2024年3月7日木曜日

中国が米空母撃沈に執着し、空母建造に走ったのは第三次台湾海峡危機が契機だった。30年が経過した今日の状況はどうなっているのだろうか。

 


1995年から1996年にかけての第3次台湾危機で、米空母の戦略的優位性が中国に明らかになり、中国の軍事計画に転機が訪れた


要約:1995年から1996年にかけての第三次台湾危機で米空母の戦略的優位性が明らかになり、中国の軍事計画での転換点となった。台湾の民主的な選挙と米国の軍事的支援を受けて、中国は威嚇のための軍事演習を開始し、台湾近海でのミサイル発射実験もその一部だった。米国は強力な空母のプレゼンスで対抗し、中国の軍事的限界を浮き彫りにした。この出来事が中国を海軍力整備に駆り立て、ロシアの未成空母「遼寧」を購入・改修し、対艦弾道ミサイルを開発した。今日、中国は空母対策の革新を進めながら、重要な空母艦隊を目指している。


30年前、東アジアで軍事対立が起こり、米中は衝突に近づいた。アメリカではほとんど知られていなかったが、この出来事は中国、特に中国の軍事プランナーに強烈な印象を与えた。歴史家が「第3次台湾危機」と呼ぶこの出来事は、中国が空母の威力と柔軟性を知る契機となった。

 危機は1995年に始まった。台湾初の民主的な総統選挙が翌年に予定されていたが、北京は当然これに反対した。現職の国民党の李登輝総統は、母校コーネル大学で講演するためにアメリカに招待された。李登輝はすでに、自国統治を支持し、中国本土から離れた独立した台湾人のアイデンティティを確立する「台湾化」を強調したことで、北京から嫌われていた。その彼がコーネル大学で台湾の民主化について講演するよう依頼され、北京は激怒した。

 クリントン政権はリーのビザ発給に難色を示したが、その前年にコーネル大学で同様の講演を行なった際にはビザが発給されなかった。だがほぼ全会一致の議会支持があり、リーはビザを与えられ、6月にコーネル大学を訪問した。新華社通信は「台湾問題は火薬の樽のように爆発的だ。温めると非常に危険である。中国に負わされたこの無謀な傷は、中国人民が米国がどのような国であるかを明確に認識するのに役立つだろう」と伝えた。

 1995年8月、中国は東シナ海での一連のミサイル演習を発表した。演習は珍しいものではなかったが、発表は異例であり、これは中国による威嚇作戦の始まりであり、コーネル訪問に対する報復であると同時に、翌年の選挙を控えた台湾の有権者への威嚇であるとの憶測が流れた。演習には人民解放軍第2砲兵部隊(現在のPLAロケット軍)が参加し、中国軍のF-7戦闘機(中国版MiG-21戦闘機)が台湾から250マイル離れた場所に再配備された。また、最大100隻の中国民間漁船が大陸のすぐ沖合にある台湾の馬祖島周辺の領海に侵入した。

 Globalsecurity.orgによると、中国の長距離ミサイル部隊の再配置は1996年まで続き、中国軍は実際に軍事行動の準備をした。中国は1996年3月の総統選挙の直後、台湾に対して30日間、1日1回のミサイル攻撃を行うという有事計画を策定した。これらの攻撃は実行に移されなかったが、その準備はアメリカの諜報機関に察知されていたと思われる。

 1996年3月、中国は第4回目の大規模軍事演習を発表した。解放軍は中国沿岸にミサイル発射区域を設定し、発射方向を延長すると台湾に到達した。現実に中国はミサイル三発を発射し、うち2発首都台北の沖合30マイルに着水し、1発は高雄から35マイル地点に届いた。両都市で台湾の民間海上交易の大部分となる。台湾のように輸出に依存する経済でミサイル発射は正しく同国の経済の弱点を狙った動きに写った。

 米軍はタイコンデロガ級イージス巡洋艦USSバンカーヒルを、台湾南部沖に移動させ、SPY-1レーダーシステムで中国のミサイル発射実験を監視していた。日本を拠点とする空母USSインディペンデンスは、駆逐艦ヒューイット、オブライエン、フリゲート艦マクラスキーとともに島の東側に陣取った。

 ミサイル実験の後、空母ニミッツはペルシャ湾地域を離れ、西太平洋に急行した。これは、イージス巡洋艦ポートロイヤル、誘導ミサイル駆逐艦オルデンドルフとキャラハン(後に台湾海軍に譲渡された)、誘導ミサイルフリゲート艦USSフォード、原子力攻撃潜水艦USSポーツマスからなる、強力な空母戦闘群であった。ニミッツとその護衛艦はフィリピン海に到着し、インディペンデンスを支援する準備を整えた。

 人民解放軍は、アメリカの空母に対し何もできず、屈辱を味わった。中国は、急速な経済拡張の結果を見せ始めたばかりであったが、海岸線からわずかな距離しか離れていないアメリカの艦船に信頼できる脅威を与えることができる軍隊をまだ持っていなかった。

