2020年9月17日木曜日

米空軍の第六世代機プロトタイプはすでに完成、初飛行している。

 空軍はロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機でいまだに問題解決が続く一方で、次世代戦闘機の試作型を秘密のうちに制作し飛行させている。

 

「実寸大の飛行可能実証機が完成し飛行もしており、これまでの記録を破った」と空軍次官補ウィル・ローパー博士(調達・技術・兵站担当)がDefense Newsの取材に答えている。ローパーは空軍協会の航空宇宙サイバー会議に先駆け同取材に応じた。「これまで誰も試したことがない方法で次世代機を製造する準備ができている」

 

試作機は次世代制空戦闘機Next Generation Air Dominance (NGAD) 事業の一部だが、実態はほとんどわからず、空軍はネット接続装備のファミリーを開発しようとしている。一部は有人操縦機になるだろうが、無人機他も空中で、宇宙さらにサイバー空間に投入されるだろう。

 

 

 

ローパーは試作機の何機が飛行しており、国防契約企業がどこかも明かしていない。またフライトがいつ、どこで実行されたのかも明していないし、有人操縦だったのか、一部有人操縦だったのか、あるいは無人操縦だったのか、さらに同機がステルス性能を有しているのかについても口を閉ざしている。

 

 

一方でローパー発言は謎に満ちている。

「かつてないほどの複雑なシステムの実現が近づいており、デジタル技術をすべてに応用し魔法のような成果を実証している」

 

動き出したNGAD事業

 

NGADは2017年に始まったが、ほとんどが構想段階だ。今年6月になり、空軍関係者から「試作」の話題が出てきた。作業にはモデリング、と重要ハードウェア、ソフトウェアの検討が含まれる。

 

ということで現在の試作機は技術実証用であり、構想の実現性を示すべく、リスク低減策の検討用に使われている可能性があると、The Drive.com が伝えている。

 

空軍の予算書を見ると、NGADの主要性能には「生存性、攻撃力、持続力を各種作戦で実現すること」とある。空軍の2021年度要求では10億ドル程度を求めているとTask and Purposeが伝えている。2020年度は9億ドル、2019年は4億ドルだった。同事業では2025年までにさらに65億ドルが必要との試算がある。

 

F-35の先に

 

空軍ではNGAD以外にF-35、F-15EXの調達が動いており、米海軍も独自にF-35Cの先に来る第六世代機の調達に向かっている。

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海軍はこの機体をF/A-XXと呼び、こちらも秘匿したままだが、F/A-18E/Fスーパーホーネット後継機といわれる。

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F-35が一兆ドル規模になりながら問題を抱えてたままなのを見れば、空軍海軍が別の選択肢を検討するのは賢明な動きだろう。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

The U.S. Air Force Has 'Built' and 'Flown' Potential 6th Generation Fighter

September 16, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35F-226th Generation FighterU.S. Air ForceMilitary

by Peter Suciu

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.


2020年9月16日水曜日

T-7AはeT-7Aに名称変更。デジタルエンジニアリングによる機体製造の最初の例となる。

 後調達する機体の設計テストはデジタル仮想空間で行ってから実機生産に入る、と空軍長官バーバラ・バレットが空軍協会主催イベントで発表した。

デジタルが基本の設計、開発、製造で調達そのものが変わるパラダイムシフトとなる。その例がボーイングT-7Aレッドホークで同機は今後はeT-7Aと呼称する。空軍省は新構想による機体をデジタルeシリーズとする。


「デジタルエンジニアリングの可能性を現実に移す努力を各社に促す意味でも、空軍省はウェポンシステムの新名称として『eシリーズ』を立ち上げます。航空機材、衛星、兵装システム他でデジタルエンジニアリングで実現した装備に『e』の呼称を前につけていきます」

 

第一例となったeT-Aレッドホークでは先にモデルを作り、3Dデザインツールで組立工程を8割削減し、ソフトウェア開発時間は半分にできた。コンピュータ内の存在だった機体が36か月後には初飛行していた。

