2020年9月2日水曜日

主張:次期自民党政権に防衛政策の継続を期待する。しかし、中朝の脅威の前に今のままでいいのか。

 日本はここ数年、防衛力近代化に走ってきた。次期首相も同じ路線を守るだろうか。だが中国の軍事力拡充にそれで十分だろうか。

 

西太平洋の安全保障環境は米国ならびに同盟国、友邦国に厳しくなっている。中国は域内支配を狙い、世界規模で兵力投射している。北朝鮮は弾道ミサイル、核弾頭双方の増強をいっこうに止めていない。中国、北朝鮮双方を抑止し、両国の軍事強硬策を止めるため、米国は域内での防衛姿勢を質量双方で変えつつある。米国の同盟国特に日本も同じ路線で努力が必要だ。だが、日本は正しい形で予算投入していくだろうか。 

 

西太平洋で力のバランスが急速に変わりつつある。中国は「大国」にふさわしい軍事力を整備し米国を追い抜こうとしている。そのためハイテク装備の実現に注力している。その狙いが米国から優位性を奪い、また米国の弱点をつくことなのは明白だ。人民解放軍(PLA)は長距離攻撃能力の整備を急進展している。PLA空軍は第五世代ステルス戦闘機を運用中で、新型長距離戦略爆撃機も加わる。PLAには長距離精密誘導弾道ミサイル巡航ミサイルが多数あり、なかでもDF-21は米空母攻撃を念頭に開発されたといわれる。通常弾頭付きミサイルは大量一斉攻撃に投入され、敵軍を緒戦で撃破するのが狙いだ。PLA海軍は攻撃型潜水艦、空母、ミサイル駆逐艦、大型揚陸強襲艦を急速に増やしている。

 

対抗する米軍は兵力構成や作戦構想を大きく変えつつある。最終目的は域内各地で部隊を迅速展開し、機動性を高めた統合部隊を各ドメインで戦力を発揮できるようにすることだ。海兵隊の遠征高機能拠点運用 Expeditionary Advanced Base Operationsは小規模ながら高機動編成の部隊を敵軍近くで移動させしつづけ、同時に長距離火力で攻撃する構想で、米国がめざす将来のハイテク戦そのものといえる。

 

米軍は新型高性能装備の導入でこうした部隊を支援する。中でも重要なのが長距離精密攻撃手段の長距離空対地ミサイル、トマホーク巡航ミサイルブロックV、陸軍の精密攻撃ミサイルだ。ミサイル防衛も重要で、陸上配備のイージスアショアやTHAADがあり、海上配備ではイージス弾道ミサイル防衛装備に新型SPY-6レーダーが導入される。

 

米国の同盟各国も中国の脅威を意識し、こうした安全保障対策の変化を共有しており、国防支出を増やしており、装備近代化を急いでいる。なかでもF-35共用打撃戦闘機の導入が日本、オーストラリア、韓国で配始まっている。

 

米同盟国としての日本の重要性は過大評価しても足りない。日本はインド太平洋で他に代えがたい役割を果たしており、その理由に同国の地理条件のほか経済力以外に、米国との緊密な関係がある。米空軍、海軍、海兵隊が日本に配備されているのはこの特別な地理条件のためだ。

 

安倍晋三首相のもと日本政府は中国、北朝鮮の脅威への抑止効果を安全視保障上の第一優先事項としてきた。自衛隊各部隊を質量双方で向上せつつ、マルチドメインでの作戦実施能力を整備してきた。

 

ここ数年の日本は装備近代化を大幅に進め、国土や周辺海域の防衛能力向上に加え遠隔地への兵力投射能力も整備してきた。F-35は147機を導入するとともにV-22ティルトローター輸送機、KC-46A空中給油機、AH-64アパッチガンシップ、ペイトリオット防空ミサイルを米国から導入する。配備中のF-15Jの大部分に新型電子装備とあわせ高性能兵装を搭載する。

 

さらに日本は国産防衛装備品の拡充も進めている。自衛隊はいずも級二隻を小型空母に改装し短距離離陸垂直着陸型F-35Bを搭載する。また第六世代戦闘機の開発を開始し、現行のF-2の後継機とする。また米国と共同開発で低軌道周回型のミサイル警戒衛星を開発する。

 

