2023年8月10日木曜日

NGADの機体単価3億ドルは決して高い買い物ではないという説。

 


発中のアメリカの次期ステルス戦闘機は、非常に高価な機体になりそうだ。多くの人々に数字が深刻なステッカーショックを与えるのは確かだが、そこまで高価格だとしても、同戦闘機はお買い得な機体になる可能性がある。

 アンクルサムが高価な軍事プラットフォームと親和性があることは否定できない。F-35ライトニングIIは耐用期間全体で推定1兆7000億ドルという、史上最も高価な軍事プログラムとなっている。F-35Aの機体単価は現在約8000万ドルだが、新型ステルス戦闘機に3億ドルを出すといえば衝撃的に聞こえる。

 しかし、F-35の価格が劇的に下がったのは、17カ国がこの最新鋭戦闘機を発注し、すでに1,000機以上のF-35が顧客に引き渡されたおかげであることを忘れてならない。言い換えれば、運用コストが高いものの、F-35は地球上で最も広く運用される戦闘機となる。

 逆に、空軍は次世代制空権プログラムでわずか200機ほどの戦闘機を購入する予定で、これらの次世代ジェット機は、さらに300機の先進的な新型ブロック4仕様のF-35と、少なくとも1000機の人工知能対応ドローンウィングマンと一緒に飛ぶ想定だ。

 比較的短い生産期間のため、NGAD戦闘機は、総数でF-22ラプターと対等な立場になる。そして、NGADの予想コストをラプター、あるいは由緒あるF-14トムキャット戦闘機と比較すると......そのステッカー・ショックはすぐに、NGADの機体単価3億ドルでも実際はかなりお買い得だとの感覚に変わる。


編集部注:この記事には、親愛なる友人ロドリゴ・アベラの素晴らしいアートワークが使用されています。彼のウェブサイトやインスタグラムをフォローして、より多くの素晴らしい航空レンダリングをご覧ください!


NGAD戦闘機とそのコストについて、これまでに分かっていることngad fighterロドリゴ・アヴェラによる原画


Next Generation Air Dominance(次世代制空権)プログラムは、かなり最近まで、新しい戦闘機プラットフォームというよりも、新しい航空技術を開発するのが目的だった。これらの技術はすべて、4つのカテゴリーのいずれかに分類される:

推進力 - 空軍はこれらの新型戦闘機に、以前のエンジン設計以上の出力、燃費、優れた熱制御と出力生成、そしてより長い滞空時間を提供する先進的なアダプティブ・サイクル・エンジンを搭載する。

搭載システム - NGAD戦闘機は、センサーの到達範囲を拡大し、戦闘能力と生存性を向上させるため、AI対応のドローンウィングマン編隊と飛行する。

材料 - 材料科学の進歩は、ステルス機設計の最も秘密裏に行われることが多い要素である。現在のレーダー吸収材料(RAM)は、受信レーダー波の80%を吸収すると評価されているが、壊れやすいため戦闘機性能を制限している。RAMを改善することで、メンテナンスコストを削減し、ステルス性を向上させ、より高い性能を実現することができる。

センサー - NGADは、F-35の空戦方法論と同じく、従来以上に遠くから敵機を探知し、照準を合わせることに傾注し、敵機が戦闘機の存在に気づく前に交戦し、破壊することを可能にする。

 しかし、こうした技術が成熟するにつれて、努力の焦点は新技術を乗員付き機体に統合する方向に移行し、先月発表された最終設計提案の機密契約募集で最高潮に達した。空軍は現在、この20年代末までに実戦配備を開始する積極的な計画で、来年には最終設計を選ぶ。

 現段階では、空軍はこの戦闘機の正確な予想コストを提示することはできないが、フランク・ケンドール空軍長官は、単価は「数億ドル」になるだろうと公言している。

 厳密には、同じ次世代航空支配の名のもとに開発されている別のプログラムではあるが、海軍の次期F/A-XX戦闘機は、空軍の新型戦闘機とモジュラー・システムを一部共有すると予想されている。

 米空軍や防衛関連企業が公開した新型戦闘機のレンダリング画像を見る限り、新型戦闘機は伝統的な戦闘機の操縦面、すなわち垂直尾翼を省略し、よりステルス性の高いプロファイルを採用するようだ。その結果、F-22ラプターのようなこれまでのトップ・パフォーマーほどエアロバティックではないが、これまで空を飛んだ中で最もステルス性の高い戦闘機になるのはほぼ間違いないだろう。


NGADを旧式戦闘機と1:1の割合で置き換える必要はない

ngad fighter

原画:Rodrigo Avella


開発中の新型NGAD戦闘機と、ラプターやトムキャット含むこれまでの一流ジェット機との最も重要な違いは、アメリカの次期制空権戦闘機が、AI搭載のドローンウィングマンと同時運用される設計されている点だろう。

 ウィングマン無人機は、AIでNGAD戦闘機のパイロットが割り当てる複雑なタスクをこなす。ウィングマン各機は、前方に進出しセンサー有効範囲を拡大したり、有人機に代わって交戦することでペイロード能力を向上させたり、さらにはパイロット搭乗機に向かうミサイルを吸収し生存能力を向上させたりすることができる。

 しかし、重要なことは、これらのドローンウィングマンによって、2~3機のドローンウィングマンと一緒に飛行する乗員付きNGAD戦闘機1機で旧世代機の編隊全体を置き換えることも可能になることだ。その結果、F-15とF-22は、同レベルの戦闘能力を維持するために1対1で置き換える必要がなくなる。


