2017年5月15日月曜日

★★サイバー攻撃でF-35技術を盗んだ中国に対抗を迫られる米国の苦悩



サイバー攻撃がここにきてニュースになっているのは氷山の一角で、実行犯はなかなか判定できません。情報社会で開かれた社会を逆手に取るスパイ活動はこれまでもありましたが、サイバースパイはコストパフォーマンスが高いのが特徴です。では西側はどんな対抗策がとれるでしょうか。米国もやられる一方でたまらないので早々に抜本的対策を発表するのではないでしょうか。ロシアや中国に対抗すれば相手同様の社会になってしまう矛盾が生まれます。

US F-35 & F-22 vs. China's J-30 & J-31


Visit WarriorDAVE MAJUMDAR
Yesterday at 12:23 AM


  1. ロシアと中国はサイバー戦、サイバー諜報活動で米国に対抗するはずだ。
  2. 両国は情報を盗んでおり、米国のインフラを攻撃する能力を整備している。極秘データとされてきたロッキード・マーティンF-22ラプター、F-35共用打撃戦闘機、ベル=ボーイングV-22オスプレイの技術情報がサイバー諜報活動で敵の手にわたっている。
  3. 「サイバー脅威により世界各地の政府機能、規範への信頼が揺らいでおり、世界規模で余分な費用を生んでいる」と米国家情報長官ダニエル・コーツが5月11日に議会証言している。「サイバー脅威で公衆衛生、安全、経済活動にリスクが増えており、サイバー技術が重要インフラの一部に入り込んでいるからだ」
  4. サイバー空間ではロシアが一番手ごわい敵だ。「ロシアはサイバー攻撃で相当の実力があり最近は攻撃姿勢を一層強めている」とコーツは陳述している。「攻撃姿勢が表面に出たのは2016年の米大統領選挙への影響行使で、実行を承認できたのは最上級指導層だけで、攻撃目標の影響度と脆弱性を狙って選挙関連データが盗まれ暴露された作戦だった」
  5. 脅威は強まる一方で、クレムリンはさらに能力増強を続けている。「ロシアのサイバー作戦は今後も米国や同盟国を狙い情報収集をロシアの政策決定に活用し、ロシアの政治目標やロシア軍の支援につながる世論操作を行う。さらに将来の有事発生時に備えてサイバー環境を整備している」
  6. これに対し中国はサイバー諜報活動やサイバー戦で活動を縮小しているが、それでも目立つ存在だ。「当方の評価では北京は今後も米政府、同盟国、米国企業をサイバー諜報活動の対象にしていくと見ている」とコーツ長官は述べ、「民間の保安専門家は中国発のサイバー活動は依然活発と把握しているが、米中サイバー専門部会が2015年9月に発足してからは活動は相当低下している。北京はサイバー攻撃の標的をを海外で選別的に選んでおり、中国国内の治安や政権に悪影響と判断する標的を選んでいるのだろう」
  7. すでに損害が出ている。中国は高性能米製装備品の技術情報を大量に入手しており、例としてF-22やF-35がある。「敵側はサイバー活動により米側の軍事、経済での優位性を揺るがそうとており、米防衛産業、民間企業を対象に科学技術やビジネス上の情報を追い求めている。例としてF-35共用打撃戦闘機、F-22ラプター戦闘機、MV-22オスプレイの技術データが盗まれている。さらに敵側は政府関係者ならびに関連する民間企業関係者の個人情報を狙っている。こうした諜報活動により該当国は兵器開発の費用、時間を節約し、リバースエンジニアリングにより米国の軍事、技術、商業活動の優位性を揺るがしている」(コーツ)
  8. ペンタゴンはデータ盗難で高性能兵装装備を開発した中国への対応を想定している。米ノウハウを利用した例として成都J-20、瀋陽J-31の両ステルス戦闘機や電磁カタパルトがあり、後者は中国の次世代空母に搭載されるとみられる。米国が対抗策を強化しないと問題は深刻化する一方だ。

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


★★米海軍空母の将来像と最新フォード級空母の特徴



ちょっと長いですがご勘弁を。ここにきてスーパー空母というまで肥大化した空母に未来はあるのかという議論が米海軍では盛んなようで、一つの考えが小型空母(といっても6万トンクラスですが)CVLの復活となっているようです。あえて議論させて将来にも有効な戦力構造を確保したいという米海軍の考え方が見えてきますね。

Navy Contemplates Results of a Future Aircraft Carrier Study - Will New, Smaller Carriers Emerge in the Future?