問題なのが本土ミサイル防衛体制で、イージスアショアを二か所に導入する決定が下されたが、防衛省は導入停止を発表した。中国、北朝鮮の弾道ミサイル脅威の増大を考えると、日本はミサイル防衛を真剣に考える段階に来ていると言えよう。

 

安倍政権の終焉となった今こそ安全保障で日本が果たすべき役割をインド太平洋の構図の中で真剣に考えるべきだ。率直にいって日本に中国北朝鮮へ抑止効果を発揮する意図があるのなら現行の努力では不足だ。これまでの努力を土台に未来を描く必要がある。具体的には中国あるいは北朝鮮による攻撃をかわし、または減衰させる能力が必要だし、米国や同盟国による軍事対応までは時間を稼ぐ必要がある。追加予算を効果的に投じれば、日本は「不沈空母」となる。これは第二次大戦中に英国が果たした役割である。

 

これは動的静的双方での防衛体制整備にしっかりと予算を投入しつつ、中国北朝鮮の航空機やミサイル攻撃へ対応することを意味する。同時に敵作戦を妨害するべく長距離攻撃作戦も実施すべきだ。一部にはさらにその先の「積極的否定」として日本を攻撃に耐えられるようにする防衛能力と合わせ本土周辺からさらに遠くを狙い、敵攻撃力を減衰させる攻撃能力が必要と主張する向きもある。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Can Japan Continue To Grow Into The Military Ally The U.S. Needs?September 1, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanMilitaryJSDFShinzo AbeF-35China

by Dan Goure


Dan Gouré, Ph.D., is a vice president at the public-policy research think tank Lexington Institute. Goure has a background in the public sector and U.S. federal government, most recently serving as a member of the 2001 Department of Defense Transition Team. You can follow him on Twitter at @dgoure and the Lexington Institute @LexNextDC. Read his full bio here.


2020年8月31日月曜日

これもおかしい。タイが中国から通常型潜水艦を調達して海賊対策に投入??

  

タイは2015年にS26Tディーゼル電気推進式潜水艦三隻の導入を決めた。写真はS26Tの原型元級の前身宋級。(SteKrueBe/WikiMedia Commons)

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イが潜水艦二隻を中国から追加導入の意向を示したことで、同国内に波紋が広がっている。最大野党はコロナウィルスで経済が打撃を受ける中で調達を進めていいのかと懸念を示している。

 

潜水艦の有効性に疑問を呈す批判派に対し、王立タイ海軍は8月31日記者会見を開き、導入の正統性を訴えた。

 

タイは2015年にS26Tディーゼル電気推進潜水艦三隻の導入を決めた。同型は中国の039型元級の輸出版だ。一号艦を390百万ドルで2017年に調印し、引き渡しを2024年に想定する。

 

議会小委員会は残る2隻の調達を717百万ドルでめざす政府原案を議長の一票という僅差で承認している。

 

報道機関向け説明会で調達を正当化しようと海軍参謀総長シティポン・マスカセム大将Adm. Sittiporn Maskasemは国防戦略の一環で潜水艦多数が必要と述べた。続いてプレゼンテーションでは周辺国で潜水艦導入が続き、実際に稼働開始しているため今回の調達が必要と説明した。

 

だがシンガポールのS・ラジャラトナム国際研究所の研究員コリン・コーCollin Kohは「そもそも潜水艦が同国の防衛やになぜ必要なのか説得力は低い」と述べ、「お隣に負けてはと見栄を張る」ことが導入の唯一の理由だとツイッターで解説していた。他国と同等の装備品を買わないと出遅れるとの恐れて正当化しようというのだ。

 

潜水艦が抑止効果を生み、実戦で威力を発揮することはコーも認めるが、タイ海軍の説明に疑問点が残ると指摘する。そのひとつが海賊対策に投入する、不法漁業者取締り用、さらに人道援助任務災害救難に投入するというものだ。

 

国際観光客に大きく依存するタイ経済はCOVID-19で旅行そのものができず制限されて大打撃を受けている。最も楽観的な予測でも今年タイへ入国の旅行客は8百万人に過ぎず、2019年実績の19百万人に遠く及ばない。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Thai submarine purchase hits rough seas By: Mike Yeo 

2020年8月30日日曜日

AIが空軍F-16トップパイロットに圧勝----DARPAのシミュレーションドッグファイトで

 


