2020年12月13日日曜日

スタートアップ企業の大型無人打上げ用UASに米宇宙軍が即契約。これがアメリカのイノベーションの底力だ。低地球周回軌道打ち上げのゲームチャンジャーに、対中戦での衛星喪失の穴を埋める期待。

 こうした新興企業が次々と現れ技術革新が進むのが米国のすごいところで根っこには失敗を恐れない、失敗しても自分の財産が差し押さえられないメンタリティとシステムの違いがあるのでしょう。民間航空部門などは出来上がったシステムを汲々と守り利益を最大化することしか眼中にない観があります。航空不況で大打撃を受けてもシステムそのものを打破する発想は民間航空部門に出てくる気配がありません。だから制約がないわけではありませんが、どんどん新発想が出てくる軍事航空部門に魅力を感じるのですが、皆さんはどうでしょうか。

*ターミナル1-2共通記事

AEVUM/YOUTUBE SCREENCAP


国の新興企業エイヴァムAevumがオンラインでロールアウト式典を開きレイヴンXRavn X自律発進無人機をお披露目した。式典には実寸大のモックアップも登場した。同社は2016年設立で本社をアラバマ州ハンツヴィルに置き、再利用可能な無人機にロケットを搭載し、小型衛星等を低地球周回軌道に乗せる。

 

レイヴンX無人機は双発で同社によれば第一段に相当し、機体重量55千ポンド、全長80フィート、翼幅60フィートと往年のA-5ヴィジランテに相当するサイズだ。二段目ロケットの母機として1,000ポンド程度のペイロード運搬を狙う。エイヴァムはレイヴンXを三段式打ち上げシステムとして構想している。

 

同社によれば打ち上げシステムの第一段目に無人機を使えば、ロケットモーター作動を切り離し0.5秒から1秒後に開始できるメリットが生まれるという。ここまで短時間で機体下部から切り離しできれば、ロケットモーターのエナジーブリードを最小限にできる、つまり切り離し直後の慣性損失を最小限にできるという。同社はこの切り離し方法を有人機で行うのは危険が伴うとする。これまでの空中発射では有人機からロケットを落下させ時間をおいてからロケット点火して乗員の安全を確保していたが、ロケットの運動エナジーがその分犠牲になっていた。

 

報道によればロケット切り離し高度は33千から66千フィートの間で可能という。二段目の推力は5千ポンドと同社CEOジェイ・スカイラスはArs Technica ブログで搭載エンジンは「高温運転テストを長時間行い」「認証テストを完了」したという。

 

第一段に再利用可能宇宙機を活用する構想は前にもあったが、再利用可能無人自律型の母機が通常の航空機同様に離着陸するのは新規構想で少なくとも民生分野では初めてだ。レイヴンXは従来型ロケット打ち上げより経済的、簡素かつ柔軟性にとんだ手段になると見ている。また同社は自社方式をその他の空中発射方式のノースロップ・グラマンのスターゲイザーやヴァージンのオービットロンチャーワンと異なると主張しており、レイヴンX第一段は大気圏内で加速させてからロケットを急速切り離し点火させるのが違いとする。ただし実際の効果でどこまで違いがあるか不明だ。

 

レイヴンXの大日程はかなり野心的でまず「機体レベルのテスト」で耐空証明を取得し、打ち上げ許可を得るとある。後者は通常18ヶ月かかる工程とスカイラスは説明。その後、同社は第一段で耐空証明を連邦航空局から取得する。

 

そして軌道打ち上げテストをセシル宇宙港(フロリダ州ジャクソンビル)で2021年末に開始する。ここまで極めて野心的な内容に聞こえ、システムの工程表もまだ完成していない。ロールアウト式典で公開されたモックアップ機はタクシーテストに投入可能に見えるが、鋭い観察眼を持つ外部専門家は必要な機能がついていないことに気づいている。スカイラスはレイヴンXを18ヶ月で稼働開始にするというが、疑問が残るのは事業の実施可能性であり、資金の確保先だ。

 

AEVUM/YOUTUBE SCREENCAP

Aevum CEO Jay Skylus explains the launch profile during the rollout event.

