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西側がウクライナ国内に部隊を派遣しても第三次世界大戦は回避できる ヒント フライングタイガース航空隊

 これまでのような装備品供与に依存する方法では西側も持続できなくなってきながら、ロシアの勝利はなんとしても阻止する必要があるため、西側が人員をウクライナに派遣しても第三次世界大戦を回避できる秘策があるというのが今回の1945記事の趣旨です。


ロシアの膨張主義に対抗し、2年以上にわたる全面戦争で疲労が否定できないウクライナに対し、外国が直接関与することが、望ましく、実行可能なことかもしれない

2月26日(月)、ウクライナを支援する国際首脳会議の中で、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「ロシアがウクライナで勝利するのを阻止するため、フランスは必要なことは何でもする」と宣言した。そして、「地上軍を派遣するというコンセンサスは今日存在しないが、動的な面では何も排除すべきではない」と付け加えた。イギリス、スペイン、ポーランド、チェコ共和国、ドイツは、ほぼ即座に、自国の部隊をウクライナに派遣することに公然と反対した。マクロン声明を受けて、モスクワは欧米/NATO軍のウクライナ駐留はNATOとの紛争/戦争につながると警告した。     

ロシアの報復的な威嚇はともかく、ロシア地上部隊の大部分はウクライナに駐留しているため、NATOと新たな攻撃戦線を張る余力はないことを示唆している。同時に、米英仏はモスクワを抑止する核兵器を保有しているため、核の瀬戸際外交は空虚である。実際、最前線のウクライナ歩兵部隊は人員不足に陥っていると報告されている。それゆえ、マクロン大統領がウクライナ軍(AFU)を支援するために欧州軍をウクライナに派遣する提案を持ち出せば、戦術的なパワーバランスをキーウに有利な方向にシフトさせることができるだろう。

幸いなことに、本来の国旗やNATOの後援を受けずにウクライナの戦争に西側諸国の要員を参加させる道が存在し、プーチンが西側諸国/NATOに対して敵対行為を宣言する口実を奪うことができる。     

有用なメカニズムとしてのウクライナ防衛国際軍団

ウクライナ防衛国際軍団(ILDU)は、ロシアの侵攻に対抗するために2022年2月27日に設立された外国人からなるAFU部隊だ。ILDUは、キーウのAFUの大隊/小隊に外国人を採用し、AFUのウクライナ軍人と同じ給与、装備、勤務条件でロシアの占領に対する戦争を遂行することを可能にしている。  

上記を念頭に置けば、ウクライナの戦争目標に貢献する意思を有する欧州要員を、ILDUの表向きの後援の下、ウクライナに有期契約で派遣することは可能かもしれない。このような志願兵は、同国人で構成される部隊に所属し、自国軍の将校が指揮を執り、自国の防衛省から給与を受け取り続けるという、特別な契約条項の下で勤務することができる。AFUの連絡将校は、そのような「自律的な」ILDU部隊が、近隣のウクライナ部隊との友好射撃事故を回避しつつ、AFUの戦闘計画との相乗効果を最大化するために提供される。

このような欧州の「自律型」ILDU部隊の例としては、攻撃・偵察任務のために飛行ドローンを運用する無人戦闘機(UCAV)部隊、地対空ミサイル砲台を運用する防空隊員、ウクライナが間もなく受領するF-16戦闘機に精通した地上要員、AFUに供給される西側の最新装備に対応できる陸軍の兵站・整備・修理技術者などが考えられる。このような外国軍のウクライナ国内への配備には3つの利点がある。すなわち、i)そのような要員は、使い慣れた自国の最新装備を使用することになるため、同等のウクライナ軍部隊にその使用法を訓練する必要がない、ii)そのような部隊は前線から離れて活動するため、ロシア軍との接近戦の可能性を大幅に減らすことができ、個人的にロシア兵を殺したり、最悪の場合、モスクワ軍に捕らえられたりするという醜い結果を避けることができる。        

歴史を見れば前例はある

ウクライナ情勢が汎欧州の安定を脅かすほど悪化した場合、EU/NATO各国の議会は、ウクライナへの重要な支援部隊の派遣について真剣に議論する必要がある。幸いなことに、そのような不測の事態が発生した場合、外国軍が自国の戦術的指揮の下で、受け入れ国軍の実質的な一員として他国に派遣された歴史的な前例が存在する。好例が、1941年から42年にかけて日本の中国侵略に抵抗し、重要な役割を果たした中華民国空軍(ROCAF)の第一アメリカ義勇軍(AVG)である。

