2009年4月30日木曜日

高高度飛行船実証機の初飛行は本年8月


High-Altitude Airship Demonstrator To Fly in August Aviationweek.com 4月6日

ロッキード・マーティンは今夏に監視用プラットフォームとして飛行船を成層圏で運用するコンセプトを実証する。飛行船は無人で数週間にわたり高高度にとどまることができ、月単位も可能かもしれない。高高度から高感度センサーと通信有効範囲を大きくとることができる。ただ、強風と昼夜間の繰り返しの中で一定位置を維持できるかが問題となる。【実証機HALE-D]  「次の段階は実証機の建造です」(ロン・ブラウニング 在オハイオ州アクロン、ロッキード・マーティン社海洋システム・センサー開発担当部長)同社は縮小モデルを高度長期間飛行実証機(High Altitude Long Endurance Demonstrator, HALE-D)の名称で8月に飛行させる予定。HALE-Dは米陸軍宇宙ミサイル防衛司令部(SMDC)の予算で開発中の高高度運用実証機のひとつ。「長時間滞空には大きな需要があります」(ブラウニング) 陸軍科学委員会の2008年夏季研究会で中高度および高高度で飛行船および無人機を運用すると長時間にわたる通信、監視、偵察用プラットフォームとして最高との結論が出ていることをブラウニングは指摘する。
【開発経緯】ロッキード・マーティンは高高度飛行船(HAA)の開発に数年間従事しているが、同機のコンセプトへの支持を議会内で得るには苦労して来た。同社は2005年に総額149百万ドルでミサイル防衛庁契約を獲得し試作機製作をすることになったものの、2008会計年度にこれがキャンセルとなった。その後HAAはSMDCに移管され、縮小版の実証機を製作し、無人自立型で太陽電池を電源とする同コンセプトの技術実現性および軍事有用性を証明することとなった。
【HALE-Dの詳細】 一ヶ月飛行可能で、高度6万フィートで500ポンドのペイロードを持つ最終目標の代わりにHALE-Dは二週間50ポンドのペイロードという設計。二週間あれば日周の繰り返しの中で成層圏にとどまる機能を証明できる。HALE-Dは全長270フィート、直径70フィートで船体容積は500,000立方フィート(約14,000立方メートル)あり、グッドイヤー飛行船の二倍の規模であり、ロッキード・マーティンの係留式飛行船エアロスタットよりわずかに大きい。動力には宇宙船からの流用である高信頼性のフィルム状の太陽電池を船体上部にアレイ状に配置し15kwを推進力とペイロード用に供給し、40kwhをリチウムイオン電池に充電する。複数の通信機器、GPS/INS航法・飛行制御コンピューターがを搭載し、後者にはバックアップ用の電池が付属している。推進器は合計2基の2kwモーターであるが、ブラウニングは「本当は4基あれば制御が楽だし、冗長性が生まれる」と話している。SMDCからは通信装置とカメラのペイロードが供与される予定。
【飛行計画】HALE-Dはグッドイヤー飛行船のふるさとアクロンエアードックにて建造される。「アクロンで進空してから未定場所へ移動し、同地上空に滞空して有用度を証明したいですね」(ブラウニング) 「8月に飛行して気候条件を最大限利用したいのです」(ブラウニング) 夏の長い日照時間は太陽発電量を大きくし、電池に蓄積して夜間の飛行動力となる。また夏には米国大陸部上空では「風が温和となる」という。HALE-Dの巡航速度は高度6万フィートで20ノットで、風が吹いても定位置の維持が可能だ。「これ以上風が速くなるのであれば、もっと静かな地点を模索する必要が出るでしょう」(ブラウニング) 
【実用機のスペック】 SMDCの期待は実用型のHAAが半径2キロメートル以内に留まる2,000ポンド搭載、高度65,000フィート、30日間滞留可能というもの。

参考 ロッキード・マーティン社ウェブサイトでのHAA紹介ページ: http://www.lockheedmartin.com/data/assets/ms2/High_Altitude_Airship_productcard.pdf

2009年4月29日水曜日

ターミナル1に豚インフルエンザ関連記事を掲載

ターミナル1に豚インフルの影響①②を掲載しました。民間航空にとっては今回の事態はただでさえ、不況で苦しいときに泣きっ面にハチという感じでしょうか。海外出張の自粛が広がりそうですので、需要の回復にはさらに時間がかかりそうです。エアライン各社の株も下がってきました。ところで日本ではいつまでインフルエンザという言葉に執着するのでしょうか。フルーという短い言い方ができれば報道・発表のたびに大幅に時間が節約できるのですが。

UAV キラービーとは


Northrop Grumman acquires KillerBee UAV line

Aviationweek.com 4月28日

ノースロップ・グラマンはスイフト・エンジニアリングを買収した。同社は無人機キラービーのメーカー。バットと名称が変更されるこの無人機は6.5フィートから33.2フィートの全幅の異なるモデルで製造される機体・主翼一体型。スイフトはこれまでレイセオンと共同でキラービーを米海軍・海兵隊の小型戦術無人機(STUAS)のティアーII計画として提案していた。ノースロップ・グラマンはバットをSTUAS他の候補機として提案するという。ノースロップ・グラマンは以前からスイフトと共同で小型無人機を開発しており、2006年3月にキラービー4(全巾10フィート)を発表している。しかし、両者は業務上の合意ができないまま、2007年に提携を終了している。その時点でノースロップ・グラマンはオーロラ・フライト・サイエンシズと提携してゴールデンアイ80ダクトファン式UAVをSTUAS/ティアーII用に提案する予定であったが、オーロラが要求性能に垂直離発着が入っていないことを理由に公募提案を辞退してしまった。ノースロップ・グラマンはSTUAS/ティアーII提案に応募するかを明らかにしていないが、STUAS計画では今年後半にユマ試験場(アリゾナ州)で飛行実証実験の実施が条件となっており、性能水準が技術対応度6以上となっていることを証明しなければならない。同社はスイフトに引き続きバットシリーズの設計改良、製造準備、飛行試験・支援と製造全般に当たらせる。スイフトはカリフォルニア州サンクレメンテに本社があり、レーシングカーも製造している。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

2009年4月26日日曜日

米本土の防空体制に黄色信号

Questions On U.S. Air Sovereignty Mission

Aviationweek.com 4月23日


米空軍における戦闘機の不足により、海軍が本土防空ミッションの補完にあたることになるかもしれない、と国防総省が予想している。米空軍で防空任務につく機数の8割で代替機ないまま退役を迎えることになるとの証言が下院軍事委員会公聴会において4月22日あった。州軍部隊合計16のうち、11隊がF-16を運用している。そのうち、8隊の機体寿命が2015年から2017年にかけて終期に到達。民主、共和両党の議員が国防総省に対して不満感を募らせている。これに対しピーター・ヴェルガ次官補は海軍・海兵隊の機体を利用して防空ミッションを補強する準備をしていると答弁。本誌に対し同次官補はF-15部隊が地上待機となっていた間に海軍の艦載機が任務を補完していた前例があると指摘した。

