2021年5月16日日曜日

米海軍MQ-4Cトライトンが三沢基地に一時配備で移動。米空軍グローバルホークも日本展開へ。

 


200112-F-SX156-1006rANDERSEN AIR FORCE BASE, Guam (Jan. 12, 2020) An MQ-4C Triton unmanned aircraft system (UAS) taxis after landing at Andersen Air Force Base for a deployment as part of an early operational capability (EOC) to further develop the concept of operations and fleet learning associated with operating a high-altitude, long-endurance system in the maritime domain. Unmanned Patrol Squadron (VUP) 19, the first Triton UAS squadron, will operate and maintain two aircraft in Guam under Commander, Task Force (CTF) 72, the U.S. Navy’s lead for patrol, reconnaissance and surveillance forces in U.S. 7th Fleet. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Ryan Brooks)

 

海軍はMQ-4C無人偵察機2機をグアムから日本に臨時移動させると5月14日発表した。

 

「MQ-4Cトライトンの日本配備は今回が初」と在日米海軍は報道発表している。「トライトンは非武装無人航空偵察機材で日米同盟に洋上監視能力で貢献できる」

 

海軍は今回の2機はこれまでグアムで一年以上稼働しており、15日に三沢基地に到着すると発表。三沢海軍施設はP-8Aポセイドン等の海軍機が利用している。

 

トライトンは空軍仕様のRQ-4グローバルホークが原型で洋上監視偵察任務を行う。

 

「現場の状況を従来より正確に把握することが可能となった」とジム・キルビー中将海軍作戦副部長が下院軍事委員会海上兵力投射小委員会で同機の機能を3月に説明していた。

 

「太平洋での実績から正しい情報提供の機能は実証済み。トライトンは大きな価値を生んでいる」

 

海軍は今回のMQ-4Cトライトン2機を2020年にグアムへ配備してきたが、太平洋でグアム以外からの運用は今回が初めてとなる。海軍は混雑度が高い地区での同機の有用性を試したいとする。

 

日本の防衛省は今月初めに米空軍RQ-4グローバルホークも日本へ配備されると発表していた。「米空軍がグローバルホークを一時的に配備する。グアムから日本への移動は2014年から続いている」とした。■

 


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Navy Sending Two Guam-Based MQ-4C Tritons to Japan for Temporary Operations - USNI News

By: Mallory Shelbourne

May 14, 2021 11:16 AM


 


2021年5月15日土曜日

イランとイスラエルの緊張が高まる際には、イランにはイスラエルを撃破する能力は(今のところ)ないことに注意が必要。

 Iran Says it Can Easily Destroy Israel. These Facts May Indicate Otherwise

Wikipedia

 

  • プロパガンダと裏腹にイランがイスラエルを撃破できる可能性は低い。

  • 注目すべきはイスラエルに量的劣勢を覆す性能上の優位性があること。

  • イランの弾道ミサイルは国内発射ではイスラエルに命中しない。

 

ランの政治・軍事指導層が「イスラエルは一回で撃破できる」

豪語しているが、当のイラン国民にも誇張にしか聞こえない。

イラン指導部の発言には自制や熟慮がないことで有名だ。

 

イスラエルの破壊を公然と述べる革命防衛隊少将ホセイン・サラミの発言はイランではたりまえの反イスラエル論調と合致している。ホセイン発言から最近発生したイスラエル高性能武器製造施設の爆発事件の背後にイラン軍の存在がうかがわれる。これはアル=モニター紙が伝えており、それによると爆発で死傷者はなく、「通常のテスト」中に発生したとある。

 

記事ではホセインが「ドミノ式」で攻撃を受けた際のイスラエルの「弱点」に触れている。発言自体には突飛な内容があるが、一部には考えさせるものがある。たとえば、イスラエルのミサイル防衛の知見は相当のもので、アイアンドームほか地上配備装備の運用実績は豊富だ。この現実のためイランが弾道ミサイルを向けてもイスラエルは脆弱にならない。イスラエルはイランから約1,000マイル離れており、長距離弾道ミサイルの有効射程外に位置する。

