2020年7月15日水曜日

日本も導入を検討中のトマホーク巡航ミサイルで性能改修の動き

海軍はトマホーク対地攻撃巡航ミサイルの全面改良を企画中だ。改修規模は合計一千発となる。残りは廃棄する。その結果、米巡航ミサイル配備規模は縮小されるが威力は増大する。

トマホークはレイセオンがアリゾナで生産する。単価は100万ドルを超える。2020年時点で海軍はトマホーク4千発を保有する。ただし、改修と並行して廃棄が進むとこの数字は小さくなる。

米海軍でトマホーク事業を統括するジョン・レッド大佐が2020年水上艦協会が開いたシンポジウムで内容を述べていた。「近代化でトマホークは将来にわたり重要性を維持する」

トマホークを運用できるのは駆逐艦巡洋艦89隻に加え攻撃型潜水艦54隻に及ぶ。トマホークは1983年供用開始している。

トマホークは水上艦のマーク41垂直発射装備あるいは潜水艦の垂直発射装置または魚雷発射管から運用する。米海軍のトマホーク発射対応装備は1,000基あるが、巡航ミサイルを常時搭載するのはわずかだ。

レッド大佐によれば ブロックIV仕様のトマホーク全部をブロックV仕様に改修し、誘導性能と射程が向上する。GPS、慣性航法、地形参照型航法を組み合わせたトマホークは最大1千マイル先の標的を狙える。

ブロックIVの供用開始は2004年で旧型ブロックIIIはそれより早く1990年代中ごろから運用開始していた。ブロックIVは二方向のデータリンクで飛翔中の経路変更を可能とし、標的も変更可能となった。耐用年数は30年のはずだった。

ただし15年経過し改修が必要となったとレッド大佐は説明。「未来を今実現する」と説明資料にもあった。

そこで海軍はブロックIV仕様のトマホーク全弾を中間で「再認証」することとしレイセオンが誘導装置の新型を追加していく。これでブロックVとなる。一方でブロックIII全数の用途廃止作業が始まっている。

ブロックVには型式が三種類ある。基本形は新型誘導装置を取り付けるのみとする。ブロックVaはシーカーモードを加え水上艦艇攻撃が可能となる。ブロックVbでは弾頭を変更し、地下施設攻撃を可能とする。

レッド大佐は海軍は年間90発のトマホークを近代化改修する計画にする希望があるという。これが実現すると2030年代中ごろまでにブロックV仕様のトマホークが1,400発そろう。議会から追加調達予算が認められないと、同時期に海軍のトマホーク備蓄は現在の半分以下になる。ここには海軍が実戦で発射するトマホークの代替調達は入っていない。ここ数年で米海軍はトマホーク100発以上をシリアに発射している。

現在の使用実績が続くと海軍は今後10年間で数千発のミサイルが必要となると試算する専門家もいる。

トマホーク生産へ議会が支援を継続しないと「いつの日か敵を攻撃しようと思っても手段がない事態が来る」と同専門家はみている。ただし、トマホーク以外にも海軍はミサイル整備を進めており、今後登場するSM-6の転用でトマホークの不足分を補うという計画だ。

海軍ではロッキード・マーティンの空中発射型ステルスミサイルを原型に長距離対艦ミサイルの開発も進めている。また新型極超音速対地攻撃ミサイルも2020年代中ごろに供用開始となる見込みだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

July 14, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: U.S. NavyNavyMilitaryTechnologyWorld
 “Modernization ensures Tomahawk’s relevance now and in the future”
by David Axe 

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

2020年7月14日火曜日

中国の南シナ海権益を完全否定する米政権の姿勢を評価する

米国が遅きに失したとはいえ明確に中国の立場を否定したことを評価しましょう。5-6年早く米国が発言していれば....いえいえ、そうなっても既存事実の積み上げを狙う中国は動じなかったでしょう。あとは人工島で遮蔽物のない各施設がつぎつぎと破壊されるだけです。それにしても最大規模の環境破壊案件なのに「環境保護勢力」はなぜなにも声を上げてこなかったのでしょうか。