 

その他装備品でもデジタルエンジニアリングの威力を生かし、設計試験の時間を減らしている。今後も多数の機材調達に活用される。

 

空軍関係者によればeシリーズのデジタル調達事業では最初から最後までデジタル環境かつすべてネット接続された環境でほぼ完ぺきなレプリカを作成し、現実の装備品の姿を検討する。前例のない迅速かつ柔軟な対応が可能となり、仮想要素を数千どころか数百万単位でマシンのスピードで設計し、最適装備に仕上げることが可能だが、最終的に製造に移るのはその中で一つだけ最良の選択となるという。■


この記事は以下を再構成したものです。デジタルなので「d」かと思ったのですが。


SECAF unveils new “eSeries” classification in nod to Department’s digital future

By Secretary of the Air Force Public Affairs / Published September 14, 2020


韓国KF-Xが4.5世代機でF-35を上回る機体価格になる....海外市場での訴求力はあるのか

 


国はF-35AライトニングIIステルス戦闘機計40機を購入すると2020年6月に発表した。先行調達分13機に追加する。

 

さらに2020年8月に入り、国防整備計画(2021年-2025年)の一環として空母一隻の建造計画も発表し、中国、日本と競合する態度を示した。韓国の空母は全通型甲板といわれるが、垂直着陸型F-35Bの導入に踏み切るか明確でない。

 

現実味のあるシナリオは韓国製空母に国産KF-X多任務機を導入する案だ。KF-Xの初飛行は2022年予定。同機は最高速度1,400 mph(約マッハ1.83)、航続距離約1,800マイルでペイロードは7.7トンとなる。

 

これは「ニュース」といいがたい。というのはKF-X構想は2010年に韓国とインドネシアの共同開発事業として発表されており、昨年のソウルADEX2019見本市まで同機の詳細は不明のままだった。販促ビデオで高性能ぶりをうたうものの、気になるのは同機が4.5世代機と称されていることで、韓国が同機を空母搭載すればF-35Bより一歩後退する機材となる。

 

 

韓国航空宇宙工業(KAI)が試作型一号機の製造を進展中とされ、機体の画像があちこちに現れてきた。KAIは同機は単座型・複座型を並行生産し、主翼に各三点のハードポイントがあり各種兵装あるいは燃料タンクを搭載可能とするが共通だ。機体本体下にミサイル四発を搭載する。

 

相当の性能の機体になっても第五世代機にならないまま、機体価格の問題がついてまわる。Eurasian Times記事では航空専門家の見解としてKF-Xの価格はロッキード・マーティンF-35を上回るとある。KF-Xは韓国史上最大の国産装備開発事例となるが、記事では政府は8.6兆ウォン(70億ドル)を投じているとある。

 

本生産が始まり、韓国空軍(ROKAF)向け引き渡しが2026年に始まるころには政府は10兆ウォンを追加投入しているはずだ。Forbes.comはKF-X機体単価を約130百万ドルとみており、F-35の2019年価格以上となる。

 

F-35に関してはロッキード・マーティンが価格低下を実現している。これが海外で関心を集め、F-35は今のところ海外導入実績のある唯一のステルス戦闘機になっている。韓国も海外市場の関心を集める機体が作れるかは未知数だ。

 

韓国は老朽化進むマクダネル・ダグラスF-4D/EファントムII、ノースロップF-5E/FタイガーIIの更新機材として120機を必要とするが、KF-Xは非常に高額な選択肢になる可能性がある。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

South Korea's KF-X Stealth Aircraft Could Cost More Than an F-35

September 11, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: South KoreaKF-XStealthF-35North KoreaMilitary

South Korea's KF-X Stealth Aircraft Could Cost More Than an F-35

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.

 

Image: Korea Aerospace Industries​.

