2020年11月3日火曜日

「大型艦」で地上イージスアショアを代替するのは安易な発想。あくまでもイージスアショアを設置すべきだ。

 


 

本国内報道で日本政府が「スーパー護衛艦」を二隻建造し、中止されたイージスアショア二か所の代替手段にする可能性を検討中という。地上施設は技術問題、費用さらに反対の声を受け中止となった。

 

新建造する艦艇は北朝鮮弾道ミサイルへの対応を主任務としロッキード・マーティンのAN/SPY-7長距離式識別レーダーを搭載する。もともとイージスアショア用に開発されたレーダーだ。

 

報道では11月半ばに防衛省に中間報告が寄せられ、政府は今年中に案を進めるか決定するとある。Nikkei Asia では実現は了承済みとある。


ミサイル防衛に関し日本は専用船あるいは沖合施設を使えないか検討してきた。「スーパー護衛艦」よりは安価だが、ともに空、水中からの攻撃に脆弱すぎる。これに対し新型艦は柔軟性が抜群ながらミサイル防衛以外の任務にも投入できる。

 

ただし日本側が完全な新型艦または既存設計の改良艦を想定しているのか不明だ。海上自衛隊がまや級イージス艦の追加建造に向かう可能性はある。まやに続く二号艦が2021年に編入される。まや級では新型イージス戦闘システムが導入され、先行するあたご級を改良した。このあたご級もこんごう級の発展型であり、これも元をたどれば米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦にたどり着く。

 

U.S. NAVY/SEAMAN SANTIAGO NAVARRO

海上自衛隊のはたかぜ級駆逐艦しまかぜ(DDG 172)(手前)、あたご級駆逐艦あしがら(DDG 178)、カナダ海軍フリゲート艦HMSCウィニペグ(FFH 338)の上空を通過する航空機編隊。キーンソード21演習の行われたフィリピン海にて。2020年10月。

 

 

共同通信は政府想定は基準排水量9千トン艦と伝える。まや級は8,200トンだが、これを拡大した改良型が生まれないとはいえない。まや級は4隻建造となり、後期建造の二隻がAN/SPY-7レーダー搭載の拡大型になる可能性が残る。

 

共同通信記事では新型艦を大型化する理由に居住空間の拡大があり、「北朝鮮弾道ミサイル警報の中で厳しい勤務環境」があるとする。米海軍もフライトIIIのアーレイ・バーク級で同様の方向をめざし排水量9,700トンとし、艦体を拡大する。

 

記事では新建造艦にAN/SPY-7レーダーを搭載し、イージスアショアと同じ性能にするとある。日本は同レーダーの導入を先に決定していた。ただし運用要員の居住空間など追加条件のため既存まや級の上部構造さらに艦体自体が変更となる可能性がある。

 

Nikkei Asiaでは追加二隻の建造費は令和3年度予算に計上するとあるが、AN/SPY-7の艦艇搭載で改良が発生する。ただしロッキード・マーティンは同型式レーダーをカナダ海軍の26型フリゲート(BAEシステムズ建造)、スペインのF110級フリゲートにも供給しており、ともに日本が想定する艦艇より小型であることに注意すべきだろう。

 



新型艦がどのような姿になるにせよ、SM-3MkIIA迎撃ミサイルを搭載する。同ミサイルは迎撃性能が拡大し、現在配備中のSM-3以上に多くの種類のミサイルに対応できる。

RAYTHEON


RAYTHEON

 

 

ただし疑問が残る。とくに人員面だ。イージスアショア導入の理由として海上自衛隊の人員不足で既存艦艇の運用にさえ支障をきたしていることがあった。大型艦2隻を配備すれば海自の人員面がさらに苦しくならないか。

 

実際に多任務「護衛艦」30DXあるいはFFMと呼称する新型艦は人員不足のため排水量3,900トンとフリゲート艦より若干大きい程度となる。イージス艦より安価で乗員はほぼ三分の一で多任務をこなすものの弾道ミサイル防衛は想定していない。