【海軍機で代替できるか】 同次官補は海軍機が必要となる時期については明言せず、どの機種を使うかも発言しなかったが、海軍もF/A-18E/F型の追加購入が出来ないと戦闘機不足になると予測している。ゲイツ国防長官は現在進行中のミッションの観点からは海軍には余剰戦術機があると考える。F-15部隊はその後、飛行可能となり復帰したが、老朽化が進む機体では同じような問題が突然発生し、空軍の作戦実施能力が損なわれる事態が発生すると憂慮する向きもある。ヴェルガ次官補に同調するのがデイヴィ・ダゴスティノ会計検査院本土防衛担当部長、ダニエル・ダーネル米空軍中将(空軍幕僚次長)およびハリー・ワイアット州軍航空部隊司令官である。ペンタゴンに対し最も反対の声を大きく上げているのがガブリエル・ギフォーズ下院議員(民主、アリゾナ州)である。「将来の任務実施が危うくなっている」と同議員は発言。空軍は「急速に近づく戦闘機不足」に目をつむっているというのだ。第162戦闘機部隊がアリゾナ州ツーソンに駐留しており、F-16を運用しているが、改修作業を実施しないと全機が6年以内に飛行不能となると同議員は発言。
【州軍で深刻な機材不足】 ワイアット中将は州軍航空部隊にF-22およびF-35が配属されるのは「遅すぎる」し、配下の部隊に第五世代ステルス戦闘機が早期に配属されたとしても、運用上は多くの問題に直面すると発言。各基地では2014年後半には防空パトロール用機材の不足が発生し、2020年には機材がない基地の数が最大に達すると、ダゴスチティノの会計検査院のデータが示している。ギフォーズ議員は従来型の第四世代戦闘機であるF-15EやF-16ブロック60をいまさら購入しても始まらないと考える。ゲイツ長官がF-22の生産を187機で終了すると発表したのを受けて、ワイアット中将派従来型機材を購入するべきかについては発言を控えた。もし、議会が現行の厳しい財政状況の中で打四世代機材がもっと必要と議決するのであれば、ワイアット中将は議員に巡航ミサイル攻撃、無人機、海上の脅威に対応するには高度技術が必要であることを考慮すべきと主張している。
【今後の見通し】下院小委員会では繰り返し長期立案の不足を批判されていることに対してヴェルガ次官補はミッション遂行に影響は出ないと発言し、ダーネル中将は次回の国防計画見直しでは本件について何らかの方向性が出てくるものと期待している。

2009年4月24日金曜日

NRO副長官人事


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Sapp To Assume Key NRO Position

Aviationweek.com 4月16日

ゲイツ国防長官は国家偵察局(NRO)の筆頭副長官にベティ・サップを任命した。サップの現職は国防次官(情報担当)付調達資材責任者。在任中は国防総省と各情報機関との間の政策対立として中止となった宇宙配備レーダーとBasicと呼称の電気光学衛星画像情報収集をめぐる対立等をまじかに見てきた。NROにおける課題の中には新型電気光学・赤外線情報収集衛星の調達戦略があり、本計画はオバマ大統領により承認をうけたばかりのもの。その狙いは複数の電気光学・赤外線衛星を配備し、アメリカの画像情報収集能力の優位性を確保すること。本案件はロッキード・マーティンが単独受注するものと広く信じられているものの、NROは調達方針を公表していない。ブレア国家情報長官はサップ人事を了承しているという。サップの登用は議会の承認を必要としないが、三ヶ月前に同局を退任したラルフ・ハラーの後任となる。また、スコット・ラージNRO局長も今月に退任予定だが、後任人事の発表はまだない。

2009年4月21日火曜日

エンブラエルの新型輸送機KC-390続報

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Embraer Sees World Market for New KC-390 Tanker/Transport

Aviationweek.com 4月19日 

この不況下でエンブラエルにとって13億ドルの受注で軍用輸送機開発に着手できるのはこの上ない好機だ。同社は空中給油・輸送機をブラジル空軍向けに開発を開始することで防衛関連売り上げを伸ばし、民間機の好不況サイクルを緩和することも出来る。契約期間は7年でターボファン動力のKC-390を開発する。同機の開発で戦術輸送機の機種構造が変わり、ロッキード・マーティンC-130Jに真っ向から競争する機体が出現することになる。

【挑戦か】 逆にロッキード・マーティンは戦術輸送の想定される任務すべてを実行可能な機体を開発するのは生半可ではないと見ているが。KC-390はエンブラエルが手がける最大規模の機体となり、同社のみならず競合他社からも挑戦だと見られている。特に、エアバスA400M軍用輸送機の開発の遅延とロッキード・マーティンがC-130Jの実用化に相当の時間を必要としたことが念頭にある。ブラジル空軍が開発費用を負担するとはいえ、開発が遅れるとエンブラエルの防衛部門の業務拡大に影を落とすだろう。競合他社からは13億ドルで完全に新設計の軍用輸送機を作れるのだろうかという疑問もある。エアバスはA400M関連で50億ドルを受領していながら、同機はまだ初飛行に至っていない。ロッキード・マーティンはC-130改良型に12億ドルを投入している。

【ブラジルの狙い】 KC-390プロジェクトはブラジル政府の戦略で国防力とともに産業基盤を強化するもの。その他としてF-X2(新型戦闘機)を120機、ユーロコプターEC725輸送ヘリの現地生産、フランスの援助で原子力潜水艦建造、フランス宇宙開発期間CNESの支援で衛星打ち上げ能力獲得が含まれる。

【開発経緯】エンブラエルがC-390として軍用輸送機のコンセプトを発表したのは2007年のラテンアメリカ航空技術展示会においてであったが、設計は相当変化している。当時はエンブラエル190リージョナルジェットを「迅速かつ簡素に」6億ドルの費用(うち空軍が4億ドル負担予定だった)で改装する構想であった。C-390コンセプトに対する潜在顧客の反応が設計図を大幅に変えた。もはや190の派生型ではなく、開発費用も全額ブラジル空軍負担となった。

【慎重な開発プロセス】リスク低減策として4段階に分けて開発が行われる。第一段階(12ヶ月)は研究活動であり、最終設計は第二段階まで凍結となる。その段階で部品供給業者、生産分担業者全部を決定し、第三段階にはいる。最終段階では詳細設計、機体組み立て、飛行テストを試作機合計2機で行い、型式証明を合衆国FAR25輸送機分類で取得するとともに本格生産の準備に入る。初飛行の予定は2013年で就航は2015年、ブラジル空軍は合計22機を取得する。