 

このためイスラエル国境に近い地点からの攻撃をイランは迫られる。イラン地上部隊がイラクあるいはトルコを通過し、ペルシア湾岸地区からアラビア半島の反対側に移動する必要がある。イラン軍が接近すれば、いうまでもなく、イスラエル空爆の前に非常に脆弱な存在になる。そのため、イスラエル攻撃に成功する可能性は低い。

 

イランがテロ攻撃戦法を取らない限り、攻撃が成功する確率は低いのが現実だ。事実、小規模でヒットアンドラン戦法のテロ攻撃にホセインが言及しており、現実に数か所を襲撃することが現実にあり得る。イランがテロ集団を国家的に支援しているのは周知の事実である。しかしながら、防空体制同様にイスラエルは対テロ作戦でも経験豊富で対応にたけている。

 

イランから定期的にイスラエル撃滅を叫ぶ声が聞こえるが、実際になにができるだろうか。将来の核攻撃の可能性やテロ襲撃を除けば、イスラエルから見てイランの真の脅威は何だろうか。まず、イランの航空戦力は比較にならない。一方のイスラエルは第五世代戦闘機F-35はじめ強力な空軍を保有する。イランはミサイル攻撃でイスラエルを苦しめようとするだろうが、イスラエルの防衛体制を考えると成功するとは思えない。

 

ではイランが願うイスラエル撃滅の手段は地上侵攻だけなのだろうか。これには途中で空爆を受けずに部隊が無傷で攻撃地点まで移動するのが前提となる。

 

紙の上ではイランの地上部隊は強力だ。特に戦車、装甲車両は大量にあり、イラン軍はイスラエルに匹敵する。Globalfirepowerの2021年軍事力評価ではイランに戦車3,700両あるとし、イスラエルの1,600両を上回る。ただし、2,000両多いから軍事的な優位性が約束されるものではない。台数が少なくてもセンサー、兵装、コンピュータ性能や照準が優れていれば威力を発揮できる。そうなるとイスラエルの高性能メルカヴァ戦車がイランの改良型ソ連時代のT-72にどこまで威力を発揮できるかが興味を引くポイントになる。

 

「21st Century Asian Arms Race」によればイランはドイツ製レパード戦車、ロシアのT-90も保有しており、少数ながらエイブラズム戦車もある。イラン国産戦車第一号ファラーが最近姿を現しているが、実態はT-72Sの車台を使ったものといわれる。同戦車では電子光学的射撃管制、レーザー測距器、弾道計算コンピュータを搭載との報道があるが、イスラエルのメルカヴァの性能には及ばないように見える。2017年に出たNational Interest記事ではメルカヴァを世界最高水準の戦車としている。歩兵部隊や負傷兵も搬送し、主砲で対戦車ミサイルも発射できるのが大きな利点だと記事にあった。

 

メルカヴァにはヘリコプター攻撃能力のほか敵の通常戦車弾の射程外から攻撃する能力がある。台数で2,000両も劣ってもイスラエルはイラン地上兵力を上回る可能性がある。湾岸戦争の戦車戦では米エイブラムズが優秀な熱感知でイラクT-72を先に撃破したが、T-72は敵を探知捕捉できなかった。このため少数のエイブラムズが長距離高性能目標捕捉センサーにより大量のイラク戦車を撃破した。

 

装甲車両でもイランはイスラエル寄り1,000両多いとの指摘がある。Globalfireower 2021はイランは装甲車両8,500両を保有し、イスラエルは7,000両とする。ここでも技術水準が全く同じでないため、台数は結果につながらない。詳細な技術面での比較ができないものの、メルカヴァの前にイランの歩兵車両や装甲車両が優越性を発揮できる余地はない。さらにイラン戦車部隊がイスラエルの積極対応を旨とする防御線を突破できない限り、イラン部隊に成功の可能性はない。

 

すべては航空優勢が前提で、イランはイスラエルを地上攻撃する前に制空権を握る必要がある。■

 