米海軍が次世代空母のあるべき姿を検討中。新型艦は小型空母として登場するのか。

Visit WarriorKRIS OSBORN
8:03 AM

  1. 米海軍は将来建造する空母の検討に入った。艦体、大きさ、設計がどう変わるか。最新兵器で空母は脆弱になるのか、陳腐な存在になるのか。海軍はどんな答えを出すだろうか
  2. 米海軍が将来の空母で規模、形状、技術仕様、任務内容を変更する可能性が出てきた。海軍は外部シンクタンクの力を借り今後登場する脅威内容を検討したと海軍上層部が述べている。
  3. 海軍に協力したのは戦略予算戦略センター(CSBA)で技術モデル、形状、規模、技術面で将来の脅威に対応できる代替策を検討した。
  4. 長距離精密誘導対艦ミサイルや次世代極超音速兵器の前に航空母艦が無用の長物になるとの議論はずっと続いている。
  5. 海軍は空母仕様の代替案を今後検討しそうで、今年後半に就役する最新鋭ハイテク次世代空母がきっかけとなる。
  6. フォード級空母三隻、USSフォード、USSケネディ、USSエンタープライズの調達事業そのものには変更がないが、検討内容によってはそれ以降の米海軍空母の姿が変わる可能性がある。
  7. 現時点で具体案は明らかでないが、将来の空母では高性能のハイテクセンサーや防御兵装が導入され、高速かつ操艦性能を向上し敵攻撃を回避しつつ無人機の運用能力が付与されるはずだ。艦体は小さくなり、操艦性が上がり、無人機や長距離精密兵器を運用すると検討で想定している
  8. 同時にフォード級でも就役後に成熟化した新技術が搭載され、敵の脅威への対応が可能となる。海軍技術部はフォード級に最初から発展性を盛り込んだ。防御用兵装でも進歩が今後も続くため、将来の空母は極端に高度な脅威環境でも作戦能力を発揮できると海軍上層部は信じている。
  9. CSBA報告書の提言では従来の延長線上の空母に加え新型で敏捷性に富んだ小型空母を運用するハイローミックスが出ている。「海軍は新しい『ハイ/ローミックス』を空母でめざすべきだ」とCSBA報告書は述べ、報告書の表題は「米海軍力の復興、米海軍の艦船編成の新発想」となっている。
  10. 「原子力推進スーパー空母は米国と同等の戦力を有する大国の野望を抑止あるいは打破するため今後も必要であるが、その他の日常的なミッションである兵力投射、シーレーン警護、近接航空支援、対テロ作戦は小型かつ低コストの通常動力空母で十分対応できる」とCSBAは論述し、「今後五年間以内に海軍は大型揚陸強襲艦を小型空母に転換する作業を開始し、2030年代中頃を目標に新型艦を就航させるべきである」と述べている。
  11. CSBAは軽空母(CVL)として専用に建造された4万トンから6万トンでカタパルトと拘束ギアを備えた艦を想定した。
  12. またレーダー、レーザー、火器管制能力の向上、対空センサー、電子戦他防御兵装で技術が進展しても海軍やシンクタンクはフォード級空母の仕様変更は不要と見ている。また空母複数を「空母群」として運用し重装備巡洋艦や駆逐艦に空母の防御をさせる構想だ。

将来の空母像

  1. USSジェラルド・R・フォードはフォード級初号艦として新技術多数を導入し、予測される敵脅威に対応し、兵力投射手段としての空母を次世紀にも意味のあるものにする。
  2. 海軍はフォード級以降の空母は最低50年間の供用期間を持たせニミッツ級空母退役に一隻ずつ対応した建造を想定している。この建造工程表によればフォード級各艦は確実に22世紀まで供用され、2110年までは確実だと海軍上層部は述べている。
  3. 現行型空母にかわる代替策検討では今後登場する新兵器により超距離でも空母が脆弱な存在になるのかを検討の中心にした。敵攻撃に対応すべく高速かつ敏捷な小型空母の建造を主張する声も出ている。既存空母に新型防御装備を搭載する案も検討された
  4. 空母がいつの日にか陳腐化するとの主張もあった。ただしこの見方をとるアナリストや海軍上層部は少ない。兵力投射能力を空母と航空戦力で実現して米軍の世界各地での優位性につながっているからだ。
  5. 例として別のシンクタンク新アメリカ安全保障センターの研究成果では将来の脅威環境では米海軍空母の優越性が脅かされる可能性が十分あると指摘している。
  6. 「これまでの米海軍は世界いかなる場所でも自由に航行し行動できたが、その優位性が崩れる日が来る。近年では中国、ロシア、イランといった諸国が接近阻止領域拒否(A2/AD)に向けた軍事力を開発中で、高性能防空体制、対艦巡航・弾道ミサイル、潜水艦、航空母艦として実現しつつある。今後はこうした装備が各地に拡散し、米空母作戦が成約されるはずだ」
  7. また次の指摘もある。「米国に二つの選択肢が立ちふさがる。空母を従来より遠距離で敵の戦術航空機の航続距離外で運用するのか、あるいは高リスクを覚悟のうえで運用するかだ」
  8. 報告書が言及している兵器や新しい脅威内容も海軍、ペンタゴンから真剣に検討されている。