【機体・性能】 ブラジル空軍の要求内容はC-130を代替するものだが,機体だけを見るとC-130がKC-390よりも大きい。KC-390の離陸重量はグロスで72トン、うち燃料は主翼内に22トンでペイロードが19トン。これはC-130Jに匹敵するもので、A400Mの半分だが、両機ともターボプロップ動力機だ。KC-390には空中燃料給油口と給油能力が両方あり、空中給油任務では9.5トンの追加燃料を輸送庫内に格納できる。動力は27,000ポンドのターボファン二基で、離陸滑走路長は1,100メートル、巡航高度は36,000フィートで最高速度はマッハ0.8、飛行距離は完全搭載で1,500海里、フェリーで3,000海里の飛行が可能。貨物スペースの床が完全に平坦で高さの制限がないことから従来型の輸送物より20%から25%大きくても輸送可能だ。

【競合】 海外市場ではKC-390はC-130Jと真っ向からの競争となる。ロッキード・マーティンはすでに来年には24機増産の計画に入っている。エンブラエルは今後15年間で合計700機の需要があるものと見ている。これに対し、ロッキード・マーティンは10年間で200機程度と見ており、エンブラエルの市場規模予測は過大と見るが、市場としては魅力があることについては認めている。その裏には軍事輸送に加えて人道援助ミッションの増加がある。まだ決定に至っていないのはエンブラエルがKC-390のエイビオニクスを自社で取りまとめるかどうかである。これまでは同社は外注としていた。これもリスク低減の一環として見られている。A400Mの遅延が3年で、不満を感じる各国がC-130J発注に向かっている中、エンブラエルは軍用輸送機市場に参入することになる。

【生産体制】 同社はKC-390契約受注と時を同じくして4,200名の一時解雇をしたが、技術陣の削減はしていない。今後は雇用が徐々に増え、総数2,000名程度になると見られる。KC-390開発で同社が他の民間用大型航空機の開発が出来なくなる影響はないと見ている。同社は別途今後18から24ヶ月で150席程度の新型機設計を完成する予定。KC-390は同社のガビアオ・ペイホトGaviao Peixoto工場で生産の予定で、大型機体製作の貴重な経験が社内に蓄積されると期待している。

2009年4月20日月曜日

KC-X: 二機種同時購入に反対の国防長官



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Gates Continues to Oppose Split Tanker Buy

Aviationweek.com 4月17日

懸案の次期空中給油機の導入でボーイングとノースロップ・グラマン/EADSから同時に機材を購入する案にはゲイツ国防長官は「体を張ってでも」反対するとマックスウェル空軍基地の空軍大学で空軍幹部を前に発言している。これに対する反応は大きな拍手であった。同日の記者会見で機種が二つになれば訓練、保守点検、兵站それぞれで二つの仕様が必要となるので反対だとの立場を表明。空中給油機が二機種になると開発費用は5年間で140億ドルにのぼり、一機種に絞り込む際の二倍になるとも説明した。国会議員の中には何度も仕切りなおしとなっている空中給油機導入問題の解決のためには政治的な理由から二機種同時購入案を支持する向きがある。ノースロップ・グラマンもこの案の支持があるかを打診している。

コメント:世紀をまたがったこじれにこじれた米空軍の大問題です。政治的には両方を取得すれば丸く収まるのですが、やはり長官の言うとおり=空軍運用側の考えるとおり、どちらかに決着をつけねばなりません。機体としてはKC-30(A330)の方が大きくて応用が利くように見えるのですが、日米伊で共用となることを考えるとKC-767に最終的には軍配が下るのでは。(写真 KC-767とKC-30それぞれの想像図)

2009年4月18日土曜日

プレデターC型アベンジャー



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Predator C Avenger Makes First Flights
Aviationweek.com 4月17日

長く噂されていた、ステルス性を強化してジェットエンジン搭載のプレデターC型アベンジャーがジェネラルアトミックス航空システムズGeneral Atomics Aeronautical Systemsで完成。
【性能】滞空時間は20時間。飛行速度は400ノット以上、運用高度は最高60,000フィート。外観からはステルス性が強化されたことが明白。動力はプラットアンドホイットニーカナダのPW545B(推力4,800ポンド)で排気の赤外線特徴にはシールドがかけられる。排気口まではS字型で、排気温度を下げ赤外線特徴を軽減するほかレーダー探知を難しくしている。
【装備】機体内部には500ポンド爆弾にGBU-38JDAMユニットとレーザー誘導を装着して搭載する。全長は41フィートで、兵装格納スペースは10フィートと思われる。兵装倉の扉を外せば広範囲監視ポッドを機体に半分格納して搭載できる。C型の兵装あるいはセンサー搭載量は3,000ポンド。ステルス性が必要なければ機体、主翼の外部に装備を搭載可能。兵装庫内に追加燃料槽を装着すれば飛行時間を2時間延長できる。機内の電源は45kvaとB型と同じ。全天候アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダー以外に広範囲監視装置(米空軍が供与予定)を搭載できる。リンクスSARは機首下部に搭載すると思われる。試作機にはEO/IRターレットが見られないが他のプレデターに装着されているので、機体格納式になっているのかもしれない。
【海軍での採用可能性】主翼は折りたたみ可能で格納庫あるいは空母での運用を想定。かねてから同社は海軍向けにプレデターの運用可能性を訴えてきた。海軍はB型の性能に関心を示したものの、プロペラ動力機を理由に空母搭載を否定。C型には着艦フックがついており、同機の艦上テストが予定されていることが推察される。現状では米空軍ならびに英空軍の運用が最有望される。
【今後の見通し】初飛行は4月4日に成功しており、今後2,3ヶ月は試験を続ける。正式に採用側の予算が投入されれば10から12ヶ月で同社のポーウェイ新工場(カリフォルニア州)で作戦稼動機がロールアウトする見込みだ。同社ランチョ・ベルナルド工場はプレデターA型B型の生産で手一杯の状態だが、C型の生産に支障はないと見られる。A型は今後生産終了になる。ポーウェイ工場はランチョ・ベルナルドの三倍近くの大きさであり、サイバースプリングス工場も利用可能。ジェネラルアトミックスはペンタゴンの要求を待たずに自社費用で必要と想定される仕様の開発を行っている。これが各軍ならびに情報機関で多用されるプレデターシリーズの成功につながった。
【プレデターシリーズ】同社はアベンジャーへの投資額については明らかにしていないが、おおよそB型開発実績の二倍だという。A型(MQ-1)はピストンエンジンで長時間滞空かつ武装発射能力を実現した。ターボプロップにしたB型(MQ-9)は兵装搭載能力が大幅に向上し、速度と実用高度も増加。C型の速度はさらに増加し、迅速な展開が可能となり、作戦柔軟度と生存性が高くなる。
【影響】プレデターCの初飛行が成功し、有人航空機の削減が計画されていることに反対派が懸念を高めている。海兵隊カートライト大将は戦術航空機の編成に高コスト・中コスト・低コストの機体と性能の組みあわせでF-22、F-35および武装UAVとしてプレデターB(リーパー)を提唱。ただリーパーは低視認性機体ではないのでF-22およびF-35とは異質。それに対しアベンジャーは低痕跡で飛行できる。戦術機にはその他F-16C、F-15C、F-15EがAESA(電子スキャンアレイレーダー)を搭載することで補助できる。反対派はゲイツ国防長官とカートライト大将による方針決定に武装UAVを取り入れることに警戒感をもつ。軍事上の必要性よりも経済上の事情を優先することは誤りであり、「プレデターCがF-35の代わりとなる」ことを恐れると匿名の元空軍パイロットの空軍高官(調達担当)は語る。