 


2020年9月13日日曜日

新次元の長距離精密攻撃ミサイルで米陸軍が中国海軍艦艇を攻撃する日が来る

Lockheed Martin

 

 

陸軍は最大500キロ先を移動中の水上艦船をとらえ破壊する能力を2025年までに実現する。その手段として精密打撃ミサイルPrecision Strike Missile (PrSM)の開発を急ぐ。同ミサイルは異次元の攻撃能力を有し、精密かつ高性能標的捕捉効果をもたらす。

 

PrSMは最初は対地攻撃用だったが、標的捕捉用に高性能マルチモードシーカーを搭載して柔軟な標的対応が可能となり海上目標攻撃も可能となる。

 

このたび新型標的捕捉シーカーによる航空機からの「キャプティブキャリー」発射テストが終了し、実戦配備に道が開いた。

 

「初回テストは成功だった。防空ネットワークに接続したセンサー多数を使い、長距離から目標多数を攻撃するのが狙い」と長距離精密火力実現機能横断チームLong-Range Precision Fires Cross Functional Team長のジョン・ラファティ准将がNational Interest取材に応じた。

8.4M

5.1Problem China's J-20 Stealth Fighter Doesn't Have a Gun

 

新型シーカーの技術詳細は保安上の理由で不明だが、ラファティ准将の説明では米陸軍がめざす複合装備運用Combined Arms Maneuver構想さらに重要なマルチドメイン作戦Multi-Domain Operations構想のめざす性能に発展する余地がという。

 

ラファティ准将は同装備の開発は順調に進行中と述べ、メーカーのロッキード・マーティンが予定より一年早く基本設計を完了したのが大きいという。「議会からは開発を加速し2025年までの完成を求められている」

 

この装備が登場し、次世代照準技術が加われば、陸軍にアウトレンジでの攻撃能力となり、安全なスタンドオフ地点からの攻撃に道が開く。PrSMがあれば敵レーダー、防空網や空母への遠距離からの攻撃が実現する。

 

米海軍のトマホークの900マイル射程には届かないが、照準技術の向上でトマホーク新型では不可能な効果も可能となる。海軍のトマホークでは飛翔中に方向転換が可能となり、海上航行中の艦船を攻撃できる。従来は固定標的対応だった装備品に全く新しい可能性が生まれるわけだ。陸軍が陸上発射型トマホークの開発にあたっていることにも興味を感じる。

 

新型照準シーカーが実現すれば現場指揮官に移動中の装甲部隊や歩兵部隊を攻撃する手段が生まれる。

 

シーカーに採用する新技術の内容がまったくわからないが、複数モードのシーカーを搭載し各種技術と組み合わせればよい。RF誘導、レーザー、赤外線の応用が可能だろう。

 

新型センサーではネットワーク技術が使われているようで、ラファティ准将はこれでマルチドメインでの照準を実現すると言いたいのだろう。標的情報は無人機、航空機、前方配備統制官さらに艦艇から入ることで全く新しい形の攻撃手段となる。

 

この構想の一環としてラファティ准将から陸軍が高優先順位をつける統合戦闘指揮システムズIntegrated Battle Command Systems (IBCS)についての言及があった。これは網目のようにレーダー他センサー各種をつなぎ、標的情報をリアルタイムで共有するもので、従来のバラバラで独立した戦闘単位を一変させるものだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Precision Strike Missile: How the U.S. Army Plans to Sink a Navy

September 12, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: PGMsU.S. ArmyMilitaryInnovationMissiles

by Kris Osborn

 


 

2020年9月12日土曜日

F-15EXは米航空宇宙産業の新しい発展に道を開く存在になる----ヒント デジタルセンチュリーシリーズ

 ーイング、国防総省、米空軍は旧型機により米航空宇宙産業に新しく学習させられるだろうか。

 

空軍はF-15EXの大規模調達を複数年度で実施すると発表した。F-15EXはF-15C/D型の更改機材とみられていたが、最新報道によればF-15Eの後継機にもなるという。

 

F-15EXは旧型F-15の機体に技術革新を盛り込む構想だ。機体こそF-15だが、内部にこの30年間にわたる改良点が見られる。

 