ヘロンシステムズのAIパイロットが空軍F-16教官パイロット「バンガー」を撃墜した瞬間。

 

DARPAのドッグファイト・シミュレーションコンテストでヘロンシステムズHeron SystemsのAI「パイロット」が空軍のF-16のトップパイロットに5対0で圧勝した。

 

「大きな一歩になった」とDARPAのジャスティン・モックが今回の試行結果を評した。

 

空軍の現役パイロットが操縦桿をAIへ譲るまではまだ道が遠いが、今回DARPAが主催した三日間に及ぶアルファドッグファイトで単純な一対一の空戦シナリオならAIシステムズで十分な操縦が可能と実証できた。わずか一年間の開発でAIエージェントがここまでの成果を見せたことが驚きだ。昨年9月に8チームがそれぞれAI開発を開始していた。

 

ヘロンは女性やマイノリティが中心の小企業でメリーランドとヴァージニアに拠点を置く。人工知能エージェント開発を業務とし、同社は競合各社を抑える出来栄えを示した。敗れたチームにはロッキード・マーティンもあり、同社は二位になった。

 

ヘロン社の開発チームがYouTubeのライブストリームで質疑応答に応じた。「一回目トライアルの一週間前時点でも、開発したエージェントではうまく操縦できなかった。そこでテコ入れして結果、一位になれた」と同社でプロジェクトを共同指揮したベン・ベルが述べている。チームは今年後半にAI学習機能の強化内容を公表するとも述べた。

 

トライアルはDARPAの航空戦闘進化(ACE)事業でリスク低減策をめざし、生身のパイロットとマシンパイロットで戦闘機材を共有しつつミッション成功を最大限にすることをめざしている。ACE構想でパイロットは自機の操縦に専念するだけでなく指示に従う無人機編隊の統制まで行う。「ACEによりパイロットはこれまでより広範囲のミッションをこなす。一方で搭乗する機体は無人装備とチームを組み、個別戦術任務をこなす」とACE事業のウェブサイトに説明がある。

 

ヘロンシステムズのAIはシミュレーション演習で終始活発に交戦し、AIパイロットは空軍現役パイロットが操縦するF-16を撃墜した。このパイロットはコールサイン「バンガー」でネリスAFBのウェポンズスクールの生え抜きである。AIは「超人的な照準能力」をシミュレーションで示したとモックは説明。

 

今回のトライアルでAIパイロットの能力が「決定的」になったわけではないものの、モックは「限定された空域での結果ではあるもののAIが十分機能することが分かった」と述べた。

 

DARPAは今回使用したシミュレーターによるシミュレーションをネリス基地に持ち込み、他の空軍パイロットでAIパイロットに勝てるかを試す予定だ。次の段階はAIパイロットで空中戦以外のミッションもこなせるかを試すことになる。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

AI Slays Top F-16 Pilot In DARPA Dogfight Simulation


"It's a giant leap," said DARPA's Justin (call sign "Glock") Mock.

By   THERESA HITCHENS

on August 20, 2020 at 6:03 PM


Ottoのセレラ 500Lは航空業界を一変させる画期的な小型機になる。軍用型も有望。(T1T2共通記事)

 ットーエイビエーション Otto Aviation から発表のセレラCelera500Lは画期的な機体になる可能性を秘めており、無人機版や軍用機として情報収集監視偵察任務につく発展も考えらえる。弾丸形状の同機をThe War Zoneがいち早く報じたのは2017年だったが、以来同社の動向を注意深く追ってきた。

 

セレラ500Lの初めての発表は同社販促用ウェブサイトの立ち上げと同日になった。報道資料は初飛行の詳細や日時に触れていないが、これまで31回の飛行を実施したとある。

 

2019年6月、民間機登録N818WMとして南カリフォーニアロジスティクス空港でタクシーする同機の姿が見られており、初飛行が近い様子だった。

 

「イノベーションにより問題解決に成功した。当社の目標は米国内のあらゆる都市間を一気に飛行可能でいながらスピード、コスト両面で民間航空便に匹敵する水準となるプライベート機を実現することだ」とオットーエイビエーションの会長兼最高技術責任者ウィリアム・オットー・シニアが記している。「個人客や家族でセレラ500Lを民間航空運賃並みの料金でチャーターしながら、プライベート機の利便性が実現する。民間航空に十分対抗できる料金でプライベート移動できれば大きな市場需要が生まれると見ている」