登場してきた脅威内容

  1. 中国軍が開発中なのが精密誘導式長距離対艦巡航ミサイルDF-21Dで有効射程は900カイリと見る専門家もある。移動中の目標に命中させる能力があるかで意見がわかれるが、狙いは空母を沿岸部分に近づかせないことだという。
  2. 米議会の米中経済安全保障検討委員会が2014年に発表した詳細研究で中国軍事力の近代化の内容を論じている。それによるとDF-21Dは「空母キラー」で、さらに強力な精密誘導対艦ミサイルを中国が開発中といわれる。
  3. ただしNational Interestでデイヴ・マジュンダーが海軍上層部がDF-21D対策を検討していると伝えている。さらに移動し続ける空母にとって中国の脅威が現実のものとなるのはISRと標的捕捉技術を十分な形で統合する場合だと海軍上層部は指摘している。
  4. マジュンダーの記事では海軍上層部は空母の電磁面、サイバー、ISR面での防御能力が今後向上し、敵攻撃の妨害や敵ミサイルの飛翔を逸らすことが可能となるとしている。
  5. 同委員会の指摘では中国が極超音速ミサイル実験も進めている。極超音速ミサイルが実際に配備されれば音速の5倍以上で飛翔し空母防御も対応を迫られる。
  6. ワシントン・フリー・ビーコンは4月27日、ペンタゴン関係者の言で中国が新型高速飛翔制御型弾頭のテストに成功したと伝えている。
  7. 「DF-ZF極超音速滑空飛行体が弾道ミサイル最上部につけたまま五寨Wuzhaiミサイル発射施設から打ち上げられたと関係者が述べている」と記事は伝えた。「飛翔制御可能な滑空体が時速数千マイルで飛ぶのが衛星から探知追跡され、大気圏ぎりぎりの高度で飛翔しながら中国西部の目標地点に命中した」
  8. 中国だけでなく多数の敵性国家が次世代兵器、センサーや技術を入手するはずである。
  9. センサー、航空機、無人機、潜水艦で敵側の技術水準は驚くほど速く向上しており、現状のままの空母だと敵の沿岸付近で作戦するのは面倒になるだろう。
  10. DF-21Dのような新兵器が出現しているが、米海軍上層部や専門家には30ノットで移動する空母を1,000マイル先から命中破壊させられるのか懐疑的に見ている。目標捕捉、誘導、移動目標への火器管制、ISR用の各装備を動員してはじめて宣伝通りの機能が実現できる。GPS、慣性測定器具、高性能センサーデュアルモードシーカーの各分野も急速な進展を示しており、この課題実現に利用できるが、DF-21Dのような兵器が移動中の空母を撃沈できるのか明確な答えがないままだ。
  11. さらに艦の防御面の改良も進んでいる。電子戦技術、レーザーの他、水平線の彼方から近づく対艦巡航ミサイルの捕捉撃破に向けた技術も育ってきた。その一例が配備が始まった海軍統合火器管制対空防衛システム(NIFC-CA)だ。ここでは艦載レーダー・火器管制に空中センサー、デュアルモードのSM-6を組み合わせ、長距離から接近する敵を捕捉、撃破することが狙いだ。艦載レーザー兵器やレイルガンも低コストの防御手段になるだろう。
  12. 将来の脅威環境で懸念があるのは事実だが、空母部隊の真価、有用性、重要性を疑う向きは少ない。

MQ-25スティングレイ空母運用無人空中給油機

  1. 無人空中給油機を空母から運用し、攻撃任務につく戦闘機を支援することを海軍が重視している。
  2. 新型空母運用型ステルス給油機はMQ-25スティングレイの名称がつき、F/A-18スーパーホーネットやF-35C共用打撃戦闘機といった空母航空隊の活動範囲を拡大させる狙いがある。これがペンタゴンが接近阻止領域拒否や長距離精密ミサイルで空母が狙われる事態に対抗する手段となる。
  3. 空母搭載戦闘機では戦闘半径が重要な要素だ。もしF-35CやF/A-18が500マイル600マイル移動して敵内陸部の標的を攻撃しようとしても敵が1000マイルの有効射程を持っていたら攻撃力は有効とは言えなくなる。
  4. そこで無人給油機から艦載機に空中給油することで長距離攻撃を実施できるようするのだ。
  5. 大型給油機には空軍の新機材KC-46Aもあるが、レーダー断面積が大きく標的になりやすく脆弱だ。そのため高機動無人機で乗員を危険にさらさず敵レーダー探知を避けながら攻撃機の空中給油をする必要があるのだ。
  6. MQ-25スティングレイの公開情報はわずかだが、海軍関係者はScott Warriorに背景にある戦略構想として「長時間飛行性能」を海軍関係者は新型機の基本性能と表現した。
  7. 海軍関係者は「運用が始まればMQ-25スティングレイは長時間にわたる空中給油能力とともにISR能力も発揮します。無人機は有人機の性能を引き上げ、効率よく安全に運用しつつミッションを実施させてくれるはず」
  8. 無人給油機により空母攻撃飛行隊は長距離運用が可能ととなり上記懸念の解消につながる。
  9. MQ-25スティングレイは開発取り消しになったULCASS無人艦載偵察攻撃機構想から発展している。ノースロップの実証機X-47Bは空母離着艦に成功した。海軍が求める空母運用無人機技術は着実に進歩している。

将来の空母航空部隊

  1. ステルス戦闘機、無人機、V-22オスプレイ、対潜ヘリコプター、レーザー兵器、電子妨害手段がすべて海軍の空母搭載航空戦力の一部となると海軍上層部は見ている。V-22は艦上輸送ミッションに投入するとすでに海軍は決めており、陸上から人員物資を空母に輸送する。
  2. 空母の抑止力としての効果、兵力投射の手段としての効果を念頭に海軍航空部隊総監が海軍の描く空母航空隊の姿をワシントンDCのシンクタンク、戦略国際研究所での講演で数年前に紹介している。
  3. 125マイル先の標的を攻撃できるS-500をロシアが開発中だとNational Interestが伝えている。そのS-500を含むロシアの地対空ミサイル各種にF-35Cは十分対抗できると海軍は見ている。
  4. F-35Cは2018年までに実戦化の見込みで2020年代中頃には相当数が空母に搭載されるはずだ。
  5. 「クラシック」と呼ばれる旧型F/A-18一部がF-35Cに交代される予定で、F-35Cではステルス技術以外にセンサー技術に期待が高まっている。将来の航空戦力の四分の三がF/A-18スーパーホーネットになると総監は述べた。
  6. 対潜戦ではMH-60R改修型が重要な存在と米海軍関係者は見ている。MH-60Rは対潜戦パッケージを搭載し低周波センサー、潜望鏡探知装置、データリンク、電子戦装置、前方監視赤外線レーダーを活用すると海軍は説明。
  7. グラウラーに電次世代ジャマーが子攻撃兵器として導入される。電子攻撃能力が大幅に向上するほかに複数の周波数で同時にジャミング可能となる。
  8. E-2Cホークアイ早期警戒機は性能向上型のE-2Dに更改中でレーダー性能が引き上げられている。