中間で緊張が高まる中で、米国が7月13日中国による南シナ海での領土権主張を完全否定した。

中国はヴィエトナム、フィリピン、台湾、マレーシア、ブルネイと島嶼、環礁等を巡り対立をまねている。米国がここに加わる。▼ポンペイオ国務長官は同時に2016年判決でヴィエトナム、マレーシア、ブルネイ、インドネシアの沖合での中国の主張は無効となったと述べた。▼南シナ海には推定110億バレルの原油以外に豊富な魚資源がある。だが最大の重要性は海上交通路としての利用で、年間5兆ドル相当のモノがここを通過している。

「世界は南シナ海に海洋帝国を作ろうとする中国を認めることはできない」とマイク・ポンペイオ国務長官が声明文を発表。「米国は東南アジア同盟国協力国の側に立ち、各国の海洋主権を守り、国際法に認められた権利と義務を履行する」▼長官が言及したのは2016年7月12日に国際裁判所が下した判決だ。同裁判所はスプラトリー諸島周辺でのフィリピンの主張を認め中国を斥けた。

中国は同判決を「茶番」と一蹴したが、フィリピン外相テオドロ・ロクシンJr.は今年の判決4周年式典で「交渉の余地がない」結果と評した.▼これまでの米国は中国と各国間の対立に不介入の姿勢を保ってきたが、トランプ政権は各方面で中国に真っ向から立ち向かう戦略を希求している。▼ポンペイオ長官発表から米国は中国と直接対立に向かうリスクが生まれる。米軍は1951年締結の相互防衛条約によりフィリピンの太平洋地区島嶼部領土の防衛に加え、フィリピン軍や民間船舶航空機を太平洋で防護することになっている。

「(中国)は自国の意思を同地域で一方的に押し付ける法的根拠を欠いている」とし、「中国政府は力の脅迫で東南アジア海洋国家の南シナ海での主権を脅かしており、各国に沖合資源への立ち入りさせず、一方的に領有権を主張しながら国際法に代わり『力による』既成事実づくりをしている」と述べている。

中国からンペイオ発言に対する反論がまだ聞こえていないが、同国のとる立場はここ数日間であきらかになっている。▼「南シナ海で権利を主張できる立場にない米国が望むのはトラブルをまきおこすことだ」と共産党傘下の環球時報で南シナ海研究所の政策研究部長Yan Yanが7月12日に寄稿している。「米国は域内各国の主張を利用して各国と中国の間を不仲にしようとしている。米国は中国をいじめる大国だとイメージの植え付けを狙っている」■

この記事は以下を再構成したものです。


July 13, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Skeptics  Tags: ChinaSouth China SeaMilitaryMike PompeoDefense
“The [People’s Republic of China] has no legal grounds to unilaterally impose its will on the region.”

Matthew Petti is a national security reporter at the National Interest. Follow him on Twitter: @matthew_petti.