F-15生産は海外向け販売でここ数年維持してきたが、連続生産が可能となり生産ラインを維持できる。F-15Eに交代する構想では以下が盛り込まれている。

 

- F-15とF-35で重複するミッションもあるが別個のミッションもあり性能も異なる。

- F-15EXの性能は既存F-15各型を大きくしのぐ

- 高額出費につく耐用年数延長改修が不要となる

 

F-15EXにより米空軍はF-15旧型の任務を新型かつ高性能の機材で引き続き実施できる。

 

興味を感じさせるのがF-15EXがデジタルセンチュリーシリーズ(DCS)へ道が開く可能性だ。これには空軍で調達を取り仕切るウィル・ローパーが絡み、画期的な機材を少数生産で多数型式そろえる構想で、オープンアーキテクチャアを採用する。ローパーは以前のセンチュリーシリーズを振り返り、性能面で凡庸な機体が相次いで登場し、F-4ファントムIIを待つしかなかったこと、有人機偏重の傾向を踏まえ、DCSでは無人機に重点を移すと表明している。

 

DCS構想の中心にデジタルエンジニアリングがあり、設計と製造を分離し、3Dプリント他の高度製造技術で補修部品や整備の問題を解決できる期待がある。もっと重要なのが新技術の継続的採用で、これに対しステルス機では緻密な要求を設定したため調達が遅れてしまった。「デジタルセンチュリーシリーズ」は従来の機材調達の考え方を一新させ、米航空宇宙産業の実質的な再編の可能性を秘める。

 

とはいえ、F-15EXはDCSの第一弾ではない。F-15EXにはDCSが想定する技術手段多数が使われているのは事実で、高性能コンピュータモデリングの採用やモジュラー構造機体になっているが、DCSと別の存在だ。知的財産の取り扱いでも異なり、ボーイングはF-15EXの知的所有権大半を保持するが、DCSでは空軍が知財を完全所有する形になる。

 

だが、だからといってF-15EXがDCSのテスト例にならないわけではない。ボーイングからはF-15EXでは迅速改修に道を開く設計上の特徴が盛り込まれており、新型戦闘管理システムも採用しているとの説明が出ている。特に後者はDCSの中核部分だ。

 

無視できないのはF-15EXによりボーイングは今後も戦闘機ビジネスに残ることだ。ローパーがDCSで狙う一つに業界寡占化を食い止めることもあり、1990年代から顕著になった合併統合の流れを逆行させたいとする。DCS支持派には軍用航空宇宙作業の一部で国有化を主張する声もあり、ソ連時代の国営設計局と製造拠点の分離状態を思わせる構想だ。米国防産業の経緯や米国の政治体制を踏まえると、さすがにこれは行き過ぎだろう。とはいえ、デジタルツールを駆使しF-15EXの設計製造をこなすボーイングの実力を見れば、空軍の次期機材開発でも同社が重要な存在になりそうだ。

 

F-15EXは決して安価な機材ではなく、F-35Aの機体価格を上回りそうだ。空軍は悩みの種だった既存機材と技術進歩のバランス問題を解決できそうだ。F-15EXの教訓をDCSに生かし、空軍の有する各機材に高度技術を逐次導入する課題が解決できる。しかし、この実施は未経験分野であり、超大国間対決が中心課題に戻ってきた現況で旧型戦闘機の生産を続けることの是非は長期間にわたり有効な装備品を実現する能力が米国航空宇宙産業にあるのかという公然たる疑問につながるはずだ。■

 

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

Could the F-15EX Transform the U.S. Defense Industry?

September 11, 2020  Topic: Technology  Blog Brand: The Buzz  Tags:

by Robert Farley 


Dr. Robert Farley has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005.  He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph.D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor of Lawyers, Guns and Money.