ー空母とー対艦ミサイル: ー1996年以降のー

その後どのような話し合いが行われたかはわからないが、その後何が起こったかはわかっている。わずか2年後、ある中国人実業家が未完成のロシア空母リガの残骸を購入し、リゾートとカジノにすると明言した。この船は中国海軍に移管され、15年間の改装を経て、中国初の航空母艦「遼寧」として今日に至っている。他に少なくとも1隻の空母が建造中であり、最終的な目標は5隻の中国空母になるかもしれない。

 同時に、第二砲兵部隊は長距離ロケットの専門知識を生かして、対艦弾道ミサイルDF-21Dを開発した。DF-21は、空母のような大型艦船に対する用途が明らかであり、将来の危機では、米海軍は台湾といわゆる"第一列島線"の沖合800~900マイルで作戦を展開せざるを得なくなる可能性がある。

 第三次台湾危機は、長い間、自国の国境内で戦争を戦う準備をしてきた中国にとって、残酷な教訓となった。それでも、PLA海軍がこの事件から学んだことは称賛に値する。そして今、中国がアメリカの空母に深刻なダメージを与えたり、撃沈したりする可能性は十分にある。また、アメリカとは異なり、中国は空母の価値を見出して自国の艦隊を建造すると同時に、空母の撃沈に多くの時間と資源を割くユニークな立場にある。米国も近い将来、同じ立場に立たされるかもしれない。■


China Is Obsessed with Sinking America's Aircraft Carriers | The National Interest

by Kyle Mizokami 

February 27, 2024  


About the Author: Kyle Mizokami

Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009, he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch


2024年3月6日水曜日

西側がウクライナ国内に部隊を派遣しても第三次世界大戦は回避できる ヒント フライングタイガース航空隊

 これまでのような装備品供与に依存する方法では西側も持続できなくなってきながら、ロシアの勝利はなんとしても阻止する必要があるため、西側が人員をウクライナに派遣しても第三次世界大戦を回避できる秘策があるというのが今回の1945記事の趣旨です。


ロシアの膨張主義に対抗し、2年以上にわたる全面戦争で疲労が否定できないウクライナに対し、外国が直接関与することが、望ましく、実行可能なことかもしれない

2月26日(月)、ウクライナを支援する国際首脳会議の中で、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「ロシアがウクライナで勝利するのを阻止するため、フランスは必要なことは何でもする」と宣言した。そして、「地上軍を派遣するというコンセンサスは今日存在しないが、動的な面では何も排除すべきではない」と付け加えた。イギリス、スペイン、ポーランド、チェコ共和国、ドイツは、ほぼ即座に、自国の部隊をウクライナに派遣することに公然と反対した。マクロン声明を受けて、モスクワは欧米/NATO軍のウクライナ駐留はNATOとの紛争/戦争につながると警告した。     

ロシアの報復的な威嚇はともかく、ロシア地上部隊の大部分はウクライナに駐留しているため、NATOと新たな攻撃戦線を張る余力はないことを示唆している。同時に、米英仏はモスクワを抑止する核兵器を保有しているため、核の瀬戸際外交は空虚である。実際、最前線のウクライナ歩兵部隊は人員不足に陥っていると報告されている。それゆえ、マクロン大統領がウクライナ軍(AFU)を支援するために欧州軍をウクライナに派遣する提案を持ち出せば、戦術的なパワーバランスをキーウに有利な方向にシフトさせることができるだろう。

幸いなことに、本来の国旗やNATOの後援を受けずにウクライナの戦争に西側諸国の要員を参加させる道が存在し、プーチンが西側諸国/NATOに対して敵対行為を宣言する口実を奪うことができる。     

有用なメカニズムとしてのウクライナ防衛国際軍団

ウクライナ防衛国際軍団(ILDU)は、ロシアの侵攻に対抗するために2022年2月27日に設立された外国人からなるAFU部隊だ。ILDUは、キーウのAFUの大隊/小隊に外国人を採用し、AFUのウクライナ軍人と同じ給与、装備、勤務条件でロシアの占領に対する戦争を遂行することを可能にしている。  

上記を念頭に置けば、ウクライナの戦争目標に貢献する意思を有する欧州要員を、ILDUの表向きの後援の下、ウクライナに有期契約で派遣することは可能かもしれない。このような志願兵は、同国人で構成される部隊に所属し、自国軍の将校が指揮を執り、自国の防衛省から給与を受け取り続けるという、特別な契約条項の下で勤務することができる。AFUの連絡将校は、そのような「自律的な」ILDU部隊が、近隣のウクライナ部隊との友好射撃事故を回避しつつ、AFUの戦闘計画との相乗効果を最大化するために提供される。

このような欧州の「自律型」ILDU部隊の例としては、攻撃・偵察任務のために飛行ドローンを運用する無人戦闘機(UCAV)部隊、地対空ミサイル砲台を運用する防空隊員、ウクライナが間もなく受領するF-16戦闘機に精通した地上要員、AFUに供給される西側の最新装備に対応できる陸軍の兵站・整備・修理技術者などが考えられる。このような外国軍のウクライナ国内への配備には3つの利点がある。すなわち、i)そのような要員は、使い慣れた自国の最新装備を使用することになるため、同等のウクライナ軍部隊にその使用法を訓練する必要がない、ii)そのような部隊は前線から離れて活動するため、ロシア軍との接近戦の可能性を大幅に減らすことができ、個人的にロシア兵を殺したり、最悪の場合、モスクワ軍に捕らえられたりするという醜い結果を避けることができる。        