 

そこで新型イージス駆逐艦建造が承認されれば、北朝鮮の脅威のみならず東シナ海他で展開する相手側の兵力投射にも十分対応できるはずだ。日本の次年度防衛予算要求が記録的規模の550億ドル近くとなるのは北朝鮮並びに中国の脅威に直面する日本で自衛隊の役割が重要になっているあかしでもある。

 

新型艦の艦容がどうなるにせよ、海自艦隊が増勢に向かっている野は明らかだ。予算の伸びを受け防衛省は駆逐艦隻数を54に増やそうとしている。現状は50隻を下回る。ただし、費用が大きな難関で、内22隻を安価なFFMで構成する構想とし、まや級のようなフル装備艦ばかりにはできない事情がある。■

 

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Japan Considers Building Two Super-Sized Destroyers As An Alternative To Aegis Ashore

THE DRIVE

BYTHOMAS NEWDICKNOVEMBER 2, 2020


中国空軍の空戦能力に致命的な欠陥、訓練は派手な見栄えを重視、背景に中国人の思考方法に問題がある。

 https://www.reutersconnect.com/all?id=tag%3Areuters.com%2C2019%3Anewsml_RC2V8D903C6S&share=true

 

 

璧な軍部隊など存在しないが、中国の近代戦経験の不足は米軍より深刻なようだ。近代装備多数を有する中国空軍だが、戦闘体験の欠如が演習で露呈してしまった。

 

タイで2015年に展開した合同演習で中国の航空戦の実力不足が露呈した。機材こそ新鋭機だが中国軍パイロットは長距離攻撃で弱体ぶりを示し、敵側の積極戦術に反応が追いつかない場面があった。▼ファルコンストライク2015は同年11月にタイ空軍基地のあるコラートで開催され、中タイ間初の合同演習となった。▼中国はJ-11戦闘機隊を投入した。タイ空軍はF-16に加え、グリペンも参加させた。

 

 

演習の7日間にわたりJ-11はグリペンに対抗した。J-11とはロシアSu-27の中国版で優秀なドッグファイターのはずだったが、グリペンを飛ばすタイ側パイロットは長距離射撃の腕が上だった。航空専門ウェブサイトのAlert 5がその内容をまっさきに伝えた。

 

模擬戦初日にJ-11とグリペンは視界距離戦を試みた。結果は中国側の一方的勝利だった。J-11は強力な双発エンジン、機関砲、赤外線誘導ミサイル(おそらくPL-8)でグリペン16機を「撃墜」し、自機側の損害はゼロだった。▼タイ空軍のグリペンは単発で接近距離戦にはAIM-9赤外線誘導ミサイルと機関砲を使った。グリペンの推力重量比がすぐれているわけではないため、ドッグファイトで操縦性に制限がかかる。

 

中国軍パイロットは二日目に9機撃墜、味方一機被撃墜の成果を上げた。だがその後はこうした成果は続けられなかった。▼演習が視界外戦に移ると、グリペンのはAIM-120中距離ミサイルはJ-11の中距離ミサイルおそらくPL-12をしのぐ性能を発揮した。▼三日目、タイ空軍はJ-11の19機を「撃墜」し、グリペンの被撃墜は3機だった。最終の三日間でタイは中国機22機を撃墜しながら、自軍の損失は3機だった。最終成果はタイに軍配が上がり、グリペン隊はJ-11の42機を撃墜し、J-11隊はグリペン34機を撃墜した。

 

タイ空軍による撃墜の88パーセントは19マイル以上距離をあけていた。グリペンは31マイル離れても10機を撃墜した。だが、この距離でJ-11は一機も撃破できなかった。▼「中国パイロットは状況認識が劣っていた」とAlert 5 は報じている。「自機前方に注意を払いすぎ、全周囲に注意していなかった」とあり、J-11隊のエスコート飛行でも「全体調整が欠落」していたという。▼Alert 5はさらに中国パイロットに「ミサイル発射後の回避行動で経験が不足」したという。「反応が機械的すぎ発射地点が異なるミサイルに最適な回避行動を正しく判断できなかった」とある。