2020年9月9日水曜日

ロボット軍用犬がネリスAFBでの演習に登場。警備任務に投入された。

 Air Force robot dog security

ジョン・ロドリゲス技術軍曹がゴーストロボティクスのVision 60試作型とともにネリス空軍基地での演習に巡回警備している。September 3, 2020. US Air Force/Tech. Sgt. Cory D. Payne

 

  • リス空軍基地(ネヴァダ州)で「ロボット犬」が試用され、基地が攻撃を受けた想定の演習で警備に投入された。

  • 演習ではF-16ファイティングファルコン等に迅速燃料補給や装備搭載がおこなわれ、ロボット犬が空軍警備要員を視覚的に補助した。

「ロボット犬」は警備要員の状況認識を強化する狙いがある。


ロボット犬を開発したのはゴーストロボティクス Ghost Robotics で、空軍研究本部の契約が4月だったが、先週迅速戦闘投入演習の会場となったネリス基地に姿を現し、敵攻撃を受けた想定の飛行施設確保をシミュレートした。


Air Force robot dog security


ロドリゲス軍曹がゴーストライダーのVision 60試作型をネリス空軍基地での演習で制御した。September 3, 2020. US Air Force/Tech. Sgt. Cory D. Payne



演習には全米各地から正規部隊と州軍航空隊が集結し、空軍が目指す次世代の高度戦闘管理システムの効力を試す目的があった。


今回投入されたロボット犬の型式名は Vision 60でゴーストロボティクスが情報収集監視偵察(ISR)用、通信用、「連続警備用」の軍用仕様にかえたものだ。「全地形で安定した移動と事実上あらゆる環境に対応するため、設計の中心思想では脚走行ロボットの機構部分を簡略化しており、車輪付きUGVよりも簡単な構造になっている」とゴーストロボティクスは説明している。「簡素化により耐久性、迅速性が増加しているし、運用コストも下がっている」


Air Force robot dog security


ゴーストロボティクスのVision 60 試作型がネリス空軍基地の演習で警備を担当した。September 3, 2020. US Air Force/Tech. Sgt. Cory D. Payne



今回の演習では321緊急対応飛行隊、621緊急対応飛行団がコロラドのバックレー空軍基地からネリスAFBへ109空輸団のLC-130ハーキュリーズで移動した。


Vision 60ロボット犬は一帯の視覚評価を提供し、621飛行団隊員が機体周辺を警備した他、増援部隊の到着時に安全を確保した。


演習にはC-130の二番機にF-16ファイティングファルコン4機が加わり、迅速燃料補給・装備再搭載をする間、ロボット犬が保安要員とともに安全を確保した。


Air Force robot dog security


ロドリゲス軍曹がゴーストロボティクスVision 60試作型とネリス空軍基地での演習で警備にあたった。September 3, 2020. US Air Force/Tech. Sgt. Cory D. Payne



Vision 60ロボット犬が今回の演習でどの能力を試されたのか詳細は不明だが、公表写真では621CRW所属の隊員がロボット犬各種と勤務にあたる姿が見え、ゴーストロボティクスが主張するモジュラー構造設計が活用されていることがわかる。■


この記事は以下を再構成したものです。


The Air Force just tested 'robot dogs' to help security forces keep an eye on their bases


Jared Keller, Task & Purpose 18 hours ago


2020年9月8日火曜日

MQ-9後継機は全く違う機体になる兆候。登場は2030年以降だが、最新技術で中国、ロシアへ対抗する

 

MQ-9 Reaper

Air National Guard photo by Tech. Sgt. Neil Ballecer

 

 

ェネラルアトミックスのMQ-9リーパーは中東で延べ数百万時間も投入されてきた。だがペンタゴンはこれからは互角戦力を持つ敵が相手の厳しい戦闘と考え、後継機に全く別の戦闘環境を想定している。

 

 リーパーは先行登場したMQ-1プレデターを拡大し、ペイロードを増加させ、「ハンターキラー」として攻撃のみならず情報収集偵察監視任務まで実施している。ただし、関係者はこうした任務を別の機体に任せる時が来ていると見る。

 トランプ政権の2021年度予算要求にその意向が反映され、MQ-9新規調達をゼロとし、後継機開発を求めたが、議会はこれを突っ返した。

 