 

この種の打ち上げ機で型式証明は前例がないが、エイヴァムでは無人機を使うのが今後の顧客ニーズに合うと見ており、既存の有人機のインフラや支援装備をそのまま使える利点があるとする。同機は通常のジェットエンジン用の燃料を使う。今は数年を要する打ち上げ準備を大幅に短縮するためと同社は述べる。

 

AEVUM/YOUTUBE SCREENCAP

 

レイヴンXの顧客候補に米宇宙軍があり、第一回目ミッションとして490万ドル契約を昨年受けている。迅速小型打ち上げ運用ノーマライザーASLON-45の打ち上げが2021年末に予定されている。

 

デジタルのロールアウト式典にはライアン・ローズ中佐(宇宙ミサイルシステムズセンターの小型打ち上げ部門長)がニューメキシコ州カートランド空軍基地から参加し、軍がレイヴンXへ関心を示していると挨拶した。

 

同社は年間8回ないし10回の打ち上げを予定しており、ミッション費用は5-7百万ドルの範囲だという。

 

この以外に米空軍の小規模ビジネスイノベーション研究事業から5万ドル、さらに名称非公開のペンタゴン契約も取得している。同社はオービタル・サービシズ事業-4で9.86億ドルで同契約を獲得しており、打ち上げ20回を行うとの報道が一箇所から出ている。

 

米政府資金を確保しているがエイヴァムは民間資金の確保にも向かっている。ただし、規模は非公表だ。同社ウェブサイトでは民間顧客が一社あるとなっているが社名は「非公開」でミッション実施時でも公開しないという。最終的に同社は資金の85%を民間顧客から確保し、残りを国防関連機関に期待する。

 

同社公表のコストではライバル他社と大きな差がないが、エイヴァムはレイヴンXの利点は迅速かつ簡易な方法でペイロードを軌道に載せられるのは従来のロケット打ち上げ施設の利用が不要となったためと説明している。「低地球周回軌道にペイロードを届けたあと地上に戻り自律的に安全に滑走路に着陸し、格納庫まで戻ってきます」

 

ASLON-45ミッションはセシル宇宙港から打ち上げるが、同社は適切な長さの飛行施設ならどこでも使えるとし、ペイロード打ち上げは「最短180分、24時間毎日」可能になるという。

 

この打ち上げ方法ではペイロード重量の制約がついてまわるが、宇宙軍、ミサイル防衛庁が小型衛星の打ち上げを意図する限り問題ではない。極超音速ミサイルなど空中発射式装備にも応用できそうだ。実用化に成功すれば、低地球周回軌道に簡単にペイロードを送る魅力的な選択になる。大型衛星は大国間戦では脆弱な目標とペンタゴンは危惧している。このため小型で簡易な衛星を大量に打ち上げ大型衛星喪失の穴を埋めることが高優先順位になっている。いいかえれば短時間で軌道打ち上げする必要がある。

 

この事業には未回答の疑問点も数々あるとはいえ、エイヴァムは興味深い打ち上げコンセプトを提示した。時間が経てば、同社の大胆な構想が言葉どおり成果をあげるかわかるはずだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Aevum's Space Launch Plane Is A-5 Vigilante Sized, Its Claims Are Even Bigger

BYTHOMAS NEWDICKDECEMBER 4, 2020


2020年12月12日土曜日

インド洋への中国海軍進出にインドは非対称戦略で対抗せよとのCNASレポートを読んで

 この記事を読めば、なぜインド太平洋という呼称が使われているかがわかりますね。シンクタンクの理屈がデリーの政治家にどれだけアピールするかわかりませんが、要は中国に追随した大海軍整備に走るのは愚策ということですね。今後は日本としても国境線の地図から国益の地図に切り替えて思考していく必要があると思います。安保法制の審議時に見られた政府の足を引っ張るような議論ではなく、納得できる国益の議論が必要な時が来ていると思います。


