2016年5月7日土曜日

★世界五大海軍国のリストで日本は五位



日本の海軍力の位置づけは国民の間でも理解されていないのではないでしょうか。その意味では「目立たない」内に世界有数の戦力を整備している事実はもっと知ってもらいたいところですね。さらにロシア、英国がかなり悲惨な状況なのでひょっとすると日本がランクアップして世界第三位になる可能性もあると思いませんか。

Which Countries Operate the 5 Most Powerful Navies in the World

KYLE MIZOKAMI
1:41 AM

古今東西問わず海岸線を有する国が海軍部隊を整備している。規模こそ違え、世界各地で任務の基本も軍事力を隣国やその先に投射することで共通している。

海軍部隊の平時任務も数千年不変だ。領土を守り、通商路を維持し、国威を発揮し敵の侵略を思いとどまらせる。有事には海軍力を投射して敵が同じことをできなくする。このため敵海軍を攻撃し、揚陸作戦を実施し、戦略地点を海上、陸上で占拠する。

世界各国の海軍部隊では新しい任務や課題も生まれている。戦略核抑止力、弾道ミサイルの対抗手段、宇宙空間、人道援助災害救難が加わっている。このことを念頭に現時点での世界五大海軍を順に見ていこう。

米国
  1. 米海軍がリストの最初に来ることに驚く向きはないだろう。米海軍の艦艇数は世界最大だ。またミッションの多様性、行動海域の広さでも匹敵する国はない。

  1. 米海軍に比する活動範囲は他のどの海軍も展開していない。太平洋、大西洋、インド洋、地中海、ペルシア湾、アフリカの角のすべてだ。米海軍はまた日本、ヨーロッパ、ペルシア湾に艦船を配置している。
  2. 米海軍の戦闘艦艇は288隻で、常時その三分の一が各地に展開中だ。航空母艦10隻、巡洋艦22隻、駆逐艦62隻、フリゲート艦17隻、潜水艦72隻である。さらに航空機の3,700機は世界第二位の規模だ。人員は現役323千名に予備役109千名で人員数でも世界最大だ。
  3. 米海軍の特徴はなんといっても空母10隻で、世界各国の空母の合計を上回る。隻数だけでなく大きさもずば抜けている。ニミッツ級空母一隻が運用する航空機は72機と米国外で最大の空母の搭載機数の二倍になっている。他国の空母航空隊が戦闘機中心になのに対し米海軍空母航空隊はバランスの取れた編成になっており、航空優勢確保、攻撃、偵察、対潜戦、人道援助災害救難の各種ミッションをこなす。
  4. 揚陸作戦艦船31隻は世界最大の規模を誇り、陸上部隊を運び、敵地に上陸させる。このうちタラワ級ワスプ級の強襲揚陸艦はヘリコプターを搭載し兵員を送り出すミニ空母構造となっており、AV-8Bハリヤー攻撃機を搭載しているがまもなくF-35Bを戦闘爆撃機として運用する。
  5. 原子力攻撃潜水艦54隻はロサンジェルス級、シーウルフ級、ヴァージニア級の混成で、さらに戦略抑止力部隊をオハイオ級弾道ミサイル潜水艦14隻で構成し、合計336発のトライデントミサイルを搭載している。オハイオ級の四隻で核ミサイルを撤去し、かわりにトマホーク陸上攻撃ミサイル154発を搭載している。
  6. さらに弾道ミサイル防衛任務があり、宇宙活動や人道援助災害救難も行う。2013年10月時点で29隻の巡洋艦・駆逐艦が弾道ミサイル迎撃能力を有し、一部はヨーロッパと日本へ前方配備中。また米軍活動を支援するため宇宙監視を続けており、敵性国家の衛星を追跡している。空母は病院船USNSマーシー、USNSコンフォートとあわせ災害救援任務をインドネシア、ハイチ、日本、フィリピンで展開している。


中国
  1. 人民解放軍海軍(PLAN)はこの25年で大きく変わった。中国経済の驚異的な成長で国防予算は1989年の10倍にまで拡大し、海軍も近代化が進んだ。かつての旧型駆逐艦と高速魚雷艇の編成の沿岸海軍から海洋海軍へと変身した。
  2. PLANは空母一隻、揚陸輸送艦三隻、駆逐艦25隻、フリゲート艦42隻、原子力攻撃潜水艦8隻、およそ50隻の通常型攻撃潜水艦を運用中。人員数は133千名でここに2個旅団各6、000名の海兵隊を含む。
  3. PLAN航空部隊(PLANAF)は固定翼機とヘリコプターを空母に派遣し、ヘリコプターはその他水上艦に展開しているほか沿岸部の基地で戦闘機、攻撃機、哨戒機を運用する。PLANAFの機材は合計650機でJ-15艦載戦闘機、J-10多任務戦闘機、Y-8洋上哨戒機、Z-9対潜哨戒機を保有する。
  4. 中国初の空母遼寧には注目が必要だ。2012年に就航したがもともとソ連海軍用に建造され、冷戦終結後、未完成のままだった船体はウクライナ国内の造船所にあった。PLAが名目上の企業を通じて購入し、中国までえい航し、ほぼ10年をかけ整備した。遼寧は空母運用に習熟するための練習艦の性格が強い。
  1. PLANは揚陸作戦能力の近代化を続けており、071型ドック型揚陸艦を就役させた。071型一隻で500名から800名の海兵隊員を搭載し、ホーバークラフト舟艇(米LCACと同様)やZ-8中型輸送ヘリで上陸させる。また全通型飛行甲板を有する強襲揚陸艦も建造計画中と伝えられ、完成すれば米ワスプ級と肩を並べる艦容になる。071型6隻と新型強襲揚陸艦6隻を整備するといわれる。
  2. 潜水艦60隻では各型が混ざり合っている。中核は商級原子力攻撃潜水艦三隻と元級9隻、宋級14隻ならびに改良型キロ級10隻(ロシアより購入)だ。弾道ミサイル潜水艦部隊では晋級が三隻就航しており、四番艦さらに五番艦が建造中だ。南シナ海を水中核抑止力部隊の聖域として使うのが中国の狙いと思われる。
  3. さらに拡大と経験を得ようとしている。少なくとも空母二隻建造の計画があり、最終的に空母は五隻になる可能性がある。空母以外に国際海賊対策としてアフリカの角まで艦船を派遣中で遠洋運用の経験を積んでいる。これまで派遣は17次に及んでおり、各艦持ち回り派遣で長距離での艦運用技能を磨いている。