ローパー次官補の考え方

 米空軍で調達を取り仕切るウィル・ローパー次官補は「MQ-9を廃止してハイエンド戦に対応させる転換を図った」と7月に記者会見で話していた。空軍は後継機をMQ-Nextと呼ぶ。

 空軍は2012年にも後継機をMQ-Xとして実現を狙ったものの中止した経緯があり、今回が二回目のトライとなる。ペンタゴンがロシアや中国といった高度戦闘能力を有する敵相手に重点を移しつつある背景が今回の違いだ。

 空軍は業界に情報提供(RFI)を6月に求め、7月締切までに大手防衛産業数社が回答している。

 一方でローパーは機体価格も重要視する。

 「MQ-9のミッション以上の可能性を模索している。ただし空軍省予算内で実現するためには機体価格が重要要素だ」空軍省にはその他高額案件があり予算の余裕がない。第五世代戦闘機、新型ステルス爆撃機、地上配備核抑止力の近代化、宇宙装備や全ドメインの指揮統制機能などだ。

 野球のたとえを使い、ローパー次官補は次期機材は多彩な用途をこなす選手にしたいと述べた。ローパーの考える機体はISRデータを収集し同時に空対空兵装も搭載する。

 「ハイエンド戦でも敵戦闘機がやすやすと侵入できない哨戒線を作れる無人機が実現できないか。同じ機体を呼び戻し重要装備、機体や基地の防御にあてられないか」

 期待される任務をこなすためには一機種では足りなくなるかもしれないとローパーは見る。

 「ファミリー構成のシステム装備品にしてもよい」といい、産業界にはハイエンドの敵相手に戦うため独創的な発想を期待したいという。

 自律運航度を高めるのも一つの解決策で、機体価格を下げる効果も期待できるとローパーはみている。

 「MQ-9一機運航するだけでも多数の人員が必要だ」「当時の技術で設計されているからだが、いまや自動化の範囲が拡大している」

 「機体価格を下げるため可能な限り自動化させる必要がある」

人工知能に制御させ、運航コストを下げる技術解決もあるという。

「ISRの時間当たり経費は下がる。アルゴリズムで元の映像を迅速処理し遠隔地の操作員に送り、標的を識別できる」とローパーはミッチェル航空宇宙研究所開催のイベントで発言していた。.

 一方でどこまで残存性を求め、どこまで消耗品としてあきらめるべきかも重要な検討要素だ。

「低価格の機体を多数製造すれば補給活動が課題となる。他方で防御力が高い機体にすれば、敵は重要装備を投入しても阻止に動くだろう」

 ただし消耗前提の機体への移行は容易ではないという。「出撃すれば必ず帰還できる機体を作ってきた。帰還が期待できない機体を作るとなると用兵部門にも製造部門にも全く違う考え方となる」

 ローパー次官補はRFIへの業界対応に独創的な発想を期待している。

 空軍がもくろむのは2030年の納入開始で初期作戦能力の獲得は2031年とRFIにある。

 「デジタルエンジニアリングでは、10年は永遠に近い。この10年で数十年に相当する効果を期待したい。2030年までに完成できないのなら、システムの何かがおかしいことになる。10年間をまるまる開発に使っていいわけがない」

 

ジェネラルアトミックスの意気込み

 ジェネラルアトミックスはRFIに回答ずみで、MQ-9の知見を応用して成果を上げたいと同社広報が語っている。

 「当社が提案する先進技術はオープンアーキテクチャ、人工知能、自律運航、モジュラー構造さらに相互運用への対応でシステム効率を最大限に実現します」「当社の先端技術でライフサイクルコストを下げつつ第一線部隊で高性能無人装備を通じ、共通性と相互作戦能力を実現すると見ています」

 同社はすでに各種システムのファミリー構成を想定していると同社広報は続けた。次期機材では自動化の幅を広げるが、一部はMQ-9ですでに実現しているという。

 「離着陸の自動化や遠隔地上走行さらに運搬式機体制御装置を使い、離着陸地点に人員配置が不要になりました。また地上制御装置は一人で対応可能としつつ、最大6機の同時制御が一人で可能となりました」