F-35プログラムの「取得過誤」を避ける

生産ラインから搬出される未塗装のF-35。(イタリア国防省)

F-35は現在、技術的に最も進歩した戦闘機かもしれない。しかし、予算を浪費する買収の大失敗でF-35が誕生したため、空軍は二度とこのようなことがないよう懸命に努力している。

 コスト高を招いた最も顕著な問題は、第一に、ロッキード・マーチンに今後数十年にわたって航空機の設計、生産、維持管理を実質的に独占させ、予想コストを下回るインセンティブをほとんど与えなかったこと、第二に、テスト完了の前に生産開始し、問題が判明した時点で古い機体に高価な改修を強いることになったことである。

 将来的にこのような挫折を避けるため、空軍は戦闘機の契約方法を再構築し、設計と生産を長期的な維持管理から切り離し企業間競争を促すこととしており、おそらく最も重要なのは、企業が戦闘機を独占するのではなく、新しい戦闘機とその設計に関連する「データ権」や知的財産の少なくともかなりの部分を米国政府が所有することである。

 もちろん、空軍の計画通りにすべてが進んでも(ほぼ間違いなくそうはならないだろうが)、地球上で最も先進的な戦闘機を実戦配備する莫大なコストを軽減できない。

 しかし、空を支配するためにプレミアムを支払うことは、アンクルサムがすでにかなり慣れていることだ。

 空軍による調査では、F-22を生産再開した場合、1機あたり3億3,000万ドル(2023ドル換算)のコストがかかるという。

 F-22ラプターに代わるまったく新しい制空戦闘機を開発し、実戦配備することが賢明なのか疑問視する声も多い。結局のところ、地球上で最初で最古のステルス戦闘機であるにもかかわらず、F-22ラプターは今でも最もステルス性が高く、間違いなく最も強力な戦闘機であることに変わりない。新型戦闘機に大金を費やすより、F-22をもっと作ればいいじゃないか。

 空軍はそう考えた。2017年、空軍はF-22の生産再開にどれだけのコストがかかるか極秘の調査を依頼した。ラプターのキャンセル後、F-22の生産ラインの多くはF-35生産に共食いされたため、生産ラインの再開は実質的にゼロから新たな生産インフラを確立することを意味する。

 その結果、194機の新型F-22ラプターの製造には約503億ドルかかり、2023年のインフレ率に調整すれば約625億ドルに跳ね上がると予測された。もし米国が今日生産を再開したら新型ラプター1機あたりのコストは平均して約3億3000万ドルになる。

 F-22の初飛行は初代iPhone発売より10年以上前であり、機体の多くは1990年代初頭の設計であるのを忘れてはならない。言い換えれば、ラプターを新たに製造するのは、21世紀のデザインでゼロから始めるのと同じか、それ以上のコストがかかる可能性が高いということだ。

 F-22の生産がフル回転中だった2010年当時でさえ、米国議会調査局は1機あたり約1億8600万ドルを支払っていたと報告している。研究開発費を機体単価に転嫁しないと仮定すると、ラプターの価格は2010ドル換算で1機あたり3億6950万ドルに跳ね上がる。しかし、2010年の1億8600万ドルは、2023年には約2億6040万ドルに調整される。

 そのため、仮にF-22の生産が停止されたのではなく、一時停止されただけで、どうにか生産を再開すできたとしても、新型ラプターは1機あたり3億ドルの大台に乗る。

 先に述べたように、莫大な費用がかかる統合打撃戦闘機プログラムから生まれたF-35ライティングIIは、多くの顧客リストと高い生産量のおかげで、年々一貫して安くなっている。しかし、常にそうだったわけではない。

F-35が2007年に生産を開始した当時は、機体1機あたり約2億2110万ドルと、かなり高価だった。2023年のインフレ率に調整すると、現在の戦闘機1機あたり約3億3150万ドルになる。

 しかし、F-35の1機あたりのコストは生産開始後数年で劇的に低下し、低速初期生産(LRIP)ロット2が1機あたりわずか1億6,170万ドル、つまり戦闘機1機あたり約2億4,230万ドルになった。そして2012年までには、1機あたり1億700万ドル(現在の約1億4300万ドル)まで下がった。

 制空権には常にコストがかかる。その例として、1988年の『トップガン』で有名になった海軍の伝説的なF-14Aトムキャットほど明らかなものはない。

 1973年当時、米海軍はトムキャットを1機約3,800万ドルで購入していた。この記事でこれまで述べてきた数字と比較すると、まさにお買い得に思える。しかし、インフレは厄介なもので、冷戦時代にはアメリカが国内総生産(GDP)のなんと10%もの金額を防衛費に充てていたことを、ソ連崩壊から数年して、多くの人が忘れてしまっている。

 2022年のアメリカの国防予算は8,579億ドルで、GDPで3%に相当する。もしアメリカが冷戦時代とベトナム戦争時代のようなペースで出費を続けていたら、今日の国防予算は2兆5000億ドル近くになる。

 トムキャットは、米国が防衛費支出を厭わなかったかを示す完璧な例である。今日のインフレ率で調整すると、F-14Aは1機あたり2億7000万ドルという驚くべき金額になる。


制空権は安くない


次世代制空権プログラムで開発されているアメリカの次期制空戦闘機について多くはわかっていない。アメリカは長い間、航空戦力で世界をリードしてきた。軍用機を最初に実戦配備した国であり、航空機の武装を最初に行った国であり、空中給油を最初に行った国であり、爆撃機を世界中に飛ばした国であり、ステルス攻撃機、戦闘機、爆撃機などを製造した国である。アメリカは長い間、空から敵に戦いを挑む能力に投資することを厭わず、圧倒的なパワー、能力、量であらゆる戦闘の空域を支配してきた。