 

 

れまで長きにわたりインド洋はインド海軍が支配し、さらにアジアでも数少ない空母航空戦力を有しているのがインドだ。

 

ただし、シンクタンク新アメリカ安全保障センター(CNAS)のレポートによれば、中国軍事力の増強がここ二十年余り続いた結果、インドの軍事力近代化並びに増強の影が薄くなっており、特に海洋面で顕著だという。1962年の中国との国境紛争をひきずるインドには痛い指摘だ。

 

人民解放軍海軍(PLAN)の中心は太平洋にあるが、最近になり中国はバングラデシュ、ミャンマー、パキスタン、スリランカと次々に港湾施設の使用権を獲得しており、海軍基地建設も始めた。すべてあわせ「真珠の首飾り」を構成しインドを包囲するねらいだ。PLANはインド洋への艦艇派遣が増えており、インドの弾道ミサイル潜水艦に脅威を与える可能性が出てきた。

 

 

 

インドは数の上ではインド洋で優位を維持しているものの、中国は着々と基礎固めをし同地区でのプレゼンスを強めてきた。

 

ここ二十年にわたり、米国はインドと事実上の同盟関係を強化し中国の台頭に対抗してきた。ただし、CNASレポートにあるように予算面の制約と調達の欠陥によりインドがPLANの艦艇、航空機双方に対抗できるとは期待できない。

 

ヒマラヤ山岳地帯での国境線確保については別稿が扱うので、本稿ではCNASレポート提言を検討し、インド海軍・空軍が無理せずインド洋で中国の台頭があっても優位性を確保する方法を見てみよう。

 

PLANの全体規模はインド海軍を上回るが、インドには域内海域の確保に役立つ利点がある。中国国内のPLAN艦艇はインド洋への移動にマラッカ海峡を通過する必要がある。スンダ海峡の利用も可能だ。

 

CNASレポートはインド海軍が12隻から18隻の短距離ディーゼル電気推進方式潜水艦部隊を両海峡に配備するよう提言。さらに大気非依存型推進潜水艦建造を提言しており、リチウムイオン電池の採用も有望とする。

 

さらに海軍原子力潜水艦による長期間作戦を太平洋で展開してPLAN艦艇の航行を妨害、遅延、寸断する提言をしている。

 

潜水艦建造を加速するため、同レポートでは計画中の原子力推進空母三号艦の中止を提言している。空母は弱小国へは兵力投射の有効な手段となるが、PLANの対艦ミサイルによる破壊を逃れるのは困難だ。

 

海洋面でのISR強化を

 

インド海軍には近隣海域を通行する艦船、潜水艦の追跡能力の強化が必要だ。情報収集監視偵察(ISR)能力の拡充が必要で、インドはP-8Iポセイドンの供用を開始しているので期待できる。

 

インド海軍は偵察機材の拡充のため、衛星、長時間滞空無人機としてMQ-4Cトライトンあるいは同等の国内開発機材の調達に走るだろう。

 

情報共有を米国と、あるいはフランスと行えばインドの海洋面の状況認識機能が高まるだろう。

 

有事となればインドISR機材に防御の必要があり、同時に電子攻撃、サイバーあるいは宇宙装備で敵のISR機材を妨害し、インド洋上の監視偵察能力を低下させる必要が生まれる。インドには関連民生部門で多彩な人材がそろっているのでCNASレポートは必要な能力を無理なく実現できると見ている。

 

非対称戦に備えるべき

 

CNASではディーゼル電気推進潜水艦以外に安価な対艦攻撃手段の整備を提言し、PLANの055型大型駆逐艦に対抗し高価な大型水上戦闘艦艇を建造し、21世紀のユトランド海戦を想定すべきではないとする。

 