ロシア
  1. リスト三番目がロシアだ。ソ連から艦艇多数を冷戦集結後に引き継いだロシア海軍の中核は老朽化する艦艇だが、艦の改良が徐々に効果を上げている。ロシア海軍は国威発揚の効果を各地で発揮している。
  2. ロシア海軍の艦艇数は79隻で、うち空母一隻、巡洋艦5隻、駆逐艦13隻さらに潜水艦52隻である。少数の攻撃潜水艦、巡航ミサイル潜水艦を除くと実質的に現有艦艇すべてが冷戦時代に建造された艦である。長年にわたる予算不足でロシア海軍は慢性的に即応体制が満足に維持できていない。大型艦では空母アドミラル・クズネツォフや太平洋艦隊旗艦ワリャーグがタグボートを同行して長距離航海に出ているのがたびたび目撃されている。老朽艦のうち何隻が実用に耐えるの不明であり、戦闘力を十分に有する艦数も不明だ。
  3. ロシアはソ連から揚陸作戦能力も引き継いでいる。中心のアリゲーター級ロプチャ級の揚陸艦20隻余りは1960年代から建造されており、今日では陳腐化している。そこでミストラル級強襲揚陸艦2隻をフランスから購入し不足を補おうとしたが、クリミヤ介入で実現が困難になった。

  1. ソ連同様にロシア海軍でも中心は潜水艦部隊である。ロシアはリスト上では原子力攻撃潜水艦15隻、通常型攻撃潜水艦16隻、巡航ミサイル潜水艦6隻、弾道ミサイル潜水艦9隻を運用している。ただし一部は長期修理中であり、ほとんど全数が冷戦時の旧型艦でもあり何隻が作戦可能なのか不明だ。弾道ミサイル潜水艦9隻がロシアで貴重な第二次核攻撃任務にあたっており、おそらく艦隊では最高度の作戦態勢を維持しているのだろう。
  2. ロシアは海軍部隊の大幅拡充の案を持つが、大部分は案のままになっている。空母も最低あと一隻、新型名称不明の誘導ミサイル駆逐艦数隻、ボーレイII級弾道ミサイル潜水艦数隻、ヤーセンII原子力攻撃潜水艦、改キロ級、ラーダ級通常型攻撃潜水艦の取得を想定している。潜水艦は建造中だが、空母や駆逐艦の予算確保ができず、構想のままだ。

英国
  1. リストには載るものの英海軍は歴史的な退潮段階にある。英海軍も英軍の例にもれず装備人員を削減されてきた。インヴィンシブル級空母二隻と艦隊航空部隊のシーハリヤーの退役で英海軍戦力は大幅に縮小されている。それでも核兵力と次世代空母の建造案があることで四位となった。
  2. 上位五カ国中で英海軍の規模は最小で、人員は33,400名が現役、予備役2,600名に過ぎない。艦艇は大型強襲揚陸艦3隻、フリゲートおよび駆逐艦19隻、原子力攻撃潜水艦7隻、原子力弾道ミサイル潜水艦4隻で構成。航空部隊は149機で大部分がヘリコプターだ。
  3. 水上部隊の中核はタイプ45誘導ミサイル駆逐艦ダーリング級の6隻で高性能サンプソンレーダーを搭載し、米海軍イージスシステムのSPY-1Dとほぼ同等の性能がある。48発のアスター対空ミサイルも搭載して弾道ミサイル含む広範な対応可が可能だ。
  4. 英海軍潜水艦部隊は十数隻に縮小している。原子力攻撃潜水艦7隻はHMSアステュート級に更改され、陸上攻撃用トマホークミサイルとスピアフィッシュ魚雷が導入されれば世界有数の潜水艦となる。ヴァンガード級弾道ミサイル潜水艦四隻が英国の核抑止力となっており、各艦(潜水時排水量15,900トン)はトライデントD弾道ミサイル16発を搭載する。
  1. 英海軍に間もなく大幅な戦力拡充の機会が訪れるのは、新型空母二隻HMSクイーン・エリザベス、HMSプリンスオブウェールズの建造だ。各満載排水量7万トンで英海軍の歴史上最大の艦となる。F-35Bを36機とヘリコプタ0数機を各艦で運用する。

