2018年10月2日火曜日

☆ボーイングT-Xの受注成功から見えてくる次の可能性とは

ボーイングのT-X選考採択は先に速報でお知らせしましたが、今回は少し詳しくそのインパクトを解説する記事をご紹介します。と言っても依然として新型機の性能は不明です。しかしこうやって見るとT-38って本当にコンパクトな機体だったんですね。というか現在の主要戦闘機が大型化してしまったのでしょう。では日本はこの機体(T-いくつになるんでしょう)に関心を寄せるでしょうか。


Boeing's T-X Win Is Really Much Bigger Than Just Building A Replacement For The T-38 ボーイングのT-X受注成功にはT-38後継機生産以上の意味がある

Boeing's big win has wide-ranging impacts that go far beyond the USAF's need for a new trainer alone. ボーイング案の採択はUSAFが求める新型練習機の枠を超えた影響を与えそう

BY TYLER ROGOWAYSEPTEMBER 28, 2018


THE AERO EXPERIENCE


んとも興奮を感じるニュースだ。長年待った挙げ句USAFが選定したジェット機は傑作とはいえ半世紀が経過したT-38タロンの後継機となる。ただボーイングが勝ち取ったT-X案には単なる新型機以上の意味がある。今回の選定結果から多様な影響が生まれ、ことにボーイングを根本から変える効果がある。
まずボーイングに祝辞を送りたい。同社は回転翼機、固定翼機、無人機と三連勝で、今回は固定翼有人機でも結果が出た。また競合したロッキードレオナルド両社も互角に戦い、それぞれの製品に多大な情熱を注ぎ込んできた。だがなんといってもノースロップの伝説とも言えるT-38タロンの足跡がどれだけ大きかったか思い知らされる。
USAF
原型YT-38の初飛行は60年ほど前だった
同機の原型は1959年4月に初飛行し、以後数万名のパイロットを養成しただけでなくサンダーバーズで曲芸飛行を展示し、U-2やB-2の乗員まで養成し、NASA宇宙飛行士の飛行時間確保にも役立っている。またアグレッサー役もこなし、標的がほしいF-22部隊に重要な機体になっている。

USAF
ティンダルAFB所属のT-38AがアグレッサーとしてF-22と飛行中


タロンの業績はそれだけではなく、別の成果も生んだ。USAF初の超音速練習機から歴史上で最も成功した機材が生まれた。F-5A/Bフリーダムファイターであり、F-5E/FタイガーIIである。
各機は輸出を通じて米航空戦力を世界に広げる役目を果たし、一部信頼に疑問が残る同盟国や高性能機導入の資金が不足する国にも輸出された。さらにF-5は海軍、海兵隊、空軍の敵機役となり、海軍戦闘機ウェポンスクールやUSAFウェポンズスクールで活躍している。事実、海軍や海兵隊向けに民間企業TacAirF-5をアグレッサーとして運用している。
USAF
空軍のF-5Eは敵機役として冷戦時に各地の航空隊を支援してきた


F-5を戦闘任務に投入している国がまだある。一部は新型エイビオニクスに改装され、第四世代機同様の性能を発揮している。F-5の直系の後継機を目ざしたF-20タイガーシャークは有望視されたが採用国は現れなかった。
USAF
ランドルフAFB所属のT-38C編隊


こうした中でノースロップ・グラマンが途中で放棄したT-X案を目にできなかったのは悲しい。同機はスケイルド・コンポジッツが設計製造し、実際に飛行していた。T-38の輝かしい成功を背景にノースロップ・グラマンは新型機をモデル400と呼び、ボーイングに代わり採用されたかもしれない。だがいろいろな理由でノースロップ・グラマンは途中で競合を降り、空軍はボーイング案を採択したのだ
SCALED COMPOSITES
ノースロップ・グラマンのT-X案はT-38をルーツとし数回の飛行を実施したが同社は競作から脱退した


そうなるとボーイングT-Xは今後が期待され、実際に展開するのは容易だろう。だがボーイングが採択されたことで同社は今後長年に渡り戦術ジェット機を製造することになりそうだ。もちろん、F-15やF/A-18の製造ラインの動向とは無関係である。
米海軍向けMQ-25無人給油機契約の獲得とあわせ、ボーイングのセントルイス工場に明るい将来が開けた。このことはボーイングが今後も戦術航空機製造に残ることを意味し、製造能力とともに設計能力で有力な競争相手に留まるだろう。わずか一二年前には同社の将来は大きく疑わしいとされていたのだが
BOEING


