navy Tested a "Hypervelocity Cannon Round" マッハ7.3の「弾丸」を米海軍が「超高速砲弾」としてテストしていた

.



海軍が新型超高速砲弾の実弾テストを2018年に実施していた事が判明した米海軍協会が伝えている。


今回始めて公表された試験発射は中国が極超音速兵器の開発を進める中で米海軍にとって大きな一歩になる。


駆逐艦USSデューイが超高速砲弾HVPをMk.45 5インチ砲から20回発射したとテストに詳しい筋が述べたと同記事は伝えている。


同記事によればテストは2018年夏のハワイ沖で展開されたリムパック演習でのことだが試射の効果は不明だ。


実験には海軍のほかペンタゴンで新兵器開発を極秘に行う戦略戦力室が立ち会ったと言われる。


「極超音速」の定義はマッハ5以上の飛翔体だ。海軍標準のMk.45艦載砲は重量70ポンドの通常弾薬をマッハ2.2ほどで13マイル先に飛ばす。今回の超高速弾はマッハ7.3で50マイル先を狙うと言われる。


「HVPは次世代には普通の存在になる誘導式の低抗力発射弾で、既存の各種砲で運用可能です。海軍の5インチ砲、海兵隊・陸軍の155ミリ砲、また将来の電磁レイルガンなどです」と超高速弾のメーカーBAEシステムズがウェブサイトで説明している。


BAEによればHVPは対地、対水上のいずれにも有効な攻撃手段となり、その他巡航ミサイルや弾道ロケットも狙えるという。


HVPがこれだけの高速を出せる秘密は抗力を抑えた空力設計にある。口径が異なる各種砲門におさまるよう、HVP本体はケースに入り、発射後すぐ円錐形の砲弾部分が分離する。


超高速発射弾は運動エネルギー兵器のため、弾頭はなく、衝撃で発生する力だけで相手を破壊する。BAEは新型砲弾では「正確な誘導電子装置」が発射する艦艇や砲兵隊に必要となると説明。


HVPの単価は9万ドル程度といわれる。
米艦デューイの試射は中国で超高速艦載砲の存在が2018年1月に周知になった数カ月後のことだ。中国海軍の揚陸艦海洋山が河川に係留され新型大型砲を艦上に搭載している写真が流布した。


同年3月に中国国営通信が問題の砲はレイルガン試作品と認めた。海洋山が外海にある新たな写真が12月にあらわれ、試射のため出動したのだろう。


米海軍は2012年以来独自にレイルガン開発に向かってきたが、2019年初頭現在海上公試はまだ実施していない。


レイルガンは発射弾を電磁力で極超音速に加速し、通常火薬を用いない。しかしデューイ実験で通常型火砲でも極超音速加速を実証できた。


2016年にオバマ政権の国防副長官ロバート・ワークは発足前のトランプ政権にレイルガンより超高速弾開発に資金投入すべきと助言していた。


「レイルガンは行く行く必要になるが火砲でも同じ超高速弾を発射可能で同じ効果が得られるとわかり、こちらのほうが早く実用化できる」とワークは述べていた。


米軍としては既存砲塔でマッハ7で砲弾を飛ばすことでレイルガンで進展を示す中国を一気に引き離したいところだ。「既存砲で革命的な効果が実現するのであり、榴弾砲、(米陸軍の)パラディン自走砲、海軍の5インチ砲のどれでもいい」とSCO室長だったウィリアム・ローパーが2016年に述べていた。「ということで重点をこちらに移す」「通常火砲なら何千門もありますが、レイルガンは皆無に等しい」

David Axe serves as the new Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels War Fix, War Is Boring and Machete Squad.