日本
  1. リスト五番目は異例の存在だ。なぜなら正確に言うと海軍ではないからだ。海上自衛隊(MSDF)は軍事組織ではなく、隊員は公務員であり兵員ではない。目立たないうちに日本は世界有数の高度に発達し訓練を受けた人員で構成した海軍兵力を整備した。
  2. 海上自衛隊は艦船114隻、人員45,800名規模だ。中心は駆逐艦部隊でシーレーン防衛で日本の物資輸送を守ることは第二次大戦から変わっていない。駆逐艦合計46隻は英海軍、フランス海軍を合わせたより多く、近年は新任務に合拡充されている。2000年以降はイージス駆逐艦が北朝鮮弾道ミサイルに対する防御の役目を担っている。
  3. さらに「ヘリコプター駆逐艦」といわれる艦種を建造している。通常の駆逐艦の二倍の大きさがあり、外観(内部も)は空母に類似している。実はヘリコプター駆逐艦とはヘリコプターを発進させる空母そのものであり、将来はF-35Bの運用も可能かもしれない。
  1. 揚陸能力はまだ整備中だが拡大に向かっている。戦車揚陸艦三隻は9,000トンで300名を揚陸させるほかヘリコプターとホーバークラフトで車両も運ぶ。先のヘリコプター駆逐艦も新設の海兵隊機能を有する旅団から大隊単位で搬送し、アパッチヘリコプターで航空支援を行える。
  2. 潜水艦部隊は世界トップクラスだ。16隻ある中でそうりゅう級が最新で、空気非依存型推進方式を採用して通常型潜水艦としては異例に長く潜水できる。また日本の潜水艦部隊は新造艦が多いため平均艦齢が若く、平均18年から20年で退役しているが、隻数を22に増やしてPLANの戦力増強に対応するとの発表があった。

本稿はThe National Interestからの転載。本稿の筆者カイル・ミゾカミはサンフランシスコ在住でThe Diplomat、 Foreign Policy、 War is Boring、The Daily Beastへの寄稿の他、2009年からブログJapan Security Watchを共同運営している。



2016年5月6日金曜日

★イランのRQ-170ハッキング奪取事件(2011年)を受けてサイバーセキュリティ強化を続ける米無人機



Iran–U.S. RQ-170 incident has defense industry saying 'never again' to unmanned vehicle hacking

May 3, 2016

THE MIL & AERO COMMENTARY, 3 May 2016.
unmanned cyber

2011年に発生した米RQ-170事件は米軍の無人機開発でいまだに悩ましい記憶だ。イラン軍はサイバー戦でRQ-170センティネルステルス無人機の操縦を乗っ取り機体を奪取した。同機はイランの都市カーシュマル近郊を飛行中だった。
  1. 米軍はイランのハッキングで同機が奪取された事実はないと事件直後に言っていたが、オバマ大統領はサイバー戦による仕業であることをその後に認めた。
  2. 敵性勢力、テロ集団のサイバー戦専門家がまた無人機をハッキングすれば重大事態となる。米指導部が再発は許さないと決意しているのは明らかだ。
  3. RQ-170事件を受けて無人機ではサイバー面での安全確保がペンタゴンで優先事項のトップに上り、多段階の暗号化や領域横断方式の解決策等の新技術の採用が米国内無人機業界の熱い注目を浴びている。
  4. 無人機の安全を巡る懸念が依然として強いことは今週ニューオーリンズで開催された無人機国際協会(AUVSI)主催の展示会でも感じられた。
  5. UAVの指令操縦機能、状況認識能力やセンサー情報のダウンリンクなどすべて無線通信に依存しており関連企業はサイバー保全関連の自社製品を展示していた。
  6. 民生用暗号技術に国家安全保障庁(NSA)方式の暗号化を組み合わせれば多段階の安全確保対策となるとの提案もある。その他の有望な解決方法としていわゆるレッドブラック方式のネットワーク構成として安全対策のある、ない両方のデータを同時処理するものがある。NSAが認証する方法で民生用暗号技術を採用する動きも現れている。
  7. 米軍無人機の乗っ取り、ハッキングは今後は誰もできなくなるのは確かなようだ。■


中国の軍改革、戦略戦術の変化は要注意 本質を見抜く目を鍛える必要あり



習近平が陸軍兵力を30万名削減すると公言した裏には人民解放軍がどんどん変革を続けていることがわかります。(芸能兵など存在自体が疑問な兵員もいるのですが) 情報化、宇宙、サイバー含む全領域での優位性確保、さらに各軍統合運用などと米国の姿に近づいていくのがわかりますがその実力はいかに。決して侮ることは許されませんが、鄧小平が始めた軍の近代化が現在も着々とと進んでいることには注意が必要です。