ロッキード・マーティンにとって受注失敗は大きな痛手だが競合があることは悪いことではない。同様に受注を逃した企業は多い。ロッキードには多数の受注案件があるのも事実だ。
多くの点で今回のT-X入札でボーイングが超積極的だった可能性がある。同社はなんとしてもこの案件に勝つ必要があったので至極当然とも言える。同社の国防部門にとり受注は死活的な意味があったのだ。今回の契約は固定価格制度のため利益が薄く、企業経営面でリスクがあるが、T-X受注には短期間の利益獲得以上の意味がある。
T-38の前例から新型機は相当の年数にわたり飛行する可能性がある。供用期間を通じ支援や開発関連の契約が止めどもなく生まれることになる。ボーイングはOEMメーカーなのでこうした契約の大部分を獲得する可能性が高いし、一部では競合相手が生まれないだろう。そこで同社が戦術ジェット機の製造に長期間携わる可能性があるわけだ。
ここに企業としての名誉もからむ。USAFの戦闘機パイロット全員で過去50年にわたり何が共通要素かわかるだろうか。
T-38タロンの操縦だ。
USAFのジェット戦闘機パイロットを生み出す機材を提供していると特別な意味が生まれる。ボーイングのT-Xは次世代のUSAF戦闘機パイロットとなる男女ガ同機の操縦からスタートし、その後戦闘機パイロットになる。USAFの方針決定をになう者もあらわれるだろう。
USAF
訓練飛行を終えたT-38Cタロン


ペンタゴン以外にも世界各国でジェット練習機需要があり、ボーイング機が最新かつ最高の機体になる可能性が生まれる。さらに海外受注では同機がさらに改良され大規模な補給支援体制を利用できるとふれこみ、スケールメリットも生まれる。そうなるとUSAF向け475機以外の大量の輸出需要にも言及しないといけない。
この機体は練習機にとどまらない。軽戦闘機にもなる。
BOEING
ボーイングT-Xがフルパワーで離陸中


T-38ではJ85ターボジェット双発で合計5,800lbを生んだ。ボーイングのT-XはGE-F404ターボファン単発だが出力はほぼ三倍の17,200lbだ。また尾翼は二枚構造でスラットを備え、前縁基部を広げた構造で低速域の取扱を大きくしながら機動性も高い。T-X契約の勝因となったのがこうした性能だったのは驚くに足らない。
USAFはT-Xを次世代アグレッサー機として注目しており、F-16に匹敵する性能がありながら運用コスト、取得コストをはるかに低く抑えられる。第5世代世代機の敵機役として通常型戦闘機では対抗できず空対空戦の基本訓練では無駄になり予算面でもそのまま続けられなくなる。民間請負業者がこの穴を埋めるだろうが、USAFには今日同様にアグレッサー部隊が必要であり、将来は拡充するとしても今よりも効率よく運用する必要がある。ここにT-Xが活躍する余地が生まれる。
BOEING
ボーイングがT-X提案を公表した際の写真

機体サイズが小さいT-Xは視界内距離で視認が難しくなる。JAS-39グリペン多任務戦闘機同様の設計と推力を備えた同機は手強い小型機になる。訓練用装備を搭載し実際に近い空対空戦の訓練をはるかに低い費用で実現できるはずだ。またジャミングポッドや訓練用ミサイルを搭載すればそのままで第四世代機の悪役を演じることができよう。小型AESAレーダーや電子戦装備あるいは赤外線探知追尾装置を搭載すればアグレッサー機材とともに低価格軽戦闘機にもなる。
ペンタゴンに軽戦闘機の仕様要求は今は存在しないが、将来はボーイングT-Xの輸出の可能性が出るはずで、F-5事例を踏襲するだろう。ロッキードが提示したT-X案のT-50/T-100がその例でF-50やFA-50を韓国航空宇宙工業が複数国に輸出している。
ROKAF
FA-50はT-50を原型とし、ロッキード・マーティンは今回のT-Xで提案したT-100の原型となった。軽戦闘機需要では大型機並の特徴を低価格で手に入ることが求められる

