2018年8月27日月曜日

歴史のIF(5) B-52がなかったら米空軍はどうなっていたか

歴史のIF(5)----B-52が初飛行したときに生まれている人がこれから減っていきますが当の同機は2050年代まで稼動するとは恐れ入ります。米国としても投資効果が史上最高の機体になりますね。ではそのB-52が生まれなかった世界はどうなっていたでしょうか。


The Air Force Would Have Serious Problems if the B-52 Bomber Never Happened B-52がなければ米空軍は大変な状況だったはず

Image result for B-52H wikipedia

ーイングB-52ストラトフォートレスは1955年以来米国の国防最前線で飛び続けている。当初はソ連への戦略核兵器投下が役目だったが、ソ連崩壊後もミッションを実施している。

これまでミッションの範囲が広がり、ヴィエトナムでは通常爆弾で戦略爆撃を、ソ連海軍には対艦攻撃を、イラク軍には通常弾で阻止消耗攻撃を、その他テロ対策で破格主任務もこなしてきた。現時点ではB-52はB-1BやB-2退役後も供用され、また初飛行時に生まれていない人が大多数となっているが2050年を過ぎて最終的に退役する予定だ。

だがそのBUFFが米空軍とその他軍の間で繰り広げられた調達をめぐる争いに敗れていたらどうなっていただろうか。
米空軍さらに米軍全体としてB-52が生まれなかった場合の穴をどのように埋めていただろうか。

第二次大戦終結してほどない時期に爆撃機構想が多数生まれた。米陸軍航空軍(まもなくUSAFになった)は戦時中はB-29生産に集中するため新型爆撃機の開発を凍結していた。

ジェット推進方式や核兵器の登場で調達そのものに変化が生まれ、ピストンエンジン方式のコンベアB-36ピースメーカーが大陸間戦略爆撃機として唯一の存在だった。だがB-36の開発開始は1940年代初頭でドイツ攻撃を念頭においた機体でジェット時代についていけないのは明白だった。このためUSAFにはピースメーカーを整備しながら並行して新型機開発が必要だった。その後B-52になった機体の原型は1945年末に設計図としてあらわれた。

B-36, Wikipedia

B-52設計案はその後二年間で大幅変更を受け、直線翼のピストンエンジン爆撃機から後退翼ジェットエンジン爆撃機になった。だが1947年12月にキャンセルになるところだったのはコスト超過とともにエンジンで不安が生まれたためだ。その他数社も実用化はともかく代替提案を示し、ストラトフォートレスの生き残りは疑問視された。

B-52がキャンセルされていればUSAFは苦しい立場に追いやられていただろう。

B-36は初号機が工場を出た段階ですでに陳腐化しており、短距離しか飛べない戦闘機を爆弾倉に搭載するなど対策が必要となっていた。ソ連迎撃機はピースメーカーをやすやすと餌食にしたはずで、このためカーティス・ルメイ司令官は朝鮮戦線への同機投入をためらった。

USAFには中距離爆撃機としてボーイングB-47ストラトジェット、B-50(B-29改良型)があった。それぞれ航続距離やペイロードに制約があったが、海外基地の利用や空中給油によりソ連国内の目標への到達は可能だった。コンベアB-58は1960年に供用開始となったが、総合的に及第点しか取れない機体だった。つまりピースメーカー後の中距離爆撃機では戦力不足だったろう。
YB-60 Wikipedia


USAFはB-60に期待したかもしれない。コンベアがB-36をジェット推進式にした機体でB-36と機体に共通点が多々あった。機体の大きさや操縦性の不足などだ。B-60はB-52より爆弾搭載量が大きいものの速力が低かった。史実ではB-60は試作機一機が初飛行したが不採用となった。B-52がそれだけ期待にこたえる存在だったためだ。ただしB-60はB-36と部品多数を共用していたためストラトフォートレスより低価格になるはずだった。

だがB-60ではソ連がSA-2地対空ミサイルを稼動させた後の状況に適合するのが大変だったはずだ。機体の大きさのためB-52でその後実現した低空侵入飛行ミッションは苦手で、電子装備を搭載する余裕が機内にあったことは利点となっただろう。総合すると空軍がB-60を長期稼動させていたとは考えにくい。