安価で消耗品扱いながら重装備のステルス無人戦闘艦艇(USVs) や長距離陸上配備対艦ミサイルのブラーモス巡航ミサイルをP-8哨戒機に搭載すれば、多大な予算をかけずに残存性高く、消耗前提で対艦攻撃能力が実現するとし、反対に大型高価格水上艦艇を整備してもレーダー探知から逃れられない。

 

同盟関係の強化

 

ジャワラリアル・ネール首相が非同盟運動を冷戦時に展開したことでインドは歴史的に同盟関係に距離を置いてきた。米国との関わり方でも米国の標準では限定的にとどまっており、直近の問題を除きインドは中国との直接対決も避けてきた。

 

ただし、中国を挑発することなくインドは協力関係の深化で多くを得られる。毎年行われる多国間演習に加われば、インド軍の実力、共同作戦体制の強化を他国と深められる。

 

インドと米国は2016年取り決めで相互に軍事施設を利用することになっており、これを実現すればよい。インドのP-8Iをアンダマン諸島、ニコバル諸島にあり、米海軍がP-8をディエゴガルシア島にあるので相互に基地を交換すれば、パトロール効果が増強されよう。

 

レユニオン、マヨッテの領有でフランスはインド洋で海上情報収集能力を有する。フランスとインド両国は情報共有で恩恵を享受できる。

 

その他にも今後強化すべき相手にオーストラリア、日本、フィリピン、ヴィエトナムがある。インドから比較的近い地域の同盟国と協力することで真珠の首飾りの拡大に対抗できる。

 

インド政府の決断は?


CNASレポートの結論は防衛戦略ならびに非対称能力の整備に集中すればインド海軍は海洋面の優位性を大型艦艇建造に走ることなく確保できるとする。ただし、この選択だと核弾道ミサイル潜水艦部隊の拡充に向かい、空母部隊も増強を狙うインドの現行の政策と逆行する。

 

もちろん、インド海軍がどんな選択をして自国権益の確保に向かうか

最終決定はインドの政治家の手にあり、ワシントンの軍事アナリストではない。■

 

この記事は以下を再構成したものです。


China Is Expanding Into the Indian Ocean. What Can the Indian Navy Do About It?

December 11, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaIndiaMilitaryIndian NavyWar

by Sebastien Roblin


 

Sébastien Roblin writes on the technical, historical and political aspects of international security and conflict for publications including The National Interest, NBC News, Forbes.com and War is Boring. He holds a Master’s degree from Georgetown University and served with the Peace Corps in China. You can follow his articles on Twitter.

This article first appeared earlier this year.

Image: Reuters


2020年12月11日金曜日

フランスが次期原子力空母建造を発表。

 フランスが新型空母建造に踏み出しました。記事によれば推進方式はこれまで未定だったということですが、どうなんでしょう。シャルルドゴール一隻の空母運用になっている事情もわかります。新型機FCASを搭載するということですが、空母運用型も最初から開発するのでしょうか。運用はいっせきだけ?それとも中断中のドゴール級二号艦を完成させ、非対称の二隻で運航する?フランスだけで運用可能なのでしょうか、わからないことが多すぎますが、大国の威信で空母を建造するようです。Defense Newsが以下伝えています。

 

Naval Group

 

マニュエル・マクロン大統領は次期原子力空母の建造を

開始し、2038年に就役し、現行のシャルル・ドゴールと交代すると12月8日に発表した。

 

新型空母はフランス史上最大の艦艇となる。フローレンス・パルリ国防大臣は将来型戦闘航空機システム(FCAS)30機を搭載し、75千トン、全長300メートル、27ノット航行可能、2千名が乗り組み、同艦はK22原子炉二基を搭載し、出力220メガワットとなると発表していた。シャルルドゴールは全長261メートル、満排水量42千トンである。

 

フランス中央部ルクルソにある原子力発電大手企業フラマトムFramatomeで演説したマクロン大統領は演説の最後の4分間で次期空母が原子力推進になると発表した。

 