 

中国もパイロット訓練の不足を認めている。2005年ごろから中国は実際の状況を模した空戦演習を米空軍レッドフラッグ演習を意識し開始している。だが、訓練を実施しているものの高い技能を有するパイロットは生まれておらず、中国製装備の性能をフルに引き出していない。▼「中国軍高官の著述や発言から中国空軍にはこれまでの訓練では実戦に対応できないとわかっているようだ」と米国防情報局は2019年1月発表の中国軍事力分析で述べていた。「訓練が非現実的なため空戦能力の養成が遅れている」とある。▼中国は自軍パイロットとその他有力国空軍の間に技量ギャップが依然として残っていることを理解している、と同上分析にある。「訓練の弱点を解決するべく、部隊司令は訓練は『実戦を意識した訓練』であるべきであり、『見せ場を意識した派手さ』を追い求めるべきではないとまで発言している」という。■

 

この記事は以下を再構成したものです。訓練内容より見栄えを重視するのは思考に問題があるためでしょう。

 

A Recent War Game Proved That China’s Air Force Is No Superpower


November 1, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryAir ForceJ-11JAS-39 Gripen

by David Axe 

David Axe served as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.


2020年10月31日土曜日

当選近づく?トランプ集会の上空を万全の態勢で守るNORAD

 US Air Force F-16

US Air Force F-16. US Air Force

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  • アリゾナで選挙集会中のドナルド・トランプ大統領に不審な機体が接近したため米空軍F-16がインターセプトした。10月28日のこと。


米防空司令部(NORAD)は10月28日、アリゾナ州ブルヘッドでのトランプ大統領選挙運動集会付近の飛行制限区域を飛行する無許可機を米空軍F-16でインターセプトしたと発表。


「NORAD指令を受けたF-16は航空管制と連絡を取らない一般航空機を調査した。同機はアリゾナ州ブルヘッドシティ周辺に設定した臨時飛行制限区域に許可なく侵入した」


NORADによると同機は当初はインターセプト手順に応答しなかったが、F-16がフレアを放出したところ交信回線を開いた。同機はF-16編隊がエスコートし空域を離れた。ただし、同機が制限空域内で何をしていたか説明はない。


NORAD報道官は臨時飛行制限区域に設定したのはドナルド・トランプ大統領の選挙集会が開かれたためと認めた。


臨時飛行制限区域は連邦航空局が設定し、NORADが部分的に執行するもので、本土防空にあたるNORADはF-16ファイティングファルコン、F-15イーグル、F-22ラプターで危機対応する。


9/11テロ攻撃以後は国内防空体制が強化され、NORADは数々の防御手段の一部にすぎない。


今回の事件は集会を取材中のC-SPANがとらえ、トランプ大統領はスピーチを止め、空中での事態展開に関心を寄せた。



「あれを見て。見て。見て。見て」とトランプは空を指さした。「大統領に見せ場を作ってくれました」聴衆は「USA」を連呼した。APによればトランプ大統領は聴衆に機体はF-35と説明し、「民主党ならこんなことはできない」と述べたという。■


この記事は以下を再構成したものです。


US Air Force F-16s intercepted an unauthorized aircraft flying in a restricted area over a Trump rally

Ryan Pickrell Oct 29, 2020, 6:31 AM


F-X(F-3)開発体制で三菱重工の主契約企業は想定通り。開発は日本主導ながら海外提携企業も参加する。海外企業名は今後発表。

 


 

 

JAPANESE MINISTRY OF DEFENSE

Concept artwork of a possible F-3 fighter configuration.