2009年4月16日木曜日

エンブラエルKC-390空中給油・輸送機開発にゴーサイン


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Embraer Launches KC-390 Tanker/Transport

Aviationweek.com 4月15日

エンブラエルはブラジル空軍の契約を獲得し、13億ドル・7年間の期間でKC-390軍用空中給油機・輸送機の開発を立ち上げた。同機の初飛行は2012年、就役は2015年の予定。同機はターボファン双発、高翼の設計。4月14日にラテンアメリカ航空防衛ショー(リオデジャネイロ)で発表されたもの。ブラジル政府は試作機合計2機および生産用冶工具含む開発費用全額を負担する。エンブラエルCEOフレデリコ・F・クラドがAviation Weekの取材で答えたもの。同社は2007年の

同じショーで軍事輸送機の検討案を展示しており、エンブラエル190リージョナルジェットの改造型として6億ドルの費用で開発するコンセプトであった。ただし、クラドは「同機は現実的な機体ではなかった。任務のすべてを実行できなかっただろう。」と語る。フライバイワイヤ式のKC-390は高翼、ターボファン双発、T字尾翼の構造こそ同じだが、全面新設計でブラジル空軍の要求にこたえるばかりか、ロッキード・マーティンのC-130Jに対抗できる機体である。エンブラエルは今後二年間で詳細検討を完成させ、部品メーカー選定を空軍とともに行う。クラドはKC-390は「国家プロジェクト」であり、別メーカーあるいは海外の関与の決定は政府の決定事項という。同機の組み立てはエンブラエルのガビアオ・ペイホト工場にて行われ、同社にとっては最大の航空機となる。また、同社にとっても軍用機製造は久しぶりのことになる。

コメント 同社のプレスリリースによるとC-390の貨物搭載量は最大19トンとのことです。開発が遅れているわが国のC-Xが37トン、C-1( 8トン) C-130H(20トン)なので、確かにC-130に匹敵するクラスになるわけです。ブラジル空軍の必要とする機数は20機程度と限られていますが、いまや各国に販路を広げた同社ですので、当然C-390も各国の注目を浴びるでしょう。価格が訴求力になるのではないでしょうか。それにしても1950年代から稼動しているC-130が今でもこのクラスの輸送機の主流というのはひとつの驚きですが、その間に開発力をつけてきた新興国がもうそこまで来ているということですね。 

2009年4月15日水曜日

EP-X(次期米海軍電子戦専用機)


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EW Competitors Begin Defining Efforts

Aviationweek.com 4月14日

ボーイング737から開発の次期海軍哨戒機P-8Aポセイドンの初飛行は今年中と見られていますが、早くも派生型EP-Xを同機から作ろうという動きが活発化してきました。



次期電子戦用機材として海軍のEP-X、陸軍の空中共用センサー機、空軍のリベットジョイントの各計画があり、契約獲得を目指して各社が準備を始めた。「現在利用できる機材を幅広く検討しているところです。有人、無人を問わず、要求性能を実現できる機材を求めています。」(P-8AとEP-Xの計画責任者マイク・モラン海軍大佐) ブーズ・アレン・ハミルトンのロバート・ワッツがEP-Xの選択肢分析の責任者となったところであり、国防長官官房がEP-X検討の実施を承認した。

「データリンクを共用してP-8AとEP-Xの電子戦装備をEA-18Gにつなげて、以前のデータ、現在のデータ、ならびに今後の予測ができるようにする」EP-Xとグラウラーでシナジーが可能と、ボーイングは見ている。EP-Xが遠距離の発信源を探知し、グラウラーが発信源に対して電子攻撃を行う一方、EP-Xは別の行動を取れる。グラウラーには目標別に対応する能力があり、高出力のジャミングが可能だ。

EA-18Gの配備数とEP-Xの広範囲な探知能力を考慮して、個別・特化任務はグラウラーにまかせ、EP-Xには戦闘空域の監視、目標捕捉、電子戦任務を割り振ることになるのではないか。
ボーイングはEP-X用のレーダーの選択肢を検討している。アレイが大きいと小さい目標も捕捉できる。ひとつの考え方は機体中央線上にレーダーをカヌー形状で搭載すること。別の考え方では機体と一体型のアレイがあるが、実際にはアレイを機体に組み込んだり、平坦にする必要はない。

(写真はP-8Aの想像図です)

2009年4月11日土曜日

ミサイル防衛の新しい展開


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Aviationweek.com 4月8日

国防総省関係者はゲイツ国防長官による懸案の地上配備中間コースミサイル防衛による弾道ミサイル迎撃に関する新しい方針が明らかにした。三段式の軌道推進式の迎撃兵器(GBI 地上配備迎撃機とも呼ばれる)を合計40基、フォート・グリーリイ(アラスカ州)とヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォルニア州)に配備するのが当初の計画であった。しかし、新方針ではフォート・グリーリイへの配備は26基までとし、ヴァンデンバーグは4基となる。ただし、配備済み分の発射後あるいは撤去後の予備機の購入が実現するかは不透明。ブッシュ政権のGMD案ではいわゆる東欧第三配備地を想定し、チェコにレーダー基地とポーランドに二段式GBIを10基配備する予定であった。この案では2013年ごろに米軍の施設稼動を想定していたが、オバマ政権がロシアとの新外交を検討中であることを考慮し、説明上は動きを遅くしている。ゲイツ案では多弾頭破壊運搬機の開発中止とともに空中配備レーザーも開発の道を閉ざす一方で最終段階高度広域ミサイル防衛(THAAD)とイージス弾道ミサイル防衛システムを進めることを目指し、ミサイル防衛庁に変化を与えるもの。その反面、中間コース防衛は中心からはずれ、捕捉が困難とされる敵ミサイル加速段階での防衛に関心が高まっている。

(写真はTHAADミサイル) 