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Iran Says it Can Easily Destroy Israel. These Facts May Indicate Otherwise

Even if Iran Launched an Aggressive Attack on Israel, Success is not Guaranteed

KRIS OSBORNUPDATED:MAY 12, 2021ORIGINAL:MAY 12, 2021

By Kris Osborn - Warrior Maven


 

-- Kris Osborn is the Managing Editor of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics&Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


米空軍が考える機材整理の対象、規模が判明。浮いた予算で導入する機材としてNGADに加え新型戦術機MR-X構想が登場。デジタルセンチュリーシリーズのことか。

 

 

空軍は旧式機421機を2026年に退役させ、かわりに新型戦闘機304機を導入する内容の2022年度予算を議会に提出すると Air Force Magazineはつかんだ。機材数を少なくし浮いた予算を新型装備調達にあて、次世代制空機の戦闘機版が2020年代末に登場する。また新型多用途戦闘機MR-Xを2030年代に投入する。

 

421機にはF-15C/D234機が含まれる。F-16は最古参の124機を削減し812機体制にする。ともに2026年までに実行する。A-10は現有281機を218機へと63機削減するが、2023年度まで大きな動きはない。

 

2026年度までを視野に入れると空軍はF-15EX(84機)、F-35A(220機)を調達し、5年後に戦闘機は117機減る。この削減ぶりは2010年代初頭の250機削減に次ぐ規模となる。

 

空軍上層部はこれまでも旧型機を退役し新型機の調達を進め、インド太平洋地区を念頭に将来の戦闘に有効な戦力整備を求めてきた。空軍からはF-22退役を2030年に開始し、かわりにNGADシステムファミリーの導入を目指すとの発言が出ていた。NGADでは少なくとも一機種が有人戦闘機でその他無人機種で構成する。MR-Xもデジタル設計で大幅な設計開発配備の時間短縮を狙い、供用期間も短くして維持運行費用を下げる。これによりその次の機種への交代を迅速に進める狙いがある。

 

「脅威の変化に呼応するべく年間60から70億ドルの追加で戦力を将来に対応させていく」とUSAFは説明している。「価格帯が導入可能となっても将来戦力は同等の戦力を有する敵への対応には不足する」とし、「現有第四世代戦闘機を第五戦闘機に変身する技術は存在せず、第五世代戦闘機もNGADにはならない」

 

文書の議論ポイントでは旧型機は「維持運用費用が大きく増加している」とし、ここまで古い機材を運用している部隊は世界にないとする。米空軍機材の平均機齢は28.6年とし、海軍は14.4年、陸軍航空隊は15.3年、オーストラリア空軍は8.9年、英空軍は16.5年だという。

 

空軍参謀副官デイヴィッド・ネイホム中将(立案事業担当)は機体維持運用経費が「急増」しており、インフレ率の二倍となっているのは機体老朽化が原因とする。米空軍機材の44%は想定供用期間を超え運用されている。F-16は当初2005年まで供用の想定だった。

 

約180機あるF-22は今後もセンサー性能改修を受け、2030年まで供用を続けるとある。ただし、分析ではF-22は「20年後の脅威に対抗するようにできない」とある。

 

NGADの「システムファミリー」構想は「高度な挑戦を受ける将来環境の戦闘に耐え勝利を収める能力」と定義され、米空軍の優位性が実現できない中で敵脅威と対決する想定に備える。

 

空軍はハイエンド戦での航空優勢体制の確立はできないと認めているようだ。かわりに「一時的な優越性の機会」を「高度なまで競合力を持つ脅威の存在する環境」で米統合部隊や同盟国部隊に実現する。この実現にはUSAFには「全方位での生存力、高速飛行、高性能兵装、航続距離の拡大」が必要だ。

 

「グローバル打撃」ミッションでは「十分なペイロード」と「ヒト-マシンのチーム化および有人無人装備の混合の利用」で回復力を確保する。F-16とA-10には機体構造強化対策予算をつけ、性能向上により戦力を廃止まで維持する。