 このような戦争へのアプローチは単なる習慣ではなく、アメリカの戦争ドクトリンのほぼすべての側面に組み込まれている。アメリカの戦争へのアプローチは、紛争を6つの段階に分ける。すなわち、「形成」、「抑止」、「主導権の掌握」、「支配」、「安定化」、「文民権力の実現」、そして「形成への回帰」である。

 IRISインディペンデント・リサーチ社長のレベッカ・グラント博士が13年ほど前に『エアフォース・マガジン』で指摘したように、航空戦力は各局面で役割を果たす。1970年代から今日に至るまで私たちが見てきたように...空を支配することは高価な努力なのだ。

 だから、もしNGAD戦闘機の単価が約3億ドルもするとわかったとしても、それ以前の戦闘機と比べて価格が飛躍的に高くなったということではなく、空の覇権を握るため相場だと考えるべきなのだ。■



Modified feature image courtesy of Rodrigo Avella

Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


2023年8月9日水曜日

ロシアが分裂、混乱に陥る可能性に西側は備えるべきだ

 

GOV.UK


ラジーミル・プーチンとモスクワの中央権力は、エフゲニー・プリゴジンの反乱で弱体化を露呈した。プリゴジンの反乱軍が処罰されなかった事実で、プーチンの権威に挑戦する者をこれから増えるだろう。ロシアは、1991年のような内部混乱に陥るかもしれない。ワシントンはじめ自由世界の政策立案者は、この事態に備えなければならない。



プーチンはロシア国民に何もしてこなかった。プーチンによる統治が始まり24年、ロシアは自由と繁栄両面でヨーロッパに大きく遅れをとったままだ。さらに遅れをとっている。彼は今、平和的なスラブ人に対する戦争で戦死をロシア国民に求め、外国の経済制裁によってさらに多くの窮乏に苦しんでいる。


ロシアの安全保障、軍事、経済を支配する腐敗した徒党に対しても何もしていない。ウクライナ戦争でロシアは亡国の烙印を押され、彼らの多くは自由主義諸国による制裁と資産凍結に苦しんでいる。


プーチン自身も弱っているように見える。彼はウクライナで負けている。プーチンがウクライナに侵攻する前は、ロシアの軍事力はアメリカに次ぐ世界第2位と見られていた。今では、東ヨーロッパではウクライナに次ぐ2番目と見られている。国内では、プリゴジンの傭兵たちが発砲することなくロシアの重要な軍事拠点のひとつを占領した。ロシアの軍指導者の一部は様子を窺っていた。プーチンにプリゴジンと反乱軍を罰する力はなかった。


不満と弱さの環境が、さらなる権力への挑戦を促すだろう。もしかしたら、別の軍人かもしれない。あるいは、ロシアの各共和国で分離主義が再燃するかもしれない。


ロシアは多国籍帝国である。何世紀にもわたり、モスクワ大公国はヨーロッパとアジアの諸民族を征服して拡大してきた。しかし、かつてオーストリア・ハンガリーやユーゴスラビアの一部であった民族のように、各民族はアイデンティティーや自由への夢を忘れてはいない。


ロシアにおける分離主義運動は、ロシアが第一次世界大戦に敗れ、無能で腐敗したツァーリズム政権が民衆の支持を得られなかった1917年には、強力ではあったが結局は失敗に終わった。1991年、ソ連がアフガン戦争に敗れ、経済的に破綻すると、ウクライナ、バルト、カザフスタンを含む15の共和国が分離独立に成功した。


ロシアはウクライナ戦争で多くの生命と財宝を失い、自由世界から孤立と制裁を受け、モスクワの中央権力は弱体化している。特に、ウクライナではロシア人よりもロシア系少数民族の戦死率が30倍も高い。


ロシアの21の共和国は、すでに分離独立に必要な法的構成を持っている。それぞれが独自の憲法、立法府、大統領または首相、裁判制度、国旗、国歌を持っている。歴史、地理、天然資源に関してはもちろん違いがある。


チェチェンやその他のコーカサス共和国、ティヴァ、カレリア、サハのように、ロシア国境にあり、資源が豊富な国もある。また、タタールスタン、カルムキヤ、モルドヴィアのように、内陸にありながら戦略的地位と天然資源を持ち、イスラム教徒や仏教徒が多く住むヴォルガ地方にあるものもある。


ロシア各共和国による新たな離脱の波は、1991年の最初の波のように平和的なものになるかもしれない。あるいは、ユーゴスラビアのように長期内戦に発展するかもしれない。


モスクワの陰謀論者たちの主張とは裏腹に、ロシアの現在の問題は外国資本の邪悪な陰謀の結果ではない。国内では腐敗し抑圧的で、国外では修正主義的で拡張主義的なプーチンの政策の結果なのだ。


それでも、米国と自由世界の政策立案者は3つの茨の道に取り組まなければならない。

  • 第一に、自決を求めるロシアの共和国からの承認要求にどう対応するか。

  • 第二に、ロシアが保有する6,000発の核兵器が騒乱時に使用されないようにする方法だ。マシュー・クローニグは、ロシアが世界初の核内戦を経験する可能性を提起している。

  • 第三に、資源豊富なシベリアにおける中国の土地強奪をいかに抑止するかである。現在の国境線は、わずか160年前、弱小国だった中国が強国ロシアにシベリアの35万平方マイル(テキサス州より広く、エジプトより小さい)を割譲させられ確立されたものだ。今日、パワーバランスは逆転している。国境地帯では、600万人のロシア人が9000万人の中国人と対峙している。


ロシア各共和国による新たな分離独立は、今は奇想天外に思えるかもしれない。しかし、当時の第一ラウンドもそうだった。このような事態を想定した政策オプションを準備しておくことは重要といえよう。■


Will Russia Break Up Again? | The National Interest

July 7, 2023 

by Dan Negrea



Dan Negrea is the Senior Director of the Freedom and Prosperity Center at the Atlantic Council. He served at the U.S. Department of State as a member of the Secretary’s Policy Planning Office and as the Special Representative for Commercial and Business Affairs.