主契約企業はナバルグループは直ちに声明文を発表し、大統領の決断を称賛するとともにチャンティデラトランティーク Chantiers de l’Atlantiqueテクニカトム TechnicAtomeダッソーエイビエーション Dassault Aviation等フランス主要企業と連携し建造に進むと述べた。

 

ナバルグループ会長兼CEOピエール・エリック・ポメレは「今回の発表を喜ばしく思う....フランスは原子力空母運用という主要国でも限られたサークルの一員の位置を維持できる」と述べた。またポメレはマクロン演説に関し、「技術水準の維持を約束する」今回のような大規模事業の重要性ならびに「推進系分野、高付加価値軍用装備の各分野を通じフランス技術の優位性ならびに戦略地政学上の地位を維持すること」を強調している。

 

原子力推進方式が選定されたが、未決定事項もある。カタパルトがそのひとつで、フランスはこの分野での技術蓄積がなく、これまで米製装備を輸入せざるを得なかった。シャルルドゴールは蒸気式だが、新型艦は電磁式になるだろう。

 

ナバルグループは各社と二年間の初期設計作業に入る。その際に予算不足で建造が中断したままのシャルルドゴール級二号艦の知見が活用されよう。その後詳細設計に移り、開発段階は2025年に完了し、国防省が正式発注する。設計段階だけで10.9億ドルの予算見積もりがあり、2021年にこのうち142百万ドルを充てる。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

Macron kicks off French race to build a new nuclear-powered aircraft carrier

By: Christina Mackenzie


2020年12月10日木曜日

台湾向けMQ-9リーパー売却が実現へ。武装UAS輸出方針をトランプ政権が改訂していた。

 北京は例によって狂乱の声を上げるでしょうが、新型潜水艦もあり、台湾は着々と守りを固めています。逆に言えば、時間が経てば中共が台湾を侵攻するのは困難になるので思い切って今武力侵攻を始める方がいいとの計算もあるはず。まさかそこまで愚かな決断はしないと思いますが、わかりません。しかし、台湾が自国の一部であり、反乱省なので武力統一で人命を奪っても構わないと考える思考方法が恐ろしいですね。こうやってみると一つの中国というプロパガンダの底の浅さがよくわかります。

 

 

国が台湾の武力統一を一貫して叫び、揚陸強襲作戦準備として演習や臨戦態勢を近隣海域で進める中、米国がMQ-9リーパー無人機の台湾向け売却を承認したのは当然と言える。 

 

米国務省はMQ-9リーパーの台湾向け売却案件を議会通達し、台湾は中国沿海部含む周辺海域の電子監視機能を大幅に増強する。今回の売却案件は無人機の同盟国向け輸出で政策に変化を示す点で興味深く、無人機装備を世界各地の同盟国協力国に従来より容易かつ大量に輸出できることになる。

 

「協力国多数が取得を目指しており、特に海洋ドメイン、国境線保全・防御の観点で必要を訴える国がある。戦略的手段ではなく、戦術作戦手段だ」と国務省のクラーク・クーパー副長官(政治国防分野)が報道陣に語り、2020年7月にトランプ政権が無人航空装備輸出方針を改訂したとクーパーは説明している。

 

 

「この重要な変更により米国内の最先端産業に恩恵が生まれ、米国はUASを求める同盟国へ輸出が可能となり、情報収集監視偵察機能の強化につながる」(クーパー)

 

MQ-9リーパーの兵装、ミッションスコープ拡大を見れば、台湾含む米同盟国は同機取得に前向きになるはずだ。米空軍はMQ-9リーパーで運用可能な兵装の幅を増やしており、「ユニバーサルウェポンインターフェイス」強化に努めている。これはMQ-9リーパーで新種類の兵装技術を迅速に導入し、爆弾等を簡単に搭載できるようにする技術だ。

 