 

「セレラ500Lにより航空業界、旅行業界でここ50年で最大の変化が実現する。当社の機材は旅客輸送以外にも貨物空輸や軍用用途にも投入できる。セレラ500Lの市販の準備ができた」

 

OTTO AVIATION

 

OTTO AVIATION

OTTO AVIATION

 

オットーエイビエーションによればセレラ500Lの最大巡航速度は450マイル、航続距離は4,500マイルだ。また燃料消費効率が高く、1ガロンで18から25マイル飛ぶと同社は述べる。セレラ500Lと同等のビジネスジェット機では6名搭乗でガロン当たり2から3マイルなのでオットー社の経済性は際立つし、環境にもそれだけやさしいことになる。またセレラ500Lの一時間当たり運航経費は328ドルという信じられないほどの低水準だと同社は言う

 

OTTO AVIATION

 

画期的な性能を実現したのが層流効率を考慮した機体形状だ。同程度の大きさの他機より抗力は59パーセント低い。搭載するライクリン・エアクラフトエンジン・ディベロップメントRaikhlin Aircraft Engine Developments(RED)製A03 V12ピストンエンジンも大きな要素で、多段階ターボチャージャーを搭載しジェット燃料A1以外にケロシンやバイオディーゼルでの運転も可能だ。

 

REDは同エンジンは燃料消費をて抑えながら信頼性は同程度の出力のピストンエンジンよりはるかに高いとしている。「セレラ500Lの空力特性では離陸時や巡航飛行時に大馬力は不要なので効率重視のエンジンを採用した」とオットーのウェブサイトにある。

 

セレラ500Lにオットーは保有する特許7点を応用しており、その一つとして排気システムに熱交換器をつけ推力を追加した。空力的に洗練された機体形状のため、失速しても操縦に支障はなく安全性も確保している。

 

また涙滴型の機体で客室内に余裕が生まれたのも同程度の機体サイズの競合各機への優位性となる。長期間フライトでも快適さが確保されており、航続距離が4,500マイルでいながら離陸滑走路も3,300フィートで十分なためセレラ500Lは事実上米国内のあらゆる空港から途中燃料給油なしで移動可能としている。

OTTO AVIATION

 

まず民間、商用用途の実現を目指すが、オットーでは同機の長距離性能や燃料効率の高さを生かし軍用支援用途にも投入可能とみている。人員輸送貨物輸送に加え情報収集監視偵察(ISR)ミッションも視野に入る。無人機版に各種センサーを搭載すれば長時間監視や通信中継用機材として対象地点に長時間滞空し、高高度から戦場をカバーできる。また、対象地点を変更してもジェット機並みのスピードで移動可能だ。

 

オットーエイビエーションではセレラ500Lの発展型としてハイブリッド推進あるいは全電動推進で効率をさらに高める機体も提案しており、拡大型のセレラ1000Lも提案している。

OTTO AVIATION

セレラ500Lの無人機版想像図

 

OTTO AVIATION

拡大型セレラ1000Lと500Lの機体サイズ比較

 


同社は外部投資先を確保し、FAA型式認証取得のうえで受注対応する。

 

目標はFAA型式証明を2023年までに取得し、量産型セレラ500Lの製造を開始し、2025年までに発注元へ納入開始することだ。

 

謎の機体として追跡してきたが、オットーエイビエーションのセレラとして姿を現したことに興奮を抑えきれない。同機には今までにない性能と期待が詰まっており、航空業界、航空輸送を一変させる可能性を秘めている。構想を飛行可能な機材として実現したオットーエイビエーションの大きな成果となった。多大な資源と相当の高リスクがある中でこれを実現したからだ。セレラがどんな発展をするか今後も見守りたい。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

The Potentially Revolutionary Celera 500L Aircraft Officially Breaks Cover

Otto Aviation aims to disrupt the aviation landscape with a design that flies at jet speeds, but uses a fraction of the gas, and has more range.