 

構想の背景として「最も困難な課題(中国)、最も困難なシナリオ(台湾)、最も困難な時期(2035年)で広範な演習・分析」を行たことで、「将来の戦力構造を変化すべく空軍の予算優先順位を変えて、超大国相手の戦闘に有効な性能、機能、経済性を実現すべきだ」ことが判明したとある。

 

空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウン大将は5月12日、空軍は7機種ある戦闘機部隊を「4プラス1」に絞るとし、「プラス1」とはA-10のことだと判明した。狙いは機種数を減らし整備維持費用を下げることにある。

 

A-10については「現在の戦闘には極めて有益だがこのまま長期間続かない」と議論ポイントにある。「進化するグローバル脅威環境で生存力がなく、単一機能しかない」とある。A-10で防御制空任務は実行できず、敵防空網の制圧もできないし、本土防衛任務にも投入できない。空軍はこれまでもA-10退役を狙ってきたが毎回のように同機以上の近接航空支援機はないと主張する支持派の前に挫折している。

 

だが、空軍はCAS任務を別の形で実施したいとクリントン・ハイノート中将(空軍参謀副長、戦略統合要求担当)はAir Force Magazineに5月13日述べた。中将は新CASコンセプトの内容に触れていないが、無人機の投入を想定しているようだ。

 

さらに2030年代を視野に空軍はF-16のC/D型でブロック40以降の機材およそ600機が改修を受けつつ稼働するとみており、制空権が取れている、あるいはそこまで厳しくない環境なら投入可能だという。MR-Xへの機種変換は「30年代なかごろ」の予想で同機は「完全新型機」となり、デジタル技術を応用し、「決定判断点」は「今後6年から8年以内」になるという。MR-Xは「ハイエンド戦一歩手前の状況で合理的なミッション実施を許す」機体となるとする。F-35をこの任務に投入する可能性もあるが、運用コストが「相当下がった場合」に限られる。

 

F-15EXについて今回の検討内容では「大型兵装トラック」とし、スタンドオフ兵器を厳しい戦域で運用したり、航空優勢確保をそこまで厳しくない空域で確保するのに有益とする。F-15EXで極超音速空対地ミサイルのAGM-183A空中発射迅速対応兵器ARRWを運用するとしながら、議論ポイントでは「大型の...空対空」兵装も搭載するとしている点が興味深い。おそらくこれは長距離兵器のことで中国のPL-15空対空ミサイルに対抗するのだろうが、文書ではAIM-260といわれる極秘開発中の空対空ミサイルとの言及はない。同ミサイルの存在は2年前に明らかになったばかりだ。

 

F-15EXについては2022年に11機を調達し、23年は14機、その後は年間19機を導入する。この勢いのままなら2030年には144機がそろう。昨年好評のあった契約文書では200機購入のオプションがあることが判明している。

 

今秋開催の国防シンポジウムでブラウン大将は戦術航空機材研究はそのまま議会に送付されないが、内部検討として今後の戦闘機材構成を評価したもので、2022年度予算要求に反映されるが、実施は2023年度まで待つことになると発言していた。

 

ホワイトハウスからは予算案完全版が5月27日に発表の予定だ。バイデン政権は予算案の一部を先月発表しており、7,530億ドルを国家安全保障関連に計上し、うち7,150億ドルを国防総省分としていた。■


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Air Force Wants to Cut 421 Old Fighters, Buy 304 New Ones

 

May 14, 2021 | By John A. Tirpak


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23年度予算で米空軍は大胆な機種整理を提案する模様。あのF-22も一気に退役させるのはNGADが完成に近づいている証拠か。

 F-22 Alaska air-to-air

U.S. AIR FORCE

 

 

軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウン大将の発言を受けて、航空業界に動揺が走っている。発言では空軍がF-22ラプターの処分もいとわないとあり、戦術機材を戦闘機四種類およびしぶとく生き残るA-10攻撃機に絞るとあったためだ。

 