今日の航空戦闘で成功するために大事なのはセンサー類、通信装置や兵装であり、基本性能ではない。ボーイングのT-Xは十分な性能を小型かつ安価に実現する。だがなんといっても大規模な支援インフラが現に存在し、規模の経済の効果を訓練機型から得られる点が大きい。
ボーイングT-Xのような機材が生産されれば米国にとって戦略的恩恵も生まれる。F-16生産は縮小されサウスカロライナに移転されており、いつまで生産ラインが残るか不明だ。イーグルやスーパーホーネットのラインも2020年代後半に閉鎖されかねない。そうなると非ステルスかつそこまで複雑でなくコストも低い軽戦術機が生産されていればペンタゴンも基本性能を備えた戦術機が今後必要となった際にその恩恵を実感するだろう。
緊張が高まる事態でも軽戦闘機版を生産するか、訓練機生産を戦闘用機材の生産に切り替えれば戦闘機不足を補える。こうした柔軟性が新規出費なくして手に入るのだ。
BOEING


米海軍ではT-45ガショークの運用が長く続いており検討が必要だ。T-45はまだ期待寿命が残っており、耐用年数延長策も実施中だがT-45はボーイングT-Xと比較すれば性能面で見劣りがし、海軍は後継機の検討に入るだろう。
そうなると新型機を提供できるボーイングの立場は強くなり、あえて言わせてもらえればT-Xから海軍仕様が生まれれば検討対象になるはずだ。既存機種から派生型を作るのほうがはるかに経済的になる。
ボーイングはNAVAIRと良好な関係を既に築いており、空母運用機の条件を熟知しておりスーパーホーネットやグラウラーを生産中で今後はMQ-25が加わる。またマクダネル・ダグラスを吸収合併したことでT-45も今は自社製品だ。そこでボーイングがUSAF向けに練習機を数百機生産して海軍用の練習機も生産すると他社は対抗できないだろう。
USN
T-45はBAeのホーク練習機が原型でT-45の納入が続いた1990年代時点で数十年前の設計だった。同機は耐用年数が長いとはいえ、機種切り替えが必要になるのは当然だ。


海軍、海兵隊で敵機役を演じるF-5N、F-5Fがおよそ40機あるがこれも永遠に飛べるわけではない。スイス空軍を退役した機体に二度目の奉公をさせている。T-Xはここでも有望な選択肢になり、F-5を上回る性能を示すはずだ。
MILAN NYKODYM/WIKICOMMONS
SAAB JAS-39が雪に覆われた滑走路を離陸している


T-Xがスウェーデンの特殊ニーズすべてを満足できるというつもりはないが、航空戦闘や機体設計でのSAABの独特の視点は米国にも必要だ。USAFが将来の作戦要求内容をまとめる際には上層部の多くが意見を同じくするだろう。
今回の競合ではボーイング提案のみが完全新型機であり、そのため最新の内容だった。あきらかにUSAFは同機の可能性や今後の性能向上に期待している。つまり空軍はボーイング案を採択し他社の実証済み設計案を棄却したことでリスクも発生するがそれを上回る効果を期待しているのだ。
BOEING


現時点の予算環境を考慮すればこの決定には合理性がある。USAFは完全新型専用機を採用することで次世代練習機の今後の発展性に賭けているのだ。
国防予算が今以上に減ってもボーイングのT-Xには練習機以上の役割が期待できる。USAFの要求内容に沿って専用に設計された同機があることは国にとっては幸運だが、機体に今後の発展ができる余地があり各種ミッションをこなす力が備わることもプラスに働く。
そうなるとボーイング機の詳細を早く知りたいところで特に性能面の生数字に興味を惹かれる。今後、ボーイングとUSAFから情報が大量に出れば同機の性能等が解明されるはずなので期待したい。■
Author's Note: A huge thanks to The Aero Experience for sharing their awesome image seen at the top of this article with us. Make sure to check out their site here.  

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2018年10月1日月曜日

★赤外線技術でステルス機を捕捉せよ

ステルス技術は決して万能ではなく弱点もあるのですが、同時に敵にも当てはまるので対抗技術は十分可能なわけですね。そうなると盾と矛のはなしではありませんが、どちらが先に有効な技術を装備として展開するかで優位性が決まるのでしょうね。




A Russian Su-35 Reportedly Took a Picture of an F-22. Why That Might (Or Might Not) Be a Problem.ロシアSu-35がF-22撮影に成功と主張。これがどんな問題になるのか。(あるいはならないのか)RIP Stealth? Not exactly. ステルスは終焉するのか。必ずしもそうではない。

September 26, 2018  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: RussiaMilitaryTechnologyWorldF-22Su-35