 

 

本の防衛省が高性能有人戦闘機実現の道筋を定めた。主開発企業に三菱重工業を選定したためで、同時に日本関係者は海外企業も参加するとしながら、社名は今後発表するという。

 

岸信夫防衛相は三菱重工業(MHI)が次期戦闘機事業で開発全般を担当すると本日発表した。海外企業との協力が話題になっていたが、エンジンは社名未公表の企業が担当することも確認された。

 

日本政府は事業費400億ドルとし、航空自衛隊(JASDF)が供用中の三菱F-2の後継機として2035年までの配備開始を期待している。次期戦闘機は非公式呼称がF-Xだが、供用開始時点でF-3の制式名称となると見られる。

 

次期戦闘機を国産開発とするか、国産主導の体制とするか議論があったが、戦闘機開発の知見を有する唯一の国内企業としてMHIは一歩先を行く存在だ。同社はF-16原型のF-2を生産したが、F-2も同社開発の超音速F-1の後継機で、原開発は1960年代までさかのぼる。同社はライセンス生産でF-4JファントムII、さらにF-15Jイーグル制空戦闘機をJASDFへ納入した実績がある。

F-2事業ではMHIはロッキード・マーティンと提携し、生産分担は日本60米国40で分担した。今回の次期戦闘機開発でも同様の方式で海外企業一社が選定済みだ。

 

MHIは2016年4月に初飛行したX-2心神試験機を製造し、技術実証を行った。

 

X-2はIHI製XF5ターボファン二基を搭載し、推力は各11千ポンドで推力偏向用の排気パドルを付け操縦性を高めた。F-2はジェネラルエレクトリックF110を搭載していたが、次期戦闘機にはIHIエンジンが採用されそうで、同社はXF9を開発中で推力はXF5を大幅に超えそうだ。

 

F-3ではX-2の研究成果を活用し、大胆な技術目標を想定している。まず最新の複合材構造、ステルス形状、レーダー吸収素材、デジタルフライバイワイヤー、エンジン制御がある。エイビオニクスでは一体型レーダーアンテナ、電子対抗装置、赤外線探査追尾装置がある。興味を引くのは「自己修復型飛行制御機能」で、システムが故障を自動探知し、修復しながら残る制御面を作動させるとあり、おそらく機体の推力偏向ノズルにも採用し飛行制御を維持するのがねらいのようだ。

 

本日の発表に至るまでに日本の新型戦闘機には三つの方向性があるといわれてきた。完全国産開発、海外企業との合弁事業、または既存海外製機材の導入だ。さらにもっと大胆な無人戦闘機開発構想も費用削減策として今年に入り出てきた。

 

このうち二番目の選択は現実を反映したもので、技術支援を受けながら海外提携先の知見を得つつ国内防衛産業を維持しようとするものだ。この国内産業関連がMHIの航空機製造部門では重要だ。同社はスペースジェット民生旅客機開発の棚上げを同日に発表し、コロナウィルスのパンデミック状況による情勢の不明確化が原因だとした。日本としては技術移転により自国内産業の底上げを狙いつつ、海外企業選定で主導力を発揮したいのだろう。

 

防衛省によれば海外協力企業の選定は今年末になるという。考えらえれる企業としてロッキード・マーティン、BAEシステムズ、ボーイングノースロップ・グラマンがある。

 

日本国内報道ではステルス技術の共有が重要要求内容とあり、その通りだとするとロッキード・マーティンが有利だ。同社はステルス機の製造面での知見のみならず、F-35納入で日本と関係も深く、MHIと同機製造に携わっている。MHIは同社と組み、JASDFのF-35A向けFACO(最終組み立て点検)施設でも手を組んでいる。

 

ロッキードのF-22ラプターが一時は日本の次期戦闘機候補として最右翼だったこともある。ただし、米議会が同盟国といえども同機の取得を禁じたため実現しなかった。ラプター取得が閉ざされても日本はF-22/F-35ハイブリッド案の詳細情報を同社に請求したとの報道がある。この案は今年初めに日本が不採択とし、完全国際開発が再び脚光を浴びた。

 