新空母フォード級

  1. フォード級空母各艦では次世代技術が多数導入されており、将来の脅威にも対応可能とする。飛行甲板は拡大されており、発艦機効率を33%増やす。これには電磁カタパルトを上記カタパルトに代えることが大きく、自動化やコンピュータ制御が各所で導入されている。
  2. また新型センサー、ソフトウェア、兵装戦闘システムも新型になっていると海軍は説明。
  3. 飛行甲板拡大の背景に将来の無人機運用の増加予想がある。
  4. USSフォードの発電容量は104メガワットもあり、開発中の電磁航空機発艦システム(EMALS)の稼働もめざす。さらに将来導入される予定のレーザーやレイルガンも想定していると海軍上層部は説明。
  5. USSフォードにはこのほかデュアルバンドレーダーや高性能拘束ギア含む装備で多大な電力が必要だ。
  6. レーザー兵器が実用化されれば空母搭載ミサイルの一部が不要になる。レーザーではおよそ300キロワット電力が必要だ。
  7. レーザー兵器が実用化されればハイテクで低コストの防御攻撃両面で有効な手段となり、敵ミサイルを焼け焦がす可能性が生まれる。
  8. フォード級では艦橋を再設計し、格納庫をやや広げ、兵装運搬用エレベーターの能力も拡大し、出撃回数増加に対応する。すべて高テンポでの戦闘支援を狙ってのことだ。
  9. このうち新型兵装用エレベーターはこれまでより効率よく兵装類を搬送し機体装着を早める効果を狙う。エレベーターは武器庫から直接兵装類を運搬できるので出撃準備の効率が上がり、着艦後の再装填も早くなると海軍は説明。.
  10. フォード級で採用する次世代技術と自動化で人的作業を減らせるので、乗組員数も減り、就役期間全体で40億ドルの節減効果が生まれる。■


2017年5月14日日曜日

★★北朝鮮対策で日本に必要な装備品はこれだ



今朝もミサイル発射がありましたが、北朝鮮との「冷戦」は長引きそうで、その間に以下推奨されている装備も順次導入されそうです。そこまで抑止力を整備されて困るのは中国なので、北京も北朝鮮による事態の進展を快く思わないのは当然でしょう。

The National Interest

5 Weapons Japan Desperately Needs to Fight North Korea 

日本が北朝鮮に対抗するためどうしても必要な装備品5種類


May 13, 2017


平和主義を目指し、国家政策実現の手段としての戦争を放棄した日本にとって北朝鮮は全く異質の国だ。不幸にも両国は336マイルの海で隔てられているだけだ。北朝鮮は旧宗主国を攻撃すると何度も脅かしている。核兵器、弾道ミサイル両面で技術開発を躊躇せず進める北朝鮮の脅威は今や日本にとって現実のもので、核攻撃を再び受ける可能性が出てきた。

韓国情報機関によれば北はノドン中距離弾道ミサイルへの核弾頭装着を実用化済みで、日本も射程に入る。日本にはイージス戦闘システムとペイトリオット迎撃ミサイルという二重の弾道ミサイル防衛体制があるものの、三番目の防衛策を追加する必要を感じているようだ。北朝鮮ミサイル脅威に対抗する日本に必要な装備品は以下の5種類だ。

1. イージスアショア
イージス戦闘システムの陸上版で、日本にはイージス搭載駆逐艦が4隻しかなく陸上に恒久施設を置き毎日24時間稼働させれば駆逐艦を本来任務に解放できる。また陸上装備を整備するほうが駆逐艦建造より安上がりだ。
イージスアショアのなかでもベイスライン9版でSM-3ブロックIB迎撃ミサイルを運用すれば北朝鮮の短距離、中距離ミサイルに有効だ。また中国によるミサイル大量発射の事態にも対応可能だ。

2. グローバルホーク
日本はすでにRQ-4無人機を3機導入する予定で北朝鮮を意識しているのは間違いない。だがこれでは不十分だ。有事の際には北朝鮮ロケット軍は探知を逃れるため各地に分散するだろう。ミサイルの移動先は予測可能で北朝鮮には舗装道路は500マイルしかないが、新型の北極星2中距離弾道ミサイルは軌道付き搬送車でオフロード走行も可能だ。そうなると北朝鮮国内各所で移動式ミサイルを探る必要が増える。
北朝鮮ミサイルへの対抗策としてグローバルホークを同時に複数投入する必要がある。RQ-4の追加購入があれば航空自衛隊は同時並行で探知追跡と攻撃効果の評価を北朝鮮各地で展開できる。追加調達分は予備機材にもなり他地区での緊急事態にも対応可能とする。

3. KC-46ペガサス空中給油機
日本にはKC-767J空中給油機が4機あるが弾道ミサイル対抗作戦の長期間支援用にはあまりにも数が少なすぎる。KC-46A給油機の調達決定を2015年にしたが、有事には日本海上空の戦闘哨戒で本土からなるべく遠い地点で敵機を迎撃する必要があるのだ。
さらにF-35A共用打撃戦闘機で防空網制圧ならびに攻撃ミッションを北朝鮮で展開する際に給油機支援は必須だ。常時カバーするためKC-46Aが十数機は必要だろう。