シアのスホイSu-35Sパイロットと称する人物が米空軍所属F-22AラプターをフランカーEが搭載するOLS-35電子光学式赤外線探知追尾装置で撮影したとする写真を投稿した。(下リンク参照)




写真が本物か情報操作を狙ったものか不明だが投稿から分かる内容は多くない。そもそも撮影時の情報がないため正しい判断ができないのだ。


ただし近くで見るとラプターに見える。F-22の赤外線特徴は小さいがSu-35搭載の電子光学式赤外線センサーを使った可能性がある。(写真が本物と仮定した場合) 民生用電子光学赤外線装置をFLIRシステムズが販売しているがF-22を2010年のファーンボロ航空ショーで近い距離で撮影した映像(下参照)がネットで見られる。実はF-22は目視距離より離れた一なら赤外線探知を逃れるが、近づくとこの効果はなくなる。




近接距離ではラプターは他の機種と同様に赤外線センサーで写る。2009年の演習などでラプターはフランス軍のラファールに電子光学赤外線探知追尾装置のOptronique secteur frontal (OSF)で空対空戦闘で探知されている。ただし2012年のレッドフラッグ・アラスカ演習ではドイツ空軍のユーロファイター・タイフーンが約20カイリ離れた地点でもEuroFIRSTのPIRATE赤外線探知追尾装置でラプターを捕捉可能と発見している。


OLS-35はPIRATEの性能はないが、優秀なセンサーだ。スホイによればSu-35が搭載するOLS-35赤外線センサーは同時に4つまでの標的を50キロ(27カイリ)で前方から、追尾する際は90キロ(49カイリ)までなら探知可能だ。ただし大気の状態や対象の角度により距離は変動する。同装置にはレーザーも使い20キロで正確な距離を測定する。


長波長の赤外線探知追尾装置ならステルス機といえども遠方から探知できる。米海軍のIRSTポッドブロックIIは高速データーネットワークと高性能センサー融合アルゴリズムを使い長距離でのステルス機探知を狙うものだ。「具体的な実験内容ハオな橋出来ませんがIRSTの狙いは長距離でステルス機に対抗する技術の確率です」とデイヴィッド・キンドレー大佐(海軍航空システムズ本部でF/A-18・EA-18G関連を担当)は5月に語っていた。


大事な事実は大気中を進む機体が熱を発することだ。「近づく敵機のレーダー断面積が小さくても熱の特徴が発生するのです」とボーイングでF/A-18E/FやEA-18Gを担当するボブ・コムゲイが同じく5月に報道陣に語っていた。「敵もステルス機を開発中ですがその原理を使いXバンドの探知距離外から敵を打破できる訳です」


赤外線では距離データーが不正確で攻撃兵器用には不足するが、新型データネットワークやコンピューターアルゴリズムがこの概念を変えた。「IRSTがひとつでも針路がわかりどちらに向かってくるかがわかりますが、探知元がふたつあればアルゴリズムで対象機に向ける兵器運用に十分なデータがわかります。これで敵のレーダー範囲に入る前に大きな優位性が生まれます」


ペンタゴンは赤外線技術をステルス対抗手段として有望視しており、今後の戦闘航空機の要求性能の一つにするだろう。■


Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

2018年9月30日日曜日

大統領専用車両ビーストの新型がNYに現れた

今回は航空機ではなく自動車の話題です。今までのビーストはフロントウィンドウ周りが不自然で正直好きではなかったのですが今回はより威厳がある形になっているようですね。しかしこれでは東京の街なかでは取り回しが大変そうですね。


Brand New 'Beast' Presidential Limousine Emerges During Trump's Visit To NYC トランプのニューヨーク訪問時に新型「ビースト」大統領専用リムジンが姿を表した

The new Beast has finally arrived and its first mission is to move the President around New York for the U.N. General Assembly.  新型ビーストが大統領の国連総会訪問にあわせ使用された

BY TYLER ROGOWAYSEPTEMBER 23, 2018


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型大統領専用リムジン愛称「ビースト」がなかなか現れなかったのは強力な装甲など特殊装備のためだ。POTUS(米大統領)の現行専用車両はオバマの就任式の2009年から供用されている。その後新型車の噂が何度となく出たが、姿を表さなかった。今回ついに新型かつ大型のキャディがウォールストリートヘリポートがあるマンハッタンに初めてその姿を見せた。2018年9月23日日曜日のことだ。
ビーストは大統領移動車列の中心であるが、使用につれ消耗する点でその他車両と変わらない。だが完全に使用を終了する前にVVIP車両として国賓や副大統領用に回されるのが常でその後完全に運行を止める。
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バイデン副大統領が「DTS」形式の大統領車両を2013年に使っていた。現在のビーストと比べると古風な趣がある。