ノースロップ・グラマン、米空軍NGAD次世代戦闘機コンペから離脱、海軍向けF/A-XXに期待をつなぐ



Nortrhop Grumman has dropped out of the running to be the prime contractor to design and build the US Air Force's future sixth-generation NGAD stealth combat jet.

Northrop Grumman capture

ノースロップ・グラマンは、海軍の第6世代戦闘機プログラムなどに集中する

ースロップ・グラマンは、米空軍の次世代航空優勢(NGAD)プログラムの第6世代新型ステルス有人戦闘機で、主契約者候補から外れた。これは、NGAD戦闘機の競争相手が3社から2社に絞られ、ボーイングロッキード・マーチンいずれかになるとの先月の報道と一致する。ただし、ノースロップには別の元請け企業のNGADチームに加わる可能性も残っている。

ノースロップ・グラマンのキャシー・ウォーデンCEOは、本日の決算説明会で、空軍のNGADプログラムをめぐる同社戦略の現状を語った。空軍は5月、NGAD戦闘機開発のエンジニアリングと製造段階に関する極秘契約募集を正式発表していた。同機は、表向きはF-22ラプター・ステルス戦闘機に取って代わるねらいだが、伝統的な戦闘機の概念をはるかに超えた、広範な能力を持つ期待がある。

「政府が同プログラムでRFPを発行する意向を正式発表するまで、当社は沈黙を守っていた。「しかし、プライムとしてNGAD RFPに応じる意向はないと米空軍に通知した。

「当社が追求している他の機会があると書いたが、もう少し情報が出るまで、それが何であるかは現時点では明かさない」と同CEOは付け加えた。「もし当社が十分なポジションにいると感じ、政府がリスクと報酬のバランスを適切に取れば、当社は参画する」。

ウォーデンはさらに、同社は「軍用機における他の機会」を追求していると語ったが、これは海軍のF/A-XXプログラムを指している可能性があると受け取る向きもある。F/A-XXは海軍独自のNGAD計画であり、空軍の同名プログラムと別物だが、大きく関連している。海軍と空軍は、各自のNGAD構想非常に緊密に協力している。

ウォーデンは決算説明会の後半で、同社は空軍のCCA(Collaborative Combat Aircraft)プログラムも「注視している」と述べた。CCAはNGADの別の要素であり、高度自律性を備えた先進的だが比較的低コストの無人機群の獲得をねらう。CCAはNGADのサブコンポーネントの1つで、空軍と海軍の間でもすでに大きな協力が行われている。

空軍は現在、NGAD戦闘機200機と少なくとも1000機のCCAの購入を計画している。この数字は、F-35A統合打撃戦闘機300機と同様に、NGAD戦闘機1機に2機のCCAをペアで配備する想定の作戦概念に基づいている。空軍はCCA部隊の最終的な規模はもっと大きくなる可能性があるとしている。

ノースロップ・グラマン発の今日のニュースは、必ずしも驚くべきものではない。Defense & Aerospace Reportの編集長兼ホストを務めるヴァゴ・ムラディアンと、The Defense Concepts OrganizationのディレクターでTeal Groupのシニア・アナリストであるJ.J.ガートラーは、5月にポッドキャストでNGAD戦闘機の競争相手の数が3社から2社に減少することについて話していた。

ボーイングとロッキード・マーチンが残りの2社になると広く思われているが、これはまだ正式確定ではない。ロッキード・マーチンの有名なスカンクワークス先端プロジェクト部門は、6月30日にインスタグラムに投稿したNGAD戦闘機案について、シルエットを予告した。

<em>Lockheed Martin Skunk Works</em>

Lockheed Martin Skunk Works

ロッキード・マーチン・スカンク・ワークス

NGADのデモ機は、おそらくノースロップ・グラマンも含めて、もう何年も飛行している。F-22がNGADイニシアチブをサポートする新技術のテストに使用されている。

ノースロップ・グラマンが、主要な米軍航空プログラムの初期段階でデモ機を飛行させた後、最終的に撤退を決めたのは今回が初めてではない。同社は2017年、海軍の空母艦載空中給油システム(CBARS)ドローンタンカーの競争から撤退したが、その前の無人空母発射空中偵察・打撃(UCLASS)プロジェクトでは大規模な仕事をしていた。ノースロップの子会社であるスケールド・コンポジットも、空軍のT-Xジェット練習機コンペティション向けに設計を行ったものの、参加は見送られた。

とはいえ、ノースロップ・グラマンにとって、今日のウォーデンのコメントは、同社の立場の変化を反映しているように見える。昨年の同時期に行われた決算説明会では、同社CEOはNGAD戦闘機募集への関心についての質問に対し、「当社は競争相手として位置づけられている」と答え、「政府は、これだけ大きなチャンスをものにできる幅広い産業基盤を望んでいると思う」と述べていた。