What PRC President Is Really Doing; What The Uniform Means

By DEAN CHENG on May 03, 2016 at 4:01 AM

Xi Jinping in military uniform
習近平が軍服を着用して軍事司令部を訪問した姿が公表され、その説明文で「最高司令官」の表現があったことが中国内外で注目を集めている。
  1. 軍服姿は中国の軍事大国化を反映したものなのか。「最高司令官」という肩書は軍との政治的緊張の反映なのか。残念ながらこういった視点では本質が見えなくなる。
  2. 米国の分析は細部にこだわりすぎる傾向がある。習がどんな服を着ているのか、自らの立場をどんな語句で表現したのか等々だ。一方でもっと大きく根本的な変更が進む状態が検討対象になることは少ない。
  3. まず、習は迷彩軍服で今回の視察に臨んだが、2013年の潜水艦、2014年の別の機会にも軍服で写っているので、今回は先例ではない。
  4. また中国語の表現 “zong zhihui”には全体指揮官という意味があり、状況が異なれば別の人物もこう呼ばれる。たとえば神舟宇宙船の船長で同じ表現が使われている。
  5. 習近平の肩書は中央軍事委員会(CMC)の委員長であり必然的に軍の最高司令官であることを忘れてはいけない。中国の報道では本人を中国共産党中央委員会総書記長、国家主席、中央軍事委員会委員長と表現しており「全体指揮官」に先行していた。肩書が加わったのかは別としても、習が軍を掌握していることに疑問の余地がなく、バラク・オバマ大統領が軍の最高司令官というのと大差はない。
  6. むしろ注目すべきは習が視察した施設で、軍事委員会統合指揮所 (junwei lianzhi zhongxin; 军委联指中心)は人民解放軍PLAが各軍の統合運用を重要視している象徴でありPLAで進行中の大改革も反映している。
CSBA graphicPLA Modernization: Getting Ready to Fight “Informationized Wars”
  1. 第一湾岸戦争の終結後に人民解放軍は統合運用重視に傾き、他国の戦闘事例を観察分析したPLA上層部は将来の戦闘は各軍統合運用で高性能兵器を使って行われると結論付けた。
  2. その一環で1999年は「規程の年」と呼ばれ、戦闘用規則や教本が大幅改定されている。その後にPLAの装備や訓練方法が近代化されている。
  3. NATOによるバルカン地方介入、米軍のアフガニスタン侵攻、サダム・フセイン政権の転覆を横目にPLAは演習を通じ統合運用の経験を積み、将来戦の構想を進歩させてきた。以前は「近代的かつハイテクを投入した局地戦」が以前の定義だったが「情報化を前提の局地戦」に変更し、情報や情報技術で戦闘支援を行うことに加え、情報自体が戦闘における中核要素だと定義されるに至っている。「情報優勢」の確保がこれからの戦場で決定的要素になるとの考えだ。
Chinese DF-21 missile launchersChinese DF-21 missile launchers
  1. そこでPLAを将来戦に対応させるべく組織面で三つの大改革を行っている。まず、戦闘部隊の再編があり、従来の軍区7個は5つの戦区に改編された。重要なのは各戦区に統合作戦本部を置いたことで、CMCの統合作戦センターとつなげ各本部を統括するのだろう。これまで統合作戦司令部はその都度臨時に設けられ恒久的組織ではなかった。
  2. 習の視察での政治的な意味を考えると、PLA全体に統合司令機能による共同作戦実施が定着したと示しているのだろう。習が軍事委員会の統合司令センターに姿をあらわしたことでセンターの最高司令官の役割を果たしてと誇示しPLAの新方式は全体司令官である習自身が推進していると公にしたといえよう。
  3. さらに軍事活動全体を統括する中央軍事委員会(CMC)では四つあった総局を15の部門、事務局、委員会組織に改編した。これは兵力動員の準備態勢、訓練水準を引き上げる狙いがあるとみられる。CMCの組織をいじるのは1999年以来のことであり、1960年代の創設以来最大規模の変更になった。
  4. 組織再編の一環として総参謀部は統合参謀部に再編されている。これもPLAが統合作戦で戦闘を行う想定になっていることのあらわれだ。
  5. 最後に軍の数が増えた。かつては地上軍がPLAで政治的組織的に主流だったがCMCの15部門等で陸軍はもはや中心ではなくなっており、CMCでは陸軍出身が多数だが残りの軍とは平等の立場と位置付けられている。
  6. その一方でPLA第二砲兵隊は従来は特別部隊の位置づけが今回独立軍に昇格しPLAロケット軍となった。同時にPLA戦略支援軍 (PLASSF)があり、今回の軍改革の中で最も特徴のある存在となり宇宙軍、電子戦軍、ネットワーク戦部隊がここに含まれる。
  7. ロシアは空軍を航空宇宙軍に変えたが、中国は情報戦軍を発足させている。情報面での優位を情報化戦闘で確保するべく、PLAは電子、ネットワーク(サイバー)、宇宙の各領域で優位性確保に乗り出した。そのため専門組織を作り新しい教義を作り、訓練を統合して任務にあたるよう期待しているのが明白になった。
Graphic courtesy Sen. Dan SullivanGraphic courtesy Sen. Dan Sullivan
  1. 一つ一つの改革は軍組織の地殻変動的な変化につながる。各方面で進行中の改革はかれこれ30年前からあり、習近平は各実施内容を監督するが各施策の実施は指導部の指示をいかにPLAが真剣に受け止めているかの表れで、指導部は戦闘に備え、次の戦いでは勝利をおさめよ、と強調している。■


GW特集(終) フォークランド戦争でのヴァルカン爆撃機SEAD任務の裏側


ゴールデンウィーク特集の最後は1982年のフォークランド戦争での英空軍ヴァルカン爆撃機による長距離爆撃ミッションの顛末です。確かアセンションからフォークランドへの往復では給油機を16機配置し(給油機の給油機も必要だった)、これを教訓に英軍は空中給油機材の整備に乗り出したのでしたっけ。肩がこらない読み物はこれでおしまいです。

The story of the SEAD Black Buck missions flown by Royal Air Force Vulcan bombers during the Falklands War

By Dario Leone May 03 2016 - 0 Comments


英空軍のアヴロ・ヴァルカンは当初1982年早々に全機退役の予定だったがフォークランド戦争が同年4月に勃発し、退役は先送りされた。RAFは同機とともにヴィッカース・ヴァリアント、ハンドレページ・ヴィクターと合わせ核抑止力爆撃機V部隊を編成していた。