現行のMQ-9ではAGM-114ヘルファイヤミサイル、500ポンドGBU-12ペイブウェイレーザー誘導爆弾、共用直接攻撃弾(JDAM)GPS慣性誘導爆弾を運用できる。空軍は今後の方向性としてAIM-9X運用により同機を空対空戦闘機に変えるとしている。

 

米空軍にはMQ-9リーパーは100機超あり、航続距離は1,150マイルだが燃料タンク追加で滞空時間は現在の16時間が22時間に延びる。飛行時間の延長とミッションスコープ拡大によりMQ-9リーパーは台湾のニーズに合致する機体になったといえる。太平洋地区では地理的な広がりがネックとなっているのだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Taiwan's Military Could Soon Have the MQ-9 Reaper Drone

December 9, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyDronesMQ-9 ReaperWeapons

Taiwan's Military Could Soon Have the MQ-9 Reaper Drone

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also wrked as an anchor and on-air military specialist at national TV netwoorks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University


2020年12月9日水曜日

F-X(F-3)は第六世代戦闘機になる。National Interestの最新記事をご覧ください。

 





材老朽化に苦慮する日本の防衛省は第六世代戦闘機調達を大胆に進める。


航空自衛隊は戦闘機部隊の老朽化へ解決が必要となっている。性能は今も有効だが確実に機齢を重ねるF-15Jイーグル、F-2多任務戦闘機(F-16派生型、国内生産)が念頭にある。


防衛省が第六世代機構想を提唱したのは2000年代末で、構想実証機X-2心神が2016年進空し本気度を示した。当初はF-22ラプターを米国から調達する意向だったが政治面の理由でこれがかなわず、いったんはF-35調達により第六世代機調達は断念したと思われた。だが、2019年に日本次世代戦闘機調達を目指すと明らかにした。

 

本年に入り、防衛省は次期戦闘機の開発ロードマップを公開し、国内生産の前提でF-Xと暫定呼称している。機体、エンジンの最終決定は2021年3月末までに完了とある。試作機製作を2024年開始し、2028年初飛行し試験を開始する。F-Xは非公式にF-3第五世代機とされ、2031年に量産開始し、航空自衛隊に2030年代なかごろに編入されると、F-2が退役時期を迎える。さらに、防衛省はF-X開発契約を三菱重工業に交付し、開発生産を同社が統括するが、ロッキード・マーティンボーイングがレーダー技術などエイビオニクスの提供で参画に意欲を示している。

 

F-Xの具体的な情報はごく限られているが、全体像の輪郭が姿を現しつつある。F-Xは東シナ海、日本海の上空で中国の新鋭機に対抗する長距離制空戦闘機になると一般に考えられている。またX-2で実証したステルス性能や高い機体操縦性に加え日英共同開発中の新型共用空対空ミサイルJoint New Air-to-Air Missile (JNAAM)を搭載するはずだ。

 

防衛省はロッキード・マーティンの第五世代戦闘機F-35調達と並行でF-X開発を進める意向で、日本はF-35Aを105機、F-35Bを42機と世界最大の同機導入国になっている。F-Xが長距離空対空能力とすれば、両機種で重複する分野はごく限られそうだ。さらに日本はF-Xは供用中の米国製機材との共同作戦実施能力を可能な限り確保するとしている。空中発射式米製装備や通信ネットワークが最右翼だ。


高額な調達二本を日本が同時並行で進められるか注目される。F-35契約金額は230億ドルとされ、F-Xは450億ドルの試算がある。■


この記事は以下を再構成したものです。



F-X: Japan's Plan for A Stealth 6th Generation Fighter Jet


December 8, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryJetsJapanWarStrategy.

by Mark Episkopos


Mark Episkopos is a national security reporter for the National Interest. 