今年5月の時点で、ノースロップ・グラマンのプロモーション・ビデオにNGAD戦闘機の設計図と思われるものが映っていた。

ノースロップ・グラマンはもちろん、現在米空軍のステルス爆撃機B-21レイダーの主契約者でもある。これは両者にとって最優先事項の複雑なプログラムだ。

B-21に加え、ノースロップ・グラマンは、一般にRQ-180と呼ばれる先進的なステルス高高度・長時間耐久ドローンを開発していると広く考えられている。本日の決算説明会でウォーデンは、同社が主契約者の主要プログラム、空軍の大陸間弾道ミサイルLGM-35Aセンチネルについても強調した。

もちろん、ノースロップ・グラマンが下請けとして空軍のNGAD戦闘ジェット・プログラムに関与しないことを意味するものではない。

「ノースロップ・グラマンの先端技術とソリューションをどのように顧客に適用するかについて、規律あるアプローチをとっている。空軍のNGADプログラムではプライム・ポジションを追求しないと決定しましたが、NGADのチームには当社のミッション・システム能力を提供しています」と、同社の広報担当は声明でThe War Zoneに語った。「当社は、B-21やF-35のようなプログラムで実証ずみの、先進的な航空機プログラムで有利な立場にあり、プラットフォームやミッションシステムのプロバイダーとして、有人・無人の軍用機市場であらゆる機会を評価していきます」。

ノースロップ・グラマンは、ロッキード・マーティンF-35統合打撃戦闘機の主要な下請け業者であり、戦闘機製造とミッション・システムの両方を手掛けている。

とはいえ、NGAD戦闘機に対する空軍の要求と期待の多くは、秘密のベールに隠されたままだ。現在までに公開されている情報では、従来型戦闘機にはない機動性を持ちながら、新型兵器を含むペイロードを長距離で運用するため最適化された、高度に進化した深部貫通型広帯域低視認性(ステルス)設計であることが指摘されている。

空軍は、NGAD戦闘機コンペティションの勝者を2024年中に選びたいと述べている。

つまり、NGAD戦闘機が最終的にどのような姿になり、どのような能力を発揮するのか、そして誰がそれを設計・製造するのかは、まだ未知数だ。今わかっていることは、ノースロップ・グラマンはこのプログラムでの主導的な役割を追求しないと決めたということだけだ。■


Northrop Grumman Bails On Next Generation Fighter Competition

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JUL 27, 2023 2:01 PM EDT

THE WAR ZONE


 

2023年8月8日火曜日

C-2でスタンドオフミサイルを発射する構想は米空軍のラピッドドラゴンとの共通点が多い。日米の共通戦力整備につながるのではないか。

 


航空自衛隊


日本が輸送機で巡航ミサイル発射を実現しようとしており、新しいトレンドが始まりそうだ

本は長距離攻撃の選択肢を広げるべく、川崎C-2輸送機に空中発射スタンドオフ・ミサイルの搭載を検討している。実行に移せば、既存の輸送機隊にスタンドオフ攻撃オプションを追加する実験中の米軍に加わることになる。

アメリカの構想はラピッド・ドラゴンとして知ら、戦闘機、特に爆撃機を新規に獲得・配備せず、同じ能力を迅速かつコスト効率よく高めるのがねらいだ。

昨日のジャパンタイムズによると、防衛省はC-2に「長距離ミサイル」を搭載する可能性を検討しており、それは「反撃作戦でミサイル発射場などの敵基地を攻撃する」ために使われるとある。

ジャパンタイムズによれば、C-2が将来発射するミサイルの種類は明らかにされていないが、同じ情報筋は、ミサイルがエンジンがパワーアップする前に、まず飛行中に投下される発射プロセスを説明したという。この記事はまた、日本が検討しているコンセプトは 「航空機に大きな改造を必要としない」もので、「アメリカは関連技術を開発している」と説明している。

これらは、米国が開発したラピッド・ドラゴンの空中発射パレット式弾薬のコンセプトか、それによく似たものを日本が検討していることを示唆している。ラピッド・ドラゴンは、モジュール式のフレームに複数の弾薬を搭載し、大きな後部タラップを持つ貨物機にパレット状に積み込む。

ラピッド・ドラゴンはまた、コンピュータ化された照準システムも搭載しており、機外からの情報をミサイルに送り込む。このコンセプトは、拡張可能でプラットフォームにとらわれない設計で、米空軍は現在、C-17グローブマスターIIIとC-130ハーキュリーズを使用して複数回テストを行っている。

2023年度予算の一部として、防衛省はこのコンセプトを検討するために2500万ドル強を確保しており、2024年度まで技術研究を続ける。成功すれば、本格開発が行われる。

ジャパンタイムズは、C-2が搭載できるミサイルは既製品で、有力候補に米国製のAGM-158統合空対地スタンドオフ・ミサイル(JASSM)巡航ミサイル・ファミリーがあると指摘している。日本はすでにF-15イーグル戦闘機用にJASSMを調達しており、同様にスタンドオフ精密攻撃能力の導入を含むアップグレードが行われている。

もう一つの選択肢は国産ミサイルで、おそらく12式対艦ミサイルの改良型だろう。このミサイルは当初、トラック搭載型として実戦配備されたが、現在、空中発射に対応する長距離で高度な改良型の開発が進められている。新型ミサイルの射程は、トラック搭載型ミサイルの約120マイルに対し約620マイルと、はるかに長くなる見込みだ。また、探知や撃破をより困難にするため、ステルス機能も組み込まれる。しかし、空中発射ミサイルが使用可能になるのは2028年度の見込みで、短期的にはJASSMの方が現実的かもしれない。