BY JOSEPH TREVITHICK AND TYLER ROGOWAYAUGUST 26, 2020

Contact the authors: Joe@thedrive.com and Tyler@thedrive.com


2020年8月29日土曜日

ミサイルテスト翌日、航行の自由作戦を実施した米海軍は毅然たる態度を中国に示した

 国軍が南シナ海でミサイルテストを実行したが、米海軍ははやくも翌日に誘導ミサイル駆逐艦で航行の自由作戦(FONOP)をパラセル諸島(中国、台湾、ヴィエトナムがそれぞれ領有を主張)で展開した。USSマスティン(DDG-89)が同地域を航行したと第七艦隊が8月27日に発表。

 

「航行の自由作戦は国際法が定めた海洋の権利、自由、合法的な活用を護持するのが目的であり、中国が設けた無害航行への制限という非合法措置に対抗するもの。台湾、ヴィエトナムも中国の主張するパラセル諸島を取り巻く境界線に反対している」と米海軍はUSNI Newsに語った。

 

中国はヴィエトナム沿岸から東部にひろがる島嶼のつながりに基地を数か所構築し、同地区は自国領海と主張し外国艦船の進入は許可が必要としている。

 

米海軍発表文には「該当三カ国はいずれも軍艦の『無害通航』でも許可または事前通告が必要としている」とある。「許可や事前通告を一方的に求めることは国際法上認められていない。事前通告なしで無害航行を実行することで米国は中国、台湾、ヴィエトナムの非合法要求に挑戦した形だ」

 

USSマスティンが現地を通行した前日に中国は近くにミサイルを着弾させていた。複数筋の報道ではDF-21D、DF-26Bが発射されたとあり、中国が狙う抑止力の中核となる装備だ。

 

「こうした演習も2002年南シナ海当事国宣言でうたった事態を複雑にするような行為を回避するとPRCが応じた姿勢に自ら反するものだ」との声明文をペンタゴンは発表している。

 

米中間のかけひきが忙しくなった週としては控えめな表現といえる。中国の発射テストに先立ち、U-2偵察機が「飛行禁止地帯」のある渤海上空に展開した。中国は人民解放軍(PLA)が飛行禁止地帯と通告したのは中国軍が実弾演習を同地区で展開していたためと説明。

 

中国政府は同機の飛行を「むき出しの挑発行為」と非難し、人民解違法軍海軍(PLAN)が演習を展開中の上空を飛行したとした。

 

「侵入されたため中国の演習訓練が大きく邪魔された。中米間の航空海上安全行動ルールに反するものであり、国際慣行にも違反する」と中国国防省報道官Wu Qianが声明文を発表した。「米軍による行為は意図を誤解されかねずもっと重大な事態に発展していたかもしれない」

Such accidents have occurred with tragic results, unfortunately.実際に事故が深刻な事態になった例があった。

 

2001年4月に、米海軍のEP-3スパイ機が中国のJ-10戦闘機と空中衝突し、中国人民解放軍空軍(PLAAF)のパイロットが死亡し、米軍機は海南島への緊急着陸を迫られた。米軍機搭乗員24名は11日間の身柄拘束を受け、米国政府は事態に関し謝罪せざるを得なくなった。

 

今月では先にUSSマスティンが台湾海峡を通過航行しており、海軍は「通常」かつ「国際法に則った」行為と発表していた。同艦は海上自衛隊艦船と東シナ海で共同演習を先に行っていた。

 

今年に入り台湾海峡通航は10回目となったが、これでおわりそうにない。■

 

この記事は以下を再構成したものです

 

U.S. Navy in South China Sea After China Tests Two 'Aircraft-Carrier Killer' Missiles

August 28, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaA2/adDF-21DDF-26DF-26BMilitaryTechnology


by Peter Suciu


Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.


日本初の防衛装備輸出はフィリピン向け防空レーダー。安倍総理辞任発表日に成約という皮肉な事実に注目

 

 

利害が対立するスプラトリー諸島内フィアリークロス礁に集結した中国漁船(AFP/WESTCOM)

 

本初の防衛装備品輸出が成約した。対象はフィリピン向けの固定式及び移動式防空監視レーダーで南シナ海含む地点をカバーする。

 

8月28日にフィリピン国防相デルフィン・ロレンザナが首都マニラで購入契約書にサインし、三菱電機が固定式長距離対空監視レーダー三基、移動式対空監視レーダー一基を納入する。

 