空軍はB-70推進に傾いた。国防総省がB-70をキャンセルしたのはソ連の防空技術の進展が理由だったが、B-52が満足できる結果をだしていたためもある。戦略爆撃機で穴が開いていればB-70が実現した可能性は高かっただろうが、SAMや高速迎撃機の存在は大きかった。B-70にはB-52並の柔軟性が欠如していたため、BUFFと同じミッションの実施は容易でなかったろう。

USAFが外国機材調達に傾いた可能性がある。USAFはイングリッシュエレクトリック製キャンベラをマーティンにB-57としてライセンス生産させ1950年代の中型爆撃機不足を補ったが、米企業の設計案不足をそのまま英国機でカバーしたとは思えない。ただしアヴロ・ヴァルカン、ハンドレページ・ヴィクター、ヴィッカース・ヴァリアントにはそれぞれ米国中型爆撃機にはない長所があったし、ペイロードはB-52やB-60に匹敵するものがあった。

さらに空軍は核兵力整備では弾道ミサイル開発に努力を振り向けていた。有人爆撃機に対して弾道ミサイルには大きな利点があり、USAFの組織文化を変えていった。ソ連の統合防空体制が整備されたことでUSAFもミサイル依存を高めていき、当然その他装備の調達に影響が出た。

B-52はその他の爆撃機でできなかった仕事をこなしていった。ミサイル時代でも十分役割を果たしており、長距離低空侵攻戦略爆撃機として、大量通常爆弾の搭載機として、その他長距離軍用機として活躍した。B-52後継機の中で同様の働き振りを示した機材はない。
B-52が存在していなければヴィエトナム戦の余波で生まれた戦闘機出身将官の興隆で戦術機材重視の流れがいっそう強まっていただろう。B-60あるいはB-70(またはその双方)が第二次大戦同様の編隊飛行でハノイをラインバッカーII作戦で爆撃していたら当惑する結果になっていたはずで、爆撃機至上主義者でさえ勘弁してほしいと思う事態だっただろう。1970年代に入りネット評価が実用化されて戦略爆撃機部隊に新しい意義が生まれたとはいえ、爆撃機推進派は依然として強力でB-1Bを実現させている(あるいはその前身のB-1Aも供用されていたかも)が、B-52不在で生まれた穴の多くはミサイルや戦闘機が埋めていただろう。

米国がB-52調達に向かわなかった可能性を考えるのは困難なほどだ。ただしその場合は空軍全体や国防総省に波及効果が生まれいたはずだ。B-52が通常型核運用の双方で使えなかったら空軍の姿も変わっていたはずだ。B-70ヴァルキリーが今も供用中だったかもしれない。B-1Bランサーは生まれていなかったかもしれず、B-60が形を変えながら今も供用されていたかもしれない。■

Robert Farley , a frequent contributor to TNI, is author of   The Battleship Book .

2018年8月26日日曜日

ドイツ連邦軍で解決できていない根本的問題

これまでもドイツ軍(連邦軍)の装備供用状況におそまつな点があることをお伝えしてきましたが、軍を巡る根本的な社会の問題があるようです。ヨーロッパ有数の大国となったドイツの国防体制がこれでいいのでしょうか。

Germany's military has a manpower problem, and its solution may be foreigners and teenagers ドイツ軍の人員問題解決策は外国人、未成年の採用だ


Germany army bundeswehr recruits soldiers meeting troopsドイツ軍入隊直後の隊員が教練の説明を受けている。Viereck, Germany, August 8, 2018.REUTERS/Fabrizio Bensch
  • ドイツ軍が装備と人員確保で長年苦しんでいる
  • 人員確保では若年層の採用も含め対策を検討中
  • 18歳未満隊員には制約もあるが国防軍は人員確保に走る