2020年7月12日日曜日

南シナ海で米軍機材が活発な動きを示している

SCS PROBING INITIATIVE/USN/USAF

軍機がバシー海峡で飛行活動を強化している。同海峡は台湾島南端からフィリピンのルソン島北端の間にあり、戦略的意義がある。米空軍は、フィリピン海から南シナ海を結ぶ上空にKC-135給油機を継続して派遣している。特にP-8Aポセイドン、P-3Cオライオン哨戒機、EP-3EエアリーズII、RC-135V/Wリヴェットジョイント情報収集機材も同地で確認されており、この状況は先月から続いている。
今日だけでもRC-135W一機とKC-135T一機が同地区に飛来した。昨日はEP-3E一機とP-8A三機がバシー海峡周辺を飛んだ。一昨日はP-8A一機、P-3C一機、EP-3E一機、RC-135W一機が時間帯は異なるが来訪しており、KC-135Rが支援にあたった。
RC-135Wは現地時間18:40ごろ南シナ海から離脱しているが、どこから飛来したかは不明だ。KC-135Tは同日10:00ごろに同地で確認されている。
7月8日に海軍のEP-3Eが広州沿岸から50カイリ地点まで近づいた。
7月7日夕刻から7月8日早朝にかけP-8A3機がバシー海峡付近で見つかった。
「米軍が連日南シナ海で3から5回出撃している」とSCS Probing Initiativeが7月7日にツイートした。北京大学がSCS Probing Initiativeを主宰しており米航空部隊の動向に人一倍敏感になのは当然だ。米艦船の追跡もしているが、他国の軍は追跡しない。
6月末から米軍の航空作戦が同地区で活発になっている。まず6月24日に P-8Aが2機、 P-3C一機、RC-135W一機がバシー海峡上空に飛んだ。これと別にP-8A四機、EP-3E一機、RC-135W一機、KC-135二機が7月3日に飛来した。SCS Probing Initiativeは小規模編隊を定期的に追尾しており、二機しかないRC-135Uコンバットセント電子情報収集機の一機も見つかった。
最新の空母山東も加わり人民解放軍海軍が同地区で大規模演習を6月から展開している。
7月に入ると米海軍もニミッツ級空母USS ニミッツ、USS ロナルド・レーガンを南シナ海に移動させ、ここ6年で初の空母2隻体制での演習を始めた。タイコンデロガ級巡洋艦、アーレイ・バーク級駆逐艦以外に潜水艦も監視の目を光らせていたはずだ。各空母の航空部隊が一緒に訓練したほか、米空軍のB-52もルイジアナ州バークスデイル空軍基地から加わり、グアムに着陸し長距離訓練飛行を完了した。
米軍は中国演習を監視する以外に人民解放軍海軍の空母含む艦艇の技術情報を収集する目的もあったはずだ。中国軍が米軍の動きにどのように対応するかを見れば、情報収集の可能性がさらに広がる。
連日飛来した米軍機には各種情報の収集機能があったはずで、P-8Aや P-3Cには高精度映像を電子光学あるいは赤外線を利用して撮影する装備があり、EP-3Eと RC-135にも別の情報収集機能がある。P-8Aには高度のSIGINT能力があり、レーダー画像収集機能もP-3C同様についている。
異例の空母2隻体制演習への中国の反応も情報収集上でユニークな機会となる。空母2隻が南シナ海で作戦運用すればISR活動も活発となる。相手側の潜水艦を空母群に接近させないためにもP-8AやP-3Cの対潜能力が必要となる。
米軍としては各センサーを作動させる対象には事欠かないはずだ。バシー海峡は南シナ海から太平洋に抜ける重要な通行路となっており、中国潜水艦も利用する。PLANは新型094型晋級弾道ミサイル潜水艦2隻の供用を開始し、同級は6隻となった。
094型各艦は海南島の楡林海軍基地Yulin Naval Baseを母港にしている。5月には特殊改装したP-8AがAN/APS-154高性能空中センサーレーダーポッドを搭載し海南島付近を飛行するのが見つかっており、楡林基地も観測対象のはずだ。中国潜水艦特に弾道ミサイル潜水艦は海南島を出港後にルソン海峡まで移動し、フィリピン海を経由し太平洋へ転進している。このため同海域は潜水艦の動向を掴む意味で重要地点となっており、同時に動きを封じる地点でもある。
 @CVVHRN
AN/APS-154 高性能空中センサー(矢印)を搭載した P-8A
中国潜水艦部隊は新型艦の投入もあり近年活発になっており、米軍や同盟国部隊の重大関心対象となっている。6月には日本政府が中国潜水艦が奄美大島と横当島の間の国際海峡を潜航したまま通過したと異例の発表をしていた。
すべて米中関係がこじれたまま背景があり、COVID-19の世界的流行も影を落としている。中国政府は香港に厳しい保安法を課し米政府も香港との関係を再構築を迫られている。中国指導部は台湾に対しても近年になく厳しい態度を示しており、台湾政府が中国と距離を取ろうとしているのもその一因だ。
米国は台湾と正式な外交関係はないが、台湾を同盟国扱いしており、中国による圧力に対して航行の自由作戦(FONOPS)を台湾海峡でも実施し、航空機艦船を投入している。6月はじめには海軍のC-40A人員輸送機が台湾島上空を横断飛行する異例な動きを見せた。同月末には米陸軍がグリーンベレーが台湾軍と共同演習する映像を公表した。
今回対象の地区で近い将来に地政学面で状況が好転の兆しはないので、米軍活動が強化される構図が数週間数ヶ月にわたり目撃されそうだ。■
この記事は以下を再構成したものです。