歴史を見れば前例はある

ウクライナ情勢が汎欧州の安定を脅かすほど悪化した場合、EU/NATO各国の議会は、ウクライナへの重要な支援部隊の派遣について真剣に議論する必要がある。幸いなことに、そのような不測の事態が発生した場合、外国軍が自国の戦術的指揮の下で、受け入れ国軍の実質的な一員として他国に派遣された歴史的な前例が存在する。好例が、1941年から42年にかけて日本の中国侵略に抵抗し、重要な役割を果たした中華民国空軍(ROCAF)の第一アメリカ義勇軍(AVG)である。

AVGは3個飛行隊で構成され、アメリカ人指揮官クレア・シェノーが率い、彼は中華民国空軍の正式メンバーとして勤務した。したがって、AVGには一定の正当性があり、対日戦争で中国側に介入する米軍部隊と公然と見なされることはなかった。同様に、前述のヨーロッパの「自治的」ILDU分遣隊は、ウクライナの軍服を着て活動し、UAFの勲章や賞の資格を得ることで、合法的なILDU要員であるという見かけ上の信用を得ることができ、モスクワがEUやNATO加盟国に宣戦布告する法的正当性を否定することができる。

このようにして、親ウクライナの議員たちは、AVGの例を利用して、国内法制審議の際に、キエフを支援するために欧州の軍事部隊を派遣することに対する道徳的、民衆的な受け入れ態勢を改善することができる。結局のところ、中国における日本帝国主義の拡張主義を阻止するためにアメリカのパイロットや飛行士が派遣されたように、ヨーロッパもまた、ロシアの残忍なレバンチズムに抵抗し、最終的に打ち負かすために、UAFを支援する軍事専門家を派遣できるのである。   

「地上戦」議論の有用性

マクロン大統領がウクライナにおける「欧州の軍靴」の話題を切り出したのは、ウクライナへの軍事援助の視野を広げる試みであり、それに比べれば、ドイツのタウルス空爆巡航ミサイルのウクライナへの輸送のような、以前は禁句とされていた話題が合理的に見えるようにするためであったとも推測できるが、ウクライナがEU/NATOからの即時かつ無条件の軍事援助を必要としていることに変わりはない。国連安全保障理事会が、核武装した侵略者による主権侵害を前に無力に見える時代においては、ウクライナのような犠牲国を可能な限り援助するのは、道徳的な国々の多国間連合にかかっている。  ■

How Western Troops Could Be Sent To Ukraine And Not Start World War III 

By

Nah Liang Tuang

https://www.19fortyfive.com/2024/03/how-western-troops-could-be-sent-to-ukraine-and-not-start-world-war-iii/#google_vignette


About the Author 

Nah Liang Tuang, PhD is a Research Fellow at the Institute of Defense and Strategic Studies (IDSS), a constituent unit of the S. Rajaratnam School of International Studies (RSIS), Nanyang Technological University. His research specialties include nuclear weapons politics, North Korean affairs and the role of nationalism in the defense of small states. The viewpoints and arguments presented in this article are the authors own and do not represent any stand of IDSS or RSIS. 


2024年3月4日月曜日

台湾初の国産攻撃型潜水艦ハイクンの詳細。台湾の造船能力の確実な向上を示す同艦は昨年進水し、今年にも海上試験を開始とされる。PLANにどこまで対抗できるのか性能を推測。

 Taiwan photo

CSBC Corporation



台湾初の国産潜水艦に迫る----The War Zone記事からのご紹介です。


台湾初の国産潜水艦"海鯤ハイクン"が海上公試を開始しようとしている


湾初の国産建造潜水艦の海上試験が開始されようとしている。昨年9月に高雄で進水したディーゼル電気推進式「海鯤」「ハイクン」(SS-711)は、老朽化が目立つ台湾の潜水艦部隊を刷新しようと計画された8隻の1号艦だ。


ハイクンの新しい写真が公開された。この潜水艦は、造船所から浮きドックに移され、海上試験を開始するために海中に投入された。以前の報道によれば、この潜水艦は4月下旬に受入試験のために海に出て、年内に引き渡されることになっていたが、このプロセスが遅れる可能性もあるようだ。


これまで艦の全体的な仕上げで、特にセール部分が完成レベルに達していないとの指摘があった。最新の画像は指摘を正確に否定するものではないが、このクラス初の潜水艦が急速なペースで完成したことも忘れてはならない。


このことを念頭に置いて、潜水艦戦のアナリストであり、『ウォー・ゾーン』の寄稿者でもあるメイトゥス・スムトニーは、画像でわかるハイクンの主な特徴をいくつか挙げてくれた。


<em>via Matus Smutny</em>

via Matus Smutny


艦前部には主要兵装である533mm魚雷発射管の開口部が見える。Mk 48大型魚雷以外にハープーン対艦ミサイルや、機雷を搭載できる可能性がある。また、同部分には、音響センサーの主要部分であるシリンドリカル・アレイ・ソナー(CAS)がある。船体の断面を円形に囲むように配置されたハイドロフォンで、周囲を把握できる。