4. MQ-9リーパー無人機
ISR機材で北朝鮮の移動式ミサイル発射装置が探知できれば、日本は迅速に破壊に出る必要がある。ミサイル対抗作戦では迅速性が肝要となれば、北朝鮮防空体制を制圧する前に実施となり、攻撃ミッションのリスクは高い。そこでMQ-9リーパー中距離長時間飛行可能無人機にミッションを実施させればよい。燃料と弾薬を搭載して日本国内から出撃し、北朝鮮上空を長時間パトロールできる。
リーパー長距離型では主翼に燃料タンクを追加し、日本海を横断させ北朝鮮全土を「キルボックス」区画で分け一機以上を割り当てる。ヘルファイヤーミサイル、GBU-12爆弾(500ポンド)、GBU-38共用直接攻撃弾を搭載すればリーパーは迅速かつ正確に北朝鮮ミサイル車両を破壊できる。

5. トマホーク巡航ミサイル
北朝鮮を先制攻撃する決断に日本が動けば「ドアを蹴破る」装備が必要となる。つまり、防空レーダー、地対空ミサイル陣地、発射準備中ミサイルの攻撃だ。低空飛行で侵入するトマホークミサイルは北朝鮮の旧式防空網を突破し、1,000ポンド高性能爆破物弾頭で目標を破壊できる。日本のF-35A部隊がその後で攻撃に駆け付け北朝鮮のレーダー防空体制をさらに弱体化するシナリオだ。

日本は最小限の防衛能力に限定してきたことを誇りにしてきた。日本の防衛予算はGDP1%相当でNATO加盟国に求められる比率の半分だ。また日本は攻撃兵器の調達を避け、純然たる防衛姿勢につとめてきた。だが北朝鮮が核攻撃の脅しをかけているためこれまでの政策が方向転換を迫られるかもしれない。
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009, he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

2017年5月13日土曜日

★★★ついに100年飛ぶことになったKC-135


機体に窓がないKC-135は恐ろしく長い期間にわたり供用されており、さらに延長されることになりました。もちろん空軍整備陣の保守管理もあるのですが民間では考えられない事例ですね。しかし100年間の供用期間というのはすごいですね。B-52等もあり空軍の機材が高齢化していくということですね。


This Air Force plane will be over 100 when it flies to the boneyard この空軍機は100年飛び続けてから機体墓場に送られる


By idcostaMay. 10, 11:32 AM
KC-135ストラトタンカーは今でも米軍装備で最古の機体に属すがさらに供用期間を40年延長され最古の機体になると航空機動軍団司令官のカールトン・エバーハート大将が述べている。
  1. 同機が退役すると100年を超える供用期間となり、米史上他に例がない事態となる。供用開始の1956年以来米国が関与した戦役すべてを支えてきたストラトタンカーは米空軍でもっとも親しみを持たれる機体といえよう。
  2. KC-135全機がボーイングKC-46ペガサスにより更新の予定だった。だが予算削減とKC-46調達削減により空軍は給油機不足に各地で直面し戦闘機材の活動にも支障がでてしまう。そこでKC-135を「スーパーストラトタンカー」とでも呼ぶべき仕様に改修し40年の供用期間延長を狙う。その時点でKC-Z後継機がストラトタンカーに交代する予定だ。
Crewmembers from the 340th Expeditionary Air Refueling Squadron prepare to take off in a KC-135 Stratotanker before performing a refueling mission over Iraq in support of Operation Inherent Resolve September 15, 2016. The KC-135 provides the core aerial refueling capability for the U.S. Air Force and has excelled in this role for more than 50 years. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Douglas Ellis/Released)
Crew members from the 第340遠征給油飛行隊の乗員が飛行前準備にあたるこのKC-135はイラク上空で空中給油にあたり不朽の決意作戦を支援する。 KC-135は50年にわたり米空軍の空中給油の中心でさらに40年間の供用が決まっている (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Douglas Ellis/Released)
  1. 物議をかもしたKC-X事業から生まれたKC-46はKC-135より大型で飛行距離も伸びる、エンジンもKC-135の四発が2基となり給油量も大きくなることで給油対象機も増えるはずだった。しかし開発は費用超過から遅延など一貫して問題に遭遇しており、空軍は当初の179機調達を削減する。
  2. このためKC-135退役はなくなり、空軍および州軍航空隊は給油機多数により給油ミッションを世界各地で必要としている。
  3. ペガサス導入も進めながら空軍はストラトタンカー部隊の供用期間延長は避けられない。すでに910百万ドルでブロック45供用期間延長事業が始まっており、機齢60年の機体を最新機材向け給油に対応させる。改修では全機にグラスコックピットを導入し、旧式アナログ針式計器盤を廃止する。エイビオニクスを更新し、自動操縦も交換し、航法装備を高性能化するなどがある。
KC-135ストラトタンカーがマッコーネル空軍基地をタキシー中。米空軍の世界規模の活動はKC-135が支えている。(U.S. Air Force photo/Senior Airman Tara Fadenrecht)
  1. KC-135の供用をさらに40年間延長するため、次期改修でネットワーク機能、電子対抗装置が導入される予定だ。ブロック45改修が完了するのは2028年で次期改修はその後あるいは途中で実施される。米空軍の試算ではKC-135機体寿命はまだ65%残っており、定期保全やオーバーホールを実施すれば2040年までの供用は十分可能ということだ。
  2. 2014年時点でKC-135は414機が米軍に在籍し、うち160機が空軍正規部隊に180機が州軍航空隊に所属し、67機が空軍予備隊にあった。KC-46調達が終わればストラトタンカーは100機程度に減りデイヴィス・モンタンAFB(アリゾナ州)の機体墓場に送られる予定だ。
  3. またKC-135より機齢が低いKC-10エクステンダーも同様の性能改修を受けて供用期間が延長になりそうだ。両機種が最終的に用途廃止になるのはKC-YやKC-Z次世代給油機が現実のものとなる時でまだ数十年先のことだ。■