Image: Wikimedia Commons


2020年12月8日火曜日

中国製攻撃無人機CH-4が中東で急速に人気を失っている理由

 By Zerbout - Own work, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=85075505

 

国のCH-4攻撃型無人機は大手需要国の信頼を失った観がある。

 

イラク空軍は同型機10機を導入したものの1機しか運用していないと2019年8月時点の米国監査報告にある。

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米主導のイスラム国を標的とした不朽の決意作戦の合同任務部隊が監査調査委員に整備上の問題でイラクはCH-4を稼働できていないと述べていた。


 

 

CH-4はジェネラルアトミックスMQ-1プレデターとほぼ同等の機材で衛星通信を介し遠隔操縦され、ミサイル各種を搭載し、中東では価格の安さから一時的に人気が高まった。背景には米国から無人機を導入しようとすると、価格以外に政治や行政手続きが煩雑なことがある。

 

だが同機は不人気になっている。ヨルダン空軍は導入済みCH-4全部を売リに出した。同国がCH-4をわずか3年で売却に追いやった理由は不明だが、米国から別の無人機導入を狙っているのだろう。

 

ヨルダンはCH-4を2016年に導入したが、オバマ大統領がMQ-1のヨルダン向け売却を却下したのを受けてだった。

 

ヨルダン空軍第9飛行隊は中国製無人機以外にシーベルS-100やレオナルド製ファルコも運用している。ヨルダン空軍はCH-4を2018年5月以降公開していない。

 

長征国際交易が販売したCH-4Bは中東で商機を発掘し、米国が武装UAVの域内同盟各国向け販売に躊躇したのを突いた」とアル-モニター紙が報じた。「エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イラクがCH-4B武装型を立て続けに導入し、イエメンやイラクでISIS相手の戦闘に投入した」

 

だが、ヨルダンは米国製無人機購入の許可取得をあきらていないのは、センサー、兵装、通信リンクの性能が中国製より優れるためだ。

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ヨルダンはドナルド・トランプ大統領なら中東向け無人機販売に前向き対応してくれると期待しているのではないか。軍事面のみならず経済面とも中国へ有利となるからだ。

 

「トランプ政権は『中国製』ラベルの付いた兵器が中東の戦場各地で当たり前の風景になるのを心配している」(アル-モニター)

 

「以前からの米同盟国が中国の技術に目を向けるのは、米国が国際武器管理条約署名国の立場で輸出管理しているためだ。中国製武器輸出の増大で米同盟国内に中国が経済軍事上の足場を築くとペンタゴンは警戒しており、米国と同盟各国の関係にも中国が影響力を及ぼすと見ている」

 

「中国は防衛軍事面でつながりを強化するため輸出を使っているのだろう」とインド太平洋問題担当国防副長官ランドール・シュライバーがペンタゴン定例記者会見でアル-モニターに述べている。「中国は行動に規律が不足しており、米国が責任感が希薄と見る各国に装備を拡散するリスクを生んでいる」

 

ただし、ヨルダンがCH-4かわりに高性能中国製無人機を検討している可能性もある。

 

CH-4のメーカー中国航天科技集団China Aerospace Science and Technology Corporationは導入国での実績を盛り込み大型で強力なCH-5を開発した。

 

「CH-5は機内に441ポンドのペイロードがあり、最大16発の精密誘導ミサイルを主翼下に搭載できる」とJane’sが伝えている。「ほぼMQ-9リーパーと同等だがエンジンはピストン式でリーパーのターボプロップと異なる。

 

イラクで整備にてこずっているのはCH-4だけではない。同国は米国からインシチュの小型無人機スキャンイーグルも10機導入した。

 

だが上記米監査報告はスキャンイーグルが2019年3月-6月に稼働したのは二回に留まっており、「米本土内でのイラク要員向け訓練、整備契約の遅れ、通信信号の干渉が原因」との記述がある。

 

この記事は以下を再編集したものです。

 

Don’t Do It: Why Countries Face Buyer’s Regret Over Chinese-Made Drones


December 6, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryTechnologyDroneCH-4 Drone

This is especially the case with the CH-4.

by David Axe 

 

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared earlier and is being republished due to reader interest.  

Image: Wikimedia