ブラウン大将による戦術部隊構想にはあえて不明瞭な部分がある。戦術部隊構想は空軍全般におよぶ将来の戦力構造編成の最適化をめざしたもので、あえて大規模かつ難問となる課題に触れている。空軍が The War Zoneに対しブラウン発言の「4プラス1」構想の真意を伝えてきた。

 

Military.comのオリアナ・ポーリクがまずこの話題を伝えており、ブラウンは「4機種に絞りたい。正確には4プラス1だ。A-10は当面供用を続けるからね。F-35が柱となり、F-15EX、F-16もしばらくは残る」と述べた。

 

Military.comによればブラウンはF-22に触れていない。またF-15Eストライクイーグルも同様で、この二機種については廃止に向けカウントタウンが始まったようだ。これまで酷使されてきたF-15EにF-15EXが交代し、ラプターの地位は安泰とされ、他の戦闘機で実現できない機能があるとされてきた。ブラウンは、四番目の機種について言及していないが、これが次世代制空機(NGAD)、あるいはその一部としての第六世代戦闘機で、単一機種ではなく「各種システムのシステム」として従来の概念を超えている新機種だろう。

 

その後Breaking Defenseが戦術機種4型式としてブラウン発言にあったのはNGAD、F-15EX、F-16、F-35と伝え、F-22は含まれていないとした。だがこの取材源はF-16後継機種が「6、7、8年後に」登場し、ヴァイパーの役目は「F-35の追加他」が引き継ぐとした。ブラウンも今年2月に新型機構想について初めて述べており、The War Zoneは「完全新型機」がF-16後継機として登場すれば1,763機調達するはずのF-35がもともとはF-16後継機の位置づけだったので営業の発生は必至と見ている。

 

さらにDefense Oneがブラウンの真意はNGADをF-22に交代させることと報じた。

 

空軍報道官はThe War Zoneに対し空軍トップが話題にした四機種はNGAD、F-35、F-15EX、F-16だと確認し、「中短期でA-10が加わる」と述べた。

 

U.S. AIR FORCE

現行の戦術機材 A-10, F-22, F-35, F-15C, F-15E, F-16.

 

ではF-22、F-15Eの全機退役を空軍は考えているのかと問うと、回答は不明瞭だった。「将来の最適機材構成を戦術戦力研究で検討している」とのことだった。

 

空軍報道官アン・ステファネクはAir Force Magazineに「F-22性能改修は今も続けている」とし、「すぐにも同機を退役させる予定はない」と一歩後退した発言をしている。

 

LOCKHEED MARTIN

ロッキード・マーティン構想の無尾翼高速長距離ステルス有人機はNGAD構想の一端。

 

総合すると空軍参謀総長は戦術機材を4機種に統合し、F-22(さらにF-15Eも)の廃止を考えているようだ。

 

ツイッター上で#SaveTheRaptor を出す前に、今回の戦術航空戦力研究は戦術機の最適戦力構造を検討するものであり、並行してコストアセスメント・事業評価(CAPE)があることに留意する必要がある。つまるところ、ブラウンも目標は戦闘機「四機種ぐらい」とA-10としており、A-10は2030年代までの供用を続けるとみられる。また、空軍はF-22の用途廃止は現時点では予定がないとしている。

 

仮に空軍がF-22を廃止すれば、反対意見が生じるのは必至で、議会でこの案を通過させるのが困難となるのはA-10廃止案が繰り返し否決された事例を思い起こさせる。さらに空軍がラプターを使い、第四世代戦闘機の戦力を最大化させるべく努力している中だというのも話を複雑にする要素だ。F-35Aの5機とF-22一機の相互通信機能をステルスのデータリンクでU-2Sドラゴンレイディを介して実証したばかりでもある。

 

ラプター退役となればNGADには大きな重荷にもなる。NGADはF-22退役で空軍戦力に穴があかないように戦力化が急がれる。

 

NGADと呼ばれる機体のうち戦闘機機能を果たすものはF-22と同じ機能さらにそれ以上を実現する必要があり、これ自身に興味をそそるものがある。

 