2017年5月12日金曜日

★北朝鮮が韓国内THAADの「衛星写真」を公表



あれ、北朝鮮には偵察衛星はなかったのでは。そうなると「衛星写真」はオープンソースで入手した画像の可能性が高いですね。どこまでもはったりの好きな国のようです。一方、文大統領は革命を起こせると思っているようですが海外と取り交わした合意や約束は自分の好みで自由に変更できると信じ込んでいるようですね。韓国が国際社会で尊敬を集めるのは難しそうです

North Korea's Korean Central TV Broadcasting Station released what it claims are satellite images of the Terminal High Altitude Area Defense system deployed in South Korea's Seongju county on May 8, 2017. (For Use Only in the Republic of Korea. No Redistribution) (Yonhap)

北朝鮮の朝鮮中央テレビがTHAADの韓国内配備状況と称する写真を5月8日に放映した。(Yonhap)


N. Korea unveils 'satellite photos' of THAAD in S. Korea

北朝鮮が韓国内に配備したTHAADの「衛星写真」を公表
2017/05/10 17:13

SEOUL, May 10 (Yonhap) -- 北朝鮮が韓国に配備したTHAADミサイル防衛装備の衛星写真と称するものを公表した。韓国に対し自国の情報収集力を誇示する狙いがあるものとみられる。
  1. 北朝鮮の国営朝鮮中央テレビ局がTHAAD装備がゴルフ場に展開しているとの説明で写真二枚を放映した。THAADは韓国南部星州郡Seongjuに展開している。
  2. 「衛星写真でTHAADミサイル発射装置が星州ゴルフ場でXバンドレーダー他の装備と展開している様子がわかる」と番組で解説している。
  3. 韓国が入手した北朝鮮写真ではTHAAD発射装置とレーダーが黒丸で囲まれている。
  4. だが写真が配備場所のものとしても北朝鮮が写真をどこで入手したのか放送では説明がなかった。撮影時期や撮影方法も説明がない。
  5. 関係筋によれば放送では衛星写真と称するもので韓国へ軍事圧力をかける狙いがあるとし、北の情報集能力をあえて示したのだとする。
  6. 放送では「THAADは核大惨事をわが民族にもたらしつつある」と述べ、配備で「朝鮮半島が大国間の核戦争の戦場になる」と述べた。
  7. また米国が韓国新政権誕生前に装備搬入を急いだことも番組が批判した。大統領選挙の二週前に米韓両国はXバンドレーダーとミサイル発射機を設置した。
  8. 大統領に当選した文在寅Moon Jae-inは「米中両国と真剣に交渉して」THAAD配備の関連問題を解決をめざすとし、前任朴槿恵Park Geun-hye政権が取り交わした配備合意は再交渉すると述べている。■

★中国の新型練習戦闘機L-15Bは途上国向けの選択肢か



よくわからないのがこういう機体を中国は何を目的に作っているのか、輸出用となれば安易に購入できることから韓国のFA-50を駆逐して途上市場を狙うのでしょうか。練習機で戦闘機にもなるといっても中途半端な性能では成熟した市場では需要が期待できません。また機体の信頼度も未知数ですから平気で購入するのは一部国だけでしょう。

China's HAIG rolled out its L-15B LIFT in a ceremony held at the company's Nanchang headquarters on 1 May. Source: CCTV via sina.com.cn

China's Hongdu rolls out L-15B lead-in fighter-trainer 洪都航空工業がL-15B戦闘練習機をロールアウト

Richard D Fisher Jr, Washington DC and Gabriel Dominguez, London - IHS Jane's Defence Weekly
04 May 2017
洪都航空工業集団Hongdu Aviation Industry Group (HAIG) がL-15A(JL-10)高等練習機/軽攻撃機の新型を発表し試作型が同社の本社南昌で5月1日にロールアウトしている。
同機は防空任務、対地攻撃任務に投入可能と中航技进出口有限责任公司(CATIC)が説明している。中国国内メディアは新型機は戦闘能力もさることながらL-15A練習機と同じ装備であり、韓国航空宇宙工業のFA-50戦闘練習機と同等だと説明。
ただし新型はL-15Aとはアフタバーナー付きデジタルエンジン制御エンジン双発となっている点が違う。イヴチェンコ-プログレス(ウクライナ)のAI-222-25Fの可能性が高く、海面上最高速は1,200キロだとJane's航空機年鑑に記述がある。
L-15Bは原型機とはもう一つ違う点がある。機首にパッシブ電子スキャンアレイ(PESA)レーダーを搭載し有効範囲は75キロといわれる。また電子装備でもレーダー警報受信機(RWR)を垂直安定板上部に取り付けているようだ。機首のフィンアンテナは敵味方識別(IFF)装置のようだ。
CATICによればL-15Bには武装用ハードポイント9点があり、ペイロードは3.5トンだ。
5月2日に中国国内ウェブサイトGuancha.cnに記事があり、翼端部は空対空ミサイル搭載に耐える強度があり赤外線・ヘルメット視野誘導方式の洛陽電気光学研究所製PL-9CAAMを搭載できると伝えている。■