新型ビーストは最終テスト段階にあるといわれ、カモフラージュを施した全体像が4月に出ていた。米政府が15.8百万ドルでジェネラル・モーターズと交わした2014年の「次世代パレード用車両第二段階第三段階」契約の成果として初公開されたのだ。
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New model presidential limo noticed awaiting Pres Trump at Wall Street heliport. Photo by @stevebruskCNN
FOXニューズはテスト車両についてGMとシークレットサービスに照会し次の回答を得た。
「当社は業務を完了し車両を顧客に引き渡したところ」とキャディラック社長ジョハン・デニスチェンがFOXニューズに回答。シークレットサービス報道官からは「次世代大統領専用リムジンの製造、配備は予定通り順調に推移しており、製造元による生産、シークレットサービスによる製造後要求の双方が順調だ。一般国民には新型車両を今年晩夏にはお披露目できる」との回答があった。
関係者は目標に向けて尽力したようだ。
大統領用リモはほぼ十年間も変化がないように見えるが、随行車両には大きな変化が見られる。その一つが威容を見せる通信指揮統制トラックで護衛官に必要な命令を下す車両だ。一方で他国の指導者も専用車を更新しており、ウラジミール・プーチンも国産ビーストを手に入れ、これまでの装甲メルセデスの代わりに使っている。習近平も国産の新型専用車を使い始め、先月のアフリカ歴訪で初めて姿を表した。
AP
プーチンの新型専用車

こうした海外の専用車車両の上を行くのがビーストで世界各地の自動車愛好家の関心の的だ。あらゆる乗り物に関心を寄せる金正恩でさえ前回のシンガポール会談ではビーストに並々ならぬ視線を寄せていた。北朝鮮指導者は年代物のメルセデス・プルマン・ガード リモを使っている。
.新型大統領専用リモにはキャデラックのフラッグシップCT6セダンのデザインが使われているが似ているのはそれだけだ。 専用車の詳しい性能は極秘扱いだが一部は判明している。各種重装甲が何層にも渡り施され、直接の爆発を跳ね返し、地雷を踏んでも耐えられ、待ち伏せ攻撃に耐えられる構造のため車高が高い。
高度なまで調整されたサスペンションでこの動く要塞を確実に制御できるのでシークレットサービスの運転手は高度の回避行動も安心して行える。ただし車両と運行要員のミッションはあくまでも脅威を回避したり退避することであり、攻撃をそのまま受けることではない。
火災鎮火装備により最悪の場合でも装甲の繭の中で乗員は安全なままだ。ケブラーで強化したランフラットタイヤのおかげで直撃弾数発を受けてもそのまま走行できる。
ビーストは高度なまで強化され装甲を施されたトラックフレームの上に作られており、乗用車をベースにしていない。また大型走行ギアで大重量に耐える。客室部は外部と遮断され、軍用仕様の環境システムで核・生物・化学(NBC)対策を施す。暗視装置を使った運転が可能で通信装置は大統領移動車列の高度に保全体制の取れた無線ネットワークを利用できる。トランプの血液型と同じ血液バッグを冷蔵しており、緊急時に医療措置車が使えない場合でも対応可能だ。
ビーストの防御対策は極秘だが煙幕を貼る、路面に油を散布する、催涙ガスを発射する、電流を車体ドアハンドルに流すなどの対策があると述べられてきた。同乗するシークレットサービス護衛官が最後の防衛線で小火器を使用する。
大統領車列は道路上で最も危険を受けつつ同時に最も安全な移動手段である。だが新型ビーストはさらに複雑な事態でも大統領の生命を守る可能性を高めている。同時に大統領を守る車両多数が随行していることを忘れてはならない。
REAGAN PRESIDENTIAL LIBRARY
大統領専用リモは年を追うにつれ重装備になっていった。この写真は1984年のレーガン時代のリモだが内装は現在の専用車と大差ない。