American Surveillance Aircraft Have Been Flooding Into The Airspace South Of Taiwan (Updated)

For the past three weeks, there has been a big increase in U.S. military air activity in the Bashi Channel between Taiwan and the Philippines.

BY JOSEPH TREVITHICKJULY 10, 2020
Contact the author: Joe@thedrive.com

主張 中国レーザー妨害の前に米衛星を強靭化すべきだ

防情報局が中国が地上配備レーザー兵器の運用を2020年に開始しそうだと2019年1月警告していた。低地球周回軌道上のセンサーを対象にし、2020年代中ごろには高出力装置で非光学衛星に損傷を与える能力が生まれるとした。

この脅威はどの程度現実なのか。中国にレーザー基地が5箇所あることがわかっている。そのうち新疆施設に建屋が5つあり、ひとつは衛星追尾用、その他三棟は衛星センサーの妨害または破壊用と推測される。新疆施設がその他4箇所と同様なら各施設は航空攻撃の前に脆弱となる。

中国にはこれ以外に衛星レーザー測定基地数カ所があり、衛星軌道を観測しスペースデブリの追跡にも使うが、米国等の衛星センサーに損傷を与える能力もある。

世界に衛星レーザー測定基地が50箇所あるが、中国には固定基地が上海、長春、北京、武漢、昆明の5箇所ありこれ以外に移動式観測基地2個を運用している。

上海施設は2.8ワットと低出力レーザーを運用する。その他施設の出力も同程度あるいは低いと見られる。上海には60ワットレーザーもありデブリ測定に投入している。計算上では1ワットのレーザーでセンサーに永久的損傷を与える可能性は1000分の1だが、40ワットだとおよそ2倍になる。可能性は低いように聞こえるが、これから増加する。

近い将来に中国は米国・同盟国の画像衛星の妨害を重視するはずだ。ただ幸いにも解像度10センチ以上の衛星の光学部分に損傷を与えようとすると撮影場所から約10キロ地点からレーザー発射の必要がある。

センサーに損傷を与えようとするレーザー攻撃に米国はどう対応すべきか。まず撮影対象の10キロ範囲に固定式衛星レーザー観測施設やレーザー施設が何箇所あるのか把握が必要だ。

次に、レーザー防衛体制を有する対象の撮影リスクを試算すべきだ。センサーが損傷を受ける可能性と撮影成功の効果を比較する。検討から次の提言が出てくるはずだ。

  • 平時に撮影回数を極力増やす。有事にセンサーが損傷を受けると想定するため
  • 画像アップデート回数を減らす。撮影回数が減れば被害を受ける回数も減るため
  • 低解像度画像に切り替える。低解像度センサー衛星は安価かつ多数を運用できる

三番目に、米国は商業衛星や専用軍事衛星を平時のみならず危機発生時や有事にも活用すべきだ。画像撮影手段が各種あれば、一部センサーがレーザー攻撃を受けても損傷は限定できる。敵も攻撃を初期段階で実施できなくなる。

最後に、米国は2010年の新戦略兵器削減条約を延長すべきだ。条約は2021年2月失効するが、検証用の国家技術手段(センサー搭載衛星を含む)への妨害は禁止している。ロシアに加え中国も交渉に呼び込むため、この種の妨害手段の禁止を中国に合意させる必要がある。