2009年4月9日木曜日

UAVが戦闘機編成の一部となる



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Aviationweek.com 4月7日

ゲイツ国防長官は現在の戦術航空機編成は「要求数に対して著しく過剰」であるとし、この見方が2010年度に機齢が古い250機を退役させ、F-22生産を187機で打ち止めにする決定につながったと見られる。同長官は部隊編成案は空軍からの提案というが、ノートン・シュワルツ大将(米空軍参謀総長)はF-22はあと60機以上が必要と報道記者に発言している。この見解もゲイツ長官による国防計画の見直しの中で変化した。統合参謀本部副議長のジェイムズ・カートライト海兵隊大将は戦術航空機の新しい編成は高性能機・中程度性能機・低性能機の組み合わせでF-22、F-35および国防関係者には驚くべきことにリーパー無人機の構成という。ゲイツ国防長官は10月1日から始まる2010会計年度内に250機の古い戦闘機を退役させると発表。その多くはF-16とA-10であろうと関係筋は見ている。第一線から消える機数の一部がジェネラル・アトミックス製のリーパーで代替される。カートライト大将は「これまではF-16,F-15,F-15Eが想定されていた分野でリーパーの使用は想定されていなかったが、現在進行中あるいは今後の戦闘状況を考えると、必要な空域に長時間滞空でき、最大搭載量の運搬が毎回必要となるわけでないので、無人機の運用が質的な利点となる」と語る。そうなると、F-35と新型のリーパーが今後の戦術航空機生産の中心となることになる。ゲイツ長官はすでに新型爆撃機の調達を中止する決定をしているからだ。

ゲイツ案が議会で承認されればボーイングのセントルイス工場はスーパーホーネット31機の生産を期待できる。これは海軍向けF-18の複数年度調達の開始を意味することになろう。一定数の購入をF-35や海軍の沿岸戦闘艦で実行することが産業基盤の維持につながる戦略であるとゲイツ長官とカートライト大将は考える。「F-22とF-35では性能がちがいますが、両者を組み合わせたほうがF-22とF/A-16やF-16やF-15との組み合わせよりも効果が高くなります。F-22とF-35の組み合わせで現在そして将来の脅威に十分対応できるものです。」
一方でF-35計画のてこ入れとして同副議長は同機のテスト用機材購入を追加し、空対空また空対地能力のテストを同時並行で行えるようにし、どちらかの遅れが全体に影響を及ぼさないようにするという。ただし、2010会計年度に具体的に何機を追加購入するかは言及しなかった。

2009年4月4日土曜日

新型情報衛星でホワイトハウスにブリーフィング



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White House to Get Intel Satellite Briefing

Aviationweek.com 4月3日


ホワイトハウスは来週早々にも情報収集衛星の今後の購入方針について背景説明を受ける予定であることが業界筋とペンタゴンから判明した。各情報機関はハイエンド技術で大型の衛星により電子光学(EO)および赤外線(IR)による情報収集任務を実行したいと考えている。ペンタゴンは一方で中型衛星を低軌道で運用する構想を提唱している。低軌道に乗せると運用期間が短くなるが、国防総省は反面で購入基数を多くすることで相殺されるし、製造メーカーにとっても生産計画が立てやすくなり、専用生産ラインを立ち上げることも可能と主張する。一方、情報機関側が新技術しかも成熟していない技術を搭載した大型衛星を目指すのであれば、10年かけても実現は困難だろうとペンタゴンは見る。軍と情報機関両方の関係者は国家情報長官デニス・ブレアと国防長官ロバート・ゲイツはオプションで合意しているものと見ている。その戦略とはボーイング主導の未来型映像アーキテクチャの挫折後では初のEOとIRの結合を求めるものだ。ボーイングに替わり、現在はロッキードマーティンがプロジェクトを担当している。


コメント: Future Imagery Architecture は現行のKH-11等の既存情報収集衛星に代わる新世代の衛星システムのようですが、ちっともその全体像がわかりません。今後の安全保障の要となるわけですから、ホワイトハウスから余計な茶々が入らないことを祈るばかりです。

2009年4月3日金曜日

イラク空軍の再建計画


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Aviationweek.com 4月1日

イラク空軍の再建は11年で3段階の計画。T-6練習機購入とロッキード・マーティンF-16を2010年代中ごろまでの導入が含まれる。ワシントンで軍事筋が明らかにした。だが、同国の財政状態はきわめて厳しいのも事実。「今のところ予算が一番の制約条件です。予算がついたものから実施するしかありません。」(フランク・ヘルミック中将、在イラク多国籍安全保障移行司令官) ヘルミック中将によるとイラクは最大24機のホーク・ビーチクラフトT-6練習機の導入を交渉中だが、第三回イラク航空防衛サミット会議(ヴァージニア州マクリーンで開催)において同中将はこの取引が成立する保証はないと発言。同練習機はF-16合計36機の2015年ないし16年導入に先立ち引き渡されることになる。2008年12月に国防安全保障協力局(DSCA)はイラクが20機のT-6Aテキサンを合計2.1億ドルの海外軍事販売の一部として公式に購入希望と発表した。イラク空軍(IAF)の現有練習機はセスナ172スカイホークとセスナ208Bキャラバンの編成。DSCAはIAFの近代化には新型T-6が必要で、導入すればAT-6軽攻撃機への移行も円滑になると発表した。IAF幕僚長アンワル・アーメッド中将は4月1日記者会見席上でイラク・イラン戦争とサダム・フセイン失脚以来の混乱を経て軍の再編に奮闘している最中と述べた。IAFのめざすところは統率のとれた装備の完備した部隊として国境を守り、近接航空支援、情報収集、監視偵察を実施する能力を獲得することにある。そのために、IAFは今年から3段階の計画を作成した。第一段階は2011年までで、第二段階が2015年まで、そして最終段階が2020年に完了する。その目標には多用途戦闘機の取得、中軽度の防空早期警戒能力の獲得が含まれる。だが、同幕僚長は価格の乱高下と内戦から抜け出して再建を図る同国の厳しい状況の中で困難な選択を迫られている。ヘルミック中将はイラク軍全体の再建計画には年間90億ドルを6年間にわたり必要と語る。今年度に同国国防省は45億ドルを確保できる見込みという。

(写真T-6 の新旧世代、オリジナルT-6 と今日のT-6 ニックネームはどちらもTexanです)

2009年3月31日火曜日

予算削減がミサイル防衛にも影響する?