同日のフィリピン国防省発表はレーダー型式に触れていないが、三菱電機のJ/FPS-3アクティブ電子スキャンアレイレーダーが固定基地に、J/TPS-P14移動式レーダーと配備されるとの報道が出ていた。

 

同省は今回の導入はホライゾン2対空監視レーダーシステム構築の一環であり、納入は2022年からとも発表している。

 

ともに米国の同盟国の両国間で成約した意義は大きい。日本による防衛装備の完成品輸出は2014年の輸出制限緩和以来初めてとなる。日本は当時から各地で輸出を目指してきたが、成約は皆無だった。それ以前の日本からの輸出は部品のみだった。

 

輸出制限緩和は安倍晋三首相が進めた防衛姿勢の変化および国内防衛産業の振興策の一環でもある。背景には急速に軍事力を整備しつつ強硬な姿勢を鮮明にした中国がある。安倍首相は8月28日に健康問題を理由に辞任発表した。

 

三菱電機はホライゾン2対空レーダー調達の採用認定を3月に受けていた。レーダーは政府間契約で総額103.5百万ドルで導入される。

 

導入するレーダーは南シナ海南方のほか、戦略的に重要なベンハムライズBenham Riseでも空中監視に使用される。後者はフィリピン中央部ルソン島から東150マイルにある海中プラトーで、天然資源が豊富である。■

 

Japan secures first-ever major defense export with Philippine radar order

By: Mike Yeo


2020年8月27日木曜日

南シナ海に弾道ミサイルを撃ち込んだ中国の狙いは明白だが、軽挙妄動としかいいようがない

 国人民解放軍ロケット軍が弾道ミサイルを南シナ海北端に続けて打ち込んだ。発射地点は中国本土の別々の箇所で、対艦攻撃を模した演習なのはまちがいない。オンライン飛行追跡ソフトでは米空軍のRC-135コブラボールスパイ機が同地域を飛行中だったことが判明している。

 サウスチャイナモーニングポスト紙が2020年8月26日に中国軍がDF-26B、DF-21D各一発を発射したと報道した。米国国防関係者は人民解放軍ロケット軍(PLARF)は弾道ミサイル4本を発射したと評価しているが、正確なミサイルの型式を断定する情報がない。DF-21DはMRBM(射程621マイルから1,864マイル)だが、DF-26Bは中距離弾道ミサイル(IRBM)で射程も1,864マイルから3,417マイルと長い。

 

DF-21D、DF-26ともに複数弾頭を搭載し、空母のような大型で比較的低速の目標に命中させるよう飛翔制御できるとみられる。中国メディアではDF-21Dを「空母キラー」と呼んでいる。

 

IMAGINECHINA VIA AP

DF-21D medium-range ballistic missiles.

 

IMAGINECHINA VIA AP

DF-26 intermediate-range ballistic missiles.

 

 

サウスチャイナモーニングポストはDF-26Bを青海省から、DF-21Dは浙江省から発射したと報じている。各ミサイルは紛糾中のパラセル諸島と海南島間の海域に到達した。

 

すべては中国が8月25日にNOTAMとして通達した内容と合致する。両発射地点は南シナ海へMRBMとして到達可能な射程範囲だが、実際に発射されたのがMRBMだったとはかぎらない。

 

ミサイルの発射本数ならびに型式で情報が錯そうしてるが米空軍はRC-135Sを同海域に送り、弾頭の着水状況を観察したはずだ。コブラボールは現在三機しかなく、今回の機体は登録番号62-4128がつく。

 

同機は嘉手納航空基地を離陸し、きついUターンをして基地に戻った。この飛行パターンはコブラボールの弾道ミサイル弾頭の画像、映像、電子偵察でよくあるパターンで、同機は弾道ミサイル発射時点の監視も可能だ。

 

南シナ海に向け発射されたミサイルの本数、型式がどうであれ、発射そのもが米軍に対するメッセージであることは明らかだ。長距離対艦弾道ミサイルは中国の接近阻止領域拒否能力をさらに向上させる装備だ。

 

今回の発射は中国の海軍演習とともに、米軍活動が増えてきたことへの対応であり、米側の同盟国のオーストラリア、日本、台湾もここにきて活動を増強している。7月には米海軍のニミッツ級空母、一番間のUSSニミッツがUSSロナルド・レーガンと南シナ海で訓練を展開し、ここ数年で初の同海域での演習となった。

