移動中の車から撮影された写真では橋の欄干の後ろに新型潜水艦の姿が見える。総合するとセイルが更新され(A)、上部潜航舵(B)が再設計され、全体に滑らかな艦体(C)になっている。
中国の潜水艦建造は大規模に進行中だが、新型式の潜水艦は建造が完了してから存在が明らかになることが多い。それに対しオープンソース情報活動(OSINT)から全く新しい潜水艦の姿が浮かび上がってきた。
中国のソーシャルメディアで新型潜水艦の画像が流布している。その他公開情報と照合できていないので、注意が必要だ。元級の新型派生型に見える。そうだとすれば、西側は039C型の名称をつけそうだ。
元級は中国の通常型潜水艦の主力で、AIP大気非依存型推進を搭載といわれ、最新鋭かつ強力な艦だ。同級のAIPはスターリングエンジンで電動モーターを作動させ、潜航時間を延ばしつつステルス性を実現する。
写真では艦首に赤い布がついている。新規建造潜水艦の進水式では機微性の高いソナードームを布で覆い撮影されるのを避けることはよくある。
建造済みの元級と比較すると今回の新型艦にはセイルの再設計がわかる。他にも微妙な違いが見える。セイル後方から艦上部にチャインが伸びているのはスウェーデンのA-26ブレキンジ級に酷似している。
今回の艦は建造済み各艦より大型とは見えない。このことから巡航ミサイル垂直発射管は搭載されていないのではないか。ただし、新型艦は外観上は既存艦より滑らかな形状で近代化を施されているように映る。
中国はリチウムバッテリーなど新型推進方式を試しているのではないか。今回の新型艦が従来型より大幅な改良を施している可能性がある。
今回の画像がWeiboに現れたのは5月7日で、後で広く注意を集めるようになってきた。写真の橋は武漢市のものだと地理情報で確認できた。写っている建築中の建物も最近の衛星画像と合致する。このことから画像が最近撮影されたものだとわかる。潜水艦は武漢市内の武昌造船所Wuchang Shipyard にあることがわかった。
同造船所は以前は中国潜水艦建造の中心だっがが、建造は市外の大型施設に移転している。
そうなると、新型潜水艦が旧施設で建造されたというのが変だ。ただ、旧造船所での建造がまだ続いている兆候はある。2月の衛星画像では潜水艦の艦体が映っている。元級の特徴である二重船殻構造、三層デッキ構造とも符号する。また艦の直径も同じだ。そうなると同造船所で建造中の各艦は量産型ではないのかもしれない。
新造の造船所が建造の中心だとしても、一号艦は今も旧施設で建造されているのではないか。さらにタイ王立海軍、パキスタン海軍等の海外訪問者が新造船所を訪れているのは輸出を意識しているためだろう。中国は機微性が高い艦は制限区域で建造したいと考えているようだ。元級や派生型が輸出にも成功している。タイ、パキスタンに採用されている。今回の艦も輸出用なのかもしれない。ただし、中国海軍用の新型艦である可能性も否定できない。
つきつめるとこの写真一枚から結論を出すのは時期尚早だろう。アナリスト陣はその他情報源と突き合わせるはずだ。だが、今回の写真が中国の最新かつ強力な通常型潜水艦の初めての姿である可能性がある。■
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Image May Reveal A New Type Of Submarine For The Chinese Navy
H I Sutton 12 May 2021
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