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南シナ海、東シナ海での中国の動きに米国はどう対応すべきかを米調査局はこう伝えている

 今回は2020年8月6日に米議会調査部が提出した報告書「議会向け資料 南シナ海・東シナ海における米中戦略競合の背景と争点」U.S.-China Strategic Competition in South and East China Seas: Background and Issues for Congressの内容を紹介する。

 

以下報告書より

大国間の競合状況に再び突入した国際安全保障環境において、南シナ海(SCS)が米中の戦略競合の舞台として浮上してきた。SCSでの米中戦略競合状態はトランプ政権による対中政策が対決色を強める根幹理由となっており、同政権はインド太平洋地区を自由で開かれたインド太平洋(FOIP)に整備しようとしている。

 

近年のSCSでの中国の動きに大規模人工島構築、スプラトリー諸島での基地建設に加え、海洋部隊により周辺国のフィリピンやヴィエトナムに中国の主張を示していることがあり、米国の観察では中国はSCSで実効支配を強めていると映る。日本の統治下にある尖閣諸島は東シナ海(ECS)にあり、ここでも中国艦艇が行動を活発化しているのも米国の懸念するところである。中国が自国近隣海域のSCS、ECSを黄海とならび支配すれば、米国の戦略、政治、経済各面での権益がインド太平洋その他で結果的に影響を受ける。

 

SCS、ECSでの米中戦略競合で米国が最終的にめざす一般目標は次の項目に留まらない。西太平洋地区における米国の安全保障コミットメントとして条約上のコミットメントが日本とフィリピンに対し存在すること。米主導の安全保障の仕組みづくりを条約上の同盟国と協力国が対象として西太平洋で進めること。域内の力のパランスを米国や同盟国協力国に有利な形で維持すること、紛争の平和的解決原則に立ち、国際問題で「無理が通れば道理が引く」状況の台頭に屈しないこと、航行の自由ともいわれる海洋移動の自由原則を防護すること、東アジアで中国が覇権を確立するのを阻止すること、ならびに対中関係関連や広義の戦略競合関係の一部として各目標の実現をめざすこと、である。

 

SCSおよびECSにおける米中戦略競合で米国が今後具体的に目指すべき目標発議だけに留まらない。スカボロー礁でこれ以上の基地構築は中国に断念させること。SCS内地形周辺の基準線を設定すること、SCS上空に防空識別圏(ADIZ)を設定すること、ECSでは尖閣諸島周辺における中国艦艇の活動を縮小または終了させるよう働きかけること、スプラトリー諸島内でフィリピンが実効支配する地点へ圧力をかけている中国の動きを終了させる行動、スカボロー礁またはスプラトリー諸島へのフィリピン漁船によるアクセスを拡大させること、海上の自由の定義を米国西側勢力で採択すること、2016年7月に下ったSCSにおけるフィリピン-中国事案の仲裁結果を受け入れ順守すること。

 

トランプ政権は各種手段でSCS、ECS双方で中国との戦略競合に対応してきた。トランプ政権によるSCS、ECSでの対中国戦略競合方針が妥当かつ正しく裏付けがとれているか吟味するのが議会の課題である。また戦略の承認、却下あるいは変更も議会の職務であり、実施に投入する資源について、あるいはその双方についても同様である。

 

報告書本文は hereをクリックしてください。

 

この記事は以下を再構成したものです。

Report on US-China Competition in East, South China Sea - USNI News

August 14, 2020 12:19 PM

The following is the Aug. 6, 2020 Congressional Research Service report U.S.-China Strategic Competition in South and East China Seas: Background and Issues for Congress.

調査機関を議会が持っているのはうらやましい限りですが、こうした報告書が議員にどこまで影響力を持っているのか知りたいところですね。


コメント

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