船体の上部、セールの前方には、音響インターセプト/レンジング・アレイがある。これは、傍受されたアクティブ・ソナー・トランスミッションと音響トランジェント・イベントを定位、処理、表示するために使用される。システムは信号源の方位、距離、速度を提供する。また、潜水艦自身が配備した武器や対抗措置、水中通信、潜水艦自身の騒音レベルを監視するためにも使用できる。


さらに艦体下方に進むと、パッシブ・レンジング・ソナー(PRS)と、さらにその下方に、かさぶた状の側面ソナー・アレイが見える。側面ソナーが船体の他の部分よりも外側に突出していることで、潜水艦本体からの音響的な「デカップリング」が最適化され、接触分類能力が向上している。その他の潜水艦とは異なり、ハイクンが曳航式ソナー・アレイも搭載している形跡はない。この種のセンサーと船体の間の距離のおかげで、音響デカップリングはさらに改善される。


船体側面の大きな開口は、二重船体と一重船体の間の移行を示す。この特徴はオランダのウォーラス級にも見られ、台湾の設計に大きな影響を与えている。基本的に、潜水艦の前部と後部は二重船体で、中央の圧力船体(乗組員の居住区を含む)は一重船体である。これは実用的には理にかなっているが、騒音が増える可能性もある。


船体側面に設置された小さなポートは、魚雷対策で使用される。船体後部には、X字型の舵と尾翼の配置、そして、例えばドイツの212型のような、シグネチャーを減少させる渦減衰器がない、ごく標準的なブレードタイプのプロペラが見える。


潜水艦の潜航時間を大幅に延ばし、探知を困難にする、噂されている空気非依存推進(AIP)システムに関する報告は今のところない。しかし、スペイン海軍のアイザック・ペラル級の一部が大規模なオーバーホール中にAIPシステムを導入しているのと同様に、将来的な改装を想定してスペースが確保されている可能性はある。


ハイ・クンの実現に外国がどこまで関与しているのかは、不明だ。

15億4000万ドルをかけて台湾の中国造船公司(CSBC社)が建造したとされるこの潜水艦は、前述の兵器のほか、重要なミッション・システムはロッキード・マーチンが提供している。また、英国を含む少なくとも6カ国が援助を提供したと伝えられている。


台湾が2014年、独自の潜水艦建造計画に乗り出したことは、それ自体が物語であり、以前にも取り上げた。米国やイタリアからの導入など様々な選択肢を精査した上で、台湾が外国製潜水艦を購入する機会を閉ざす決定をした背景に北京からの圧力があった。


人民解放軍海軍(PLAN)の潜水艦艦隊は台湾にとって特に懸念事項となっている。PLANの潜水艦艦隊は少なくとも60隻に達し、各種設計の潜水艦が急ピッチで建造されているため、台湾は潜水艦の隻数で中国に対抗できない。能力面でも、中国は強力な原子力攻撃型潜水艦、原子力弾道ミサイル潜水艦、一層革新的になってきた通常動力型潜水艦、さらに無人水上艦艇や水中機(USVやUUV)など、明らかに最前線にいる。


台湾の潜水艦計画の真価で議論が残るが、国防費が増え続ける中、軍事計画の要であることに変わりはない。台湾政府関係者は、新型潜水艦は「戦略的抑止力」であり、中国による海上封鎖などの危機に際して太平洋への「生命線」を維持できると豪語している。


このような主張に対し、中国国営メディア『環球時報』は、台湾の潜水艦戦略は台湾が「白昼夢を見ている」あらわれであり、中国は「島の全周に多元的な対潜ネットワークを構築済み」と述べている。


現代のディーゼル電気潜水艦は、特に『非対称』戦争という点で、貴重な軍事的役割を果たすことができる。このように、これらのボートの小さな艦隊であっても、中国艦船を待ち伏せしたり、特殊作戦に使用することができる。また、浅瀬を得意とするため、いわゆる「第一列島線」まで進出し、バシー海峡や宮古海峡のような主要な隘路でPLANの活動を妨害することもできる。しかし、これは、台湾の潜水艦が紛争で長く持ちこたえられる前提であり、特に、PLANの対潜戦能力が改善され続けている場合が懸念材料となる。


A Pentagon graphic showing the geographic boundaries of the First and Second Island Chains. <em>U.S. Department of Defense</em>

A Pentagon graphic showing the geographic boundaries of the First and Second Island Chains. U.S. Department of Defense


しかし、ハイクン級は、現在中華民国海軍(ROCN)で供用中の老朽化した潜水艦艦隊に比べ、大きな改善を意味する。現有勢力は1980年代半ばにオランダで建造され、2016年以降の中期のアップグレードの対象となった海龍級2隻で構成されている。第二次世界大戦中にテンチ級潜水艦とバラオ級潜水艦として建造されたハイ・シ級2隻は、もはや外洋に出れない可能性が高い。