ラプターは187機で生産終了となり、小規模編成のため戦力面で制約があるのも事実だ。逆に機体維持運用コストが割高になっている。同機の低視認性は今も有効だが、技術が古くなっており、今後の維持もどんどん難しくなってきた。

 

F-22部隊の機齢は低いとはいえ、稼働率が著しく悪い。機体構造に手を入れ供用期間を延ばしたはずのF-22がミッション実施率が低いままになっている。今年早々にも機体構造強化策は135機で完了している。「数十万時間を再塗装に使い、腐食を防ぎ、機体改修・修理を行った」と空軍は発表していた。

 

さらにF-22には常に航続距離不足がついてまわっている。外部燃料タンクを搭載すれば低視認性や性能が著しく低下する。ロシア長距離航空機の侵入を防ぐ北米防空司令部ミッションではこれは問題にはならないが、中国相手の台湾海峡上空対応となれば、F-22の有益性はさらに低くなる。互角の戦力を有する相手との対戦となれば、F-22の攻撃目標地点から数百マイル地点に空中給油機を配備する必要があり、高リスクを覚悟する必要がある。このことはUSAFも認識している。

 

NGADがこうした欠点を克服していることを願うばかりだ。ペイロード拡大、ステルス性の強化、ネットワーク機能拡張、センサー・電子戦装備の拡充、さらに指向性エナジー兵器の搭載などNGADに期待される内容は多岐にわたる。無人機として有人機と同時投入する構想もNGADに期待され、単一の機体ではなく各種装備システムのファミリー構成になるはずだ。飛行中のソフトウェアアップデートもここで効果を上げるはずだ。

 

NGADに関する情報が不足気味のため、意味のある戦術性能情報が判明するまで時間がかかりそうだ。だが、ブラウンやUSAFがF-22退役でNGAD取得を進めるべく予算裏付けに向かえばこれも一気に変わりそうだ。

 

次にF-35が新構想でどんな位置づけになるのかも疑問点だ。空軍上層部から中国の台湾侵攻などハイエンド戦の机上演習でF-35Aが効果を上げなかったとの発言が出ている。ブラウン大将は空軍戦闘機戦力の「主力」とするものの、F-35には厳しい目が改めて向けられている。

 

とはいえF-22退役案は可能性がどこまであるのか。ブラウン大将は戦術航空戦力研究は2023年度予算要求までに完了させたいとし、「FY23予算では重要な決断を迫られる」と今年早くに発言していた。

 

空軍はF-22の姿がなくなった将来を見越しているようだが、これが現実になるまでは長い長い道が控えている。今のところは、戦術航空戦力研究でF-22にどんな影響が出るか不明だし、その他の戦闘機でも同様だ。■

 

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Yes, It's True, The F-22 Isn't In The Air Force Chief's Future Fighter Plans

The Air Force has confirmed it’s looking at a radical reduction in tactical fighter jet types, but that’s easier said than done.

BY THOMAS NEWDICK MAY 13, 2021

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RQ-4. KC-135、KC-10....米空軍がめざす100機超の整理案をめぐり米議会がチェックを入れる....バイデン政権初の2022年度予算案への前哨戦

  

Credit: U.S. Air Force

 

空軍はどの退役対象、維持対象の機体をめぐり、議会と長年にわたり意見が食い違っている状態だ。バイデン政権は自らによる初の予算編成を終えていないが、空軍はKC-10、KC-135、RQ-4グローバルホークUAVを退役対象にあげている。

 

空軍は100機超を退役させる案を昨年発表している。B-1B爆撃機削減は承認を得ている。A-10では近接支援機として同機を空軍は今後も供用するべく、三年をかけ主翼交換に取り組んでいる。。

 

5月7日の下院歳出委員会国防小委員会で空軍参謀総長チャールズ・ブラウン大将は「KC-10やKC-135に続く多数の」空中給油機が必要とし、ボーイングのKC-46には予算を今後も投入するとの書簡を提出した。KC-46は実用運用の準備にとりかかったままだ。