日本はF-35の兵装庫から発射できるよう小型化された、高い能力を持つ地上・陸上攻撃兵器である統合打撃ミサイルも入手しようとしており、これも候補の一つだ。

スタンドオフ・ミサイルの発射プラットフォームとして、C-2は戦闘機や川崎P-1のような海上哨戒機よりもはるかに大きな搭載能力を提供する。また、戦闘機より長い時間滞空ができ、空中給油を必要とせず遠くまで飛ぶことができる。

欠点は、航空自衛隊(JASDF)に実際に配備されているC-2の機数が比較的少ないことである。現在供用中の機体は約13機のみで、さらに数機が保管されているか試験運用に使用されており、1機はRC-2として電子情報(ELINT)収集に転用されている。

追加調達の妨げは、C-2のコストが非常に高いことだ。開発努力に約23億ドルが投じられ、2017年現在、各機体の価格は約1億7600万ドルである。このため日本は同型機を遅いペースで購入しており、最新の防衛白書は16機の配備を目指しているに過ぎない

とはいえ、日本の防衛力整備計画では、スタンドオフ攻撃能力を強化する方法として「発射プラットフォームの多様化」を特に求めており、少なくともC-2を潜在的な「軍需トラック」として見ることは大いに意味がある。

航空自衛隊のC-2フリートにラピッド・ドラゴンのようなソリューションがあれば、あるいはラピッド・ドラゴンそのものを調達すれば、遠距離標的の攻撃で、日本の選択肢は確実に増える。これは、例えば中国やロシアと戦うような将来のハイエンドな紛争や、北朝鮮が関与するような有事で重要になる可能性がある。

JASSMファミリーや12式ミサイルを使えば、かなり遠距離の海上目標を攻撃する可能性も開ける。JASSMファミリーには、そのような任務に特化したAGM-158C長距離対艦ミサイル(LRASM)がある。

C-2のスタンドオフ弾薬能力が恒久的なものであることを示すものは何もない。ラピッド・ドラゴンに使われているのと同じようなロールオン/ロールオフ・パッケージが使われる可能性が高い。こうすることで、航空自衛隊はC-2の一部を、将来の大規模紛争の直前、あるいはその最中に、ミサイル・プラットフォームに迅速に転換できるようになる。

同時に、たとえ少数のC-2でも攻撃任務に切り替えれば、一時的にせよ空輸能力が低下する。この懸念は、ラピッド・ドラゴンに関する米国の研究でも浮上している。特に中国との本格的な紛争で、航空自衛隊の輸送機隊は主要任務を遂行するため大きな需要があるだろう。追加的なスタンドオフ攻撃任務のために必要な能力をよりよく達成するために、日本がC-2の在庫を増やすのか注目される。

日本がラピッド・ドラゴンの採用を決定した場合、即座に相互運用性が実現する。そのため、航空自衛隊は将来の共同作戦で前方配備された米軍のラピッド・ドラゴン・システムを利用できるようになるかもしれないし、日本のC-130もラピッド・ドラゴンを使用できるようになるかもしれない。最近太平洋で行われたモビリティ・ガーディアン演習では、ラピッド・ドラゴンがデモンストレーションされ、米航空機動軍団のマイク・ミニハン司令官は、同盟国のC-130との関連性を強調した。

「今、敵は限りなく大きな問題に直面している。[敵は爆撃機だけでなく、地球上のすべてのC-130を心配する必要がある。「C-130ならできる。C-130はそれができる。我々のパートナーや同盟国はすべてC-130を飛ばしているから、敵に無限のジレンマを与えることができる」。

日本のC-130は14機ほど就役しているが、米製システムを採用しなくても、日本製装備を搭載する可能性もある。

研究中のスタンドオフ・ミサイルだけでなく、モジュール式の発射システムによって、C-2が他のさまざまな格納庫、おそらくドローンの群れを発射する可能性もある。これは、米軍で支持を集めている構想で、日本も将来的にはドローンをもっと活用したいと考えている。電子戦に対応した空中発射デコイの群れの発射も選択肢のひとつだ。

日本がスタンドオフ・ミサイル・プラットフォームとしてC-2を提案し、どのような道を歩むにせよ、中国を抑止する長距離攻撃能力が、日本の防衛ドクトリンにとって重要性を増していることは明らかだ。

今年4月、日本の防衛省は4つの異なるスタンドオフ・ミサイル・プロジェクトに関する契約を発表した。

前述の改良型12式対艦ミサイルの開発・生産契約のほか、これらのプログラムには、超高速滑空弾(HVGP)の生産と潜水艦発射型スタンドオフ巡航ミサイルの開発が含まれる。潜水艦発射ミサイルもまた、改良型12式に基づく可能性が高いと考えられており、同様に陸上と海上の目標に対処する。川崎重工業(KHI)が生産する新しい沿岸型対艦巡航ミサイルの契約が発表された。

日本が輸送機をスタンドオフ兵器のトラックに使用する構想を検討しているというニュースは、本誌が航空兵器で増加傾向と推測していることを指し示している。こうした並列化されたシステムは、既存機材を、長距離戦略航空機が伝統的に担ってきた役割(長距離に大量のスタンドオフ巡航ミサイル攻撃を行う)に転用する。真の爆撃機や大型巡航ミサイルを保有している国はほとんどないが、輸送機やJASSMのような高性能スタンドオフ兵器を保有しているか、後者を獲得することはできる。ラピッド・ドラゴンは、この種の専用航空機を開発、調達、配備、維持するコストのほんの一部で、この運搬能力を提供する。ダイナミックで予測不可能、そして生存可能な性質と、これらの兵器を空から発射することによる射程距離の延長という利点も否定できない。そのため、このような任務をもっと目にするようになるはずだ。オーストラリアやヨーロッパが特に関心を寄せている。