ハイクン級がいかに成功を収めても、中国には常に数で劣り、場合によっては打ち負かされることになる。しかし新型潜水艦の試験運用が開始されたことは、台湾の造船産業と軍事全般の大きな進歩を示している。■


Our Best Look At Taiwan’s First Homegrown Submarine | The War Zone

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED FEB 27, 2024 4:53 PM EST

SEANEWS & FEATURES




2024年3月3日日曜日

中国の領土奪還の奇襲攻撃に怯えるロシア。クリミア併合の戦術をそのまま自国に使われる可能性を危惧する内部文書がリークされた。両国の関係は欺瞞に満ちている....これが現実だ

 



リークされたロシアの文書で中国による沿海州領土の奪還抑止にロシアが抑止策を講じていることが明らかになり、核兵器投入も選択肢のひとつだ。Forbesの記事を紹介する。これが「永遠の友好」で結ばれた両国の実体だ

ィナンシャル・タイムズ紙のマックス・セドンとクリス・クックは、ロシアが中国の侵略を抑えるため核兵器を使用する可能性があることを、興味深いレポートで明らかにした。リークされた秘密文書を基にした彼らのストーリーは、中国がロシアの東部領土を併合しようとするかもしれないという、ロシアの深く長年の懸念を裏付けている。

 数年前、中国とロシアが「無制限」の友好を宣言したことを考えると、西側諸国の傍観者にとっては、両隣国間で核兵器の応酬が行われる可能性は低いように思えるかもしれない。しかしロシアは、国境を越えた友好関係はすぐに変わるものだと痛感している。前回、中国とソ連が友好条約を結んだときは、20年も経たずに厄介な国境紛争が発生した。

 中国のアジア全域にわたる行動は、中国が過去の過ちや長年にわたる領土損失に対して長い記憶力を持っていることを示している。膨張志向の中国のナショナリストは、ロシアの軍事的弱点に対する中国の軽蔑の高まりと相まって、過去の敗北に対する中国の憤りを利用し、北にある衰退した国家に牙をむく可能性は十分にある。

 モスクワはこのことを知っており、中国の冒険主義を抑止しようと多大な努力を払っている。ウクライナでロシア軍が過剰に拡張しているにもかかわらず、ロシアは昨年2回、核兵器搭載のイスカンダルミサイルを「中国と国境を接する地域」で使用した。

 中国の国境侵犯に対するロシアの核対応計画の具体的な証拠は、やがて中国がロシアの人口の少ない東部領土の領有権を主張し始め、長い間無視されてきたロシアのアジア系市民を擁護するために手を差し伸べるかもしれないというロシアの懸念の大きさを明らかにしている。興味深いことに、報告書はロシアの核対応シナリオを、中国軍がロシア領内に侵入した後の、最終的な自衛メカニズムとして描いているようだ。このようなシナリオは、ロシアのヨーロッパ志向の軍事エリートが、アジア系ロシア市民に核の雨を降らせることにほとんど躊躇していないことを示唆している。

 フィナンシャル・タイムズの勇敢な記者2名は、「2008年から2014年の間に作成された29のロシア軍の極秘ファイル」にアクセスした。文書には、"戦争ゲームのシナリオや、核兵器使用の運用原則を議論する海軍士官向けのプレゼンテーション "が含まれていた。

 両名は、ロシアが核兵器を使用する潜在的条件が非常に低いことを発見した。基本的な反応トリガーは、「ロシアの戦略弾道ミサイル潜水艦の20%、原子力攻撃型潜水艦の30%、3隻以上の巡洋艦、あるいはその他の陸上目標の破壊」であった。

 これは非常に低い数字だ。現在、ロシアは弾道ミサイル潜水艦を11隻しか保有していない。2隻、あるいは20%を失えば、ロシアの反中国不安を浮き彫りにする。17隻の原子力攻撃型潜水艦が就役しているため、5隻喪失で核攻撃の火種となる。アメリカのプランナーが台湾シナリオで失うと予想する原子力潜水艦の数に比べれば、ロシアの反応トリガーはきわめて低い。

 西側の核不拡散の専門家が大好きな、派手で美味しく複雑な戦略的態勢を示すというよりも、この数字ははるかに単純な防衛戦略を示唆している。文書は、10年以上前のもので、ロシアが中国からの奇襲攻撃をいかに抑止するかについて、多くを懸命に考えていたことを示している。

 戦略文書は2014年までさかのぼるもので、報復を誘発する数字が働いているようだ。2015年、米海軍情報局は、ロシアが太平洋で運用しているのは、6隻ほどの原子力攻撃・巡航ミサイル発射潜水艦とともに、ドルゴルーキー級核弾道ミサイル潜水艦2隻だけと考えていた。ロシアの海軍基地はすべて、中国の中距離ミサイル兵器の射程圏内にあるため、中国がロシア太平洋艦隊を壊滅させようと奇襲をかけた場合の結末は、アメリカの戦略家が心に留めておくべきことかもしれない。

 現在のロシアの核抑止力は、10年前より低下している可能性がある。ロシアが弱体化し、ヨーロッパでの冒険に気を取られている今、中国は発砲することなく、ロシアの東部領土を効果的に併合する真の機会を手にしている。

