“Look at the map and you will understand the huge importance of the agreement,” one expert told Breaking Defense.
イスラエルとアラブ首長国連邦の国交樹立という歴史的発表が出たが、その裏で両国は地道な協力を続けてきており、イランが共通の敵との認識で一致している。
イスラエル、UAEの国交樹立前にモサド、退役軍関係者、サイバーセキュリティ専門家が頻繁に同国を訪問していた。
UAEを見てイスラエルと制式に国交関係を樹立する兆候が湾岸諸国に現れており、イラン神権政治の強硬態度への反発が背景にある。UAEはイエメンでイランが支援するフーシ派と戦闘を展開している。
UAEの動きが注目を集めるのは、同国が戦略的に重要なホルムズ海峡の南方沿岸を広く支配しているためで、北側に陣取るイランはこれまで何度も原油輸送で重要ルートの同海峡封鎖を公言してきた。国際報道ではイスラエル潜水艦部隊が同海域に活動中で、「特殊兵器」を搭載しており、イランがイスラエルに向け弾道ミサイルを発射すれば報復攻撃する準備ができている。「地図を見れば今回の合意内容の意味がわかる」とある専門家は指摘している。
イランが早速非難声明を出してきたのは想定内だ。公式声明でイランイスラム共和国はUAEが「インチキ、非合法、非人道的シオニスト政権」と国交正常化に動いたのは「恥ずべき試み」とし、ペルシア湾でのイスラエルの介入をけん制した。イラン革命防衛隊と関係が深いとされるタスニム通信社はUAE訪問のイスラエル代表団にモサド長官もいたと強調している。
実際にイスラエル情報機関モサドの上位関係者はこの数年UAEを頻繁に訪問してきた。またイスラエルのサイバーセキュリティやビッグデータ分析の専門知識が在UAEのイスラエル企業を介し流入している。両国の軍部交流は情報共有に留まっているが、イスラエルの軍、情報部で退役後にUAEで職につく傾向が強まっている。
議論になっている例にUAE民間セキュリティ企業ダークマターがあり、同社は組織的にイスラエル国防軍のエリートハッカーチーム、8200部隊の元関係者を採用している。人権活動家はイスラエル専門家はUAEで反政府集団とくにイランとつながる対象の監視活動を支援していると批判する。
今回の外交関係樹立でイスラエル国防企業はUAEで事業展開する道が開けた。UAEへの武器輸出はまだ検討されていないが、米援助資金の新規制によりイスラエル防衛産業に米国内に子会社設立が相次いでおり、ここを通じた協力事業の可能性が出てきた。
モシェ・ダヤンセンター理事でイラン研究が専門のウジ・ラビ教授は「イスラエル製軍用装備品の直接販売が将来可能になる」とし、「だが同時にイスラエルの専門技術を介した協力関係ではUAEの資金協力で国内セキュリティ関連のシステム構築に向かうのではないか」
ラビ教授はイランがUAE最大の脅威と指摘する。「経済のつながりは表面上こそ強固だが、イランはUAEが直面する敵対勢力であり、これからさらに強硬になっていくだろう」■
この記事は以下を再構成したものです。
Years Of Intel Contacts Laid Foundation For UAE-Israel Deal
https://breakingdefense.com/2020/08/years-of-intel-contacts-laid-foundation-for-uae-israel-deal
By ARIE EGOZI
on August 14, 2020 at 2:12 PM
イスラエルとUAEの国交樹立は、米国が構想する中東版NATO、中東戦略同盟(MESA)に向かっての大きな前進となる。MESAは湾岸諸国とエジプト等で計画されていた。MESAの後見は米国とNATOとなったであろうが、今回の国交樹立は、イスラエルもMESAに関わることになるのだろう。
返信削除イスラエルは、中東で最大の軍事国家であり、核兵器も保持し、MESAへの軍事的後見を行えば、MESAの抑止力は強まり、対イランにおいても封じ込めが可能となるかもしれない。
MESAの最大の問題は、最有力構成国で政治的に不安定なサウジであり、さらにサウジは核武装しようとしているイランに核兵器で対抗しようとし、中国との結び付きを強めているが、このサウジの姿勢はサウジの立場をより弱くしかねないだろう。
今までの中東は、増長してきたイラン、それに対抗する湾岸諸国やイスラエル、さらに中東への関与を強めるトルコ、そしてこれらの国にテコ入れする大国の介入による混乱状況が続いてきたが、MESAが確立すると、中東が安定化する可能性があるため、期待したいところ。