移動に際しては細心の注意で準備が進められ、事前の念入りな検討、訓練、情報収集、現地法執行機関との協力、航空機材との調整の他、道路を確保し車列がシームレスに動けるよう統合パッケージの様相を示すことで毎回の移動が成功理に行われる。大統領がいかなる場所に移動する際も全く同じ手順が繰り広げられる。複雑で労力を要する高額なバレーを毎回公演するようなものだが何事もなければその努力が認められることはない。実際に異常事態が発生することは皆無に近く、関係者全員が献身的にそれぞれの力を振り向けるのだ。
では新型ビーストの姿はどう受け止められているのだろうか。コメントをぜひお寄せいただきたい。
UPDATE: 6:45pm PST— 
Another angle from Dan Scavino aboard Marine One.
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President Trump, as seen from Marine One, arrives in New York City for #UNGA

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記録: 米海兵隊F-35Bの初の実戦投入

U.S. F-35B Joint Strike Fighters Perform Their First-Ever Air Strike On Targets in Afghanistan 米F-35B共用打撃戦闘機が初の空爆任務をアフガニスタン標的を相手に実施

Sep 27 2018 - By Tom Demerly

U.S. Marine Corps F-35B Lightings Of VMFA-211 Hit Targets in Afghanistan From USS Essex.


軍所属のF-35共用打撃戦闘機が実戦に初投入された。2018年9月27日のことで米軍はミッションは「成功」したと伝えている。

海兵隊第211戦闘攻撃飛行隊「ウェークアイランドアヴェンジャーズ」がF-35B編隊でアフガニスタンのカンダハール地方の反乱戦力拠点を同日早朝に攻撃した。F-35B投入は「地上掃討作戦の支援」が目的だったとMilitary Timesが伝えている。

今回の歴史的な長距離空爆はワスプ級強襲揚陸艦USSエセックス(LHD-2)から発進した。同艦はアデン湾から北アラビア海を経由しペルシア湾に移動し戦闘態勢に入っていた。

ただし世界初のF-35の実戦投入は今年はじめのイスラエル空軍F-35Iアディールで詳細非公表の標的複数を少なくとも二回攻撃している。

今回の海兵隊によるF-35Bを使った空爆で同機への批判は和らぐのか、あるいはさらに激しくなるのか。少なくとも第5世代多任務STOVL型は火の洗礼を受けたが同時に疑問もうんだのも事実で、歴史上最も高価なステルス機でアフガニスタンのタリバン拠点を攻撃する必要があったのかがその筆頭だ。

米海兵隊が世界で先駆けてF-35を作戦投入可能な状態にしたのは2015年のことだった。ロッキード・マーティンのF-35三形式のうち海兵隊仕様のF-35Bが最も複雑な機構で革新的な推力偏向とリフトファンを特徴とし母艦の飛行甲板からカタパルト不要の短距離発艦をし、ホバリング状態から垂直着艦をする。本日投入されたF-35BにはGAU-22(25ミリ機銃)がポッドで付き、機内爆弾倉にも兵装を積んだ。

DoD公表の写真を見るとF-35BがGBU-32 1000ポンドのJDAM(共用直撃弾)をウェポンベイ下に搭載しているのがわかる。

U.S. 5th FLEET AREA OF OPERATIONS – U.S. 2018年9月27日、米海兵隊が第13海兵遠征部隊(MEU)隷下の第211海兵戦闘攻撃飛行隊所属F-35Bの初の戦闘出撃に備え装備搭載をワスプ級揚陸強襲艦USSエセックス(LHD-2)艦上で進めている。エセックスはエセックス揚陸即応集団の旗艦で第13MEUが乗艦し、第五艦隊任務海域に展開し中央地域の安定と安全の確保を支援する。同地域は地中海と太平洋を西インド洋経由で結ぶ戦略重要地点と位置づけられる。(U.S. Marine Corps photo by Cpl. A. J. Van Fredenberg/Released)

米海軍が導入したF-35Cは主翼が大型化し着艦装置が異なり空母運用を前提とする。空軍向けのF-35Aは陸上基地運用のため通常の離着陸をする。米空軍はF-35Aの作戦能力獲得を宣言済みだが、海軍はまだこの状態に進んでいない。

米海軍部隊中央司令部司令官スコット・ステアニー中将から報道陣に「F-35Bで揚陸作戦、航空作戦の様相が変わり、作戦柔軟度や戦術優位性が向上する」と語った。「エセックス揚陸即応集団の一部としてこの機体が公海から飛び立ち地上作戦を支援することで海洋優位性を確立し安定と安全が高まる」■