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Aviationweek.com 3月30日

国防予算削減が予想通りの規模となると、弾道ミサイル防衛のテスト回数が削減となり、とくに地上配備の中間段階防衛(GMD)関連のテストが減ることになる。これは外部からの批判を招き、議会は逆にテスト回数を増やすよう求めているのに逆行。オバマ大統領が2010年国防予算を発表する際にはミサイル防衛庁(MDA)予算の削減は20億ドル規模で20%規模になると見られる。先週の記者会見で大統領は総額400億ドルの予算節約が国防総省関連で可能と発表している。MDAが弾道ミサイル防衛に2002年から使った予算総額は560億ドルで2013年までにさらに500億ドルを支出する見込み。GMDのテストは120百万ドル増加する可能性ありとパトリック・オライリーMDA長官(陸軍中将)は先月の下院聴聞会で発言している。それでも小委員会委員長のエレン・タウシャー(民 カリフォルニア州選出)他議会指導者はもっと多くのテスト実施がヨーロッパへの配備前に必要と訴える。その結果、本誌にミサイル防衛メーカー関係者が語ったところによると予算削減のため実際の発射テストよりもモデリング-シミュレーション(M&S)が実施されることになるという。これはM&Sを連邦政府から請負実施する機関には朗報だ。ランディー・フォーブス(共 バージニア州)はM&Sの強力な提唱者であり、M&Sが「前面に出る。なぜならばテスト方法で唯一実施可能な方法だからだ」と語る一方、同議員は企業救済策のために国防予算にしわ寄せが来ていることに我慢がならない。「M&Sでテストは出来るが、ミサイルを打ち落とすことは出来ません」

「テストに予算はいつでも使えるのではないか。」とラリー・ダジェン(ノースロップ・グラマンのミサイル防衛統合システム部長)は語るが、同氏もオライリー長官がM&Sを実弾テストと組み合わせて実施する方針で、各テストでは単独の技術要素でなく弾道ミサイル防衛システム全体に焦点を合わせる方針を支持している。

コメント: 最近の報道で改めてミサイル防衛についてIQが高まってきた方も多いでしょう。PAC3という紹介の仕方はいかがなものでしょうか。しかし、MDAについては触れられる機会は少ないようです。これだけの予算がすでに投じられているのは、レーガン時代のSDI構想から始まっているからなのですね。当時は散々悪口を言われたスターウォーズ計画ですが、いよいよその成果を示す機会が来るかもしれません。見事に機能したら、当時こけおろしていた人たちはなんというのでしょうね。もちろん、使わないにこしたことはないのですが、備えることは必要ですし、それにより相手方の整備意欲をなくさせることも可能です。それにしてもレーガンという人は偉大だったのですね

2009年3月29日日曜日

州空軍部隊の機材更新に支援を示す上院


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Aviatonweek.com 3月26日

上院の歳出委員会は3月25日に新型戦術航空機としてF-22ラプターであれ改修型既存機種であれ調達が必要とする各地州軍航空部隊への理解と支援を示した。「各部隊の必要とする戦闘機が予算に計上されるよう最善を尽くします」 と上院歳出委員会ダニエル・イノウエ委員長(ハワイ州、民)がハリー・ワイアット三世中将(州航空軍)に保証した。これに対しワイアット中将は「装備の更新作業に一歩踏み出すべきときです」と将来の防空体制に懸念を示した会計検査院(GAO)と報道を意識して返答している。
 ワイアット中将は老朽化すすむF-16とF-15の更新に必要な予算増額を求める州軍、本土防衛部隊の幹部の一人。GAOは州航空軍の機体が2020年までに更新されないと、国内18主要地区のうち11で利用可能な航空機がなくなると報告している。空軍の支援が期待できないのは、イラク、アフガニスタン等の戦闘が優先順位高くなっているため。現状では18地区のうち12にF-16が配備されているが、2015年から2020年にかけて耐用年数が終わる。ワイアットは何も手を打たないと2010年から2018年にかけて19飛行隊がわずか4飛行隊となり、戦力の80%が減少すると見る。一方で空軍、海軍、海兵隊の現役部隊はそれぞれの戦術航空機数の減少が予想されることに懸念を示している。州軍は空軍が第四世代のF-16やF-15の改修よりも第五世代機のF-22とF-35の導入に熱心であるとくりかえし注意を集めてきた。ワイアット中将は州航空軍にもF-22が必要と主張している。「世界最高の国は世界最高の機体で防衛すべきです」という発言は国内哨戒飛行をさしている。
 ミゾウリ州選出キット・ボンド上院議員は出身地がボーイングの戦闘機製造の中心地でもあり、空軍が州航空軍の「解体」につながりかねない貧弱な予算算定をしていることを非難している。同議員は州航空軍にはF-35の前に「架け橋」が必要であり、空軍は空の領土保全が重要なミッションであると信念を持っていることを証明必要があるという。ワイアット中将は予算措置については空軍と州軍が共同で検討しているという。「当方の希望選択肢を第四世代か4.5世代機購入として含めさせています」とのことである。

コメント: イラク、アフガニスタンにも州航空軍の部隊が空輸等で参加していますが、戦闘機の開発が遅れるとともに単価上昇から機数が減ってくると、州軍にとっても大きな問題となります。F-22が必要なのか葉議論するとしても、民主党多数の議会では一方で大統領の財政立て直しに協力し、一方で選挙区の雇用確保を必死に追及するはずですから、F-22生産ラインの維持問題とあいまって州軍の需要も加えて戦闘機増産のアピールが出てくるのではないでしょうか。とはいえ、F-22は高価すぎるし、F-35は実用化なるかまだ不明、そうなると、先日お披露目があったばかりのF-15SEというのはなかなか魅力的な選択肢でしょう。

2009年3月27日金曜日

F-22エドワーズ事故②パイロットは射出脱出していなかった

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Aviationweek.com 3月26日

米空軍高官は昨日エドワーズ空軍基地近くで墜落したF-22のパイロットは射出脱出していなかったことを知った。事故機のロッキードマーティン社所属のパイロットは収容された病院において死亡と判定されたが、射出脱出後に死亡したものと思われていたが、エドワーズの関係者によるとこの見方は調査向けにとりつくろったものであり、米空軍によると墜落直後に射出脱出はなかったとの報告が入ったが、直後に調査に対して情報管理がしかれてから詳細が公表されていないという。

コメント: 墜落したF-22はロッキード・マーティンの社内テストフライト中だったのですね。しかし、なぜ射出脱出していなかったのか、なぜ調査を妨害するような情報の操作がなされていたのか、そもそもミッションの内容はなんだったのか、とだんだんミステリーの様相を示してきました。あるいはF-22の信頼性に対する疑問をいだかせないように、カバーアップとしてパイロットの件が取り上げられているのか、というのは考えすぎでしょうか。