イツ連邦軍が組織面、技術面で苦しんでいる。装備が十分確保できない、国防予算を巡る論争、さらに隊員の欠員がある。
特に人員不足が連邦軍につきまっており、冷戦終結後に規模縮小し徴兵制も2011年になくなったが歯止めがかからない。
1960年台中頃に585千名まで増えたドイツ軍は2018年の現在179千名を下回る規模に減った。2017年には欠員が21千名あり、現在の隊員も半数が2030年までに退官する。
2016年にウルスラ・フォン・デアレイエン国防相が連邦軍は「縮小傾向がずっと続く状態からの脱却」が必要と発言している。ドイツでは女性は2000年まで入隊を許されていなかった。
デアレイエン大臣は現在185千名の上限を7年かけて14,300名増員すると述べ、2017年に20千名増員へ変更された。
この方法は政府与党には概ね賛同されているものの資格要件は無視できない。国防専門家や政治筋には外国人が入隊すれば市民権を与えることになり、あげくのはてには「傭兵部隊」化するとの懸念もある。
もう一つ実施が始まっているのが18歳未満の青少年の勧誘だ。このため国防軍はメディア宣伝に熱心だ。
ドイツ軍の公式YouTubeチャンネルは購読者300千名を確保し、投稿映像は150百万ビューを数える。
国防軍専門チャンネルには6週間にわたる「Mali」のコンテンツもあり、国連平和維持活動で西アフリカに駐留したドイツ軍隊員を描いている。
Ursula von der Leyen Germany Troopsドイツ国防相ウルスラ・フォン・デアレイエンがアフガニスタンのキャンプマルマルを訪問した。December 18, 2017. REUTERS/Michael Kappeler/POOL
ドイツ軍はフェイスブック、インスタグラム、スナップチャット他ソーシャルメディアも活用している。入隊勧誘関連の支出実績は2017年は40百万ドルと、2011年から倍増している。
その2011年からドイツ軍は未成年隊員の入隊も始めているとロイターが伝えている。2017年には18歳未満隊員は2,128名で全体の9%を占めるまでになり、前年比11.4%増になった。
その一人マーロンは18歳の誕生日直前に陸軍に入隊した。「なにか経験したくて自分の限界も知りたかった」と述べている。
だが年齢のため本人は母親の同意が必要だったが、母親は喜んで許可した。ロイターに本人はかだらしなかった息子が今はしっかりとしたことに母親も喜んでいると語っている。
Germany army bundeswehr recruits soldiers meeting troopsドイツ軍新兵が教練を受けている。Viereck, Germany, August 8, 2018. REUTERS/Fabrizio Bensch
第二次大戦の敗戦と冷戦中に国土を分断されたドイツでは軍事問題はいまだに国民の神経にさわる話題である。軍そのものを否定する向きが多く、まして軍事支出を認めようともせず、海外での軍事行動には慎重だ。
連邦軍は今でもナチ国防軍の負債と戦っており、極右過激主義傾向を有する隊員が軍と社会の関係に悪影響を与えている。一部軍幹部は後ろめたさを感じないよう私服通勤するくらいだ。
ドイツ国民には脅威を感じていない向きもあり国防問題となると意見がまとまらない。
だがこうした態度は若年層で変化している。
学生2万名への調査では軍での勤務は三番目に人気のある職業とわかった。(一位はアディダス、二番目は警察) 先程のマーロンは自動車工場より軍勤務が魅力的とロイターに語っていた。
German soldierドイツ連邦軍兵士 Bad Reichenhall, southern Germany, March 23, 2016.Michaela Rehle/Reuters

だが未成年勧誘は議論を呼んでいる。
一部政治家や青少年の権利擁護派の批判は誤った政策であり悪しき伝統を残すという。
入隊勧誘数が記録的規模になったことからフォン・デアレイエン大臣は「良心のとがめは消えた」と見ていると非戦主義の左翼党エヴリム・ソマーは述べる。「成年になろうという若者を大砲の係に使うべきではない。未成年を軍務につかせるのであればドイツは他国を批判できる立場でなくなる」
未成年者の権利擁護団体のラルフ・ウィリンガーは青少年勧誘は「困った問題であり誤った印象を与える」とロイターに以下語っている。
「国際的な18歳の基準を下げることになり、他国も未成年入隊を認めることになる」というのだ。
FILE PHOTO - German army soldiers drive their battle tank Leopard 2 after NATO enchanced Forward Presence Battle Group Lithuania exercise in Pabrade military training field, Lithuania, May 17, 2017. REUTERS/Ints Kalnins リトアニアで行われたNATO演習でレオパルド2戦車に乗るドイツ軍隊員 May 17, 2017. Thomson Reuters
ドイツ軍関係者は隊員勧誘は国際基準に則っており民間部門の採用活動と競いながら人員を確保する必要があると強調。
ドイツ軍では未成年者で許される業務の基準がある。教練は成年隊員と同じでも歩哨に立つ、海外派遣等は認められないし、兵器使用が許されるのは教育的意義がある場合のみだ。
国防省は青少年の場合は入隊後半年でいつでも除隊できるとも説明する。
ただしこうした規制があっても青少年対象の教練の根本的内容は変わらないと見る向きもある。
「これはまともな職業ではないですよ」と語るイルカ・ホフマンはGEW組合(教育・社会福祉労働者組合)は語る。「人の殺し方を学ぶ職業なんて他にありませんし、有事に死ぬ危険に直面する職業もこれだけです。大きな違いですよね」■
意見は多様であっていいのですが、民主社会には選択が必要です。その手段が選挙であり、健全な主張をする政党が勝利しなければいけません。皆さんもお感じと思いますがドイツの望ましくない世論は日本の状況にも似通うところがありますね。ただしドイツの左翼は一応論理がしっかりしている感じはするのですが。同じような日陰者のそしりをうけながら、数々の災害出動やPKOで着実に国民の支持を広げてきた自衛隊と何か根本的に違う感じがしませんか。

