ここがポイント:米国、同盟国は北朝鮮製装備品の拡散を各地で止められず、北朝鮮軍事装備品が米国の国益上で脅威となっており、ここから得た収益が北朝鮮軍事機構および特権階級を肥やしている。
数週間のうちにハマスがロケット弾数千発をイスラエルに発射し、イスラエルのアイアンドームが大部分を撃破したが死傷者や損害が発生した。識者にはロケット弾を供給したとイランを非難する向きが多い。しかし、この裏には別の勢力がいる証拠があがっている。
The Telegraphの2014年7月記事によれば、北朝鮮がテロ集団ハマスへのロケット弾および通信装備売却を成立している。数十万ドル規模の売却にはロケット数千発を含む。表向きはレバノン企業との取引で、同企業はハマスとつながるベイルートの会社だ。同記事が出た時点で、頭金が支払いずみで、ロケット弾通信機器は2014年末に出荷された。
2014年に北朝鮮がハマスに売却したロケットは122mmあるいは107mmのいずれかか両方の可能性がある。これは北朝鮮の国産装備品で、製造原価が極めて低いため販売単価も安い。このため北朝鮮は量産しており在庫は豊富だ。ハマスが入手したロケット弾は数千発単位となる。
ハマスは同年夏にイスラエルとの対決で4,500発ものロケット弾を発射して補充が必要だった。北朝鮮にはハマスの需要を満たす好機となり、ハマスは次のイスラエル戦の準備ができた。
だがハマスへの北朝鮮支援はこれにとどまらなかった。その一部は今回の衝突とも関連している。2014年にガザ作戦に従事したイスラエル軍関係者はハマスが構築した大規模トンネル網掘削には北朝鮮の支援があったと評価している。あまりにも大規模なためイスラエル側は「地下鉄」と呼ぶほどだ。
北朝鮮はヒズボラにも地下トンネル網構築を手助けしており、ヒズボラは2006年の対イスラエル戦で活用した。最近の作戦でもイスラエル軍はハマスのトンネル網を攻撃対象に選んだ。
画像その他の報道内容から北朝鮮がロシア製9K111ファゴットをブルサン-2としてハマスに対戦車兵器として売却していることがわかる。この際は北朝鮮はイランを介して売却しており、写真ではハマスのイズ・アド-ディン・アル-カサム旅団が同装備品を使用しているのがわかる。イスラエル軍はいまのところガザに侵攻していないが、この装備がイスラエルに脅威になるのは間違いない。
北朝鮮からの武器輸出はイラン、シリアを中心にヒズボラ、ハマス、フーシの代理勢力へも及んでおり、米国の国益への脅威となっている。この二年間で二度にわたり北朝鮮製装備品が米軍、米国同盟国軍へ脅威となった事例が発生している。2020年1月7日にイランがイラク国内の米軍基地に向け連続発射した弾道ミサイルがこのひとつだ。
その際の「キアム」型ミサイルは北朝鮮製スカッドCが原型で、北朝鮮の支援で性能向上している。米国、同盟国は世界各地で北朝鮮軍事装備品の拡散を止められないままで、北朝鮮の軍事装備品販売が米国の国益上で脅威となっており、北朝鮮は貴重な外貨収入で軍事力と国内エリート層を養っている。■
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Are The Rockets Fired by Hamas into Israel Coming from North Korea?
May 21, 2021 Topic: North Korean Arms Sales Blog Brand: Korea Watch Tags: HamasNorth KoreaIsraelMilitaryNorth Korea Arms Sales
Dr. Bruce E. Bechtol Jr. is a professor of Political Science at Angelo State University. He is also the president of the International Council on Korean Studies and a fellow at the Institute for Corean American Studies. The author of five books dealing with North Korea, his latest work is entitled North Korean Military Proliferation in the Middle East and Africa.
ハマスは、1万発とも推定されるロケット弾を持ち、今回の紛争でその半数を使用したようだ。なぜハマスが多数のロケット弾を保有しているか疑問であったが、その一端が垣間見える記事である。今回の紛争の背後に、やはり「北京枢軸」が関与している。
返信削除ハマスへの武器供給は、イラン、特に革命防衛隊が計画し、北朝鮮から調達し、恐らくイラン経由で様々な手段で移送された。これらの一連の取引に船便や航空便があり、北京の了解の下、中国を介してイランに運搬されただろう。このルートは、北朝鮮からイランへの核兵器製造物資やその運搬手段の供給ルートでもある。このルートを取り仕切っているのはCCP/PLAである。
もう一つの疑問は、なぜ今ガザの紛争が起きたのか、と言うことであり、これには複数の要因があるようだ。一つにはイランが核合意を有利に進めたいため、核合意反対のイスラエルを弱めること、もう一つは中国が国際世論の焦点を東アジアから中東に逸らせようとしていることが直近の目的であると思われる。
長期的には、イランは、イスラエルと湾岸諸国との同盟の進展を遅らせ、イスラエルの足元を揺さぶり、弱体化させ、イランの核施設攻撃を実行し難く、核武装しやすい環境を作ることであり、中国は、米軍の中東撤退と東アジア再配備を遅らせ、中東への影響力を強化することと思われる。
紛争は、停戦となったが、これから何時でも再開する鍵を「北京枢軸」が握り、革命防衛隊とその手先が跳梁することにより、中東情勢は、混乱し、流動化し易くなるだろう。
米国大統領が、強硬姿勢で出方が不明なトランプから、付け入る隙の多い老いぼれバイデンに替わった影響が中東でも表れているように見える。