2009年3月26日木曜日

F-22がエドワーズ空軍基地近くで墜落


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Aviationweek.com 3月25日


米空軍はF-22Aラプター一機の墜落が本日午前10時エドワーズ空軍基地のおよそ35マイル北東で発生したことを認めた。同機は同基地配備の機体であった。搭乗パイロットの生死は今のところ不明と空軍が発表。消息筋によるとその確認が出来ない理由は事故当時の追跡機から離れており、追跡機パイロットは事故の状況を視認できていないため。事故にあったラプターは未確認任務についていた。412試験飛行隊で兵装任務についていた模様。空軍の公式発表では事故原因を調査団が探り、「事故の追加詳細情報を入手次第、発表する」とのこと。F-22の墜落事故は三回目で、生産型としては二回目。試作機YF-22が1992年のテスト飛行中に墜落しており、同機のパイロットは射出脱出することなく生還下。2004年にはネリス空軍基地で離陸直後に射出脱出が必要となる事故が発生している。この事故のあと、F-22全機が2週間にわたり飛行停止となっている。米空軍の運用するF-22は現在合計134機。

(その後パイロットは死亡が確認されています。)

2009年3月21日土曜日

e爆弾登場か

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Aviationweek.com 3月11日掲載

e爆弾とは敵の電子装置を強力な電磁放射線のパルスにより破壊するものであり、長年にわたり議論の対象となってきた。これまでの研究開発が継続されているが、実用化のきざしはみられていなかった。通信回線及び電子装置を使用不能にする兵器は魅力あるものに写るが、現場指揮官は実際に効果がわかっている兵器の使用を好むものだ。だが、いまや米陸軍がその両面を満足させる技術を開発中であり、通常の爆弾効果とe爆弾をひとつのパッケージにすることが出来る。
 爆発性の弾薬はその効果を爆風、破片及び時に応じ装甲を貫く小型爆発物により実現する。研究者はこれに加え、電子電磁パルス(EMP)による破壊効果も実現しようとしている。この点でこれまでのe爆弾が非殺傷型を目指していたのと相違している。陸軍は既存弾頭の向上をはかり、爆風、破片、装甲貫通をいずれも低下させずかつ重量増加は最低限で新機能を追加しようとしている。
 これまでのe爆弾の動力源は磁性体圧縮発電機に電流を運ぶ金属コイルを組み合わせたものだ。この発電機がかさばり、既存の弾薬と一体化できなかった。そこで、陸軍が模索している別の方法は衝撃波を出す強磁性体発電機。これは一種の磁石で破裂すると同時に消磁して、エネルギーをパルスとして放出する。その効果は圧力を誘発する磁性位相移動として知られており、ある条件のみで特定の種類の磁石でのみ発生する。2005年に米陸軍の航空ミサイル研究開発技術センター(Amrdec)が研究委託会社Lokiおよびテキサス工科大の技術陣と共同でスピーカーでよく使われるネオジム合金の磁石で爆発性のあるパルス電源の実証を完了している。
 この後、研究はいっそう特殊な鉛・シリコン・チタン合金の磁石へ発展した。この素材により発電機の容量がこれまでの50立方センチ(3立方インチ)から3立方センチに縮小された。ただ陸軍の要求水準は、発電機、電源調整装置、アンテナを全部で1立方インチに収めることである。技術的な課題は電磁エネルギーに指向性を与えるアンテナの実現だ。Amrdecでは「誘導エアロゾルプラズマ弾頭」の実現をめざしている。荷電分子により電力を誘導するのが原理。爆発により形成される火球の分子組成を変えて、導電性のあるプラズマアンテナに変えることがその目的だ。
 この基本は陸軍が過去作成したプラズマアンテナだ。軍用爆発物を使う衝撃効果として装甲版を貫徹する際に影響が出ないことを確認する必要がある。これまでの研究結果では火球の構成が求める効果の周波数と合致している必要があるのだという。
 爆発時の火球はほぼ球形となるが、プラズマアンテナでは円筒形に近くなることが求められる。このため、より直線的な爆発を得る必要がある。初期の研究では金属の噴出をアンテナにしようとしたが、プラズマアンテナとしては不適と判断された。
 高性能弾頭として完成すれば、貫通せずに戦車を攻撃できる。敵戦車はエンジン始動が出来なくなり、通信装置、電子装置も利用不可能となる。また、電子製品として携帯電話が爆弾の点火にテロリストで使われているが、これも使えなくなり、ロケット発射式手榴弾の回路も機能しなくなる。そこで、EPM兵器について大きな疑問が生じる。効果をどうやって把握できるのか。メルボルンのモナシュ大学准教授のカーロ・コップはこの分野の権威である。同教授は90年代に電磁パルス兵器に関する戦略的な思考を形成した論文を著している。また、「e爆弾」も同教授の創造した用語である。
「電磁兵器による破壊測定はe爆弾であれビーム兵器であれ、本当に大変です。攻撃の結果、敵の電気系統が焼け焦げたり、同様の電気的な故障が確認できないと、敵の目標を攻撃したのか、相手が意図的に回路を閉鎖したのか区別がつきません。電磁兵器では確認が容易な爆弾による損害把握は利用できないのです。」
 比較的低出力の場合は陸軍の新型小型多目的弾頭で個別目標を狙う。現在候補となっているのはTowミサイルと2.75インチロケットでともにヘリコプターから発射できる。これまでのe爆弾開発では大型の航空機運搬爆弾または広範囲射程の野砲用弾薬を想定しており、コップがいうところの「大量電子破壊兵器」であった。小型のe爆弾は大型版と質的に異なる存在。放出される出力は距離の二乗で減少し、3メートル先の目標は30メートル先の目標より100倍大きな効果を受ける。EMP効果を狙うTowミサイルでは命中した目標を破壊することが十分可能なパルスを放出するが、広範囲の場所の電子製品には影響を与えない。電子的な「同士討ち」の可能性のため強力な戦術e爆弾は実用化されないはずだが、コップは小型版でも予想できない付帯的な損害が生じる可能性があるという。都市部の電力供給網や電話線がパルスを拾い上げると、損害は広範囲に及ぶ可能性がある。
 陸軍が注目している最小規模の兵器は多連装ロケットシステム (MLRS)から発射されるM77小型爆弾の改修だ。小型爆弾は対人殺傷用の破片を放出する。小型爆弾で広範囲をカバーし、発射機からは同時に12基のロケットを発射し、フットボール競技場6つ分の広さを対象に出来る。これにEMP能力をつけた場合は同じ広さをカバーし、目標地区の破壊も可能となるかもしれない。M77の改修ができるのであれば、兵員の肩から発射可能なロケット砲や同様の兵器もEMP効果を発生できるようになる。小型の歩兵用のロケットでは今日の装甲に対して限定的な効果しか挙げられない。EMP効果を与えれば、貫通は無理でも「ソフトキル」能力で相手方車両を装甲不可能にすることが実現することになるかもしれない。この場合損害を受ければ修理は困難で電子装置は一式交換を迫られることになるだろう。
 米空軍もこの分野に関心を示しているが、詳細は不明だ。空対空ミサイルにEMP能力が加わるとしても性能低下は許されない。放射線を追尾して敵の防空レーダーを攻撃するミサイルは別の需要があるだろう。米海軍水上戦センターインディアンヘッド部門はプラズマ火球により簡易爆発物(IED)を作動不能にする弾頭を求めている。この目的は爆発を制御し、IEDを爆発させずに破壊して付帯的損害を最小限にすることにある。
 2007年のテストでは爆発でプラズマを形成し、砲弾や迫撃砲弾頭に対して使用した。これらはよくIEDの材料となっている。この結果はインディアンヘッドのホームページから削除されており、詳細はまだ発表されていない。このことから開発は進んでおり、実戦テストまで至っている可能性がうかがえる。