中国の台湾に対する潜在的な作戦への懸念が高まり続ける中、尖閣諸島を含む南西諸島を防衛する必要性が重要になっている日本では、この懸念を特に強く感じている。

日本の地上、海上、航空プラットフォームはすべて、新たなスタンドオフ・ミサイル能力を導入する予定であり、日本がこの地域で増大する中国の脅威をどれほど真剣に受け止めているかは明らかだ。

空中発射ミサイルを運ぶC-2運用構想が採択されるかが注目されるだろう。■


Japan Eyes Turning C-2 Cargo Jets Into Standoff Missile Carriers

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED AUG 7, 2023 2:47 PM EDT

THE WAR ZONE


2023年8月7日月曜日

北朝鮮が公表したグローバルホーク、リーパーに酷似の新型無人機二機種の性能は?その他にも開発中の機体がある模様。

 North Korea Drone RQ-4

(North Korean State Media).


今回は新型無人機2機種の飛行中映像も公開された



朝鮮が米国製の無人航空機(UAV)RQ-4グローバルホークとMQ-9リーパーのほぼ正確なコピーと思われる2機種の新型無人機を公開した。北朝鮮国営メディアは、両機種の飛行を映したビデオも提供している。北朝鮮の無人機の正確な性能は不明確なままだが、米国の類似機に及ばないことは間違いないといえ、平壌が開発に資源を投入している事実は、少なくとも、監視と攻撃の両方のための高度な無人機設計と、運用能力への関心が高まっているあらわれだ。

 北朝鮮の無人偵察機の名称は不明のままで当面は 「グローバル・ホーク型」と 「リーパー型 」と呼ばれている。

 両者は昨日、北朝鮮の金正恩委員長とロシアのショイグ国防相が出席した「2023兵器装備展示会」で正式に明らかにされた。ショイグ国防相は、両国の軍事協力を進めるため平壌を訪れ、ウクライナ戦争で使用する北朝鮮製の兵器をさらに確保するねらいと伝えられている。

 2機のうち大きいほうのグローバル・ホーク型無人機は、米空軍のジェットエンジンを搭載したRQ-4Aや、米海軍、NATO、韓国を含む他国も運用している同型の派生型と、外観もサイズもよく似ている。V字尾翼や胴体上部の吸気口など、米国製ドローンの主な特徴は北朝鮮のデザインに忠実に再現されている。

 先月、北朝鮮を取材する米国のニュースサイト『NKニュース』は、グローバルホーク型ドローンが、北朝鮮西部の平安北道(ピョンアンブクト)にあるパンヒョン空軍基地で地上テスト中に衛星画像で発見されたと報じていた。その時点での分析によると、翼幅は約115フィートで、RQ-4Aの翼幅116.2フィートとほぼ同じだった。改良型のRQ-4Bの翼幅は130.9フィートである。

 グローバル・ホーク型無人機が飛行テスト中であることを示すビデオだけでなく、平壌で開催された展示会でUAVとともに紹介された一連の写真には、柳京ホテルや未来科学者通りなど北朝鮮の首都を背景に飛行している様子が写っている。これらが本物の写真なのか、それとも背景のランドマークを追加するなど加工されたものなのかは不明。

 グローバル・ホーク型ドローンの仕様や任務の詳細はほとんど不明だ。しかし、RQ-4シリーズに酷似していることから、高高度飛行を想定していることは明らかだ。エンジン性能などにもよるが、長距離飛行が期待できそうだ。RQ-4Aは30時間以上の耐久性を持ち、画像情報(IMINT)、信号情報(SIGINT)、移動目標表示(MTI)センサー含む様々なセンサーを搭載し、情報・監視・偵察(ISR)任務を担う。

 ピョンヤンで展示されたリーパー型ドローンは、グローバル・ホークそっくりのドローンとともに、最近の衛星画像にも登場し、翼幅が約65フィートであることを示した。MQ-9の翼幅は66フィート。

 ターボプロップエンジンのMQ-9はISRと攻撃任務の両方に使用されるが、北朝鮮のリーパー型無人機が翼の下の6本のパイロンにミサイル2種類を搭載して展示されたことが注目に値する。一般的な空対地ミサイルは、MQ-9やその他多くの機体で使用されている。短いビデオクリップでは、ドローンがヘルファイアそっくりのミサイルを2発発射する様子も映っているが、本物かどうかは不明だ。

 リーパー型無人偵察機は写真とともに展示され、そのうちの1枚には、金正恩が滑走路で無人偵察機を見る様子が写っていた。この写真は、おそらくパンヒョンでのドローンの飛行テスト中に撮影された可能性がある。

 このドローンは、北朝鮮のメディアによって内容がぼかされていたものの、明らかな仕様のプラカードと一緒に写っていた。

 北朝鮮が新しい無人機を開発していることは以前から知られていたが、特定の設計に関する詳細は最近まで限られていた。

 とはいえ、2021年1月に平壌で開催された党大会で、金正恩は「無人打撃装置」と「偵察ドローン」(射程310マイル)の開発を呼びかけた。グローバル・ホーク型とリーパー型無人機がこの要求に従って準備されたかどうかは不明だが、可能性があることは確かだ。

