米空軍が目指す「デジタル・センチュリーシリーズ」でF-15EXが一番手になるのだろうか。 防衛記事担当編集者スティーブ・トリンブルが以下答えている。
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F-15EXはデジタル技術で成熟ずみ機材を再強化される好例になりそうだ。ただし、米空軍のデジタル・センチュリーシリーズ構想でのアプローチとF-15EXは異なる。同構想は空軍次官補ウィル・ローパーが提唱する調達、技術、維持全般にわたる新しいアプローチだ。
空軍は144機調達を目指すF-15EXで二機を先行発注し、2021年8月に引き渡しの予定だ。機体で目を引くのがBAEシステムズによるEpawss(高性能パッシブ/アクティブ警戒監視装置)だが、その他はF-15QA(カタール向け)と共通する。F-15QAの主翼と前部胴体は新設計で軽量化されている。ボーイングはデジタルエンジニアリング手法で設計し、生産方式を安価ながら高効率で実現した。
この手法を応用し、ボーイングは新規サプライヤーに再設計主翼と機体の競作を行わせる。ボーイングによれば再設計部品は整備コストも大幅に引き下げる。従来の航空機製造方式と比べ大幅な改良になるが、空軍はデジタル・センチュリーシリーズでさらにその先を狙っている。
空軍は次世代制空機材(NGAD)がデジタル・センチュリーシリーズのビジネス事例になるとみている。モデルではボーイングがF-15EXで使ったデジタルエンジニアリングが採用されそうだが、空軍の要求は機体の全部品でデジタルモデルを使うことにある。もう一つ違うのは機体の設計で空軍が権利を取得することだ。F-15EXの知的財産所有権はボーイングにあるが、デジタル・センチュリーシリーズでは政府に売却あるいは使用許諾することになる。
デジタル・センチュリーシリーズでは複数機種を同時並行製造するのを目指すが、生産数は10機単位あるいは多くても100機単位となる。機種形式は異なるが共通部品を極力採用し、再設計コストを抑え、生産施設の経費や機体維持コストを抑える。全機種で共通のオペレーティングシステムとし、ソフトウエア上の改良を機材全機を対象に同時かつ即座に行う。■
Credit: Boeing
この記事は以下を再構成したものです。
Is F-15EX A Good Example Of USAF's Digital Century Series?
Steve Trimble August 05, 2020
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