  1. フォークランド戦争はヴァルカンを実戦投入した唯一の機会となった。計七機による「ブラックバック」任務でポートスタンレーを標的にし、うち三ソーティーはSEAD(敵防空網制圧)としてAGM-45シュライクミサイルを間に合わせの翼下パイロンから発射している。
  2. 英軍の航空作戦には対空レーダー二基が脅威だった。アルゼンチン空軍はウェスティングハウスAN/TPS-43F一基を4月6日にスタンレー空港近くに配置しており(その後市街地内に移動し温存を図った)、アルゼンチン陸軍もカーディオンTPS-44レーダーをスタンレー近くの道路わきに配置していた。
  3. アルゼンチンのレーダーを破壊するためRAFはマーテルミサイルの使用を想定していたが、米空軍がAGM-45を供与した。
  4. R.バーデン他共著の「フォークランド航空戦」 Falklands The Air Warで説明があるように、レーダー攻撃任務のヴァルカン一号機は5月28日にアセンション島のワイドアウェイク飛行場を離陸し、機材はXM597だった。
  5. 残念ながら同機は空中給油用のヴィクターで給油ホースドラムユニットで故障が発生したためミッションを中止している。「ブラックバック5」は5月30日深夜に離陸し、同じ機材乗員を使い、今度はシュライクミサイルの発射に成功したが、AN/TPS-43Fの損害は軽微で攻撃24時間後に運用を再開した。
  6. 同じ機体乗員は「ブラックバック6」として6月2日にワイドアウェイクを離陸し、今度はシュライク4発を搭載し、同じレーダーを狙った。
  7. AN/ATPS-43Fの電源が切入りを繰り返している間にヴァルカンは接近した。6月3日になったばかりだった。
  8. 同機は上空で40分ほど待機しレーダーの電源が入るのを待っていたところ、機内のレーダー警告受信機(RWR)がアルゼンチン陸軍のスカイガードレーダーを探知した。第六〇一対空砲兵隊の火器管制用で、同隊はポートスタンレー近くに展開していた。ヴァルカンは直ちにシュライクミサイル二発を発射し、レーダーは破壊された。
  9. さらに数分間滞空しAN/TPS-43Fレーダーの電源が入るのを待ち、ヴィクター給油機から空中給油(AAR)を受けた。ワイドアウェイクへの帰路半ばの地点だった。
  10. だが給油用先端が破損しAARは中断され、機体はブラジルのリオデジャネイロ空港へ航路を変更せざるを得なくなった。
  11. 燃料が乏しくなったため高度を40,000ft に上げ、燃料消費を少しでも抑えようとした。また残るシュライクミサイル二発を放棄しようとしたが一発は不発に終わりパイロンについたままだった。投下用の別系統がなかったためだ。
  12. 乗員はコックピットの与圧を解除したあとで機密書類を機外に放棄した。その後外交チャンネルでリオデジャネイロの英大使館経由でブラジル側ATCに連絡が入りヴァルカンはリオ・ノガレアオ空港に緊急着陸した。
  13. 着陸しエンジンを停止した時点で燃料残量は2,000 lbsだけだった。ブラジル側は機体を不発ミサイルを付けたまま抑留し乗員は空港内でよい待遇を受けた。乗員は帰国の申し出を断り、機体とともに空港に残ることとした。結局6月10日に機体も併せて帰還が認められアセンション島へ戻っている。■
Wild Weasel Vulcan
Image credit: Crown Copyright

2016年5月5日木曜日

★オーストラリア潜水艦選定結果>日豪関係と選定結果は別の話と見るのがオーストラリア多数意見のようですが....



さて日本では当面の入札失敗の犯人捜しをするのでしょうが、当のオーストラリアでは選定結果を受けて建造、配備、運用など先のことを中心に考えているようです。その中で日本の論調を伝えるこの記事は貴重な存在になるかもしれません。日本の戦略思考の程度とともに品格が問われそうですね。今回はオーストラリア専門サイトからご紹介します。この案件は当面大きな進展がない限りこれまでとします。

Goodbye Option J: The view in Japan

3 May 2016 6:09PM
今週オーストラリアは潜水艦HMASランキンを日本へ派遣し共同演習に参加させ、二国間協力を促進するが、先週に三菱重工業が12隻の潜水艦建造事業で落札に失敗したことを公表したばかりだ。オーストラリア国内では入札プロセスでの日本の取扱いについて批判がすでに生まれているが(下参照)、当の日本はどう見ているのだろうか。
  1. 日本メディアは潜水艦事業の顛末に極めて高い関心を示しており、選定結果が出た今はこの傾向が強い。日本は軍事ハードウェアの輸出を可能にする改正まで行いオーストラリア向け潜水艦事業は初事案になると期待していた。特に潜水艦の共同建造は日豪並びに日米豪の防衛協力の強化につながると見ていた。
  2. 日本としては提案が採択されるものと見ていた。読売新聞は天地がひっくり返ったようだと政府の驚きぶりを表現している。The Australian紙への記事でグレッグ・シェリダンが日本で政治家や外交評論家に取材しており、日本が戦略パートナーとしてのオーストラリアへ厳しい視線を見せている様子を伝えている。特にオーストラリアと中国の関係を問題視しているようだ。
  3. オーストラリアではDCNS案の採択は日本との二国間関係とは切り離してとらえられている。しかし日本では不採択の理由に関心が集まっており、今後の影響については二の次のようだ。
  4. 日本メディアで一番目立つ論調は三菱重工業の経験不足かつオーストラリア国内建造に熱意を示したのが遅すぎたというものだ。フランス、ドイツ側がオーストラリア国防筋や政治家に積極的にロビー活動を展開した一方で日本案を売り込んだのは在オーストラリア日本大使だったという。日本の防衛関係者の一部が機密性の高い防衛技術の輸出に及び腰だったのも日本に熱意が不足していた理由とされる。
  5. 記事の多くが日本案の不採択理由を国内政治に求めている。オーストラリア前首相トニー・アボットが2015年早々に「競合評価手順」を導入したことに言及するものもあるが、それよりも同年後半に首相がマルコム・ターンブルに交代した意味を重視しているようだ。
  6. 目を通した記事の半数が中国の影響を取り上げている。読売新聞は「もしオーストラリアが中国に配慮して日本案を不採択としたのなら見過ごすことはできない」とし、日経新聞はオーストラリアが中国の機嫌を損ねたくなかったのではないかとの見方を紹介しているがこれは日本政府内部にも広がる見方と同一だ。Newsweekはターンブルの訪中と潜水艦事業の採択発表までが極めて短期間であり、首相には中国と親族・ビジネスを通じたつながりもあると指摘している。
  7. 今後の日豪関係での展望はわずかだが、以下の記事が目立つ。
  8. 産経新聞は日豪、さらに日米豪の協力にひびが入れば中国の南シナ海軍事拠点化が止まらなくなると警鐘を鳴らしている。南シナ海での各国共同パトロール案は検討の価値があり、安倍首相にはオーストラリアとの二国間関係強化を求め、日豪関係さらに日米豪の協力関係が失速していると見られないようにすべきと主張。
  9. 読売新聞は「アボット前首相は日米豪協力の重要性を認識していた。ターンブル政権にはアジア太平洋の安定性確保でどんな役割を果たすつもりなのかを説明してもらいたい」と述べている。
  10. メディアは今回の結果でショックと失望を伝える一方、オーストラリアの提案採択手順を批判する声は出ていない。日本国内ではターンブルの対日政策、対中政策はアボット政権との一貫性が高いと見ているものの、アボットが極めて日本寄りだっただけに今回の決定を日本メディアは従来の路線が変更になったと見ており、今後の論調でこの見方が出てくるだろう。