 

「旧型給油機を整理できないため予算人員両面で支障が生まれており、高性能を実現するはずのKC-46の配備が遅れて戦闘部隊の支援に追い付かない」「この悪影響が給油能力全般と給油機材の展開に現れている。旧式機に張り付いた予算人員を解放しないとKC-46が機能を発揮できず、空中給油全般にも影響が残ったとなる」(ブラウン)

 

トム・コール下院議員(共、オクラホマ)は地元にKC-135の修理拠点ティンカーAFBを抱え、オバマ政権がE-3セントリー空中早期警戒指揮統制機を退役させようとした過ちを指摘した。同議員は予算再配分を支持するものの、「すぐに必要となる機能をこの時点で放棄しないでもらいたい」「旧型機にも出番はある」と主張。

 

議会がノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホークのブロック3UAV処分案にどんな反応を示すのかは不明だ。だがブラウンの次の主張は空軍の意向を反映している。「空軍は2021年NDAA国防予算認可法によるRQ-4ブロック30処分の猶予措置を守り、RQ-4ブロック30用予算をISR機能の維持に使いたい」「情報収集は各種システムのファミリー構成により実施していきたい。そこにはこれまでの流れと異なる装備、全ドメインに投入可能なセンサー、民生装備の利用その他第五世代第六世代機の機能のハイブリッド展開も含む」

 

空軍はA-10主翼交換は予定通り進める。ブラウン大将はアン・カークパトリック下院議員(民、アリゾナ)に対し、議会内に近接航空支援機の支持派が一貫して存在すると述べている。ブラウンによれば2021年度に100百万ドル相当の事業実行が求められている中で、約2割を消化しており、年度末までにさらに55パーセントを執行する予定となっている。

 

空軍は2022年度2023年度にも100百万ドルを要求する予定を昨年匂わせた。「2021年予算で示した方向を継続したい」とブラウンは述べた。「ここまでの道のりを続け、同時に戦闘機編成にも見直しをかけて、将来に対応できるよう近代化を進める」■

 


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Which Aircraft Will Congress Let The US Air Force Retire?


Which Aircraft Will Congress Let The U.S. Air Force Retire?

Jen DiMascio May 07, 2021


2021年5月14日金曜日

武漢で建造中の新型潜水艦の姿がネットに流出。正体は元級新型艦か。透明性がない中国軍の現状は問題だが、ネットから相当の情報が得られる。

  

 

New Chinese Navy Submarine移動中の車から撮影された写真では橋の欄干の後ろに新型潜水艦の姿が見える。総合するとセイルが更新され(A)、上部潜航舵(B)が再設計され、全体に滑らかな艦体(C)になっている

 

 

国の潜水艦建造は大規模に進行中だが、新型式の潜水艦は建造が完了してから存在が明らかになることが多い。それに対しオープンソース情報活動(OSINT)から全く新しい潜水艦の姿が浮かび上がってきた。

 

中国のソーシャルメディアで新型潜水艦の画像が流布している。その他公開情報と照合できていないので、注意が必要だ。元級の新型派生型に見える。そうだとすれば、西側は039C型の名称をつけそうだ。

 

元級は中国の通常型潜水艦の主力で、AIP大気非依存型推進を搭載といわれ、最新鋭かつ強力な艦だ。同級のAIPはスターリングエンジンで電動モーターを作動させ、潜航時間を延ばしつつステルス性を実現する。

 

写真では艦首に赤い布がついている。新規建造潜水艦の進水式では機微性の高いソナードームを布で覆い撮影されるのを避けることはよくある。

 

建造済みの元級と比較すると今回の新型艦にはセイルの再設計がわかる。他にも微妙な違いが見える。セイル後方から艦上部にチャインが伸びているのはスウェーデンのA-26ブレキンジ級に酷似している。

 

今回の艦は建造済み各艦より大型とは見えない。このことから巡航ミサイル垂直発射管は搭載されていないのではないか。ただし、新型艦は外観上は既存艦より滑らかな形状で近代化を施されているように映る。