 中国による突然の国土強奪が現実になる要素はすべて整っている。中国は長年にわたり、ロシアの長い中国国境沿いに鬱積する憤りを放置してきた。多くの中国人にとって、ロシアの太平洋への行政的なリンクであるウラジオストクはロシア名で知られていない。中国との経済的・文化的結びつきは、無視できないものになってきている。

 ロシア東部の行政再編成の時間は刻一刻と迫っている。中国は核戦力を急拡大させており、ロシアの核兵器は抑止力としてははるかに弱くなっている。また、民族的・経済的バランスが変化し続ける中、ヨーロッパ中心のロシアの支配エリート層は日に日に弱体化している。やがて中国は、ロシアのクリミア併合の手引書をそのまま流用し、信頼できない核抑止力に賭け領土保全を目論むモスクワに対し、同じ戦術を用いるかもしれない。■


Leaked Russian Documents Reveal Deep Concern Over Chinese Aggression

Craig HooperSenior Contributor

Feb 29, 2024,11:55pm EST

https://www.forbes.com/sites/forbes-personal-shopper/2024/02/05/best-valentines-day-gifts-for-him/?sh=7b11bde62b83


2024年3月2日土曜日

旧式A-50レーダー機の増産が必須になってきたロシアの苦しい事情:飛行中喪失2機、地上損傷1機という大きな損失

 


ウクライナ戦で狙い撃ちされたA-50ですが、もともと機数が少ない中で後継機種も実戦化が遅れ、ついにロシアはA-50の生産再開を決断せざるを得なくなってきたようです。新型ハイテク兵器が思うように生産できない苦しい事情が見えてきます。The War Zone記事のご紹介です。


An upgraded A-50U, the only example finished in this dark gray color scheme. <em>Alexey Reznichenko/Wikimedia Commons</em>

An upgraded A-50U, the only example finished in this dark gray color scheme. Alexey Reznichenko/Wikimedia Commons




時代遅れのA-50の再生産計画は、ロシアの航空宇宙産業における損失の増大と大きな問題の反映だ


シアのA-50メインステイ空中早期警戒管制機(AEW&C)がウクライナ戦争で打撃を受けていることは周知の事実だ。しかし、この高価な航空機の生産を再開するという最近の提案は、控えめに言っても疑わしい。それはまた、モスクワが新世代のAEW&CプラットフォームA-100の実戦配備で直面している重大な問題にも光を当てている。

 国営タス通信の報道によれば、ロシアの国防コングロマリット、ロステックのセルゲイ・チェメゾフ代表が昨日、A-50の生産を再開すると述べた。

 「もちろん、この航空機は必要です」とチェメゾフは語った。「もちろん、我々はそれを作る。軍が必要としているだけでなく、輸出用としても非常に優れています」。

 ロシア航空宇宙軍にとって、信頼性と能力が高いAEW&Cフリートの必要性は疑う余地がない。このような航空機への海外顧客からの需要は、もっと議論の余地がある。それについては後で詳しく述べよう。

 チェメゾフは、ウクライナ戦争で2機のA-50が失われたことについては言及しなかったが、彼が答えた質問が、すでに形骸化しているA-50の機体数を減少させた、これらの有名な事故に関するものであったことはほぼ間違いないようだ。

 今年1月15日、A-50がアゾフ海の上空で墜落した。同じ海域を航行していたロシアの無線中継機IL-22Mは、何らかの防空ミサイルに巻き込まれたような損傷を受けて基地に帰還した。

 1週間前には、別のA-50がアゾフ海上空を飛行中に残骸と化した。ロシア側は友軍の誤射を非難し、ウクライナ側は破壊の責任を再び主張した。ソ連時代のS-200(SA-5ガモン)地対空ミサイル砲台がウクライナによって再稼働され、最寄りの前線から約120マイル離れた地点でメインステイを撃墜した可能性があるという未確認の報告もある。

 ここ数週間、ロシア軍機が撃墜されたというウクライナ側の主張が相次いでいるが、A-50で現在確認できているのは2機の破壊のみである。2機目のA-50の残骸の写真や動画は広く配信されている。ロシアのメディアは、2つの事件それぞれで死亡した乗組員の名前も公表している。

 2機のA-50が失われた原因が何であれ、ウクライナへの宣伝効果という点だけでなく、クレムリンの航空戦力の有効性を低下させるという点でも、ロシアの戦争努力に大きな打撃を与えている。

 ウクライナ空軍のユリイ・イナト報道官は今週初め、「A-50機の使用は激減した。数日間姿を消している」。

 ウクライナへの本格侵攻前、ロシアは近代改修されたA-50Uを含む9機のA-50を現役で保有していたと推定されている。その後、2機の戦闘機が失われただけでなく、うち1機は昨年、ベラルーシの基地で地上待機中にドローンの攻撃を受けて損傷し、現在の状況は不明だ。現状では、最善のシナリオでは、7機が現役である。


 昨年9月、ロシアからの報告によると、1980年代のA-50をより高性能なA-50U規格に引き上げる近代化プログラムは、"近い将来 "完了するとのことだった。知られている限りでは、その時点で、オリジナルのA-50コンフィギュレーションの機体は1機しか残っていない。

