中国人民解放軍ロケット軍が弾道ミサイルを南シナ海北端に続けて打ち込んだ。発射地点は中国本土の別々の箇所で、対艦攻撃を模した演習なのはまちがいない。オンライン飛行追跡ソフトでは米空軍のRC-135コブラボールスパイ機が同地域を飛行中だったことが判明している。
サウスチャイナモーニングポスト紙が2020年8月26日に中国軍がDF-26B、DF-21D各一発を発射したと報道した。米国国防関係者は人民解放軍ロケット軍(PLARF)は弾道ミサイル4本を発射したと評価しているが、正確なミサイルの型式を断定する情報がない。DF-21DはMRBM(射程621マイルから1,864マイル)だが、DF-26Bは中距離弾道ミサイル(IRBM)で射程も1,864マイルから3,417マイルと長い。
DF-21D、DF-26ともに複数弾頭を搭載し、空母のような大型で比較的低速の目標に命中させるよう飛翔制御できるとみられる。中国メディアではDF-21Dを「空母キラー」と呼んでいる。
IMAGINECHINA VIA AP
DF-21D medium-range ballistic missiles.
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DF-26 intermediate-range ballistic missiles.
サウスチャイナモーニングポストはDF-26Bを青海省から、DF-21Dは浙江省から発射したと報じている。各ミサイルは紛糾中のパラセル諸島と海南島間の海域に到達した。
すべては中国が8月25日にNOTAMとして通達した内容と合致する。両発射地点は南シナ海へMRBMとして到達可能な射程範囲だが、実際に発射されたのがMRBMだったとはかぎらない。
ミサイルの発射本数ならびに型式で情報が錯そうしてるが米空軍はRC-135Sを同海域に送り、弾頭の着水状況を観察したはずだ。コブラボールは現在三機しかなく、今回の機体は登録番号62-4128がつく。
同機は嘉手納航空基地を離陸し、きついUターンをして基地に戻った。この飛行パターンはコブラボールの弾道ミサイル弾頭の画像、映像、電子偵察でよくあるパターンで、同機は弾道ミサイル発射時点の監視も可能だ。
南シナ海に向け発射されたミサイルの本数、型式がどうであれ、発射そのもが米軍に対するメッセージであることは明らかだ。長距離対艦弾道ミサイルは中国の接近阻止領域拒否能力をさらに向上させる装備だ。
今回の発射は中国の海軍演習とともに、米軍活動が増えてきたことへの対応であり、米側の同盟国のオーストラリア、日本、台湾もここにきて活動を増強している。7月には米海軍のニミッツ級空母、一番間のUSSニミッツがUSSロナルド・レーガンと南シナ海で訓練を展開し、ここ数年で初の同海域での演習となった。
中国も似たような演習を行っている。PLARFは昨年DF-26数本DF-21D数本を南シナ海に向け発射したが、落下地点は今回よりはるか南方でスプラトリー諸島に近かった。中国軍は黄海、渤海でも演習を展開している。東シナ海での演習が最近終わったばかりだ。すべての演習は人民解放軍が太平洋各地で展開した演習につながるものだ。
南シナ海と隣接地区に関し中国軍の演習への米軍による航空情報収集監視偵察ミッションが増加している。中国側は昨日もU-2Sドラゴンレイディー情報収集機が演習海域北端上空を飛行したと公式に非難した。同海域では中国艦が実弾演習をしていた。
Planet Labsが公表の8月25日の衛星画像に黄海でのミサイル発射らしきものが見えるが、水上艦か潜水艦からの発射のようだ。こうした行動を米側が情報収集の対象としていることは疑いない。
こうした行動の背景に米中間での地政学的対立があり、南シナ海医以外に香港の民主勢力への弾圧、台湾が中国と一層の距離をとろうとしていること、貿易問題さらにCOVID-19への対処がある。
8月26日、米政府は中国企業24社を制裁対象とすると発表したが、各社は人民解放軍の戦力増強とつながり、南シナ海の人工島構築に関与している。さきだって7月に米トランプ政権は中国の広範囲に及ぶ南シナ海での主張は非合法とする政策方向を正式に採択していた。
総体として、中国軍が最精鋭の戦略装備の能力を南シナ海でためし、米側に見せつけたのは驚くべきことではない。■
この記事は以下を再構成したものです。
China Tests Long-Range Anti-Ship Ballistic Missiles As U.S. Spy Plane Watches It All
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The launches were clearly meant to send a message to the United States, which has been closely observing Chinese naval activity across the Pacific.
BY JOSEPH TREVITHICKAUGUST 26, 2020
口汚く相手国を罵り、ミサイルを発射して相手を威嚇するやり方は、北朝鮮と似てきたからかもしれない。いや、CCPも金王朝も元々同根であり、習は先祖返りをしたがっていると考えれば、当然のことか。
返信削除DF-26やDF-21Dは、海上目標に対しての有効性は限定的との評価が一般的だが、これはミサイル自身の目標識別能力が無いか、限定的であるためではないかと、個人的には考える。
それに加え、弾道ミサイルに対する迎撃能力やミサイル誘導妨害技術が向上しているため、DF-26やDF-21Dの価値は下がっている。今が「対艦」弾道ミサイル発射効果のバーゲンセールの時期なのだろう。そして、セールはこれからも続くと思われる。