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RIMPAC 2020が開幕。COVID-19のため規模縮小し、海自から いせ、あしがら が参加。


RIMPAC2020に向けハワイ真珠湾を出港するUSSエセックス(LHD-2) Aug. 10, 2020. US Navy Photo

 

 

太平洋演習が規模を縮小しハワイ沖合で本日開幕した。COVID-19のため参加国は当初の三分の一、人員は五分の一となった。

 

だが演習司令の米第三艦隊司令官スコット・コン中将はRIMPAC 2020開始のメッセージで規模は縮小されたものの太平洋を取り囲む諸国の相互運用体制の実現という演習の目標は十分実現できると述べている。

 

「当初RIMPAC 2020は三十か国の水上艦潜水艦50隻航空機200機25千名の規模で企画し、さらに陸上で4千名を支援に充てる構想だった。その通りなら史上最大規模のRIMPACになっていただろう。だが10か国22隻、潜水艦1、海上人員5,300名に縮小した」(コン中将)

 

「参加10カ国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、フランス、日本、ニュージーランド、韓国、フィリピン、シンガポール、米国で、これから二週間の訓練で各種の想定で運用技術を磨く。今年は海洋戦に中心を置き、対水上艦戦、対潜戦、海上阻止行動、実弾発射を展開する」

 

前回2018年は25か国45隻、潜水艦5、25千名がハワイから南カリフォーニアに至る海域に6月末から8月にかけ展開し、ロサンジェルス級潜水艦一隻から20年ぶりとなるハープーンミサイルの発射、各国海軍がテスト中の新型装備品の展示、さらに退役米海軍艦艇を実際に沈める演習(SINKEXs)を二回実施し、ここではシンガポール海軍の実弾が命中し予想より早く完了した。

 

今年は1971年の開始以来通算27回目の実施となり、2週間で完了する。陸上イベントはなく、揚陸演習もない。乗組員は演習海域到着からずっと艦内に留まり、例年のような各国人員が一緒の夕食風景も見られない。

 

SINKEXは一回のみで旧USSダーハム(チャールストン級揚陸貨物輸送艦)を実弾射撃で処分する。「各国部隊には運用技術を磨き、装備品への自信を強めるまたとない機会となる」とコン中将は記者団に文書で説明している。期間短縮で恒例の技術展示はなく、自由競技会も開催されない。後者は各国指揮官に多国籍部隊として課題を与えるものだ。

 

ただし、中国との領土問題に多数国が直面する中で最大限の参加国が集うことに意義があるとコン中将は述べている。「艦艇、人員を危機の際に集結させる能力があるうち、相互作戦体制を確立し、主要国との関係強化を図るが、幸い今は危機の真っ最中ではない。人間関係を築き、確立済みの信頼をさらに強化したい。このためRIMPAC 2020で関係者間のみならず世界に対して各国海軍部隊が一致団結して危機へ対処する決意があると示したい」

 

USNI Newsは参加国に中国の一帯一路構想で財政投資を受けるところが多い中で各国間の交流時間が減る意味についてコン中将に尋ねてみた。

 

コン中将は中国の名に触れず、以下回答してきた。「RIMPAC演習は二年おきとなっている。今回のRIMPACが終われば、次回演習の企画が始まる。招へい国も代表者を派遣し次回予定の調整にあたる。これにより各国には制服組代表同士の意思疎通、仲間意識、信頼が強まる」

 

また「RIMPACはこれまで同じ意識を共有するか国海軍が危機状況が到来しても域内安全と安定の確保のため共同作戦を展開する能力を培ってきたが、今回は海上演習のみになったRIMPAC 2020もこの点で例外ではない。ただし、残念ながらこの形での実施ではハワイ住民や演習参加国間の直接の接触はない。実はRIMPACではこの形の接触が重要な要素だ。一方でRIMPACの実施を見送れば別の不利益が生じる。海上交通の自由な流れを止めてはならず、守られなければならない。そのため我々は危機に対応する準備ができており、人為的な脅威のみならず自然災害にも対応する。RIMPACにより共同対処する能力が強化され、信頼も築かれる」

 

今回は海上行動に主軸を置き、陸上活動は中止となったため、米海軍の陸上支援要員も前回の600名が100名弱に削減された。各員はハワイへ移動したあと14日間の隔離措置を受け、さらにCOVID-19感染がないことを確認して演習に参加するとコン中将は説明。

 

さらに演習中も艦内でCOVID-19テストの準備ができているという。演習参加艦艇には医療室の整った艦もあるが、事態が進展し医療室の処理能力を超えた場合は、ハワイの軍施設へ搬送する。各艦艇はパールハーバー-ヒッカム共用基地で燃料糧食を補給するが、乗組員は艦を離れず、港湾関係者と接触しない。

 

「RIMPAC開催中は地元との接触は一切ない。しかしながらハワイ州民のみならず米国含む各国乗組員の安全健康の確保のため全力を尽くす」(コン中将)

今年の参加艦艇は以下の通り。

 

Australia

  • HMAS Hobart (DDG 39)

  • HMAS Arunta (FFH 151)

  • HMAS Stuart (FFH 153)

  • HMAS Sirius (O 266)

Brunei

  • KDB Darulehsan (OPV 07)

Canada

  • HMCS Regina (FFH 334)

  • HMCS Winnipeg (FFH 338)

France

  • FS Bougainville (A622)

Japan

  • JS Ashigara (DDG 178)

  • JS Ise (DDH 182)

New Zealand

  • HMNZS Manawanui (A09)

Republic of Korea

  • ROKS Seoae Ryu Seong-Ryong (DDG 993)

  • ROKS Chungmugong Yi Sun-Sin (DDH 975)

Republic of the Philippines

  • BRP Jose Rizal (FF 150)

Singapore

  • RSS Supreme (FFG 73)

USA

  • USS Essex (LHD-2)

  • USS Lake Erie (CG-70)

  • USS Chung Hoon (DDG-93)

  • USS Dewey (DDG-105)

  • USCGC Munro (WMSL-755)

  • UNSN Henry J. Kaiser (T-AO-187)

  • USNS Sioux (T-ATF-171)

  • USS Jefferson City (SSN-759)



この記事は以下を再構成したものです。


Scaled-Back, At-Sea RIMPAC 2020 Exercise Kicks Off Near Hawaii

By: Megan Eckstein

August 17, 2020 10:48 PM • Updated: August 18, 2020 10:38 AM


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