参考)4月26日にオーストラリアABC放送が伝えた関係者の声は以下の通りです。(テレビ番組からの書き下ろし)

Transcript

司会 オーストラリアの造船所ではカヌー一隻も建造できないとの悪口が当時の政府首脳から出て一年半ですが、その政府がこのたび史上最大の国防建造事業をフランスのDNCS案を採択し、500億ドルで設計、12隻建造まで一括して発注することになりました。ただし建造の大部分は国内で行います。国政選挙を数週間に控え、政府は国内雇用2,800名分が生まれると自慢していますね。政治部のリプソン記者が後で追加情報をお伝えします。

マルコム・ターンブル首相(画像) : これは象徴的な事業になります。海軍には大きな進展の日となりました。オーストラリアの21世紀経済にも大きな意義が生まれます。将来の雇用にも大きな日です。オーストラリア製、オーストラリアの雇用、オーストラリア生まれの鋼板、すべてこの国に朗報です。

デイヴィッド・リプソン記者: 事業の規模にふさわしい美辞麗句で首相は史上最大の防衛契約を交付することになります。

アンドリュー・デイヴィス(戦略政策研究所)(画像): 今回整備する潜水艦は足掛け50年の事業となり総額は900億ドルになります。

リプソン記者: フランスのDCNSはショートフィン・バラクーダ潜水艦12隻を原子力推進から通常型推進に変える形で建造し、就役を2030年以降と想定しています。我が国の国防には大きな進展となり地元製造業への活性化効果が期待されています。

ターンブル首相(画像) : さらに2,800名分の雇用がオーストラリアで波及効果として生まれ、経済効果は実に大きなものがあります。

リプソン記者:南オーストラリア州の産業界は信頼を試される機会になりますね。わずか17か月前に当時の国防相ディヴィッド・ジョンストンが造船企業ASCを公然と侮辱していました。

ジョンストン前国防相(画像) カヌー一隻もまともに作れないあそこを信頼していないとわからないかな

リプソン記者: この発言がでて一か月後にジョンストンはアボット政権から更迭されました。当時首席補佐官だったショーン・コステロがDCNSの採択を今回成功に導きました。公職にあった時から何らかの情報を知っていたのではないですか。

ショーン・コステロ(DCNSオーストラリア法人CEO)(画像) DCNSで働くことは政府の事前審査と承認済みを経て実現しており、事業関係者すべてで異論がないはずです

リプソン記者: 今回DCNS案が差がつけたのはバラクーダのステルス推進方式、ポンプジェットです。

コステロ(画像): ちょうどプロペラ機とジェット機のちがいのようなものです。ローターと(聞き取り不能)が防護枠の中でずっと低い音紋つまり騒音しか生みません。

リプソン記者: 探知が困難になりますね。

コステロ(画像): ずっと困難になりますよ。

リプソン記者: 政府としてはDCNSが12隻全部をオーストラリア国内で建造する点が気に入ったわけですね。

コステロ(画像): 一部はフランスで作業します。特殊な部分です。それでも全体の10%未満でしょう。

リプソン記者: フランス案はドイツ案、日本案より抜きんでいました。敗れた両国は失望感を表明してますが、日本のコメントがとくに辛辣です。日本の防衛相は選考結果は大変遺憾といっています。

アンドリュー・デイヴィス(画像): 今回の選定で日本の取り扱い方では問題があったと思いますよ

リプソン記者: 問題はトニー・アボットが日本から潜水艦を「完成品」として導入する話を付けたとの報道があったときから始まっていました。南オーストラリア州はこれに対して国内造船業の将来で懸念を表明しました。さらに議会内の勢力を考慮して党から追放される前日にアボットは言い方を変えて競争評価手順で行くと発表しています。

デイヴィス(画像): 南オーストラリア州とアボット氏の政治関係が日本政府をいやいやながらヨーロッパの民間会社との競争に従わせたのだと思いますね。ヨーロッパ各社には状況は困難だったのです。すると安倍氏は国内で潜水艦輸出の承認を得るべく政治力を多用しました。これまで防衛装備の輸出実績がない国にとっては大きな案件です。そこでオーストラリアはこの微妙な事情を理解してあげて何らかの穴埋めをする必要があります。