もうひとつ海外パートナー選定では日本が英国と防衛関係の強化をねらっていることに注目すべきだ。ユーロファイターでは英国は中核国となり、BAEシステムズやエンジンメーカーのロールスロイスが関与した。その英国は次期戦闘機テンペスト開発に取り組んでおり、イタリア、スウェーデンの知見も活用する。日本にもテンペスト協力国になるよう問いかけがあり、日本がめざす供用開始の2035年はテンペストでの英国構想とも合致している。

 

次期戦闘機事業に関与する海外企業が一社あるいは複数であれ、日本が機体開発の意向を明確に示したことの意義は大きい。新型機開発は日本の防衛力整備の一環であり、そもそも日本を取り巻く安全保障環境の脅威が原因であり、特に中国、北朝鮮の課題が出発点だ。日本の2021年度防衛予算要求は9年連続の増額で記録更新の約550億ドルとなる。そのうち次期戦闘機関連は5.56億ドルを研究開発へ、1.14億ドルを各種サブシステムの統合の基礎作業にあてる。

 

新型戦闘機開発は相当の難作業となるが、MHIは公式に主契約企業の役目を果たせるようになったが、どの海外企業が事業に加わるかが数か月後に判明すると思うとわくわくする。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

It's Official: A Foreign Company Will Help Mitsubishi Build Japan's Next Fighter

IAerospace firms in the United States and the United Kingdom are likely to compete for work in co-developing Japan’s next-generation combat aircraft.

BYTHOMAS NEWDICKOCTOBER 30, 2020

 


米大統領選の裏で、「開戦準備」を進める中国の動向は要注意。その中でJ-20の本当の戦力はどうなのか。

 

国国営放送CCTVがJ-20による戦闘訓練の映像を放映したが、同機はF-22あるいはF-35に対抗できるのだろうか。

中国の軍事装備品には謎がついてまわる。中国は秘密裏に開発を目指しているが、一方で最新装備品を誇示している。成都J-20もその例だ。同機の性能全般は不明のままだが、このたび国営放送CCTVで同機二機編隊が高高度で戦闘訓練する姿が放映された。

 

映像は短いものだが、単座双発全天候第五世代戦闘機がフレア多数を放出しており、熱追尾ミサイルへの対抗措置としてドッグファイトでよく使う手段だ。演習は海外に同機を誇示するとともに、国内向けには性能を見せつける意図があったとサウスチャイナモーニングポスト紙は解説している。放映タイミングは南シナ海、台湾海峡、インド国境で緊張が高まっているのと一致する。

 

習近平主席は「開戦準備」を軍に訓示しており、軍首脳部がJ-20演習で呼応したのは明らかだ。演習回数が増えている。先週はJ-20が浙江省衢州市上空で目撃され、ここから台湾は飛行時間で20分に過ぎない。

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これまでも中国は同機の性能を誇示し、戦闘行動半径700マイルで南シナ海の紛争地へも投入できるとしていた。

 

だが人民解放軍空軍(PLAAF)が戦闘状態に入った場合、J-20が敵機材に対して優位に立てるか不明だ。台湾空軍はF-16、インドは新型フランス製ダッソー・ラファールを投入するだろう。

 

J-20が高性能機材としてもこれまで数々の問題があったのは事実で、中国は生産にも苦労している。今年初めに中国がロシア機を導入するとの報道があった。事実ならJ-20の戦力は未完成で長時間かけて整備していくのだろう。もうひとつは供用中機体数でJ-20は50機以上が導入されているとみられる。

中国とインドは言葉の応酬を始めている。インド空軍首脳はラファールがJ-20を上回る性能を有するとし、中国はこれに対しJ-20が上だと主張している。とりあえず、両機種が実戦に投入される事態は起こっておらず、今後も発生しないよう祈りたい。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Is China's New J-20 Stealth Fighter Really Ready to Fight?

October 30, 2020  Topic: J-20  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaJ-20J-20 Stealth FighterMilitaryTechnologyIndiaF-22

by Peter Suciu


Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.

