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ウクライナ戦で将官将校多数を喪失したロシア軍にはこれから大変な事態が発生しそうだ。愚かな指導者を有した国の悲劇。

こんな大義のない戦争、しかも決着が見えない戦争で軍人多数を失って、なぜロシア軍がクーデターをおこなないのか、逆に国民がなぜ怒りの声を上げず、プーチンが再選されてしまうのか、われわれには理解できない恐怖の支配がロシアを覆っているからでしょう。人的資源の喪失は国力の後退につながり、後世の歴史家はプーチンをロシア崩壊の原因を作ったと評することになるでしょう。そんなロシアを堂々と擁護する政治家、識者が日本に残っていることには驚きを隠せません。

ロシア軍に戦場で喪失した装備品より深刻な問題がのしかかる

2年間の全面戦争を通じ将校数千人を失った影響は、ウクライナ戦争におけるロシアの作戦テンポに大きく影響するだろう

シアによるウクライナ侵攻と10年にわたる紛争は、第二次世界大戦後のヨーロッパ大陸で最大の死者を出している。キーウとモスクワ間で死傷者数十万人が出ており、この戦争は犠牲を両国にもたらしている。

戦争を短期で決着がつくと予想していたロシア軍は、特殊作戦部隊、エリート海軍歩兵部隊、最優秀な部隊を急速に失った。中でも将校多数を喪失している。

将校数千人を失った影響は、今後のロシア連邦の全体的な作戦テンポに大きく影響するだろう。

ウクライナでのロシアの損失と部隊再配置

2022年の本格的侵攻の前から、GRUスペツナズなどロシアの特殊部隊の将校たちは、2014年以来ウクライナでの戦闘に参加していた。こうした将校はドンバス戦では最小限の死傷者しか出さなかったが、全面侵攻によってロシア軍は第二次世界大戦以降の紛争で最も大きな死傷者を出すことになった。

米英両国は、全体で少なくとも30万人のロシア人犠牲者を確認している。この戦争により、クレムリンは他の重要戦域から兵力を投入せざるを得なくなり、ロシアは重要な兵力を消耗している。

ロシアの部隊は、カリーニングラード、ウラジオストク(中国との国境)、フィンランドとの北部国境、シリア、占領下のジョージア、アルメニアに再配置され、戦場での損失を補っている。

ウクライナで死亡したロシア軍将校の人数

2024年3月初旬の時点で、ロシアは少なくとも3700人の将校を失っていることが、チェコを拠点にロシア将校の追悼と葬儀を追跡する「Killed in Ukraine」ブログによって確認されている。

この記事執筆時点(2024年3月8日)で、ロシア軍将校の損失は、将官7名(三ツ星1人、二ツ星6人)、大佐90人、中佐220人、少佐420人、大尉627人、上級中尉1010人、中尉700人、下級中尉130人である。

現在進行中の戦争で、戦場でロシア軍将校が失ったものを整理すると、2年間の全面戦争における下級、現場、上級指揮官の平均寿命は悲惨なものだ。記事を執筆の時点で、戦死した90人の大佐の平均寿命は8.5日に近い。中佐の寿命は3.3日で、少佐と大尉は現役戦闘で1~2日生き延びるのがやっとだ。

下士官不足がロシアの小部隊指導に打撃

ロシア軍には下士官(NCO)が存在しないため、将校部隊の損失はモスクワの攻撃力と防御力に悪影響を及ぼす。

下士官は、下士官兵や徴兵兵にとって重要な小部隊指導の中核である。西側諸国の軍隊にとって不可欠な存在であり、中国はその模倣に目を向けているが、ロシアは下士官部隊を持たず苦闘している。

下士官不足はしばしば、下級指揮官によるその場での批判的思考につながる。下級指揮官は通常、経験が浅く、小隊や中隊を指導する軍曹や二等軍曹がいない。

米国海兵隊は、小部隊でのリーダーシップと下級下士官への信頼の典型的な例である。歴史上、勇敢さでな賞を多数受賞したのは、下士官の行動によるものであり、下士官はその場で決断を下すことを許され、それにより仲間の命が救われたことも少なくない。

下士官部隊の核心的な側面は、任務の目的が達成されれば、下士官指導者が自分の判断で指揮を執る自由があることである。下士官や現場指揮官を失ったロシア徴兵兵は、しばしば命令なしに路頭に迷い、仲間同士の混乱や最小限のコミュニケーションにつながる。

 指揮官喪失の影響

経験豊富な将校に代わる戦場での昇進も、移動の自由を妨げる。部下に人気のある上級指揮官を、経験の浅い指揮官を擁する新部隊に置き換えようとすると、しばしば対立や批判を招くことになる。

その一例が、アレクサンダー・ラピン大佐の昇進であり、戦争推進派のロシア人軍事ブロガーたちから痛烈な批判を浴びた。ラピンは以前、2022年9月のハリコフにおけるロシア軍崩壊の責任者だった。

キエフとヴュレダール攻防戦の後、第155海軍歩兵が数回再編成されたように、ロシア軍の大きな損失はエリート部隊の悲惨な作戦にもつながる。経験の浅い将校がエリート部隊の指揮官の座に就き、不慣れな役割で彼らを使うことは、ロシア軍を悩ませ続けるだろう。

英国国防省によれば、ロシアの戦闘力と戦力投射力は、ウクライナ侵攻により少なくとも10年間は低下している。

ロシアの将校団の壊滅と下士官の不足は、進行中のウクライナ侵攻が消耗戦、本質的な計画、そして着実な後方支援能力に帰結するにつれ、重要な意思決定と戦時目標に大きな影響を与えるだろう。■


The Russian Military Has Bigger Problems in Ukraine Than Lost Tanks - 19FortyFive

By

Julian McBride


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