2017年5月11日木曜日

アフガニスタンへ米海兵隊増派、戦略案見直しも



米海兵隊がアフガニスタンのヘルマンド地方で活動を再開した。 Source: USMC

Marines return to Helmand as Pentagon relooks Afghan war plans

海兵隊がヘルマンドに復帰、ペンタゴンはアフガン戦方針を見直し中

Daniel Wasserbly, Washington, DC - IHS Jane's Defence Weekly
02 May 2017
  
米海兵隊がアフガニスタンのヘルマンド省に戻ってきた。ペンタゴンはさらに数千名を追加派遣し16年たっても決着がつかない戦闘に投入する検討中。アフガン軍部隊は相当の死傷者を出している。
  1. 米海兵隊(USMC)はオバマ政権下で20千名をヘルマンド省に投入しタリバンにより同省が掌握されるのを防ごうとした。2014年にも治安維持のため再派遣されている。だが4月29日に300名がキャンプ・ショラブに戻りアフガン陸軍第215部隊に加わった。現地部隊だけでは治安が維持できていない。海兵隊再派遣は2017年1月にオバマ政権が決定していた。
  2. 米国防関係者は数千名の追加派遣を検討中で国防長官ジム・マティスが2月に示唆していた新戦略方針を展開する。
  3. 今回の動きは米司令官から繰り返しアフガニスタン戦況が「行き詰まり」と述べ、NATOと米国が支援するアフガニスタン政府とタリバン他反乱勢力の関係を指してたあとに出てきた。
  4. さらに米アフガン再建事業特別監査官Special Inspector General for Afghan Reconstruction's (SIGAR)の最新報告書が4月30日に公表され、アフガン国土防衛治安維持部隊(ANDSF)は治安維持に苦労中のままと指摘があった。
  5. SIGARは在アフガニスタン米軍部隊(USFOR-A)の統計を使い、ANDSFが「ショッキングなまで高い」死傷者数(戦死807名、負傷1,328名)が今年1月1日から2月14日の間だけでも発生したと述べる。死傷者の主な原因は銃撃戦だ。
  6. USFOR-Aは「アフガン政府支配地域と反乱分子支配地域はともにこの四半期で増加したが、両者勢力が拮抗した地域は減っている」とまとめている。アフガニスタン政府は「かろうじて国土407地区のうち6割を支配し、タリバンは11%程度」で支配をめぐり争う地区は「29%ほどに減った」としている。
  7. アフガン政府の実効支配が一部地方で衰退している理由としてANDSFが「戦略的アプローチで優先順位をつけ、死守すべき最重要地区を選定しつつそこまで重要でない地区では力を入れていないため」だとUSFOR-Aは見ている。■

★★歴史に残らなかった機体(8)ヴォートF-8スーパークルセイダー




The F-8 Super Crusader: The Hot Navy Fighter that Almost Replaced the F-4 Phantom 

F-8スーパークルセイダーは米海軍がF-4ファントムの代わりに採用寸前までいった



April 30, 2017


  1. もし事情が事情なら冷戦時の米海軍トップ戦闘機はF-4ファントムの代わりにF-8クルセイダーになっていたはずだ。
  2. 北ベトナム上空でMiGを次々と撃墜したあのクルセイダーではない。F8Uを大型化しもっと強力にしたXF8U-3だった。
  3. クルセイダーIIIはメーカーのチャンス・ヴォートが海軍が採用したクルセイダーIおよびIIに続き開発した。名前がややこしいがクルセイダーIIIは大型機で以前の型と別の機体といってよい。
  4. スーパークルセイダーは1958年6月に初飛行した。「ダッシュIIIの全般的性能はずば抜けていた」と航空記者スティーブ・ペイスがクルセイダーの歴史をまとめた著書で述べている。「ダッシュIIIの公式最高速度記録はマッハ2.39で、マッハ2.6も無理ではないと見られていた。当時はマッハ3も実現可能との意見もあった。スーパークルセイダーはマッハ2.2の連続飛行を高度68千フィートで実現した。6-G操縦能力があり5.5G旋回をマッハ2.2で行えた。同機は単発機で世界唯一のマッハ2.4を実現した」
  5. スーパークルセイダーは以前のクルセイダーといろいろ違う点がある。エンジンはJT-4ターボジェットに換装され出力が増え高速で上昇率、最高高度が伸びた。全天候性能、航続距離の拡大、飛行制御性能の拡張、操縦性の改良とならび引き込み式の腹部安定板二枚を追加した。チャンス・ヴォートは尾部にロケットエンジンの追加で加速力を増やす提案までしていた。
  6. 皮肉にもファントムはヴィエトナムでは性能不足の扱いだった。機関砲を内蔵せず、初期の空対空ミサイルは信頼性に欠けていたからだ。これに対してクルセイダーIおよびII型は機関砲を搭載し、戦場で賛辞の的となる。だがクルセイダーIIIは搭載していなかった。F-4同様に機関銃なしの戦闘機として空対空ミサイル7発を運用する構想でサイドワインダー熱追尾ミサイル4発とスパロー(レーダー誘導式)3発だった。ヴィエトナム戦の前はミサイルのみの武装が流行だった。このため選択は理解できる。間違っていたが。
  7. 模擬空中戦でクルセイダーIIIは初期型ファントムを繰り返し撃破した。ペイスは海軍航空関係者の発言として「F8U-3は航続距離が長く、高速かつ費用は低く、重量は少なく、機内搭載燃料だけで600ガロン増槽を付けたF4H-1と同じ距離を飛べた。価格はF4H-1より25%安かったと思う。F8U-3は開発中止になった機体の中で最高だった」
  8. それでも海軍はF-4ファントムを選定した。理由が外観でなかったのは確かだ。スーパークルセイダーはずんぐりしたファントムよりずっと洗練されていた。経済性が理由だったのだろう。1960年代初期の国防総省は空軍、海軍、海兵隊で機材統一化をねらっていた。安全性も決め手だったかも知れない。クルセイダーIとIIは事故率の高さが目立っていた。
  9. あるいはスーパークルセイダーがドッグファイトで扱いにくい存在だったからか。スパローミサイル発射には敵機をレーダー照射する必要があった。ファントムの場合はこの仕事を後席の兵装士官に任せ、パイロットは操縦に専念できた。スーパークルセイダーは単座機でパイロットは操縦とスパロー操作を同時にこなす必要があった。ファントムは一方で多目的に投入でき、対地攻撃、ワイルドウィーゼル防空網攻撃、偵察にも転用された。
  10. F-4は驚くほど多任務に転用され米軍で用途廃止になったのは2016年12月のことである。速力と操縦性で優れるスーパークルセイダーが採用されていても58年間の供用が可能だったか怪しい。
  11. スーパークルセイダー試作機がNASAで飛行限界の更新に使用されて生涯を終わったのは妥当と言えよう。「地球大気中の95パーセントを飛行可能範囲にしたスーパークルセイダーが宇宙研究に転用され効果を発揮したのは自然なことだ」とバレット・ティルマンは著作MiG Master: The Story of the F-8 Crusaderでこう述べている。
  12. 「試作機はソニックブーム密度研究にも投入されたが、時折気晴らしに高速度飛行をした」とティルマンは書いている。「NASAパイロットが同機をヴァージニア州ラングレーから飛ばしているとパタクセントリバーで評価中のファントムを見つけることスピード競争をしかけた。海軍パイロットから文句が出て競争は終わったが、ヴォート支持派にはスカッとする瞬間だった」■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.