アップグレードプログラムは、ベリエフと提携しているベガ・エレクトロニクス社によって実施されており、作業はタガンログ(本格的な侵攻が始まって以来、ウクライナの攻撃も受けている地域)で行われている。今週、A-50がこの施設に到着したようだが、おそらく近代化のためか、そうでなければ定期的なオーバーホールのためだろう。

A-50Uは基本的にミッドライフ・アップグレードで、機体にデジタル信号処理による新しいコンピューティング・システムが搭載される。レーダーの改良により、旧型のA-50が約220マイルだったのに対し、約370マイルの距離で最大150のターゲットを追跡できるようになったと伝えられている。航空機のミッションクルーは、テレビモニターではなくLCDスクリーンでこれらのターゲットを追跡できるようになった。最初のA-50Uは2011年後半に就役した。

 とはいえ、A-50Uのミッション・スイートの中心となる基本的なレーダー・システムは、1960年代後半の設計に遡る。最初の量産型A-50は1985年に空に飛び立ち、1993年までに約24機の量産機が完成したようだ。アップグレード後も、A-50Uは冷戦時代の名残を色濃く残している。

 これが、チェメゾフのコメントにもかかわらず、A-50が輸出で大成功を収められなかった理由のひとつである。

 インドは3機のA-50輸出バージョンを取得したが、国産AEW&Cプログラムを追求し、イスラエルでミッション・システムを装備させた。

 中国はイスラエルのファルコンレーダーをA-50に搭載する予定だったが、その代わりにロシアが使用しているのと同じIl-76の機体に自ら搭載する国産ソリューションを選択し、KJ-2000を製造した。このような改造をさらに行うための中古のIl-76の機体入手に問題があったため、KJ-2000での中国の野心は制限された。

 国際的な制裁やモスクワの社会的地位の低下、またウクライナ戦争の影響により、ロシアの防衛輸出の見込みが大きく妨げられている現在、A-50を現実的に必要とするのはロシア、あるいはイランや北朝鮮のような緊密な軍事同盟国だけだろう。

 興味深いことに、昨年12月の北朝鮮の衛星画像は、北朝鮮が同じくIl-76をベースとした独自のAEW&C機を製造中である可能性を示唆していた。当時我々が議論したように、北朝鮮のAEW&C能力は、平壌に非常に有用な付加物を提供する可能性がある。ロシアがウクライナで使用する弾道ミサイルや砲弾数百万発を含む北朝鮮兵器と何らかの交換取引をして、関連技術を供給している可能性は非常に高い。

 モスクワは、平壌に対する制裁はほとんど意味がないと考えているようだ。

 しかし、真のA-50後継機である前述のA-100は、すでにロシア航空宇宙軍向けに開発中であるため、時代遅れのA-50は、たとえA-50U規格にアップグレードされた後であっても、大幅な格下げとなる。


プロトタイプのA-100プレミア空中早期警戒管制機。ロステック

 とはいえ、A-100計画ではこれまで1機も就役させることができていない。新型レーダー機を確保することさえ難しいのが判明しており、ロシアは新世代の輸送機Il-76MD-90Aを有意義な数量を生産するのに苦労している。A-50のベースとなったIL-76MDの生産が終了して久しく、しかも生産ラインはロシアではなくウズベキスタンにあった。それ以来、Il-76MD-90AとA-100の製造はロシア西部のウリヤノフスクにあるアビアスターSP工場に移ったが、そこでの立ち上げは容易ではなかった。

 さらに、A-100プログラムは西側の制裁措置の影響も受けており、ロシアの先端兵器システムの多くに必要なハイテク部品、特に半導体供給が大きく途絶えている。A-100は、より近代的なアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを搭載している。A-50はおろか、A-50Uよりも大幅に進歩している。A-100はまた、先進的なナビゲーションと通信システムを搭載し、パッシブ偵察のためと思われる多数の追加アンテナを備えている。2017年に初飛行したA-100は、まだ運用されていない。


The still-unpainted prototype A-100 during a test flight.&nbsp;<em>UAC</em>

The still-unpainted prototype A-100 during a test flight. UAC


 一方、A-50はその古さにもかかわらず、ウクライナでの戦争においてロシアにとって非常に有用な資産であり続けている。

 これらの航空機は、哨戒区域によってはウクライナ支配地域の奥深くまで到達することができる独自の「見下ろし型」航空「画像」を提供することができる。A-50は低空巡航ミサイル攻撃を探知するように設計されており、ウクライナのドローン攻撃や低空飛行の戦闘機の出撃も探知できる可能性がある。また、ロシアの戦闘機や防空砲台の指揮統制や状況認識も可能だ。ウクライナ当局は、ロシアが巡航ミサイル攻撃の計画と実行にA-50を使用しているとも評価している。

 A-50Uの威信は、ウクライナと同盟を結ぶ勢力がA-50Uを標的にしたことがあっても不思議ではないことを意味する。

 A-50の生産を再開するという報道での計画は、ウクライナへの本格的な侵攻が始まって以来、ロシアが提案した最初の一見絶望的な措置ではない。昨年、ロシアの軍事パイロット訓練パイプラインの問題が深刻化する中、MiGが1990年代のジェット練習機プロジェクトを復活させたと報じられた。