Image: A J-20 stealth fighter of the Chinese People's Liberation Army Air Force (PLAAF) performs during the China International Aviation and Aerospace Exhibition, or Zhuhai Airshow in Zhuhai, Guangdong province, China November 6, 2018. REUTERS/Stringer.


2020年10月29日木曜日

今度はPAK DA 戦略爆撃機の話題。どうやらステルスのスタンドオフ攻撃の機材になるらしいが、本当に実現するのか。

 


ロシアの軍事筋の発言では新型ステルス爆撃機の航続距離は12,000キロで最大ペイロードが25-30トンで亜音速飛行するとある。本当に実現するのだろうか。

 

シア航空業界が次世代爆撃機PAK DAの実現に向け尽力している。ロシアはステルス爆撃機技術でNATO加盟国に差をつけたいとする。

 

ロシア国防副大臣アレクセイ・クリヴォルチコがクラスナイアズヴェズダ紙にPAK DAは研究開発段階に入っていると昨年末述べていた。

 

今夏初めに国防産業筋がロシア報道機関タスに対し、PAK DA設計が完成したと述べている。「機体関連部品の製造は合同航空機会社(UAC)の工場で行う。製造設計の文書化が完成し、素材の搬送が始まった」

 

UACはPAK DA試作機製作にとりかかっている。2021年までに部材を発注し、小型部品の一次組立が完了するとタスは伝えている。さらに最近の報道ではコックピット部分の製造が進んでいるという。

 

 

またゴルブノフカザン航空工場が試作機のテストに使われる。同工場はTu-160M2の生産拠点でもある。ユーリ・ボリソフ副首相によればPAK DAは初飛行を2025年ないし20226年に行い、量産を2028年ないし2029年に開始するという。

 

大規模軍用装備品ではよくあることだが、試作段階で深刻な問題が出現し、試作型の製造日程が大きく変わることがある。ロシア長距離空軍司令のセルゲイ・コビラシュも無人型爆撃機を2040年までに調達したいとし、PAK DAを原型とするとした。

 

一方でソ連崩壊後のロシア機材の多くで近代化改装が進んでおり、実証済みのソ連時代の設計に兵装やエイビオニクスの新型が導入されているが、PAK DAは完全新設計の機体となるとロシア国防関係者は述べている。

 

PAK DAの詳細は謎のままだが、量産に入れば変更が生じるだろう。現時点でロシア軍事筋は同機の作戦行動半径を約12千キロ、最大ペイロードを25から30トンとし、速力は亜音速だという。ロシア航空宇宙軍(VKS)の司令官ヴィクトール・ボンダレフは2017年記者会見でPAK DA設計の重要なヒントを明かしていた。「ミサイル搭載爆撃機をレーダーに映らなくさせながら超音速飛行させるのは不可能だ。そこでステルス性能を重視した。PAK DAはAI誘導式ミサイルを搭載し、7千キロ先から発射できる。このミサイルは飛行中にレーダー周波数を解析し、方向を自ら決め、高度、速力を調整する。同ミサイルの実現に向け努力中だ」

 

PAK DAは戦略爆撃機としてペイロードとならび標的捕捉システム、兵装運用システムさらに敵地奥深くへの侵攻能力を重視し、速力や機敏な操縦性は二の次とする。「AI誘導式ミサイル」の詳細はまったくわからないが、射程7千キロで飛翔中に標的を偏向し、飛翔経路も変更できレーダー探知を逃れる。PAK DAは1950年代から供用中のTu-95大陸間爆撃機の後継機とされるが、Tu-160M2やTu-22M3M爆撃機の近代化改修とどう共存させるかも興味深い点である。

 

この記事は以下を再構成したものです。

PAK-DA: Russia's New Stealth Bomber Is Coming

October 28, 2020  Topic: PAK-DA  Blog Brand: The Buzz  Tags: PAK-DARussiaMilitaryTechnologyBomberStealthB-2

by Mark Episkopos

 

Mark Episkopos is the new national security reporter for the National Interest. 

Image: YouTube Screenshot. 