AVGは3個飛行隊で構成され、アメリカ人指揮官クレア・シェノーが率い、彼は中華民国空軍の正式メンバーとして勤務した。したがって、AVGには一定の正当性があり、対日戦争で中国側に介入する米軍部隊と公然と見なされることはなかった。同様に、前述のヨーロッパの「自治的」ILDU分遣隊は、ウクライナの軍服を着て活動し、UAFの勲章や賞の資格を得ることで、合法的なILDU要員であるという見かけ上の信用を得ることができ、モスクワがEUやNATO加盟国に宣戦布告する法的正当性を否定することができる。

このようにして、親ウクライナの議員たちは、AVGの例を利用して、国内法制審議の際に、キエフを支援するために欧州の軍事部隊を派遣することに対する道徳的、民衆的な受け入れ態勢を改善することができる。結局のところ、中国における日本帝国主義の拡張主義を阻止するためにアメリカのパイロットや飛行士が派遣されたように、ヨーロッパもまた、ロシアの残忍なレバンチズムに抵抗し、最終的に打ち負かすために、UAFを支援する軍事専門家を派遣できるのである。   

「地上戦」議論の有用性

マクロン大統領がウクライナにおける「欧州の軍靴」の話題を切り出したのは、ウクライナへの軍事援助の視野を広げる試みであり、それに比べれば、ドイツのタウルス空爆巡航ミサイルのウクライナへの輸送のような、以前は禁句とされていた話題が合理的に見えるようにするためであったとも推測できるが、ウクライナがEU/NATOからの即時かつ無条件の軍事援助を必要としていることに変わりはない。国連安全保障理事会が、核武装した侵略者による主権侵害を前に無力に見える時代においては、ウクライナのような犠牲国を可能な限り援助するのは、道徳的な国々の多国間連合にかかっている。  ■

How Western Troops Could Be Sent To Ukraine And Not Start World War III 

By

Nah Liang Tuang

https://www.19fortyfive.com/2024/03/how-western-troops-could-be-sent-to-ukraine-and-not-start-world-war-iii/#google_vignette


About the Author 

Nah Liang Tuang, PhD is a Research Fellow at the Institute of Defense and Strategic Studies (IDSS), a constituent unit of the S. Rajaratnam School of International Studies (RSIS), Nanyang Technological University. His research specialties include nuclear weapons politics, North Korean affairs and the role of nationalism in the defense of small states. The viewpoints and arguments presented in this article are the authors own and do not represent any stand of IDSS or RSIS. 


コメント

  1. ぼたんのちから2024年3月7日 16:05

    マクロンの大言壮語があったとしても、NATO加盟国が義勇軍を容認し、さらに支援することは有り得るのか? これは現在のNATO加盟国のウクライナ戦争に対する姿勢を見れば分かるように、決断がつかず、ロシアに負けて欲しくはないが、勝って欲しくもなく、結局のところ、ウクライナ戦争は他人事なのだ。
    この状況は、ウクライナにとって辛い結果に成り得る。
    結果論であることを恐れずに言うと、この戦争は、開始前から米国・NATOとロシアの間にボタンのかけ違いがあった。米国は、真剣に戦争を止めようとしなかった。経済制裁でロシアを脅したものの、狂人(?)プーチンの核恫喝にビビった老いぼれバイデンは、戦争に介入しないと早々に宣言し、ロシアにウクライナを差し出した。プーチンは、ならばとウクライナに嚙みついた。その結果が現在にある。
    米国・NATO、ロシア、ウクライナの全てが、適切な認識を持っていなかった。
    もっと強固にロシアを抑制すれば、例えばウクライナにブダペスト合意か、何かの名目で進駐し、黒海に艦隊派遣すれば、差し当たりの戦争回避になっただろう。
    これは一見危険な行為に見えるかもしれないが、米国とNATOとの対戦を嫌うプーチンには有効だろう。
    ウクライナ戦争は、どのような結末を迎えるにしても、過去の覇権国群の欧州の最終的な黄昏の始まりになる。欧州の武力を使う内紛は、これからも続く。
    振り返って、灯の消えた昼行燈率いるわが日本は、大国の戦争や侵略を抑止できるであろうか。非常に心配!

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