米政府には多くの課題がある。今は中国レーザーは米国が画像収集する対象から10キロ以内に配備する必要がある。2020年代中頃に中国が強力なレーザーを実用化すれば、中国は低地球周回軌道上の衛星を連日狙うことが可能となる。その結果、米国は各衛星の耐久力を引きあげ、外装を強化するか、中国レーザー基地そのものを破壊する手段の準備が必要となる。

中国のレーザー測定基地と合わせ高出力移動式装備も監視対象とすべきだ。移動式装備は軍民両用となる可能性があり、禁止は不可能だ。代わりに米国は同盟国と外交手段で敵対行動を困難にすればよい。

解決策として移動式レーザー装備はすべて登録する国際制度が考えられる。運用国が移動予定を事前申告し、移動をリアルタイムで伝えることにすればよい。■

この記事は以下を再構成したものです。

Op-ed | US satellites increasingly vulnerable to China's ground-based lasers

by Brian G. Chow and Henry Sokolski — July 10, 2020


Brian Chow is an independent policy analyst. Henry Sokolski is executive director of The Nonproliferation Policy Education Center in Arlington, Virginia.

2020年7月11日土曜日

追加導入認可で日本が世界第二位のF-35運用国になる....導入金額は変動の予想

政府は7月9日、日本向けF-35共用打撃戦闘機105機の売却を認可し、日本が米国以外で最大規模のF-35導入国になる。
認可されたのはF-35A通常離着陸型63機、短距離離陸垂直着陸型F-35Bの42機で日本は2018年に導入決定していた。
Japan wants to be an official F-35 partner. The Pentagon plans to say no.(関連記事)
日本がF-35パートナー国認定を求めたが、ペンタゴンが拒否。
Defense Newsが要請した書簡を入手したで防衛省がF-35購入国から正式なパートナー国への切り替えを要請....

(リクエストあれば掲載します)
国防安全保障協力庁(DSCA)が議会に販売案件を伝えた。総額230億ドルだが今後ロッキード・マーティンとの交渉で変わる可能性がある。交渉は議会が販売を承認次第開始される。
内容にあわせて含まれるのは以下の通り。プラット&ホイットニーF135エンジン110基、電子戦・通信装備、自律型補給情報システム(ALIS)、訓練装置、赤外線フレア、実績ベースによる補給品、ソフトウェア統合作業、予備補修部品他の支援体制。
以上の購入が実現すると、日本のF-35は合計147機となり、米国に次ぐ同機運用国となり、英国(138機導入予定)を追い抜く。F-35Bでは米海兵隊、英空軍、イタリア海軍に次ぐ規模となる。
同日には以下の販売案件も発表された。
台湾: 国務省が台湾から要請のペイトリオット高性能版-3迎撃ミサイル販売の再証明を承認した。総額620百万ドル。内容はPAC-3部品のうち耐用年数が切れるものの交換、試験補修作業、地上支援施設向け予備部品、その他補給支援。DSCAは「今回提案される売却で導入国のミサイル防衛体制が強化され航空作戦の即応体制強化にもつながる。導入国は装備品を域内脅威への抑止力として活用し、国土防衛強化をめざす」と説明。ロッキード・マーティンが主契約企業となる。
ドイツ:議会承認が下りればドイツはMK 54軽量魚雷を改修キットと関連装備合わせて130百万ドルで購入する。同装備はP-3C対潜哨戒機に搭載され、魚雷改修キットでは燃料タンク、予備部品、発射関連装備他補給品と支援体制を含む。主契約企業はレイセオン
ベルギー: 国務省はベルギーが要請のMK54LWT Mod 0 魚雷29本の売却も承認した。総額33百万ドルで演習用改装キット、魚雷支援装備、補給支援を含む。ベルギーはMK46魚雷の供用を終了し、MK54をNH-90ヘリコプターおよび多任務フリゲート艦に搭載する。■
この記事は以下を再構成したものです。

US gives the green light to Japan's $23B F-35 buy


Aaron Mehta in Washington contributed to this report.

