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衛星画像から中国東部にある人民解放軍空軍(PLAAF)の爆撃機基地で大規模格納庫及び支援施設が建設されたことがわかった。設置場所は基地のほかの部分から離れた場所にあり、高度保安体制が敷かれている。同基地には第30航空連隊が駐留しており、WZ-8大型高速高高度無人機を運用する。同無人機はH-6Nミサイル母機から空中発射するスパイ機だ。施設はH-20ステルス爆撃機の登場が近づくとの噂が流れる中で建設された。
The War ZoneはPlanet Labsより画像を入手した。Google Earth も活用した。場所は江蘇省南京から北方30マイルの六合Luhe-Ma'an航空基地で、建設は2017年ごろに始まった。格納庫は縦横265フィートx245フィートの大きさで全高が極めて大きく、側面に窓が三段にわたり配置されている。
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衛星画像で大型格納庫と合わせ付属施設、周囲の警備状況がPLAAF六合基地に追加建設されているのがわかる。2020年5月24日撮影。
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六合基地で建設が始まった。2017年撮影。
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2018年の同じ地点で施設が追加されているのがわかる。
エプロンは315千平方フィートの広さがあり、上左部分にはエンジン試運転場と思われる部分もあり、これ自体が172フィートの奥行きがある。エプロンに接しさらに格納庫を増設する場所が確保されている。
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六合基地の追加施設の衛星画像ではエンジン試運転場らしきものがエプロン上左に追加されており、その周辺も格納庫追加用の敷地になっているようだ。
他の建屋は管理棟あるいは生活寮あるいはその双方かもしれない。すべて隔離区域にある。周囲は防備を強固にしており、フェンスを全周においき、監視塔や照明が北側に配置されている。誘導路や基地の主滑走路に通じる部分にも検問所がある。湯道路は全長3,500フィート幅80フィートある。
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別の衛星画像が2021年4月29日撮影され、誘導路の一部と検問所が格納庫右側に見える。
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同日の六合基地の主要部分では誘導路が追加施設に伸びているのが主滑走路の北端に見える。
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長大かつ高度の警備体制の誘導路は基地の主滑走路と追加施設をつなぐ。
衛星画像では2020年から別の大型施設建設が始まったことがわかるが、基地機能と直接関係するものかは不明だ。今回の区域が基地と直接つながっているかも不明。今回の場所は以前は農地で周囲は農業地帯だ。
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2020年9月の衛星画像では付属施設の北東に追加部分の建設が見られた。
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同上施設の完工が2021年4月29日画像でわかる。
今回の施設の目的ははっきりしない。また今回の衛星画像ではエプロン上に航空機は一機も確認できない。基地全体が比較的新しく、主施設建設は2012年開始で、2015年から16年の間に完工している。
第10爆撃機師団の29,30航空連隊がPLA東部軍区の下で同基地を拠点としているとの報道がある。機材はH-6爆撃機改修型で、H-6H、H-6J、H-6Mミサイル母機が中心だ。
そのほかのPLAAF爆撃機基地でも同様の拡張工事がみつかっている。中でも第10爆撃機師団のほかの部隊が駐留している安徽省安慶Anqingの基地では大型格納庫が見つかっているが、六合基地施設より小さく、付属施設や保安体制もそこまで拡充していない。
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2019年撮影の安慶基地には同じような誘導路が見られる。
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安慶基地の誘導路をクローズアップすると格納庫へつながっているのがわかるが、六合基地の大型格納庫とは全く違うことがわかる。
総合すると、六合基地で見つかった新規施設は基地拡張の一環なのかもしれない。ただ保安体制の強化と独立した運営体制が目を引く。こうした特徴が軍事基地にある場合は通常は機密性の高い活動の証拠だ。
同基地の誘導路完成後にWZ-8の写真が露出したことに意味がありそうだ。同年10月に建国70周年を祝う軍事パレードがあった。その時点で同無人機は2018年6月からすでに稼働していたとのうわさがあった。この時点で同基地の大型格納庫は完成寸前だった。
WZ-8の機体構造からH-6N母機から空中発進する機能が強く感じられる。H-6Nは大型装備運用が可能で、旧型H-6Mでも無人機等の運用のため改装されているとの報道がある。改装機にはH-6MWの呼称もある。
WZ-8、H-6Nともに秘密ではなくなったもののPLAAF内部では機微な機種であることにかわりなく、運用には専用施設が必要なのだろう。そのため六合基地で追加工事を行ったのではないか。WZ-8はロケット推進式で飛行試験はゴビ砂漠で行っているが、PLAAFは同機を運用段階に移そうとしているのもしれない。
六合基地は黄河や東海岸から200マイル足らずの場所にあり、台湾から600マイル北にある。H-6N、H-6MでWZ-8を運用すれば西太平洋の戦略地点へのアクセスが実現する。4月にもH-6十数機にH-6MWも一機含み、東海岸沖での演習に参加している。
もうひとつがH-20ステルス爆撃機の問題で、2000年代初頭から開発が続いているといわれる。同機に関しては公式には想像図一枚が流出しているのみで、全翼機形状で米空軍B-2に似ているといわれる。基地のエプロンの駐機スペースはB-2とほぼ同寸だ。
ここ数年H-20がいきなり公の場に姿を現すとの噂が絶えない。ただし、まだその通りになっていない。ただ2018年10月には東方軍区司令部隷下の爆撃隊がロゴに無尾翼全翼機形状の機体シルエットをあしらっている写真が流出している。(下参照)
PLAAF
H-20運用では追加施設や保安体制強化が必要となるが、既存の爆撃機基地からテスト評価運用が可能だ。大型格納庫は機体を隠すのに都合がよい。ステルス機の表面塗布材は外環境の影響を受けやすいことが知られている。
仮にH-20が公に姿を現しテスト評価段階に入るのがまだ数カ月数か年先だとしても、専用施設を先に整備しておくことは理に適う行動で、既存基地に専用施設を準備するのも準備として理解できる。エドワーズ空軍基地でもB-21ステルス爆撃機の登場に先立ち同様の施設が準備されている。B-21の公表は来年の予定だ。
同基地の施設追加では別の可能性もある。PLAAFの戦略核攻撃ミッションの再開で、米国防情報局(DIA)は2017年にも同じ動きがあったとする。「2019年10月、中国から核三本柱のうち爆撃機運用の再開の兆しが出た。H-6Nが空中給油対応した核兵器搭載機になった」と議会向け中国軍事力レポートにあり、2020年に公開された。ただし、今回の追加施設では専用の核兵器貯蔵施設は建設されていないようだ。
もちろん、今回の大型格納庫をPLAAFが何に使うのかは推察の域を出ない。実はWZ-8、H-20、核兵器と無関係なのかもしれない。
とはいえ、六合基地の巨大格納庫含む施設が厳重な保安体制で守られているのを見ると、同基地で何らかの機密作業が進行中なのは確かだろう。また整備工事がほぼ完了していることから、今後PLAAFが何を開始したのかを推理することも可能となろう。■
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Mysterious Secluded Facility With Large Hangar Emerges At Chinese Bomber Base
The remote nature of the installation and its fortified perimeter indicate that it is used to support sensitive work.
BY JOSEPH TREVITHICK MAY 19, 2021
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