リプソン記者: 日本は残念に思っていますが、オーストラリア国内の専門家は選定結果は正しいと見ています。

ピーター・ブリッグス(潜水艦専門家(画像): 日本はこれまで自国内で潜水艦を時間をかけて発達させてきましたが、フランスやドイツの潜水艦の作り方と比べると時代遅れです。

リプソン記者: ではここから難しい話題です。オーストラリアは現在六隻のコリンズ級潜水艦を運用中で、まず2036年に一隻が退役となります。なんか遠い先の話に聞こえるかもしれませんが次世代の潜水艦は相当複雑な仕組みであり、建造が遅れれば一号艦就役が2030年代に先送りされ我が国の国防力に穴が開いてしまいますが、域内での武力紛争の可能性が高まっていきます。

ブリッグス(画像): まず三隻が2030年、2032年、2034年に稼働可能となります。さらに9隻が加われば相当の強化になります。ただし設計工程に時間をかけすぎると一号艦の就役が2035年になり、現有の六隻も稼働できるよう維持する必要があり、2030年時点で望ましい形になりません。とくにこれからの戦略構図を考えると。



不動の決意作戦>米海軍SEALに戦死者発生、12月以来の激戦があった模様


連休続きでのんびりしている日本ですが、イラクでは相当の激戦が今週あった模様です。そこで米海軍SEALに戦死者が発生したことが話題になっています。自由と繁栄の代償とはいえISISにより犠牲者が出るのは何とも悲しいことです。


UPDATED: U.S. Officials Describe Fight That Killed Navy SEAL Charles Keating IV

May 4, 2016 2:20 PM • Updated: May 4, 2016 4:52 PM

Special Warfare Operator 1st Class Charles Keating IV, 31, of San Diego. US Navy Photo
第一級特殊戦通信士チャールズ・キーティングIV(31) US Navy Photo
THE PENTAGON – 海軍SEAL隊員一名が北部イラクでのISISとの交戦で死亡したと不動の決意作戦司令部から5月4日に発表があった。戦闘は米軍の顧問支援チームとクルド人ペシュメルガ部隊がISISの奇襲攻撃を受けた中で発生した。

  1. 第一級特殊戦通信士チャールズ・キーティング(31)は迅速対応部隊(QRF)の一員としてテルアスクフ近郊の米軍小部隊の要請にこたえ出動した。同地はクルド人部隊とISISの前線から約二マイルの地点と米陸軍報道官スティーブ・ウォーレン大佐が四日午前に発表している。
  2. 12名ほどの顧問支援チームはテルアスクフでSIS戦闘員120名強が移動してくるのを発見。ISIS部隊は20両の「テクニカル」(民生車両を兵員輸送や武器搭載車両へ改装したもの)に分乗しブルドーザーも最低でも一台伴っていたとウォーレン大佐は述べた。
  3. ISISがペシュメルガ防衛線を突破したのは三日現地時間午前7時30分ごろで20分後に顧問支援チームからISIS部隊と交戦中との報告が入った。
  4. 「敵部隊が前方防衛線を攻撃し、テルアスクフに移動してくるとわが方の部隊は長期戦に自然にさらされた。直ちに迅速対抗部隊の出動要請を入れつつ、戦闘を続けたが隊員一名が銃弾を受け、救難隊が搬送している」(ウォーレン大佐)
  5. 顧問支援チームの緊急時にはQRFを送る体制ができていた。
  6. 戦闘は二時間以上続き、キーティングは午前9時32時に被弾したが、その時点でQRFがどの位戦闘に参加していたかは明らかにしていない。
  7. 「キーティングは直撃弾を受け、後方へ搬送されたものの傷が致命傷となった」「残りの米軍、連合軍側に負傷者は発生していないが救難ヘリは小火器から損傷を受けている」
  8. 米軍がISISと何時間交戦したかは不明だが、QRFおよび顧問支援チームが撤収して連合軍の機材が飛来した時点でもペシュメルガはISIS戦闘員と銃撃戦を続けていた。
  9. 「現地に航空機を派遣した。F-15、F-16、無人機、さらにB-52とA-10が戦闘に加わった」
  10. 「連合軍の空爆は有人機11機と無人機2機で31回を数えた。航空部隊が敵車両20台、爆弾トラック二台、迫撃砲三門、ブルドーザー一両を破壊しISIS戦闘員58名が戦死した。ペシュメルガはテルアスクフを再度確保した」
  11. 戦闘は14時間にわたり現地時間午後9時30分に終了した。
Photos released by ISIS that show some of the technicals alleged to have been used in assault on Tel Askuf
ISISが公表した写真ではテルアスクフ強襲作戦にテクニカルを投入したことがわかる。