2018年8月25日土曜日

ロシア原子力巡航ミサイルの残骸をめぐり米ロがしのぎをけずる?

こんな兵器は不愉快ですね。仮にロシアの言うとおりなら迎撃不能の距離無限大兵器となりますが、命中してもしなくても放射能汚染をひきおこすではないですか。 原子力空母が横須賀にいても原子炉がそばにいると神経質になる皆さんは空とぶ原子炉に何ら抗議の声を上げないのでしょうか。こんな兵器を作ってしまうロシアのセンスには疑問を感じざるを得ません。

RUSSIAN MOD

Russia Is Hunting For Its Crashed Nuclear-Powered Cruise Missile And The U.S. Might Be Too ロシアが墜落した原子力推進巡航ミサイルを捜索中。米国も動いている?

Recovering the wreck could give the Kremlin additional information to inform future tests and would keep the design out of foreign hands. 

残骸から次回テストに役立つ情報が入手でき他国かに秘密が渡らないようにできる


BY JOSEPH TREVITHICKAUGUST 21, 2018


シアの原子力推進式核巡航ミサイル、ブレヴェストニクの試作型が2017年にバレンツ海に墜落したのを受け同国が捜索回収を始めるとの報道がある。同ミサイルの残骸は各国特に米国には構造や性能を解明する絶好の機会となる。
情報関係に詳しい匿名米政府筋の話を紹介しCNBCがロシアの動きを8月21日伝えている。ロシアは艦艇三隻を派遣しうち一隻はミサイルが搭載する原子炉の回収用というが詳細は不明だ。
ロシアはブレヴェストニクミサイルの試射を2017年11月から2018年2月にかけ四回実施した。うち最長の飛翔時間は2分間で22マイル移動したと言われ、最短は発射後数秒しか作動しなかった。同ミサイルは原子炉から推進力を得て無限の飛翔距離を有する。
同ミサイルについて口を閉ざすロシアがミサイルが他国情報機関の手に渡る前に回収したいというのは十分納得できる。
CNBCでは回収作業に投入される艦艇名称で言及はなかったが、その一隻が ヤンターYantarの可能性は高い。公式には「海洋調査船」とだがスパイ艦で特殊装備で海中18千フィートで調査回収が可能とCNBCは伝えている。
同艦はシリア沖合でSu-33、Mig-29KRの残骸回収に2017年に出動した。二機はロシア空母クズネツォフでの運用中に墜落し、このときも機体が他国の手に渡る前に回収するのが目的だった。
2018年6月にはヤンターが北海に向け英仏海峡を縦断し英海軍が随航した。写真ではSaabのSeaEve Tiger深海ロボットに似た装置が艦上に見られる。ロシアは潜水艦クルスクの沈没事故後に同装備を導入した。Tigerは3,280フィートまで潜水でき民間企業が放射能汚染箇所で使用した実績がある。
ALMAZ DESIGN BUREAU
ロシアのスパイ艦ヤンター

