イランは米無人機が自国内に侵入していると主張する。だが、話の内容を聞くとおかしな点がある。
米空軍やCIAがステルス新型無人機を運用中との噂が流れているが、実際はマッハ5の実現に苦労する現状なのに、マッハ10の極超音速飛行を実現しているとは考えにくい。
イランは史上最強の迎撃機と呼ばれたF-14トムキャットを運行する唯一の国だ。だが同国の双発可変翼F-14は酷使されてきた。1980年から1988年に展開したイラクとの戦闘で大きな役割を果たした。イランのトムキャットパイロットは長距離用大型AIM-54フィーニクスミサイルで敵機撃墜に成功しており、これも世界唯一だ。
イラク戦終結後のイランは残存F-14の修理、性能改修をめざし、米政府が制裁措置を課す中で世界各地で部品を入手しようとした。
米国ではF-14は2006年に退役したが、イランのトムキャットは40機近くが健在だ。主任務はイラン核施設の防衛だ。迎撃任務の中で、2013年に奇怪な事件が発生したとCombat Aircraft誌が伝えている。
極秘の核兵器開発の現場上空に米中央情報局が送り込んだスパイ無人機に遭遇したとイラン側は考えた。だがこの機の飛行性能は常識を超えていた。
このUAVはレーダーを妨害し、迎撃機の航法装備を使えなくした。飛行速度はマッハ10で大気圏外に飛んで行ったという。夜間だったので青色光を発し、「発光体」と呼ばれた。
イランは核施設を三か所に建設し、理屈の上では核兵器製造が可能となった。原子炉がブシェル、アラクに作られ、濃縮工場がナタンツに生まれた。
こうした施設の存在は2002年に広く知られるようになり、CIAがこれ以前から大きな関心を示したのはまちがいない。「偵察用UAVが繰り返し送り込まれ情報収集にあたり、攻撃の準備に入っていた」とCombat Aircraftは伝える。
そこでイランは核施設防衛のため特別部隊を組み、F-4Eを8機、F-14も8機、707旅客機とC-130を改装しセンサー、通信機能を搭載し指揮統制機にしたてあげた。この特別部隊が遭遇したのは「驚くべき飛行性能」の機体でこれをCIA所属とイランは信じていた。
「数例では....F-14が対応しようとしたが兵装が機能しなくなった」と同誌にある。
2012年には迎撃に向かったF-14を撃墜された。少なくともイランはそう信じている。
2012年1月26日に発光体に向かったトムキャットは謎の空中爆発で搭乗員二名が死亡した。UAVと思われた飛行体が原因と記事は推論している。該当F-14は当時供用中の機体でも最高の状態にあったという。
CIAや国防総省が偵察機材をイランで運用しているのは公然の秘密だし、イラン核施設も当然その対象だ。2012年2013年とイラン戦闘機隊は米プレデター無人機をイラン空域外で排除しようとした。2013年米空軍F-22がトップガン顔負けの操縦で中に入り、プレデターを守った。
2009年に米空軍はそれまで極秘機材だった新型無人機をCIA向けに運用中と明らかにした。RQ-170センティネルはアフガニスタン北部からイランに進入していた。2011年12月にセンティネルの一機がアフガニスタン-イラン国境地帯で墜落し、イラン軍が捕獲した。
プレデター、センティネルともに高高度を飛行するが、飛行中に青色に発光することはない。両機種の発電容量から行ってレーダーや航法装置を使用不可能にする妨害は不可能だ。
噂では空軍とCIAがステルスの新型極秘無人機を運用しているといわれる。そのような機体が実在するとしても、マッハ10極超音速飛行は不可能だろう。ペンタゴンはマッハ5の実現に苦労しているほどだ。
そうなるとイランのF-14が追尾しようとした超高速超高高度を飛び、被害を生じさせたUFOの正体はなんだったのだろうか。■
What's Behind the 'UFOs' Snooping Around Iran's Nuclear Facilities?
May 16, 2021 Topic: Iran Region: Middle East Blog Brand: The Reboot Tags: IranMilitaryTechnologyWorldUFOF-14
by David Axe
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared in 2019 and is being reposted due to reader interest.
Image: Reuters
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