 

中国はリチウムバッテリーなど新型推進方式を試しているのではないか。今回の新型艦が従来型より大幅な改良を施している可能性がある。

 

今回の画像がWeiboに現れたのは5月7日で、後で広く注意を集めるようになってきた。写真の橋は武漢市のものだと地理情報で確認できた。写っている建築中の建物も最近の衛星画像と合致する。このことから画像が最近撮影されたものだとわかる。潜水艦は武漢市内の武昌造船所Wuchang Shipyard にあることがわかった。

 

同造船所は以前は中国潜水艦建造の中心だっがが、建造は市外の大型施設に移転している。

 

そうなると、新型潜水艦が旧施設で建造されたというのが変だ。ただ、旧造船所での建造がまだ続いている兆候はある。2月の衛星画像では潜水艦の艦体が映っている。元級の特徴である二重船殻構造、三層デッキ構造とも符号する。また艦の直径も同じだ。そうなると同造船所で建造中の各艦は量産型ではないのかもしれない。

 

新造の造船所が建造の中心だとしても、一号艦は今も旧施設で建造されているのではないか。さらにタイ王立海軍、パキスタン海軍等の海外訪問者が新造船所を訪れているのは輸出を意識しているためだろう。中国は機微性が高い艦は制限区域で建造したいと考えているようだ。元級や派生型が輸出にも成功している。タイ、パキスタンに採用されている。今回の艦も輸出用なのかもしれない。ただし、中国海軍用の新型艦である可能性も否定できない。

 

つきつめるとこの写真一枚から結論を出すのは時期尚早だろう。アナリスト陣はその他情報源と突き合わせるはずだ。だが、今回の写真が中国の最新かつ強力な通常型潜水艦の初めての姿である可能性がある。■

 


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Image May Reveal A New Type Of Submarine For The Chinese Navy

H I Sutton  12 May 2021

 


韓国KAIの軍用輸送機コンセプト画像が流出。画像を見て驚く方も多いのでは。

 これはC-2ではありません。Aviation Week記事のご紹介です。どうしても外形は似てくるとはいえ、韓国のことなのでどうしてもバイアスが入ってみてしまいますし、エンジンが機体サイズには不自然ですね。最初から武装を考えているのでしょうか。時間をかけて発達させるより最初からてんこ盛りの機能を実現したいというのはいかにもせっかちな韓国気質なのでしょうか。いろいろ突っ込みどころが多いようです。

 

韓国航空宇宙工業(KAI)による国産輸送機コンセプト画像と提案性能内容がネットに流出した。ビデオに登場するコンピュータグラフィックはブラジルのエンブラエルKC-390、川崎重工C-2に酷似した高翼双発機になっている。

 

Credit: Korea Aerospace Industries video


記事執筆時点でKAIからコメントは得られなかったが、韓国国防方面に詳しい筋はビデオが偽物ではないことを裏付けた。

 

本誌が見たビデオでは車両を空中投下するなど同機はC-2、エアバスA400Mの双方に近い空輸能力を狙っているようだ。

 

その他機能として無人機多数を放出する母機機能、伸縮方式のブームを装着しての空中給油機、「衛星攻撃」ミサイルの発射機が提案されている。

 

主翼下にパイロン4ないし8個がつき、対潜・対艦攻撃用の武装も搭載できる。

 

Aviation Weekデータサービスによれば韓国空軍の現有空輸機にはロッキード・マーティンC-130H/Jハーキュリーズ16機とエアバスA330多用途給油輸送機が4機ある。

 

KAIでは小型軍用機開発を進めており、T/FA-50ゴールデンイーグルに加えKF-21ボラマエが最近加わった。同社は大型機製造は未経験だが、エアバス・ボーイング両社の民生機材の部品製造を手掛けており、ガルフストリームG280の胴体主翼も生産している。■

 

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KAI's Airlifter Concept Leaked Online

Chen Chuanren May 12, 2021