2020年10月28日水曜日

PAK-DPことMiG-41の開発を進めるロシア、性能が本当なら亜宇宙戦闘機としてミサイル防衛の要になるのか。

 

ッハ5級の戦闘機というとすごいが、設計図のまま終わるかもしれない。Su-57が量産に入ろうとする中、ロシアが次世代戦闘機の基礎技術作業に向かっている

第六世代ステルス迎撃機との触れ込みのPAK-DP別名MiG-41は現行のMiG-31「フォックスバウンド」迎撃機の後継機に期待されている。ミコヤン設計局長のイリヤ・タラセンコがロシア報道陣に2018年語ったところではMiG-41事業は「試験設計段階」に入っており、完成まであと10年とのことだった。もちろん「完成」と量産は異なる。PAK-DPの生産規模は不明だし、どこまで迅速に実現するかも不明だ。

 

最終設計は2019年末に決定し、PAK-DPはMiG-31のコンセプトをもとに製造するとタラセンコは2020年夏に述べていた。実現すれば相当の性能向上となり一気に30年分の技術が進展する。MiG-31は最高速度マッハ2.8だが巡航時は2.3がやっとだが、MiG-41は最高マッハ4から4.3、巡航速度がマッハ3と圧倒的な水準となる。最高速度はマッハ5になるとの見方もロシアにある。

 

MiG-41は超高度飛行を実現するといわれるが、詳細は不明だ。ロシア国防分野の専門家はPAK-DPは大気圏の末端を飛行すると見るが、タラセンコがロシア通信社のRIAノーボスチに同機に大気圏外飛行性能があると述べたのが原因のようだ。

 

 

以前の報道でミコヤンは無人機型PAK-DPの実現を目指すとあったが、実現の可能性は今のところないと見てよい。軍事技術に詳しいサミュエル・ベンデットは「既存有人機を無人機に改装するには技術課題が多く、投入すべき資源も多大となる。ロシアの高性能UAV技術はまだ十分ではない水準だ」とNational Interestに述べていた。

 

PAK-DPの装備品も不明だ。ロシア航空宇宙軍司令を務めたヴィクトール・ボンダレフが今年初めに記者団にMiG-41にR-37長距離空対空ミサイルはじめ、「完全新型ミサイル」も搭載すると述べていた。R-37は初期構想が1980年代で一線配備開始は2019年と長期の研究開発期間を経ている。MiG-41が量産に入る時点でR-37は旧式化しているはずだ。より近代的かつ極超音速の「R-37M」が開発中だが、MiG-41に搭載できるのか注目される。

 

ロシア紙イズべスティアによれば、MiG-41は「多機能長距離迎撃ミサイルシステムで極超音速ミサイルを撃破する」とあるが、このコンセプトでロシア地上レーダーあるいは早期警戒網で敵極超音速飛翔体を探知すれば、MiG-41が迎撃ミサイルを遠距離地点から発射するとある。このミサイルはその後二つの小型ミサイルに分離し、目標に正面から衝突して撃破する構想だ。ロシアの国防専門家ディミトリ・コレネフはこの装備で敵の極超音速兵器発射装置を先に攻撃するのだという。MiG-41の迎撃装備があればロシアのミサイル防衛体制が安泰となるが、そもそも同機でICBMを狙えるのか、それとも戦術極超音速ミサイルを対象にするのか不明だ。

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PAK-DPはロシアの戦闘機の頂点に立つ存在となるのか。しかし、その他ロシア製軍事装備品の例にもれず、現在入手できる情報は報道記事、業界の内部リーク、専門家の意見に限られる。PAK-DPがどう進化していくのか興味をひかれる。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Russia's Mysterious PAK-DP Stealth Fighter: 6th Generation Game Changer?

 

October 27, 2020  Topic: PAK-DP  Blog Brand: The Buzz  Tags: PAK-DPRussiaMilitaryStealthSu-576th Generation Fighter

by Mark Episkopos

 

Mark Episkopos is the new national security reporter for the National InterImage: YouTube Screenshot. est.