 リーパーの自動化ツールを全部そのまま使えば、人員経費を50パーセントが減り、1500人分の人員余裕が生まれると同社は述べている。

 

各社競合になるのか

 業界筋はジェネラルアトミックス以外にロッキード・マーティンボーイングノースロップ・グラマンの参入があるとみている。

 まず、ロッキード・マーティン広報はRFIに対応し、スカンクワークスによる高度技術開発成果を反映していくと述べている。

 ボーイング、ノースロップ・グラマン両社はRFIを提出するか口を濁している。

 MQ-Nextはジェネラルアトミックスにとり重要事業となる。というのもMQ-9が同社の主力製品だからだとフィル・フィネガン(Teal Group)が解説する。同社はヴァージニア州フェアファックスに本拠を置く航空宇宙防衛市場を分析する企業だ。

 「同社は後継機の採用を狙い全力をあげてくるだろう」と述べ、同社はリーパーの収益で維持されており、採用されないと存続が危うくなるという。

 一方でマーケティングコンサルティング企業のフォアキャストインターナショナルで上席防衛アナリストのラリー・ディッカーソンは MQ-Next受注失敗でジェネラルアトミックスの運命が決まる話にならないと見る。

「リーパーは今後も軍に残り、長期にわたり機体整備や支援の業務が同社に残るはずだ」というのだ。

 

変化に消極的な態度の議会

 他方で空軍がMQ-9後継機づくりに前向きなのと対照的に議会に熱気が見られない。下院版の2021年度国防予算歳出案が7月に可決されたが、MQ-9の16機を344百万ドルで調達する内容が盛り込まれており、生産ラインを維持するとある。本稿執筆時点では最終法案は通過していない。

 「空軍の2021年度予算要求にはMQ-9生産の終了がうたわれており、作戦要求に対して機材数が余剰なのを理由にしている」と下院歳出委員会国防小委員会が解説。「当委員会はこの提案を認めず、逆にMQ-9の追加調達16機分が妥当と提言する」

 議会には空軍が十分に計画せずに後継機調達に飛びつく現状に懸念する向きがある。同上小委員会は空軍に対しMQ-9後継機報告書を2022年度予算要求案の前に提出するよう求めている。

 「報告書では次期装備の望ましい性能水準、経費ならびに大日程を開発、配備の実現に関連で示すとともに開かれた競作を確保し、国家防衛戦略構想の目標をどのように実現できるのか説明を求める」との内容が法案に付随している。

 ローパーは新型機の有用性を議会に納得させるのは空軍の仕事だと強調している。

 「いろいろ使える選手を育てて多様なミッションに投入するためこれまでの調達方法ではうまく行かない。議会には大きな転回点と理解してもらいたいし、今後議論を進めていく」

 フィネガンもMQ-9生産終了を認めたくない議員の心情がMQ-Nextで支障になると注意している。

 「議会にとって気に入らないのは生産ライン閉鎖です。そのため事業を止めるのは極めて難しい話なのです」

 

無人機輸出条件緩和の影響は

 他方で、トランプ政権から7月にUAS輸出規定をミサイル技術規制制度(MTCR)との絡みで緩和する発表があった。これでリーパー並びにMQ-Next双方に影響が生まれそうだ。新分類では「カテゴリー1」装備品は最高速度が時速800キロとなる。改定後は米企業に商談の可能性が増えるとみる向きが多い。

 ジェネラルアトミックスでは規制緩和でMQ-9輸出が増えるとみているものの障壁も残っているとディッカーソンが指摘している。MTCR変更がMQ-Nextの販売にどう作用するかはだれにもわからないという。

 「どのシステムを選択するかにかかってきます。米国はこの装備品は簡単に他国に使わせたくないはずです」■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

MQ-NEXT: Air Force Sets Sight on Reaper Drone Replacement

By Yasmin Tadjdeh

 

— Additional reporting by Mandy Mayfield

Topics: Air Power, Air Force News