★次期コンパスコールは商用機ベースで2020年代末登場。それまでEC-130H供用を続ける。

日本でもC-130Hが供用中ですが....


A new Compass Call: The Air Force is replacing its Vietnam-era electronic warfare planes

By: Stephen Losey, May 4, 2017 (Photo Credit: Stephen Losey/Staff)

  1. 知名度が低いが対イスラム国で最重要装備品といえるのがEC-130Hコンパスコールで、複雑な通信妨害装備を老朽貨物機に詰めこんでいる。
  2. 十数年かけてコンパスコールに新しい生命が吹き込まれる。2029年末までに米空軍はEC-130Hの搭載装備品を新型機材10機に移植する。新機材はEC-Xと呼ばれる。
  3. 現在15機あるEC-130H各機は数十年の機齢で老朽化が目立つ。第386派遣飛行隊が中東に展開中だが運用機材は1973年調達が一機、もう一機は1964年初飛行の機体だ。EC-130Hは1983年に開発開始され、旧型C-130を利用している。
  4. 各機は米軍の主要作戦に毎回投入されてきた。コソボ、ハイチ、パナマ、リビア、イラク、セルビア、アフガニスタンとつづき、2004年から米中央軍を支援している。コンパスコールは毎日飛んでISIS戦闘員間の通信妨害により連合軍のイラク軍支援で有効手段となっている。
  5. 「交信できなければ戦闘もできない。極めて単純です」とジョシュ・コスロフ中佐(第43遠征電子戦闘飛行隊司令)が今年1月に386隊の本拠地で語っている。「われわれの仕事はダーイシュ通信網を大規模かく乱することです」ダーイシュはISISをアラブ世界で軽蔑的に呼ぶ呼称である。
  6. だが機齢四十年、五十年になる機体を中東のような過酷な状況で集中的に飛ばすのは相当困難な仕事だ。
  7. ジョン・カリム中尉は第43隊で整備員34名を統括し機齢だけが「理由でなく故障が多くなっている」という。コンパスコール各機では構造上の定期点検の必要があり、整備陣も各機の配線やエンジン状況を注視している。古い機体に最新電子戦装備を乗せると面倒な状況も起こる。EC-130Hの機体は「もともと現在の任務用には作られていない」とカリム中尉も言う。
  8. 空軍は既存の商用機調達に傾き、専用機材の開発は断念して新EC-Xとすると空軍報道官エミリー・グラボウスキ大尉が伝えている。
  9. 現在のコンパスコールの契約企業L3コミュニケーションズが機材を選択と装備品搭載を担当するとグラボウスキ大尉は説明し、米空軍はL3に特定の機材の指定をしないという。
  10. 「契約企業主体で行う選定なので空軍は結果をあらかじめ予測できない」とグラボウスキ大尉は述べ「選考過程と結果を尊重しつつ要求内容が実現するよう期待する」
  11. EC-Xコンパスコール一号機は2020年末に稼働開始すると空軍は期待しているとグラボウスキ大尉は述べ、残る機材も2020年代中に配備され、EC-130Hは全機退役させる。
  12. グラボウスキ大尉の説明ではコンパスコールの機材切り替えに今後10年間で20億ドルを10機と初期予備部品をインフレを考慮して算定している。
  13. 現行機材を30年供用し続けた場合と比較すれば新型機導入で「数十億ドル」の節約になるというがグラボウスキ大尉は節約効果の詳細を明らかにしなかった。
  14. 空軍参謀総長デイヴ・ゴールドファイン大将は議会で証言し2017年度に国防費制限措置を継続すれば新型コンパスコール機の配備にも遅れが生じると警告していた。
  15. グラボウスキ大尉は予算制限措置を通年で行うとEC-X一号機の調達も最低12か月遅れると述べている。その間空軍は旧式コンパスコール機材を補修しながら供用することになり3億ドルの追加予算が必要となると述べた。■