ミサイルの残骸や原子炉の状況は不明だ。失敗が続くが、ブレヴェストニクミサイル開発に貴重な情報がロシアに入ったはずだ。
ミサイルがバレンツ海で引き上げ可能ならロシアがまっさきに回収できるはずだ。一方、米国はテストを毎回監視しておりミサイルの着地地点をおおかた把握していると言われる。
墜落時に放射性物質が散布されれば場所特定はさらに容易になる。2017年2月に、米空軍WC-135大気圏内偵察機がバレンツ海周辺の飛行(空軍は通常の飛行任務と表現)で、放射能レベルの上昇を探知し、当時はロシアの核廃棄物集積場が発生源とされていた。
米海軍も独自に水中情報活動能力や回収能力を有し、極秘のシーウルフ級潜水艦USSジミー・カーターがある。2017年9月にロシアがブレヴェストニク試射を開始との報が出る前に、同艦はワシントン州キツァップ-バンゴー海軍基地へ海賊旗を掲げ入港しておりミッションに大成功したことを示していた。
USN
USSジミー・カーターが海賊旗を掲げて母港に帰還した。2017年9月

海底でのロシア重要装備を回収にかけては米国は実績多数を有し、1970年代には中央情報局がヒューズ・グロマー・エクスプロラーを使いソ連ゴルフII級弾道ミサイル潜水艦K-129の一部を太平洋の海底から回収している。
ロシア大統領ウラジミール・プーチンが2018年3月に自らその存在を認めた6つの最新兵器体系のひとつブレヴェストニクミサイルの本体あるいは一部でも入手できれば米情報機関には大きな一歩となり米国の同盟各国とくにNATOがロシアの強硬策や各種高性能装備の開発状況に懸念を感じているため大きな成果となる。
そうなるとヤンターが北極圏内に向かうのを注視する必要がある。
カナダのアナリスト、ステッファン・ワトキンスがロシアのアカデミク・プロマコフ地質調査船がカラ海で特徴ある高校パターンを示していることを突き止めている。カラ海はノバヤゼムリヤ半島の東側でバレンツ海はその西側である。また同半島はソ連時代の核実験場であった。
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🇷🇺 Russian seismic research vessel Akademik Primakov (MMSI:273392760) is certainly looking for something in the Kara Sea at 5kn. (Before you get too excited, it could be mapping the Arctic shelf, to aid in Russian claims to it.)https://thebarentsobserver.com/en/industry-and-energy/2017/11/advanced-seismic-vessel-finds-new-home-murmansk …
以前伝えられていたミサイル墜落場所が不正確で実はカラ海に墜落したのではとワトキンスは解説する。一方でワトキンスも推測するようにアカデミク・プリマコフは単に地図測定に出動しているのかもしれない。ロシア企業JSC Sevmorneftegeofizika が2017年に同船を購入し、北極海の大陸棚で地質探査を行っていることが知られている。■

2018年8月24日金曜日

US-2販売の目処は立たないが、日印の防衛産業協力は深化へ

インド向けUS-2の販売はここ数年話題にこそなっていますが、なかなか実現しませんね。

India and Japan deepen industrial engagement日印防衛産業協力が深化へ

Jon Grevatt - IHS Jane's Defence Industry
21 August 2018
インドは日本との防衛産業協力の強化策を検討中だ。ただしインドの新明和US-2捜索救難飛行艇導入は進展を示していない。Source: Japan Maritime Self-Defense Force
  • 日印両国が防衛産業の開発製造面の協力拡大を打ち出した
  • インドのUS-2調達で進展がないが両国はUGV開発で共同事業を開始
衛技術と生産での協力拡大で日印両国が合意した。ニューデリーで8月20日開かれたシタラマン国防相と小野寺防衛相の会談でのことでインド国防省(MoD) は一連の防衛産業関連事業が両国間で進展中と述べている。
ただしインド海軍が長期に渡り検討中の新明和工業US-2救難飛行艇の調達では解決策が見えないままだ。
防衛装備・技術面での協力をめぐり、MoD傘下の国防研究開発機構(DRDO)と日本の防衛装備庁(ALTA)で共同作業部会が組織されたのもその一環だ。
同作業部会は初の協力案件となる無人地上車両(UGVs)やロボット開発に取り組んでいる。
MoDによれば日本の防衛産業企業の代表団が2017年9月に開催された防衛産業フォーラム第一回目のフォローとしてインド国防産業数社を訪問している。同フォーラムは日本企業とインド産業界の交流を目指して開催された。
動きについてMoDは「両大臣は両国の努力が防衛産業間の相互理解更には将来の二国間事業につながるとの抱負を示した」と述べている。MoDによればシタラマン大臣は日本企業数社にインド南北に防衛産業回廊の生成をめざしたインド側事業への参加を求めた。
防衛産業でのつながりは深まったとはいえ、MoD発表の声明文ではインドがめざすUS-2調達についてはお座なりの言及しかない。■