 航空機乗組員の訓練は、低迷するロシアのAEW&C部隊の効率性のもう一つの側面である。1機のA-50は通常、5人のフライトクルーと10人のミッションクルーによって運用されている。結局のところ、これらの非常に経験豊富であろう人材を入れ替えることは、新しい航空機を配備するのと同じくらい難しいかもしれない。


Russia Building More Dated A-50 Radar Planes Is Desperate But May Be Necessary


BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED MAR 1, 2024 4:41 PM EST

AIRNEWS & FEATURES




V-22飛行停止措置は来週にも解除へ。Defense News速報

 ワシントン - 米国防総省は、安全かつ慎重な運用復帰に向けた軍の計画を支持したロイド・オースティン国防長官も出席した高官級会合の後、来週にも、飛行停止中のV-22オスプレイによる飛行を再開すると、米政府当局者がAP通信に金曜日に語った。

海軍航空システム本部は、ティルト・ローター機の飛行運用を停止し3ヶ月ほどになるが、これを解除し、各軍によるオスプレイの飛行再開を許可するという。オースティンは金曜日の朝、海軍と空軍を含む各軍のトップと会談した。

Pentagon to lift Osprey flight ban after fatal Air Force crash

By Lolita C. Baldor and Tara Copp

 Mar 2, 06:33 AM


2024年3月1日金曜日

デル・トロ海軍長官が韓国大手造船会社に米国進出を呼びかける

 Breaking Defense 記事からのご紹介です。

240227-N-JG078-7342US Navy Secretary Carlos Del Toro walks with officials from HD Hyundai Heavy Industries. (Photo courtesy of US Navy.)


カルロス・デル・トロ海軍長官は公の場で、米国内で事業展開する外国造船会社向けの補助金の可能性を頻繁に言及している。


ルロス・デル・トロ海軍長官は韓国を訪問し、同国の大手造船会社2社に対し、米国内に拠点を構える可能性を売り込んだ。

 デル・トロの事務所からの声明によれば、海軍長官は、韓国の大手造船会社2社に、アメリカ国内への進出の可能性を売り込んだという。各造船会社の首脳が、米国に子会社を設立し、造船所に投資することに強い関心を示してくれたことに、非常に満足している」と、デル・トロ長官は水曜日夜に発表した声明の中で述べた。

 今回の訪韓で、長官はハンファ海洋とHD現代重工業両社の幹部と会談し、造船所施設を視察した。声明によれば、話し合いの中心は「米国における総合的な商業造船および海軍造船施設への韓国からの投資を誘致すること」だった。

 今回の訪韓は、9月に打ち出した同長官の「新たな海洋国家戦略」構想の一環として、同盟国の造船業者を誘致し、米国内に造船所を設立することで米国の防衛産業基盤にへの投資に焦点を当てている。

 デル・トロは最近、水上海軍協会やウェストのような公のイベントの場で、彼と運輸長官が持つ、商業船舶と軍用船舶の二重利用が可能な船舶であれば特定の造船業者に補助金を出すことができるという、めったに使われない権限について言及した。

 「もし、ある船舶が、軍事利用と軍事目的の二重用途を持つ商用船舶で、ここアメリカでは1億ドルかかるが、海外なら8000万ドルかかるとしたら、我々は、ここアメリカの造船会社に2000万ドルの補助金を出し、海外ではなく、ここアメリカでその船舶を建造させることができる」と、記者団に語った。

 デル・トロの新たな声明は、こうした当局の存在に再び言及し、アメリカ各地に点在する、空きはあるが無傷の造船所を引き合いに出し、「デュアルユースの建設施設として再開発の機が熟している」と述べた。

 韓国の2大造船会社であるハンファとHDヒュンダイは、以前から北米進出に関心を示していた。Naval Newsによると、両社の代表は2023年11月、韓国政府高官とともに米国の主要造船所を視察した。

 デル・トロの訪問報道に反応したリンクトインへの短い投稿で、HDヒュンダイは、"我々は、韓国海軍とフィリピン海軍の発展だけでなく、米海軍艦隊の発展にも貢献する造船会社になる "と書いた。

 米国には大小の造船会社数十社が点在しているが、海軍は艦隊の建造を一握りの大手プライム企業に大きく依存している。そのうちの2社、オースタルUSAとフィンカンティエリ・マリネット・マリーンは、それぞれオーストラリアとイタリアに本社を置く外資系企業の子会社だ。

 「今週の韓国での造船所訪問で直接見たように、ハンファと現代はグローバルな業界標準を打ち立てている。「両社の専門知識、技術、そして最先端のベストプラクティスがアメリカの地で実現することを思うと、これほど楽しみなことはありません。世界の造船事業の世界的リーダーである両社は、新鮮な競争力、名高い革新性、比類のない産業能力で、米国の造船市場を活気づける態勢を整えている」と述べた。■


In South Korea, Del Toro courts major shipbuilders to set up shop in US

By   JUSTIN KATZ

on February 29, 2024 at 11:16 AM