コメント: 今日の発達した電子装置も簡単に使用不可能となる、というのはもっとも恐ろしい経済的な打撃のシナリオです。電子回路はサージ電流で簡単にノックダウンできます。たとえば、北朝鮮が日本上空の相当の高度で核弾頭を爆発させたら.....でも、何も失うものがないと狂信的に考える国家指導部が核弾頭の爆発にちゅうちょしなくなったら....まず飛行中の航空機は墜落、コンピュータ・通信はダウンし、ATM等電子決済上の貨幣は消滅しますし、シールドされていない民生機器は使用不可能となります。結果、経済は電子化前の50年前の状態にもどるばかりか、その復旧には数十年かかり途中で相当の混乱が生じるでしょう。電子回路に依存した現代社会のアキレス腱ですね。そんな意味もあり、東北アジアでの核兵器開発はなんとしても阻止しなければならないのではないでしょうか。ただ、核を使わないe爆弾が実用化になれば、より小規模かつ効果的な電子破壊テロが実現するかもしれません。悪夢は消えないでしょうね。本稿で紹介されているe爆弾はむしろ小規模で戦術的レベルですが、予期できぬ結果を排除できない「制御性」の問題があり、戦場での使用には躊躇することになるでしょう。

2009年3月18日水曜日

F-15サイレント・イーグル


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Aviationweek.com 3月17日

ボーイングがF-15ストライクイーグルの派生型試作機を3月17日に発表。ステルス塗料と構造を取り入れてアジア及び中東のマーケットを狙う。同社は190機程度の受注を期待し、現在受注残が韓国とシンガポール向け合計38機にまで縮小している同機の生産を延長したい考え。共用打撃戦闘機でロッキード・マーティンに敗れた同社のセントルイス生産施設の将来は未確定。F-15の販売と、F/A-18E/FおよびEA-18Gの追加発注が当面は同施設にとっての業務。

「サイレント・イーグル」の主要な設計変更は既存コンフォーマル燃料タンク内の格納ベイに空対空ならびに空対地兵装が格納できること。各タンクで空対空ミサイルが二基(AIM-9、AIM-120あるいは両者混合)を収納する。空対地ミッションには1000ポンドと500ポンドの共用直接攻撃弾(JDAM)あるいは250ポンドの小口径爆弾を4発ずつタンクに装着できる。兵装はAIM-120とJDAMの組み合わせも可能で多用途ミッションに対応。

サイレントイーグルの外観上の相違点として15度の角度で外側に向いたV字型の尾翼があり、従来型が垂直になっていたのをレーダー断面積の小型化を目指して採用された。ストライクイーグルの最大速度マッハ2.5はそのままで、航続距離が180から200海里に減少するのはコンフォーマルタンクの燃料搭載量が減少するため。また、新装備にはデジタル電子戦システム(DEWS)があり、BAEシステム製の同装置はレイセオン製のアクティブ電子スキャンアレイレーダーと同時に作動できる。

ステルス表面塗料は試作機にはまだ使われていないが、後日上塗りすることが可能だ。ボーイングによるとロッキードF-35と同等の前面ステルス性が確保できるという。

F-15のステルス型はすでに10年近く米空軍がF-22の代替選択肢として検討してきたものの、実現はしていない。「当社はF-22やF-35のマーケットをねらっているわけではありません」(ボーイング社F-15発展計画担当責任者ブラッド・ジョーンズ) 

どの程度のステルス性を海外市場向け供給に許可できるかは米国政府の決定するべきことだとジョーンズは言う。米空軍関係者はサイレント・イーグルについて説明を一応受けているものの、ステルス機としての輸出可能性についての協議はまだ行っていない。F/A-18E/Fで搭載したエンジン空気取り入れ口のレーダーブロッカーもどこまでレーダー断面積を減らす必要を顧客が求めるか、また米国政府が認めるかによっては装着可能という。ジョーンズによるとサイレント・イーグルの単価は新造機の場合で約1億ドル(予備部品含む)となる見込みという。既存機の改修キットにはコンフォーマルタンク、DEWSおよびステルス塗料があり、ストライクイーグルを対象とするもの。

市場として有望と見られるのが韓国、シンガポール、日本、イスラエル、サウジアラビア。まず成約しそうなのが韓国で、同国は新型戦闘機二機種としてF-XフェーズIII計画で60機、およびF-15クラスを検討している。韓国国防開発庁は国産のKFX計画を提唱しており、ステルス性のある120機の国内開発をめざす。ジョーンズによるとステルス素材の共同開発は米国政府の検討結果となるだろうという。日本とサウジアラビアもF-15クラスの後継機種を模索しており、もしサイレンとイーグルがサウジ向けに販売されると、イスラエルも同型機の購入により中東の勢力均衡を目指す動きに出るのは大いにありうる。ボーイングは相手国製の装備品特に電子戦装備をサイレントイーグルに搭載することには寛大な姿勢を示しており、これが特にイスラエルには有望なオプションとなるだろう。同国の航空産業界はF-35の共同開発の中で外国製電子戦闘装備の採用には難色を示す米国関係者により拒絶をうけたばかり。

兵装を搭載する燃料タンクは機体にボルト二本で取り付けられており、2.5時間で取り外しが可能。従来型のタンクを取り付けるとステルス性のない機体性能に戻るが、兵装量は大きくなり、対艦ミサイルの搭載も可能となる。サイレント・イーグル原型機はフライトテスト用の機体F-15E1を元に製作した。デモ用に同機にはコンフォーマルタンクと傾斜つき尾翼が装着されて入るものの、構造内部は完成していない。傾斜つき尾翼は顧客の要望で後付けも可能だが、ステルス塗装とエンジン空気取り入れ口ノブロッカーは不可能。兵装搭載したコンフォーマルタンクを試作機につけた状態でフライトテストを来年第一四半期に開始したいというのがボーイングの希望。F-15既存運用者からのフィードバックに答える形ではじまったサイレント・イーグル構想の設計作業は昨年9月に開始されている。

コメント: ボーイングが破れかぶれの策に出ているように見えます。一方、新興国にとって安価なステルス機が手に入るチャンスになるかもしれません。日本にとっても悪くない選択ですが、どこまでのステルス性を米空軍が海外向けに認めるかが鍵ですね。