2020年7月9日木曜日

メタマテリアルで非ステルス機がステルスになる? 中国の言い分はどこまで本当なのか

ウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が中国が旧型機をステルスに変える技術実験に取り組んでいると昨年伝えている。記事では「何層にも織り込んだ微小構造を集積回路のようにした『メタマテリアル』を使う。無線波をメタマテリアル表面で反射させ、多重像を作る、あるいはレーダー反射を最小にし、機体の探知を避ける」とあった。

このメタマテリアルは南東大学のミリ波国家中核研究所で開発され、瀋陽(遼寧省)で試験中だ。サウスチャイナ・モーニング・ポストはメタマテリアルを導入した機種を確認できていないが、瀋陽航空機がJ-11、J-15を生産しており、ともにステルス性能がない旧型機だ。

国家中核研究所ではメタマテリアル以外にもレーダー探知回避に有効な技術を模索している。同紙記事では「多重像錯覚装置」をチームが検討したとある。これは「機体の一部をレーダー上で金属ではなくプラスチックとして表示させ、1機を3機に見せる」ねらいがあるという。

非ステルス機をステルスに変える技術が実用化されれば中国空軍力に朗報となる。中国のステルス機J-20は20機たらず、その他機種が合計1,500機ある。記事にあるようにJ-20も中国が言うようなステルス性能はないのかもしれない。2月には「中国は予定より早くステルス高性能機の第一線配備に踏み切ったのは域内の安全保障情勢が悪化しているためもあるが、予定していたW-15エンジンがテスト中に爆発した事故も影響している。中国はこの問題を単独で解決できず、初期生産型のJ-20はWS-10Bエンジンを搭載している。同エンジンは既存のJ-10、J-11戦闘機に採用されたものの改修型。WS-10Bの性能ではJ-20はアフターバーナーでやっと超音速が出せる程度で、その速度域ではステルス性能はない」と記事にある。

メタマテリアルを中国の非ステルス機材の解決策に採用すれば別の問題が出る。ステルス技術の初期段階で関係者が述べたように、ステルスでいちばん重要な要素は「形状と素材」に尽きる。Wired誌が取り上げているが、ステルスを生む要素には「存在を消す化学品、高性能かつ格納式のセンサーや通信装置、特殊設計の探知しにくいエンジン空気取入口、レーダー波を反射しにくい塗料、熱特徴を減らす冷却装置」がある。素材ではメタマテリアルがある程度までならレーダー波吸収素材(RAM)と同等の効果がありそうだが、その他の非ステルス特性の解決策になるのか不明だ。たとえば低性能エンジンを搭載するその他機材でもメタマテリアルで排気熱を隠す効果が生まれるのか。西安電子科技大の応用物理研究所長Han Yipingはその効果に疑いを感じ、信頼性を十分確保しようとすれば他の点で犠牲が生まれるとサウスチャイナ・モーニング・ポスト取材に語っている。

Hanによればメタマテリアルには欠点があるという。まず、現在のメタマテリアルが効果を発揮するのは特定の無線帯域のみだという。ただし、どの帯域かはHanは述べていない。同時にメタマテリアルは大量生産が極度にまで困難だ。

メタマテリアル研究に取り組むのは中国だけではない。フィナンシャル・タイムズには「メタマテリアルがはじめて一般の関心を呼んだのは2006年だった。英国インペリアルカレッジのジョン・ペンドリーが論文2点を発表し、ハリー・ポッター式の透明化装置を特別開発の素材で実現できると主張した」と伝えている。その後、企業多数が民生用途で開発し、衛星アンテナやセンサーの軽量化・小型化をめざした。その他企業も太陽光パネルやレーダーを無人機に一体化させるべく開発中とFT記事が伝えている。

当然ながらこの技術に軍も注目しており、米陸軍では「カメレオンのように背景にあわせ変化する」技術の実現をめざしている。だがどこまで実用化に近づいているのか不明だ。■

この記事は以下を再構成したものです。

July 8, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaJ-20MilitaryTechnologyWorldStealth
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: Reuters

2020年7月7日火曜日

南シナ海で米中海軍部隊が演習を展開中....