 

中国も似たような演習を行っている。PLARFは昨年DF-26数本DF-21D数本を南シナ海に向け発射したが、落下地点は今回よりはるか南方でスプラトリー諸島に近かった。中国軍は黄海、渤海でも演習を展開している。東シナ海での演習が最近終わったばかりだ。すべての演習は人民解放軍が太平洋各地で展開した演習につながるものだ。

 

南シナ海と隣接地区に関し中国軍の演習への米軍による航空情報収集監視偵察ミッションが増加している。中国側は昨日もU-2Sドラゴンレイディー情報収集機が演習海域北端上空を飛行したと公式に非難した。同海域では中国艦が実弾演習をしていた。

 

Planet Labsが公表の8月25日の衛星画像に黄海でのミサイル発射らしきものが見えるが、水上艦か潜水艦からの発射のようだ。こうした行動を米側が情報収集の対象としていることは疑いない。

 

こうした行動の背景に米中間での地政学的対立があり、南シナ海医以外に香港の民主勢力への弾圧、台湾が中国と一層の距離をとろうとしていること、貿易問題さらにCOVID-19への対処がある。

 

8月26日、米政府は中国企業24社を制裁対象とすると発表したが、各社は人民解放軍の戦力増強とつながり、南シナ海の人工島構築に関与している。さきだって7月に米トランプ政権は中国の広範囲に及ぶ南シナ海での主張は非合法とする政策方向を正式に採択していた。

 

総体として、中国軍が最精鋭の戦略装備の能力を南シナ海でためし、米側に見せつけたのは驚くべきことではない。■

 

この記事は以下を再構成したものです

 

China Tests Long-Range Anti-Ship Ballistic Missiles As U.S. Spy Plane Watches It All

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The launches were clearly meant to send a message to the United States, which has been closely observing Chinese naval activity across the Pacific.

BY JOSEPH TREVITHICKAUGUST 26, 2020

 

 


2020年8月24日月曜日

F-35フル生産が2021年3月に実現する

 Two U.S. Air Force F-35A Lightning IIs, assigned to the 4th Fighter Squadron from Hill Air Force Base, Utah, conduct flight training operations over the Utah Test and Training Range on Feb 14, 2018. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Andrew Lee)

ヒル空軍基地(ユタ州)の第4戦闘飛行隊所属の米空軍F-35AライトニングII編隊がユタテスト訓練場で飛行訓練を展開した。Feb 14, 2018. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Andrew Lee)



ンタゴンの調達トップが8月20日、ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機は来年3月までにフル生産に入ると明言した。これまで数々の遅延が発生してきた同機生産だが、一番新しいところではCOVID-19による工場一部立ち入り制限でも予定が狂わされている。


「3月の目標達成は確実とみている」と調達維持担当国防次官エレン・ロードが述べた。


Ellen Lord, undersecretary for AT&L > Defense Contract Management ...



ロードは来週にペンタゴンの運用テスト評価部長ロバート・ベーラーとパタクセント海軍航空基地へ向かい、共用シミュレーション環境(JSE)内でフライト運用テストを行う。


F-35のフル生産はこれまで「JSE内で挫折」してきた。同機はペンタゴン史上で最高の3,980億ドルが投じられている。

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2021年3月の目標はBloombergが先に報じており、疾病管理予防センターの「安全な作業環境だと確認する」ガイドラインのため先送りされてきたものだ。


F-35は2019年10月現在で440機以上が世界各地に納入されている。フル生産の許可が下りれば、ロッキードは年間160機までの生産が可能となる。

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Military.comでは昨年9月に、共用シミュレーション環境のためF-35の初期作戦能力テスト評価 (IOT&E)が遅れていると報じてきた。


「JSEが適切にテストを完了すれば」IOT&Eは進展するとDoD報道官空軍中佐マイク・アンドリュースがその時点で声明文を発表していた。「敵の最新鋭機や高密度防空体制といった現実的なシナリオでF-35のIOT&Eを進めるためJSEは必要だ」■


この記事は以下を再構成したものです


 

F-35 Will Finally Go into Full Production Next March, Acquisitions Chief Says

21 Aug 2020

Military.com | By Richard Sisk