コメント: 国内産業基盤は温存したい、多額の開発費で生まれた高度技術をみすみす安売りしたくない、という日本側の事情はわかりますが、インドもしたたかです。国産化すれば機体価格も下がるとインド入っているのかもしれませんが、おそらく逆でしょう。US-2はインド洋では宝の持ち腐れになるのかもしれません。であれば劣化版の「US-3」をインド出資を招き製作するのはどうでしょうか。

2018年8月23日木曜日

アフガニスタンの米軍作戦を一括民営化する構想をひっさげ大統領へトップセールスを狙うプリンス

究極の民営化とも言える構想ですが一国内の米軍作戦全部を肩代わりしつつ大幅なコスパ改善をうたう提案ならトランプ大統領も思わず乗ってしまいそうですね。官僚が必死にそれを食い止めるので実現はしないでしょうが、小国が相手なら防衛活動を引き受ける企業が出てこないとも限りません。米軍向けの請負事業は細分化されていますが知見を有する企業が合併すれば総合軍事請負会社が生まれてもおかしくないでしょう。

 

Blackwater founder Erik Prince is pushing to privatize America's costly war in Afghanistan — and going on cable TV to persuade Trump ブラックウォーター創設者エリック・プリンスがアフガニスタン戦の民営化で経費節減を提案中、トランプ大統領説得に


Plainclothes contractors working for Blackwater USA take part in a firefight平服のブラックウォーターUSA社員が射撃戦に加わる Gervasio Sanchez/AP
  • 物議を醸し出した企業ブラックウォーター創設者のエリック・プリンスがドナルド・トランプ大統領を説得しアフガニスタンの米軍作戦を民営化しようとしている
  • プリンス提案はジム・マティス国防長官はじめ政府上層部に昨年に斥けられたが、再提案して聞かせる相手を検討中
  • プリンスによればアフガニスタン情勢の解決には数千名程度と35億ドルあれば十分という