  1. ウォーレン大佐はペシュメルガ側の正確な戦死者人数は把握していないと述べ、今回の戦闘は昨年12月以来最大規模だったと明らかにした。
  2. 三日のロイターではキーティングが狙撃されたとのペシュメルガ側の情報を伝えたが、ウォーレン大佐は状況ははっきりしていないと述べた。
  3. 「直撃を受けたのは事実。だが銃撃戦は非常に活発でその中で銃弾を浴びている。狙撃銃なのかAKの銃弾かは不明だ」
  4. ウォーレン大佐の報道発表を受けて海軍からキーティングの経歴発表が出た。
  5. インディアナ大では長距離ランナーで、海軍入隊は2007年だった。2008年に基本水中破壊教程(SEAL訓練)を修了し、イラクに自由作戦で二回、アフガニスタンへ普及の自由作戦で一回派遣されている。
  6. 「その後西海岸狙撃偵察訓練部隊で主任下士官となり、教官を務めた後で西海岸のSEALチームに分隊主任下士官として2015年2月に復帰している」と海軍特殊戦第一集団発表の資料が述べている。
  7. 「イラク派遣は三回目で、不動の決意作戦の支援中に戦死したことになる」
  8. キーティングの戦死は3月のルイス・F・カーディン二等軍曹(第二十六海兵遠征部隊第六海兵連隊第二大隊)に続くものとなった。カーディン二等軍曹はモスル近郊の火力支援陣地でISISのロケット弾攻撃を受け死亡している。■

★GW特集② オサマ・ビン・ラディン強襲作戦が暴露したステルスブラックホークの正体




Five years ago today the raid that exposed the Stealth Black Hawk helicopter

May 02 2016 - By David Cenciotti



オサマ・ビン・ラディン強襲作戦はMH-Xステルスブラックホークヘリコプターを暴露する結果になった。

  1. 2011年5月2日にオサマ・ビン・ラディンが殺害されたアボッターバードから届いた最初の写真には誰も見たことのない光景が写っていた。米海軍シールズ隊員が「海王の槍」作戦で使用し墜落したヘリコプターはいかなる機種とも違うようだった。
  2. 水平安定板とテイルローターは形状と取り付け位置もブラックホークとは異なり、テイルローターに異様なカバーが付き、ステルス性を意図したようだった。また騒音低減装置に装甲板がついていた。
  3. 尾部の残骸から筆者は機体全体像を想像してみたが、完全なステルスヘリコプターは相当の改装を受けレーダーから写らないようにしているのか、少なくとも低騒音に改造してあるのかと思った。
  4. 若干の想像力を働かせ、現場に残ったエンジンシールド、ローターカバー、メインローターのブレイド(回転速度を下げて静音効果を狙っていた)、RAM(レーダー吸収素材)塗装、直線を基調とした機体構成で現場で米海軍シールズチーム6が破壊しようとして残った残骸からAviationGraphic.com所属のアーティスト、ユゴ・クリスポニの助けを得て、「ブラック」ヘリコプターの想像図を作った。(上参照。結果はMH-60ブラックホークの改装型というよりS-76に似ている)
obl-raid

  1. その後若干の情報が浮上し、ブラックチョッパーの姿が見えてきた。2015年にショーン・ネイラーが著した「容赦なき攻撃」“Relentless Strike”がMH-Xの開発経緯で新しい詳細情報を紹介している。
  2. ネイラーの著書によれば強襲作戦に投入されたステルスヘリコプターは試作機でブラックホークをレーダーに映りにくくする構想の産物だった。機体はネヴァダのエリア51で第160特殊作戦航空連隊 SOAR がテストしたが、計画は打ち切りになっている。製作された二機は一定の条件では標準型MH-60よりも機体制御が改装により難しいと判明した。
  3. それでもパキスタン強襲作戦の成功を受けて計画は明るみに出て、2014年7月4日「ナイトストーカー」隊が「新型の」MH-Xに搭乗しシリアへ飛び、人質のアメリカ人ジャーナリスト、ジェイムズ・フォーリー他をISISから奪還する作戦(結果は失敗)にも投入されているという。ただしこの件は確認がとれていない。■


2016年5月4日水曜日

海上自衛隊TC-90のフィリピン貸与を伝えるAFP通信



古い機材とはいえまだまだ使えるのなら、ということで今回の話になったと思いますが、突破口になるのは確かですね。今後は別の案件も出てくるでしょうが、相手国の運用能力を総合的に確保するための支援も可能でしょうね。いわゆるキャパシティビルディングですが、ODAでは武器三原則のような解釈がまだできていないので、今後問題に浮上するかもしれませんね。今回は有償貸与ということで簿価以下の処分を禁じた国有財産のルールをうまく回避したようです。

Japan to Provide Military Aircraft to Philippines

Agence France-Presse1:20 p.m. EDT May 3, 2016
TC-90 海上自衛隊ホームページより
TOKYO — 日本がフィリピンに軍用機を貸与し、二国間安全保障関係を深化させ中国の影響力に対抗しようとしている。
  1. 中谷元防衛相とフィリピンのヴォルテール・ガズミン国防相の電話会談で合意が形成されたと防衛省が5月2日に発表した。
  2. 世界の原油の三分の一が通過する南シナ海での緊張は中国がサンゴ礁を人工島に変換し軍事利用に道を開いたことで高まっている。
  3. 合意内容では日本は上限5機のTC-90練習機を貸し出し、フィリピンはパイロット・整備要員を養成する。各機は監視用に使えると現地報道が伝えている。
  4. 自衛隊機材の外国貸与は初で、武器輸出制限の緩和で可能となった。
  5. 「南シナ海の平和と安定を維持する意味で関係各国との協力関係強化は重要との共通認識がある」と中谷防衛相は報道陣に語っている。「フィリピンの防衛能力向上は域内の安定確保につながる」
  6. TC-90の航続距離は1,900キロで、フィリピン海軍の現有機材のほぼ二倍と共同通信は伝えている。
  7. フィリピンはかねてから日本と連携強化を模索してきたが、南シナ海のほぼ全域を自国領土と主張する中国に対し各国の装備は大幅に劣っているのが現状だ。
  8. 先月は海上自衛隊艦船がフィリピンへ寄港し、二月には日本政府はフィリピン向けに対潜哨戒機やレーダーなど防衛装備の供与を決めていた。■