 新型無人機2機種のデザインの類似性が、RQ-4とMQ-9シリーズUAVを直接コピーしようとした証拠だと見たくなるかもしれない。しかし、だからといって、北朝鮮がどのような手段であれ、設計図やリバースエンジニアリングが可能なその他の詳細情報を入手できたということにはならない。その一方で、北朝鮮は西側の防衛産業を標的にしたスパイ活動にも関与しており、役立つデータを入手できる可能性もある。北朝鮮とともに時に厄介な関係にあるイランもまた、両タイプの墜落機を回収し、コピーを独自に作成している。これらのプログラムが北朝鮮のものと関係があるかどうかはわからない。それでも、データを持っていることと、問題の兵器システムの真の複製を作れることはイコールではない。

これらのUAVの能力の核心にある、より複雑なコンポーネントやサブシステムのいくつかを実際に複製する国の産業の能力は非常に疑わしい。RQ-4やMQ-9シリーズが依存するハイテクセンサーは、スパイ活動の恩恵を受けても、北朝鮮の手の届かないところにある。だからといって、性能が著しく低いセンサーが不可能なわけではない。これらの航空機を構成する複雑な複合構造は、エンジン技術と同様に別の問題である。よりシンプルな製造手段と低性能エンジンが、性能限界と航続距離を大幅に低下させている可能性がある。

 また、MQ-9シリーズの大まかな構成は、程度の差こそあれ、さまざまな国の他のドローンのデザインでも再現されている。

 北朝鮮の両機種の前方胴体上部に、明らかに衛星通信(SATCOM)の「こぶ」があることも謎だ。現在のところ、平壌は、UAVセンサー間の高帯域幅のデータフローを確保することを含め、見通し外の地上局とのドローン通信に使用される可能性のある種類の衛星を運用しているとは理解されていない。

 SATCOMドームが、他の友好国の通信衛星と組み合わせて使用されることを意図している可能性は残るが、選択肢は限られている。実用性はともかく、アメリカの設計を模倣したものに過ぎない可能性が高い。また、実績のある設計を活用し、リスクを抑えるために、同じ一般的な型式を維持するだろう。もし盗まれた空力データにも頼っているのであれば、型枠をほぼ同じに保つことが第一の目標になるだろう。無人機の他のアンテナアレイも、北朝鮮にとって疑わしい価値がある。

 これらの無人機に使用されるエンジンに特に疑問符がつく。北朝鮮の生産能力は限られているため、動力源は外国から確保しなければならない可能性が高い。

 それでも、あまり性能の高くない無人偵察機とはいえ北朝鮮が利用する可能性はある。

 グローバル・ホーク型無人機であれば、米国の同等機よりも耐久性や性能が低く、センサーやデータ転送能力も劣るとはいえ、韓国の地上の動きを監視する役割を果たすことができるだろう。センサー範囲と運用高度によっては、そのような任務は北朝鮮領空の比較的深いところから飛行させることもできる可能性がある。韓国と対立した場合、グローバル・ホーク型無人機は北朝鮮上空で長く持たないだろうが、平時には海上監視機能を実現し、韓国が海軍力の拡大を続けるなか、平壌にとって重要性が増している。

 北朝鮮は南のライバルに比べ、センサー技術が著しく不足している。ドローンが搭載するレーダーは、おそらく広範なスタンドオフ電子攻撃の前に脆弱であり、平時でも有用性が制限される可能性がある。ドローンを通信中継機として使用することも実行可能なミッションとなるだろう。

 リーパー型無人偵察機に関しては、この種の無人偵察機は、ISR成果を地上部隊にリアルタイムで配信するだけでなく、さまざまな兵器を使用した精密打撃を行うなど、世界中の低強度紛争で繰り返しその価値を示してきた。これまでのところ、北朝鮮軍はこのクラスのドローン、特に武装ドローンで遅れをとっている。

 昨年末、北朝鮮の無人偵察機が韓国領空へ相次いで侵入したが、各機は非常に基本的な設計で、ホビータイプの無人偵察機と変わらないものだった。とはいえ、これらの無人偵察機の1機が韓国大統領府周辺の飛行禁止区域に侵入したことは、無人偵察機がもたらす脅威を示し、韓国の防衛策で緊急見直しを促した。

 これまで北朝鮮は、主に小型で粗雑な偵察用ドローンを使用してきたが、より大型のタイプも保有していることが知られている。

 加えて近年は中国の設計を模倣し、全般的な改善に取り組んでいるとの指摘もある。これには、より高性能な「マンインザループ」タイプや、商業機を原型に開発されたものも含まれる。この分野でかなりの経験を積んでいる中国が、北朝鮮がこれら2つの新しいドローンの設計で支援した可能性もある。

 いずれも韓国やアメリカとの全面衝突では生き残れないだろうが、これらのドローンを製造し、テストし、運用するだけでも、北朝鮮には有益な試みとなる。ここで得た経験から、直面する戦術的現実に即した他の設計を実現できるだろう。そして、平時にも用途を提供できる。現実には、飛行させるだけでも大変なことなのだ。

 北朝鮮で来週開催される軍事パレードに、新型ドローンが登場するという噂がある。最も関心があるのは、ウクライナで大混乱を引き起こしているイランのシャヘド136のような、北朝鮮における長距離浮遊弾だろう。これらの兵器は平壌にはるかに関係が深く、非常に大量に製造される可能性があり、韓国の防空に大きな問題をもたらす。

 平壌は軍事近代化に広範な努力を展開しており、UAVにますます関心を示しているため、その他のドローンも、より多く目にすることになるだろう。■


North Korea Unveils Look-Alike Global Hawk, Reaper Drones | The Drive

BYTHOMAS NEWDICK, TYLER ROGOWAY|PUBLISHED JUL 27, 2023 1:57 PM EDT

THE WAR ZONE