ラックウォーター創設者にして富豪のエリック・プリンスにはアフガニスタンにおける米国の戦争の終結に展望を持つ。元海軍SEALでビジネスマンの彼によれば米国は同地で17年間も戦闘しているが終結のめどがいまだにないという。
ブラックウォーターはイラクでの契約事業で当局の捜査を受け活動を終了させたが、プリンスは新規企業を立ち上げ、現在は中国の保安部隊要員を訓練している。今度はペンタゴンの意見に反抗しアフガニスタン戦民営化を大統領に提案する。
米国は2001年から2017年にかけ7,140億ドルもの戦費を同地に投入しながら勝利をつかめていないとTask & Purposeが昨年伝えている。プリンスの狙いは民営化で同国内配備の米国人員を減らし最終的に支出そのものも減らすことだ。
プリンス構想は軍の兵士の代わりに民間軍事事業者を配備し大統領直属の特別代理の命令下で働かせるというもの。
「現在米軍隊員15千名および民間事業者30千名が同国に展開していますが、私の案では特殊部隊2千名と事業者6千名で十分です。ここまで絞れば人員と予算の大幅削減でしょう」とプリンスはMSNBCのホスト、アンドレア・ミッチエルに17日語り、さらに実施規模は35億ドル程度と昨年の実績額数百億ドルを遥かに下回ると述べていた。
プリンスは長期戦になったアフガニスタン戦を公然と非難して、米国は9/11直後の戦略に立ち戻る必要があると主張してきた。「9/11後にCIA要員若干と少数の特殊部隊と一部航空支援だけでうまく機能していた。それだけでタリバンを数週間のうちに追いやっていた」と述べ、その後の米戦略が凡庸であり失敗に終わったソ連戦略に似通っていたと非難。
「その後は負け戦ばかりだ」とし、小規模ながら前例にとらわれない作戦の必要をプリンスは主張。タリバンが先週はアフガニスタン各地で襲撃事件を起こしていることをとりあげ、米国には新しい戦術でアフガン軍をもり立てることが必要と力説した。
構想の売り込みは容易ではない。受け入れればトランプ大統領はマティス国防長官を飛び越すことになる。「決定を戦闘の観点だけでペンタゴンに任せれば戦争は永遠に続くことになりますよ」とプリンスは述べ、NBCに今度大統領に説明に行くと明かした。
プリンスは昨年8月からアフガン戦の民営化構想を提唱している。マティス長官は「おとなしく聞いていた」が結局提案を斥けた。そこで今回はもっと大々的にメディアを巻き込み大統領への直接売り込みを図る。プリンスによれば大統領自身もアフガニスタン戦の現場に不満を感じているという。
「大統領が不満感を持っていることは知っています」とプリンスは報道陣に語り、「ペンタゴンには欲しいものを与えたのに結果が出ていない」と説明している。
プリンスはアフガン戦民営化構想の再スタートにYouTubeを7月に利用した。
「エリック・プリンス提案などというものは検討対象ではない」と国家安全保障会議報道官がNBCに17日夜に語り、「大統領も国民多数と同じくアフガニスタンでより大きな進展が見られることを期待している。ただし、大統領は無分別にアフガニスタンから撤兵すれば同国がテロリストの聖地に戻り米国家安全保障や人命を危険にさらす事態になるとわかっている」
プリンスは以前にも英The Independent紙にマティス長官が「アフガニスタン問題の分析内容を認めたものの解決方法で意見が別れた」と述べている。マティス長官ならびにポンペイオ国務長官はアフガニスタンで進展が生まれているとの見解だ。
「こんなのはSoldier of Fortune 誌記事の発想だろう。実施すればあらゆる実務上の問題が生まれるし、法律・道徳・倫理上でも問題となる」と国防総省係官がThe Independent取材に7月に語っていた。
プリンスはトランプが新たに招いた上級役職者とくに国家安全保障担当補佐官ジョン・ボルトンに提案を聞いてもらいたいと伝えられる。プリンスの売り込みが大統領まで届いているのか不明だが政府内にはトランプが提案に乗るのではとの懸念もある。

「大統領はアフガニスタン国内の武力衝突を政治的解決策で終了させたいと考えている」とホワイトハウス報道官サラ・サンダースは先週水曜日に発言。「今回も前に進むべく最善の道を模索していく」■

2018年8月22日水曜日

SR-72の配備は2030年代か、有人無人切替式のマッハ6極超音速機に


A Mach 6 SR-71? This Is How Amazing (And Deadly) the SR-72 Could Be. マッハ6版のSR-71をめざすSR-72はどこまで驚異的(かつ強力な)機体になるのか

It could have a strike mission. 攻撃機にも転用か


ロッキードSR-71ブラックバードは伝説の域に達した機体だ。どんな敵も対抗不能の偵察機として知られる同機は戦闘機にも発展するものと考えられ、実際には有人機として世界第二の高速飛行記録を樹立した。

米軍での供用期間は1964年から1998年まで、NASAでは1991年まで活躍した。原型はA-12オックスカート(A-12アヴェンジャーとは無関係)のSR-71は単座で高速偵察飛行を塗り替えてもいる。

衛星と無人機がSR-71の代わりになると言われてきた。だが衛星は動きが予測可能であり、無人機では性能、信頼性が劣る。そこでロッキードのスカンクワークスはA-12/YF-12/SR-71ファミリーの製造元としてSR-72を開発中であり、ブラックバードの速度を上回る機体になると約束している。
SR-71は紙上で計算尺を使って設計されたが、ハイテクの恩恵は受けずに十分役目を果たす機体になった。
次のSR-72はDARPAによるファルコン・ハイパーソニック・テクノロジー・ビークル2(HTV-2)(下図)の技術からマッハ6超の飛行を目指す。HTV-2はマッハ20の速度を記録している。



Popular MechanicsによればSR-72は攻撃ミッションも担当する。どんな兵装を搭載するのか不明だが、Aviation Weekは「飛行実験機」を2020年代初頭に製造し、実際に配備する機体は2030年代に登場するとしている。

実際に同機を操縦する幸運に恵まれたパイロットはブラックバードのパイロットのようなかさばる飛行スーツの着用はないはずだ。というのは当初はSR-72は無人機運用する構想だからだ。