前回の記事「PLAN艦艇の不合理な行動の原因は....」をご覧になった方は混み合った海域で中国艦が常識で説明できない行動を取らないか、心配になるはずです。このまま何もなく演習が終わればいいのですが....
ニミッツ級空母のUSSニミッツ(CVN-68)がロナルド・レーガン(CVN-76) と南シナ海へ2020年7月6日に通過した。両艦でニミッツ空母打撃部隊(CSF)を構成している。 US Navy Photo

中両国の海軍部隊が競うように南シナ海で演習を展開中だ。中国政府は同地域の軍事化を招くと米国を非難している。

7月4日土曜日、レーガン、ニミッツの両空母打撃群(CSG)がフィリピン海から南シナ海に入り演習を開始し、2014年以来久しぶりの空母2隻体制となった。

USSニミッツ(CVN-68)以下の空母打撃群はまずセオドア・ロウズベルトCSG、その後レーガンCSGと6月21日からほぼ連続で空母打撃群同士の演習に入っている。

USSセオドア・ロウズベルト(CVN-71)はフィリピン海でニミッツと演習をともにした。ロウズベルトはCOVID-19流行を受けグアムでしばらく動きが取れなくなっていた。
.
ニミッツと随行艦はグアムで短期休養をとったあと、日本からUSSロナルド・レーガン (CVN-76) の打撃群が加わり、空母2隻で空母打撃部隊(CSF)を構成し、フィリピン海から南シナ海まで展開した。

「ニミッツ空母打撃部隊は独立記念日を南シナ海で空母2隻による圧倒的な体制で迎え、自由で開かれた太平洋を守っている」と米海軍は声明文を7月4日に発表。

一方、中国も領有権を巡り対立するパラセル諸島沖合で演習を実施。

「中国による今回の軍事演習は法の支配に逆行する海洋領域の権利主張の一連の流れの延長線にある」と国防総省は声明を発表。「PRCの行動は南シナ海を軍事化しないとの同国の誓いに反し、米国がかざす自由で開かれたインド太平洋地区の理想と大きく対照をなす。インド太平洋では国の規模と関係なく各国の主権を尊重し、力による圧迫に屈することなく、国際法と規範に則り経済成長の追求が可能でなくてはならない」

ペンタゴンは今回の中国演習は2002年の南シナ海当事国共同宣言に反するもので、域内での軍事演習の抑制で各国が同意していたとする。

これに対し中国側は記者会見で演習が合意に反するとの主張に反論し、あらためてベトナム沖合の諸島の領有権を主張。「西沙諸島は議論の余地なく中国領であり、西沙諸島周辺での軍事演習は中国の主権の一部であり各国の承認は不要だ」と外務省報道官趙立堅はパラセル諸島の中国名を使いこのように発言した。

「中国やASEAN諸国と共同し南シナ海を比較的安定した状態にしており、健全な展開を目にしている。このような状況で米国は軍事力を誇示し意図的に強力な部隊による大規模演習を展開している。米国の意図は域内各国に楔をうち、南シナ海の軍事化を進め、域内の平和と安定を危うくすることにある。国際社会とくに域内各国はこのことがよくわかっている」

7月6日の報道では中国海軍艦艇は米空母部隊の近くで活動しているとある。「あちらはこちらを目にしているし、こちらからも観察している」とニミッツ空母打撃群司令ジェイムズ・カークがロイターに語っている。「お互いにプロとして安全な行動をとるはずと見ている....混雑した海域で、海上交通は多いからね」■

この記事は以下を再構成したものです。

US, Chinese Navies Hold Dueling Exercises in the South China Sea


July 6, 2020 5:28 PM