ブラックバード後継機といえども最初から完璧にできるわけではないようだ。■

2018年8月21日火曜日

中国爆撃機の行動に神経をとがらす米国防総省の懸念は沖縄県民に共感されないのか

エンジン他装備は近代化したといはいえ原設計が1950年代のこんな旧式機にふりまわされるのであれば、中国としてもこんな安上がりな装備はないわけで、我々には大迷惑な話です。スタンドオフ攻撃の標的がグアムと並んで沖縄というのは公然たる事実で、いまだに平和を叫んで現実に目を向けない沖縄県民はこの事実をどう受け止めるのでしょうかね。ペンタゴン報告書はそのうち一部でもご紹介しないといけませんね


Chinese bombers are extremely active, and the Pentagon thinks they're training for strikes against US targets 中国爆撃機の動きが活発化しており、ペンタゴンは米軍攻撃を想定した訓練と理解

H-6 bomber China中国軍H-6爆撃機が沖縄本島と宮古島間の上空から太平洋に抜けようとした。2013年10月27日航空自衛隊が撮影し防衛省統合幕僚監部が公表。
  • 中国爆撃機の動きが急増し中国沿岸から遠隔地へ向け飛行中との国防総省報告が16日公表された。
  • ペンタゴンは中国が米軍を標的にした攻撃訓練を重ねていると見ており、同時に中国の軍事力を域内各国に誇示する狙いもある
  • 米国は中国の動きを注視し、中国軍の能力向上は新たな「大国間競争」の時代の表れとペンタゴンは主張


国爆撃機部隊の動きが活発になっており中国沿岸から遠く離れた地点まで飛行することが多くなっているのは米軍標的への攻撃を想定した訓練の一環とペンタゴンが考えていることが2018年版中国の軍事力報告書から明らかになった。
「(人民解放軍)は急速に洋上飛行爆撃機の活動範囲を広げており、重要な海洋地点での知見を獲得しつつ米軍や同盟国の各種標的への攻撃に備えている」と国防総省が議会に毎年提出する報告書で述べている。「PLAは今後も第一列島線以遠で作戦行動を増やし、グアム含む米国や同盟国側の軍事基地を西太平洋で攻撃するする能力を誇示している」
報告書ではこうした飛行は「戦略的な意図があることを近隣国に示すため」であるが、PLAは「こうしたフライトで軍事能力が伸びていることを示す」以外の意義をまだ明確に理解していないとする。
PLA爆撃機部隊は昨年十数回にわたり日本海を通過し西太平洋に進出しており、台湾を一周したり、東・南シナ海上空を飛行している。すべて発火点になりうる地点だ。2015年2016年ともに年間4回のフライトしかなく、2013年から2014年は二回のみだった。
ペンタゴン報告書では2017年8月に人民解放軍空軍(PLAAF)がはじめて沖縄以遠にH-6K爆撃機6機を派遣し活動範囲を広げたことを特記している。編隊は沖縄本島の東海岸沿いに飛んだが同地には米軍人員5万名が駐留している。
西太平洋上空への爆撃機フライトも心配を生む要因だ。「遠距離飛行型の(H-6K)機材は対地攻撃巡航ミサイル(LACM)を6発搭載し、長距離スタンドオフ精密攻撃能力をPLAに与え、グアムも射程に収めている」からだという。
台湾周辺や東・南シナ海での活動にも警戒が必要だ。中国は各地域で権益をめぐり各国と対立しているからだ。
Overwater Bomber Capabilities国防総省の2018年版中国の軍事力報告書に掲載された爆撃機の飛行範囲

中国は習近平主席がめざす世界第一級の軍事力実現の夢を実現すべく軍事力で近代化を進めており、今世紀中頃まで世界のいかなる国との交戦に勝利できることを目標とする。そのため兵力投射の手段を整備中で空母や長距離戦略爆撃機で通常・核両用の攻撃兵器を運用することを狙う。.
米国はそうした動きを逐一注視しており、ペンタゴンは「テロリズムではなく『大国間競争』が今や米国の安全保障の中心課題である」とジム・マティス国防長官も今年初めに発言していた。■

ペンタゴンの中国軍事力の現況2018年版は次のリンクでご覧になれます。